JP2005103691A - 多関節型アーク溶接ロボットの手首揺動機構 - Google Patents

多関節型アーク溶接ロボットの手首揺動機構 Download PDF

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Abstract

【課題】 回転と揺動が入り混じる手首部の複雑な運動に基づく不可避なトーチケーブルの曲がりに対して、上アームに内配されたケーブル内を移動する溶接ワイヤの曲げや捩れの発生を抑制し、その送給の安定と耐久性の向上を図って高い溶接品質を達成できるようにする。また、ロボットの動作範囲の拡大をも可能にする。
【解決手段】 上アームに対してその先端部で手首部を揺動させる機構は、中折れ動作が可能となるように二以上のリンク14,15からなる連接体16としておく。上アームから出たトーチケーブル7がリンク連接体16を通過して溶接用トーチに向かう際、そのケーブルの曲がりが各リンクに沿って緩やかに曲がるようにして、トーチケーブル7に内装されたワイヤコンジット内を移動する溶接ワイヤを溶接用トーチに円滑に送給できる構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は多関節型アーク溶接ロボットの手首揺動機構に係り、詳しくは、溶接用トーチの姿勢を変化させても、アーク溶接のための溶接ワイヤを送給するトーチケーブルの動きが抑えられてケーブル自体の損耗を抑制できると共に、溶接ワイヤの送給速度の安定性向上による高い溶接品質の確保と、ロボットの動作範囲の拡大をも可能にした多関節形のアーク溶接ロボットに関するものである。
消耗電極である溶接ワイヤをワイヤリール等から繰り出させ、これを溶接用トーチへ送給して電気エネルギで溶融し連続的に溶接するアーク溶接ロボットでは、溶接ワイヤの送りを挾圧ロールにより制御するワイヤ送給装置がロボット本体に搭載される。このようなロボットは例えば特開2002−59265によっても既にによく知られたものとなっている。
図5は、本出願人が特願2003−102029において提案した多関節ロボットの一例である。この図をもとに、従来から使用されてきている6軸アーク溶接ロボットの構成の概略を述べる。第1軸から第6軸までの6つの関節31〜36があり、それぞれが矢印で示したように回転したり傾動もしくは揺動することにより、手首部に装着された溶接用トーチ3の位置や姿勢が教示データに従って変えられる。
このようなロボットの場合、溶接ワイヤ送給装置9は下アーム37に対して傾動すると共にそれ自体の軸線回りに回転する上アーム2の非回転部2Aに搭載される。この図5において、ワイヤリール38からワイヤ送給装置9までと溶接ワイヤ送給装置から溶接用トーチ3までとは、それぞれケーブルによって接続されるが、溶接ワイヤ送給装置以降は、溶接ワイヤだけでなく溶接のための電力の供給やシールドガスの送気をも可能にした多重構造となっている。
その断面構造についての説明は割愛するが、多重層をなすトーチケーブルは曲折させにくく、従って溶接用トーチが動くときのひきつれを少なくしておくために、従前は図5とは異なり、長さに余裕を持たせて弛ませていた。すなわち、ケーブルの変形を可能にするため溶接ワイヤ送給装置9から溶接用トーチ3までもアーム外空間に位置させる外配構造とされ、溶接用トーチが俯仰するなどしてもケーブルのその都度の複雑な変形をある程度許容させることができるようにしていた。このようなことは、例えば特開2003−200376の従来技術の項にも紹介されている。
外配ケーブルは溶接用トーチの位置や姿勢によって種々な形をとるが、ロボットが他のロボットと協調動作していたり周囲に複雑な形の治具が配備されていたり、また箱ものの内側を溶接する場合には、ケーブルの挙動は溶接作業に直接影響を及ぼす。典型的には、外配トーチケーブルがワークや周囲の装置、治具等と接触したりひっかかったりする。トーチケーブルの曲がりが激しくなればその中の溶接ワイヤの送りに安定を欠き、溶接品質にばらつきをきたす。もちろん、ケーブルが繰り返す屈曲動作はその損耗をも早める。
