JP2005097145A - ストレスによる皮膚免疫能低下抑制剤及びそれを含む茶含有食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ストレスによる皮膚の免疫能低下に対する優れた抑制効果を有し、しかも人体にやさしく副作用の少ない素材を提供することを課題とする。
【解決手段】 緑茶などの不発酵茶又はウーロン茶などの半発酵茶を粉砕、好ましくは平均粒径10μm以下の微粉末に粉砕して得られる粉砕物からなる皮膚免疫能低下抑制剤を、食用茶葉として摂取することにより、皮膚障害惹起後の経表皮性水分蒸散量の回復遅延、表皮基底細胞増殖活性の上昇と表皮厚、表皮Langerhans細胞数の減少並びに細胞面積の低下等といった、ストレスを受けることによって生じる皮膚の機能低下を効果的に抑制することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ストレスによる皮膚免疫能低下抑制剤に関する。詳しくは、本発明は、緑茶やウーロン茶などの茶葉の粉砕物及び/又は抽出物からなる皮膚免疫能低下抑制剤、及びそれを含む茶含有食品に関する。
現代はストレス過負荷の時代であり、現代に暮らすものは多かれ少なかれ、負荷されたストレスの影響のもとに暮らしている。このようなストレスの人体に及ぼす影響は近年になって詳細に調査されるようになり、予想外に大きな影響を及ぼすことが明確になりつつある。
例えば、肩こりや心因性又は原因不明の脱毛症などに悩む人が近年急増しているが、これらもストレスが人体に及ぼす影響の一端ではないかと考えられている。また、アトピー性皮膚炎、あるいは肌荒れ等の肌トラブルを引き起こしやすい過敏症の人が増えている原因の一部にも、ストレスが大きく作用しているのではないかと言われている。
ところで、過度な刺激や過剰な刺激(ストレス)を生体が受けると、交感神経系や内分泌系がその刺激に反応して副腎皮質ホルモンをはじめとする多くのホルモン分泌や自律神経系のバランスが崩れ、皮膚機能や皮膚の免疫能が低下する、あるいは循環機能が亢進する等の状態に至る。その結果、感染症にかかりやすくなる。一例として、過密下で飼育され、常にストレスを受けている動物の感染抵抗力は低いことが知られている。
感染症とは、細菌側の病原性と宿主側の防衛力等が複雑に絡み合って、病気として発現し様々な病体を呈する疾患である。人を含めた動物の感染防御力は、その免疫能や皮膚と粘膜の状態に大きく依存している。
このように、皮膚の免疫能の低下は、ストレスが関係する様々な疾患を招く要因の一つとなっている。したがって、ストレス社会とも言われる現代社会においては、皮膚の免疫能を高め、あるいはその低下を抑制して体の抵抗力を高めることが、様々な疾患の予防や治療のためにも、日常生活の上で重要な課題となってきている。
一方、漢方で茶葉は心痛、多睡等の目的で使用されてきたことから、心理的なストレスを緩和する作用が期待されているが、ストレスを受けた生体の皮膚免疫能に対する作用については、知られていない。
Biol. Pharm. Bull. 26(2) 170-181(2003)
本発明は、ストレスによる皮膚の免疫能低下に対する優れた抑制効果を有し、しかも人体にやさしく副作用の少ない素材を提供することを課題とする。
本発明者は、上述した課題に鑑み、人の社会心理ストレスに近いとされる過密負荷と環境変化・過密負荷の免疫能に対する影響などについて鋭意検討した結果、特定の茶葉がストレスによる皮膚免疫能低下に対して有効な作用を示すことを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(3)に示すストレスによる皮膚免疫能低下抑制剤及びそれを有効成分とする食用茶葉を提供するものである。
(1)不発酵茶もしくは半発酵茶の粉砕物及び/又は抽出物からなる、ストレスによる皮膚免疫能低下抑制剤。
(2)前記粉砕物が、平均粒径10μm以下の微粉末のであることを特徴とする、(1)記載のストレスによる皮膚免疫能低下抑制剤。
