JP2005099050A - 分注装置及びdnaチップの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】各マイクロピペットへの溶液の供給を迅速、かつ、効率的に、かつ、確実に行えるようにして、溶液の供給から基板上への供給までの工程をスムーズに行わせる。
【解決手段】少なくとも1個以上の基体50に、外部から試料溶液を注入するための試料注入口52と、前記試料溶液が注入・充填されるキャビティ56と、前記試料溶液を吐出する試料吐出口54とが形成され、キャビティ56を形成する基体50の少なくとも一壁面にアクチュエータ部58を備え、キャビティ56内において前記試料溶液が移動するように構成されたマイクロピペット34が複数配列されて構成され、かつ、各マイクロピペット34の試料吐出口54から前記試料溶液が吐出される分注装置において、各マイクロピペット34の試料注入口52に上方に突出するピン100を設けて構成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、顕微鏡スライドグラス等の基板上に、数千から一万種類以上の異なる種類のDNA断片を微小スポットとして高密度に整列固定させたDNAチップ(DNAマイクロアレイ)の製造に使用される分注装置と、該分注装置を用いてDNAチップを製造する方法に関する。
近年における遺伝子構造の解析方法の進歩にはめざましいものがあり、ヒトの遺伝子をはじめとして、多数の遺伝子構造が明らかにされてきている。このような遺伝子構造の解析には、顕微鏡スライドグラス等の基板上に数千から一万種類以上の異なる種類のDNA断片をスポットとして整列固定させたDNAチップ(DNAマイクロアレイ)が用いられるようになってきている。
このDNAチップの製造におけるスポットの形成方法としては、QUILL方式、ピン&リング方式、あるいはスプリングピン方式といった、いわゆるピンによる基板上へのDNA断片を含んだ試料溶液の供給(打ち込み)を行う方式が広く用いられており、いずれの方法を採用した場合であっても、各スポットの容量と形状のばらつきを低く抑えて、各スポット間の距離を一定に保つことが重要となる。
一方、更なる高密度化に向けて、スポットの形状制御性が良好であり、生産性に優れた新しい方法の開発に対する期待も大きい。
ここで、QUILL方式は、ピン先に形成された凹部に試料を貯め、ピン先を基板に接触させることで凹部内の試料を基板上に移して微小スポットを形成する方法であるが、ピン先が基板との接触によって変形し、あるいは損傷する等の耐久性の問題や、凹部に溜められた試料の洗浄が不完全となってクロスコンタミネーションが起こりやすい等の問題がある。
また、ピン&リング方式は、マイクロプレート中の試料溶液をリングでリザーブした後、溶液がリザーブされたリング内側を貫通するようにしてピン先でリング内の試料を捉え、基板上にスポットを形成していく方法であるが、1回にリザーブできる試料はリングの数に依存し、従来、その数は数種類程度であることから、数千種から数万種といった試料の微小スポットを形成するためには、数百から数千回程度の洗浄・乾燥工程もまた必要となり、従って、生産性は必ずしも高いものとは言い難い。
また、スプリングピン方式は、ピン先に付着した試料を、ピン先を基板に押し付けることで基板上に移して微小スポットを形成する方法であり、スプリングを内蔵した二重ピン構造で、ピン、基板の損傷をやわらげ、試料を吹き出すものであるが、基本的には1回のリザーブで1回のスポッティングしかできず、生産性に劣っている。
更に、これら従来の微小スポットの形成方法は、すべて試料溶液を大気中にさらした状態で基板上に運ぶため、運ぶ途中で試料が乾燥し、スポッティングができなくなるといった不具合が生じ、大変高価な試料溶液の使用効率が悪いといった問題がある。
一方、プリンタにおいて実用化されているいわゆるインクジェット方式を用いてスポッティングする方策も検討されているが、数千から数万といった試料を個別の流路で形成することは、サイズ的、コスト的に課題が多く、更にインクジェット方式は、スポッティング前にそのポンプ内に予め試料を気泡がないように充填する必要があり、そのため、大量のパージ用試料が必要となり、試料の使用効率が極めて劣るものであった。また、一般的には、ポンプ室を含む流路中は高速に液体が移動する方が気泡抜けには好ましく、そのため、試料が流路中で攪拌され、例えばデリケートなDNA溶液を試料とした場合、DNAが損傷することがあった。
特開平6−40030号公報
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、微小スポットの形成を高精度且つ高速に可能ならしめるマイクロピペットが多数配列して構成され、かつ、各マイクロピペットへの溶液の供給を迅速に、かつ、確実に行うことができ、溶液の供給から基板上への供給までの工程をスムーズに行わせることができる分注装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、溶液の供給から基板上への供給までの工程をスムーズに行わせることができ、DNAチップの品質の向上並びに歩留まりの向上を図ることができるDNAチップの製造方法を提供することにある。
本発明は、少なくとも1個以上の基体に、外部から試料溶液を注入するための注入口と、前記試料溶液が注入・充填されるキャビティと、前記試料溶液を吐出する吐出口とが形成され、前記キャビティを形成する前記基体の少なくとも一壁面に圧電/電歪素子を備え、前記キャビティ内において前記試料溶液が移動するように構成されたマイクロピペットが複数配列されて構成され、かつ、各マイクロピペットの吐出口から前記試料溶液が吐出される分注装置において、各マイクロピペットの注入口に上方に突出するピンが設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、少なくとも1個以上の基体に、外部から試料溶液を注入するための注入口と、前記試料溶液が注入・充填されるキャビティと、前記試料溶液を吐出する吐出口とが形成され、前記キャビティを形成する前記基体の少なくとも一壁面に圧電/電歪素子を備え、前記キャビティ内において前記試料溶液が移動するように構成されたマイクロピペットが複数配列されて構成された分注装置を使用し、各マイクロピペットの吐出口から前記試料溶液を基板上に吐出してDNAチップを製造するDNAチップの製造方法において、前記分注装置として、各マイクロピペットの注入口に上方に突出するピンが設けられたものを使用することを特徴とする。
