JP2005099536A - 光学機能性膜、透明積層フィルムおよび反射防止フィルム - Google Patents

光学機能性膜、透明積層フィルムおよび反射防止フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 可視光における透過性が高く、外光反射を十分に低減した反射防止機能を備え、且つ紫外線照射による反射防止膜の屈折率変化や膜質劣化の少ない透明積層フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】 プラスチックフィルムからなる基材上に透明な金属酸化物膜を有する構造であり、該金属酸化物膜は屈折率が1.6〜2.4(波長λ=550nm)であり、酸化ケイ素及び炭素を含み、JIS K 7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、照射前と比較してJIS Z 7830に示すL***表色系における色差(ΔE*)が0.5以下となることを特徴としている。該金属酸化物膜を作成する方法は、プラズマCVD法を用いた成膜を行う際に水素ガスを導入することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶ディスプレイ、CRT(陰極線管)ディスプレイ、もしくはプラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等のディスプレイの前面に設ける反射防止フィルム等の光学部品に使用できる光学機能性膜、透明積層フィルムに関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTなどのコンピューター、ワープロ、テレビ、表示板に使用される各種ディスプレイや、計器等の表示体、バックミラー、ゴーグル、窓ガラスなどには、ガラスやプラスチックなどの透明な基板が使用されている。そして、それらの透明な基材を通して、文字や図形その他の情報を読み取るため、透明な基材の表面で光が反射すると、それらの情報が読み取り難くなるという欠点がある。
そこで、ディスプレイの前面に、基材に反射防止機能を付与することが行なわれる。例えば、透明基材に直接、真空成膜法により酸化ケイ素(以下、「シリカ」とする場合がある。)、酸化ジルコニウム、酸化チタン、フッ化マグネシウムなどの無機化合物からなる反射防止膜を形成する方法がある。真空成膜法は、真空環境下で基材の表面に対して成膜を行なうものである。真空環境下では、一般の大気環境下に比べて、雰囲気ガスの成分が著しく制限されるため、不純物の少ない良質な膜を形成することができる。たとえば、真空チャンバ内を排気しながら、特定の成膜処理用ガスを所定量だけ導入した場合、真空チャンバ内の雰囲気には、理論的には当該成膜処理用ガスが所定量だけ含まれることになるので、最適な条件での成膜処理が可能になる。
具体的な真空成膜の方法としては、真空蒸着、スパッタリング、CVD、イオンプレーティング、プラズマ放電、グロー放電、電子線照射、紫外線照射、材料噴霧など種々の方法が知られている。また、成膜対象となる基材としては、金属板、ガラス板、金属フィルム、プラスチックフィルム、紙など多岐に渡っており、既に成膜が完了した基材に対して、更に上層の成膜を形成する処理を繰り返して行ない、多層構造を得る工程が行われることも少なくない。真空成膜法では、成膜対象となる基材を真空チャンバ内に収容し、チャンバ内を排気して一定の真空度に維持した状態で所定の成膜方法を実行することになる。必要に応じて、チャンバ内には成膜処理用ガスが導入される。しかし、上記の真空成膜法を行なう場合、使用できる基材に対し、耐溶剤性、耐熱性等の限定された条件がある。
従来、光の反射防止技術には、ガラスやプラスチック表面に反射防止塗料を塗布する方法、ガラス等の透明基板の表面にMgF2等の極薄膜や金属蒸着膜を設ける方法、プラスチックレンズ等のプラスチック表面に電離放射線硬化型樹脂を塗工し、その上に蒸着によりSiO2やMgF2の膜を形成する方法、電離放射線硬化型樹脂の硬化型膜上に低屈折率の塗膜を形成する方法等があった。また、プラスチックフィルム上に、屈折率が1.55以上2.50以下(λ=550nm)であって、層の組成がSiOxCy(x=0.5〜1.7、y=0.2〜2.0)であり、消衰係数が0.018(λ=550nm)以下であるシリカ層を少なくとも有する反射防止フィルムで、そのシリカ層をプラズマCVD法で形成することが知られている。(特許文献1参照)
特開2002−189102号公報 上記の従来の反射防止技術では、紫外線(UV)照射に対する耐久性に欠如し、例えば、特許文献1では反射防止性能の優れた反射防止フィルムが得られるが、屋外用途等でUV照射されると、そのシリカ層の酸化が進み、膜劣化が生じ、屈折率が低下し、反射防止性が悪化するという問題がある。
したがって、本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、可視光における透過性が高く、外光反射を十分に低減した反射防止機能を備え、且つ紫外線照射による反射防止膜の屈折率変化や膜質劣化の少ない透明積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するための手段として、プラスチックフィルムからなる基材上に透明な金属酸化物膜を有する構造であり、該金属酸化物膜は屈折率が1.6〜2.4(波長λ=550nm)であり、酸化ケイ素及び炭素を含み、JIS K 7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、照射前と比較してJIS Z 8730に示すL***表色系における色差(ΔE*)0.5以下となることを特徴としている。該金属酸化物膜を作成する方法はプラズマCVD法であり、成膜の際に水素ガスを導入することによって得られ、該金属酸化物膜の組成がSiOxCyNz:H(x=0.3〜1.2、y=0.4〜1.0、z=0.0〜0.5)となることを特徴とする。
