JP2005095001A - ヘテロマーペプチドの遺伝子工学的固定化 - Google Patents

ヘテロマーペプチドの遺伝子工学的固定化 Download PDF

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Abstract

【課題】キチン・セルロース結合ドメイン(CBD)を融合させたヘテロマーペプチドを作製し、該へテロマーペプチドを固定化する方法の提供。
【解決手段】遺伝子組換え技術を用いてキチン・セルロース結合ドメインを融合させた蛋白質を発現させることで、前駆体ペプチドの切断により生成される、複数のサブユニットを持つヘテロマーペプチドをキチンまたはセルロース担体に固定化する方法を開発した。キチン・セルロース結合ドメインを持つヘテロマーペプチドは、種々の有用物質の生成のための触媒酵素などを固定化するために有用であり、工業的利用にも優れている。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘテロマーペプチドの固定化に関する。具体的には、キチン・セルロース結合ドメインを融合させたヘテロマーペプチド、および該へテロマーペプチドをキチン・セルロースに固定化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酵素を担体に固定化することは生物工学的に重要な意味を持っており、工業、研究、および臨床場面において、担体に固定化された様々な酵素が用いられている。酵素の固定化には、物理的に吸着させる方法や共有結合により結合させる方法などがある。例えば、遺伝子工学的に酵素を固定化するために、担体やある種の蛋白質に結合活性を有するペプチドを、目的の酵素に融合させる方法が用いられる場合がある。このようなペプチドの例としては、セルラーゼやキチナーゼなどの酵素中に存在するセルロースまたはキチンに特異的に吸着するアフィニティーペプチド(以後「セルロース・キチン結合ドメイン(cellulose or chitin binding domain; CBD)」という)が知られている。セルロースやキチンは安価で毒性がなく、また化学的に安定であるため、酵素を固定化するための担体として適している。また、膜状、粉末状、ビーズ状などの形態に加工することも容易である。実際、CBDを融合させた酵素蛋白質を、その活性を保ったまま固定化する技術が開発されている(E. Ong et al., 1991, Enzyme Microb. Technol. 13: 59-65)。また、セルロース・キチン結合ドメインは複数の生物の各種酵素から単離・同定されており、これらは種々の酵素の固定化に利用できることが示されている(例えばP. Tomme et al., 1996, Ann. N. Y. Acad. Sci. 799: 418-424参照)。しかし、これまでCBDを用いた固定化が試みられてきた酵素はいずれも単体で働くモノメリックな酵素であり、サブユニット構造を持つ酵素を、CBDを用いて固定化した例は存在しない。
【0003】
複数のサブユニットから構成されるヘテロマーからなる酵素は、工業的にも重要なものが多い。例えばこのような酵素としては、αおよびβサブユニットから構成されるヘテロマー蛋白質である 7-β-(4-カルボキシブタンアミド)-セファロスポラン酸アシラーゼ(「GL-7ACAアシラーゼ」と略す)が挙げられる。 7-アミノセファロスポラン酸(7-ACA)は、セファロ系抗生物質の重要中間体であり、微生物により生産されるセファロスポラン酸(CC)を出発材料として、化学合成、あるいは酵素反応の技術を利用して、工業的に合成、産生されている。GL-7ACAアシラーゼは、CCから7-ACAの酵素合成法の中間体であるグルタリル-7-ACAを基質として、脱アミノアシル反応を触媒し、7ACAを産生する工程に利用される。従って、この酵素を、活性を保ったまま簡便に固定化する技術を開発することは、工業的利用の観点から高い有用性を持っている。GL-7ACAアシラーゼは、ペニシリンアシラーゼ、他のセファロスポラン酸アシラーゼなどと同様にヘテロマーペプチドからなる酵素であり、酵素遺伝子の発現により前駆体ペプチドが合成された後に、特異的なプロセッシング機構によりペプチドが切断されて多量体となることが知られている。このような酵素は、サブユニットの一方のみを固定したのでは、活性を発現することができないと考えられていた。あるいは、たとえ一方のサブユニットを固定し、他方のサブユニットをこれに結合させることによって固定化したとしても、工業的な用途に耐えうる安定性は期待できない恐れがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、キチン・セルロース結合ドメイン(CBD)を融合させたヘテロマーペプチドおよびその利用を提供することを課題とする。また本発明は、該へテロマーペプチドの製造方法および該へテロマーペプチドを固定化する方法等を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、GL-7ACAアシラーゼを例として、遺伝子工学的な手法を応用したヘテロマーペプチドの固定化を目指し、鋭意研究を重ねた。具体的には、GL-7ACAアシラーゼ遺伝子に、セルロース・キチン結合ドメイン(CBD)を融合させ、大腸菌を宿主としてこの遺伝子を発現させ、CBDの働きによりキチンビーズにGL-7ACAアシラーゼを固定化した。本発明において、GL-7ACAアシラーゼの3つの異なる部位にCBDを遺伝子工学的に融合させた遺伝子を作製し、それらの発現を試みたところ、すべての融合遺伝子について、キチンへの特異的な吸着と吸着状態での活性の発現に成功した。この事実に基づき本発明者らは、キチン・セルロース結合ドメインを有する前駆体ペプチドを調製することにより、活性を保持したままキチンまたはセルロースに固定化が可能なヘテロマーペプチドを製造することが可能であることを見出し本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、キチン・セルロース結合ドメインを融合させたヘテロマーペプチド、該へテロマーペプチドの製造方法、該へテロマーペプチドを固定化する方法、および該へテロマーペプチドの利用等を提供するものであり、より具体的には、
〔1〕前駆体ペプチドの切断により生成されるヘテロマーペプチドを構成するサブユニットの少なくとも1つがキチン・セルロース結合ドメインを付加されているヘテロマーペプチド、
〔2〕ヘテロマーペプチドが自己スプライシングによって生成される蛋白質である、〔1〕に記載のペプチド、
〔3〕自己スプライシングによって生成される蛋白質がアミノアシラーゼである、〔2〕に記載のペプチド、
〔4〕アミノアシラーゼが7−β−(4−カルボキシブタンアミド)−セファロスポラン酸アシラーゼである、〔3〕に記載のペプチド、
〔5〕〔1〕に記載のヘテロマーペプチドの前駆体ペプチド、
〔6〕〔5〕に記載の前駆体ペプチドをコードするDNA、
〔7〕〔6〕に記載のDNAを含む発現ベクター、