(3)(1)記載のストレスによる皮膚免疫能低下抑制剤を含む、茶含有食品。
本発明者は、生体が受けるストレスに対する応答及びその影響について鋭意研究し、その結果、ストレスによる生体の特徴的な変化として、体重の減少、副腎肥大、性腺及び胸腺の萎縮、消化器系潰瘍、ストレスホルモン(副腎皮質ホルモン及びカテコールアミン)の分泌亢進といった兆候があることを、先に見いだした。そして、このようなストレスが、高血圧、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞等の循環器疾患、糖尿病、高脂血症等の代謝異常、アトピー性皮膚炎、乾癬の悪化等の皮膚疾患、不安性障害、心的外傷後ストレス症候群、鬱病等の精神疾患、及び感染症、発癌等の慢性的な疾患や弊害に大きく関与していることがわかってきた。
本発明者は、このような知見に基づいて、先に、実験的ストレス動物モデルを確立し、ストレスの負荷量と生体への影響との間の密接な関係を解明した。すなわち、ヒトの社会・心理的ストレスに近いとされる過密負荷(例えば、狭い閉鎖空間に過剰数のマウスを入れて飼育する、など)をかけると、全身への影響として体重増加抑制、摂餌量の減少、副腎皮質ホルモン分泌亢進、副腎肥大、胸腺と性腺の萎縮、モノアミン代謝産物の増加等の影響が認められるとともに、皮膚機能への影響として、皮膚障害惹起後の経表皮性水分蒸散量(TEWL:バリアー能)の回復遅延、表皮基底細胞増殖活性の上昇と表皮厚、表皮Langerhans細胞数の減少並びに細胞面積の低下等が認められる。
本発明は、このようなストレス動物モデルを用いて、過密下に置かれた動物に各種茶葉の微粉末を与えた場合と与えなかった場合とで明らかに皮膚免疫能に違いが生じることを見いだした結果、完成したものである。
本発明の不発酵茶又は半発酵茶の粉砕物からなる皮膚免疫能低下抑制剤は、ストレスによる皮膚の免疫能低下に対する優れた抑制効果を有し、しかも人体にやさしく副作用の少ない素材であるから、日常生活の中で手軽に摂取することができる。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
(1)不発酵茶又は半発酵茶の粉砕物
本発明のストレスによる皮膚免疫能低下抑制剤は、茶葉の粉砕物及び/又は抽出物、特に不発酵茶又は半発酵茶の粉砕物及び/又は抽出物からなる。
緑茶、紅茶等の茶類は、古くから愛飲されている嗜好飲料であり、利尿作用や糖尿病の治療等、様々な症状に対して有効であることが知られている。また、近年、茶類にはポリフェノール類がその重要な成分として多く含まれ、これが茶類の様々な作用効能に寄与していることが知られてきた。そこで、さらにこのような茶類の有効な活用法に対する期待が高まっている。
茶は、ツバキ科に属する植物の葉、茎、根等の部位を摘み取るなどして採取し、乾燥・粉砕してさらに揉捻したのち、発酵させることにより得られる。その発酵の程度により、不発酵茶、半発酵茶、及び発酵茶に分類された様々な種類の茶葉となる。
本発明で用いられる茶葉は、不発酵茶又は半発酵茶である。不発酵茶としては、主に緑茶が挙げられ、不発酵茶としては、主にウーロン茶が挙げられる。紅茶等の発酵茶の粉砕物では、十分にストレスによる皮膚免疫能低下を抑制する作用が発揮されない。
本発明では、かかる不発酵茶又は半発酵茶の茶葉を粉砕して得られる粉砕物を用いることができる。粉砕の度合いは特に限定されないが、好ましくは平均粒径10μm以下の微粉末とするのがよい。粉砕の方法に制限はなく、通常の茶葉の粉砕方法を用いればよいが、熱が加わると皮膚免疫能低下の抑制効果が発揮されにくくなるので、モーターによる粉砕機を用いるよりも、例えば手で廻す石臼によりゆっくり時間をかけて、茶葉が熱をもたないように粉砕するのが好ましい。
