JP2005094766A - ダイナミックコンバータ、特に小型スピーカ - Google Patents

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Abstract

【課題】 音響短絡を導く膜に開口部を提供する必要なく、矩形または他の角度をなす膜の共振周波数を低減すること。
【解決手段】 本発明によるダイナミックコンバータは、矩形形状のダイナミックコンバータ、あるいは、円形またはほぼ円形のドーム2、外部バルジ5および1つ以上の中間バルジ9からなる円形コーナー6、ならびに、音響短絡回路を避けるためにノッチまたはバルジ7、8が提供されたコーナー6を有する矩形形状のダイナミックコンバータである。バルジ5およびコーナー6の膜厚は、中間バルジ9の膜厚と異なる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ダイナミックコンバータ、特に、携帯電話、ハンズフリースピーカフォン等の小型スピーカに関する。小型スピーカは、円から逸脱した形状、特に矩形形状を有し、矩形形状の場合、スピーカの膜は、ドームと呼ばれる円対称の中央領域と、ドームの周りに配置されるバルジと呼ばれる領域とを有する。非円形コンバータを利用する理由は、セルラーフォンおよび多くのほかのデバイスにおいて利用可能なスペースが、多くの場合、高さ方向において非常に制限されるが、矩形形状と組み合わされる主平面内では比較的空間があることである。バルジは、円形の外周を有するドームと対応する外形との間の接続を表わす。このような形状は、ますます所望されている。なぜならば、コンバータの膜表面が、組み込む間の主要なスペースの問題を許容することなく拡張され得るからである。
低周波数、特にいわゆる下限周波数fl以下の周波数では、ダイナミックコンバータ、特に小型スピーカは、規定のサイズの高音圧で膜の大きな変位を示す。このため、膜は、幾何学的非線形変位領域で動作し、音響歪みは、例えば、音変換の間の高非線形歪みファクタの形式で発生する。つまり、音圧と電気信号との間の関係は、もはや線形でもおおよそ線形でもない。発生する歪みは、
空隙における磁界の非線形トレンドと、
膜の機械的整合性(compliance)の非線形トレンドと
の2つの原因から主に発生する。
歪みの第2の原因、すなわち、非線形膜の整合性のみが、以下のように処理される。
ユーザに好まれる膜の歪みの形式は、いわゆるピストンモードである。ピストンモードでは、膜のドーム、すなわち中心に近い部分は、硬いピストンと同様に振動し、膜は、エッジ領域、すなわちバルジにおいてのみ実質的に変形する。振動のこの形態に割り当てられる固有周波数は、伝送範囲の下限周波数flである。膜材料、膜厚および膜形状を適切に選択することによって、コンバータの設計中にf1を設定し得る。特に、材料の厚さ、および、従って、f1は、特許文献1に対応する特許文献2に記載される方法により影響を受け得る。両文書の内容は、参照として本明細書中に援用される。
コイルと一緒の膜の機械的ばね−質量系のばね効果は、バルジの弾性変形によって発生し、ドームの変形は、本発明において無視し得る程度の役割しか果たさない。
上述の理由のために、従来技術において、四角形膜ジオメトリが存在する。それらのコーナーは、バルジの間に露出し、すなわち、コーナー領域は、材料を有しない。これは、低音曲インピーダンスを有する組み込み状況では、可能になる。この膜ジオメトリは、例えば、AKG K1000ヘッドフォンで利用される。コンバータの厳密な組み込みの間、コーナーの露出(ホール)によって形成する音響短絡は、回避できない。このため、低周波数の再生が不可能となる。音響短絡を回避するために、膜はコーナーにわたって敷かれなければならない。これは、再び、膜の所望されない硬化を導き、従って、膜の共振周波数f1がより高くなる。つまり、音響短絡の負の効果が確かに回避されるが、このことに対して、伝送周波数範囲の低周波数までの拡張は、膜の硬化のために過度に補償される。従って、この都合は、角をなす、特に矩形コンバータの周波数トレンドを拡張することに適していない。
矩形膜または他の多角形膜において、さらなる硬化の影響がコーナーを介して発生するという問題が存在する。この影響は、膜の上下の運動がコーナーエリアの接線方向の力を導き、円形膜のドーナツ型のバルジ内においてこれと同様の接線方向の張力を導くという事実によって説明される。上述の相互接続されていないAKG K1000の線形バルジは、このような力または張力なしに移動する。