これにより、前記注入口の上方に位置決めされるカートリッジの溶液溜め部に前記ピンによって孔を開け、前記溶液溜め部に溜められていた溶液を前記注入口に導入するということが可能となる。
即ち、前記分注装置の上方に、溶液溜め部が多数配列されたカートリッジを位置させ、前記カートリッジを分注装置側に移動させる。このとき、前記ピンによって各溶液溜め部に孔が開けられることになるため、前記溶液溜め部に溜められていた溶液が前記ピンを伝って前記注入口に導入されることになる。こうすることで、カートリッジの溶液溜め部から、分注装置に試料溶液を注入する際に、特別な装置を介する必要もなく、もって特別な装置内に試料溶液が残留し、試料溶液の使用効率が低下することもない。
この場合、前記溶液溜め部に溜められていた溶液を前記注入口に導入する際に、各溶液溜め部の上方から気体を圧送するようにしてもよい。これにより、注入時間の短縮化を図ることができる。
また、この発明においては、前記注入口の上方に位置決めされるカートリッジの溶液溜め部を閉塞するように被覆されたフィルム材に孔を開けて、前記溶液溜め部に溜められていた溶液を前記注入口に導入するということが可能となる。
即ち、溶液溜め部が多数配列されたカートリッジに対し、前記溶液溜め部を閉塞するようにフィルム材を被覆し、前記分注装置の上方に前記カートリッジを前記フィルム材が前記分注装置に対向するように位置させ、前記カートリッジを分注装置側に移動させる。このとき、前記ピンによって、前記フィルム材のうち、各溶液溜め部に対応する部分に孔が開けられることになるため、前記溶液溜め部に溜められていた溶液が前記ピンを伝って前記注入口に導入されることになる。
フィルム材に孔を開けることは、カートリッジの溶液溜め部に孔を開けることにより、比較的簡便に実施でき、試料溶液の導入が簡単になる。
このように、本発明に係る分注装置においては、各マイクロピペットへの溶液の供給を迅速に、かつ、確実に行うことができ、溶液の供給から基板上への供給までの工程をスムーズに行わせることができる。
なお、前記ピンとは、平面上から突出した部分を有する突起状の部分を指し、その先端がとがっていることが好ましい。そして、分注装置を構成するマイクロピペットの各注入口の配列位置は、カートリッジの溶液溜め部の配列位置と等しくする、あるいは溶液溜め部の配列ピッチの整数倍、あるいは整数分の1の配列ピッチであることが好ましい。
そして、前記ピンを、平面上、前記注入口に含まれる位置に設けるようにしてもよいし、前記注入口の周縁に設けるようにしてもよい。前記ピンを平面上前記注入口に含まれる位置に設けることにより、試料溶液が導入される孔を、注入口の真上に位置させることができ、より確実に試料溶液の導入を行うことができる。特に、ピンの基底部を注入口内に位置させれば、試料溶液を確実に注入口内に導くことができる。また、前記ピンを前記注入口の周辺に設けることにより、ピンの形成が容易になり、分注装置の製造コストが低減される。
また、本発明は、分注装置を構成する各マイクロピペットの注入口の周縁に、該注入口から溶液を注入するためのピペット又は該ピペットを受けるための管を保持する保持部を設けるようにしてもよい。
これにより、ピペットを用いて分注装置の各マイクロピペット内に溶液を注入する際に、ピペット又は該ピペットを受けるための管が前記保持部にて保持されるため、溶液を確実にマイクロピペット内に注入することができ、溶液漏れなどを効果的に防止することができる。
特に、前記ピペットを受けるための管の少なくとも内壁を親水処理することによって、ピペットから吐出された溶液を気泡等をまき込むことなく確実にマイクロピペットの注入口に導くことができる。
また、本発明においては、前記ピペットを受けるための管の一部に、管内に注入された液量を測定する目盛りが形成されていたり、前記ピペットを受けるための管の内壁の一部に、突起を設けた部分と設けない部分が注入口から同一距離の箇所に形成されていてもよい。
目盛りの形成により、注入した試料溶液や吐出された試料溶液の量をその場で測定、確認でき、もって製品製造管理の品質管理に役立つと共に、前記マイクロピペット内に試料溶液を注入、充填するに際し、予め置換液や中間液を充填する方法を使用したときに置換液や中間液の液量管理に有効であり、結果として置換液、中間液から試料溶液への置換が確実なものとなり、もって供給される試料溶液の濃度ばらつきを低減することができ、製品の品質が向上する。
また、前記ピペットを受けるための管の内壁の一部に、突起を設けた部分と設けない部分を注入口から同一距離の箇所に形成することにより、突起に試料溶液を導入するピペットの先端を接触させるようにして導入作業を行うことが可能となり、ピペット注入位置を常に一定にすることができ、導入作業のばらつきが低減される。
更に、突起を設けた部分と設けない部分があることにより、注入時の気体の抜け道が確保され、気泡等を巻き込むことなく導入作業を行うことができる。なお、このような効果は、試料溶液、置換液等を導入(注入)する場合にのみ発揮されるわけではなく、余分な量の試料溶液、又は置換液、中間液を取り除くために、ピペッティングを行う際にも有効である。
また、本発明においては、前記ピペットを受けるための管と前記注入口との間に、注入される試料溶液中の異物を取り除く目的で、前記吐出口の開口面積以下の開口面積の開口部が多数形成されたフィルタが取り付けられていることが好ましい。このようにすることで、マイクロピペット内に異物が混入し、吐出口等が詰まってしまい試料溶液の供給が不能になることが未然に防げる。
また、本発明は、前記分注装置を構成する各マイクロピペットの配列ピッチを可変にするためのピッチ可変機構を有するようにしてもよい。
これにより、溶液を前記分注装置に供給する際に、前記分注装置における各マイクロピペットの配列ピッチを、前記分注装置に溶液を供給する溶液供給手段の各ピペットあるいは各ピペットの注入口の配列ピッチに合わせて行い、前記分注装置から前記基板上に試料溶液を供給する際に、前記分注装置における各マイクロピペットの配列ピッチを、前記溶液供給手段における各ピペットの配列ピッチとは異なるピッチに設定して行うことができ、溶液の供給から基板上への供給までの工程をスムーズに行わせることができる。