上記の金属酸化物膜は、屈折率を1.6〜2.4(波長λ=550nm)とコントロール可能であるが、成膜の際にH2ガスを導入することにより強固な結合状態のみが選択的に膜中へ残留すると考えられ、結果として紫外線照射による膜の屈折率変化や膜質劣化が少なく、透明性が高く、基材との密着性に優れたものが得られるものである。
また、基材上に、上記の金属酸化物膜、屈折率が1.9〜2.4(波長λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである高屈折率層、屈折率が1.4〜1.6(波長λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである低屈折率層をこの順に積層した構成にすることにより、外光反射を十分に低減した優れた反射防止フィルムが得られる。
本発明の透明積層フィルムは、プラスチックフィルムからなる基材上に透明な金属酸化物膜を有する構造であり、該金属酸化物膜は屈折率が1.6〜2.4(波長λ=550nm)である酸化ケイ素及び炭素を含む膜である。プラズマCVD法に代表されるCVD法によって作成される際、水素ガスを導入することで、紫外線照射による膜の屈折率変化や膜質劣化が少なく、透明性が高く、基材との密着性に優れたものが得られるものである。
また、基材上に、上記の金属酸化物膜、屈折率が1.9〜2.4(波長λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである高屈折率層、屈折率が1.4〜1.6(波長λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである低屈折率層を順に積層した構成により、外光反射を十分に低減した優れた反射防止フィルムが得られるものである。
本発明の光学機能性膜(透明積層フィルム)は、プラスチックフィルムからなる基材上に透明な金属酸化物膜を有する構造であり、該金属酸化物膜が以下に示すものである。
金属酸化物膜は屈折率が1.6〜2.4(波長λ=550nm)であり、酸化ケイ素及び炭素を含有し、JIS K 7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、照射前と比較してJIS Z 7830に示すL***表色系における色差(ΔE*)が0.5以下となる。
以下、本発明の透明積層フィルムについて図面を参照して具体的に説明する。
図3は、本発明の透明積層フィルムの一例を示すものである。この例に示される透明積層フィルムは、プラスチックフィルム基材20としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、このPETフィルム基材20上にハードコート層24、中屈折率層23、高屈折率層22、低屈折率層21を順次積層されてなるものである。
低屈折率層21の形成位置は、特に限定されるものでなく、高屈折率層22の上層に形成されていても下層に形成されていてもよいが、最外層に上記に規定したシリカ薄膜の低屈折率層21が形成されるような層構成とすることが好ましい。低屈折率層21は高屈折率層22と比べ屈折率が低く、反射率も小さいことから、反射防止フィルムの最外層として用いた場合に、反射防止効果が大きいからである。また、低屈折率層としてシリカ薄膜を用いた場合、比較的その表面エネルギーが小さいため防汚性、撥水性を備えている。従って、反射防止フィルムに防汚性、撥水性をも付与することができるからである。
本発明の透明積層フィルムにおいて、図3に示した構成においては、中屈折率層、高屈折率層のいずれか一つまたは両方が、その屈折率が1.6〜2.4(波長λ=550nm)であり、その層中に酸化ケイ素及び炭素を含有するものであり、JIS K 7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、照射前と比較してJIS Z 7830に示すL***表色系における色差(ΔE*)が0.5以下となるものである。
本発明の透明積層フィルムにおいては、基材上に高屈折率層、低屈折率層を順次積層した2層からなる反射防止膜を設けること、あるいは上記の図3に示す例のように、中屈折率層23、高屈折率層22、低屈折率層21の積層で、各々1層ずつ形成された、3層からなる反射防止膜のものであってもよいが、例えば、図4に示すような高屈折率層22と低屈折率層21のシリカ薄膜とが各々2層ずつ、つまり基材20/高屈折率層22/低屈折率層21/高屈折率層22/低屈折率層21の構成のように、プラスチックフィルム基材20上に複数層ずつ形成されたものであってもよい。このような構成とすることにより、反射防止効果が向上するからである。尚、図4の場合は、高屈折率層が、その屈折率が1.6〜2.4(波長λ=550nm)であり、その層中に酸化ケイ素及び炭素を含有するものであり、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、紫外線300時間以上照射前と同等の分光特性を有するものである。
本発明における反射防止フィルムは、プラスチックフィルム上の基材上に、真空成膜法により少なくとも2層以上の構成で形成される。この2層は、基材側の層は、その層の屈折率が1.6〜2.4(波長λ=550nm)であり、酸化ケイ素と炭素を含み、JIS K 7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、照射前と比較してJIS Z 7830に示すL***表色系における色差(ΔE*)が0.5以下となることを特徴としていて、その上に低屈折率層が積層されたものである。この2層以上の反射防止膜は、各層の光学特性がそれぞれ異なるもので、各層の光学特性(特に屈折率)や層構成により、積層体全体として効果的に反射を防止するように構成されている。通常、反射防止膜の積層体を構成する層は、その屈折率により、低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層に大別される。
