図1は、本発明の一実施形態に係る表示システムの全体構成を示す模式図である。なお、図1には、説明の便宜上、X軸、Y軸及びZ軸の3軸からなる直交座標系が示されている。X軸は車両Aの進行方向を指示し、Y軸は車両Aの進行方向に対する右方向を指示し、さらに、Z方向は鉛直方向を指示する。
図1において、表示システムは、典型的には、バックドアB又はリアハッチBを備える車両Aに取り付けられる。このような車両Aには、例えば、バックドア付き3ドアタイプ又は5ドアタイプのセダン、5ドアのステーションワゴン(エステートカー)、SUV(Sports Utility Vehicle)若しくは四輪駆動車がある。表示システムは、このような種類の車両Aに備わる後部座席Eへの観視者へ画像を提供したり、車外の観視者にこれらを提供したりする。
画像を提供するために、表示システムは、プロジェクタ1と、車内向けスクリーン装置2と、車外向けスクリーン装置3と、固定部材4とを備える。なお、都合上、図1には、固定部材4は示されていない。
プロジェクタ1は、車室内の天井Cに取り付けられる。この取り付け位置に関しては、車内向けスクリーン装置2の取り付け位置に依るところが大きいが、本実施形態では、プロジェクタ1は、車両Aの縦中心面(図示せず)と天井Cとが交差する部分周辺であって、前部座席Dの概ね真上辺りの位置とする。ここで、縦中心面とは、ZX平面に平行であって、車両Aが備える左右両輪の回転中心同士を結ぶ線の中点を通過する鉛直面である。以上の取り付け位置において、プロジェクタ1は好ましくは、光束Lを投射しない間(以下、未使用時と称する)、天井C内に収容されているが(図2参照)、光束Lを投射する直前に、投射レンズ(図示せず)の光軸が予め定められた2方向のいずれかを向くように、投射レンズを自動的に移動させる(図3又は図5参照)。
投射レンズの位置決め後(以下、使用時と称する)、プロジェクタ1は、外部の映像源が生成した画像信号を受け取る。ここで、映像源としては、車両Aに設置されたテレビチューナ、例えばDVD(Digital Versatile Disc)又はBD(Bru−Ray Disc)の再生機、若しくはゲーム機器が典型的である。プロジェクタ1は、受け取った画像信号に対して、ガンマ補正又は解像度補正に代表される処理を内蔵の信号処理回路(図示せず)で行って、例えば液晶パネルのような内蔵の表示装置(図示せず)を駆動するための駆動信号を生成する。その後、プロジェクタ1は、信号処理回路で生成された駆動信号で表示装置(図示せず)を駆動する。さらに、表示装置には、光源(図示せず)で生成された無変調光が与えられる。表示装置は、与えられた駆動信号及び無変調光を使って、画像を表す光信号を生成する。なお、表示装置は、与えられた駆動信号のみから、画像を表す光信号を生成することもできる。図示しない光学系を通じて、投射レンズから光束Lとして出射する。
次に、車内向けスクリーン装置2について説明する。まず、図2は、車両Aの右斜め後方から見た、未使用時における車内向けスクリーン装置2を示す模式図である。また、図3は、車両Aの右斜め後方から見た、使用時における車内向けスクリーン装置2を示す模式図である。これら図面において、車内向けスクリーン装置2は、プロジェクタ1と同様に天井Cに取り付けられる。好ましくは、車内向けスクリーン装置2は、後部座席Eへの観視者が画像を観やすいと想定される位置に取り付けられる。その一例として、本実施形態では、車内向けスクリーン装置2は、プロジェクタ1を基準として、X軸の負方向へ所定量だけ離れた位置に設置される。また、車内向けスクリーン装置2は、車内向けスクリーン21と、車内収納部22と、支持部材23とを備える。
図2及び図3に示すように、車内向けスクリーン21は、設計仕様に応じて定められた大きさを有する透過型スクリーンである。また、車内収納部22には、車内向けスクリーン21及び支持部材23を収納可能な大きさの空間が形成される。また、支持部材23は、車内向けスクリーン21の一辺に沿って、さらに車内収納部22の内部に取り付けられる。このような支持部材23は、車内収納部22に固定され、自身の軸を中心として車内向けスクリーン21を回転自在に支持する。
次に、車外向けスクリーン装置3について説明する。まず、図4は、車両Aの左斜め後方から見た、未使用時における車外向けスクリーン装置3を示す模式図である。また、図5は、車両Aの左横方向から見た、車両Aの室内示す模式図である。
