JP2005098741A - 漏えい検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 放射性流体の漏えい検出が、漏えい箇所の特定と共に迅速且つ確実に得られるようにした漏えい検出方法を提供すること。
【解決手段】 密閉した区画1に容器2、11、13及びそれらの配管3a、3b、12a、12b、14a、14bを設置し、各容器2、11、13により放射性流体を処理するようにした放射性物質を取り扱う施設において、排気ダクト4に設けてあるフィルタ5の中又はその近傍にα線検出器又はX線検出器からなる放射線検出器6を設け、区画1内で漏えいした放射性流体に含まれるα核種が微少な飛沫や粉末となって排気ダクト4に移行し、フィルタ5で捕集されたとき、それを放射線検出器6でで検出し、検出結果を分析して、予め確認されている容器及び配管内の放射性物質の種類と濃度等のリファレンスデータと対比することにより、何れの容器及び/又は配管から漏えいした可能性が高いかを推定する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、放射性物質の漏えいを検出する方法に係り、特に、放射性流体を取り扱う施設における放射性物質漏れの検出に好適な漏えい検出方法に関する。
放射性物質を取り扱う施設においては、施設から外部への放射性物質漏れの防止が極めて重要な命題になり、このため従来から様々な提案がなされている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
このとき、特に原子燃料再処理施設など、放射性流体(放射性物質を含有した流体も含む)を取り扱う施設では、それらの容器と配管の双方又は容器と配管の少なくとも一方(以下、容器及び/又は配管と記載する)の腐食による放射性流体の漏えい(漏洩)、容器や配管の破損による漏えいなど、様々な態様による放射性流体の漏えいを想定しておく必要がある。
また、このような施設では、そこで漏えいが発生した場合、施設そのものは隔壁などで区切られているので、外部に放射性物質が漏れる虞れはないが、内部で漏れた放射性流体による空間放射線量が増加したり、崩壊熱により温度上昇が起こってしまうなどの問題から、漏れた放射性流体をそのまま放置することが許されない場合がある。
そこで、このような場合、従来から、放射性流体を内包する容器や配管の下など、放射性流体が漏えいして滴下する虞れのある箇所に、漏えいした放射性の液を収集するための受け皿となる漏えい液収集枡を設置し、当該収集枡に設けてある漏えい液集液部(液溜り)に流れ込んで所定の液位に達した時点で溜った液体の存在を、例えば液位計により調べ、漏えい発生の有無を監視するようにしている。
特開平 2−96695号公報 特開平10−68793号公報 特開平 7−333095号公報
上記従来技術は、漏えい検知の迅速性と漏洩箇所の特定に配慮がされておらず、漏えい検出結果の確認に問題があった。
従来技術の場合、放射性流体の漏えい量が微少なときは、漏えい検出に十分な量の漏えい液が漏えい液集液部に溜るまで時間を要する。更に、漏えい量が極微量な場合は、たとえ漏えい液収集枡に漏えい液が滴下したとしても、集液部まで達しない虞れもあり、従って、漏えい検知の迅速性と正確性は必ずしも高いものになっていない。
また、従来技術では、漏えい警報が発生した場合は、運転員が現場を確認し、漏えいの状況を判断することになるが、このとき、隔壁などで区切られた区画の場合には、容易に現場に立入ることが困難である。
このため、漏えいの発生が本当に容器及び/又は配管(容器や配管)から漏れた放射性流体によるものなのか、区画内における結露その他の原因により発生した水によるものであるのかの判断は、直ちには行なえないものとなっている。
更に、上記従来技術では、漏えいの発生源を特定することは想定しておらず、漏えいであることが認識された後、更に化学分析などを実施してみて、初めてどのような流体が漏えいしたかが判明できる程度である。
従って、従来技術は、放射性物質を取扱う施設において、放射性物質を含む流体を内包する容器及び/又は配管から漏えいが発生していた場合に、その箇所を迅速に特定する点について十分に配慮されているとは言えない。
