JP2005098716A - 放射線像変換パネル及び放射線像変換パネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高感度かつ輝度ムラの少ない放射線像変換パネル及び放射線像変換パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】気相堆積法により形成された柱状結晶10aからなる輝尽性蛍光体層10を有する放射線像変換パネル100において、該柱状結晶の結晶径の変動係数は50%以下とすることが好ましく、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下、最も好ましくは10%以下とした。
【選択図】図1
【解決手段】気相堆積法により形成された柱状結晶10aからなる輝尽性蛍光体層10を有する放射線像変換パネル100において、該柱状結晶の結晶径の変動係数は50%以下とすることが好ましく、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下、最も好ましくは10%以下とした。
【選択図】図1
Description
本発明は、気相堆積法により形成された輝尽性蛍光体層を備えた放射線像変換パネル及び放射線像変換パネルの製造方法に関する。
従来より、X線画像に代表される放射線画像が病気診断用などに広く用いられている。この放射線画像を得るための方法としては、照射された放射線エネルギーを蓄積、記録し、励起光を照射すると蓄積、記録された放射線エネルギーに応じて輝尽発光する「輝尽性蛍光体」を用いた放射線画像記録再生方法が広く実用されている。
この放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネルは、基本構造として支持体とその上に設けられた輝尽性蛍光体層とからなるものである。輝尽性蛍光体には、気相成長(堆積)により形成した柱状結晶を有するものが知られている。輝尽性蛍光体層が柱状結晶により形成されている場合、輝尽励起光(又輝尽発光)の横方向への拡散を抑える(クラック(柱状結晶)界面において反射を繰り返しながら支持体面まで到達する)ことができるため、輝尽発光による画像の鮮鋭性を著しく増大させることができるという特徴がある。
例えば、特開平2−58000号公報には、気相堆積法によって支持体上に、支持体の法線方向に対し、一定の傾きを持った細長い柱状結晶を形成した輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平2−58000号公報
しかしながら、これらの気相成長(堆積)により形成した柱状結晶を有する輝尽性蛍光体層からなる放射線画像変換パネルにおいても、輝度と鮮鋭性の関係は十分な特性を有しているとはいえず、さらなる改良が必要であった。例えば、従来の放射線変換パネル(例えば、特許文献1)においては、結晶の形状に付いては検討が行われているものの、結晶径の分布については検討が行われておらず、結晶径の分布が均一でない場合、感度ムラが生じるという問題があった。
本発明の課題は、高感度かつ輝度ムラの少ない放射線像変換パネル及び放射線像変換パネルの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
支持体上に、気相堆積法により柱状結晶からなる蛍光体層を形成した放射線画像変換パネルにおいて、該柱状結晶の結晶径の変動係数が50%以下であることを特徴とする。
支持体上に、気相堆積法により柱状結晶からなる蛍光体層を形成した放射線画像変換パネルにおいて、該柱状結晶の結晶径の変動係数が50%以下であることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の放射線像変換パネルにおいて、
前記柱状結晶の結晶径の変動係数が40%以下であることを特徴とする。
前記柱状結晶の結晶径の変動係数が40%以下であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1に記載の放射線像変換パネルにおいて、
前記柱状結晶の結晶径の変動係数が30%以下であることを特徴とする。
前記柱状結晶の結晶径の変動係数が30%以下であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1に記載の放射線像変換パネルにおいて、
前記柱状結晶の結晶径の変動係数が20%以下であることを特徴とする。
前記柱状結晶の結晶径の変動係数が20%以下であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1に記載の放射線像変換パネルにおいて、
前記柱状結晶の結晶径の変動係数が10%以下であることを特徴とする。