ましてや、ケーブル内での通路抵抗が増し、例えば溶接ワイヤにブレが出たりひっかかりが生じると、それが僅かであっても送給速度を乱してコンタクトチップからの送出量に変動をきたす。これでは一様なビードの形成は果たし得なくなる。
溶接用トーチの動きはトーチケーブルの変形可能な範囲に限られることは言うまでもないが、トーチの動きにつれてケーブルが上アームに当たったりひっかかったりすれば、一筆書き的な溶接を行おうとしても中断せざるを得なくなる。溶接用トーチを一旦退避させて動作可能空間を変えるとなると作業に不連続が生じる。溶接時間が増大することはもちろんのこと、溶接ビードの連続性も得られなくなる。ティーチングの場合も、このような不便さは何ら変わりがない。
幾つかの関節部をたどってケーブルをロボットアーム内に這わせ、外配ケーブルの挙動による問題を解決しようとする試みは、特開昭62−44390号公報に見られるように古くからのテーマとなっている。上で触れた図5においては、詳しく述べないが、減速機の機構や給電ドラムの機構に工夫を施すことによって、トーチケーブル39を上アーム2の軸芯部に沿って配置することを実現した。その結果、溶接用トーチ3を図のような姿勢にすべく揺動軸35(第5軸)を中心にして揺動リンク40(これは、下端にトーチを回転もしくは旋回させる第6軸を備える)を垂直にしても、トーチケーブル39の変形は最少限の弧を描くにとどまる。
ところで、先に触れた特開2003−200376においては、図6に示すように、揺動リンク40を先端部で吊下させている上アームに相当した部材2Bを矢印41方向に回転させても、トーチケーブル39が回転軸線42から大きく逸脱しないようにしておくため、回転軸線上に開口させた通過口43からケーブルを引き出して揺動軸35に向かわせるようにしている。ケーブルの余分な弛みは存在しなくなるため、ワイヤ送給時の摩擦抵抗は少なくなり、ケーブルの弛み量を確保した従前の例において生じた大きな曲げ部でのワイヤの削り粉の発生や移動ブレも大幅に低減される。
しかし、依然としてロボットの挙動に応じて、その都度ケーブルの曲げが伴うことは避けられない。上記の溶接用トーチ3を支持する揺動リンク40においては、その下端部でトーチケーブル39を保持している関係上、図6に示されるように、揺動軸35の近傍で弧を描くケーブルは、その揺動軸の上流側(反溶接用トーチ側)で緩やかといえS字状の波を打つ。この現象は揺動リンク40の上アーム2に対する揺動角が大きくなった場合、さらに顕著となる。なお、図6の機構においては、上アームが平行して対面する二つの部材で構成され、トーチケーブル39の上下変位を予め許容する配慮が払われているのは、ケーブルの曲がりが一筋縄では片づかないことを如実に物語っていると言える。
特開2002−059265 特開2003−200376 特開昭62−44390号公報
上記したようにトーチケーブルを上アーム内に収めてケーブルの全体的な大きい変形が生じないようにしても、ケーブルが短くなれば屈曲するのは特定の箇所、例えば手首部を上アームに対して角度を与える揺動リンクの揺動軸およびその近傍に集中する。内配により曲げが少々緩やかになったとはいえ、ケーブルの更なる緩やかかつ単純な変形の実現が望まれる。もちろん、ロボットの動作によって生じるケーブルの二次的な挙動、すなわちケーブル自体の緊張誘発の抑制も図られるべきである。
結局は、ケーブルへの負担を軽減して、溶接用トーチの姿勢の変化量やとらせるべき位置さらには移動速度に制限を課すにしても、トーチケーブルに基因した動作上のスペックダウンを可及的に少なくすることは、アーク溶接ロボットにおける命題ともいうべきものである。