〔8〕〔7〕に記載の発現ベクターによって形質転換された宿主細胞、
〔9〕〔8〕に記載の宿主細胞を培地で培養し、宿主細胞および/またはその培養上清からヘテロマーペプチドまたは該ヘテロマーペプチドの前駆体ペプチドを回収することを特徴とする、〔1〕に記載のヘテロマーペプチドまたは該ヘテロマーペプチドの前駆体ペプチドの製造方法、
〔10〕〔1〕に記載のヘテロマーペプチドまたは該ヘテロマーペプチドの前駆体ペプチドを、キチンおよび/またはセルロースに接触させる工程を含む、固定化ヘテロマーペプチドの製造方法、
〔11〕〔1〕に記載のヘテロマーペプチドにおけるキチン・セルロース結合ドメインがキチンおよび/またはセルロースに結合している固定化ヘテロマーペプチド、
〔12〕(a)〔11〕に記載の固定化ヘテロマーペプチドに、該ヘテロマーペプチドの基質を接触させる工程、および(b)工程(a)における反応生成物を回収する工程、を含む、固定化ヘテロマーペプチドに触媒されて生じる反応生成物の製造方法、
〔13〕〔4〕に記載のヘテロマーペプチドにおけるキチン・セルロース結合ドメインがキチンおよび/またはセルロースに結合している固定化ヘテロマーペプチドに、式:
【化4】
Figure 2005095001
(式中、R1 はアセトキシ、ヒドロキシまたは水素、R2 は炭素数3〜8のカルボキシアルカノイルまたはD−グルタミルを示す)で示される化合物(II)またはその塩を接触させて、式:
【化5】
Figure 2005095001
(式中、R1 はアセトキシ、ヒドロキシまたは水素を示す)で示される化合物(I)またはその塩を得ることを特徴とする化合物(I)の製造法、
〔14〕7−β−(4−カルボキシブタンアミド)−セファロスポラン酸アシラーゼを構成するサブユニットの少なくとも1つにキチン・セルロース結合ドメインを付加し、該キチン・セルロース結合ドメインをキチンおよび/またはセルロースに固定化してなる、式:
【化6】
Figure 2005095001
(式中、R1 はアセトキシ、ヒドロキシまたは水素を示す)で示される化合物(I)製造用の固定化酵素、に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、前駆体ペプチドの切断により生成されるヘテロマーペプチドを構成するサブユニットの少なくとも1つがキチン・セルロース結合ドメインを付加されているヘテロマーペプチドに関する。本発明におけるヘテロマーペプチドとは、該へテロマーペプチドをコードする遺伝子の転写および翻訳により、まず一本鎖の前駆体ペプチドが合成された後、該前駆体ペプチドがプロセッシングにより切断を受けて生成する、2つ以上のサブユニットからなるへテロマーペプチドであって、該へテロマーペプチドを構成するサブユニットの少なくとも1つにキチン・セルロース結合ドメインが付加されているヘテロマーペプチドである。
【0008】
ここで、「キチン・セルロース結合ドメイン」とは、キチンおよび/またはセルロースに結合するペプチドドメインを指す。このようなドメインは、セルラーゼ(cellulase)、キシラナーゼ(Xylanase)、グルカナーゼ(Glucanase)およびキチナーゼ(Chitinase)などの酵素中によく見出される(P. Tomme et al., 1996, Ann. N. Y. Acad. Sci. 799: 418-424; T. Watanabe et al., 1994, J. Bacteriol. 176: 4465-4472)。本発明で用いられるキチン・セルロース結合ドメインとしては、キチンおよび/またはセルロースに結合する限りその由来に制限はない。例えば、バシルス・サーキュランス(Bacillus circulans)由来のキチナーゼA1(GenBank Ac. No. M57601, J05599)の部分ペプチド(配列番号:22)が挙げられる。
【0009】
ヘテロマーペプチドを担体に固定化するために、キチン・セルロース結合ドメイン以外の高分子ポリマー結合性のペプチドドメインを用いることも考えられる。このようなペプチドドメインとしては、ポリマー分子資化酵素の基質結合ドメインが挙げられる。例えば、ポリ(ヒドロキシアルカン酸)(PHA)デポリメラーゼのPHA結合ドメイン(T. Fukui et al., 1988. Biochim. Biophys. Acta 952: 164-171; A. Behrends et al., 1996, FEMS Microbiol. Lett. 143: 191-194; M. Shinomiya et al., 1997, FEMS Microbiol. Lett. 154: 98-94)や、ポリウレタン(PUR)を分解する酵素(PURエステラーゼ等)のPUR表面結合ドメイン(T. Nakajima-Kambe et al., 1999, Appl. Microbiol. Biotechnol. 51: 134-140)、その他の固体ポリエステル分解酵素ファミリーの基質結合ドメインなどを用いることが考えられる。また、ポリヒドロキシブチル酸(PHB)デポリメラーゼの基質結合ドメイン(K. Kasuya et al., 1999, Int. J. Biol. Macromol. 24: 329-36)を用いることもできる。これらのペプチドドメインを用いた場合は、それぞれのペプチドドメインが結合するポリマーを担体としてヘテロマーペプチドを固定化することができる。
【0010】
本発明のヘテロマーペプチドは、公知の遺伝子組換え技術を用いて組換え蛋白質として調製することが可能である。すなわち、目的のヘテロマーペプチドのサブユニットをコードするDNAに、キチン・セルロース結合ドメインをコードするDNAを、蛋白質の読み枠が一致するように結合し、該サブユニットと該キチン・セルロース結合ドメインとの融合蛋白質を産生させればよい。キチン・セルロース結合ドメインを融合させる位置は、ヘテロマーペプチドが形成され、かつそのペプチド本来の活性が維持される限り特に制限はない。例えば、キチン・セルロース結合ドメインを1つのサブユニットのN末端またはC末端に付加したり、サブユニットポリペプチド内に挿入したりすることが可能である。
【0011】
本発明のヘテロマーペプチドの由来としては、前駆体ペプチドの切断により生成される任意のヘテロマーペプチドを用いることができる。このようなペプチドとしては、例えば、ホルモン、サイトカイン、酵素、シグナル伝達因子、受容体などが含まれる。サブユニット同士が、例えばジスルフィド結合などにより結合されているものも含まれる。このような蛋白質としては、例えばインスリン、インスリン受容体、NMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体、HGF(hepatocyte growth factor; 肝細胞増殖因子)などが挙げられるがこれらに制限されない。
【0012】
