JP2005095816A - 防汚処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 板材表面に塗料を塗布して塗膜を形成し、該塗膜が半硬化状態において、シリカ微粒子を分散した防汚処理剤をその上から塗布する防汚処理方法を提供する。
このようにすると、該防汚処理剤のシリカ微粒子が半硬化状態の塗膜に若干めり込む状態となり、形成される防汚層の該塗膜に対する付着力が向上する。
Description
例えば外壁材等の建築板にあっては、一般に表面に塗料によって塗装が施されているが、施工後表面に付着した汚れを除去するために、セルフクリーニング機能を有する防汚膜を形成する防汚処理剤が塗布される。
上記防汚処理剤としては、シリカ微粒子やアルミナ微粒子等の水性分散液が使用されている。
上記防汚処理剤を上記塗装された板材表面に塗布すると、該シリカ微粒子やアルミナ微粒子によって該表面が被覆され、該表面に超親水性を有する防汚膜が形成される。このような表面に汚れが付着した場合、該表面に水を接触させると該超親水性防汚膜に水が吸収され、その結果汚れが浮上って水と共に流れ落ちる(セルフクリーニング機能)。
しかしながら該防汚膜は、シリカ微粒子やアルミナ微粒子が板材表面に単に付着していることによって形成されているから長期定着性に乏しく、耐久性のある防汚膜が形成されない。
そこで上記防汚膜に耐久性を付与するために、例えば板材表面に塗装された塗膜に酸化処理を施して親水性を付与した後、上記防汚処理剤を塗布する方法イ(例えば特許文献1参照)、ガラス転移点が30℃以下の合成樹脂エマルジョン塗料の塗膜上に上記防汚処理剤を塗布する方法ロ(例えば特許文献2参照)等が提供されている。
方法ロにあっては、合成樹脂エマルジョン塗料の塗膜を実質的に完全乾燥状態(完全硬化状態)において防汚処理剤を塗布するので、塗膜に対するシリカ微粒子(コロイド珪酸)の付着が充分でなく、表面に摩擦力が及ぼされると該微粒子が剥離脱落してしまい、耐久性の充分ある防汚膜が得られない。
該防汚処理剤はアルコールと、水と、界面活性剤とを含有する媒体にシリカ微粒子を分散させたものであることが望ましい。
また板材表面に塗料を塗布した後10〜60秒のセッティング時間を設定した後、該防汚処理剤を塗布するか、表面に塗膜を形成した板材の表面をプレヒートしてから防汚処理剤を塗布することが望ましい。
更に板材表面に塗布する塗料は水性エマルジョン塗料であることが望ましい。また該防汚処理剤は霧化塗装法によって塗布されることが望ましい。
本発明では板材表面の塗膜が半硬化状態にあり、粘着性を有する状態で防汚処理剤を塗布するから、シリカ微粒子が該塗膜に若干めり込む状態となり、形成される防汚層の該塗膜に対する付着力が向上する。
該防汚処理剤はアルコールと、水と、界面活性剤とを含有する媒体にシリカ微粒子を分散させたものであると、アルコールと界面活性剤の表面張力低下作用によって塗膜との濡れ性が向上し、更に塗膜との親和性も高くなり、形成される防汚層の該塗膜に対する付着力は更に向上する。また界面活性剤によってシリカ微粒子は沈降することなく均一に分散される。
具体的には板材表面に塗料を塗布した後10〜60秒のセッティング時間を設定した後、該防汚処理剤を塗布する。セッティング時間が10秒未満であると、塗膜が過度に軟化状態にあって、防汚処理剤を塗布した時に形成される防汚層とその下の塗膜との間に混合が起きて、塗膜欠陥が発生したり、防汚層の超親水性の低下を招く。またセッティング時間が60秒を越えると、塗膜の硬化が進み、シリカ微粒子が塗膜にめり込みにくゝなり、防汚層の該塗膜に対する付着力が低下する。
該板材の表面の塗装が水性エマルジョン塗料による塗装であると、該塗料による塗膜には界面活性剤等の親水性成分が含まれているので、該処理剤との親和性が高くなり、該処理剤の塗膜に対する濡れ性は一層向上する。
また該防汚処理剤が霧化塗装法によって塗布される場合には、該処理剤がミストとなって板材の半硬化状態の塗膜表面に付着するので、該処理剤の定着性が向上する。
したがって本発明にあっては、形成される防汚層と板材表面の塗膜との付着力が向上し、該防汚層が剥離脱落しにくゝ、耐久性のある防汚処理が出来る。
〔シリカ微粒子〕
本発明に使用するシリカ微粒子とは、望ましくは100μm以下の径を有するシリカ微粒子であって、酸化ケイ素の他酸化アルミニウム等他の成分を若干含有してもよい。該シリカ微粒子は板材の塗膜表面に定着被覆して、該表面に超親水性を付与し、該表面に接触した水を吸収する。
本発明においては、上記シリカ微粒子の分散媒体として水にアルコールを添加することが望ましい。本発明に使用するアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の水溶性のものが望ましい。該アルコールは本発明の防汚処理剤の表面張力を低下せしめ、更に該防汚処理剤と下側の塗膜との親和性を高めて該処理剤の濡れ性を向上せしめる。
