JP2003277624A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP2003277624A
JP2003277624A JP2002085504A JP2002085504A JP2003277624A JP 2003277624 A JP2003277624 A JP 2003277624A JP 2002085504 A JP2002085504 A JP 2002085504A JP 2002085504 A JP2002085504 A JP 2002085504A JP 2003277624 A JP2003277624 A JP 2003277624A
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mover
resin composition
carbon fiber
stator
electrode pattern
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Nami Ikeda
菜美 池田
Akihiro Ito
彰浩 伊藤
Koichi Kobayashi
光一 小林
茂 ▲柳▼澤
Shigeru Yanagisawa
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Seiko Precision Inc
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K7/00Use of ingredients characterised by shape
    • C08K7/02Fibres or whiskers
    • C08K7/04Fibres or whiskers inorganic
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 剛性や導電性等に優れた樹脂組成物を安価に
提供する。 【解決手段】 可動子11a、11bは、気相成長炭素
繊維(VGCF)及びカーボンファイバーとPPS(ポ
リフェニレンスルフィド)等の熱可塑性樹脂とを溶融混
練してなる樹脂組成物にて樹脂成形することによって導
電性樹脂組成物として製造されており、各可動子の4つ
の外面のうち、上部固定子21a及び下部固定子21b
に対向する面には、静電アクチュエータ3の光軸A方向
と直交する方向に延びる複数の凸部12が形成されてい
る。したがって、導電性を有するカーボンファイバーが
各可動子の全体、特にその外面に設けられた複数の微細
な凸部12にも配置されており、VGCFはカーボンフ
ァイバーが配置されない箇所にも均一に分散して配置さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細炭素繊維を含
有する樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カーボンナノチューブ等の微細炭
素繊維を含有し、炭素繊維によって剛性や導電性等を付
与するようにした樹脂組成物の研究や開発が行われてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような樹脂組成物は、高価なカーボンナノチューブ等の
微細炭素繊維が相当量必要となるため、高価であるとい
う問題があった。
【0004】そこで本発明は、剛性や導電性等に優れた
樹脂組成物を安価に提供することを目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の樹脂組成物は、
繊維径1〜1000nmの第1の微細炭素繊維と、当該
第1の微細炭素繊維よりも繊維径の大きい第2の微細炭
素繊維とを含有する。このような構成によれば、導電性
を有する第1の微細炭素繊維が樹脂組成物中に均一に分
散して配置され、それぞれの微細炭素繊維が多くの部分
で互いに干渉し合うので、導電性が高い樹脂組成物を得
ることができる。また、第1の微細炭素繊維が繊維径1
〜1000nmと微細であり、微細な箇所にも第1の微
細炭素繊維が均一に分散して配置されるので、微細な箇
所にも高い導電性を付与することができる。さらに、上
記第1の微細炭素繊維よりも繊維径が大きな第2の微細
炭素繊維をさらに含有しているので、樹脂組成物が第1