即ち、一般的には、マイクロピペット及び分注装置への試料溶液の供給(注入又は導入)は、溶液供給手段、又は前記溶液溜め部を有するカートリッジの寸法的制約がある場合が多く、各ピペットあるいは注入口の配列ピッチは比較的大きく取らざるを得ないが、一方で、基板上への試料溶液の供給時においては、供給ピッチを小さくする方がスポット密度や一度に供給できるスポット数の観点から有利な場合が多く、そのような場合に、本発明に係る分注装置が好適に採用されるのである。
また、本発明は、前記分注装置に溶液を供給するためのピペットが多数配列され、各ピペットの配列ピッチを可変にするためのピッチ可変機構を有する溶液供給手段を使用し、前記溶液供給手段に溶液を供給する際に、各ピペットの配列ピッチを、溶液溜め部が多数配列されたカートリッジの溶液溜め部の配列ピッチに合わせて行い、前記溶液供給手段から前記分注装置に溶液を供給する際に、各ピペットの配列ピッチを、前記分注装置におけるマイクロピペットの配列ピッチに合わせて行うようにしてもよい。
この場合、カートリッジの各溶液溜め部に溜められた溶液を分注装置に供給する処理をスムーズに行わせることができ、製造時間の短縮化を有効に図ることができる。
また、本発明は、前記分注装置を使用する場合に、前記分注装置にはピンを設けずに、分注装置の上方に、溶液溜め部が多数配列されたカートリッジを位置させ、各溶液溜め部に外方からピンで孔を開けて、前記溶液溜め部に溜められていた溶液を前記注入口に導入するようにしてもよい。この場合、分注装置の各マイクロピペットを簡単な構成とすることができる。
上述の分注装置における注入口を親水処理することで、該注入口を通じて供給される試料溶液をスムーズにキャビティ側に導くことができるため、試料溶液の供給時間の短縮化を図ることができる。
以上説明したように、本発明に係る分注装置及びDNAチップの製造方法によれば、各マイクロピペットへの溶液の供給を迅速、かつ、効率的に、かつ、確実に行うことができ、溶液の供給から基板上への供給までの工程をスムーズに行わせることができる。
以下、本発明に係る分注装置及びDNAチップの製造方法の実施の形態例を図1〜図22を参照しながら説明する。
まず、第1の実施の形態に係る分注装置30Aは、図1に示すように、矩形状の固定板32の上面に複数個のマイクロピペット34をマトリクス状に配列して構成されている。図1の例では、10個のマイクロピペット34を5行2列に配列した例を示している。
マイクロピペット34は、図2及び図3に示すように、ほぼ直方体の形状を有する基体50の上面に形成された試料注入口52と、該基体50の下面に形成された試料吐出口54と、内部に試料注入口52と試料吐出口54との間に形成されたキャビティ56と、基体50(正確には後述する振動部66)を振動させたり、キャビティ56の体積を変化させたりするアクチュエータ部58とを有して構成されている。
従って、図3に示すように、前記固定板32には、マイクロピペット34の試料吐出口54に対応する箇所にそれぞれ貫通孔40が設けられている。これにより、マイクロピペット34の試料吐出口54から吐出された試料溶液が、前記貫通孔40を通じて、例えば固定板32の下方に固定された基板10に供給(滴下を含む)されることになる。
このマイクロピペット34は、試料注入口52から基体50の内部にかけて開口幅の大きいほぼL字状の導入穴60が形成されている。この導入穴60とキャビティ56との間には、径の小さい第1の連通孔62が形成され、試料注入口52から注入された試料溶液が導入穴60及び第1の連通孔62を通じてキャビティ56に導入されるようになっている。
キャビティ56のうち、前記第1の連通孔62とは異なる位置に、試料吐出口54に連通し、かつ、第1の連通孔62よりも径の大きい第2の連通孔64が形成されている。この第1の実施の形態では、キャビティ56の下面のうち、試料注入口52寄りに第1の連通孔62を形成し、同じくキャビティ56の下面のうち、試料吐出口54に対応した位置に第2の連通孔64を形成するようにしている。
更に、この第1の実施の形態では、基体50のうち、キャビティ56の上面が接する部分が薄肉とされ、外部応力に対して振動を受けやすい構造となっており、振動部66として機能するようになっている。振動部66の上面に前記アクチュエータ部58が形成されている。
基体50は、複数枚のジルコニアセラミックスのグリーンシート(第1の薄板層50A、第1のスペーサ層50B、第2の薄板層50C、第2のスペーサ層50D及び第3の薄板層50E)を積層し、一体焼成して構成されている。
つまり、基体50は、試料注入口52を構成する窓部が形成され、一部において振動部66を構成する薄肉の第1の薄板層50Aと、導入穴60の一部及びキャビティ56を構成する複数の窓部がそれぞれ形成された厚肉の第1のスペーサ層50Bと、導入穴60の一部、第1の連通孔62及び第2の連通孔64の一部を構成する複数の窓部がそれぞれ形成された薄肉の第2の薄板層50Cと、導入穴60の一部及び第2の連通孔64の一部を構成する複数の窓部がそれぞれ形成された厚肉の第2のスペーサ層50Dと、試料吐出口54を構成する窓部が形成された薄肉の第3の薄板層50Eとを積層し、一体焼成して構成されている。
アクチュエータ部58は、前記振動部66のほか、該振動部66上に直接形成された下部電極70と、該下部電極70上に形成された圧電/電歪素子や反強誘電体等からなる圧電層72と、該圧電層72の上面に形成された上部電極74とを有して構成されている。
下部電極70と上部電極74は、図2に示すように、それぞれ基体50の上面に形成された複数のパッド76及び78を通じて図示しない駆動回路に電気的に接続される。
上記のような構成のマイクロピペット34によれば、上部電極74と下部電極70との間に電界が生じると、圧電層72が変形し、それに伴って振動部66が変形し、振動部66に接しているキャビティ(加圧室)56の容積が減少又は増加することになる。
このキャビティ56の容積の減少によってキャビティ56内に充填された試料溶液がキャビティ56に連通する試料吐出口54から所定速度で吐出され、図6に示すように、マイクロピペット34から吐出された試料溶液が顕微鏡スライドガラス等の基板10上に微小スポット80として整列固定されたDNAチップ20を作製することができる。また、このキャビティ56の容積増加によって、キャビティ56内に連通孔62から新たな試料溶液が注入、充填され、次の吐出に備えられる。