また、本発明では、上記不発酵茶又は半発酵茶の抽出物を用いることもできる。抽出の方法は特に限定されないが、例えばエタノール等のアルコール又は45℃程度の湯に茶葉を浸す等の方法で、比較的低温で抽出するのが好ましい。本発明でいう抽出物としては、このようにして得られる抽出液をそのまま、あるいは濃縮したものを用いてもよく、さらには乾燥させた後に微粉末化したものを用いてもよい。
(2)ストレスによる皮膚免疫能低下抑制剤
上記不発酵茶又は半発酵茶の粉砕物は、これを生体内に摂取することにより、ストレスによる皮膚免疫能の低下を抑制し、あるいは該免疫能を高めることができる。具体的には、例えば上述した皮膚障害惹起後の経表皮性水分蒸散量の回復遅延、表皮基底細胞増殖活性の上昇と表皮厚、表皮Langerhans細胞数の減少並びに細胞面積の低下等といった、ストレスを受けることによって生じる皮膚の機能低下が抑制される。
本発明の皮膚免疫能低下抑制剤は、茶葉の粉砕物及び/又は抽出物であり、天然自然のものであるから、薬効が比較的体にやさしく、副作用が少ないという利点がある。
(3)茶含有食品
上述した本発明の不発酵茶もしくは半発酵茶の粉砕物及び/又は抽出物からなるストレスによる皮膚免疫能低下抑制剤は、様々な形で食品に含めて利用することができる。例えば、本発明の不発酵茶もしくは半発酵茶の粉砕物は、通常の茶葉のようにその都度水又は湯に浸して得られる抽出液を飲用として摂取することも勿論できるが、食用茶葉として茶葉自体を直接摂取することにより、さらに皮膚免疫能の低下をより有効に抑制することができるので、効果的である。
このように、本発明の不発酵茶もしくは半発酵茶の粉砕物は、そのまま食用茶葉として利用してもよいが、例えば、お茶漬けの素、ふりかけ、調味料等の成分として単独で、または他の通常用いられる食品材料と併せて用いるなど、より広範囲な食品材料として利用可能である。また、乳飲料、ヨーグルト、ケーキやビスケットなどの菓子類等の食品の製造時に添加物として使用しても良い。
また、本発明の不発酵茶もしくは半発酵茶の抽出物の場合は、抽出液をそのまま、あるいは濃縮したもの、もしくは乾燥させて微粉末化したものを、上述した食用茶葉と同様に直接摂取するか、あるいは食品材料として単独でもしくは他の材料と組み合わせて、又は食品添加物として用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
本実験では、単独隔離及び過密負荷によってストレスを与えられた動物を用い、ストレスの生体への影響を検証した。
1.実験の方法
<使用動物>
ヘアレスマウス(HOS:Hr−1、12〜15週、27.0±0.8g、雌)を使用し、まず760cm2の空間内で5匹から予備飼育を行い(5/cage (760cm2))、これをこの空間内に10〜20匹とし(10-20/cage)、過密負荷群を作成した。
<実験手順>
対照(5/cage(760 cm2))、単独隔離(1/cage)、過密負荷群(10,15,20/cage)につて、実験を行った。単独隔離及び過密負荷群については、実験開始1日後、3日後及び7日後に、それぞれ体重測定、臓器摘出、皮膚採取を行い、以下の項目について測定した。
<測定項目>
1)体重、卵巣、胸腺、及び副腎の重量
2)表皮の厚み(画像解析)及び表皮基底細胞増殖活性(BrdUでラベル化した皮膚を画像解析)
3)表皮T細胞とLangerhans細胞数(常法に従って、表皮をCD3εあるいはI−Ad/I−Ed、続いてモノクロナール抗体で処置後、画像解析)
4)皮膚(表皮、真皮および皮下組織)中のサイトカイン(IFN−γ、IL−2、IL−4、IL−5)濃度
<測定方法>
1)表皮の厚み
表皮の厚みはHaratakeらの方法に従って調べた(Haratake A., Uchida Y., Schmuth M., Tanno O., Yasuda R., Epstein J. H., Elias P. M., Holleran W. M., J. Invest. Dermatol., 108, 769-775 (1997)参照)。