前記柱状結晶の結晶径の変動係数が10%以下であることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の放射線像変換パネルにおいて、
蛍光体が、基本組成式(I)で表されるハロゲン化アルカリを母体とする輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする。
M1X・aM2X'2・bM3X''3:eA…(I)
[式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X'、X''はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e<1.0の範囲の数値を表す。]
蛍光体が、基本組成式(I)で表されるハロゲン化アルカリを母体とする輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする。
M1X・aM2X'2・bM3X''3:eA…(I)
[式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X'、X''はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e<1.0の範囲の数値を表す。]
請求項7記載の発明は、
請求項1から6のいずれか一項に記載の放射線像変換パネルの製造方法であって、
蛍光体層を、真空容器内に蒸発源、支持体回転機構を有する蒸着装置において、支持体を前記支持体回転機構部材に設置して、支持体を回転しながら蒸着することにより、気相堆積法から成る蒸着膜を形成することを特徴とする。
請求項1から6のいずれか一項に記載の放射線像変換パネルの製造方法であって、
蛍光体層を、真空容器内に蒸発源、支持体回転機構を有する蒸着装置において、支持体を前記支持体回転機構部材に設置して、支持体を回転しながら蒸着することにより、気相堆積法から成る蒸着膜を形成することを特徴とする。
本発明によれば、気相堆積法により形成され、柱状結晶からなる蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、柱状結晶の結晶径を均一にすることにより、蛍光体層の感度ムラを低下させて、相対感度を向上させることができる。これにより、鮮鋭度など画質の優れた放射線画像を提供することができる。
以下、図を参照して発明を実施するための最良の形態を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
本実施の形態の放射線画像変換パネル100は、図1に示すように、支持体11と、該支持体上に気相堆積法により形成された輝尽性蛍光体の柱状結晶10aからなる輝尽性蛍光体層10を備え、必要に応じて該輝尽性蛍光体層を保護する保護層が設けられている。
支持体11は、従来の放射線画像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができるが、気相堆積法により蛍光体層を形成する際の支持体となる場合には石英ガラスシート、アルミニウム、鉄、スズ、クロムなどからなる金属シート及び炭素繊維強化樹脂シートが好ましい。
支持体11には、その表面を平滑な面とするために樹脂層を有することが好ましい。樹脂層は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、パラフィン、グラファイト等の化合物を含有することが好ましく、その膜厚は、約5μm〜50μmであることが好ましい。この樹脂層は、支持体の表面に設けても裏面に設けても両面に設けても良い。
また、支持体11上に樹脂層を設ける手段としては、貼合法、塗設法等の手段が挙げられる。貼合は加熱、加圧ローラを用いて行い、加熱条件としては約80〜150℃が好ましく、加圧条件としては4.90×10〜2.94×102N/cm、搬送速度は0.1〜2.0m/秒が好ましい。
輝尽性蛍光体層10は、気相堆積法により柱状結晶10aからなる蛍光体層であって、該柱状結晶の結晶径の変動係数が50%以下であり、好ましくは40%以下であり、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下である。
なお、柱状結晶の結晶径とは、柱状結晶を支持体と平行な面から観察したときの各柱状結晶の断面積を円換算した直径である。柱状結晶の変動係数とは、結晶径の標準偏差/平均結晶径で表され、少なくとも100個以上の柱状結晶を視野中に含む電子顕微鏡写真から変動係数を算出した。柱状結晶径は、支持体温度、真空度、蒸気流入射角度等によって影響を受け、これらを制御することによって所望の太さの柱状結晶を形成することができる。