図4及び図5に示すように、さらには前述したように、車両Aは、バックドアB又はリアハッチBを備えている。これらバックドアB及びリアハッチBが開くと、それらの大きさに応じた開口部分Gが形成される。さらに、いくつかの後部座席E及び/又はFを前方に倒すと、プロジェクタ1の投射レンズから開口部分Gに向かう光路(図5の一点鎖線参照)のための空間が形成される。
また、車外向けスクリーン装置3は、車両Aの内部であってかつ開口部分Gの近傍に取り付けられる。本実施形態では例示的に、車外向けスクリーン装置3は、開口部分Gの上端近傍であって、バックドアB及びリアハッチBの開閉に支障をきたさない位置に取り付けられる。
ここで、図6Aは、車外向けスクリーン装置3を略鉛直下方向から見たときの底面図である。図6Bは、車外向けスクリーン装置3を正面方向から見たときの正面図である。図7Aは、車外向けスクリーン32を取り外した時における車外向けスクリーン装置3を略鉛直下方向から見たときの底面図である。図7Bは、車外向けスクリーン32を取り外した時における車外向けスクリーン装置3を正面方向から見たときの正面図である。図7Cは、図7Bに示す面J−J’に沿う車外向けスクリーン装置3の切断面を、矢印Kの方向から見たときの部分断面図である。
以上の各図において、車外向けスクリーン装置3は、車外収納部31と、車外向けスクリーン32と、巻き取り機構33と、スピーカ34L及び34Rと、回転機構35L及び35Rとを備えている。
車外収納部31は、筒状又は箱状の外形を有する。また、車外収納部31には、車外向けスクリーン32及び巻き取り機構33を収容するための空間Hが形成されている(図7A,図7Cを特に参照)。ここで、空間Hにおいて、Y軸方向に沿って対向する2面は互いに平行な面である。これら2面のそれぞれには、中心面M−M’を基準として互いに対称な位置に、後述する支持部材331の外径と略同じ径を有する円柱形状を有する穴が形成される。ここで、中心面M−M’は、これら2面から互いに等距離であって、ZX平面に平行な面である。さらに、車外収納部31の底面には、車外向けスクリーン32を展開できるように、外部に向かって、図7Aの場合ではZ軸の負方向に向かって開口が形成されている。
車外向けスクリーン32は、車両Aの開口部分Gに沿って展開可能で低剛性の材料からなり、開口部分Gに納まる程度の大きさを有する透過型スクリーンである(特に図4,図5を参照)。
巻き取り機構33は、図7A及び図7Cに特に示すように、支持部材331と、2個の固定部材332L及び332Rと、連結部材333と、2個の弾性部材334L及び334Rとを含んでいる。
支持部材331は、貫通孔が形成される略円筒状の形状を有する。ここで、支持部材331のY軸方向への長さは、車外向けスクリーン32の一辺よりも若干長く、かつ車外収納部31の両側面に形成された2つの穴同士の距離に実質的に等しい。このような支持部材331の各端は、車外収納部31の各穴に填められる。しかし、支持部材331の各端は、車外収納部31に固着されない。これによって、支持部材331は、車外収納部31の両側面間を渡され、さらに、自身の中心軸周りに回転可能に車外収納部31により支持される。また、車外向けスクリーン32の一辺近傍は、支持部材331の側面上にY軸と平行に固着される。
固定部材332L及び332Rは互いに同じ略円柱状の形状を有しており、それぞれの底面の外径は、中空の略円筒形状を有する支持部材331の内径に実質的に等しい。このような固定部材332Lが支持部材331の貫通孔に挿入された状態で、固定部材332Lの底面は車外収納部31の穴に固定される。また、固定部材332Rは、固定部材332Lと中心面M−M’を基準として対称な位置に固定される。
また、連結部材333は、略円柱状の形状を有しており、それぞれの底面の外径は、支持部材331に形成された貫通孔の内径に実質的に等しい。このような連結部材333は、支持部材331の貫通孔に挿入され、貫通孔においてY軸方向の中心で、自身の両底面から車外収納部31の両側面までの距離が互いに等しい位置で、支持部材331の円筒内面に固着される。
弾性部材334L及び334Rはそれぞれ、典型的には合成樹脂又は天然樹脂で構成される紐状又は棒状の部材である。弾性部材334Lは、固定部材332Lの底面と、連結部材333の底面との間を渡すように配置され、弾性部材334Lの一方端及び他方端は、固定部材332L及び連結部材333に固着される。弾性部材334Rは、中心面M−M’を基準として、弾性部材334Rと対称な位置に設置され、弾性部材334Rの一方端及び他方端は、連結部材333及び固定部材332Rに固着される。