上記の低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層は、反射防止膜を構成する薄膜において、その屈折率を相対的に比べた場合の違いから区別して名づけたものである。本発明では、低屈折率層は、比較的屈折率が低い層であり、1.4〜1.6程度の屈折率を有する。また、高屈折率層は比較的が高い層で、1.9〜2.3程度の屈折率をもつ。中屈折率層は、低屈折率層と高屈折率層の中間の屈折率を有するもので、1.6〜1.8程度の屈折率を有するものである。但し、本発明で規定する屈折率は、試料温度を25℃として、波長λ=550nmにおけるJIS K 7105に基づいて測定したものである。
また、本発明においては、上記図3及び図4の例に示すようにプラスチックフィルム基材20上にハードコート層24を設けてもよい。このようにハードコート層24を設けることにより、反射防止膜の機械的強度を増加することができるからである。このハードコート層の形成位置は、プラスチックフィルム基材上であって、例えば高屈折率層の下側の層として形成されることが好ましい。また、このハードコート層は、防眩処理が施されていても良い。
更に、本発明の透明積層フィルムにおいては、例えば図3に示すように、必要に応じて中屈折率層23を形成してもよい。この中屈折率層23は、本発明のシリカ薄膜に低屈折率層21の屈折率と高屈折率層22の屈折率との中間の屈折率を有するものであり、このような中屈折率層23を高屈折率層22とプラスチックフィルム基材20との間に設けることにより、さらに反射防止効果を向上させることができる。
次に、上記本発明の透明積層フィルムを構成する各層について説明する。
(プラスチックフィルム基材)
本発明の透明積層フィルムに使用することができるプラスチックフィルム基材20は、可視光域で透明なプラスチックフィルムであれば特に限定されるものではない。例えば、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリウレタン系フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネイトフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、トリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、アクリロニトリルフィルム、メタクリロニトリルフィルム等が挙げられる。さらには、無色透明のフィルムがより好ましく使用できる。中でも、一軸または二軸延伸ポリエステルフィルムが透明性、耐熱性に優れ、好適に用いられ、光学異方性のない点でトリアセチルセルロースも好適に用いられる。プラスチックフィルムの厚みは、通常は6μm〜188μm程度のものが好適に用いられる。
(低屈折率層)
本発明における低屈折率層21は、プラスチックフィルム基材上に形成され、これにより透明積層フィルムの反射防止フィルムとしての反射防止効果を向上させるものである。シリカ薄膜がプラズマCVD法により形成されたものが好ましく、形成の際に水素ガスを導入することでJIS K 7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、照射前と比較してJIS Z 7830に示すL***表色系における色差(ΔE*)が0.5以下となり、膜の紫外線照射による屈折率変化や膜質劣化を防ぐことが可能となる。また、低屈折率層としては屈折率が1.4〜1.6程度のものが好ましく、その範囲にあるものとしては、例えば酸化シリコン層、すなわちシリカ薄膜やその他に、フッ化マグネシウムや酸フッ化酸化ケイ素等を用いてもよい。光学特性に関し、低屈折率材料に求められる物性はフッ化マグネシウムや酸フッ化酸化ケイ素の方が前記シリカ薄膜よりも優れている。
しかしながら、フッ化マグネシウム等は、機械強度や耐湿性等がシリカ薄膜に比べ劣るので、その用途によっては、強度向上層やバリア向上層を積層する等の手段との併用が好ましい。その点において、シリカ薄膜については、前記フッ化マグネシウム等のように、強度向上層等の併用手段等を特に必要とせず、総合的には最も好適である。
本発明においてシリカ薄膜を形成するための原料としては、シラン、ジシラン、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、テトラメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラエトキシシラン等のSi系化合物を用いることが可能である。特に、水蒸気との反応性が高い方が好ましい。
上記のシリカ薄膜等の低屈折率層の製造方法は、特に限定するものではなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、熱CVD法など種々の真空成膜の方法、あるいはゾルゲル法などによるウェットコーティングなどの方法を用いることができる。しかしながら、水素ガスを導入することにより紫外線照射による膜の屈折率変化や膜質劣化を防ぐためにプラズマCVD法を用い、成膜の際に水素ガスを導入することが好適である。
(中屈折率層)
本発明における透明積層フィルムで使用される中屈折率層23は、反射防止機能を高めるために用いられる層である。このような中屈折率層は、可視光域で透明であり、かつ屈折率が波長λ=550nmで1.6〜1.8程度の範囲内となる酸化ケイ素と炭素を含む物質で、JIS K 7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、照射前と比較してJIS Z 7830に示すL***表色系における色差(ΔE*)が0.5以下となれば特に限定されるものではない。本膜の作成時に水素ガスを導入することにより、紫外線照射による膜の屈折率変化や膜質劣化が少なく、透明性が高く、基材との密着性に優れたものが得られる。