本発明に係る輝尽性蛍光体層は、下記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体を含有することが好ましい。
M1X・aM2X’2・bM3X”3:eA…(1)
[式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X’、X”はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e≦0.2の範囲の数値を表す。]
M1X・aM2X’2・bM3X”3:eA…(1)
[式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X’、X”はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e≦0.2の範囲の数値を表す。]
上記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、M1は、Li、Na、K、Rb及びCs等の各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子を表し、中でもRb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属原子が好ましく、さらに好ましくはCs原子である。
M2は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNi等の各原子から選ばれる少なくとも1種の二価の金属原子を表すが、中でも好ましく用いられるのは、Be、Mg、Ca、Sr及びBa等の各原子から選ばれる二価の金属原子である。
M3は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びIn等の各原子から選ばれる少なくとも1種の三価の金属原子を表すが、中でも好ましく用いられるのはY、Ce、Sm、Eu、Al、La、Gd、Lu、Ga及びIn等の各原子から選ばれる三価の金属原子である。
Aは、Eu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子である。中でも好ましくはEu原子である。
輝尽性蛍光体の輝尽発光輝度向上の観点から、X、X’及びX”はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子を表すが、F、Cl及びBrから選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子が好ましく、Br原子がさらに好ましい。
また、一般式(1)において、b値は0≦b<0.5であるが、好ましくは、0≦b<10―2である。
本発明の一般式(1)で表される輝尽性蛍光体は、例えば以下に述べる方法により製造される。
蛍光体原料としては、
(a)NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr及びCsIから選ばれる少なくとも1種もしくは2種以上の化合物が用いられる。
蛍光体原料としては、
(a)NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr及びCsIから選ばれる少なくとも1種もしくは2種以上の化合物が用いられる。
(b)MgF2、MgCl2、MgBr2、MgI2、CaF2、CaCl2、CaBr2、CaI2、SrF2、SrCl2、SrBr2、SrI2、BaF2、BaCI2、BaBr2、BaBr2・2H2O、BaI2、ZnF2、ZnCl2、ZnBr2、ZnI2、CdF2、CdCl2、CdBr2、CdI2、CuF2、CuCl2、CuBr2、CuI、NiF2、NiCl2、NiBr2及びNiI2の化合物から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の化合物が用いられる。
(c)前記一般式(1)において、Eu、Tb、In、Cs、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMg等の各原子から選ばれる金属原子を有する化合物が用いられる。
上記の数値範囲の混合組成になるように前記(a)〜(c)の蛍光体原料を秤量し、純水にて溶解する。
この際、乳鉢、ボールミル、ミキサーミル等を用いて充分に混合しても良い。
次に、得られた水溶液のpH値Cを0<C<7に調整するように所定の酸を加えた後、水分を蒸発気化させる。
この際、乳鉢、ボールミル、ミキサーミル等を用いて充分に混合しても良い。
次に、得られた水溶液のpH値Cを0<C<7に調整するように所定の酸を加えた後、水分を蒸発気化させる。
