JP2005104040A - インクジェットヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】薄膜圧電体を用いてノズル密度を上げるとともに、高粘度インク吐出に必要な発生圧力及び高い耐久性を確保する。
【解決手段】薄膜圧電素子の、圧力室の縁の周囲に対応する部分に対し、前記部分に前記薄膜圧電素子が存在しない形状にまたは前記部分に切れ込みを入れる、または前記部分に溝を加工すること、あるいは、前記部分に対し補強部材を設けること、あるいは、前記部分において歪みが緩和する方向に電圧印加する、または電界がかからないように、電極を配置するか分極を形成すること、のいずれか、あるいはこれらを任意に組み合わせた処理を行うことにより、前記部分における歪みを緩和する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インクジェットヘッドに係り、特に、圧力室の一部を振動板で構成し、振動板に設けられた圧電素子により振動板を変形させて、圧力室の容積を変化させることによりインク滴を吐出するインクジェットヘッドに関する。
インクジェットヘッドのノズルからインク(インク液滴)を吐出、飛翔させて、記録用紙等に付着させて画像を記録する、いわゆるインクジェット方式の画像記録を行うインクジェットプリンタが知られている。インクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)におけるインク吐出方式には、様々なものがある。例えば、圧電素子(圧電セラミックス)の変形によって圧力室の一部を構成する振動板を変形させて圧力室の容積を変化させ、圧力室の容積増大時にインク供給路から圧力室内にインクを導入し、圧力室の容積減少時に圧力室内のインクをノズルから液滴として吐出する圧電方式や、インクを加熱して気泡を発生させ、この気泡が成長する際の膨張エネルギーでインクを吐出させるサーマルインクジェット方式などが知られている。
インクジェットヘッドにおいても、写真プリントと同様の高画質の画像記録を行うことが望まれており、そのためには、ノズルから吐出するインク滴をより小さくし、ノズルを高密度化(高集積化)する必要がある。しかし、特にシングルパスヘッドの場合には、従来のバルク圧電体を用いていては、ノズルの高密度化を達成することはできず、どうしても薄膜圧電体を用いることが不可欠とされている。
それは、従来のバルク圧電体では、変位量が小さいため、十分な速度で十分な量のインクを吐出させようとすると、インクを吐出させるために圧力室からインクを排除する体積及び発生圧力を大きくしなければならず、各圧力室の面積(サイズ)が大きくなってしまうからである。そのため、従来のバルク圧電体を用いて、高画質、高速記録を行うために、ヘッド上に多くのノズルを形成しようとすると、サイズの大きな圧力室を並べなければならず、ノズル密度を上げることができずにヘッドサイズが大きくなり、ノズルメンテナンス系が大きくなり、最終的に装置サイズが大型化してしまう。
その結果、ヘッドを小型化するためには、薄膜圧電体を用いることが不可欠とされる。これに対して、圧電方式のインクジェットヘッドにおいて、薄膜圧電体を用いることにより、全体の厚み寸法や外径寸法を小型化し、ノズルを高密度化したものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
また、ここで全体を小型化してノズルを高密度化するとき、振動板や圧電素子等を単に薄膜化するだけでは、インクジェットヘッドの製造時において、振動板や圧電素子等にクラックが生じたり、膜剥離が発生したりするため、振動板や圧電素子等を薄膜化してインクジェットヘッドを小型化しつつ、振動板の圧力室に対応する部分を圧力室と反対側へ凸状に湾曲させることによって、振動板や圧電素子等にクラックが発生するのを抑制して生産性を向上させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2等参照)。
さらに、ノズルの高密度化を図るために全体を小型化すると、圧電素子等の変位量が小さくなり、インクの吐出量が少なくなってしまうため、薄膜圧電体の電極を複数に分割するか、あるいは圧電体の分極の向きが中央と周辺とで逆向きに分極するように形成することによって圧電素子等の変位量を大きくするようにしたものが知られている(例えば、特許文献3等参照)。
特開平9−104109号公報 特開2000−141643号公報 特開2003−8091号公報