次にスピーカ34L及び34Rについて説明する。スピーカ34Lは、後述する回転機構35Lを介して、車外収納部31の一側面に回転可能に取り付けられる。ここで、スピーカ34Lにおいて、車外収納部31と対向する面側には、スピーカ34Lを回転可能にするために、所定形状を有する穴が形成されている。この穴については、後で、回転機構35Lと共に説明する。また、スピーカ34Rは、中心面M−M’を基準として、スピーカ34Lと対称な形状を有し、さらに、スピーカ34Lと対称な位置に回転可能に取り付けられる。以上のようなスピーカ34L及び34Rは、前述の映像源と同じ機器、つまり音源で生成された音声信号を受け取る。各スピーカ34L及び34Rは、受け取った音声信号に対して、D/A変換又は増幅に代表される処理を内蔵の信号処理回路(図示せず)で行って、外部に出力する。
次に、回転機構35L及び35Rについて説明する。図8Aは、車両Aの後方から見た回転機構35Lの周辺を示す模式図である。図8Bは、車両Aの左方向から回転機構35Lの周辺を示す模式図である。
これら図面において、回転機構35Lは、例示的には、第1の部材351及び第2の部材352を含む。第1の部材351及び第2の部材352のそれぞれは、基台353と、回転軸354とを有する。基台353は、予め定められた形状を有しており、互いに略平行な主面と裏面とを有する。基台353の主面には、回転軸354が固定的に取り付けられるか、形成されている。
回転軸354は例示的には、互いに底面の径が相違するが、互いに中心軸が一致する2個の円柱形状の部材を有する。以上の回転軸354の中心軸は、基台353の主面に対して垂直である。ここで、回転軸354においては、基台353に近接する側の径の方が小さい値に選ばれる。
ここで、スピーカ34Lに形成される穴について説明する。図8A及び図8Bにおいて、スピーカ34Lの両側面には、回転軸354の外形と同じ形状の穴が互いに対向する位置に一つずつ形成される。第1の部材351の回転軸354は、スピーカ34Lに形成される一方の穴に填められる。また、第2の部材352の回転軸354は、他方の穴に填められる。ただし、スピーカ34Lの各穴と、各回転軸354とは固着されない。以上の状態で、第1の部材351において基台353の裏面は車外収納部31の側面に固定され、第2の部材352において基台353の裏面は車両Aに固定される。ここで、本実施形態では、基台353の裏面は車両Aのピラー近傍に固定される。これによって、スピーカ34Lは、回転軸354の周りを回転可能に、回転機構35Lにより支持される。
回転機構35Rは、中心面M−M’(例えば図7Aを参照)を基準として、回転機構35Lと対称な形状を有し、さらに、回転機構35Lと対称な位置に取り付けられる。これによって、スピーカ34Rは、スピーカ34Lと同じ要領で回転する。
次に、固定部材4について説明する。図9Aは、車外向けスクリーン32を展開途中における固定部材4を示す模式図である。また、図9Bは、車外向けスクリーン32の展開完了後における固定部材を示す模式図である。固定部材4は、車外向けスクリーン32の先端部分を車両Aに対して固定するために、本実施形態では例示的に、互いに極性の異なる磁石321及び322を少なくとも1組(図示は3組)含んでいる。各磁石321は、車外向けスクリーン32の先端に固定的に取り付けられる。それに対して、各磁石322は、車両Aにおいて開口部分Gの近傍に取り付けられる。本実施形態では例示的に、各磁石322は、車両Aにおける開口部分Gの下端に取り付けられる。また、1組の磁石321及び322については、X軸上の位置及びY軸上の位置が略同一であることが好ましい。つまり、1組の磁石321及び322については、Z軸に平行な線上に並んでいることが好ましい。
次に、以上の各図を参照して、以上のような構成の表示システムの動作について、まず、車両Aの後部座席Eへの観視者が画像を観視する場合について説明する。スピーカ34L及び34Rは好ましくは、車内に音声を出力可能な方向に向けられる。また、車内向けスクリーン21は、支持部材23の軸周りに回転し、車内収納部22の中から回動して、後部座席Eへの観視者に画像を提供可能な位置で静止する(図2,図3を参照)。さらに、プロジェクタ1は、静止中の車内向けスクリーン21に画像を適切に投射可能に、各種設定を行う。以上のような動作の終了後、図1に示すように、プロジェクタ1は、前述したように、外部から入力される画像信号に基づいて光束Lを生成し、車内向けスクリーン21に向けて投射する。投射された光束Lは、車内向けスクリーン21において、プロジェクタ1の投射レンズと対向する裏面側から、車内向けスクリーン21に入射される。車内向けスクリーン21は、入射された光束Lを透過し、主面側から拡散する。また、スピーカ34L及び34Rは、図1に示すように、外部から入力される音声信号に基づいて、車室内の観視者に向けて音声を出力する。これによって、観視者は、画像を観視し、同時に音声を聴くことが可能となる。