このため、例えば容器内の液面の低下、配管移送流量の減少やマスバランスの不整合の検出が終了するまで、若しくは漏えいしている容器及び/又は配管の下方に設置される漏えい液収集枡の漏えい液集液部に溜まった液の化学分析及び/又は放射能の検出が終了するまで、漏えい事象の発生を検知・認識できないという問題があった。
更に、上記従来技術では、漏えい液集液部における液位が所定の液位に達するまでは検知されず、このため実際に漏えいが生じている可能性の判断に手間取るという問題があった。
本発明の目的は、放射性流体の漏えい検出が、漏えい箇所の特定と共に迅速且つ確実に得られるようにした漏えい検出方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、隔壁等で区切られた区画内に発生した漏えい事象について、漏えいした流体からのα線又はX線を検出する手段と、漏えいしている容器及び/又は配管を特定する漏えい検出方法が提供される。
このときの検出の方法は2種に大別され、一方は漏えいした放射性溶液に含まれるα核種が微少な飛沫や粉末となって換気系に移行し、途中に設けられているフィルタ等で捕集してそれを検出する方法で、他方は区画内の所定の位置に検出器を設置して漏えい発生を検出する方法である。
本発明では、単にα核種の有無の検出のみではなく、どのような核種(例えば、原子燃料再処理施設のような場合は、ウラン、プルトニウム、ネプツニウム、アメリシウム等の超ウラン元素が存在する)がどの程度の量で存在しているかを知り、どの容器及び/又は配管から漏えいした可能性が高いかを推定する。
このとき、予め所定の分析処理などにより容器内の放射性物質の種類と濃度等を確認しておき、検出器による測定結果と対比するための比較データ(リファレンスデータ)としておく。
従って、上記目的は、密閉された区画の中に設置した容器と配管により放射性流体を取扱うようにした施設において、前記区画の中と当該区画の換気系の中の少なくとも一方に放射線検出手段を設け、前記放射線検出手段によるα線又はX線の検出結果により前記放射性流体の漏えいを検出することにより達成される。
同じく上記目的は、密閉された区画の中に設置した容器と配管により放射性流体を取扱うようにした施設において、前記区画の中で前記容器と配管の少なくとも一方の下側に設置した漏えい液収液部又はその近傍の少なくとも一方に放射線検出手段を設け、前記放射線検出手段によるα線又はX線の検出結果により前記放射性流体の漏えいを検出することによっても達成される。
このとき、前記放射線検出手段によるα線又はX線の検出結果がα線又はX線のエネルギースペクトルで与えられ、当該エネルギースペクトルから漏えいした放射性流体の核種とそれらの含有量の少なくとも一方を推定するようにしても、同じく上記目的を達成することができる。
また、このとき、前記エネルギースペクトルから推定した核種及びそれらの含有量の少なくとも一方に基づいて、前記容器と配管の中で漏えいが発生した容器及び/又は配管を特定するようにしても、同じく上記目的を達成することができる。
また、上記目的は、密閉された区画の中に設置した容器と配管により放射性流体を取扱うようにした施設において、前記区画の中で前記容器と配管の少なくとも一方の下側に設置した漏えい液収集枡上で移動する台車に放射線検出手段を設け、前記放射線検出手段によるα線又はX線の検出結果により前記放射性流体の漏えいを検出することによっても達成される。
このとき、前記放射線検出手段が、α線又はX線を連続的に検出するものであっても良く、また、α線を検出するグリッドイオンチャンバであっても良く、更には薄い検出窓と小さい結晶体積を備えた低エネルギー用半導体検出器であり、高エネルギーγ線成分による妨害を排除してX線を検出するものであっても良い。
本発明によれば、以下に列挙する効果が得られる。
1.漏えい液の性状が識別できるので、漏えいか否かの判別が迅速に得られ、適切な対応が可能となる。
2.微少な漏えいが検出できるので、迅速な漏えい検知が可能となる。
3.漏えい量が微少な初期の段階で検出できるので、漏えいの拡大を最小限に止めることができる。
4.漏えい箇所の特定が得られるので、漏えい状況の調査やプラント(施設)の復旧に容易に対処することができる。