この場合、基板10上に形成される微小スポット80の配列ピッチよりも分注装置30Aにおける試料吐出口54の配列ピッチが大きいため、分注装置30Aでの供給位置をずらしながら試料溶液を供給することになる。
なお、アクチュエータ部58の駆動によって、キャビティ56の容積が減少する構造としては、いわゆるインクジェット方式の装置構造を採用することができる(特開平6−40030号公報参照)。
そして、キャビティ(加圧室)56は、DNA断片などを含む試料溶液が乱れが少なく移動するような流路寸法に形成されている。
つまり、キャビティ56の寸法は、試料の種類、作成する液滴の大きさ、形成密度により異なるが、例えば、塩基対1〜10000程度のDNA断片を100μg/μリットル以下の濃度で×1TEバッファ溶液(緩衝液)に溶解させ、更に等量のポリマーを含んだ水溶液と混合させた試料を50〜600μmピッチで30〜500μmφ液滴径の滴下を行う場合においては、図4に示すように、キャビティ長(L)は、1〜5mm、キャビティ幅(W)は、0.1〜1mm、キャビティ深さ(D)は、0.1〜0.5mmが好ましい。またキャビティ56の内壁には、流れを乱す突起物がないように滑らかであることが好ましく、その材質は、試料溶液と親和性の良いセラミックスからなることがより一層好ましい。
このような形状にすることにより、キャビティ56を試料注入口52から試料吐出口54に至る流路の一部として、試料注入口52から導入穴60、第1の連通孔62を経てキャビティ56内に移動する試料溶液の流れを乱すことなく試料吐出口54に導くことができる。
なお、基体50は、前述したように、ジルコニアセラミックスの一体積層、焼成体であるほかに、アクチュエータ部58を形成したジルコニアセラミック焼結体と金属、樹脂フィルム等との接着体であってもよい。特に、試料吐出口54を形成した薄板層50Eは、その加工法とのマッチングを考慮して、PETフィルム等の有機樹脂をエキシマレーザ等で加工したシート、あるいはステンレスフィルム等の金属を金型等で打ち抜いたシートであることが好ましい。
また、試料吐出口54と第1の連通孔62の寸法は、吐出する試料溶液の物性、吐出量、吐出速度等によって最適設計されるが、10〜100μmφ程度であることがよい。
図5は、1つの試料注入口52とそれに連結する導入穴60に対し、2つの第1の連通孔62が連通し、それぞれの第1の連通孔62には、キャビティ56、第2の連通孔64及び試料吐出口54が連続して形成された流路65がそれぞれ独立して2つ形成されている。各キャビティ56の上面には、それぞれ独立して配線、駆動するアクチュエータ部58(図示せず)が形成される。このような構成のマイクロピペット34によれば、同一の試料溶液を同時に、又はタイミングをずらして基板10上に供給することができる。
ところで、図1に示すように、固定板32の上面には、マイクロピペット34を位置決め固定するための複数のピン38が設けられている。マイクロピペット34を固定板32上に固定する場合は、マイクロピペット34の基体50の両側に設けられた位置決め用孔90(図2参照)に固定板32のピン38を挿入させながら、マイクロピペット34を固定板32に載置することで、自動的に複数のマイクロピペット34が所定の配列配置で位置決めされることになる。
そして、この第1の実施の形態においては、図2及び図3に示すように、試料注入口52から上方に突出するピン100が設けられて構成されている。図2及び図3の例では、基体50を構成する各層50A〜50Eのうち、最下層の第3の薄板層50Eを除く4つの層50A〜50Dにおいて、試料注入口52の例えば中心部に向かって張り出す張出し部50Aa、50Ba、50Ca、50Daを一体に設け、上層(第1の薄板層50A)の張出し部50Aaの上面にピン100を例えば接着剤で固着した構成を示す。
その他の構成としては、例えば図7及び図8に示すように、試料注入口52に連通する導入穴60の底部にピン100を接着する構成(第1の変形例)や、図9に示すように、試料注入口52の周縁部52aを面取りし、該周縁部52aの一部にピン100を接着する構成(第2の変形例)などがある。なお、ピン100の形成は、例えば接着剤による接着のほかに、ジルコニアセラミックスの一体焼成で形成してもよい。
また、上述の分注装置30Aは、試料注入口52及び試料吐出口54を有するマイクロピペット34の複数個をそれぞれ試料吐出口54を下方向に向けた状態で立設させて構成されている。
即ち、各マイクロピペット34は、それぞれの試料注入口52を上側とし、試料吐出口54を下側とし、かつ、各試料吐出口54が縦横に配列配置されて、試料吐出口54からそれぞれ種類の異なる試料溶液が吐出されるようになっている。
このような構成を有する分注装置30Aにおいて、各試料注入口52に対応してそれぞれ種類の異なる試料溶液を供給する方法としては、図1に示すように、例えば多数の断面ほぼV字状の凹部(溜め部)110が配列されたカートリッジ112を使用する方法がある。
具体的に、カートリッジ112を用いて分注装置30Aの各マイクロピペット34に試料溶液を注入するいくつかの方法を図1、図3、図8、図9並びに図10〜図12を参照しながら説明する。
第1の方法は、まず、カートリッジ112の各溜め部110にそれぞれ種類の異なる試料溶液を入れる。その後、図1に示すように、カートリッジ112を溜め部110の先端(頂部)を下に向けて、分注装置30Aの上方に位置させる。
その後、カートリッジ112を分注装置30A側に移動させる。図3、図8及び図9に示すように、カートリッジ112と分注装置30Aとの間隔が所定の距離になった段階で、溜め部110の頂部が各マイクロピペット34に設けられたピン100と接触し、更にカートリッジ112が下方に移動することによって、溜め部110の頂部にピン100が突き刺さり、結果的に各溜め部110に孔が開けられることとなる。
溜め部110に孔が開いた段階で、カートリッジ112をわずかに上方に移動させることによって、孔とピン100との隙間から試料溶液が漏れ出す。漏れ出した試料溶液は、ピン100を伝って試料注入口52に導入され、導入穴60及び第1の連通孔62を通じてキャビティ56に導かれることとなる。特に、図8の例では、ピン100の基底部が導入穴60内に存在することから、カートリッジ112の各溜め部110にある試料溶液を漏れなく前記導入穴60に導くことができる。