次に、得られた原料混合物を石英ルツボあるいはアルミナルツボ等の耐熱性容器に充填して電気炉中で焼成を行う。焼成温度は500〜1000℃が好ましい。焼成時間は原料混合物の充填量、焼成温度等によって異なるが、0.5〜6時間が好ましい。
焼成雰囲気としては少量の水素ガスを含む窒素ガス雰囲気、少量の一酸化炭素を含む炭酸ガス雰囲気等の弱還元性雰囲気、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気あるいは少量の酸素ガスを含む弱酸化性雰囲気が好ましい。
なお、前記の焼成条件で一度焼成した後、焼成物を電気炉から取り出して粉砕し、しかる後、焼成物粉末を再び耐熱性容器に充填して電気炉に入れ、前記と同じ焼成条件で再焼成を行えば輝尽性蛍光体の発光輝度をさらに高めることができ、また、焼成物を焼成温度より室温に冷却する際、焼成物を電気炉から取り出して空気中で放冷することによっても所望の輝尽性蛍光体を得ることができるが、焼成時と同じ、弱還元性雰囲気もしくは中性雰囲気のままで冷却しても良い。
また、焼成物を電気炉内で加熱部より冷却部へ移動させて、弱還元性雰囲気、中性雰囲気もしくは弱酸化性雰囲気で急冷することにより、得られた輝尽性蛍光体の輝尽による発光輝度をより一層高めることができ好ましい。
また、本発明の輝尽性蛍光体層は気相堆積法によって形成される。
輝尽性蛍光体の気相堆積法としては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、その他を用いることができるが、本発明では特に蒸着法が好ましい。
輝尽性蛍光体の気相堆積法としては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、その他を用いることができるが、本発明では特に蒸着法が好ましい。
以下、本発明に好適な蒸着法について説明する。なお、ここでは図2に示す蒸着装置を使用して支持体に輝尽性蛍光体を蒸着するので、蒸着装置の説明とともに説明する。
図2に示すように、蒸着装置1は、真空容器12と、該真空容器12内に設けられて支持体11に蒸気を蒸着させる蒸発源3と、支持体11を保持する支持体ホルダ4と、該支持体ホルダ4を蒸発源3に対して回転させることによって該蒸発源3からの蒸気を蒸着させる支持体回転機構5と、真空容器12内の排気及び大気の導入を行う真空ポンプ6等を備えている。
蒸発源3は、輝尽性蛍光体を収容して抵抗加熱法で加熱するため、ヒータを巻いたアルミナ製のるつぼから構成しても良いし、ボートや、高融点金属からなるヒータから構成しても良い。また、輝尽性蛍光体を加熱する方法は、抵抗加熱法以外に電子ビームによる加熱や、高周波誘導による加熱等の方法でも良いが、本発明では、比較的簡単な構成で取り扱いが容易、安価、かつ、非常に多くの物質に適用可能である点から抵抗加熱法が好ましい。また、蒸発源3は分子源エピタキシャル法による分子線源でも良い。
支持体回転機構5は、例えば、支持体ホルダを支持するとともに支持体ホルダ4を回転させる回転軸5aと、真空容器12外に配置されて回転軸5aの駆動源となるモータ(図示しない)等から構成されている。
また、支持体ホルダ4には、支持体11を加熱する加熱ヒータ(図示しない)を備えることが好ましい。支持体11を加熱することによって、支持体11表面の吸着物を離脱・除去し、支持体11表面と輝尽性蛍光体との間に不純物層の発生を防いだり、密着性の強化や輝尽性蛍光体層の膜質調整を行うことができる。
さらに、支持体11と蒸発源3との間に、蒸発源3から支持体11に至る空間を遮断するシャッタ(図示しない)を備えるようにしても良い。シャッタによって輝尽性蛍光体の表面に付着した目的物以外の物質が蒸着の初期段階で蒸発し、支持体に付着するのを防ぐことができる。
このように構成された蒸着装置1を使用して、支持体11に輝尽性蛍光体層を形成するには、まず、支持体ホルダ4に支持体11を取り付ける。
次いで、真空容器12内を真空排気する。その後、支持体回転機構5により支持体ホルダ4を蒸発源3に対して回転させ、蒸着可能な真空度に真空容器12が達したら、加熱された蒸発源3から輝尽性蛍光体を蒸発させて、支持体11表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに成長させる。この場合において、支持体11と、蒸発源3との間隔は、100mm〜1500mmに設置するのが好ましい。
また、前記蒸着工程では複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。さらに、前記蒸着工程では複数の抵抗加熱器あるいはエレクトロンビームを用いて共蒸着し、支持体上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると同時に輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。