中屈折率層を構成する材料には、アリルジメチル(ジイソプロピルアミノ)シラン、アリルアミノトリメチルシラン、酸化ケイ弗化アンモニウム、アニリノトリメチルシラン、1,3−ビス(クロロメチル)テトラメチルジシラザン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノジメチルシリル)エタン、ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ビニルエチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ビニルメチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(エチルメチルケトキシム)メチルイソプロポキシシラン、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−6,9−ビス(トリメチルシリル)アデニン、N,N′−ビス(トリメチルシリル)−1,4−ブタンジアミン、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ビス(トリメチルシリル)シトシン、N,O−ビス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、3−シアノプロピル(ジイソプロピル)ジメチルアミノシラン、ジ−n−ブチルテトラメチルジシラザン、(ジエチルアミノ)トリメチルシラン、(ジイソプロピルアミノ)トリメチルシラン、(N,N′−ジメチル)トリメチルシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,2,3,4,5,6−ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、n−オクチルジイソプロピル(ジメチルアミノ)シラン、フェネチルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、フェニルビス(ジメチルアミノ)シラン、フェニルメチルビス(ジメチルアミノ)シラン、1,3,5,7−テトラエチル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシラザン、テトラキス(ジエチルアミノ)シラン、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジラ−1−アザシクロペンタン、1,1,3,3−テトラフェニルジメチルジシラザン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシラザン、1,2,3−トリエチル−2,4,6−トリメチルシクロトリシラザン、トリ−n−ヘキシルシリルアミン、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、トリメチルシリルアジド、N−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリフェニルアミノシラン、1−トリメチルシリル−1,2,4−トリアゾール等が好適である。ただし、本発明はプラズマCVD法を用いて、酸化ケイ素及び炭素を含む膜を作成する際に、紫外線照射によって膜の劣化が起こるのを防ぐために水素ガスを使用したものであって、これに該当するものはいかなるものであっても本発明の範囲に含まれる。さらに、該酸化ケイ素及び炭素を含む膜において、組成がSixOyCzN:H(x=0.3〜1.2、y=0.4〜1.0、z=0.0〜0.5)である場合が好ましい。
また、中屈折率層は必ずしも一層である必要もなく、複数の異なった層を積層して全体として上記の屈折率となるような層構成とすることにより、当該積層膜を中屈折率層とすることも可能である。
上記の中屈折率層の製造方法は、特に限定するものではなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、熱CVD法など種々の真空成膜の方法、あるいはゾルゲル法などによるウェットコーティングなどの方法を用いることができる。しかしながら、水素ガスを導入することにより紫外線照射による膜の屈折率変化や膜質劣化を防ぐためにプラズマCVD法を用い、成膜の際に水素ガスを導入することが好適である。
プラズマCVD法では連続的に製造可能で、且つプラスチックフィルム基材の温度制御も正確に行うことができる。プラズマCVD装置としては、プラスチックフィルム基材の温度制御が可能なものであれば特に限定されるものでなく、電源周波数やプラズマ生成方式においても特に制限はない。また、成膜時に水素ガスを導入することによりJIS K 7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、照射前と比較してJIS Z 7830に示すL***表色系における色差(ΔE*)が0.5以下となる金属酸化物薄膜を得られる。中屈折率層のシリカ薄膜を形成する製造装置について、図1を用いて説明する。
まず、ウェッブ状のプラスチックフィルム基材1が基材巻き出し部2より巻き出されて、真空容器3中のプラズマCVDの反応室4に導入される。この反応容器3の全体は、真空ポンプ5により排気される。また、同時に反応室4には、原料ガス導入口6より規定流量の有機酸化ケイ素化合物ガス(この有機酸化ケイ素化合物は、窒素、炭素の各元素を含有するものである。)と水素ガス、酸素ガスが供給され、反応室4の内部は、常に一定圧力のこれらのガスで満たされている。なお、その有機酸化ケイ素化合物ガスは、上記の中屈折率層を構成する各種シラン化合物、シラザン化合物等のガスである。