上述の文書に開示される膜の生成方法では、膜厚がバルジ領域において低く保たれ、従って、低固有周波数が達成されるのに対し、中心(例えばドームにおける)近くの領域の膜厚は、形状が実質的に変化するより高い周波数でのドームの部分的振動を回避するためにより厚く保たれるが、この生成方法は、従来技術においても述べられている。
特許文献3は、円形膜を利用し、円形膜と、四角形部分に備え付けられ得る円形内部エッジおよび四角形の外周を有するエッジ構造とを結合する可能性を明示する。このような二重部分および二重形状膜の振動モードは、いなかるマイクロフォンまたはラウドスピーカ用に対してもほとんど良質に利用することができず、そのコストは高い。
特許文献4および特許文献5は、複雑かつ振動特性を制御することが難しい矩形膜を開示し、良質で利用することがほとんどできない。
米国特許6,185,809号明細書 オーストリア特許403,751号明細書 特開昭61−123390号明細書 特開昭62−265894号明細書 特開昭61−121690号明細書
従って、本発明のタスクは、音響短絡を導く膜に開口部を提供する必要なく、矩形または他の角度をなす膜の共振周波数を低減することである。
本発明によるダイナミックコンバータは、円形から外れた、コーナーを有する形状のダイナミックコンバータであって、該ダイナミックコンバータの膜は、ドームと呼ばれる円形対称な中央領域と、該ドーム周りに配置されたバルジと呼ばれる領域であって、円形から外れた外形を有し、各コーナー領域でベロー形状を有する領域とを有し、これにより、上記目的を達成する。
ベローの少なくとも1つのエッジは、前記膜の中心面および前記コーナー領域のバルジの外形に少なくともおおよそ垂直に広がる平面に位置してもよい。
ベローの少なくとも1つのエッジは丸くてもよい。
前記バルジは、内部リムおよび前記外形と該内部リムとの間の一定の広い幅を有し、中間バルジは、前記ドームと該内部リムとの間に定義されてもよい。
前記バルジの膜の厚さは、前記中間バルジの膜の厚さと異なっていてもよい。
前記膜の厚さは、前記バルジ内で変化してもよい。
前記膜の厚さは、前記中間バルジ内で変化してもよい。
本発明による問題に対するソリューションは、ダイナミックコンバータの膜が各コーナー領域のベロー形状の隣接するバルグを有する事実からなる。ベローのエッジは、膜に対する中心面に対して少なくともおおよそ法線方向に、かつ、バルジの外部エッジに対して法線方向に広がる面に存在する。この都合により、コーナー領域の膜は、膜内の法線方向の張力を著しく低減し、従って、限界周波数f1の増大を導かない運動の主要方向において極めて柔軟性がある。膜はコーナー領域に開口部(露出)なく設計され得るので、音響短絡もまた回避される。
本発明は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。
図1は、矩形形状を有する本発明による膜1を示す。矩形膜全体の4分の1のみが、図に示される。この例のコーナー6には、3つのコネクタ7および2つの溝が提供され、巻戻し(unwinding)を促進する。膜1は、有限要素問題の図と同様に、グリッドまたはネットの態様で示される。膜1の中央部分またはドーム2は、コイル3が固定され、多くの場合接着される円形溝4に囲まれる。示される実施形態において、矩形形状を有し、かつ、接着エッジ11が提供される外周から、バルジ5は、周に平行に提供される。4つのバルジの幅は、バルジ5が平らでも半円でもなく、弓状の断面を有する示される実施形態において、それら4つ全てについて一定であり、かつ、等しい。
本物のコーナーの形状を有さず、数字12が与えられるように丸いコーナーエリア6では、バルジのこの断面は、最初に説明した全ての欠点を有する非常に硬い膜をもたらす。従って、本発明によると、ベロー状の構造7、8には、膜1のコーナーエリア6が提供される。ベロー状の構造は、リフ7および溝8を有し、その頂および底は、それぞれ、外周のおおよそ法線方向に広がる。示される実施形態では、これらの方向は全て、示される実施形態の4分の1の円の形状を有する外周の理論上の中心点からおおよそ半径方向に走る。
これらの提供は、バルジ5の内部の境界と溝4の外部の境界との間にエリアを残す。このエリアは、1つ以上のバルジ(単数または複数)9によって覆われる。図1は、図1の「左」端にある最小断面10で消滅する1つの中間バルジを有する実施形態を示す。もちろん、長い側面13と同様に(しかし、より狭い)、このエリアの連続中間バルジを有することも可能である。他方、半径方向に1つより多い中間バルジを有することが可能である。