の微細炭素繊維のみで形成される場合よりも、導電性樹
脂組成物の剛性を増強でき、かつ摺動性を向上でき、ま
た、高価な第1の微細炭素繊維の含有量を少なくできる
ので、より安価な樹脂組成物を得ることができる。
【0006】上記第1の微細炭素繊維の含有率は、上記
第2の微細炭素繊維の含有率よりも多いので、上記の効
果に加えて、導電性及び放熱性を向上できる。
【0007】上記第2の微細炭素繊維の含有率は、上記
第1の微細炭素繊維の含有率よりも多いので、上記の効
果に加えて、剛性及び摺動性をさらに向上でき、また、
樹脂組成物をより安価に製造できる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面に示す実施例に基づき具体的に説明する。
【0009】まず、図1により、本発明の樹脂組成物が
用いられた光学装置について説明する。図1に示すよう
に、光学装置1は、筐体2と、筐体2内に配置された静
電アクチュエータ3と、撮像素子の一例としてCCD4
とを備えている。本実施例において、静電アクチュエー
タ3は被写体象からの物体光のCCD4に対する結像関
係等を調整する対物光学系としての機能を有するもので
ある。
【0010】筐体2の最前部には、静電アクチュエータ
3が配置されている。また、静電アクチュエータ3の後
方には、CCD4が配置されている。CCD4により変
換された画像信号は、ケーブル8内を通る導線18によ
り後述する外部装置50に転送される。
【0011】次に、静電アクチュエータ3について図2
乃至図5により詳述する。図2及び図4に示すように、
静電アクチュエータ3は中空の直方体形状を有する枠体
20を有している。図2に示すように、枠体20の互い
に対向する上側内面20a及び下側内面20bには、静
電アクチュエータ3の光軸A方向に延びる上部固定子2
1a及び下部固定子21bが固着されている。
【0012】また、図2及び図4に示すように、上部固
定子21aと下部固定子21bとの間には、本発明の樹
脂組成物が用いられた中空の略直方体形状の可動子11
a、11bが配置されている。
【0013】これら可動子11a及び可動子11bの中
空部には、対物光学系を構成する光学素子の一例として
凹レンズ10a、凸レンズ10bがそれぞれ装着されて
いる。なお、本実施形態においては、静電気力を発生さ
せる電極構成部(固定子)の配置部位は、枠体の上下面
に限定されるものではなく、左右面に配置してもよい。
また、各可動子に装着されているレンズ10a、10b
の種類及び個数は、上記に限らず適宜変更可能であり、
1つの可動子に異なる種類のレンズを複数個装着しても
良い。
【0014】次に、上部固定子21a及び下部固定子2
1bについて詳述する。上部固定子21a及び下部固定
子21bは、図2に示すように、例えばガラスまたはセ
ラミックス等の絶縁体材料からなる基体22a及び22
bをそれぞれ有している。
【0015】これら基体22a及び基体22bの互いに
対向する面、すなわち可動子11a、11bに対向する
面には、第1電極パターン31及び第2電極パターン3
2と、第3電極パターン33及び第4電極パターン34
がそれぞれ設けられている。
【0016】基体22及び各電極パターン31乃至34
の上には連続的に絶縁層(図示せず)が形成され、各固
定子21a、21bの全表面は絶縁層に覆われている。
なお、固定子21a、21b及び可動子11a、11b
の少なくとも一方には、必ず絶縁層が形成されている
か、もしくは、固定子21a、21bと可動子11a、
11bとの間にストッパーを設け、両者の電極同士が直
接に接することが無いようにするものとし、絶縁層及び
ストッパーについての記述は省略する。
【0017】図2及び図3に示すように、上部固定子2
1aに設けられた第1電極パターン31は、上部固定子
21aの表面上を光軸A方向に直交する方向に延びる複
数の固定子電極31aと、これら複数の固定子電極31
aを電気的に接続する接続電極31bとからなる。
【0018】図3に示すように、固定子電極31aは、
所定のピッチPをおいて光軸A方向に等間隔で配列され
ている。また、接続電極31bは光軸A方向に延び、各
固定子電極31aの一端と接続されている。このように
構成された第1電極パターン31は全体として櫛型の形
状を有している。
【0019】また、第2電極パターン32乃至第4電極
パターン34も、第1電極パターン31と略同一の態様