溶接品質が高く要求される今日、溶接ワイヤの送りの安定性確保はますます重要な課題となる。トーチケーブルを空洞部に収めるなどして変形を抑制しておく場合、内部を進行する溶接ワイヤに加わる抵抗は曲げが強く発生する部分で大きくなる。ましてや上アームの回転によって捩じりも加われば、溶接ワイヤの挙動の複雑化を招来し、ワイヤの送給をより一層不安定かつ複雑なものにする。溶接ワイヤがアルミ等の軟質である場合には、曲がり部において生じる磨耗が激しく、また削り粉を発生させやすいゆえ、その抑制もおおいに望まれるところである。
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、その目的は、トーチケーブルを上アームに内配しても回転と揺動が入り混じる手首部の複雑な運動に基づく不可避なケーブルの曲がりに対して、トーチケーブル内を移動する溶接ワイヤの曲げや捩れの発生を抑制し、その送給の安定と耐久性の向上を図って高い溶接品質を達成できるようにすること、ロボットの動作仕様を低下させることなく広い運動領域と高い運動性を持たせることができるようにした多関節型アーク溶接ロボットの手首揺動機構を提供することである。
本発明は、溶接用トーチを回転もしくは旋回させる回転軸が先端部に備えられた手首部を複数の関節の動きによって変位させ、下アームに軸支されて上下に傾動する上アーム内を縦通したトーチケーブルが溶接用トーチまで導かれている多関節型アーク溶接ロボットに適用される。その特徴とするところは、図1および図2を参照して、上アーム2に対してその先端部で手首部を揺動させる機構は、中折れ動作が可能となるように二以上のリンク14,15からなる連接体16であり、上アーム2から出たトーチケーブル7がリンク連接体16を通過して溶接用トーチ3に向かう際そのケーブルの曲がりが各リンクに沿って緩やかに曲がるようにして、トーチケーブル7内で送給される溶接ワイヤ8を溶接用トーチ3へ円滑に送給できるようにしたことである。
図3に示すように、リンク連接体16を各リンクに軸承させたギヤ21,22でもって駆動し、その回動によってリンク連接体16を中折れ動作させるようにしておく。なお、ギヤに代えてプーリ(図示せず)を取りつけ、これに伝動ベルトを掛けて駆動するようにしてもよい。いずれの場合も、駆動速度比を1としておく。
リンク連接体16のすべてのリンク(図1では符号14と15、図4では符号24,25,26)が、一つのモータによって駆動されるようにしておくとよい。
本発明によれば、手首部を揺動させる機構は中折れ動作が可能となる二以上のリンクからなる連接体となっているので、揺動軸近傍を通過して溶接用トーチに向かうトーチケーブルの曲がりを各リンクに沿った緩やかなものにすることができる。曲がりがあるにしても揺動軸の手前でS字状の変形を呈することは可及的に抑えられ、従って、ケーブル内のワイヤコンジットを介して送給される溶接ワイヤの変形も最低限にとどまり、ケーブルの耐久性向上も図られる。ロボットの動きに伴うケーブルの二次的な挙動が抑えられ、送給速度の安定を促し、溶接品質の向上に寄与する。ケーブルのひきつれも少なくなり、各関節の動きが大きくなり、ロボットの動作範囲も拡大される。
各リンクに軸承されたギヤを噛合させてリンク連接体を駆動するようにしておけば、伝動機構は簡素なものとなる。プーリに伝動ベルトを張架して駆動するようにした場合は、軸間距離に制約を与えることが少なくなり、リンク長さの選定幅を大きくすることができる。
リンク連接体の駆動速度比を1としておけば各リンクの回動量が同じとなり、トーチケーブルは一定半径の弧を描きやすくなって無理の少ない曲がりが誘導される。
リンク連接体のすべてのリンクを一つのモータによって駆動すれば、全リンクが一つのモータの動きに支配され、実質的に軸(関節)数が増えてもロボットに搭載されるモータの増加を抑えることができる。それゆえ、駆動系における制御の複雑さの増大は回避される。