以下、本発明による漏えい検出方法について、図示の実施の形態により詳細に説明すると、ここで、まず図1は、本発明の一実施形態が適用された放射性流体の処理設備の一例で、これは、建屋として、隔壁などで区切られ、放射能濃度区分上、通常は人の立入りができないように気密にしてある2基の区画1、102を備えた処理設備の一例である。
ここで、これらの区画1、101には、放射性流体が搬入される容器2、102と、これらの容器2、102に当該処理設備の上流側処理設備から流体を移送するための配管3a、103a、それに後処理のため容器2、102から下流側処理設備に流体を移送するための配管3b、103bが夫々設置されている。
そして、これらの容器2と容器102により、各々個別に、そこに搬入された使用済燃料を溶解するなどの各種の処理が行なわれ、処理後、各容器から外部に移送されるようになっている。
このとき、区画1と区画101には、更に排気ダクト4、104が設けてあり、これらの排気ダクト4、104は共通排気ダクト1000を介してフィルタ5に連通され、ここから大気中に連通されていて、これが換気系を構成している。
なお、このとき共通排気ダクト1000に接続される区画の数は、図示のように、2基に限定されるものではない。また、各区画内の系統構成(容器・配管の種類、大きさ、個数、配置など)が同じである必要もない。また、容器が単純な構造の塔槽類であっても、複雑な内部構造を有する機器であっても良い。
ここで、各区画2、102の内部は、放射性物質の閉じ込めなどを目的として、外部の雰囲気に対して負圧に維持する必要があり、このため、換気系に図示してない換気装置を設け、排気がフィルタ5を通じて外部に放出されるようになっている。
そして、このフィルタ5の中、又はその近傍に放射線検出器6が設けてあり、これにより、区画1内及び/又は区画101内で放射性流体の漏えいが発生したことが検出できるようになっている。
また、各区画1、101には漏えい液収集枡8、108が設置してあり、これら液収集枡8、108には液溜りとなる漏えい液集液部9、109が設けてある。そして、各漏えい液収集枡8、108は、容器2、102と配管3a、3b、103a、103bの下に位置するようにして設置される。
従って、容器2、102と配管3a、3b、103a、103bの何れかで漏えいが起こったとすると、流れ出た液体が漏えい液収集枡8、108で受け止められ、漏えい液集液部9、109に流れ込み、そこに溜められることになる。
このとき、これら漏えい液集液部9、109には液位計10、110が設置してあり、中に液体が溜ったとき、その液面が所定の液位に達したことが検知され、これにより漏えい発生の有無が監視できる。
次に、この実施形態の動作について説明する。なお、液位計10、110による漏えい発生の有無の監視については、上記した通りであるので、ここでの説明は割愛する。
上記したように、フィルタ5の中又はその近傍には放射線検出器6が設けられ、これにより区画1内及び/又は区画101内でウラン、プルトニウム、ネプツニウム、アメリシウムなどのα核種を含む放射性流体の漏えいが発生し、それらの核種がフィルタ5に捕集されたとき、これらの核種から放出されるα線或いはX線のエネルギースペクトルが測定できるようにしてある。
このため、この実施形態では、放射線検出器6として、α線検出器とX線検出器の少なくとも一方を用いている。ここで、α線検出器又はX線検出器とは、α線又はX線のエネルギースペクトルを連続的に、或いは間欠的に測定することが可能なシステムの総称である。
そして、ここにいうエネルギースペクトルとは、エネルギーの高さ又は検出器のパルス波高チャンネル番号を横軸にし、カウント数を縦軸にとった一種の度数分布のことであり、このとき、α核種の種類に固有なエネルギーの位置又はパルス波高チャンネル番号位置にピークが出現する。
そこで、このときのピーク位置とカウント数の程度から、核種の同定と、その存在量の定量的評価が可能となるので、この実施形態では、この方法を用いたのである。
次に、この実施形態で、α線又はX線による漏えい検出が採用されている理由について説明する。
いま、ここで、密閉された容器2、102及び/又は配管3a、3b、103a、103bの内部で放射性物質等を含有した溶液を取扱う処理が、例えば核燃料の再処理のための使用済燃料を溶解する処理であるとする。