また、プラズマCVD装置においては、材料ガス流量・圧力、放電条件、プラスチックフィルム基材1の送りスピードのコントロール等により、形成されるシリカ薄膜12の屈折率、膜厚等を広範囲でコントロールしうるため、材料を変更することなく、所望の光学特性の膜を得ることができる。次に、基材巻き出し部2より巻き出され、反応室4に導入されたプラスチックフィルム1は、反転ロール7を経て、成膜用ドラム8に巻き付き、成膜用ドラム8の回転と同期しながら反転ロール7′の方向に送られていく。この時、成膜用ドラム8は、温度コントロールが可能であり、この時、プラスチックフィルム1の表面温度と成膜用ドラム8の表面温度はほぼ等しい。従って、プラズマCVD時にシリカが堆積するプラスチックフィルム1の表面温度、すなわちプラズマCVDの成膜温度を任意にコントロールできる。この例においては、プラズマCVDによりシリカ薄膜12をプラスチックフィルム基材1上に成膜する場合の成膜温度を、その時の成膜用ドラム8の表面温度により表示する。
電極9と成膜用ドラム8との間には、電源10によりRF電圧が印加される。このとき、電源の周波数は、ラジオ波に限らず、直流からマイクロ波まで適当な周波数を使用することも可能である。そして、電極9と成膜用ドラム8の間にRF電圧を印加することにより、この両電極の周辺にプラズマ11が発生する。そして、このプラズマ11中で有機酸化ケイ素化合物ガスと酸素ガスが反応し、炭素原子含有のシリカを生成して成膜用ドラム8に巻き付いたプラスチックフィルム基材1上に堆積して、巻取り基材の全幅にわたって、均一性の高いシリカ薄膜12が形成される。その後、シリカ薄膜12が表面に形成されたプラスチックフィルム基材1は、反転ロール7′を経て、基材巻き取り部2′で巻き取られる。
上記のように、本発明においては、プラズマ11により有機酸化ケイ素化合物ガスと酸素ガスが化学反応して生成したシリカが、成膜用ドラム8により適切な温度に冷却されたプラスチックフィルム基材1上に堆積して、シリカ薄膜を形成するので、プラスチックフィルム基材1が高温にさらされ、伸び、変形、カール等することなく、シリカ薄膜12の形成が可能である。また、シリカ薄膜を含む反射防止膜の作製には、図2に示すようなプラズマCVD装置を用いることも可能である。当該プラズマCVD装置は容量結合型のプラズマCVD装置であり、その基本的構造及び原理は図1の装置と同様である。従って、当該装置においてもウェッブ状のプラスチックフィルム基材1は基材巻き出し部2より巻き出されて、真空容器3中の反応室(a,b,c)に導入される。そして、当該反応室内の成膜用ドラム8上で所定の膜が形成され、基材巻き取り部2′により巻き取られる。
図2に示す装置と図1に示す装置との差は、図1に示す装置においては、フィルム上にシリカ薄膜等の薄膜を形成するための反応室は一つしか設置されていないが、図2に示すプラズマCVD装置は、複数(3つ)の反応室を有している点にある。夫々の反応室(a,b,c)は隔離壁13で隔離されることで形成されている。ここで、以下の説明の便宜上、当該3つの反応室を右側から反応室a、反応室b、反応室cとする。そして、各反応室には、夫々電極版a1、b1、c1及び原料ガス導入口a2、b2、c2が設置されている。
各反応室(a,b,c)は、成膜用ドラム8の外周に沿って設置されている。これは、積層膜が形成されるプラスチックフィルムは、図1に示す例で説明したように成膜用ドラム8と同期しながら反応室内に挿入され、かつ成膜用ドラム上において積層膜を形成するものであることから、このように配置することにより連続して各膜を積層することができるからである。なお、図2に示す装置では反応室の数を3室としたが、本発明の積層フィルムの製造方法に用いるプラズマCVD装置としては、これに限定されるものではなく、必要に応じて変更することができる。
上述したようなプラズマCVD装置によれば、各反応室へ導入する原料ガスを変化させることにより、夫々の反応室内で独立して膜を形成することが可能であることから、例えば、シリカ薄膜と酸化チタン膜との積層膜をプラスチックフィルム基材上に形成する場合は、例えば反応室aに有機酸化ケイ素化合物を含むガスを導入し、反応室bに有機チタン化合物を含むガスを導入し、反応室cには有機酸化ケイ素化合物を含む原料ガスと水素ガスをc2から導入することにより、プラスチックフィルム基材1が成膜用ドラム8を経て、基材巻き取り部2′へ巻き取られるまでに本発明の中屈折率層、酸化チタン層の高屈折率層、酸化シリコン層である低屈折率層が順次形成された透明積層フィルムを形成することが可能となる。
さらに、上記の場合において、各々の反応室内の条件、例えばガスの流量や圧力、放電条件等を変化させることにより、各反応室で形成される薄膜の特性を変化させることも可能である。当該装置により得られる各層の膜の厚さや屈折率等を自在に組み合わせることも可能となる。
また、必ずしも夫々の反応室に異なる原料ガスを導入する必要もなく、例えば図2に示す反応室a,b,c全てに有機チタン化合物を含むガスを導入することで酸化チタン膜を形成し、その後に一旦反応室a,b,cに導入されたガスを全て抜き、改めて有機酸化ケイ素化合物を含むガスと水素ガスを反応室a,b,cに導入して、酸化チタン膜の上にシリカ薄膜を形成することも可能である。
(高屈折率層)
本発明の透明積層フィルムでは、基材上に設ける透明積層膜(反射防止膜)の構成要素として高屈折率層22を利用することができ、低屈折率層のシリカ薄膜と合わせて用いることにより、それぞれの屈折率の違いにより光の反射を効率よく防止することができる。この高屈折率層の透明積層膜中に占める位置は、特に限定するものではないが、低屈折率層と高屈折率層とは互いに接触している方が効率よく光の反射を防止することができ、低屈折率層の下に(低屈折率層よりも基材側に近い位置に)設けることが好ましい。