で配置された複数の固定子電極32a、33a、34a
と接続電極32b、33b、34bとからなり、第1電
極パターン31と同様に櫛型の形状を有している。第2
電極パターン32乃至第4パターン34の各固定子電極
32a乃至34a間のピッチは、第1電極パターン31
の固定子電極31a間のピッチPと同一となっている。
【0020】第1電極パターン31及び第2電極パター
ン32は、光軸A方向に1/2ピッチP分ずれた状態で
互いに相対し、互いの櫛の歯部分を組み合わせるよう
に、すなわち固定子電極31a、32aが光軸A方向に
交互に並ぶように配置されている。
【0021】また、下部固定子21bに設けられた第3
電極パターン33及び第4電極パターン34は、上部固
定子21aに設けられた第1電極パターン31及び第2
電極パターン32と同様の態様で配置されている。
【0022】また、図3に示すように、第3電極パター
ン33の固定子電極33aは、第1電極パターン31の
固定子電極31aに対して軸方向に1/4ピッチP分ず
れて配置されている。したがって、第1電極パターン3
1乃至第4電極パターン34の固定子電極31a乃至3
4aは、光軸A方向に沿って31a、33a、32a、
34aの順に各々1/4ピッチP分ずれて配置されてい
る。
【0023】また、各接続電極31b乃至34bの軸方
向端部にはそれぞれ導線41、42、43及び44が接
続されており、これら導線41乃至44を介して第1電
極パターン31乃至第4電極パターン34の電位をそれ
ぞれ独立して外部から調節することができるようになっ
ている。
【0024】次に、可動子11a、11bについて説明
する。図5に示すように、可動子11aは、第1の微細
炭素繊維としての気相成長炭素繊維(以下、「VGC
F」という。)14と、このVGCF14よりも繊維径
が大きな第2の微細炭素繊維としてのカーボンファイバ
ー16をさらに含有する樹脂組成物13を樹脂成形する
ことによって形成されている。図2及び図4に示すよう
に、可動子11aの4つの外面のうち、上部固定子21
a及び下部固定子21bに対向する面には、光軸A方向
と直交する方向に延びる複数の凸部12が形成されてい
る。凸部12は略直方体形状であり、固定子電極のピッ
チPと同じピッチPをもって静電アクチュエータ3の光
軸A方向に沿って配列されている。図5に示すように、
樹脂組成物13中のカーボンファイバー16が、可動子
11aに設けられた微細な凸部12(本例では高さ×幅
が30μm×30μm)にも配置されており、また、V
GCF14はカーボンファイバー16が配置されない箇
所にも均一に配置されており、それぞれのVGCF14
及びカーボンファイバー16が多くの部分で互いに干渉
し合う。なお、可動子11bも可動子11aと同一の構
成を有している。ここで、凸部12の形状及び大きさは
上記に限るものではない。
【0025】図2に示すように、可動子11a及び可動
子11bには、導線19a及び導線19bがそれぞれ接
続されており、この導線19a、19bを介して各可動
子11a、11bの電位を独立して調節可能となってい
る。導線41乃至44及び導線19a、19bは、ケー
ブル8を経て、外部装置50に設けられた電源ドライバ
51に接続されている。
【0026】なお、本実施例においては、導線19a、
19bを可動子11a、11bに直接に接続したが、こ
れに限定されるものではなく、例えば、枠体20の左右
内面に不図示の細い金属ブラシを設け、この金属ブラシ
により可動子との電気的な接続を確保することも好まし
い。すなわち、導線を物理的に接続するか、もしくは細
い導電性のブラシにより可動子の電気的接続を満足する
ことができる。
【0027】また、上述した上部固定子21a及び下部
固定子21bは基体22a、22bに所定の形状の金属
薄膜を接着することにより形成しても良いし、スパッタ
リングや蒸着等の手段を用いて基体22a、 22b上
に導電膜を積層し、エッチングプロセス等を用いてパタ
ーニングすることによって形成しても良い。また、上述
した絶縁層は電気抵抗の高い物質からなる薄いシートを
導電膜上に接着することによって形成しても良いし、ス
パッタリング法又はCVD法を用いて酸化シリコン膜を
積層することによって形成しても良い。また導線19
a、19b及び導線41乃至44は、導電性の接着剤を
用いて接着するか又はワイヤボンディング等の手段を用