以下に、実施の形態を表した図面を基にして、本発明に係る多関節型アーク溶接ロボットの手首揺動機構を詳細に説明する。図2の(a)は本発明が適用されるアーク溶接ロボット1の平面図であり、(b)は側面図である。いずれも、上アーム2から溶接用トーチ3に至るまでの内部構造がある程度見えるように描かれている。
このアーク溶接ロボット1は、従来技術のところで述べた図5と、本発明に係る部分を除けば実質的に同じ構造である。すなわち、幾つもの関節が備わっており、それぞれにおける回転や傾動等の動作は変わるところがない。このアーク溶接ロボットにおける主要な軸のうち、第4軸は上アーム2を長手方向軸線回りに回転させる回転作用部4であり、第5軸は手首部を上アーム2の先端部において揺動させる揺動作用部5である。この第5軸は、後述するごとく二つの揺動軸5A,5Bから構成されるリンク連接体となっている。第6軸は溶接用トーチ3を装備して回転もしくは旋回させる手首作用部6であり、実質的に第7軸として作用する。
いずれの関節も、その軸には減速機を介したモータが装備され、図示しないロボットコントローラからの指令を受けて駆動される。アーク溶接のためには溶接ワイヤ、溶接のための電力、シールドガスが必要であり、関節を駆動するモータの動力線とは独立してトーチケーブル7がロボットに配備される。このケーブルは図示しないが多層構造となっていて、溶接ワイヤ、電力、シールドガスの供給をすべく三重の通路等が形成される。それゆえ、このケーブルの柔軟性は低く、曲げのみならず捩じりも作用すれば、その変形が局部的に吸収されることは期待しがたく、大なり小なり前後に影響を及ぼす。
もう少し詳しく述べれば、トーチケーブルは、その中心に溶接ワイヤが通過し、その前進をガイドすると共に疵がつかないように保護するコイルライナがワイヤコンジットとして存在する。その外周部にはシールドガスが流れ、これがガスホースによって溶接用トーチまで導かれるようになっている。そのホースの外に導電線がリング状に配され、いずれもが略同心状をなすように纏められて被覆が施されている。
上記したトーチケーブル7に溶接ワイヤ8を送る溶接ワイヤ送給装置9は上アーム2に搭載されている。この送給装置は上アーム2の長手方向に延びる軸線の延長線上に設置され、溶接ワイヤ8の上アーム通過に際してできるだけ曲折を伴わないようにする配慮となっている。このワイヤ送給装置9の下流側においては、溶接のための電力を供給する外配パワーケーブル10やシールドガスを供給する外配ガスホース11が、上アーム2の基部側面または下面から導入されている。
ちなみに、回転作用部4における減速機、すなわち第4軸を駆動するハーモニック減速機12の軸芯が中空となっている。これによってトーチケーブル7が上アーム2の軸線上に位置させることができるが、そのケーブルに外配パワーケーブル10からの電力や外配ガスホース11からのシールドガスを流入させるのは、減速機12の上流側に設けた詳しくは説明しないロータリ式通路機構13を介するなどして行われる。
揺動作用部5は上アーム2に対してその先端部で手首部を揺動させるものであるが、従来どおりの揺動リンク14(図5や図6での符号40のリンクに相当)だけでなく、そのリンク14と上アーム2との間に追加されたもう一つのリンク15も揺動させるようにしている。本発明においては、これらの第一リンク14と第二リンク15でもってリンク連接体16を構成しており、これが揺動第1軸5Aで中折れ動作できるようになっている。その駆動機構の一例は後述するが、このリンク連接体16を片持ち構造としておけば、トーチケーブル7を片持ち部残余空間17を利して通過させ、揺動第1軸5Aや揺動第2軸5Bとの干渉が容易に避けられる。
中折れ可能なリンク連接体16によれば、トーチケーブル7の曲がり角は図1に示したように緩やかなものとなる。この例は第一リンク14と第二リンク15の揺動角が同じである場合を示し、溶接用トーチ(図示せず)の本体が垂直となるようにするため第二リンク15を45度、第一リンク14も第二リンク15に対して45度傾けた状態にある。黒くて太いケーブル7は緩やかな曲がりを呈しており、その曲率半径としてほぼR2 が与えられる。