高屈折率層として用いることが可能な薄膜としては、可視光域で透明性を有し、その屈折率を1.9〜2.4程度(波長λ=550nm)、且つ膜厚が10〜200nmである薄膜であることが望ましく、その条件を満たせば特に限定されるものではない。
高屈折率層としては、具体的には、酸化チタン、ITO(インジウム/スズ酸化物)層、Y23層、In23層、Si34層、SnO2層、ZrO2層、HfO2層、Sb23層、Ta25層、ZnO層、WO3層等の金属酸化物層を挙げることができ、この中でも特に酸化チタン又は高抵抗を示すITO層、本発明の酸化ケイ素と炭素を含む紫外線照射によって膜の屈折率変化や膜質劣化を防ぐことができる金属酸化物膜を用いることが好ましい。
高屈折率層の形成方法は、プラズマCVD法、蒸着法、もしくはスパッタリング法等により形成でき、高屈折率層の膜厚は10〜200nmである。その膜厚が少なすぎると、屈折率の異なる層と積層させて反射防止効果がほとんど期待できなくなり、また膜厚が多すぎると、層の圧力により基材変形や層剥がれの発生する場合があり好ましくない。
高屈折率層を形成する場合、その屈折率は、1.9〜2.4(λ=550nm)が好ましく、2.0〜2.3(λ=550nm)が最も好ましい。反射防止フィルムとして透明積層フィルムを形成する際においては、高屈折率層の屈折率は他の透明積層膜との関係で相対的に決定することが好ましく、積層膜全体としてのバランスにより反射防止効果を奏するものであるが、一般的な積層構造とした場合における高屈折率層の屈折率は上記のような範囲であることが好ましい。
また、本発明ではプラズマCVD法による高屈折率層に限定されず、スパッタリング法、イオンプレーティング法を用いても、屈折率が1.9〜2.3程度(波長λ=550nm)、且つ膜厚が10〜200nmである高屈折率層としての特徴が発揮できる場合、例えば、スパッタリング法によるITO層を用いれば、屈折率が1.9〜2.1(波長λ=550nm)の薄膜が得られ、本発明の高屈折率層に使用が可能となる。
また、連続的に製造可能、且つプラスチックフィルム基材の温度制御も正確に行うことができる点等の理由から、少なくとも原料ガスが導入される反応室と、温度コントロール可能な成膜用ドラムと、上記成膜用ドラムとの間にプラズマを発生させるプラズマ発生手段を有し、上記成膜用ドラムによりウェッブ状のプラスチックフィルム基材が連続的に原料ガスが導入された反応室内に搬送されることにより、上記プラスチックフィルム基材の温度制御が行なわれると同時に上記プラスチックフィルム基材上に膜が形成されるプラズマCVD装置及びガス供給系、具体的には図1に示すような装置により形成される酸化チタン膜等の高屈折率層を有する透明積層フィルムであることが好ましい。
更に、反射防止フィルムにおける高屈折率層に求められる光学特性は、その層の屈折率が1.9以上好ましくは2.0以上であることが要求されるが、光学特性として屈折率が1.9以上を有していたとしても、基材に伸びや変形、当該ある場合には製品としては不良品となることが多い。よって基材の被熱による変形、それに起因する高屈折率層の成膜阻害を防ぐためには、上記のように成膜温度を制御することが好ましい。
(ハードコート層)
本発明に用いられるハードコート層24は、本発明の透明積層フィルムに強度を持たせることを目的として形成される層である。従って、透明積層フィルムの用途によっては、必ずしも必要なものではない。
このようなハードコート層を形成するための材料としては、同様に可視光域で透明な材料であり反射防止フィルムに強度をもたせることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えばUV硬化型アクリル系ハードコートや熱硬化型シリコーン系コーティング等を用いることができる。
本発明に用いられるハードコート層の肉厚は、通常1〜30μmの範囲内である。また、このようなハードコート層の製造方法は、通常のコーティング方法を用いることも可能であり特に限定されるものではない。また、このハードコート層は、防眩処理が施されていても良い。
(防汚層)
本発明の透明積層フィルムには、最上層に、反射防止フィルムの上面の汚染を防止するための防汚層を設けてもよい。防汚層は、ディスプレイパネルの前面に配置した反射防止フィルムにごみや汚れが付着するのを防止し、あるいは付着しても除去しやすくするために形成される。具体的には、反射防止機能を低下させない範囲で、フッ素系界面活性剤等の界面活性剤、フッ素系樹脂を含む塗料、シリコーンオイル等の剥離剤、もしくはワックス等をごく薄く塗布し、余剰分を拭い除去しておく。防汚層は、恒久的な層として形成してもよいが、必要の都度、塗布して形成してもよい。防汚層の厚みは、1〜10nm程度が好ましい。その形成方法は、通常のコーティング方法を用いることが可能であり、特に限定されるものではない。
本発明の透明積層フィルムは、その構成する基材が偏光板保護フィルムとして機能することができる。例えば、図5に示すように、本発明の基材フィルム20(トリアセチルセルロースフィルム、略してTACフィルム)/高屈折率層22/低屈折率層21から構成しているような透明積層フィルム25を、偏光素子26と基材フィルム20が接するように、偏光素子26上にラミネートし、また一方で、偏光素子26の他面に基材フィルム20(トリアセチルセルロースフィルム)をラミネートして、偏光板として利用することができる。尚、上記のラミネートには接着剤層を用いることが望ましい。
また、本発明の透明積層フィルムは、図6に示したような液晶表示装置(LCD)のみならず、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示装置の表示面を被覆する多層型反射防止膜として利用することが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明を実施例、比較例を挙げて、更に詳細に説明する。