いて接合すればよい。
【0028】ここで、本実施例では、VGCF14は繊
維径が略200nm、繊維長が略10μmとなってお
り、例えば鉄やニッケル等の微粒子からなる触媒として
の金属化合物とベンゼン等の炭化水素ガスと水素等のキ
ャリアガスとの混合ガスとを高温で反応させる方法等の
公知技術で製造されている。また、カーボンファイバー
16は繊維径が略10μm、繊維長が100μmとなっ
ており、例えば有機物高分子繊維を炭素化する等の公知
技術で製造されている。このVGCF14及びカーボン
ファイバー16とPPS(ポリフェニレンスルフィド)
等の熱可塑性樹脂15とを溶融混練して樹脂組成物13
を製造しており、樹脂組成物13は遅い射出速度で射出
成形することにより、可動子11a、11bの上記の形
状に成形される。
【0029】本実施例の場合、樹脂組成物13中のVG
CF14及びカーボンファイバー16の含有率をそれぞ
れ5〜25重量%、これらの合計含有率を30重量%以
下としている。なお、樹脂組成物13中のVGCF14
の含有率をカーボンファイバー16の含有率よりも多く
すると、カーボンファイバー16よりも微細なVGCF
14が可動子11a、11bの全体に配置されるので、
各可動子の導電性及び放熱性を向上できる。これに対
し、カーボンファイバー16の含有率をVGCF14の
含有率よりも多くすると、VGCF14よりも大きなカ
ーボンファイバー16が各可動子の全体に配置されるの
で、各可動子の剛性、複数の凸部12における摺動性及
び樹脂成形時の収縮の低減を向上できる。
【0030】なお、本実施例において、VGCF14の
繊維長及び繊維径は、上記に限らず適宜変更可能であ
り、例えば繊維径を1〜1000nm、繊維長を10n
m〜20μmとしても良い。ここで、各値を小さくしす
ぎるとするとVGCF14が樹脂組成物13中で凝集
し、均一に分散して配置させることが困難となる。ま
た、カーボンファイバー16の繊維径及び繊維長は、上
記に限らず適宜変更可能であり、各値がVGCF14の
値よりも大きければ良く、特に繊維径を1000nmよ
りも大きくしたほうが好ましい。また、樹脂組成物13
中のVGCF14及びカーボンファイバー16の含有率
も上記の値に限定されるものではないが、VGCF14
及びカーボンファイバー16の含有率を多くしすぎると
樹脂組成物13の粘度が増加するので、樹脂組成物13
を射出成形する際に樹脂組成物13が型に完全に充填さ
れない可能性が生じる。
【0031】また、本実施例では、第1の微細炭素繊維
としてVGCF14を用いたが、微細な炭素繊維はこれ
に限るものではなく、例えばカーボンナノチューブまた
はカーボンナノファイバーとしても良い。また、熱可塑
性樹脂15はPPSに限らず、適宜変更可能であり、例
えばPA(ポリアミド)でも良い。また、VGCF14
及びカーボンファイバー16と熱可塑性樹脂15の混合
方法も溶融混練に限るものではなく、例えば二軸混練で
も良い。
【0032】また、第2の微細炭素繊維としてカーボン
ファイバーを用いたが、第2の微細炭素繊維はこれに限
るものではなく、第1の微細炭素繊維よりも繊維径が大
きければ良い。例えば、第1の微細炭素繊維をVGCF
よりも繊維径の小さなカーボンナノチューブとした場合
には、第2の微細炭素繊維としてVGCFを用いても良
い。
【0033】また、本実施例において、樹脂組成物13
は射出成形によって可動子11a、11bの形状に樹脂
成形されているが、樹脂組成物13の樹脂成形方法はこ
れに限らず、適宜変更可能である。また、樹脂組成物1
3は遅い射出速度で射出成形されるが、射出速度を速く
しても良い。ただし、射出速度を速くし過ぎると、樹脂
組成物13中のVGCF14及びカーボンファイバー1
6が配向してしまうので、各VGCF14及びカーボン
ファイバー16が互いに干渉し合う箇所が減少し、可動
子11a、11bの導電性が低下する可能性が生じる。
【0034】また、本実施例において、樹脂組成物13
を射出成形等の樹脂成形によって可動子11a、11b
の形状に加工したが、可動子11a、11bの加工方法
はこれに限らず適宜変更可能である。例えば、まず樹脂
組成物13を樹脂成形によって可動子の外面に凹凸形状
(凸部12)を設けない形状に成形しておき、続いて外
面の凸部12に該当しない箇所を例えばレーザー加工や
ダイシング加工等によって切削することにより、可動子