次に、例えばキャンプ場に代表される車外において、観視者が画像を観視する場合について説明する。まず、観視者は、リアハッチB又はバックドアBを開放し(図4を参照)、その後、車外向けスクリーン装置3が備える車外収納部31の底面から、それに収納されている車外向けスクリーン32を引っ張り出す(図6A,図6Bを参照)。この間、車外収納部31において、支持部材331は回転し、さらには、連結部材333も同様に回転する。ここで、2個の固定部材332L及び333Rは、車両Aに対して固定されていることになる。それ故、連結部材333並びに固定部材332L及び333Rの間を渡されている弾性部材334L及び334Rは、連結部材333の回転方向に捩れる。
観視者は、車外向けスクリーン32を引っ張り出し、開口部分Gに展開すると(図5参照)、固定部材4を使って、車外向けスクリーン32の先端部分を車両Aに対して固定する。具体的には、観視者は、組みを構成する磁石321及び322同士を重ね合わせ、これによって、磁石321及び332が互いに吸着し合い、車外向けスクリーン32は固定される。ここで、弾性部材334L及び334Rは、現在捩れているので、復元力が生じる。その結果、車外向けスクリーン32には、車外収納部31の方向への力が働き、さらに、固定部材4の方向への力も働く。これによって、車外向けスクリーン32は、図10に示すように、弛みのない状態になる。
また、スピーカ34L及び34Rは好ましくは、車外に音声を出力可能な方向に向けられる。さらに、プロジェクタ1は、展開された車外向けスクリーン32に画像を適切に投射可能に、各種設定を行う。以上のような動作の終了後、図5に示すように、プロジェクタ1は、前述したように、外部から入力される画像信号に基づいて光束Lを生成し、車外向けスクリーン32に向けて投射する。投射された光束Lは、車外向けスクリーン32において、プロジェクタ1の投射レンズと対向する裏面側から、車外向けスクリーン32に入射される。車外向けスクリーン32は、入射された光束Lを透過し、主面側から拡散する。また、スピーカ34L及び34Rは、図5に示すように、外部から入力される音声信号に基づいて、車外の観視者に向けて音声を出力する。これによって、観視者は、画像を観視し、同時に音声を聴くことが可能となる。
また、画像の観視後、観視者は、磁石321及び322を引き離した後、車外向けスクリーン32から手を離す。それに応じて、車外向けスクリーン32には、固定部材4への方向の力が作用しなくなるため、弾性部材334L及び334Rの復元力が働く。その結果、車外収納部31において、支持部材331は、車外向けスクリーン32の展開時とは逆方向に回転し、車外向けスクリーン32は、車外収納部31に収納される。
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置によれば、観視者は、車両AのリアハッチB又はバックドアBを開放した後、車外向けスクリーン32を開口部分Gに展開するだけで良くなるので、従来よりも手軽に画像及び映像を観視することが可能となる。
また、本実施形態では、リアハッチB又はバックドアBにより、外光の一部が車外向けスクリーン32に当たることを防ぐことが可能となる。つまり、リアハッチB又はバックドアBは遮光する。これによって、従来よりも、より見やすい画像を、本実施形態に係る表示装置は提供することが可能となる。
また、本実施形態に係る表示システムは、回動可能なスピーカ34L及び34Rを備えているので、車内で映像を観視する時と、車外で映像を観視する時とで、スピーカ34L及び34Rの向きを変えることができる。これによって、観視者により聞き取り易い音声を提供することが可能となる。また、スピーカ34L及び34Rの向きを変えることができることから、車内及び車外にいるそれぞれの観視者は相対的に小さな音量でも、両スピーカ34L及び34Rから出力された音声を聞き取ることが可能となる。これによって、表示システムの消費電力を低く抑えることが可能となる。もし、スピーカ34L及び34Rが回転可能でない場合には、各スピーカ34L及び34Rの指向性の関係で、車内及び車外のいずれかにいる観視者に対して、大音量で音声を出力する必要が生じる。