天然型ペプチドにキチン・セルロース結合ドメインが付加されるペプチドとしては、天然型のアミノ酸配列からなるペプチドであってもよく、また、天然型ペプチドのアミノ酸配列が、1または複数のアミノ酸の置換、欠失、付加および/または挿入により改変されたペプチドであってもよい。このようなアミノ酸配列の改変は、ヘテロマーペプチドの安定性や活性を向上させるために行われ得る。
【0013】
本発明のへテロマーペプチドとしては、好ましくは自己スプライシングにより生成される蛋白質である。自己スプライシングとは、プロテアーゼなどの他の分子の触媒作用によらず、自律的に前駆体ペプチドの切断とヘテロマーの生成を行って蛋白質の活性を発現することを意味する。
【0014】
このような蛋白質には、インテイン(Intein; Pietrokovski S., 1998, Protein Sci. 7: 64-71)、N末求核型加水分解酵素(N-terminal nucreophile Hydrolase; Ntn)(J.A. Brannigan et al., 1995, Nature 378: 416-419)、アミノアシラーゼ類等の蛋白質が含まれる。例えば、インテインには、酵母膜 ATPase(Chong S. et al., 1998, J. Biol. Chem., 273: 10567-77; Chong S. et al., 1996, J. Biol. Chem. 271: 22159-68)、およびピロコッカス・コダカラエンシス(Pyrococcus kodakaraensis)DNA ポリメラーゼ(Nishioka M. et al., 1998, Nucleic Acids Res. 26: 4409-12)などが含まれる。また、N末求核型加水分解酵素には、例えば、バクテリアグリコシルアスパラギナーゼ(bacterial glycosylasparaginase)(Liu Y. et al., 1998, J. Biol. Chem. 273: 9688-94)、プロテアソーム(proteasome)(Ditzel L. et al., 1998, J. Mol. Biol. 279: 1187-91)、およびペニシリンアシラーゼ等が含まれる。
【0015】
中でも、本発明における好ましいヘテロマーペプチドはアミノアシラーゼである(Sudhakaran, V.K. et al., 1992, Process Biochemistry 27: 131-143)。アミノアシラーゼとは、アミノアシル基を加水分解してアミノ基とする反応を触媒する酵素である。本発明において、アミノアシラーゼには、例えばペニシリンアシラーゼ(Oh, S.J. et al., 1987, Gene 56: 87-97; Verhaert, R.M. et al., 1997, Appl. Environ. Microbiol. 63: 3412-8)、セファロスポラン酸アシラーゼ(Matsuda, A et al., 1987, J. Bacteriol. 169: 5821-6; Sudhakaran, V.K. et al., 1992, Process Biochemistry 27: 131-143; Aramori, I. et al., 1991, J. Fermentation Bioengineering 72: 232-243)、およびAculeasin A様の環状リポポリペプチドアシラーゼやエキノカンジンBデアシラーゼ(A. utahensis由来リポペプチドアシラーゼ)(Inokoshi, J. et al., 1992, Gene 119: 29-35; 特開平4-228072; 国際公開番号WO97/32975)のような蛋白質が含まれる。
【0016】
これらのアミノアシラーゼの中でも、7−β−(4−カルボキシブタンアミド)−セファロスポラン酸アシラーゼ(「GL-7ACAアシラーゼ」と略す)は、上述のように工業的有用性の高い酵素である(例えば Ishii, Y. et al., 1995, Eur. J. Biochem. 230: 773-8; Saito, Y. et al., 1996, Annals. N. Y. Acad. Sci. 782: 226-240; 都築勝昭ら, 1989, Nippon Nogeikagaku Kaishi 63: 1847-1853 等を参照)。GL-7ACAアシラーゼは、例えば FERM BP-3425 で特定されるシュードモナス・メンドーシナ(Pseudomonas mendocina)C427 株由来の蛋白質が好適に用いられる(特開平7-313161参照)。C427 株由来のGL-7ACAアシラーゼにキチン・セルロース結合ドメインが付加されている本発明のヘテロマーペプチドとしては、例えば配列番号:17、19、または21に記載のアミノ酸配列からなる前駆体ペプチドから生成されるヘテロマーペプチドが好適に用いられるが、これらに制限されない。また、Pseudomonas属由来の V22(Aramori, I. et al., 1991, J. Fermentation Bioengineering 72: 232-243)、および A14(Aramori, I. et al., 1992, J. Fermentation Bioengineering 73: 185-192)などを用いることもできる。
【0017】
また本発明は、上記本発明のへテロマーペプチドの前駆体ペプチドに関する。また、本発明は、該前駆体ペプチドをコードするDNA、および該DNAを含む発現ベクター、該ベクターによって形質転換された宿主細胞に関する。前駆体ペプチドは、これをコードするDNAを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培地中で培養し、該培養物から該前駆体ペプチドを回収することによって調製することができる。前駆体ペプチドをコードするDNAの由来としては、cDNAであっても、ゲノムDNAであっても、また合成DNAであってもよい。また、本発明の前駆体ペプチドをコードするDNAには、天然型遺伝子の塩基配列を含むDNAのみならず、コドンの縮重に基づく任意の塩基配列を含むDNAが含まれる。
【0018】
前駆体ペプチドをコードするDNAを構築するには、公知の遺伝子工学的技術を用いて、キチン・セルロース結合ドメインを付加しようとする部位に、キチン・セルロース結合ドメインをコードするDNAをフレームが一致するように挿入すればよい。前駆体ペプチドの発現によりヘテロマーペプチドが生成し、本来の酵素活性を維持するかぎり、キチン・セルロース結合ドメインを挿入する位置に制限はなく、各サブユニットのN末端、C末端、または中間に挿入され得る。キチン・セルロース結合ドメインは、ヘテロマーペプチドを構成する少なくとも1つの任意のサブユニットに挿入することができる。また、複数のサブユニットに対して挿入することもできる。例えば、GL-7ACAアシラーゼにおいては、αまたはβサブユニットのN末端、C末端、または中間にキチン・セルロース結合ドメインを挿入することにより、ヘテロマーペプチドが構成され、酵素活性が維持される。該ヘテロマーペプチドの前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、具体的には、例えば配列番号:16、18、または20に記載の塩基配列を有するDNAが挙げられる。