11a、11bの外面形状を成形しても良い。
【0035】次に、上記構成からなる本実施例の作用に
ついて説明する。なお、図6及び図7において、黒色に
塗り潰されている部位は正の電位Vを有することを意味
し、ハッチングが付されている部位は負の電位−Vを有
することを意味し、白抜きの部位は電位が0であること
を意味する。
【0036】まず、可動子11a及び可動子11bを連
動して動かす場合について、図6により説明する。ま
ず、導線19a、19bを介して電源ドライバ51によ
り可動子11a及び可動子11bを負の所定電位−Vに
帯電させる。なお各可動子11a、11bを連動して動
かす場合には、各可動子11a、11bを接地してその
電位を0としてもよい。なお、これ以降、可動子11a
及び可動子11bは同様の態様で動くため、可動子11
aの作用についてのみ説明する。可動子11bの作用は
図6に示される。なお、以下の説明のように、固定子電
極31a乃至34aの電位を+Vまたは−Vに切換える
場合には、可動子の電位を−Vとすることが必要であ
り、固定子電極の電位を+Vまたは0に切換える場合は
可動子の電位を0とする必要がある。
【0037】次いで、制御装置52により生成される所
定の電圧印加信号に基づき、電源ドライバ51によって
導線41乃至44を介して第1パターン31乃至第4電
極パターン34にパルス電圧が印加され、第1電極パタ
ーン31、第3電極パターン33、第2電極パターン3
2及び第4電極パターン34に順次パルス電圧が印加さ
れ、各電極パターンが順次正の所定電位Vに切換えられ
る。このようにした場合の可動子の作用を以下に説明す
る。
【0038】まず、上部固定子21aの電極パターン3
1が正の所定電位Vとなっている場合、可動子11aの
各凸部12は、図6(a)に示すように、電極パターン
31の固定子電極31aに吸着されている状態にある。
【0039】次に、上部固定子21aの第1電極パター
ン31の電位を可動子と同極、すなわち−Vに切換える
とともに、下部固定子21bの第3電極パターン33を
正の所定電位Vに切換える。ここで、静電気力は距離の
2乗に反比例する力である。このため、第3電極パター
ン33の各固定子電極33aには、最も近くに存在し、
かつ最も電位差のある物体、すなわち(可動子11a
の)凸部12が引き寄せられる。これにより、可動子1
1aは、図6(b)に示すように、図中右側下方に変位
する。
【0040】次に、下部固定子21bの第3電極パター
ン33の電位を−Vに切換えるとともに、上部固定子2
1aの第2電極パターン32を正の所定電位Vに切換え
る。これにより、上述した動作原理と同一の原理によ
り、可動子11aは、図6(c)に示すように、右側上
方に変位する。
【0041】以上のようにして、第1電極パターン3
1、第3電極パターン33、第2電極パターン32及び
第4電極パターン34の順に順次電位を負の所定電位−
Vから正の所定電位Vに切換えることにより、固定子1
1aは一対の可動子21a、21bの間を上下動しなが
ら光軸A方向(図6右方向)に移動していく。
【0042】なお、上述したように、可動子11bも、
可動子11aと同様に、一対の可動子21a、21bの
間を上下動しながら光軸A方向(図6右方向)に移動し
てゆく。
【0043】なお、各可動子11a、11bと逆極性の
電圧を各電極パターン31乃至34へ印加する順序を逆
にすれば、固定子11a、11bを逆方向(図6左方
向)へ移動させることができる。
【0044】次に、可動子11a及び可動子11bのい
ずれか一方のみを単独で動かし、他方を固定したままと
する場合の一例として、可動子11aを動かし、可動子
11bを固定したままとする方法について、図7により
説明する。
【0045】まず、導線19a、19bを介して電源ド
ライバ51により可動子11a及び可動子11bを負の
所定電位−Vに帯電させる。そして、可動子11aの電
位は負の所定電位−Vのまま維持する。
【0046】上述したように、第1電極パターン31、
第3電極パターン33、第2電極パターン32及び第4
電極パターン34の順に順次電位を負の所定電位−Vか
ら正の所定電位Vに切換えることにより、可動子11a
は一対の固定子21a、21bの間を上下動しながら光
軸A方向(図7右方向)に移動してゆく。
【0047】一方、可動子11bの電位は、各電極パタ
ーン31乃至34の電位変動に対応して切換えられる。