この第1の方法においては、少なくとも溜め部110の頂部に孔が開けられた段階からカートリッジ112の上方から気体をカートリッジ112に向けて圧送することが好ましい。これによって、注入時間の短縮化を図ることができる。
次に、第2の方法は、まず、カートリッジ112の各溜め部110にそれぞれ種類の異なる試料溶液を入れる。その後、図10に示すように、カートリッジ112の各溜め部110を閉塞するように薄いフィルム材130を貼着する。その後、図11に示すように、カートリッジ112を、溜め部110の先端(頂部)を上に向けて、分注装置30Aの上方に位置させる。即ち、フィルム材130と分注装置30Aとを対向させる。
その後、カートリッジ112を分注装置30A側に移動させる。図12に示すように、カートリッジ112と分注装置30Aとの間隔が所定の距離になった段階で、フィルム材130が各マイクロピペット34に設けられたピン100と接触し、更にカートリッジ112が下方に移動することによって、フィルム材130にピン100が突き刺さり、結果的にフィルム材130のうち、各溜め部110に対応した部分に孔が開けられることとなる。
フィルム材130に孔が開いた段階で、カートリッジ112をわずかに上方に移動させることによって、孔とピン100との隙間から試料溶液が漏れ出す。漏れ出した試料溶液は、ピン100を伝って試料注入口52に導入され、導入穴60及び第1の連通孔62を通じてキャビティ56に導かれることとなる。
この第2の方法においては、少なくとも溜め部110の頂部に孔が開けられた段階でカートリッジ112を熱することが好ましい。これによって、各溜め部110の試料溶液及び気体が膨張するため、フィルム材130に開けられた孔から試料溶液が急速に試料注入口52に導入されることになり、その結果、試料溶液の注入時間の短縮化を図ることができる。
このように、第1の実施の形態に係る分注装置30A並びに上述した第1及び第2の方法においては、各マイクロピペット34への試料溶液の供給を迅速に、かつ、効率的に、かつ、確実に行うことができ、試料溶液の供給から基板10上への供給までの工程をスムーズに行わせることができ、DNAチップ20の品質の向上並びに歩留まりの向上を図ることができる。
なお、上述した第1及び第2の方法においては、図3及び図12に示すように、試料注入口52に設けられた張出し部50Aa上にピン100を固着したマイクロピペット34を有する分注装置30Aに適用した例を示したが、その他、図8に示すように導入穴60の底部にピン100を設けたマイクロピペット34を有する分注装置30Aや、試料注入口52の周縁部52aにピン100を設けたマイクロピペット34を有する分注装置30Aにも同様に適用させることができる。
なお、第1及び第2の方法において、各マイクロピペット34の基体50内に形成された試料注入口52から試料吐出口54に至る空間を洗浄する機構を備えるようにしてもよい。この場合、数千から数万種類という多種類のDNA断片などを汚染なく、しかも純度よく微小スポット80として吐出することになり、好ましい。
また、マイクロピペット34を構成する基体50は、上述したように、セラミックスで形成されており、例えば、安定化ジルコニアや部分安定化ジルコニア、アルミナ、マグネシア、窒化珪素等を用いることができる。
このうち、安定化/部分安定化ジルコニアは、薄板においても機械的強度が大きいこと、靱性が高いこと、圧電層72や電極材との反応性が小さいことから最も好適に採用される。
そして、基体50等の材料として安定化/部分安定化ジルコニアを使用する場合には、少なくとも、アクチュエータ部58が形成される部分(振動部66)には、アルミナあるいはチタニア等の添加物が含有されることが好ましい。
また、アクチュエータ部58を構成する圧電層72は、圧電セラミックスとして、例えば、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛、チタン酸バリウム等やこれらのいずれかを組み合わせた成分を含有する複合セラミックスを用いることができるが、この第1の実施の形態においては、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛からなる成分を主成分とする材料が好適に用いられる。
これは、このような材料が、高い電気機械結合係数と圧電定数を有することに加え、圧電層72の焼結時における基体材料との反応性が小さく、所定の組成のものを安定に形成することができることに基づくからである。
更に、この第1の実施の形態では、前記圧電セラミックスに、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン、セリウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、リチウム、ビスマス、スズ等の酸化物、もしくはこれらいずれかの組合せ、又は他の化合物を適宜、添加したセラミックスを用いてもよい。
例えば、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛を主成分とし、これにランタンやストロンチウムを含有するセラミックスを用いることもまた好ましい。
一方、アクチュエータ部58における上部電極74及び下部電極70は、室温で、固体であって導電性の金属で構成されていることが好ましく、例えば、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、鉛等の金属単体あるいはこれらのいずれかを組み合わせた合金が用いられ、更に、これらに圧電層72や基体50と同じ材料を分散させたサーメット材料を用いてもよい。
そして、上述した第1の方法又は第2の方法によって、それぞれ種類の異なる試料溶液を各マイクロピペット34に充填した後においては、各アクチュエータ部58を駆動して、各マイクロピペット34の試料吐出口54から試料溶液を吐出させる。
ここで、アクチュエータ部58の各電極70及び74に印加する電圧波形のうち、アクチュエータ部58がオン動作して、キャビティ56の容積を減少させる場合、各電極70及び74にはパルス的な電圧が印加されることになる。この場合、パルスの振幅(電圧)、単位時間当たりの変化量(電圧波形の立ち上がり角度)、パルス幅等を変化させることで、振動部66の変形量、変形速度等が変化し、これにより、試料溶液の吐出量が制御できる。また、一定期間に発生させるパルス数を変化させることで、単位時間当たりの試料溶液の滴下回数を変更することができる。