しかしながら、圧電体を薄膜化した場合、圧電体にかかる応力にその薄膜が耐えられず、ヘッド寿命が短いという問題があった。さらに、高速記録を行うために定着性の良い機能性インクを用いる場合には、従来のインク以上にインク粘度が高い場合が多く、吐出のための大きな発生圧力が必要となり、前記従来の薄膜圧電素子を用いたインクジェットヘッドでは、圧電体の耐久性が確保できず、やはりヘッド寿命が短いという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、薄膜圧電体を用いてノズル密度を上げるとともに、高粘度インク吐出に必要な発生圧力を確保し、高い耐久性を有するインクジェットヘッドを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、これと所定間隔を有して対向する振動板と、前記ノズルプレート及び前記振動板の間に形成される圧力室と、前記振動板の前記圧力室と反対側に設けられた薄膜圧電素子を有して構成されるインクジェットヘッドであって、前記薄膜圧電素子の、前記圧力室の縁の周囲に対応する部分に対し、前記部分に前記薄膜圧電素子が存在しない形状にまたは前記部分に切れ込みを入れる、または前記部分に溝を加工すること、あるいは、前記部分に対し補強部材を設けること、あるいは、前記部分において歪みが緩和する方向に電圧印加する、または電界がかからないように、電極を配置するか分極を形成すること、のいずれか、あるいはこれらを任意に組み合わせた処理を行うことにより、前記部分における歪みを緩和したことを特徴とするインクジェットヘッドを提供する。
これにより、薄膜圧電素子が変形する際、応力が集中する部分である圧力室の縁に対応する部分おける薄膜圧電素子の歪みを緩和することができ、薄膜圧電素子を用いてノズル密度を上げるとともに、高粘度インク吐出に必要な発生圧力を確保し、耐久性を向上させることができる。
また同様に前記目的を達成するために、本発明の請求項2に記載の発明は、インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、これと所定間隔を有して対向する振動板と、前記ノズルプレート及び前記振動板の間に形成される圧力室と、前記振動板の前記圧力室と反対側に設けられた薄膜圧電素子を有して構成されるインクジェットヘッドであって、前記薄膜圧電素子の、前記圧力室の各頂点における頂角の2等分線の各頂点から所定長の線分に対応する部分に対して、前記部分に前記薄膜圧電素子が存在しない形状にまたは前記部分に切れ込みを入れる、または前記部分に溝を加工すること、あるいは、前記部分に対し補強部材を設けること、あるいは、前記部分において歪みが緩和する方向に電圧印加する、または電界がかからないように、電極を配置するか分極を形成すること、のいずれか、あるいはこれらを任意に組み合わせた処理を行うことにより、前記部分における歪みを緩和したことを特徴とするインクジェットヘッドを提供する。
これにより、薄膜圧電素子が変形する際、応力が集中するもう一方の部分である圧力室の各頂点からその頂角の2等分線に沿った部分における歪みが緩和され、薄膜圧電素子を用いてノズル密度を上げるとともに、高粘度インク吐出に必要な発生圧力を確保し、耐久性を向上させることができる。
また、同様に前記目的を達成するために、本発明の請求項3に記載の発明は、インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、これと所定間隔を有して対向する振動板と、前記ノズルプレート及び前記振動板の間に形成される圧力室と、前記振動板の前記圧力室と反対側に設けられた薄膜圧電素子を有して構成されるインクジェットヘッドであって、前記薄膜圧電素子の、前記圧力室の縁の周囲に対応する部分、及び前記圧力室の各頂点における頂角の2等分線の各頂点から所定長の線分に対応する部分に対して、前記部分に前記薄膜圧電素子が存在しない形状にまたは前記部分に切れ込みを入れる、または前記部分に溝を加工すること、あるいは、前記部分に対し補強部材を設けること、あるいは、前記部分において歪みが緩和する方向に電圧印加する、または電界がかからないように、電極を配置するか分極を形成すること、のいずれか、あるいはこれらを任意に組み合わせた処理を行うことにより、前記部分における歪みを緩和したことを特徴とするインクジェットヘッドを提供する。
これにより、薄膜圧電素子が変形する際の、応力集中部分における歪みを緩和し、薄膜圧電素子を用いてノズル密度を上げるとともに、高粘度インク吐出に必要な発生圧力を確保し、耐久性を向上させることが可能となる。
以上説明したように、本発明に係るインクジェットヘッドは、薄膜圧電素子を用いたインクジェットヘッドにおいてノズル密度を上げつつ、高粘度インク吐出に必要な発生圧力を確保し、薄膜圧電素子の応力集中を緩和することで耐久性を向上させることが可能となる。
以下、添付図面に従って本発明に係るインクジェットヘッドについて詳細に説明する。
図1は、本発明のインクジェットヘッドの一実施形態の概略を示す平面図であり、図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。これらの図に示すように、本実施形態のイン