図1の装置を使用して、基材のプラスチックフィルムである厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に酸化ケイ素及び炭素を含む膜を形成した。今回使用したプラズマCVD装置を図1に示し、AC電源を用いた。また、連続成膜時の基材となるプラスチックフィルムの送り速度は、1m/minである。その他成膜条件としては、印加電力を1.0kW、成膜圧力を40Pa、HMDSN流量を40sccm、酸素ガス流量0.5をslm、水素ガス流量を1.5slm、成膜用ドラム表面温度(成膜温度)を30℃とした。
前記ガス流量単位sccmは、standard cubic cm per minuteのことである。ガス流量単位slmは、standard little per minuteのことである。
以上の条件でポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成したシリカ薄膜の測定結果、膜厚は96nm、屈折率(λ=550nm)は1.6となった。なお、得られたシリカ薄膜測定に使用した装置は、膜厚測定および膜質測定ともにJOBIN YVON社のエリプソメーター(UVISELTM)である。さらに、組成はSixOyCzN:H(x=1.0、y=0.6、z=0.2)であった。組成分析に使用した装置はVG Scient社の光電子分光分析装置(ESCALAB220i―XL)である。また、本膜は、Si−H結合、Si−NH結合、Si−NH2結合、Si−NH3結合、C−H結合が含まれていた。結合状態についてはJAS.CO社のフーリエ変換赤外分光装置(FT/IR−610)を使用した。
以上に示したシリカ薄膜の作製結果の如く、成膜温度30℃において、屈折率1.6の膜がポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成できた。また、この膜は、JIS K 7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、照射前と比較してJIS Z 7830に示すL***表色系における色差(ΔE*)が0.12となり、光学的特性に変化なかった。(図8の分光反射特性でUV照射前と照射後のグラフを参照、但し照射前後で分光反射特性の変化ない。)分光反射率測定には島津製作所の分光光度計(UV−3100PC)である。
(比較例1)
図1の装置を使用して、基材のプラスチックフィルムである厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に酸化ケイ素及び炭素を含む膜を形成した。今回使用したプラズマCVD装置を図1に示し、AC電源を用いた。また、連続成膜時の基材となるプラスチックフィルムの送り速度は、1m/minである。その他成膜条件としては、印加電力を1.0kW、成膜圧力を40Pa、HMDSN流量を40sccm、酸素ガス流量0.5をslm、成膜用ドラム表面温度(成膜温度)を30℃とした。また、本比較例では水素ガス流量1.5slmとする代わりに、窒素ガス流量を1.5slmとした。
前記ガス流量単位sccmは、standard cubic cm per minuteのことである。ガス流量単位slmは、standard little per minuteのことである。
以上の条件でポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成したシリカ薄膜の測定結果、膜厚は102nm、屈折率(λ=550nm)は1.58となった。なお、得られたシリカ薄膜測定に使用した装置は、膜厚測定および膜質測定ともにJOBIN YVON社のエリプソメーター(UVISELTM)である。さらに、組成はSixOyCzN:H(x=1.2、y=0.6、z=0.2)であった。組成分析に使用した装置はVG Scient社の光電子分光分析装置(ESCALAB220i―XL)である。また、本膜はSi−H結合が含まれていた。結合状態についてはJAS.CO社のフーリエ変換赤外分光装置(FT/IR−610)を使用した。
以上に示したシリカ薄膜の作製結果の如く、成膜温度30℃において、屈折率1.58の膜がポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成できた。しかしながら、この膜は、JIS K 7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、照射前と比較してJIS Z 7830に示すL***表色系における色差(ΔE*)が1.9となり、光学的特性に変化が見られた。(図7の分光反射特性でUV照射前と照射後のグラフを参照)分光反射率測定には島津製作所の分光光度計(UV−3100PC)である。
図3に示すようにプラスチックフィルム基材20上にハードコート層24、中屈折率層23、高屈折率層22、低屈折率層21を形成し、反射防止フィルムを作成した。プラスチックフィルムとしてはトリアセチルセルロース(厚さ80μm)を使用した。また、ハードコート層(24)は大日精化工業(株) 紫外線硬化型樹脂(PET−D31)を塗布して作成した。ハードコート層の膜厚は6μmである。中屈折率層(23)は実施例1と同様の条件にて作成した。高屈折率層(22)は酸化チタン層をプラズマCVD法により形成した。低屈折率層(21)は酸化シリコン層をプラズマCVD法で形成した。
上記条件で形成した透明積層フィルムの反射分光特性を図9に示す。図9より、波長550nm近傍での反射率が低く、反射防止効果が良好であった。このときの視感度反射率は、0.3%と反射防止フィルムとして十分な値を示した。
また、実施例2で得られた反射防止フィルムは、JIS K 7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、照射前と比較してJIS Z 7830に示すL***表色系における色差(ΔE*)が0.15となり、膜質変化が見られなかった。すなわち、UV照射前と照射後において分光反射特性の変化がなく、図9の状態を維持していた。分光反射率測定に使用した装置は島津製作所の分光光度計(UV−3100PC)である。