試料溶液を複数供給して1つのスポット80を形成する場合、通常、供給位置を固定して、供給回数を重ねるが、供給毎に供給位置をずらしてもよい。例えば図13A及び図13Bに示すように、試料溶液の供給位置を適宜変えることによって、形成されるべき1つのスポット80(二点鎖線で示す)内に複数の試料溶液による微小スポット80aが形成され、これら微小スポット80aが基板10上で組み合わさることで(合体)、図14A及び図14Bに示すように、1つのスポット80が形成されることになる。この場合、供給する試料溶液の種類に応じて、供給回数、供給位置及び1回の供給量を制御することで、基板10上に形成される各スポット80の径の均一化を図ることができる。
また、キャビティ56に試料溶液を充填した後に、アクチュエータ部58に振動を励起する程度の電圧を印加することが好ましい。これにより、キャビティ内に充填された試料溶液に含まれるDNA断片が均一に分散され、供給毎のDNA断片の量にばらつきは生じなくなる。
ところで、上述の例では、分注装置30Aの各マイクロピペット34にそれぞれピン100を設けるようにしたが、その他、各マイクロピペット34にピン100を設けずに、図15に示すように、外方からピン100でカートリッジ112の各溜め部110に孔を設けるようにしてもよい(第3の方法)。
即ち、図15に示すように、分注装置30Aとして、各マイクロピペット34の試料注入口52にピン100が設けられていないものを使用する。そして、二点鎖線で示すように、例えばカートリッジ112の各溜め部110がマイクロピペット34の試料注入口52に接する、あるいは近接した段階で、各溜め部110の上方からピン100を溜め部110に突き刺し、該溜め部110に孔を開ける。
溜め部110に孔が開いた段階で、ピン100を引き抜くことにより、該孔から試料溶液が吐出して試料注入口52に導入され、導入穴60及び第1の連通孔62を通じてキャビティ56に導かれることとなる。
上述した第1の実施の形態に係る分注装置30Aでは、各マイクロピペット34の配列ピッチが、カートリッジ112の各溜め部110の配列ピッチとほぼ同じである場合を示したが、その他、図16A及び図16Bの第2の実施の形態に係る分注装置30Bのように、各マイクロピペット34の配列ピッチを可変にするようにしてもよい。
即ち、この第2の実施の形態に係る分注装置30Bは、図16A及び図16Bに示すように、各マイクロピペット34の配列ピッチを可変とするピッチ可変機構140が設けられて構成されている。このピッチ可変機構140としては、ネジを主体にした機構や、バネを主体にした機構、あるいはこれらの組合せ機構等を採用することができる。
特に、この第2の実施の形態に係る分注装置30Bを使用する場合は、図16Aに示すように、多数のピペット142が配列された溶液供給装置144を使用することができる。
各マイクロピペット34の配列ピッチの可変設定としては、ピッチ可変機構140で各マイクロピペット34の配列ピッチを例えば最小にしたとき、図16Bに示すように、基板10上への供給が最適なピッチとされ、前記配列ピッチを例えば最大にしたときに、図16Aに示すように、溶液供給装置144の各ピペット142の配列ピッチとほぼ同じとされることが好ましい。各マイクロピペット34間において、それぞれのピッチ上のばらつきを抑えることができるからである。
そして、この分注装置30Bを使用する場合は、まず、図16Aに示すように、ピッチ可変機構140によって各マイクロピペット34の配列ピッチを最大にして、溶液供給装置144における各ピペット142の配列ピッチとほぼ同じにし、この状態で、溶液供給装置144から試料溶液を分注装置30Bの各マイクロピペット34に供給する。
分注装置30Bへの試料溶液の供給が完了した段階で、図16Bに示すように、ピッチ可変機構140によって各マイクロピペット34の配列ピッチを最小にする。次いで、分注装置30Bを基板10上に搬送し、その後、各マイクロピペット34のアクチュエータ部58を駆動させて、試料溶液を基板10上に吐出供給し、基板10上に微小スポット80を形成する。
この第2の実施の形態に係る分注装置30B及び該分注装置30Bを使用した製造方法においては、溶液供給装置144から分注装置30Bへの試料溶液の供給、並びに分注装置30Bから基板10上への供給を、迅速、かつ、効率的に、かつ、確実に行うことができ、試料溶液の供給から基板10上への供給までの工程をスムーズに行わせることができ、DNAチップ20の品質の向上並びに歩留まりの向上を図ることができる。
上述の第2の実施の形態においては、分注装置30Bにピッチ可変機構140を設けるようにしたが、その他、図17A及び図17Bに示すように、溶液供給装置144にピッチ可変機構150を設けるようにしてもよい。このピッチ可変機構150は、溶液供給装置144を構成する各ピペット142の配列ピッチを可変する機構を有する。このピッチ可変機構150としては、ネジを主体にした機構や、バネを主体にした機構、あるいはこれらの組合せ機構等を採用することができる。
この場合、分注装置30としては、図17Bに示すように、各マイクロピペットの配列ピッチが、試料溶液を基板10上に供給する上で最適なピッチに固定されたものを使用することができる。
溶液供給装置144における各ピペット142の配列ピッチの可変設定としては、ピッチ可変機構150で各ピペット142の配列ピッチを例えば最小にしたとき、図17Bに示すように、分注装置30における各マイクロピペット34の試料注入口52の配列ピッチとされ、前記各ピペット142の配列ピッチを例えば最大にしたときに、図17Aに示すように、カートリッジ112の各溜め部110の配列ピッチとほぼ同じとされることが好ましい。これは、溶液供給装置144における各ピペット142間において、それぞれのピッチ上のばらつきを抑えることができるからである。
そして、この溶液供給装置144を使用する場合は、まず、図17Aに示すように、ピッチ可変機構150によって各ピペット142の配列ピッチを最大にして、カートリッジ112における各溜め部110の配列ピッチとほぼ同じにし、この状態で、カートリッジ112の溜め部110に溜められている試料溶液を各ピペット142を介して溶液供給装置144に吸引導入する。