【0019】
以下、組換えDNA技術による調製法について、その詳細を説明する。宿主細胞としては特に制限はないが、例えば細菌が挙げられる。細菌としては、エシェリキア(Escherichia)属に属する菌株(例えば E. coli JM109 ATCC 53323, E. coli HB101 ATCC 33694, E. coli MN102, E. coli HB101-16 FERM BP-1872, E. coli 294 ATCC 31446など)、バシラス(Bacillus)属に属する菌株(バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)など)などが例示される。例えば、エシェリキア属に属する菌株、具体的には E. coli HB101または E. coli JM109 などが好適に用いられる。また、T7 プロモーターが組込まれた発現ベクター系を用いて蛋白質を発現させる場合は、T7 RNA ポリメラーゼをコードするDNAがゲノムに組込まれた大腸菌(例えば NEB社製の ER2566等)などが好適である。
【0020】
細菌、特に E. coliを宿主細胞として用いる場合、一般に発現ベクターは少なくともプロモーター−オペレーター領域、開始コドン、本発明のヘテロマーペプチドの前駆体のアミノ酸配列をコードするDNA、終止コドン、ターミネーター領域および複製可能単位から構成される。
【0021】
プロモーター−オペレーター領域は、プロモーター、オペレーター及び Shine-Dalgarno (SD) 配列(例えば、AAGG など)を含むものである。好ましくは、プロモーター−オペレーター領域は、常套的に用いられるプロモーター−オペレーター領域(例えば、E. coli のPL-プロモーター、trp-プロモーター、または T7プロモーター等)を含んでいてもよい。好適な開始コドンとしては、メチオニンコドン(ATG)が例示される。
【0022】
本発明の前駆体ペプチドをコードするDNAは、本発明の前駆体ペプチドのアミノ酸配列をコードしうるDNAであれば特に制限されない。
【0023】
本発明の前駆体ペプチドをコードするDNAは、従来の方法で調製することができる。例えば、DNA合成機を用いて、一部のまたは全てのDNAを合成したり、および/または形質転換体(例えば、E. coli)から得られる適切なベクター(プラスミド等)に挿入された天然型ヘテロマーペプチドの前駆体をコードする完全なDNA配列を適切な方法、例えば適切な酵素(例えば、制限酵素、アルカリホスファターゼ、ポリヌクレオチドキナーゼ、DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼなど)での処理に加えて、常套の変異方法〔例えば、カセット変異法〔Tokunaga, T. et al., Eur. J. Biochem. Vol.153, p445-449 (1985) 参照〕、PCR変異法〔Higuchi, R. et al., Nucleic Acids Res. Vol.16, p7351-7367 (1988) 参照〕、クンケル法〔Kunkel, T. A. et al.,Methods Enzymol. Vol. 154, p367 (1987)など参照〕のような適切な方法でキチン・セルロース結合ドメインをコードするDNAを付加することによって調製することができる。
【0024】
終止コドンとしては、常用の終止コドン(例えば、TAG、TGAなど)が例示される。ターミネーター領域としては、天然または合成のターミネーター(例えば、合成fdファージターミネーターなど)が挙げられる。
【0025】
複製可能単位とは、宿主細胞中においてその全DNA配列を複製することができる能力をもつDNA化合物をいい、天然のプラスミド、人工的に修飾されたプラスミド(例えば、天然のプラスミドから調製されたDNAフラグメント)および合成プラスミドが含まれる。好適なプラスミドとしては、E. coliではプラスミドpBR322、もしくはその人工的修飾物(pBR322を適当な制限酵素で処理して得られるDNAフラグメント)などが挙げられる。
【0026】
発現ベクターはプロモーター、開始コドン、本発明の前駆体ペプチドのアミノ酸配列をコードするDNA、終止コドンおよびターミネーター領域を連続的かつ環状に適当な複製可能単位(プラスミド)に連結することによって調製できる。例えば、pETベクター(Novagen社)などが挙げられる。また、この際所望により、常法(例えば、制限酵素での消化、T4 DNAリガーゼを用いるライゲーション)により適当なDNAフラグメント(例えば、リンカー、他のレストリクションサイトなど)を用いることもできる。
【0027】
形質転換体(形質移入体)は、上述の発現ベクターを宿主細胞に導入することにより調製できる。発現ベクターの宿主細胞への導入〔形質転換(形質移入)〕は従来公知の技術(例えば、E. coliの場合は Kushner法など)を用いて行うことができる。本発明のヘテロマーペプチドおよび/またはその前駆体ペプチドは、上記の如く調製される発現ベクターを含む形質転換体を栄養培地で培養することにより製造することができる。
【0028】
栄養培地は、炭素源(例えば、グルコース、グリセリン、マンニトール、フルクトース、ラクトースなど)および無機窒素もしくは有機窒素源(例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、カゼインの加水分解物、酵母抽出物、ポリペプトン、バクトトリプトン、ビーフ抽出物など)を含んでいてもよい。また所望により、他の栄養源〔例えば、無機塩(例えば、二リン酸ナトリウムまたは二リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム)、ビタミン類(例えば、ビタミンB1 )、抗生物質(例えば、アンピシリン、カナマイシン)など〕を配合していてもよい。
【0029】
形質転換体(形質移入体)の培養は、当業界において知られている方法により行われる。培養条件,例えば温度、培地のpH及び培養時間は、目的のヘテロマーペプチドまたはその前駆体ペプチドの回収量が最も高くなるように選択される。通常 pH5.5〜8.5(好適には pH7〜7.5)、5〜40℃(好適には10〜30℃)で5〜50時間行われる。
【0030】