クジェットヘッド10は、ノズルプレート12と、これと所定間隔を隔てて略平行に配置される振動板14と、これらノズルプレート12及び振動板14によって上下面が形成され、インク流路プレート16によって側壁18が形成された圧力室20と、振動板14の圧力室20と反対側に形成され、振動板14を変形させてインクを吐出する圧力を発生させる薄膜の圧電素子22とを有して構成される。
また、圧電素子22を駆動するために、振動板14の圧電素子22側に下部共通電極24が、また圧電素子22の振動板14とは反対側に上部個別電極26が形成されている。さらに、図示を省略するが、インクを吐出するためのノズルがノズルプレート12に設けられるとともに、インクを圧力室20に供給するためのインク供給路がインク流路プレート16に設けられている。なお、図1にその平面図を示すように、圧力室20は略正方形をなしている。
圧力室20には図示しないインク供給路を通じてインクが充填されており、下部共通電極24及び上部個別電極26に電圧を印加すると、図2の圧電素子22中に矢印で示すように、圧電素子22の面方向(横方向)に圧縮応力が生じ、これにより、図3に示すように、圧電素子22は圧力室20側に湾曲し、これによって振動板14も圧電素子22と同様に圧力室20側に湾曲する。その結果、圧力室20内の容積が減少し、圧力室20内のインクがノズルを介して外へ吐出される。
下部共通電極24及び上部個別電極26への電圧印加をやめると圧電素子22及び振動板14は元の位置に戻り、圧力室20内の容積は増加し、その分インク供給路から圧力室20内にインクが補充される。
インクジェットヘッド10は、圧電素子22がこのような動作を繰り返すことによって画像記録を行う。そのため、図3に符号20aで示すとともに図1に同じ符号の破線20aで示す、固定部分と駆動部分との境界である圧力室20の縁20aに沿った部分に対応する部分に圧電素子22が存在すると、応力が集中する。また、図3のように圧電素子22及び振動板14が圧力室20側に湾曲しているとき、図1からわかるように圧電素子22及び振動板14は、圧力室20の中心部分が凹んでいる。そのため、上記の他に、圧力室20の各頂点20bにおける各頂角の2等分線20cに沿った部分に対応する部分においても圧電素子22が存在すると、応力が集中する。本実施形態の圧電素子22は薄膜で形成されており、特にその応力集中部における耐久性が問題となる。
そこで、本実施形態のインクジェットヘッド10においては、図1に示すように、圧電素子22が変形する際応力が集中する部分である、圧力室20の縁20aに対応する部分及び各頂点20bの頂角の2等分線20cに対応する部分について圧電素子22を除去または、その部分に圧電素子が形成されないようにしている。図2では、圧電素子22の圧力室20の縁20aに対応する部分23が除去されている様子が示されている。このとき、図1に示すように、2等分線20cに対応する部分については、隣の頂点における頂角の2等分線との交点20dまでの4分の1好ましくは半分程度の長さまで切れ込み22aを入れるようにしている。
なお、このように圧力室20の直上に形成された薄膜圧電素子22の応力集中部分を除去加工するには、例えばサンドブラストやエッチング、あるいはイオンミリング等の方法で加工すればよい。
このように、本実施形態では、変形時に圧電素子22に応力が集中する部分を除去し、切れ込みを入れるようにしたため、その部分における歪みが緩和され、圧電素子22の耐久性の向上を図ることが可能となる。
図4に、他の形状の圧力室の例を示す。図4の圧力室120は、細長い長方形状をしている。この場合においても、振動板144上に形成される圧電素子122を、圧力室120の縁120aに沿った部分に対応する部分を除去するとともに、圧力室120の各頂点120bの頂角の2等分線120cの、隣の頂点の頂角の2等分線との交点120dまでの4分の1好ましくは半分程度までに対応する部分に切れ込み122aを入れることにより、応力集中部分を回避し、その部分における歪みを緩和するようにする。
また、圧電素子22の応力集中部分の回避する際の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、図5はまた図1と同じ正方形状の圧力室20であるが、図5に示すように、圧力室20の縁20aに対応する部分の圧電素子22を除去するとともに、各頂点20bの頂角の2等分線20c(この場合には、圧力室20は正方形なので、2等分線は対角線となる)に沿って反対側の頂点まで切れ込みを入れ、2等分線20c上を完全に除去してしまい、圧電素子22を三角形状の4つの部分に分割してしまってもよい。