溶液供給装置144への試料溶液の供給が完了した段階で、図17Bに示すように、ピッチ可変機構150によって各ピペット142の配列ピッチを最小にして、分注装置30における各マイクロピペット34の配列ピッチとほぼ同じにし、この状態で、溶液供給装置144から試料溶液を分注装置30の各マイクロピペット34に供給する。
分注装置30への試料溶液の供給が完了した段階で、図17Cに示すように、分注装置30を基板10上に搬送し、その後、各マイクロピペット34のアクチュエータ部58を駆動させて、試料溶液を基板10上に吐出供給し、基板10上に微小スポット80を形成する。
このように、ピッチ可変機構150を有する溶液供給装置144を使用した製造方法においては、カートリッジ112から溶液供給装置144への試料溶液の供給、溶液供給装置144から分注装置30への試料溶液の供給、並びに分注装置30から基板10上への供給を迅速、かつ、効率的に、かつ、確実に行うことができ、試料溶液の供給から基板10上への供給までの工程をスムーズに行わせることができ、DNAチップ20の品質の向上並びに歩留まりの向上を図ることができる。
次に、第3の実施の形態に係る分注装置30Cについて図18〜図22を参照しながら説明する。
この第3の実施の形態に係る分注装置30Cは、図18に示すように、特に、第2の実施の形態に係る分注装置30Bや、図17Bの分注装置30に適用されるもので、各マイクロピペット34の試料注入口52の周縁部に、溶液供給装置144の各ピペット142を保持するための保持部160が設けられて構成されている。この保持部160は、試料注入口52の周縁部に設けられた例えばOリング162と、該Oリング162を固定する固定部164を有して構成されている。
固定部164は、例えば図19に示すように、リング状に形成された側壁166とOリング162の上方への離脱を防止するための円形の孔168が形成された上壁170が一体に形成されて構成されている。この固定部164は、基体50と一体に形成してもよいし、その他、基体50とは別体に形成し、接着剤等で基体50上に固着するようにしてもよい。図18では、接着剤で固着した例を示す。
固定部164の他の例としては、例えば図20に示すように、上部が試料注入口52の軸線mに向かって屈曲するL字状の保持片172を複数個(図20の例では4個)設けて構成するようにしてもよい。
そして、溶液供給装置144を使用して、この第3の実施の形態に係る分注装置30Cの各マイクロピペット34に試料溶液を使用する場合は、図18に示すように、溶液供給装置144の各ピペット142の先端部を、それぞれ対応するマイクロピペット34の前記保持部160におけるOリング162内に差し込むことで行われる。
試料溶液の供給の他の例としては、例えば図21に示すように、溶液供給装置144の各ピペット142が挿入可能な管180を保持部160に保持させて、試料溶液をマイクロピペット34に供給するようにしてもよい。この管180としては、上方に向かって徐々に径が大きくなるように設定され、かつ、下端部の径がOリング162の内径とほぼ同じに設定されたものを用いることができる。
この管180を用いる場合、ピペット142の先端を管180の内壁に近づけて行うようにすれば、ピペット142から吐出された試料溶液が管180の内壁に当たって飛び散るなどの不都合が生じないため、好ましい。
この第3の実施の形態に係る分注装置30Cにおいては、ピペット142を用いて分注装置30Cの各マイクロピペット34内に試料溶液を注入する際に、ピペット142又は管180が前記保持部160にて保持されるため、試料溶液を確実にマイクロピペット34内に注入することができ、溶液漏れなどを効果的に防止することができる。
特に、前記管180の少なくとも内壁を親水処理すれば、ピペット142から吐出された試料溶液を確実にマイクロピペット34の試料注入口52に導くことができるため、好ましい。
試料溶液の供給の更なる他の例としては、例えば図22に示すように、溶液供給装置144の各ピペット142を受けるための管180の一部に、管180内に注入された液量を測定する目盛り182が形成され、更に、管180の内壁の一部に、各ピペット142の一部を接触させるための突起184を設けた部分と設けない部分を試料注入口52から同一距離の箇所に形成するようにしてもよい。
そして、この図22では、管180と試料注入口52との間に、注入される試料溶液中の異物を取り除く目的で、試料吐出口54の開口面積以下の開口面積を有する開口部が多数形成されたフィルタ186が、保持部160と基体50と接着剤188とで周りを保持して取り付けられている。
ここで、保持部160は、全体がゴムのような弾性体で構成されており、保持部のみで、管180を気密に保持している。目盛り182によって、注入した試料溶液の量をその場で確認でき、また、突起184に各ピペット142を接触させて注入することで、注入する位置が常に一定になり、注入作業のばらつきが低減されると共に、突起184が形成されていない部分が注入時の気体を逃がすためのパスを構成することになり、試料溶液に気泡を巻き込むことなく、確実に注入することができる。
更に、フィルタ186によって、マイクロピペット34内への異物の混入を遮断でき、異物の詰まりによる吐出不良を回避することができる。なお、フィルタ186の開口部分の大きさ(径)は、吐出口の大きさ(径)以下であることが好ましい。但し、開口が小さすぎると、試料溶液の注入が困難になるため、吐出口の開口径の70%程度の大きさであるとより好ましい。
このように、第1〜第3の実施の形態に係る分注装置30A〜30Cや、図17Aに示す溶液供給装置144を使用してDNAチップ20を製造することにより、試料溶液の供給から基板10上への供給までの工程をスムーズに行わせることができ、DNAチップ20の品質の向上並びに歩留まりの向上を図ることができる。
特に、第1〜第3の実施の形態に係る分注装置30A〜30Cや、図17Bに示す分注装置30において、それぞれの試料注入口52を親水処理することで、該試料注入口52を通じて供給される試料溶液をスムーズにキャビティ56側に導くことができるため、試料溶液の供給時間の短縮化を図ることができる。