即ち、各動物について実験開始7日後に、背部の尾側から約3分の1の部位の皮膚全層(5×10mm)を3ヶ所から採取し、中性緩衝10%ホルマリン溶液(pH7)で1週間固定した。その後、常法でパラフィン包埋し、薄切(6μm)の後、Hematoxylin-Eosinで染色した。
続いて、各皮膚切片像を光学顕微鏡下(×200 magnification)、Polaroid Digital Microscope Camera(PDMC II)でデジタル画像化してから、表皮の厚さを画像計測ソフト(micro analyzer、日本ポラデジタル)により求めた。尚、1切片につき無作為に選択した200〜250ヶ所の表皮の厚さを求め、その平均を各動物の表皮厚とした。
2)表皮基底細胞の増殖活性
基底細胞の増殖活性はNakanoおよびBertonらの方法を参照し、以下のように測定した(Nakano R., Tsuyama S., Murata F., J. Dermatol. Sci., 14, 54-62 (1997);Berton T. R., Mitchell D. L., Fischer S. M., J. Invest. Dermatol., 109, 340-347 (1997)参照)。
即ち、実験開始1、3、5あるいは7日後に、各動物に5-bromo-2'-deoxyuridine (BrdU, 50 mg/kg body weight)を20分間隔で3回、腹腔内に投与した。最終投与20分後に、各動物について背部の尾側から約3分の1の部位の皮膚全層(5×10mm)を3ヶ所から採取し、20% sucrose-PBS(-)溶液中に一晩浸漬した。各々の摘出皮膚より厚さ6μmの凍結切片を作製後、アセトンで固定(−20℃,10min)した。各切片に、anti-BrdU(1:100)、biotin conjugated goat anti-rat IgG (1:100)モノクローナル抗体、続いてHRSP conjugated streptavidin(1:300)を順次作用させてからdiaminobenzidine で染色することでBrdU陽性基底細胞を可視化した。続いて、BrdU陰性の基底細胞をMayer's hematoxylinで対比的に染色した。続いて、各皮膚切片を光学顕微鏡下(x 200)、PDMC IIで撮影後、micro analyzerにより基底細胞とBrdU陽性細胞の全数をカウントした。全基底細胞数に対するBrdU陽性細胞数の割合(百分率)を増殖活性とした。
3)角層細胞面積
角層細胞面積をGroveらの方法に従って求めた(Grove G. L., Kligman A. M., Stratum Corneum, ed. by Marks R., Plewig G., Springer-Verlag, Berlin Heidelberg, 1983, pp. 191-195参照)。
即ち、実験開始1、3、5、7日後、あるいはテープストリッピングの2、3、4日後に、各動物の背部の尾側から約3分の1の部位の角層をセロハンテープで剥がしたのち、スライドグラス上に転写した。それを1%gentian violet B-0.5% brilliant green (1:1)水溶液で染色した。光学顕微鏡下(×400)、各動物の角層細胞の面積を画像計測ソフト(Nano Hunter NS 2K-pro, Nanosystem)を使って測った。尚、一検体につき無作為に選択した30個のisolateされた細胞の面積の平均を各動物の角層細胞面積とした。
4)表皮T細胞およびLangerhans細胞数
表皮中のT細胞およびLangerhans細胞数は川口らの方法をもとに、間接蛍光抗体染色法により数えた(Kawaguchi Y., Okada T., Konishi H., Fujino M., Asai J., Ito M., Clin. Exp. Immunol., 109, 397-401 (1997)参照)。
