JP2005090577A - 車両用無段変速機 - Google Patents

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高弘 江口
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武嗣 藏田
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Abstract

【課題】 有段自動変速モードにおける走行路面の勾配推定を正確に行う。
【解決手段】 エンジンEの出力を無段階に変速する金属Vベルト機構CVTと、スロットル開度センサ36と、車速センサ37と、これらセンサの検出値に応じて無段変速制御を行う電気制御ユニットECUおよびコントロールバルブCVとを有し、上記センサの検出値に基づいて車両の走行路面勾配を推定する。電気制御装置ECUが、運転状態に応じて無段変速機構の変速比を無段階に制御する無段自動変速モードおよび運転状態に応じて無段変速機構の変速比を予め設定した複数の有段変速比のうちのいずれかとなるように制御する有段自動変速モードのいずれかを選択し、このように選択したモードに基づいて変速制御を行い、推定路面勾配に応じて有段自動変速モードにおける変速特性を変更する制御を行う。そして、有段自動変速モードにおける変速時は路面勾配推定を所定期間停止する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、駆動源(例えば、エンジン)の出力を無段階に変速して車輪に伝達して車両を駆動する車両用無段変速機に関し、さらに詳しくは、変速制御モードとして無段自動変速モードおよび有段自動変速モードを有する車両用無段変速機に関する。
車両用無段変速機の変速制御は従来から種々提案されており、例えば、アクセル操作量に対応して目標エンジン回転数を設定し、実際のエンジン回転が目標エンジン回転数に一致するように無段変速制御することが知られている。このような変速制御に際して、車両が走行する路面が平坦路、登坂路、降坂路となるときに、これら路面状態に応じて適切な走行特性が得られるように変速制御することが求められる。このため、エンジントルク、走行抵抗、加速度等から走行している路面勾配を推定し、この推定路面勾配に応じて変速制御を行うことが知られている。このように路面勾配を推定するものとしては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
一方、車両無段変速機の変速制御方法として、上記のように無段階に変速制御を行う無段変速モードと、ドライバーのシフトレバー操作に応じて変速比を設定するマニュアル変速モードとを選択設定可能とするものもある。マニュアル変速モードでは、シフトレバー操作に対応する複数の変速比を設定し、従来のギヤ式変速機のような有段変速制御を手動で設定するものであるが、本出願人は、車両の運転状態に応じて自動的に有段変速制御を行うモードを設定することも提案している。このような有段自動変速を行うモード(有段自動変速モード)においても走行路面勾配を推定し、推定された路面勾配に適した走行特性となるように変速特性を路面勾配に応じて変更している。
特開2001−182760号公報
ところが、有段自動変速モードにおいて路面勾配推定(演算)を行う場合に、変速中(シフトアップ中、シフトダウン中)においては、無段変速機構の変速比を急激に変化させる変速制御が行われるため回転系の回転速度変化率(角加速度)が大きく、イナーシャトルク計算の遅れが発生し、勾配推定の精度が落ちるという問題がある。特に、勾配推定演算において用いられるノイズフィルターがこのときのイナーシャトルク計算に影響して勾配推定がより遅れを生じやすいという問題がある。このように推定された路面勾配に基づいて変速特性を設定して変速制御を行った場合、路面状況に応じた最適な走行特性に追従できない可能性があるという問題が発生する。
本発明はこのような問題に鑑みたもので、有段自動変速モードにおける走行路面の勾配推定を正確に行うことができるような車両用自動変速機(特に、その変速制御装置)を提供することを目的とする。
上記課題を解決してこのような目的を達成するため、本発明に係る車両用無段変速機は、駆動源(例えば、エンジン)の出力を無段階に変速して車輪に伝達して車両を駆動する無段変速機構(例えば、実施形態における金属Vベルト機構CVT)と、車両の運転状態を検出する運転状態検出手段(例えば、実施形態におけるスロットル開度センサ36、車速センサ37等)と、運転状態検出手段により検出された運転状態に応じて無段変速機構の変速制御を行う変速制御装置(例えば、実施形態における電気制御ユニットECUおよびコントロールバルブCV)と、運転状態検出手段により検出された運転状態に応じて車両の走行する路面の勾配を推定する勾配推定手段(例えば、実施形態における走行路面勾配推定ステップS16)とを備える。そして、変速制御装置が、運転状態検出手段により検出された運転状態に応じて無段変速機構の変速比を無段階に制御する無段自動変速モードおよび運転状態検出手段により検出された運転状態に応じて無段変速機構の変速比を予め設定した複数の有段変速比のうちのいずれかとなるように制御する有段自動変速モードのいずれかを選択し、このように選択したモードに基づいて変速制御を行い、勾配推定手段により推定された勾配に応じて有段自動変速モードにおける変速特性を変更し、有段自動変速モードにおける変速時は勾配推定手段による勾配推定を所定期間停止するようになっている。