なお、この発明に係る分注装置及びDNAチップの製造方法は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
第1の実施の形態に係る分注装置の構成をカートリッジと共に示すもので、分注装置を使用してDNAチップを製造する第1の方法を説明するための斜視図である。 第1の実施の形態に係る分注装置を構成するマイクロピペットの構成を示す平面図である。 図2におけるIII−III線上の断面図である。 マイクロピペットの基体内に形成されるキャビティを含む流路の形状を示す斜視図である。 マイクロピペットの基体内に形成されるキャビティを含む流路の他の形状を示す斜視図である。 製造されるDNAチップを示す斜視図である。 第1の変形例に係るマイクロピペットの構成を示す平面図である。 図7におけるVIII−VIII線上の断面図である。 第2の変形例に係るマイクロピペットの構成を示す断面図である。 分注装置を使用してDNAチップを製造する第2の方法を説明するためのものであって、カートリッジの各溜め部を閉塞するようにフィルム材を貼着する状態を示す説明図である。 フィルム材を貼着したカートリッジを分注装置上に搬送した状態を示す説明図である。 マイクロピペットでフィルム材に孔をあける状態を示す断面図である。 図13Aは基板上に試料溶液を供給して、形成されるべき1つのスポット内に多数の微小スポットが形成されていく過程を示す断面図であり、図13Bはその平面図である。 図14Aは基板上において、多数の微小スポットが合体して1つのスポットが形成された状態を示す断面図であり、図14Bはその平面図である。 分注装置を使用してDNAチップを製造する第3の方法を示す説明図である。 図16Aは溶液供給装置から試料溶液を第2の実施の形態に係る分注装置に供給する状態を示す説明図であり、図16Bは第2の実施の形態に係る分注装置から試料溶液を基板上に供給する状態を示す説明図である。 図17Aはカートリッジの各溜め部から溶液供給装置に試料溶液を供給する状態を示す説明図であり、図17Bは溶液供給装置から試料溶液を分注装置に供給する状態を示す説明図であり、図17Cは分注装置から試料溶液を基板上に供給する状態を示す説明図である。 第3の実施の形態に係る分注装置におけるマイクロピペットの構成を示す断面図である。 保持部の一例を示す斜視図である。 保持部の他の例を示す斜視図である。 第3の実施の形態に係る分注装置におけるマイクロピペットの他の例の構成を示す断面図である。 第3の実施の形態に係る分注装置におけるマイクロピペットの更に他の例の構成を示す断面図である。
符号の説明
10…基板 20…DNAチップ
30、30A〜30C…分注装置 34…マイクロピペット
50…基体 52…試料注入口
52a…周縁部 54…試料吐出口
56…キャビティ 58…アクチュエータ部
80…微小スポット 100…ピン
110…凹部(溜め部) 112…カートリッジ
130…フィルム材 140…ピッチ可変機構
144…溶液供給装置 150…ピッチ可変機構
160…保持部 180…管
182…目盛り 184…突起
186…フィルタ

Claims (5)

  1. 少なくとも1個以上の基体に、外部から試料溶液を注入するための注入口と、前記試料溶液が注入・充填されるキャビティと、前記試料溶液を吐出する吐出口とが形成され、前記キャビティを形成する前記基体の少なくとも一壁面に圧電/電歪素子を備え、前記キャビティ内において前記試料溶液が移動するように構成されたマイクロピペットが複数配列されて構成され、かつ、各マイクロピペットの吐出口から前記試料溶液が吐出される分注装置において、
    各マイクロピペットの配列ピッチを可変にするためのピッチ可変機構を有することを特徴とする分注装置。
  2. 請求項1記載の分注装置において、
    前記注入口が親水処理されていることを特徴とする分注装置。
  3. 少なくとも1個以上の基体に、外部から試料溶液を注入するための注入口と、前記試料溶液が注入・充填されるキャビティと、前記試料溶液を吐出する吐出口とが形成され、前記キャビティを形成する前記基体の少なくとも一壁面に圧電/電歪素子を備え、前記キャビティ内において前記試料溶液が移動するように構成されたマイクロピペットが複数配列されて構成された分注装置を使用し、各マイクロピペットの吐出口から前記試料溶液を基板上に吐出してDNAチップを製造するDNAチップの製造方法において、
    前記分注装置は、各マイクロピペットの配列ピッチを可変にするピッチ可変機構が設けられ、
    溶液を前記分注装置に供給する際に、前記分注装置における各マイクロピペットの配列ピッチを、前記分注装置に溶液を供給する溶液供給手段の各ピペットの配列ピッチに合わせて行い、
    前記分注装置から前記基板上に試料溶液を供給する際に、前記分注装置における各マイクロピペットの配列ピッチを、前記溶液供給手段における各ピペットの配列ピッチとは異なるピッチに設定して行うことを特徴とするDNAチップの製造方法。
  4. 少なくとも1個以上の基体に、外部から試料溶液を注入するための注入口と、前記試料溶液が注入・充填されるキャビティと、前記試料溶液を吐出する吐出口とが形成され、前記キャビティを形成する前記基体の少なくとも一壁面に圧電/電歪素子を備え、前記キャビティ内において前記試料溶液が移動するように構成されたマイクロピペットが複数配列されて構成された分注装置を使用し、各マイクロピペットの吐出口から前記試料溶液を基板上に吐出してDNAチップを製造するDNAチップの製造方法において、
    前記分注装置に溶液を供給するためのピペットが多数配列され、各ピペットの配列ピッチを可変するためのピッチ可変機構を有する溶液供給手段を使用し、
    前記溶液供給手段に溶液を供給する際に、各ピペットの配列ピッチを、溶液溜め部が多数配列されたカートリッジの溶液溜め部の配列ピッチに合わせて行い、
    前記溶液供給手段から前記分注装置に溶液を供給する際に、各ピペットの配列ピッチを、前記分注装置におけるマイクロピペットの配列ピッチに合わせて行うことを特徴とするDNAチップの製造方法。
  5. 請求項4記載のDNAチップの製造方法において、
    前記試料溶液をインクジェット方式で前記基板上に供給することを特徴とするDNAチップの製造方法。
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