以上述べたように応力集中部分を回避するような形状に圧電素子22を形成する場合、その上に形成される上部個別電極26も圧電素子22と同じ形状に形成される。なお、このとき、圧電素子22の形状は圧力室20と略同じにして、上部個別電極26のみを、図1、図4あるいは図5に示したような形状に形成するようにしてもよい。このようにしても圧電素子22上に上部個別電極26が存在する部分のみが変形するため、上述したように応力集中を回避することができる。
今まで述べた例では、圧電素子22(122)の応力集中部分を除去あるいは切れ込み22a(122a)を加工していたが、必ずしも応力集中部分を完全に取り去る必要はなく、例えば、図6に示すように、応力集中部分を削って溝22bを設けるようにしてもよい。図6は、図2に対応する断面図であり、図2では、圧力室20の縁20aに対応する部分23は完全に除去されていたが、図6では、一部を削り取り溝22bを形成して一部は残すようにしている。
今まで説明した例における圧電素子22(122)は、各圧力室20(120)に対してそれぞれ個別に振動板14(144)上に形成されていたが、圧電素子22(122)を形成する方法は、このようなものに限定されるものではない。
ここで圧力室(ノズル)を2次元的に配置したマトリクス・ヘッドについて説明する。
図7(a)は、圧力室を2次元的に配置したインクジェットヘッド50(詳しくは、各インク色毎に設けられている各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yによって構成されるが、その構造は共通なので符号50で代表させることとする。)の構造例を示す平面図であり、図7(b)は、その一部の拡大図である。記録紙面上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、インクジェットヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のインクジェットヘッド50は、図7(a)に示すように、インク滴が吐出するノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥で2次元的(マトリクス状)に配置させた構造を有し、これにより見かけ上のノズルピッチの高密度化を達成している。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。各圧力室52は供給口54を介して図示しない共通流路と連通されている。
図示は省略するが、圧力室52の天面を構成している振動板(加圧板)には上部(個別)電極を備えた圧電素子(圧電アクチュエータ)が接合されており、上部電極に駆動電圧を印加することによって圧電素子が変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
このような構造を有する多数のインク室ユニット53を図8に示すように、主走査方向(用紙搬送方向に直交する方向、すなわち用紙の幅方向)に沿う行方向、及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に配列させた構造になっている。主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd×cos θとなる。
すなわち、主走査方向については、各ノズル51(51−11、51−12、51−13、51−14、51−15、51−16、・・・) が一定のピッチPで単一直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度の単ラインノズル配列を実現することが可能になる。以下、説明の便宜上、ヘッドの長手方向(主走査方向)に沿って各ノズル51が一定の間隔(ピッチP)で直線状に配列されているものとして説明する。
なお、用紙の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向、前述したように図8に示す主走査方向)に1ライン又は1個の帯状を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図8に示すような2次元(マトリクス)状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル51−11 、51−12 、51−13 、51−14 、51−15 、51−16 を1つのブロックとし(他にはノズル51−21 、・・・、51−26 を1つのブロック、ノズル51−31 、・・・、51−36 を1つのブロック、・・・として)用紙の搬送速度に応じてノズル51−11 、51−12 、・・・ 、51−16 を順次駆動することで用紙の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン又は1個の帯状の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