形質転換した宿主細胞を培地で培養し、宿主細胞および/またはその培養上清からヘテロマーペプチドまたは該ヘテロマーペプチドの前駆体ペプチドを回収することによって、本発明のヘテロマーペプチドまたは該ヘテロマーペプチドの前駆体ペプチドを製造することができる。E. coli を宿主とした場合、本発明のテロマーペプチドまたはその前駆体ペプチドは、通常培養された形質転換体のペリプラズムまたは細胞質内に存在する。よって、これらのペプチドは例えば以下の方法により取得できる。まず、濾過および遠心等の常法により細胞を集め、当該細胞の細胞壁および/または細胞膜を、例えば超音波および/またはライソザイムで処理して細胞破片を得る。次に、得られる細胞破片を適当な水溶液(例えば、20 mM Tris-HCl(pH 8.0), 500 mM NaCl, 0.1 mM EDTA, 0.1 % Triton X-100)に溶解する。そして該溶液から、天然または合成蛋白質を精製並びに単離するために一般に用いられる常法に従って本発明のヘテロマーペプチドまたはその前駆体ペプチドを単離、精製する。単離、精製方法としては、透析、ゲル濾過、本発明のヘテロマーペプチドまたはその前駆体ペプチドに対するモノクローナル抗体を用いたアフィニティーカラムクロマトグラフィー、適当な吸着材上でのカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどが例示される。得られたヘテロマーペプチドまたは該ヘテロマーペプチドの前駆体ペプチドを、キチンおよび/またはセルロースに接触させることにより、キチンおよび/またはセルロースに固定化されたヘテロマーペプチドを製造することができる。また、好ましくは、細胞破砕液を適当なバッファー中にて直接キチンまたはセルロース担体と混合し、キチンまたはセルロースに対するアフィニティーにより精製することができる。
【0031】
キチン・セルロース担体としては、結晶性キチン・セルロースであればよく、具体的には、バクテリオセルロース、コットンファイバー、キチン・セルロース成形ビーズなどが挙げられる。本発明のヘテロマーペプチドまたは該ヘテロマーペプチドの前駆体ペプチドは、キチン・セルロース担体へ混合することにより固定される。これらの担体は、単一の素材からなるもののみならず、複数のキチン・セルロース素材を組み合わせたものや、あるいは他の素材とキチン・セルロース担体との組み合わせによって構成されるものであることもできる。キチン・セルロース結合ドメイン以外の高分子ポリマー結合ドメインを用いた場合も同様に、様々な形態に成形された高分子ポリマーを用いることが可能である。
【0032】
このようにして調製された、キチンおよび/またはセルロースに結合している固定化ヘテロマーペプチドは、種々の目的に使用することができる。例えば、物質代謝に関わる酵素が固定化された本発明の固定化ヘテロマーペプチドを利用して、種々の有用物質の製造を行うことが考えられる。そのための方法は、(a)本発明の固定化ヘテロマーペプチドに、該ヘテロマーペプチドの基質を接触させる工程、および(b)工程(a)における反応生成物を回収する工程、を含む。
【0033】
固定化ヘテロマーペプチドとその基質との組み合わせに特に制限はないが、例えば、DNAポリメラーゼを固定化し、これにDNAとヌクレオチドを作用させて、DNAの合成を行わせることができる。また、GL-7ACAアシラーゼを含む各種アシラーゼを固定化し、抗生物質の誘導体の合成を行わせることもできる
【0034】
物質の製造以外の用途としては、たとえば、ヘテロマーペプチドに結合する化合物の精製に用いることができる。また、固定化したヘテロマーペプチドを用いて、該ペプチドの機能解析を行うこともできる。さらに、固定化ヘテロマーペプチドをバイオセンサーとして用いてもよい。
【0035】
本発明の固定化ヘテロマーペプチドを用いた有用物質の製造は、例えば、固定化された7−β−(4−カルボキシブタンアミド)−セファロスポラン酸アシラーゼに、式:
【化7】
Figure 2005095001
(式中、R1 はアセトキシ、ヒドロキシまたは水素、R2 は炭素数3〜8のカルボキシアルカノイルまたはD−グルタミルを示す。)で示される化合物(II)またはその塩を接触させて、式:
【化8】
Figure 2005095001
(式中、R1 は前記と同意義である。)で示される化合物(I)またはその塩を得ることを特徴とする化合物(I)を製造するために好適に用いられうる。
【0036】
キチン・セルロース結合ドメインを付加された7−β−(4−カルボキシブタンアミド)−セファロスポラン酸アシラーゼの調製方法、および該アシラーゼの固定化は、例えば実施例に記載された方法に順じて行うことができる。
【0037】
本発明でいう炭素数3〜8のカルボキシアルカノイルとしては、直鎖状または分枝状のアシル基を有しているものが挙げられ、具体的にはカルボキシアセチル、カルボキシプロピオニル、カルボキシブチリル、カルボキシイソブチリル、カルボキシバレリル、カルボキシイソバレリル、カルボキシピバロイル、カルボキシヘキサノイル、カルボキシヘプタノイル等が例示される。
【0038】
化合物(I)および化合物(II)の適当な塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩)が挙げられる。
【0039】
上記化合物(I)の製造は、水または緩衝液のような水性媒質中で行うことができる。即ち、化合物(I)の製造は、通常、化合物(II)を含む水または緩衝液のような水性媒質中に固定化酵素を懸濁させることによって行われる。
【0040】
化合物(I)の製造は、用いる固定化酵素の性質に応じて適宜好適な pH、化合物(II)の濃度、反応時間および反応温度を選択して行うことができる。 pHは通常 6〜10、好ましくは pH 7〜9、反応温度は通常 5〜40℃、好ましくは 5〜37℃、反応時間は通常 0.5〜50時間である。
【0041】
反応混液中、基質としての化合物(II)の濃度は、1〜100 mg / mlの範囲で好適に選択することができる。このようにして製造される化合物(I)は、上記反応混液から慣用の方法で精製、単離される。
【0042】
本発明における固定化反応に供したキチンまたはセルロース担体は、活性が低下したヘテロマーペプチドを溶離再生し、新たにヘテロマーペプチドを固定化することにより、繰り返し使用することが可能である。溶離剤としては、キチン・セルロース結合ドメインの性質に応じて、蛋白質変性剤(例えばグアニジン塩酸塩溶液、尿素溶液など)、界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム溶液など)、低極性溶剤(例えば脱塩水、エチレングリコール溶液など)等から選択でき、ヘテロマーペプチドの再固定化は、未使用の場合と同様の方法で行うことが可能である。
【0043】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1] 発現プラスミドの構築
pUC427 の構築
pYS9107KプラスミドDNA(特開平7-313161)を、Stu Iおよび Cla Iで消化して3つの断片に切断し、切断末端をクレノウフラグメントを用いて平滑化した。これを 1 %のアガロースゲルで電気泳動し、C427 GL-7ACAアシラーゼ(特開平7-313161; Y. Ishii et al., 1994, J. Fermentation Bioengineering 77: 591-597)のORFを含む 2170 bpのフラグメントを分取した。これとは別に、pUC19プラスミドDNAを Kpn Iで消化した後に、同様に平滑末端化し、 1 %アガロースゲル電気泳動により分取した。両DNAフラグメントを、T4 DNAリガーゼでライゲーションし、大腸菌DH5αにカルシウム法にてトランスフォーメーションした。大腸菌から精製したプラスミドDNAを Bam HI で消化した場合に、約 600 bpの断片が切り出されることを指標としてアンピシリン耐性菌をスクリーニングし、pUC19のβ-ガラクトシダーゼ遺伝子と逆の向きに C427 GL-7ACAアシラーゼ遺伝子が組み込まれているプラスミドを選択し、pUC427とした。