そうすると、この場合は、使用済燃料を燃料被覆管ごと所定の寸法にせん断し、約100℃の温度の硝酸溶液に10時間程度浸漬し、中にある燃料を溶解する処理が行なわれることになる。
このとき、1回の溶解処理で取扱う使用済燃料の量は、通常、ウラン重量で400kg程度であるが、このとき使用済燃料には、ウラン以外の核燃料物質も含まれている。ここで硝酸溶解後の主な物質の濃度について説明すると、まず、ウランは硝酸溶液1L当り数百gであるが、プルトニウムは数gで、核分裂生成物のルテニウムは1g程度である。
そうすると、これらの物質から放射されるβ線及びγ線による硝酸溶液の照射線量は1時間当り3×102 クーロン/キログラムから3×105 クーロン/キログラム程度となり、従って、β線及び/又はγ線を用いて漏えいを検出しようとすると、上記した線量がバックグラウンドになってしまうため、遮蔽無しの状態で検出を行なうことには原理的に無理がある。
一方、α線は、空気中では飛程が2cm程度と短く、紙1枚程度で容易に遮蔽される。従って、バックグラウンドは殆どなく、容器及び/又は配管から漏えいが生じない限り検出されないことから、α線の検出そのものが漏えいの検出と考えることができ、従って、これが上記の理由である。
このとき、放射性核種から放出されるα線のエネルギーは、3MeV乃至8MeV程度で、既に説明したように、実用上、単色(線スペクトル)と見なせる一群又は複数のエネルギー群を持っている。
そして、これも既に説明したように、これらのエネルギー群は核種に固有であり、従って、エネルギースペクトルを測定することにより、核種を同定することができ、その存在量を知ることができる。
ここで、よく用いられる核種とα線のエネルギーの関係については、例えばアメリシウム241( 241Am)の場合は5.486MeV(分岐比86%)、5.443MeV(分岐比12.7%)であり、プルトニウム238(238Pu)の場合は5.499MeV(分岐比69%)、5.456MeV(分岐比31%)などの数値が知られている。
従って、既知のスペクトルと、測定したスペクトルを比較検討することにより、核種の同定と存在量の定量評価が可能になる。
なお、このときの核種とα線のエネルギー値の具体的な関係については、日本アイソトープ協会編の「アイソトープ便覧」や放射線計測に関する各種ハンドブック類に記載があるので、詳しい説明は割愛する。
そこで、いま、例えば区画1で取り扱う流体に含まれるα核種の種類及び存在量が、区画101のそれと異なることが予め判っていたとする。そうすると、この場合、放射線検出器6によるα線又はX線の測定結果から、何れの区画で、どのような流体が漏えいしたかを知ることができる。
このとき、各区画2、102の内部は換気系のフィルタ5を通じて外部に排気されている。このため、放射線検出器6によるα線又はX線の検出は、区画1内及び/又は区画101内で放射性流体の漏えいが発生したとき、それらの核種がフィルタ5に捕集された時点で直ちに得られるので、液位計10による検知に比較して極めて迅速に得ることができる。
従って、この実施形態によれば、放射性流体の漏えい検出が迅速且つ確実に得られ、しかも、このとき、漏えいが区画1と区画101の何れで発生したかが特定できることになり、この結果、漏えい液の性状が識別できるので、漏えいか否かの判別が迅速に得られ、適切な対応が可能となる。
また、この実施形態によれば、微少な漏えいが検出できるので、迅速な漏えい検知を得ることができ、且つ漏えい量が微少な初期の段階で検出できるので、漏えいの拡大を最小限に止めることができ、更に漏えい箇所が区画1と区画101の何れにあるのか特定できるので、漏えい状況の調査やプラント(施設)の復旧に容易に対処することができる。
ここで、以上のことは区画の数が3基以上の場合でも同様であり、このとき、上記した区画の特定が可能になるように、各々の区画を組み合わせた上で共通の排気ダクトに接続するようにしてもよく、何れにしても連続的な監視による迅速な漏えい検知を可能にすることができる。
ところで、α崩壊する核種の場合、α崩壊の際に崩壊後の核種(元素)に対応したX線を放出することが知られている。例えばα崩壊する核種がプルトニウムの場合は、ウランのX線を放出する。