また、蒸着法においては、蒸着時、必要に応じて、被蒸着体(支持体、保護層又は中間層)を冷却あるいは加熱しても良い。
さらに、蒸着終了後、輝尽性蛍光体層を加熱処理しても良い。また、蒸着法においては必要に応じてO2、H2等のガスを導入して蒸着する反応性蒸着を行っても良い。
形成する輝尽性蛍光体層の膜厚は、放射線画像変換パネルの使用目的によって、また輝尽性蛍光体の種類により異なるが、本発明の効果を得る観点から50μm〜2000μmであり、好ましくは50μm〜1000μmであり、さらに好ましくは100μm〜800μmである。
上記の気相堆積法による輝尽性蛍光体層の形成にあたり、輝尽性蛍光体層が形成される支持体の温度は、室温(rt)〜300℃に設定することが好ましく、さらに好ましくは50〜200℃である。
以上のようにして輝尽性蛍光体層を形成した後、必要に応じて輝尽性蛍光体層の支持体とは反対の側に保護層を設けることにより本発明の放射線画像変換パネルを製造する。保護層は、保護層用の塗布液を輝尽性蛍光体層の表面に直接塗布して形成もよいし、また、予め別途形成した保護層を輝尽性蛍光体層に接着してもよい。
保護層の材料としては、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化−塩化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体などの通常の保護層用材料が用いられる。他に透明なガラス基板を保護層として用いることもできる。
また、この保護層は蒸着法、スパッタリング法等により、SiC、SiO2、SiN、Al2O3等の無機物質を積層して形成してもよい。これらの保護層の層厚は0.1μm〜2000μmが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
(放射線画像変換パネルの作製)
まず、以下に示す実施例1〜5、比較例1及び比較例2の輝尽性蛍光体層を形成した。
なお、実施例1〜5については、炭素繊維強化樹脂シートからなる支持体の片面に、図2に示す蒸着装置1を使用して輝尽性蛍光体(CsBr:0.0002Eu)を蒸着させ、輝尽性蛍光体層を形成した。また、比較例1〜2に付いては、同様の支持体の片面に、図3に示す蒸着装置2を使用して輝尽性蛍光体(CsBr:0.0002Eu)を蒸着させ、輝尽性蛍光体層を形成した。
(放射線画像変換パネルの作製)
まず、以下に示す実施例1〜5、比較例1及び比較例2の輝尽性蛍光体層を形成した。
なお、実施例1〜5については、炭素繊維強化樹脂シートからなる支持体の片面に、図2に示す蒸着装置1を使用して輝尽性蛍光体(CsBr:0.0002Eu)を蒸着させ、輝尽性蛍光体層を形成した。また、比較例1〜2に付いては、同様の支持体の片面に、図3に示す蒸着装置2を使用して輝尽性蛍光体(CsBr:0.0002Eu)を蒸着させ、輝尽性蛍光体層を形成した。
[実施例1]
まず、上記蛍光体原料を蒸着材料として抵抗加熱ルツボに充填し、蒸着装置1の回転する支持体ホルダ4に支持体11を設置し、支持体11と蒸発源3との間隔を300mmに調節した。続いて蒸着装置1内を一旦排気し、Arガスを導入して0.1Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で支持体11を回転しながら支持体11の温度を100℃に保持した。次いで、抵抗加熱ルツボを加熱して輝尽性蛍光体を蒸着し、輝尽性蛍光体層の膜厚が500μmとなったところで蒸着を終了させた。
次いで、乾燥空気内で輝尽性蛍光体層を保護層袋に入れ、輝尽性蛍光体層が密封された構造の放射線画像変換パネルを得た。
[実施例2]
支持体11と蒸発源3との間隔を400mmに調節した以外は、実施例1と同様の方法で輝尽性蛍光体層の蒸着を行い、放射線画像変換パネルを得た。
[実施例3]
支持体11と蒸発源3との間隔を600mmに調節した以外は、実施例1と同様の方法で輝尽性蛍光体層の蒸着を行い、放射線画像変換パネルを得た。
[実施例4]
支持体11と蒸発源3との間隔を800mmに調節した以外は、実施例1と同様の方法で輝尽性蛍光体層の蒸着を行い、放射線画像変換パネルを得た。
[実施例5]
支持体11と蒸発源3との間隔を1000mmに調節した以外は、実施例1と同様の方法で輝尽性蛍光体層の蒸着を行い、放射線画像変換パネルを得た。
まず、上記蛍光体原料を蒸着材料として抵抗加熱ルツボに充填し、蒸着装置1の回転する支持体ホルダ4に支持体11を設置し、支持体11と蒸発源3との間隔を300mmに調節した。続いて蒸着装置1内を一旦排気し、Arガスを導入して0.1Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で支持体11を回転しながら支持体11の温度を100℃に保持した。次いで、抵抗加熱ルツボを加熱して輝尽性蛍光体を蒸着し、輝尽性蛍光体層の膜厚が500μmとなったところで蒸着を終了させた。