【0044】
pETSS427 の構築
大腸菌をホストとして、さまざまな遺伝子産物を高発現することで知られているpETシステム(Novagen社製)プラスミドに、分泌シグナルを除いたC427 GL-7ACAアシラーゼ遺伝子を組み込んだ。
α鎖の5'末端に開始コドンであるATG配列を導入するため、pUC427プラスミドDNAをテンプレートとし、プライマー1、2、および pfu DNAポリメラーゼを用いたPCR反応で約 600 bpの断片を増幅した。得られた断片を Bam HI および Nde I で切断し、同様の制限酵素で切断した pUC427 に組み込み pUCSS427 を得た。さらに、このプラスミドを Sac I および Nde I で切断し、同様の制限酵素で切断した pET24a プラスミドに組み込んでpETSS427を構築した(図1)。pETSS427プラスミドの融合蛋白質のコード領域の塩基配列を配列番号:14に、この塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列番号:15に示す。
【0045】
pETN α 427 の構築
C427 GL-7ACAアシラーゼ α鎖をコードするDNAの5'末端にCBDを連結発現するプラスミドを構築した。α鎖とCBDは Kpn Iサイトで連結した。
CBDとして、ペプチド精製用に用いられる IMPACTTM T7 system(New England BioLabs社製)の発現用プラスミドであるpTYB2のCBDコード領域より、プライマー3、および 4を用いたPCR反応により、約 150 bpの断片を増幅した。pTYB2は、バシルス・サーキュランス(Bacillus circulans)キチナーゼA1由来のCBDを保持している(T. Watanabe et al., 1994, J. Bacteriol. 176: 4465-4472; GenBank Accession No. M57601, J05599)。C427 GL-7ACAアシラーゼ α鎖をコードするDNAの5'末端に Kpn Iサイトを導入するため、pUC427プラスミドをテンプレートとしてプライマー5、および 2を用いたPCR反応により約 600 bpの断片を増幅した。増幅したCBD断片を Nde I、Kpn Iで、C427 GL-7ACAアシラーゼ遺伝子の5'末端断片を Kpn I、Bam HIでそれぞれ消化した。これらを Nde I、Bam HIで消化したpETSS427プラスミドに組み込み、pETNα427プラスミドとした(図1)。pETNα427プラスミドの融合蛋白質のコード領域の塩基配列を配列番号:16に、この塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列番号:17に示す。配列番号:16の 1位〜165位(配列番号:17の 1位〜55位)がCBDに相当する。
【0046】
pETC β 427 の構築
C427 GL-7ACAアシラーゼβ鎖をコードするDNAの3'末端にCBDを連結発現するプラスミドを構築した。β鎖とCBDは Kpn Iサイトで連結した。
CBDとして、ペプチド精製用に用いられる IMPACTTM T7 system(New England BioLabs社製)の発現用プラスミドであるpTYB2のCBDコード領域より、プライマー6、および7を用いたPCR反応により、約 150 bpの断片を増幅した。C427 GL-7ACAアシラーゼβ鎖をコードするDNAの3'末端に Kpn Iサイトを導入するため、pUC427プラスミドをテンプレートとしてプライマー8、および 9を用いたPCR反応により約 150 bpの断片を増幅した。増幅したCBD断片を Sac I、Kpn Iで、C427 GL-7ACAアシラーゼ遺伝子の3'末端断片を Kpn I、Mlu Iでそれぞれ消化した。これらを Sac I、Mlu Iで消化したpUC427プラスミドに組み込み、pUCCβ427プラスミドを得た。さらに、このプラスミドを Sac Iおよび Nde Iで切断し、同様の制限酵素で切断したpET24aプラスミドに組み込み、pETCβ427を得た(図1)。pETCβ427プラスミドの融合蛋白質のコード領域の塩基配列を配列番号:18に、この塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列番号:19に示す。配列番号:18の 2077位〜2238位(配列番号:19の 693位〜746位)がCBDに相当する。
【0047】
pETC α 427 の構築
C427 GL-7ACAアシラーゼα鎖をコードするDNAの3'末端から、3アミノ酸(9 bp)上流にCBDを連結発現するプラスミドを構築した。CBDの両端は、Kpn Iサイトで連結した。
CBD連結部位に Kpn Iサイトを導入するため、pUC427プラスミドをテンプレートとしてプライマー1、および 10を用いたPCR反応により増幅した約 600 bpの断片と、プライマー11、および 12を用いて増幅した約 500 bpの断片を調製した。これらの断片を、Nde I と Kpn I、Kpn I と Nco I でそれぞれ消化し、Nde Iおよび Nco Iで切断したpETSS427プラスミドに組み込み、pET427CαKpを得た。
CBDとして、ペプチド精製用に用いられる IMPACTTM T7 system(New England BioLabs社製)の発現用プラスミドであるpTYB2のCBDコード領域より、プライマー6、および 4を用いたPCR反応により、約 150 bpの断片を増幅した。増幅したCBD断片を Kpn I 消化し、Kpn I で消化した pET427CαKpプラスミドに組み込み、pETCα427プラスミドを得た(図1)。pETCα427プラスミドの融合蛋白質のコード領域の塩基配列を配列番号:20に、この塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列番号:21に示す。配列番号:20の 484位〜 651位(配列番号:21の 162位〜 217位)がCBDに相当する。
【0048】
配列の確認
PCR増幅部分の塩基配列は、以下に示すプライマーを用いて、蛍光標識サイクルシークエンス法により確認した。
pETSS427
プライマー2(アンチセンス)β(5rev)
プライマー13(センス)T7promoter
pETNα427
プライマー2(アンチセンス)β(5rev)