このとき、通常の核種のX線はエネルギーが低いので測定は難しいが、プルトニウム等の核種のX線は、例えば、239Puの場合は13.6keVと比較的高いエネルギーである。
そこで、特に検出窓が薄く結晶体積が小さい低エネルギー用のゲルマニウム半導体検出器を、図1の実施形態における放射線検出器6として設置し、エネルギーを弁別するようにしてやれば、高エネルギーγ線成分による妨害を排除してX線を検出することができ、プルトニウムなどの核種毎に漏えいを検知することができる。
従って、このようにした実施形態によれば、プルトニウムの精製後などで、漏えい液が殆どプルトニウム等のα崩壊核種しか含まない工程において、漏えいを検出するのに有効である。
次に、本発明の他の実施形態について説明すると、まず、図2は、フィルタ5の下流側にグリッドイオンチャンバ7を設置した場合の一実施形態で、その他の構成は、図1の実施形態と同じである。
ここで、α線を測定する場合は、通常、真空中で測定するか、検出器を測定試料に近づけて測定することになる。しかし、グリッドイオンチャンバを用いた場合は、α線でイオン化された空気粒子のイオン量を測定するため、真空である必要はなく、測定試料が近くにある必要もない。
従って、この図2の実施形態のように、図1の実施形態における放射線検出器6としてグリッドイオンチャンバを設置してやれば、α線によってイオン化された空気粒子の量を測定すればよいので、真空にする必要がなく、装置構成を簡素化することができる。
また、この場合、検出器(グリッドイオンチャンバ7)を測定試料の近傍に設置しなくても良いため、漏えい液で汚染されてしまう可能性も低減でき、連続的な監視も可能である。
このとき、更に、この図2の実施形態によるグリッドイオンチャンバ7を図1の検出方法と併用して検出するようにしてもよい。
次に、図3は、α核種の種類及び存在量が異なる複数種の放射性流体を処理するため、1基の区画1内に複数の容器2、11、13を設置した処理設備に本発明を適用した場合の一実施形態を示したもので、その他の構成は、容器2の構成も含めて、図1の実施形態と同じである。
そして、まず、容器11には配管12a、12bが設けられ、次に、容器13には配管14a、14bが設けられている。このとき、配管12aと配管14aは、当該処理設備の上流側処理設備から流体を容器11と容器13に移送するための配管で、配管12bと配管14bは、容器11と容器23から下流側処理設備に流体を移送するための配管である。
そして、これらの容器11と容器13により、各々個別に、そこに搬入された使用済燃料を溶解するなどの処理が行なわれ、処理後に移送されることになる。
このとき、容器2、容器11及び容器13に貯留されている溶液は、これらの容器において直接、或いは別の箇所で既にサンプリングされ、分析されていて、α核種の種類及び存在量が既知の情報として知られているもので、しかも、この情報は常に最新化され、過去の履歴も残されているようにしてある。
そして、この情報により、区画1内でα核種を含む流体の種類がどのように分布しているかを、予め区画1の配置図上にマッピングしておく。
次に、この図3の実施形態の動作について説明すると、ここで、いま、或る時点において、区画1の中でα核種を含む流体の微少な漏えいが発生したとする。但し、漏えいが微少なため、この時点では漏えい液位計10は感応しない。
しかし、α線検出器又はX線検出器からなる放射線検出器6では、漏えいした物質がフィルタ5に捕集された時点で直ちにそれが検出される。そして、このときフィルタ5に捕集された物質から放出されるα線或いはX線のエネルギースペクトルを測定することにより、どういう種類の流体が漏えいしたかも直ちに判別できる。
このとき、区画1内でα核種を含む流体の種類がどのように分布しているかは、上記したように、予めサンプリング分析結果などから求められていて、区画1の配置図上にマッピングされている。
そこで、以上のようにして、どのような種類の流体が漏えいしたかが判別されたら、その判別結果を上記のマッピング結果と照合することにより、漏えいが検出された時点で即座に漏えいの可能性のある容器及び/又は配管を絞り込み、漏えい箇所を特定することができる。