すなわち、可動子11bには導線19bを介して正また
は負の電圧が印加される。以下、このようにした場合の
可動子11bの作用を詳述する。
【0048】まず、図7(a)に示すように、第1電極
パターン31を正の所定電位Vとし、かつ可動子11b
を負の所定電位−Vとした場合、可動子11b(の凸部
12)は、第1電極パターン31の固定子電極31aに
吸着された状態にある。
【0049】次に、図7(b)に示すように、第3電極
パターン33が正の所定電位Vに切換えられた場合、こ
の切換えと連動して可動子11bの電位を正の所定電位
Vに切換える。すると、可動子11bと第1電極パター
ン31の固定子電極31aとの間には、依然電位差のあ
る状態が維持されるため、可動子11bの凸部12は、
引き続き固定子電極31aに吸着された状態を維持す
る。
【0050】次に、図7(c)に示すように、第2電極
パターン32が正の所定電位Vに切換えられた場合も、
可動子11bの各凸部12は、正対する固定子電極31
aとの間の電位差に起因して生じる静電気力により、引
き続き固定子電極31aに吸着された状態を維持する。
【0051】次に、図7(d)に示すように、第4電極
パターン34が正の所定電位Vに切換えられた場合、可
動子11b正対する固定子電極31aとの間の電位差に
起因して生じる静電気力により、引き続き固定子電極3
1aに吸着された状態を維持する。
【0052】以上説明したように、各電極パターン31
乃至34の電位を所定順序で切換えることと、可動子1
1a、11bの電位を適宜切換えることにより、可動子
11a、11bを互いに連動して、または一方のみを移
動させることができる。したがって、対物光学系を構成
する凹レンズ10a及び凸レンズ10bをそれぞれ備え
る静電アクチュエータ3の可動子11a、11bの絶対
的位置(固定子21a、21bに対する位置を意味す
る)及び相対的位置関係を調節することが可能となるた
め、ピント調節機能及びズーム機能(CCD4により取
得される画像の拡大及び縮小機能を意味する)を有する
静電アクチュエータ3を得ることが可能である。この場
合、レンズを駆動する駆動源は静電気力であるため、サ
イズが小さい場合でも十分な駆動力をもってレンズを駆
動することが可能である。したがって、本実施例によれ
ば、高性能かつコンパクトな静電アクチュエータ3、ひ
いては高性能かつコンパクトな光学装置1を得ることが
できる。
【0053】また、可動子11a、11bがVGCF1
4を含有する樹脂組成物13から形成され、導電性を有
するVGCF14が各可動子の全体、特にその外面に設
けられた複数の微細な凸部12にも均一に分散して配置
され、それぞれのVGCF14が多くの部分で互いに干
渉し合うので、小型であっても導電性が高く、かつ安価
な可動子11a、11bを得ることができる。
【0054】また、VGCF14の繊維径が略200n
mと微細であり、可動子11a、11bの外面に設けら
れる複数の凸部12の大きさ及びこれら複数の凸部12
の互いに隣り合う間隔(ピッチP)を微細に形成できる
ので、各可動子の一回の移動量を細かく設定可能とな
り、各可動子の動作の高精度化が図れる。
【0055】また、可動子11a、11bを樹脂成形に
よって製造することができるので、特に各可動子の外面
に形成される微細な凸部12を金属で製造する場合より
も容易に製造可能となり、大量生産に好適な加工性の良
い可動子11a、11bを得ることができる。
【0056】また、可動子11a、11bの凸部12を
レーザー加工やダイシング加工等の切削加工によっても
形成できるので、樹脂成形で製造する場合に生じる各可
動子、特に凸部12の収縮を低減でき、各可動子を樹脂
成形する場合よりも凸部12を高精度に製造可能とな
る。
【0057】上記のように、本実施例では、大量生産に
好適な樹脂成形と精度の高い切削加工という異なる製造
方法で可動子11a、11bを製造することができるの
で、各可動子に要求される特性に応じた製造方法を選択
可能となり、製造方法の自由度を向上できる。
【0058】また、可動子11a、11bを形成する樹
脂組成物13が、VGCF14に加えてVGCF14よ
りも繊維径が大きなカーボンファイバー16をさらに含
有しているので、各可動子がVGCF14のみで形成さ
れる場合よりも、可動子の剛性を増強でき、かつ複数の