可能な変化、変形および追加が、以下の説明により与えられる。
膜1は、少なくとも2つ、好ましくは4つ、または、エッジの数に対応するバルジの他の数を有し、ここで、バルジの高さは、ゼロ(完全に平らなバルジ)から好ましくはバルジ幅の半分(例えば、半円または楕円バルジ断面)の間となり得る。バルジ5は、膜1の上下運動の間にばね−質量系の機械的ばねとして機能し、ここで、コイル+膜が質量を形成し、バルジはばねを形成する。ばね−質量系の剛性を決定する部分のみが、続いて処理される。
本発明の1つの改変は、バルジ5において、好ましくは、バルジがドーム2と隣接する領域において、この領域の巻き戻しプロセス(膜のたわみ)を促進する凹部14が存在することを提案する。
上述のように、膜は、円形またはおおよそ円形のドームを有し、いわゆる中間バルジが、好ましくは、ドームと少なくとも2つのバルジとの間に形成されるように設計される。ドームの外周では、力が伝送する移動コイルが、概ね固定される。
膜1の外周は、好ましくは正方形または矩形に設計されるが、他の多角形(例えば、三角形、五角形、六角形等)のエッジ形状としても設計可能である。好ましい形状は、矩形のポリゴン形状である。しかし、特定の組み込み状況では、不規則なポリゴン形状(例えば、台形、二等辺三角形等)も考えられ得る。次に、矩形形状のバージョンが記載される。本発明の知識を用いると、電気音響コンバータの当業者は、後述する他のポリゴン形状に対して類似の他のバージョンを工夫することが容易に可能である。
矩形コンバータでは、矩形の短辺に対する長辺のアスペクト比は、好ましくは1と2との間であるが、より高い値(例えば、5以上)も想定し得る。実用的な用途では、矩形のより長い方のエッジの長さは、概して、7mmと70mmとの間の範囲であり、好ましくは、約20mmの範囲である。これによる大きさは、小型スピーカ、携帯電話およびいわゆるPDA(Personal Digital Assistant)に容易に適している。外形が矩形であることにより、携帯電話に利用可能なスペースは、最適に利用され得る。
上面図の矩形バルジ5の内部と上面図の円形ドーム2との間において、2つ以上のバルジ9がガセット板、およびオプションで周囲に得られる。中間バルジ9の高さは、0と最大値との間であってもよい。この最大値は、矩形の短辺の半分に対応する。中間バルジ9は、膜1の上下運動中に上述したばね−質量系において追加のばねとして動作する。
バルジ5の間のコーナー6には、コネクタ7および/または溝8(ベロー)が提供される。これらは、巻き戻しプロセスを促進し、従って、膜の機械的整合性を増大させる。膜は、例えば接着エッジ11によって、バルジの外部エッジおよびコーナーに沿ってしっかりと締められる。
以下に示されるように、中間バルジ9とバルジ5との間の材料の厚さの比率は、本発明によるジオメトリに応じて調整される。中間バルジ厚/バルジ厚の比率は、好ましくは、1〜2の範囲にあり、上述の文書に記載される方法により生成され得る。バルジの膜厚は、上述のばね−質量系の固有周波数をきっちりと決定する。材料の厚さの通常の値は、所望の固有周波数に依存し、15μm〜80μmの間の範囲にあり、材料の厚さがより大きな場合でさえ、コンバータがより大きくおよび/または固有周波数がより高くなり得る。
マクロフォル(Macrofol)またはポリカーボネート膜は、通常、バルジおよび中間バルジ用に用いられる。ポリウレタンを有するポリカーボネートのような複合材料もまた可能である。この場合、ポリウレタン膜は、機械的減衰を生じさせる一方で、ポリカーボネート膜は、膜の必要な剛性を生成する。1つの改変は、複合膜が、コーナーにおいて、整合性を増大させるためにポリウレタン部分のみがそこに存続するように設計されるという事実からなる。
本発明により形成される膜において、ばね効果は、もはや、単にバルジの定義によるのではなく、バルジと中間バルジとの間の変形の相互作用による。2つのコンポーネント(バルジおよび中間バルジ)が直列の2つのばねに相当することを想像し得る。このため、静的または調和力がコイルに加えられ、膜の変位を生じさせることが提案される。調和力の場合、共振周波数より下の周波数が選択される。この周波数範囲では、ばね−質量系は、ばね特性によって決定される。