また、スクリーン7の一端部に磁石17を設け、この磁石17を車両1の底面に設けられた磁石18に係合させるようにしたので、リヤパネル5を開放したときの車両後部の広い面積をスクリーン7で確実に、かつ安定して覆うことができ、スクリーン7に大画面の映像を投写することができる。
また、本実施形態では、支持部材331の内部に巻き取り機構33が備わる。巻き取り機構33は、捩られた弾性部材334L及び334Rの復元力を利用して、車外向けスクリーン32を車外収納部31に収納する。これによって、従来よりも使い勝手の良い表示システムを提供することが可能となる。
さらに、車外向けスクリーン32の展開時、その一辺近傍は支持部材331に固着されており、それに対向する辺は固定部材4により開口部分Gの下端近傍に固定される。この間、弾性部材334L及び334Rの復元力により、車外向けスクリーン32の弛みを抑えることが可能となる。
また、本実施形態では、プロジェクタ1の一例として、液晶型を挙げたが、これに限らず、3管式プロジェクタ又はDLP(Digital Light Processing)プロジェクタであっても構わない。また、プロジェクタ1は、天井Cに沿って、X軸の方向にスライド可能に構成されても構わない。これにより、車内向けスクリーン21及び車外向けスクリーン32のいずれかにより表示される画像の大きさを変えやすくなる。さらに、プロジェクタ1をZ軸周りに回転可能に構成することにより、車内向けスクリーン装置2の位置について制限が少なくなる。また、プロジェクタ1は、車外に設置されても構わない。ただし、この場合、車外向けスクリーン32は反射型である必要がある。
また、本実施形態では、車外向けスクリーン装置3は、左右のピラー間を渡すように設置されたが、これに限らず、図11に示すように、リアハッチB又はバックドアBにおいて、それぞれに取り付けられるヒンジ近傍に車外向けスクリーン装置3が設置されても構わない。また、図12に示すように、車内において開口部分Gの下端部分に、車外向けスクリーン装置3が収納されていても構わない。この場合、車外向けスクリーン32は、リアハッチB又はバックドアBの先端部分に予め固定される。また、車外向けスクリーン32は、リアハッチB及びバックドアBが上方に開けられることに応じて引き出される。また、スピーカ34に関しては、車外の観視者に向けて音声を出力可能であれば、どこに設置されても構わないが、図12の例では、リアハッチB又はバックドアBの先端に取り付けられている。
また、車外向けスクリーン装置3において、車外向けスクリーン32は、風によるばたつきを抑える観点から、多数の小さな孔が空いていることが好ましい。また、車外向けスクリーン32については、車外収納部31に巻き取られて収納されるのではなく、折り畳み式で収納されても構わない。
また、本実施形態では、回転機構35L及び35Rは360度回転可能に構成されていたが、所定の基準に対して、予め定められた角度θ1から角度θ2の範囲内で、回転機構35L及び35Rは回転可能に構成されることが好ましい。ここで、角度θ1は、スピーカ35L及び35Rが車両Aの室内を向く角度に選ばれ、角度θ2は、スピーカ35L及び35Rが車両Aの外部を向く角度に選ばれる。ここで、図13Aは、以上のような回転範囲が制限された回転機構35Lの周辺を、車両Aの後方から見たときの模式図である。図13Bは、図13Aに示す回転機構35Lの周辺を、車両Aの左方向から見たときの模式図である。
これら図面において、回転機構35Lは、第1の部材351及び第2の部材352を含む。第1の部材351及び第2の部材352のそれぞれは、図8A及び図8Bに示すものと比較すると、ストッパ355をさらに有する点で相違する。それ以外に、両者の間に相違点は無いので、図13A及び図13Bにおいて、図8A及び図8Bに示す構成に相当するものには、同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。
各ストッパ355は例示的に、部分環状形状を有しており、自身の中心軸と回転軸354の軸と合わせた状態で、回転軸354の端面上に固着される。なお、図示した例では、ストッパ355の中心角は概ね90度である。