次に、圧電素子を、各圧力室に対してそれぞれ形成するのではなく、1枚のプレートから形成する方法につて説明する。
例えば、図9に示すように、振動板30上に圧電素子32を1枚のプレートとして形成し、千鳥状にマトリクス状に配置された各圧力室34の位置に合わせて上部個別電極36を形成するようにしてもよい。このとき、X−X線に沿った断面図を図10に示す。
図10に示すように、圧電素子32は1枚のプレートでつながっており、各圧力室34に対応して圧電素子32の上側に上部個別電極36が形成され、これによって各個別の圧力室34に対して圧電素子32が加圧するようになっている。このとき、変形する圧電素子32の応力集中部分である、圧力室34の縁34aに対応する部分に溝32aを形成するようにする。
これにより、応力集中部における圧電素子32の歪みを低減し、圧電素子32の耐久性を向上させることができる。なお、このとき形成される溝32aの深さは特に限定されるものではなく、例えば、図11に示すように、完全に振動板30(下部電極)まで貫通した貫通孔32bとしてもよい。また、必ずしも貫通せずとも、圧力室34の縁34aに対応する部分に溝32aを形成することで、隣の圧力室34に対応する圧電素子32への影響を抑え、クロストークを防止することもできる。さらに、溝32aを形成することで圧電素子32の変位量を増大させることもできる。
なお、このように1枚のプレートから圧電素子32に対し、圧力室34の縁34aの周囲に対応する部分を切り取る方法としては様々な方法が存在する。例えば、圧電体を焼成してバルク圧電体の塊を得て、これを所望の厚みに研磨した後、電極をスパッタリング等で密着取り付けした後に、振動板に接合し貼り付ける方法や、薄いグリーンシートを焼成して、その両面に電極を取り付けた後に、振動板に貼り付ける方法等がある。
あるいは、薄い圧電体膜を基板上にスパッタリングやゾルゲル法、エアロゾルデポジション法により形成するなどの方法を用いれば、ヘッド全体に渡って各圧力室にまたがって圧電体を取り付けることができる。この状態からマスクを使用して化学的または物理的なエッチング方法により圧力室の位置に個別アクチュエータを形成することが可能である。
なお、振動板上に圧電体を形成する前に圧力室の形状に従ってマスキングを行い、圧電体が形成される領域を規定しておく方法もある。いずれの場合にも、最終的に圧力室毎に圧電体が形成されることに変わりはない。
また、圧力室毎に取り付けられる圧電体の応力が集中すると想定される箇所を削る方法としては、例えば、圧力室の周囲を削る場合は、上記圧電体形成方法のマスキング工程を用いてその箇所を含めて削り取る加工を施せばよい。従って、圧力室の縁(全周)を削る場合は圧力室のサイズよりも小さい領域に圧電体が形成されるように圧力室の縁よりも圧力室中央側に圧電体の縁または溝の縁が形成されることになる。溝部分はハーフエッチングを施すことで実現可能である。
また、圧力室の頂点(角)から頂角の2等分線に沿って切り込みや溝を入れる場合は、さらに角を回避するように圧電体の縁または溝の縁が形成されることになる。
以上説明した例では、圧電素子の応力集中部分を除去したり溝を加工したりしたが、耐久性を向上させるには、この他、応力集中部分の歪みを緩和するために圧電素子あるいはその上に形成された上部電極上にダミーの圧電体あるいは樹脂層を設けて補強するようにしてもよい。
例えば、図12(a)に示すように、応力集中部分の形状に合わせてその部分を補強するように、補強用セラミックスあるいは樹脂等で形成された補強板40を、図12(b)に示すように、圧電素子22上に貼り付けるようにしてもよい。これにより、応力集中部分における歪みが緩和され耐久性の向上を図ることができる。
また、応力集中部分を除去し、あるいは応力集中部分に溝を形成したり、応力集中部分を補強したりすることの他に、薄膜圧電素子に生じる応力を直接緩和する方法を施してもよい。例えば、薄膜圧電素子に対して、応力集中部分において、応力を緩和する方向に電圧が印加されるように、あるいは電界がかからないように、電極を配置したり、分極を予め形成するようにしてもよい。
このようにすれば、応力集中部分で発生する応力を直接緩和できるため耐久性を向上させることが可能となる。
また、以上説明した、応力集中部分の除去、溝加工、補強材の貼り付け、電極配置による応力緩和等の方法のいずれかを単独で行うのではなく、これらを任意に組み合わせて行うことにより、いっそうの耐久性向上の効果を上げることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、圧電アクチュエータの応力集中が緩和され、その部分での歪みが減少されるため、この部分から圧電素子にクラックが生じて故障する心配がなく、薄膜圧電素子を大振幅または大発生圧力で使用してもその耐久性が損なわれることはなく、シングルパスヘッドに対する適性及び機能性インクの使用に対する適性も十分に有するとともに、耐久性を大いに向上させることが可能となる。