プライマー13(センス)T7promoter
プライマー5(センス)427Kp5
pETCα427
プライマー13(センス)T7promoter
プライマー2(アンチセンス)β(5rev)
プライマー12(アンチセンス)Nco(under3)
プライマー4(アンチセンス)CBDKp3
pETCβ427
プライマー6(センス)CBDKp5
プライマー8(センス)Mlu(upver2)
【0049】
プライマー配列
用いたプライマー配列を以下に示す。
プライマー1(センス)427Nd5:5'-GCGTCGCCGGTACCCTGGCCGAGCCGA-3'(配列番号:1)
プライマー2(アンチセンス)β(5rev):5'-CGCCTCGTAGTAGGTGAAGTAG-3'(配列番号:2)
プライマー3(センス)CBDNd5:5'-TGAACTCACATATGACGACAAATCCTGGTG-3'(配列番号:3)
プライマー4(アンチセンス)CBDKp3:5'-CCTTCCTGGGTACCTTGAAGCTGCCACAAG-3'(配列番号:4)
プライマー5(センス)427Kp5:5'-GCGTCGCCGGTACCCTGGCCGAGCCGA-3'(配列番号:5)
プライマー6(センス)CBDKp5:5'-TGAACTCAGGTACCACGACAAATCCTGGTG-3'(配列番号:6)
プライマー7(アンチセンス)CBDSTP3:5'-TCATTGAAGCTGCCACAAGGC-3'(配列番号:7)
プライマー8(センス)Mlu(upver2):5'-ATGAGCTACGGCAATTCTCG-3'(配列番号:8)
プライマー9(アンチセンス)427Kp3:5'-GGTCAGGCGGTAACCTGGCTTGAAGTT-3'(配列番号:9)
プライマー10(アンチセンス)427insKp3:5'-GGCGGGTCGGTACCGCCCAGGGTGCGGCCGGGCGACGCGA-3'(配列番号:10)
プライマー11(センス)427insKp5:5'-GCCGCACCGGTACCGAGGGCGACCCGCCGGACCTGG-3'(配列番号:11)
プライマー12(アンチセンス)Nco(under3):5'-CCGTGATCATGTCGAAATACTGCTCG-3'(配列番号:12)
プライマー13(センス)T7promoter:5'-TAATACGACTCACTATAGGG-3'(配列番号:13)
【0050】
[実施例2] 組換え菌の培養法
調製したそれぞれのプラスミドは、カルシウム法により、ホストである大腸菌 ER2566株にトランスフォーメーションした。それぞれの形質転換株1白金耳量を、3 mL / 15 mL試験管のLB培地に植菌し、37℃で約15時間培養した。この培養液 1 mLを、100 mL / 500 mLフラスコのLB培地に植菌し、30℃で A600 が 0.5〜0.6になるまで培養し、ここで、1 mM 濃度となるようにIPTGを加えた。IPTGの添加により、組み込んだ遺伝子の発現が誘導される。誘導開始後、培養温度を20〜25℃として、さらに20〜40時間培養し、0.2〜0.5 U / mL−培養液の酵素活性を発現した(1 unitは、GL-7ACAを基質として1分間に1 μmolの7ACAを生成する酵素量をいう)。
培養終了後、培養液を5℃、4000 rpmで10分間遠心することにより菌体を回収し、5 mLの20 mM Tris-HCl緩衝液 pH 8.5、500 mM NaCl、0.1 % Triton X-100に再懸濁した。懸濁液を超音波破砕機で、氷冷下、1分破砕を3回繰り返した後、5℃ 12000 rpmで10分間遠心し、酵素可溶化溶液として上澄画分を得た。
【0051】
[実施例3] キチンビーズへの酵素固定化法
菌体懸濁および吸着用緩衝液(以下、吸着緩衝液とする;20 mM Tris-HCl緩衝液 pH 8.5、500 mM NaCl、O.1 % Triton X-100)で平衡化、分散したキチンビーズ(New England BioLabs社製)に、酵素活性が 0.5〜5 U/ ml の濃度となるように可溶化酵素液を添加した。これを、5℃で5時間以上振盪混合し、酵素をキチンビーズに吸着させ、酵素固定化ビーズを得た。
酵素固定化ビーズは、5℃で、3000 rpm、10分間遠心沈降させ回収し、吸着緩衝液による再懸濁、再遠心回収を2回繰り返すことにより洗浄した。
【0052】
[実施例4] 固定化酵素の性質
pETNα427、pETCα427、pETCβ427形質転換大腸菌からの可溶化酵素液を吸着、回収、洗浄した固定化ビーズのアシラーゼ活性を測定した。
グルタリル-7ACA(基質)末を、0.15 M Tris-HCl緩衝液(pH 8.7)に10 mg / mLの濃度に溶解し、酵素固定化ビーズ液を、約 1〜3 U / mLの活性になるように調製した。小試験管内で、37℃、約 5分間プレインキュベートした基質液 0.9 mL に酵素固定化ビーズ液 0.1 mL を添加混合し、37℃で5分間反応した。時間経過後、1 mLの4%酢酸を添加し、反応を停止させ、イオン交換水でさらに 3倍に希釈後、HPLCにて以下の条件で7ACA濃度を定量した。
【0053】
Figure 2005095001
【0054】
生成した7ACAの量から、活性計算式「7ACA濃度(μg / ml)×6×10/5/272.4×酵素液調製時希釈倍数」により酵素活性を測定した。ここで "6" は反応後希釈倍数、 "10" は反応時酵素液希釈倍数、 "5" は反応時間(min.)、 "272.4" 7ACA分子量を表す。
【0055】
その結果、pETNα427、pETCα427、pETCβ427形質転換大腸菌からの可溶化酵素液を吸着、回収、洗浄した固定化ビーズでは、約 0.9 / mg-dryビーズの活性が確認された一方で、pETSS427 形質転換大腸菌からの固定化ビーズでは、活性は確認されなかった(表1)。また、固定化する前の酵素可溶化溶液を用いて同様の活性測定を行った結果、酵素の発現活性は、キチンビーズへの吸着の前後でほとんど変化しないことも分かった。
【0056】
【表1】
Figure 2005095001
【0057】
各形質転換大腸菌からの可溶化酵素液を、抗C427 GL-7ACAアシラーゼポリクローナル抗体を含むウサギ血清を用いたウエスタンブロッティング法により検出したところ、pETNα427、pETCα427、および pETCβ427 形質転換大腸菌の発現酵素では、C427 GL-7ACAアシラーゼのα鎖、β鎖とCBDの連結が予想できるバンドのシフトがそれぞれ確認されたが、pETSS427 形質転換大腸菌の場合では、バンドのシフトは確認されなかった(図2)。
このことから、キチンビーズへの吸着は、C427 GL-7ACAアシラーゼに連結したCBDの働きによるものであることが明らかとなった。
さらに、固定化ビーズを、SDS-PACEサンプル緩衝液で直接処理し、SDS-PAGE分析を行ったところ、高純度に精製されていることが確認された(図3)。
【0058】