ここで、スピーカ34Lに形成される穴について説明する。図13A及び図13Bにおいて、スピーカ34Lの両側面には、回転軸354の外形と同じ形状の穴が互いに対向する位置に一つずつ形成される。さらに、回転軸354の軸及び最外径と概ね一致する中心軸及び外径を有し、ストッパ355の中心角よりも大きい中心角を有する部分環状形状の穴が形成される。ここで、スピーカ34L側の穴の中心角については、スピーカ34Lの回転範囲に基づいて定められる。例えば、ストッパ355の中心角が90度という条件下で、スピーカ34Lの回転範囲を90度にするには、スピーカ34L側の穴の中心角は180度にする必要がある。
第1の部材351は、以上のように形成されるスピーカ34Lに形成される一方の穴に填められる。また、第2の部材352は、スピーカ34Lの他方の穴に填められる。ただし、スピーカ34Lの各穴と、第1の部材351及び第2の部材352のそれぞれとは固着されない。以上の状態で、第1の部材351において基台353の裏面は車外収納部31の側面に固定され、第2の部材352において基台353の裏面は車両Aに固定される。ここで、本実施形態では、基台353の裏面は車両Aのピラー近傍に固定される。これによって、スピーカ34Lは、回転軸354の周りを予め定められた範囲内で回転可能に、回転機構35Lにより支持される。
回転機構35Rは、前述と同様に、中心面M−M’(図7A等を参照)を基準として、回転機構35Lと対称な形状を有しており、さらに、回転機構35Lと対称な位置に取り付けられる。
また、既に述べた回転機構35L及び35R以外にも、スピーカ34L及び35Rを回転させる機構については、様々な変型例又は構成例がある。例えば、車外向けスクリーン32が展開され、固定部材4で位置決めされるまでの間、支持部材331は回転する。回転機構35L及び35Rは、支持部材331の回転により発生する力を、例えばギアを介してスピーカ34L及び34Rに伝達して、車外の方向に向くようにスピーカ34L及び34Rを回転させても良い。また、支持部材331は、車外向けスクリーン32を収納するためにも回転するので、回転機構35L及び35Rは、支持部材331の回転により発生する力により、車内の方向に向くようにスピーカ34L及び34Rを回転させても良い。
他にも、図示しないセンサにより検出される支持部材331の回転量に応じて、回転機構35L及び35Rは、車外向けスクリーン32を車外に向く方向に又は車内を向く方向に回転させても良い。
また、以上の実施形態において、固定部材4は、互いに極性の異なる磁石321及び322から構成されていたが、これに限らず、車外向けスクリーン32の先端近傍に取り付けられるフック又はリング、及び開口部分Gの下端に取り付けられるリング又はフックから構成されても良い。また、リング又はフックは、開口部分Gの下端だけでなく、大地に固定されても構わない。さらに、固定部材4は、杭でも構わない。この場合、車外向けスクリーン32の先端近傍が大地に杭により固定される。
また、本実施形態では、観視者は、車外において車両Aの後方で画像を観視することになるので、車外向けスクリーン32の使用中には、車両Aのマフラーの向きをY軸の方向よりに変更することが好ましい。
また、本実施形態では、車外向けスクリーン32の使用中、車両Aのインストルメンタルパネルに表示可能な各種警告、又は車両Aの室内灯が表示されないようにすることが好ましい。これにより、インストルメンタルパネル又は室内灯の光が、プロジェクタ1の投射光束Lに悪影響を与えないようにすることができる。さらには、車両Aが消費する電力を抑えることができる。
なお、以上の実施形態において、プロジェクタ1は、車内向けスクリーン21への投射を行う場合と、車外向けスクリーン32への投射を行う場合とでは、焦点位置を変更したり、画像及び映像のいずれかについて大きさ又は向きを変更したりする必要が生じる。しかし、車内向けスクリーン21及び車外向けスクリーン32の設置位置が固定である場合には、各焦点位置、若しくは画像及び映像のいずれかについて大きさ又は向きが決まるので、これらが、予めプリセット値としてプロジェクタ1に設定されていることが好ましい。その上で、プロジェクタ1は、いずれのスクリーンを使って画像を提供するかに応じて、適切なプリセット値を使って画像信号に対して処理を行った後に、光束Lを投射する。
また、以上の実施形態では、車外向けスクリーン32を展開するために、車両Aの後方の開口部分Gを利用したが、これに限らず、車外向けスクリーン32が車両Aのサイドドアを開けることにより形成される開口部分に展開されるよう、車外向けスクリーン装置3を設置しても構わない。