次いで、乾燥空気内で輝尽性蛍光体層を保護層袋に入れ、輝尽性蛍光体層が密封された構造の放射線画像変換パネルを得た。
[実施例2]
支持体11と蒸発源3との間隔を400mmに調節した以外は、実施例1と同様の方法で輝尽性蛍光体層の蒸着を行い、放射線画像変換パネルを得た。
[実施例3]
支持体11と蒸発源3との間隔を600mmに調節した以外は、実施例1と同様の方法で輝尽性蛍光体層の蒸着を行い、放射線画像変換パネルを得た。
[実施例4]
支持体11と蒸発源3との間隔を800mmに調節した以外は、実施例1と同様の方法で輝尽性蛍光体層の蒸着を行い、放射線画像変換パネルを得た。
[実施例5]
支持体11と蒸発源3との間隔を1000mmに調節した以外は、実施例1と同様の方法で輝尽性蛍光体層の蒸着を行い、放射線画像変換パネルを得た。
[比較例1]
上記蛍光体原料を蒸着材料として抵抗加熱ルツボに充填し、蒸着装置2の支持体ホルダ14に支持体21を設置し、支持体21と蒸発源13との距離を400mmに調節した。スリット17はアルミニウム製のものを使用した。続いて蒸着装置1内を一旦排気し、Arガスを導入して0.1Paに真空度を調整 した後、蒸発源13に対して水平方向に支持体21を搬送しながら支持体21の温度を100℃に保持した。
次いで、抵抗加熱ルツボを加熱して輝尽性蛍光体を蒸着し、輝尽性蛍光体層の膜厚が500μmとなったところで蒸着を終了させた。
次いで、乾燥空気内で輝尽性蛍光体層を保護層袋に入れ、輝尽性蛍光体層が密封された構造の放射線画像変換パネルを得た。
[比較例2]
支持体21と蒸発源13との距離を1000mmに調節した以外は、比較例1と同様の方法で輝尽性蛍光体層の蒸着を行い、放射線画像変換パネルを得た。
上記蛍光体原料を蒸着材料として抵抗加熱ルツボに充填し、蒸着装置2の支持体ホルダ14に支持体21を設置し、支持体21と蒸発源13との距離を400mmに調節した。スリット17はアルミニウム製のものを使用した。続いて蒸着装置1内を一旦排気し、Arガスを導入して0.1Paに真空度を調整 した後、蒸発源13に対して水平方向に支持体21を搬送しながら支持体21の温度を100℃に保持した。
次いで、抵抗加熱ルツボを加熱して輝尽性蛍光体を蒸着し、輝尽性蛍光体層の膜厚が500μmとなったところで蒸着を終了させた。
次いで、乾燥空気内で輝尽性蛍光体層を保護層袋に入れ、輝尽性蛍光体層が密封された構造の放射線画像変換パネルを得た。
[比較例2]
支持体21と蒸発源13との距離を1000mmに調節した以外は、比較例1と同様の方法で輝尽性蛍光体層の蒸着を行い、放射線画像変換パネルを得た。
得られた放射線画像変換パネルについて下記のような評価を行った。
《柱状結晶の結晶径の変動係数》
得られた放射線画像変換パネルの蛍光体層のうち、少なくとも100個以上の柱状結晶を視野中に含む電子顕微鏡写真からそれぞれの結晶径を求め、結晶径の標準偏差を算出した。そして、算出した相対標準偏差を100個の結晶径の平均で除して、下記式(2)で示される変動係数を求めた。
変動係数=結晶径の標準偏差/結晶径の平均…(2)
得られた放射線画像変換パネルの蛍光体層のうち、少なくとも100個以上の柱状結晶を視野中に含む電子顕微鏡写真からそれぞれの結晶径を求め、結晶径の標準偏差を算出した。そして、算出した相対標準偏差を100個の結晶径の平均で除して、下記式(2)で示される変動係数を求めた。
変動係数=結晶径の標準偏差/結晶径の平均…(2)
《感度ムラの測定方法》
放射線画像変換パネルに管電圧80kVpのX線を輝尽性蛍光体層とは逆の支持体側から均一に照射した後、該パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で走査して励起し、放射線画像変換パネル上に等間隔に並んだ25の測定点において、輝尽性蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光してその強度を測定し、各測定点間の強度のばらつきから感度ムラを評価した。感度ムラは、各パネルの各測定点における輝度の最大値と最小値の幅を25点の測定点の強度の平均値で割り、これを%で表わしたものである。
放射線画像変換パネルに管電圧80kVpのX線を輝尽性蛍光体層とは逆の支持体側から均一に照射した後、該パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で走査して励起し、放射線画像変換パネル上に等間隔に並んだ25の測定点において、輝尽性蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光してその強度を測定し、各測定点間の強度のばらつきから感度ムラを評価した。感度ムラは、各パネルの各測定点における輝度の最大値と最小値の幅を25点の測定点の強度の平均値で割り、これを%で表わしたものである。