膜厚の適切な選択、および/または、バルジと中間バルジとの領域の膜厚のなめらかな変化の適切な選択によって、ならびに、極率、特にこれらの2つの部分の極率半径の選択によって、この2つの部分の変形の挙動は、変形がエッジから中心までできるかぎり均一に増大する、すなわち、バルジおよび中間バルジの両方が変形部分となるような影響を受け得る。これらの変形は、有限要素問題による数値シミュレーション、あるいは、干渉計に基づいて動作するイメージングレーザー振動計を有する現実の既存のコンバータの計測のどちらかで表わされ得る。
厚さの変化は、階段状または滑らかであってもよいし、上述のドキュメントに開示される方法およびデバイスによって達成されてもよい。
膜のいくつかの部分の変形の均一な分布のために、機械的整合性は線形化する。機械的整合性の線形化により、結果として生じる音響歪み、例えば、非線形歪みファクタ、混変調歪み等は、特に、変位の大きい領域で最小化され得る。
矩形コンバータの規定のジオメトリでは、一定固有周波数の境界条件下の中間バルジ厚/バルジ厚の比率を変動させることによって、上述の非線形歪みファクタの最小化が達成され得る。対応する厚さの比率は、コンバータの構築中は、維持されるべきである。
図2は、所与の音圧が中間バルジ厚のバルジ厚に対する比率の関数である、矩形コンバータの非線形歪みファクタの計算例を示す。中間バルジ厚/バルジ厚の厚さの比率は、1.0〜2.1の間で変動した。1.6の厚さの比率で、歪みが最小化されることが明らかに分かる。
本発明は、多くの詳細な点において変化し得、説明されたこの用途で示された実施形態に制限されない。以下は、極めて丸いものから、比較的とがったエッジおよび溝まで様々な形式を有し得る。実際の、内部円形形状がバルジ内部リムへ変化することに相当する中間バルジは、様々な形式を有し得、これらのエリアを介して厚さが変化し得、かつ、また、コーナーエリアにおいてベロー状の構造が提供され得る。中央領域またはドームは、図に示される極率と異なる極率を有してもよいし、コイルは、本発明による変形のない当業者に公知の多くの方法で、ドームの外周に接続されてもよい。同じことが、コイルがマウントされたエリアの膜の形式に当てはまる。
本発明の核は、膜が開口部も漏れもない非線形エリアに近接し、かつ、膜のコーナーエリアが、コーナーエリアを変形に対して柔軟かつ脆弱にするジオメトリを有することである。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
(要約)
本発明によるダイナミックコンバータは、矩形形状のダイナミックコンバータ、あるいは、円形またはほぼ円形のドーム2、外部バルジ5および1つ以上の中間バルジ9からなる円形コーナー6、ならびに、音響短絡回路を避けるためにノッチまたはバルジ7、8が提供されたコーナー6を有する矩形形状のダイナミックコンバータである。バルジ5およびコーナー6の膜厚は、中間バルジ9の膜厚と異なる。
図1は、本発明による実施形態の4分の1を表わす。 図2は、中間バルジ厚に対するバルジ厚と、コンバータの非線形歪みファクタとの関係の影響の例を示す。
符号の説明
1 膜
2 ドーム
3 コイル
4 溝
5 バルジ
6 コーナー
7 リフ
8 溝
9 中間バルジ
10 最小断面
11 接着エッジ
12 コーナーエリア
13 長い側面

Claims (7)

  1. 円形から外れた、コーナーを有する形状のダイナミックコンバータであって、該ダイナミックコンバータの膜は、ドームと呼ばれる円形対称な中央領域と、該ドーム周りに配置されたバルジと呼ばれる領域であって、円形から外れた外形を有し、各コーナー領域でベロー形状を有する領域とを有する、ダイナミックコンバータ。
  2. ベローの少なくとも1つのエッジは、前記膜の中心面および前記コーナー領域のバルジの外形に少なくともおおよそ垂直に広がる平面に位置することを特徴とする、請求項1に記載のコンバータ。
  3. ベローの少なくとも1つのエッジは丸いことを特徴とする、請求項2に記載のコンバータ。
  4. 前記バルジは、内部リムおよび前記外形と該内部リムとの間の一定の広い幅を有し、中間バルジは、前記ドームと該内部リムとの間に定義されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のコンバータ。
  5. 前記バルジの膜の厚さは、前記中間バルジの膜の厚さと異なっていることを特徴とする、請求項4に記載のコンバータ。
  6. 前記膜の厚さは、前記バルジ内で変化することを特徴とする、請求項4または5に記載のコンバータ。
  7. 前記膜の厚さは、前記中間バルジ内で変化することを特徴とする、請求項4または5に記載のコンバータ。
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