図1には、比較のために揺動リンク40(図5の符号40と同じもの)のみの揺動機構も描かれている。破線で示されたケーブル39はその曲がりが急激であり、R2 よりも遙に小さいR11の曲率半径となっている。ケーブル39は上流側で少しS字状となっているが、リンク連接体16を通過するケーブル7にはそのような逆曲げが現れていない。ちなみに、いずれのケーブルも、リンクが上アーム2の延長線上に位置したときに遊びのないケーブル長さとして描かれている(図中のL2 ,L11を参照)。図中に示したEは溶接用トーチの位置が異なることを示しているが、このEは第2軸ないし第3軸(図5における符号32および33)の回動量を違えれば簡単に吸収できるものであり、とり立てて問題となるものでない。
二つのリンクからなる連接体16があれば、上アーム2から出たトーチケーブル7がリンク連接体を通過して溶接用トーチに向かう際、そのケーブルの曲がりが各リンクに沿って緩やかに曲がるようになり、トーチケーブルに内装されたワイヤコンジット内の溶接ワイヤをトーチに円滑に送給する。トーチケーブルの無用な動きが少なくなるゆえ、ロボットの動作範囲は大きくなる。
さらに言えば、ケーブルの変形に対して溶接ワイヤを不感状態に置きやすくもなるので溶接ワイヤのブレは可及的に抑えられ、またトーチケーブルの耐用期間も延ばすことができる。溶接用トーチの姿勢変化量や変位位置・変位速度に対する制約も少なくし、ロボットの動作上の仕様を拡大(スペックアップ)することも可能となる。もちろん、ティーチングの労力負担も軽減される。
揺動作用部でトーチケーブル内のワイヤコンジットに最も大きい曲げが作用することになるが、トーチケーブルが上アームの軸芯近傍を通って捩じりの掛りが少なければ、溶接ワイヤをワイヤコンジット中で余裕を持たせておく必要もほとんどなくなる。ワイヤ送給装置による送給速度の安定は保たれやすく、溶接用トーチの給電チップから送出されるワイヤ量も安定し、その出口でのブレも生じにくくなる。溶接線への狙い精度が高まり、溶融量の安定も図られ、溶接品質をおおいに向上させることができる。
図3は、リンク連接体16の正面から見た断面図である。図示しないモータからベルト掛け(図5中の符号44を参照)により駆動されるプーリ18の回転はハーモニック減速機19で回転数が落とされ、第二リンク15を上アーム2に対して揺動させる。第二リンク15の第一リンク寄りで軸承された第一ギヤ21は、第一リンク14と一体となっている。この第一ギヤ21は上アーム2のシュラウド2aに固定された同径の第二ギヤ22と噛合しており、第二ギヤ22の中心が第二リンク15の揺動中心に合わされているので、第二リンク15が揺動すれば第一ギヤ21が第二ギヤ22上を遊星運動する。従って、第一リンク14は第二リンク15に対して、第二リンク15が回動したのと同じ角度だけ動き、図1のように中折れ動作する。
このリンク連接体16の動作を上記したごとくのギヤの噛合形態で行うなら、伝動機構は簡素なものとなる。このようなギヤトレンに代えて、各リンク14,15に軸承させた図示しないプーリに伝動ベルトを張架した駆動機構としてもよい。この場合には、伝動ベルトの長さを変えることによって軸間距離を自由に決めることができ、揺動系のリンク長さの選定幅の拡大が図られる。
いずれの伝動機構においても、駆動の速比を1(1:1)にしておけば、第一リンク14と第二リンク15は同じ角度揺動することになる。トーチケーブルは一定半径の弧を描きやすくなり、無理の少ない曲がりを誘導する。しかし、例えば速比を1.5(1:1.5)となる径を選択すれば、第一リンク14が第二リンク15以上に大きく曲がり、速比を0.67(1.5:1)となる径にすれば、その逆となる。トーチケーブルの資質等を勘案するなどして、任意に選定すればよいことは言うまでもない。