即ち、実験開始7日後に、各動物の背部の尾側から約3分の1の部位の皮膚全層(5×5mm)を3ヶ所から採取した。それを25mM EDTA・4Na-PBS(-)溶液中で加温(37℃,1hr)してから、表皮を丁寧に剥離させた。このようにして得た表皮シートをアセトンで固定(室温,10min)し、FITC conjugated hamster anti-mouse CD3ε(1:300)、biotin conjugated rat anti-mouse I-Ad/I-Ed(1:300)モノクローナル抗体、続いてrhodamine conjugated streptavidin(1:500)を順次作用させた。
各表皮シート中のCD3 eおよびI-Ad/I-Ed陽性細胞(T細胞およびLangerhans細胞)を共焦点レーザースキャン顕微鏡(×200)で蛍光化し、その像をデジタル画像化した。各々の陽性細胞数をmicro analyzerでカウントした。尚、1シートにつき5ヶ所(0.4×0.4mm)を無作為に選択し、各細胞数を求め、その平均を各動物の単位面積あたりの表皮T細胞およびLangerhans細胞数とした。
5)皮膚サイトカイン(IFN-γ, IL-2, IL-4とIL-5)濃度
サイトカイン濃度をBreuhahnらの方法をもとに以下のように測定した(Breuhahn K., Mann A., Muller G., Wilhelmi A., Schirmacher P., Enk A., Blessing M., Cell Growth Differ., 11, 111-121 (2000)参照)。
即ち、背部の尾側から約3分の1の部位の皮膚全層(20×20mm)を採取した。この摘出皮膚を液体窒素下で粉砕後、PBS(-)(600μl)とphenylmethyl sulfonyl fluoride(1mg)を添加し、ボルテックスミキサーを用いて1分間混和後、遠心分離(1000g,30min)し、その上清を検体とした。このようにして得た皮膚抽出液を、以下の各サイトカイン、IFN−γ、IL−2、IL−4およびIL−5の濃度測定に供した。尚、測定は市販のELISAキット(Biotrak System)を用いて行った。全て一検体につき2回の測定を行った。
2.実験の結果
(1)単独隔離及び過密負荷の、卵巣、胸腺、及び副腎重量に及ぼす影響
単独隔離及び過密負荷群について、実験開始7日後の卵巣、胸腺及び副腎の重量を測定した結果を図1に示す。これにより、人の社会心理ストレスに近いストレスを与えられたヘアレスマウスの卵巣及び胸腺は萎縮し、副腎は肥大していることが分かる。なお、図1中(a)は卵巣の測定結果、(b)は胸腺の測定結果、(c)は副腎の測定結果を各々表す。
(2)単独隔離及び過密負荷の表皮厚み、表皮基底細胞増殖活性、角層細胞面積に及ぼす影響
単独隔離及び過密負荷群について、実験開始7日後における皮膚性状として、表皮の厚み、基底細胞増殖活性、及び角層細胞面積を測定した結果を、図2に示す。これにより、ストレスを与えられたヘアレスマウスの表皮は厚くなり、表皮基底細胞増殖活性は高くなり、角層細胞面積は低下することが分かる。なお、図2中、(a)は表皮の厚みの測定結果、(b)は規定細胞増殖活性の測定結果、(c)は角層細胞面積の測定結果を各々表す。
(3)過密負荷の表皮T細胞数とLangerhans細胞数及び皮膚サイトカイン濃度に及ぼす影響
対照(5/cage)と過密負荷群(20/cage)について、表皮T細胞数、Langerhans細胞数、及び皮膚サイトカイン濃度について測定した結果を図3に示す。これにより、過密負荷によりストレスを与えられることによって、表皮T細胞数及びLangerhans細胞面積が低下し、皮膚サイトカインIL−4とIL−5濃度のみが上昇していることがわかる。すなわち、ヘアレスマウスの皮膚組織の免疫能が低下し、一方、体液性免疫能が上昇していることがわかる。なお、図3中、(a)は表皮T細胞数の測定結果、(b)はLangerhans細胞数の測定結果、(c)〜(f)はそれぞれIFN−γ、IL−2、IL−4およびIL−5の濃度測定結果を表す。