(比較例2)
比較例2では、図3に示すようにプラスチックフィルム基材20上にハードコート層24、中屈折率層23、高屈折率層22、低屈折率層21を形成し、反射防止フィルムを作成した。各層の条件は、プラスチックフィルム、ハードコート層(24)は実施例2と同様である。中屈折率層(23)は比較例1と同様、水素ガスを用いない条件にて作成した。高屈折率層(22)、低屈折率層(21)は実施例2と同様である。
上記条件で形成した透明積層フィルムの反射分光特性を図10に示す。図10より、波長550nm近傍での反射率が低く、反射防止効果が良好であった。このときの視感度反射率は、0.3%と反射防止フィルムとして十分な値を示した。
しかし、比較例2で得られた反射防止フィルムは、JIS K 7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、照射前と比較してJIS Z 7830に示すL***表色系における色差(ΔE*)が2.2となり、膜質変化が確認された。すなわち、図10に示すようにUV照射前と照射後において分光反射特性が変化した。分光反射率測定に使用した装置は島津製作所の分光光度計(UV−3100PC)である。
本発明のシリカ薄膜の製造装置の一例を示すプラズマCVD装置の概略構成図である。 本発明のシリカ薄膜の製造装置の他例を示すプラズマCVD装置の概略構成図である。 本発明の透明積層フィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明の透明積層フィルムの他例を示す概略断面図である。 本発明の透明積層フィルムがラミネートされた偏光板の一つの実施形態を示す概略図である。 本発明の透明積層フィルムがラミネートされた偏光板を使用した液晶表示装置の一つの実施形態を示す概略図である。 比較例1のシリカ薄膜のUV照射前後の赤外分光スペクトルである。 実施例1のシリカ薄膜の赤外分光スペクトルである。 実施例2の透明積層フィルムの反射分光特性を示すグラフである。 比較例2の透明積層フィルムのUV照射前後の赤外分光スペクトルである。
符号の説明
1 プラスチックフィルム基材(被転写体)
2 基材巻き出し部
2′ 基材巻き取り部
3 真空容器
4、a、b、c 反応室
5 真空ポンプ
6、a2、b2、c2 原料ガス導入口
7 反転ロール
7′ 反転ロール
8 成膜用ドラム
9、a1、b1、c1 電極
10 電源
11 プラズマ
12 シリカ薄膜
13 隔離壁
20 基材
21 低屈折率層
22 高屈折率層
23 中屈折率層
24 ハードコート層
25 透明積層フィルム(反射防止フィルム)
26 偏光素子
27 液晶表示素子

Claims (9)

  1. プラスチックフィルムからなる基材上に透明な金属酸化物膜を有する構造であり、該金属酸化物膜は屈折率が1.6〜2.4(波長λ=550nm)であり、酸化ケイ素及び炭素を含み、JIS K 7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、サンシャインウエザオメーターにて紫外線を300時間以上照射後も、照射前と比較してJIS Z 8730に示すL***表色系における色差(ΔE*)が、0.5以下となることを特徴とする光学機能性膜。
  2. プラズマCVD法を用い、成膜の際に水素ガスを導入することによって得られ、組成がSiOxCyNz:H(x=0.3〜1.2、y=0.4〜1.0、z=0.0〜0.5)となる請求項1に示す光学機能性膜。
  3. プラスチックフィルムからなる基材上に、請求項1又は請求項2に示した光学機能性膜、屈折率が1.9〜2.4(波長λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである高屈折率層、屈折率が1.4〜1.6(波長λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである低屈折率層を順に積層したことを特徴とする透明積層フィルム。
  4. プラスチックフィルムからなる基材上に、請求項1又は請求項2に示した光学機能性膜、屈折率が1.4〜1.6(波長λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである酸化シリコン層をこの順に2回積層したことを特徴とする透明積層フィルム。
  5. プラスチックフィルムからなる基材上に、屈折率が1.6〜1.9(波長λ=550nm)である請求項1又は請求項2に記載の光学機能性膜、屈折率が1.9〜2.4(波長λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである高屈折率層、屈折率が1.4〜1.6(波長λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである低屈折率層を順に積層したことを特徴とする透明積層フィルム。
  6. プラスチックフィルムからなる基材上へハードコート層が形成されていることを特徴とする請求項3〜5に記載の透明積層フィルム。
  7. 最表面に防汚層が形成されていることを特徴とする請求項3〜6に記載の透明積層フィルム。
  8. プラスチックフィルムからなる基材が一軸または二軸延伸ポリエステルフィルム、或いはトリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする請求項3〜7に記載の透明積層フィルム。
  9. 請求項3〜8に記載の透明積層フィルムが反射防止機能を有することを特徴とする反射防止フィルム。
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