従って、この実施形態によれば、区画1からの排気ダクト4にα線又はX線検出器6を設置したことにより、区画1の中で漏えいが発生したことが迅速に検出できると共に、どの容器及び/又は配管で漏えいが発生した可能性が高いのかも即座に絞り込むことができるので、漏えい状況の調査やプラント(施設)の復旧に短時間で容易に対処することができる。
ところで、この図3の実施形態では、α線検出器又はX線検出器からなる放射線検出器6の設置位置がフィルタ5又はその近傍になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、区画1内に存在する容器及び配管等の腐食、或いは破損による漏えい等の発生を想定して、漏えい液収集枡8の漏えい液集液部9又はその近傍に設けるようにしても良い。
そこで、図4は、漏えい液収集枡8の中にα線検出器又はX線検出器からなる放射線検出器6を設置した場合の本発明の一実施形態であり、その他の点は、図3の実施形態と同じである。
この図4の実施形態の場合、漏えいした流体が、たとえ僅かであっても、とにかく漏えい液集液部9に達すれば、放射線検出器6により検知されるので、液位計10による検知に比較して迅速な検知が可能である。
従って、この図4の実施形態によれば、結露やその他の漏えい以外の事象と区別でき、区画1のどの容器及び/又は配管で漏えいが発生した可能性が高いか絞り込めるという利点が得られることには変わりはない。
このとき、フィルタ5又はその近傍と、漏えい液集液部9又はその近傍の双方に放射線検出器6を設置しても良いことは勿論である。
次に、図5も本発明の一実施形態で、この場合も、図4の実施形態と同じく、α線検出器又はX線検出器からなる放射線検出器6が区画1内に設置したものであるが、しかし、この実施形態では、放射線検出器6が漏えい液集液部9に固定されておらず、自走式移動台15に装着させ、漏えい液収集枡8の上で移動させることができるように構成したものである。
ここで、この自走式移動台15は、図示してない装置により外部から遠隔操作され、漏えい液収集枡8上を自由に動き回れるように構成されていて、しかも、このとき、漏えい液収集枡8上での位置座標が常に把握できるように作られている。
そこで、自走式移動台15は、漏えい液収集枡8上を自由に動き回りながら放射線検出器6による検出動作を行ない、容器及び/又は配管から漏えい液収集枡8上に滴下した微少量の放射性流体又はその乾燥痕を探し出す。
そして、放射線検出器6により放射性流体又はその乾燥痕が検出されたら、そのときの自らの座標位置から、漏えい液収集枡8上のどの座標点で放射性流体又はその乾燥痕が検出されたかを算定する。
このとき、漏えい液収集枡8上での位置座標と、その上にある容器2と配管3a、配管3b、容器11と配管12a、配管12b、それに容器13と配管14a、配管14bの夫々の位置は1対1に対応している。
この結果、放射線検出器6により放射性流体又はその乾燥痕が検出されたとき、その位置座標から、その上にある容器及び/又は配管のどの部分から漏えいが発生したかを直ちに判別することができる。
つまり、この場合、自走式移動台15の放射線検出器6が微少な放射性物質でも検出したら、そのときの位置座標から、漏えいが発生している箇所がどの辺りにあるかを2次元的な情報として得ることができる。
従って、この図5の実施形態によれば、区画1の中で漏えいが発生したことが迅速に検出できると共に、どの容器及び/又は配管で漏えいが発生したかも即座に絞り込むことができ、図1〜図4で説明した実施形態と同じく、漏えい状況の調査やプラントの復旧に短時間で容易に対処することができる。
なお、図5の実施形態では、放射線検出器6が自走式移動台15に固定されているが、例えばパンタグラフ機構や伸縮ポール機構などにより、放射線検出器6が自走式移動台15に対して上下に移動できるように構成してもよい。
このようにした実施形態の場合、自走式移動台15の位置座標からその上にある容器及び/又は配管の位置を求め、希望する容器及び/又は配管の下に移動させてから放射線検出器6を上に移動させ、希望する容器及び/又は配管の直下に近づけ、或いは接触させて漏えいの有無を検出するという3次元的な検出動作を行なうことができる。