凸部における摺動性を向上でき、さらに可動子を樹脂成
形した際に生じる可動子の収縮を低減できる。また、大
量生産が困難で、高価なVGCF14の含有量を少なく
できるので、樹脂組成物13を安価に製造することがで
きる。
【0059】なお、本実施例において、可動子の数は2
個に限定されるものではない。例えば、可動子の数を減
らして1つとしても良い。また、可動子の数を増やして
も良く、上記と同様にして各可動子を単独に、または連
動させて移動させることができる。
【0060】また、対物光学系を構成する光学素子は可
動子に取り付けられたものに限定されるものではなく、
動かない光学素子、例えば枠体20に固着された光学素
子を対物光学系に含ませてもよい。
【0061】また、樹脂組成物13を導電性樹脂組成物
として可動子11a、11bに適用したが、これに限ら
ず、高剛性、摺動性や放熱性を有する樹脂組成物として
例えば歯車等に適用するようにしても良い。
【0062】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物によれば、繊維径1
〜1000nmの第1の微細炭素繊維と、当該第1の微
細炭素繊維よりも繊維径の大きい第2の微細炭素繊維と
を含有するので、導電性を有する第1の微細炭素繊維が
樹脂組成物中に均一に分散して配置され、それぞれの微
細炭素繊維が多くの部分で互いに干渉し合い、導電性が
高い樹脂組成物を得ることができる。また、第1の微細
炭素繊維が繊維径1〜1000nmと微細であり、微細
な箇所にも第1の微細炭素繊維が均一に分散して配置さ
れるので、微細な箇所にも高い導電性を付与することが
できる。さらに、上記第1の微細炭素繊維よりも繊維径
が大きな第2の微細炭素繊維をさらに含有しているの
で、樹脂組成物が第1の微細炭素繊維のみで形成される
場合よりも、樹脂組成物の剛性を増強でき、かつ摺動性
を向上でき、また、高価な第1の微細炭素繊維の含有量
を少なくできるので、より安価な樹脂組成物を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂組成物が用いられた光学装置の断
面図。
【図2】図1の要部の拡大図。
【図3】図2のZ1方向及びZ2方向から見た平面図。
【図4】図2のV−V線断面図。
【図5】図2に示す可動子の内部構造を示す模式図。
【図6】図2に示す2つの可動子を連動して動かす場合
の固定子電極へのパルス電圧の印加パターンと可動子の
動きとの関係を示す図。
【図7】図2に示す2つの可動子を独立して動かす場合
の固定子電極及び可動子へのパルス電圧の印加パターン
と可動子の動きとの関係を示す図。
【符号の説明】
11a、11b 可動子 12 凸部 13 樹脂組成物 14 VGCF(第1の微
細炭素繊維) 16 カーボンファイバー
(第2の微細炭素繊維) 22a、22b 固定子 31a、32a、33a、34a 固定子電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 光一 千葉県習志野市茜浜一丁目1番1号 セイ コープレシジョン株式会社内 (72)発明者 ▲柳▼澤 茂 千葉県習志野市茜浜一丁目1番1号 セイ コープレシジョン株式会社内 Fターム(参考) 2H044 BE01 BE07 BE10 BE20 DB00 DC01 DE01 4G146 AA11 AB06 AC03A 4J002 AA011 CL001 CN011 DA016 FA046 GP00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維径1〜1000nmの第1の微細炭
    素繊維と、当該第1の微細炭素繊維よりも繊維径の大き
    い第2の微細炭素繊維とを含有することを特徴とする樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記第1の微細炭素
    繊維の含有率は、上記第2の微細炭素繊維の含有率より
    も多いことを特徴とする樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1において、上記第2の微細炭素
    繊維の含有率は、上記第1の微細炭素繊維の含有率より
    も多いことを特徴とする樹脂組成物。
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