また、ホスト大腸菌が並産する、基質、生成物の分解触媒作用を示すβラクタマーゼ活性を測定した。まず、30 mL の培養液から回収した菌体を破砕し、20 mM Tris-HCl 緩衝液 pH 8.5、500 mM NaCl、0.1 % Triton X-100(吸着緩衝液)1 mL で抽出した可溶化酵素液を培養液サンプルとした。この可溶化酵素液 1 mL を用いて、GL-7ACAアシラーゼ活性が 0.5 U/mg-dryビーズとなるようにキチンビーズに固定化した。これを吸着緩衝液 1 mL に懸濁して、固定化後サンプルとした。次に、7ACA(基質)末を、0.15 M リン酸緩衝液 pH 8.0 に10 mg / mLの濃度になるよう溶解して、これを基質液とした。基質液 9 mLに対して、培養液サンプルまたは固定化後サンプルまたはブランクとして吸着緩衝液を 1 mL 添加混合し、25℃で120分間振盪反応した。時間経過後、反応液 0.25 mLを 1 mLの 4%酢酸溶液に添加し、反応を停止させ、イオン交換水で、これを 20 mLまでメスアップした。7ACA濃度をHPLCにて上記と同様に定量し、分解した7ACAの量から、活性計算式「(ブランク7ACA濃度(μg / ml)−サンプル7ACA濃度(μg / ml))/120/272.4×80×10/30」により酵素活性を測定した。ここで、 "120" は反応時間(min.)、 "272.4" は7ACA分子量、 "80" は反応後希釈倍数、 "10" は反応時サンプル希釈倍数、 "30" は培養液に対するサンプル調整時濃縮倍数を表す。その結果、酵素固定化ビーズ液中にβラクタマーゼ活性は認められず、C427 GL-7ACAアシラーゼが高純度に精製されていることが判明した(表2)。
【0059】
【表2】
Figure 2005095001
【0060】
【発明の効果】
本発明により、キチン・セルロース結合ドメインを融合させたヘテロマーペプチドが提供された。本発明により、工業的に有用であって、特異なプロセシング機構を持つ酵素を、活性を保持したまま固定化することが可能となる。キチンやセルロースは工業的にも利用可能な担体であり、これに吸着能を示すキチン・セルロース結合ドメインを用いた本発明のヘテロマーペプチドは、工業的利用に適している。キチン・セルロース結合ドメインのキチン・セルロースへの吸着は特異的であるが故に、吸着した酵素は高純度に精製されている。従って、通常の酵素固定化技術に比べ、酵素の精製が不要であるという点でも優位である。特に、大腸菌中には、セファロ骨格の化合物を分解する酵素のβラクタマーゼが存在しており、従来の固定化酵素法では、この酵素の除去が不可欠であったが、本発明の方法では簡便に除去できる。また、従来のイオン交換担体への固定化法では、担体への基質、生成物の吸着により生成物収率が低下したが、本発明の固定化方法は基質、生成物の吸着はないため、高い収率で固定化ヘテロマーペプチドを調製することが可能である。
【0061】
【配列表】
Figure 2005095001
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【図面の簡単な説明】
【図1】キチン・セルロース結合ドメインを融合させたペプチドの発現プラスミドの構造を示す図である。CBDはキチンまたはセルロース結合ドメイン、αおよびβはそれぞれαサブユニットおよびβサブユニット、SPはスペーサーペプチドを表す。T7は T7 プロモーターを表す。
【図2】キチン・セルロース結合ドメインを融合させたペプチドの発現プラスミド(pETSS427、pETNα427、pETCβ427、および pETCα427)または空ベクター(pET24a)を導入した大腸菌抽出物の SDS-PAGE(A)および抗C427 GL-7ACAアシラーゼポリクローナル抗体を用いたウェスタン解析(B)の結果を示す図である。
【図3】大腸菌で発現させたキチン・セルロース結合ドメインを融合させたペプチドのキチンビーズ抽出物の SDS-PAGE を示す図である。

Claims (14)

  1. 前駆体ペプチドの切断により生成されるヘテロマーペプチドを構成するサブユニットの少なくとも1つがキチン・セルロース結合ドメインを付加されているヘテロマーペプチド。
  2. ヘテロマーペプチドが自己スプライシングによって生成される蛋白質である、請求項1に記載のペプチド。
  3. 自己スプライシングによって生成される蛋白質がアミノアシラーゼである、請求項2に記載のペプチド。
  4. アミノアシラーゼが7−β−(4−カルボキシブタンアミド)−セファロスポラン酸アシラーゼである、請求項3に記載のペプチド。
  5. 請求項1に記載のヘテロマーペプチドの前駆体ペプチド。
  6. 請求項5に記載の前駆体ペプチドをコードするDNA。
  7. 請求項6に記載のDNAを含む発現ベクター。
  8. 請求項7に記載の発現ベクターによって形質転換された宿主細胞。
  9. 請求項8に記載の宿主細胞を培地で培養し、宿主細胞および/またはその培養上清からヘテロマーペプチドまたは該ヘテロマーペプチドの前駆体ペプチドを回収することを特徴とする、請求項1に記載のヘテロマーペプチドまたは該ヘテロマーペプチドの前駆体ペプチドの製造方法。
  10. 請求項1に記載のヘテロマーペプチドまたは該ヘテロマーペプチドの前駆体ペプチドを、キチンおよび/またはセルロースに接触させる工程を含む、固定化ヘテロマーペプチドの製造方法。
  11. 請求項1に記載のヘテロマーペプチドにおけるキチン・セルロース結合ドメインがキチンおよび/またはセルロースに結合している固定化ヘテロマーペプチド。
  12. (a)請求項11に記載の固定化ヘテロマーペプチドに、該ヘテロマーペプチドの基質を接触させる工程、および(b)工程(a)における反応生成物を回収する工程、を含む、固定化ヘテロマーペプチドに触媒されて生じる反応生成物の製造方法。
  13. 請求項4に記載のヘテロマーペプチドにおけるキチン・セルロース結合ドメインがキチンおよび/またはセルロースに結合している固定化ヘテロマーペプチドに、式:
    Figure 2005095001
    (式中、R1 はアセトキシ、ヒドロキシまたは水素、R2 は炭素数3〜8のカルボキシアルカノイルまたはD−グルタミルを示す)で示される化合物(II)またはその塩を接触させて、式:
    Figure 2005095001
    (式中、R1 はアセトキシ、ヒドロキシまたは水素を示す)で示される化合物(I)またはその塩を得ることを特徴とする化合物(I)の製造法。
  14. 7−β−(4−カルボキシブタンアミド)−セファロスポラン酸アシラーゼを構成するサブユニットの少なくとも1つにキチン・セルロース結合ドメインを付加し、該キチン・セルロース結合ドメインをキチンおよび/またはセルロースに固定化してなる、式:
    Figure 2005095001
    (式中、R1 はアセトキシ、ヒドロキシまたは水素を示す)で示される化合物(I)製造用の固定化酵素。
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