そして、この実施形態の場合は、予め予定の順序で自走式移動台15の位置座標を変えながら、順次、容器及び/又は配管の夫々について直接、漏えいを探査して行くことができ、このとき、放射線検出器6は、検出対象物の極く近傍、更には接触した状態で検出動作させることができるので、極めて微小量の漏えいでも確実に検出することができる。
この場合、区画1のどの容器及び/又は配管で漏えいが発生したかも確実に判別できることはいうまでもない。
本発明による漏えい検出方法の第1の実施形態が適用された施設の一例を示したブロック構成図である。 本発明による漏えい検出方法の第2の実施形態が適用された施設の一例を示したブロック構成図である。 本発明による漏えい検出方法の第3の実施形態が適用された施設の一例を示したブロック構成図である。 本発明による漏えい検出方法の第4の実施形態が適用された施設の一例を示したブロック構成図である。 本発明による漏えい検出方法の第5の実施形態が適用された施設の一例を示したブロック構成図である。
符号の説明
1:区画
2:容器
3a:配管(流入側)
3b:配管(流出側)
4:排気ダクト
5:フィルタ
6:放射線検出器(α線検出器又はX線検出器)
7:グリッドイオンチャンバ
8:漏えい液収集枡
9:漏えい液集液部
10:液位計
11:容器
12a:配管(流入側)
12b:配管(流出側)
13:容器
14a:配管(流入側)
14b:配管(流出側)
15:自走式移動台
101:区画
102:容器
103a:配管(流入側)
103b:配管(流出側)
104:排気ダクト
108:漏えい液収集枡
109:漏えい液集液部
110:液位計
1000:共通排気ダクト

Claims (8)

  1. 密閉された区画の中に設置した容器と配管により放射性流体を取扱うようにした施設において、
    前記区画の中と当該区画の換気系の中の少なくとも一方に放射線検出手段を設け、
    前記放射線検出手段によるα線又はX線の検出結果により前記放射性流体の漏えいを検出することを特徴とする漏えい検出方法。
  2. 密閉された区画の中に設置した容器と配管により放射性流体を取扱うようにした施設において、
    前記区画の中で前記容器と配管の少なくとも一方の下側に設置した漏えい液収液部又はその近傍の少なくとも一方に放射線検出手段を設け、
    前記放射線検出手段によるα線又はX線の検出結果により前記放射性流体の漏えいを検出することを特徴とする漏えい検出方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の漏えい検出方法において、
    前記放射線検出手段によるα線又はX線の検出結果がα線又はX線のエネルギースペクトルで与えられ、当該エネルギースペクトルから漏えいした放射性流体の核種とそれらの含有量の少なくとも一方を推定することを特徴とする漏えい検出方法。
  4. 請求項3に記載の漏えい検出方法において、
    前記エネルギースペクトルから推定した核種及びそれらの含有量の少なくとも一方に基づいて、前記容器と配管の中で漏えいが発生した容器及び/又は配管を特定することを特徴とする漏えい検出方法。
  5. 密閉された区画の中に設置した容器と配管により放射性流体を取扱うようにした施設において、
    前記区画の中で前記容器と配管の少なくとも一方の下側に設置した漏えい液収集枡上で移動する台車に放射線検出手段を設け、
    前記放射線検出手段によるα線又はX線の検出結果により前記放射性流体の漏えいを検出することを特徴とする漏えい検出方法。
  6. 請求項1と請求項2、それに請求項5に記載の漏えい検出方法の何れかにおいて、
    前記放射線検出手段がα線又はX線を連続的に検出するものであることを特徴とする漏えい検出方法。
  7. 請求項1と請求項2、それに請求項5に記載の漏えい検出方法の何れかにおいて、
    前記放射線検出手段がα線を検出するグリッドイオンチャンバであることを特徴とする請求項1の漏えい検出方法。
  8. 請求項1と請求項2、それに請求項5に記載の漏えい検出方法の何れかにおいて、
    前記放射線検出手段が薄い検出窓と小さい結晶体積を備えた低エネルギー用半導体検出器であり、高エネルギーγ線成分による妨害を排除してX線を検出するものであることを特徴とする漏えい検出方法。
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