《相対感度》
輝度の測定は、各放射線画像変換パネルについて、管電圧80kVpのX線を蛍光体シート支持体の裏面側から照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して、その強度を測定した。ここで得られた強度を輝度と定義し、比較例1の放射線変換パネルの輝度を100とした、相対値で表示した。
輝度の測定は、各放射線画像変換パネルについて、管電圧80kVpのX線を蛍光体シート支持体の裏面側から照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して、その強度を測定した。ここで得られた強度を輝度と定義し、比較例1の放射線変換パネルの輝度を100とした、相対値で表示した。
表1の結果から明らかなように、柱状結晶の結晶径の変動係数が50%以下となる本発明の放射線像変換パネル(実施例1〜5)はいずれも、感度ムラが低下し、相対感度が向上している。とりわけ、変動係数が低減するにしたがって、その傾向が顕著に現れている。
一方、柱状結晶の結晶径の変動係数が50%以上となる従来の放射線像変換パネル(比較例1〜2)はいずれも、感度ムラが高く、相対感度が低かった。このことから、柱状結晶の結晶径の変動係数は、50%以下が好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%であり、最も好ましくは10%以下であることが分かる。
1 蒸着装置
3 蒸発源
5 支持体回転機構
10 輝尽性蛍光体層
11 支持体
12 真空装置
2 蒸着装置
13 蒸発源
14 支持体ホルダ
15 支持体搬送機構
17 スリット
21 支持体
22 真空容器
3 蒸発源
5 支持体回転機構
10 輝尽性蛍光体層
11 支持体
12 真空装置
2 蒸着装置
13 蒸発源
14 支持体ホルダ
15 支持体搬送機構
17 スリット
21 支持体
22 真空容器
Claims (7)
- 支持体上に、気相堆積法により柱状結晶からなる蛍光体層を形成した放射線画像変換パネルにおいて、該柱状結晶の結晶径の変動係数が50%以下であることを特徴とする放射線像変換パネル。
- 柱状結晶の結晶径の変動係数が40%以下であることを特徴とする請求項1に記載の放射線像変換パネル。
- 柱状結晶の結晶径の変動係数が30%以下であることを特徴とする請求項1に記載の放射線像変換パネル。
- 柱状結晶の結晶径の変動係数が20%以下であることを特徴とする請求項1に記載の放射線像変換パネル。
- 柱状結晶の結晶径の変動係数が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の放射線像変換パネル。
- 蛍光体が、基本組成式(I)で表されるハロゲン化アルカリを母体とする輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の放射線像変換パネル。
M1X・aM2X'2・bM3X''3:eA…(I)
[式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X'、X''はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e<1.0の範囲の数値を表す。] - 請求項1から6のいずれか一項に記載の放射線像変換パネルの製造方法であって、
蛍光体層を、真空容器内に蒸発源、支持体回転機構を有する蒸着装置において、支持体を前記支持体回転機構部材に設置して、支持体を回転しながら蒸着することにより、気相堆積法から成る蒸着膜を形成することを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7491949B2 (en) | 2006-07-10 | 2009-02-17 | Fujifilm Corporation | Radiation image conversion panel and process for producing the same |
EP2112667A3 (en) * | 2008-04-21 | 2011-03-02 | Hamamatsu Photonics K.K. | Radiation image converting panel |
-
2003
- 2003-09-22 JP JP2003329587A patent/JP2005098716A/ja active Pending
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