以上、本発明のインクジェットヘッドについて詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
本発明のインクジェットヘッドの一実施形態の概略を示す平面図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。 図2において圧電素子及び振動板が変形した様子を示す断面図である。 本発明の実施形態の他の形状の圧力室を有するインクジェットヘッドを示す平面図である。 図1に対し他の形状の圧電素子を示す平面図である。 図2に対し、他の形状の圧電素子を示す断面図である。 (a)は、印字ヘッド(インクジェットヘッド)の構造例を示す平面図であり、(b)は、その一部の拡大図である。 図7に示した印字ヘッドのノズル配列を示す拡大図である。 本発明の実施形態の他のインクジェットヘッドを示す平面図である。 図9のX −X 線に沿った断面図である。 図10と同様の他の圧電素子の様子を示す断面図である。 (a)は応力集中部分の補強部材を示す平面図であり、(b)はその補強部材を圧電素子上に貼り付けた様子を示す平面図である。
符号の説明
10…インクジェットヘッド、12…ノズルプレート、14…振動板、16…インク流路プレート、18…側壁、20…圧力室、20a…縁、20b…頂点、20c…頂角の2等分線、20d…交点、22…圧電素子、22a…切れ込み、22b…溝、24…下部共通電極、26…上部個別電極

Claims (3)

  1. インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、これと所定間隔を有して対向する振動板と、前記ノズルプレート及び前記振動板の間に形成される圧力室と、前記振動板の前記圧力室と反対側に設けられた薄膜圧電素子を有して構成されるインクジェットヘッドであって、
    前記薄膜圧電素子の、前記圧力室の縁の周囲に対応する部分に対し、前記部分に前記薄膜圧電素子が存在しない形状にまたは前記部分に切れ込みを入れる、または前記部分に溝を加工すること、あるいは、前記部分に対し補強部材を設けること、あるいは、前記部分において歪みが緩和する方向に電圧印加する、または電界がかからないように、電極を配置するか分極を形成すること、のいずれか、あるいはこれらを任意に組み合わせた処理を行うことにより、前記部分における歪みを緩和したことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、これと所定間隔を有して対向する振動板と、前記ノズルプレート及び前記振動板の間に形成される圧力室と、前記振動板の前記圧力室と反対側に設けられた薄膜圧電素子を有して構成されるインクジェットヘッドであって、
    前記薄膜圧電素子の、前記圧力室の各頂点における頂角の2等分線の各頂点から所定長の線分に対応する部分に対して、前記部分に前記薄膜圧電素子が存在しない形状にまたは前記部分に切れ込みを入れる、または前記部分に溝を加工すること、あるいは、前記部分に対し補強部材を設けること、あるいは、前記部分において歪みが緩和する方向に電圧印加する、または電界がかからないように、電極を配置するか分極を形成すること、のいずれか、あるいはこれらを任意に組み合わせた処理を行うことにより、前記部分における歪みを緩和したことを特徴とするインクジェットヘッド。
  3. インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、これと所定間隔を有して対向する振動板と、前記ノズルプレート及び前記振動板の間に形成される圧力室と、前記振動板の前記圧力室と反対側に設けられた薄膜圧電素子を有して構成されるインクジェットヘッドであって、
    前記薄膜圧電素子の、前記圧力室の縁の周囲に対応する部分、及び前記圧力室の各頂点における頂角の2等分線の各頂点から所定長の線分に対応する部分に対して、前記部分に前記薄膜圧電素子が存在しない形状にまたは前記部分に切れ込みを入れる、または前記部分に溝を加工すること、あるいは、前記部分に対し補強部材を設けること、あるいは、前記部分において歪みが緩和する方向に電圧印加する、または電界がかからないように、電極を配置するか分極を形成すること、のいずれか、あるいはこれらを任意に組み合わせた処理を行うことにより、前記部分における歪みを緩和したことを特徴とするインクジェットヘッド。
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