第一リンク14と第二リンク15を個別のモータで駆動する場合には上記したギヤは必要でないが、ギヤトレンや伝動ベルトを採用している場合には、一つのモータで駆動するようにしておけば、実質的に軸(関節)数が増えたロボットになるとはいえ、駆動制御の複雑化は回避される。なお、以上の説明は6軸を母体にして7軸化したロボットを例に述べたが、本発明はその軸数に左右されるものでない。
図4は、リンク連接体として三つのリンク24,25,26を導入した例である。この場合は、図1の場合よりもさらに曲げは緩やかなものとなる。揺動リンクを一つとした破線のトーチケーブル39とは、曲率半径の大きさ(R3 ,R12)は比べようもない。ちなみに、ギヤの回転方向を合わせるために中間ギヤ27の導入が余儀なくされているが、本発明ではリンク連接体を構成するリンクの数は適宜選択できるものであることが分かる。なお、溶接ワイヤが硬質材の場合、曲がり部において生じる磨耗や削り粉を少なくできるが、アルミ等の軟質材である場合にはなおさらその低減効果が増大する。
本発明に係る多関節型アーク溶接ロボットの手首揺動機構における構成模式図。 溶接ワイヤ等の供給機構を備えたアーク溶接ロボットの全体であり、(a)は平面図、(b)は側面図。 揺動作用部における正面から見た断面を表した構成図。 リンクを3つ使用した場合のリンク連接体による曲げ挙動説明図。 揺動作用部が一つの揺動リンクからなる先行技術におけるアーク溶接ロボットの全体側面図。 二股構成の上アームのを通過するトーチケーブルの配置説明図。
符号の説明
1…アーク溶接ロボット、2…上アーム、3…溶接用トーチ、5…揺動作用部、5A,5B…揺動軸、6…手首作用部、7…トーチケーブル、8…溶接ワイヤ、14…第一リンク、15…第二リンク、16…リンク連接体、21,22…ギヤ、24,25,26…リンク。

Claims (5)

  1. 溶接用トーチを回転もしくは旋回させる回転軸が先端部に備えられた手首部を複数の関節の動きによって変位させ、下アームに軸支されて上下に傾動する上アーム内を縦通したトーチケーブルが前記溶接用トーチまで導かれている多関節型アーク溶接ロボットにおいて、
    前記上アームに対してその先端部で前記手首部を揺動させる機構は、中折れ動作が可能となるように二以上のリンクからなる連接体であり、前記上アームから出たトーチケーブルがリンク連接体を通過してトーチに向かう際そのケーブルの曲がりが各リンクに沿って緩やかに曲がるようにして、前記トーチケーブル内で送給される溶接ワイヤを溶接用トーチへ円滑に送給できるようにしたことを特徴とする多関節型アーク溶接ロボットの手首揺動機構。
  2. 前記リンク連接体は、各リンクに軸承されたギヤを噛合させて駆動することにより中折れ動作させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載された多関節型アーク溶接ロボットの手首揺動機構。
  3. 前記リンク連接体は、各リンクに軸承されたプーリに伝動ベルトを張架して駆動することにより中折れ動作させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載された多関節型アーク溶接ロボットの手首揺動機構。
  4. 前記リンク連接体の駆動速度比は1であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載された多関節型アーク溶接ロボットの手首揺動機構。
  5. 前記リンク連接体のすべてのリンクが、一つのモータによって駆動されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載された多関節型アーク溶接ロボットの手首揺動機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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