本実験では、環境変化・過密負荷によってストレスを与えられた動物を用い、ストレスの生体への影響を検証した。
1.実験の方法
<使用動物>
HOS:Hr−1ヘアレスマウス(12〜15週、27.0±0.8g、雌)を使用し、まず760cm2の空間を一区画(parcel)が190cm2となるように4分割し、1parcelに2匹入れ(2/parcel;normal)、約2週間かけてこの状態にて順化させた。その後、動物の一部を、1parcel当たりに3匹、5匹とすることにより過密負荷群を作成した。
<被検物>
各種茶葉(緑茶;green tea、ウーロン茶;Oolong tea、紅茶;tea)の微粉末(平均粒径;10μm)を、マウス1匹当たり1日120mg与えた(120mg/mouse/day)。
<実験手順>
対照群(control; 2/760/4cm2)と過密負荷群(3,5/760/4cm2)について、実験を行った。実験開始1日後、3日後及び7日後に、それぞれ体重測定、臓器摘出、皮膚採取を行い、以下の項目について測定した。なお、過密負荷群の一部には、別に実験開始当日から7日間被検物を投与した。
<測定項目>
1)体重、卵巣、胸腺、及び副腎の重量
2)表皮T細胞とLangerhans細胞数
2.実験の結果
(1)環境変化・過密負荷の卵巣、胸腺と副腎重量に及ぼす影響
過密負荷によるストレスを与えられたヘアレスマウスについて、実験開始7日後の卵巣、胸腺及び副腎の重量を測定した結果を図4に示す。これにより、人の社会心理ストレスに近いストレスを与えられたヘアレスマウスの卵巣及び胸腺は萎縮し、副腎は肥大していることが分かる。なお、図4中、(a)は胸腺、(b)は副腎、(c)は卵巣の測定結果を表す。
(2)茶葉の環境変化・過密負荷群の表皮T細胞数とLangerhans細胞面積に及ぼす影響
環境変化・過密負荷群のヘアレスマウスに茶葉を与えた場合について、実験開始7日後の体重、表皮T細胞数、及びLangerhans細胞面積を測定した結果を、図5に示す。これにより、緑茶とウーロン茶葉はストレス負荷による体重増加抑制、表皮T細胞数の減少、及びLangerhans細胞面積の低下を効果的に抑制したことがわかる。なお、図5中、(a)は体重の測定結果、(b)は表皮T細胞数の測定結果、(c)と(d)は各々Langerhans細胞面積の測定結果を表す。
本発明の不発酵茶又は半発酵茶の粉砕物からなる皮膚免疫能低下抑制剤は、ストレスによる皮膚の免疫能低下に対する優れた抑制効果を有し、しかも人体にやさしく副作用の少ない素材であるから、日常生活の中で手軽に摂取することができる。このような本発明の皮膚免疫能低下抑制剤は、現代のストレス社会において、ストレスが大きく影響する慢性疾患や弊害などの予防や治療を行う上で、大きく役立つことが期待される。
実施例1の卵巣、胸腺及び副腎重量の測定結果を示すグラフである。 実施例1の表皮厚み、基底細胞増殖活性、及び角層細胞面積の測定結果を示すグラフである。 実施例1の表皮T細胞数、Langerhans細胞数、及び皮膚サイトカイン濃度の測定結果を示すグラフである。 実施例2の卵巣、胸腺及び副腎重量の測定結果を示すグラフである。 実施例2の体重、表皮T細胞数、及びLangerhans細胞面積の測定結果を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 不発酵茶もしくは半発酵茶の粉砕物及び/又は抽出物からなる、ストレスによる皮膚免疫能低下抑制剤。
  2. 前記粉砕物が、平均粒径10μm以下の微粉末のであることを特徴とする、請求項1記載のストレスによる皮膚免疫能低下抑制剤。
  3. 請求項1記載のストレスによる皮膚免疫能低下抑制剤を含む、茶含有食品。


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