本発明の防汚処理剤には界面活性剤を添加することが望ましい。上記界面活性剤としては、通常のアニオン性、ノニオン性、カチオン性の界面活性剤のいずれも用いられ、例えばアニオン性界面活性剤としては高級アルコールサルフェート(Na塩またはアミン塩)、アルキルアリルスルフォン酸塩(Na塩またはアミン塩)、アルキルナフタレンスルフォン酸塩(Na塩またはアミン塩)、アルキルナフタレンスルフォン酸塩縮合物、アルキルフォスフェート、ジアルキルスルフォサクシネート、ロジン石鹸、脂肪酸塩(Na塩またはアミン塩)等があり、ノニオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキロールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアマイド、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等があり、カチオン性界面活性剤としてはオクタデシルアミンアセテート、イミダゾリン誘導体アセテート、ポリアルキレンポリアミン誘導体またはその塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルアミノエチルアルキルアミドハロゲニド、アルキルピリジニウム硫酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムハロゲニド等が例示される。また界面活性剤は二種以上混合使用されてもよい。また上記例示は本発明を限定するものではない。
該界面活性剤はアルコールと共に本発明の防汚処理剤の表面張力を低下せしめ、更にシリカ微粒子を処理剤中に良好に分散せしめ、そして下の塗膜との親和性も高める。
上記アルコールが2質量%よりも少なく含有されている場合には該処理剤の濡れ性が悪くなり、また10質量%を越えて含有されている場合には、溶媒の揮発性が大きくなり、塗装作業に悪影響がもたらされる。また上記界面活性剤が0.01質量%よりも少なく添加されている場合には界面活性剤による表面張力の低下効果やシリカ微粒子の分散効果が顕著でなくなり、また0.25質量%を越えて添加されている場合には形成される防汚層の強度、耐水性、耐久性等に悪影響がもたらされる。かくして該処理剤の表面張力は25℃で20dyne/cm以下であることが望ましい。
通常上記半硬化状態は、塗装して塗膜が形成された後10〜60秒の間に実現される。溶剤系塗料あるいは水性エマルジョン塗料にあっては、この間に固形分濃度が30〜50質量%から60〜80質量%に高くなる。
上記した塗膜の半硬化状態においては、防汚処理剤中のシリカ微粒子が塗膜に若干めり込む状態となり、形成される防汚層の塗膜に対する付着力が向上し、かつ形成される防汚層と塗膜との間に混合が起らない。
上記霧化塗装法にあっては、該処理剤がミストとなって建築板の凹凸模様表面に付着するので、該表面に定着され易い。
シリカ微粒子(平均粒子径5μm) 1質量部
エタノール 5質量部
ラウリルスルホン酸ナトリウム 0.2質量部
水 93.8質量部
上塗り塗装後30秒のセッティング時間を置いて上記防汚処理剤を30g/m2 の割合でスプレー塗布した(試料1)。
このようにして塗装防汚処理した板材を防汚処理剤塗布後1日間放置し、60℃温水に10日間浸漬して防汚層の耐久性を確認するための温水浸漬試験を行い、その前後での防汚効果を調べた。防汚効果は1質量%のカーボンブラックを分散した機械油を汚染液とし、該汚染液を板材の防汚処理面に筆で塗布して汚染した後、該汚染個所に水をスプレーして汚染を流し落とすことによって評価した。
Claims (6)
- 板材表面に塗料を塗布して塗膜を形成し、該塗膜が半硬化状態において、シリカ微粒子を分散した防汚処理剤をその上から塗布することを特徴とする防汚処理方法。
- 該防汚処理剤はアルコールと、水と、界面活性剤とを含有する媒体にシリカ微粒子を分散させたものである請求項1に記載の防汚処理方法。
- 板材表面に塗料を塗布した後10〜60秒のセッティング時間を設定した後、該防汚処理剤を塗布する請求項1または2に記載の防汚処理方法。
- 表面に塗膜を形成した板材の表面をプレヒートしてから防汚処理剤を塗布する請求項1〜3に記載の防汚処理方法。
- 板材表面に塗布する塗料は水性エマルジョン塗料である請求項1〜4に記載の防汚処理方法。
- 該防汚処理剤は霧化塗装法によって塗布される請求項1〜5に記載の防汚処理方法。
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