このような構成の車両用無段変速機によれば、変速比を急激に変化させる変速制御が行われる変速中においてはイナーシャトルク計算の遅れが発生して勾配推定に遅れが発生するおそれがあるが、有段自動変速モードにおける変速時は勾配推定手段による勾配推定を所定期間停止するようになっているので、イナーシャトルク計算遅れによる勾配推定遅れを防止し、理想的な変速特性に対する追従性を向上させることができる。これにより、登坂路走行、降坂路走行等における加減速性能を向上させて、走行特性を向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1に本発明の一実施形態に係る車両用無段変速機を有した動力伝達装置構成を示している。この図から分かるように、この動力伝達装置は、エンジンEと、このエンジンEの出力軸Esにカップリング機構CPを介して連結された無段変速機CVTとから構成される。無段変速機CVTは、入力軸1とカウンタ軸2との間に配設された金属Vベルト機構10と、入力軸1の上に配設された前後進切換機構20と、カウンタ軸2の上に配設された発進クラッチ(メインクラッチ)5とを備えて構成される。この無段変速機CVTは車両用として用いられ、入力軸1はカップリング機構CPを介してエンジン出力軸Esと連結され、発進クラッチ5からの駆動力は、ディファレンシャル機構8から左右のアクスルシャフト8a,8bを介して左右の車輪(図示せず)に伝達される。
金属Vベルト機構10は、入力軸1上に配設されたドライブ側可動プーリ11と、カウンタ軸2上に配設されたドリブン側可動プーリ16と、両プーリ11,16間に巻き掛けられた金属Vベルト15とから構成される。ドライブ側可動プーリ11は、入力軸1上に回転自在に配設された固定プーリ半体12と、固定プーリ半体12に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体13とを有する。可動プーリ半体13の側方にはシリンダ壁12aにより囲まれてドライブ側シリンダ室14が形成されており、このドライブ側シリンダ室14にコントロールバルブCVから油路31を介して供給されるプーリ制御油圧により、可動プーリ半体13を軸方向に移動させるドライブ側圧が発生される。
ドリブン側可動プーリ16は、カウンター軸2に固定された固定プーリ半体17と、固定プーリ半体17に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体18とからなる。可動プーリ半体18の側方にはシリンダ壁17aにより囲まれてドリブン側シリンダ室19が形成されており、このドリブン側シリンダ室19にコントロールバルブCVから油路32を介して供給されるプーリ制御油圧により、可動プーリ半体18を軸方向に移動させるドリブン側圧が発生される。
上記構成から分かるように、上記両シリンダ室14,19への供給油圧(ドライブおよびドリブン側圧)をコントロールバルブCVにより制御し、ベルト15の滑りの発生することのない側圧を与える。さらに、ドライブおよびドリブン側圧を相違させる制御を行い、両プーリのプーリ溝幅を変化させて金属Vベルト15の巻き掛け半径を変化させ、変速比を無段階に変化させる制御が行われる。
前後進切換機構20は、遊星歯車機構からなり、入力軸1に結合されたサンギヤ21と、固定プーリ半体12に結合されたリングギヤ22と、後進用ブレーキ27により固定保持可能なキャリア23と、サンギヤ21とリングギヤ22とを連結可能な前進用クラッチ25とを備える。この機構20において、前進用クラッチ25が係合されると全ギヤ21,22,23が入力軸1と一体に回転し、エンジンEの駆動によりドライブ側プーリ11は入力軸1と同方向(前進方向)に回転駆動される。一方、後進用ブレーキ27が係合されると、キャリア23が固定保持されるため、リングギヤ22はサンギヤ21と逆の方向に駆動され、エンジンEの駆動によりドライブ側プーリ11は入力軸1と逆方向(後進方向)に回転駆動される。
発進クラッチ5は、カウンタ軸2と出力側部材すなわち動力伝達ギヤ6a,6b,7a,7bとの動力伝達を制御するクラッチであり、これが係合されると両者間での動力伝達が可能となる。このため、発進クラッチ5が係合されているときには、金属Vベルト機構10により変速されたエンジン出力が動力伝達ギヤ6a,6b,7a,7bを介してディファレンシャル機構8に伝達され、ディファレンシャル機構8により分割されて左右のアクスルシャフト8a,8bを介して左右の車輪に伝達される。発進クラッチ5が解放されると、このような動力伝達は行えず、変速機は中立状態となる。このような発進クラッチ5の係合制御は、コントロールバルブCVから油路33を介して供給されるクラッチ制御油圧により行われる。
以上のように構成された無段変速機CVTにおいては、コントロールバルブCVから油路31,32を介して供給されるドライブおよびドリブン側圧により変速制御が行われ、油路33を介して供給されるクラッチ制御油圧により発進クラッチ係合制御が行われる。コントロールバルブCVは電気制御ユニットECUからの制御信号に基づいて作動が制御されるが、この制御のため、スロットル開度センサ36により検出されたエンジンEのスロットル開度信号と、車速センサ37により検出された車速信号とが電気制御ユニットECUに送られるように構成されている。また、この無段変速機CVTはドライバーにより操作されるモードセレクタ38からのモード設定信号が入力されるようになっており、無段自動変速モードと有段自動変速モードとを切り換え設定できるようになっている。
以下に、電気制御ユニットECUにより作動制御されたコントロールバルブCVから油路31,32を介してドライブ及びドリブンシリンダ室14,19にドライブおよびドリブン側圧を供給して行われる変速制御について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
この変速制御は、まず、モードセレクタ38からの設定信号に基づいていずれのモードが設定されているかを判断する(ステップS1)。無段自動変速モードが設定されているときには、ステップS2に進み、スロットル開度センサ36により検出されたエンジンEのスロットル開度θTHおよび車速センサ37により検出された車速Vを読み込み、予め設定されている目標エンジン回転マップからこのように検出された現在のスロットル開度θTHおよび車速Vに対応する目標エンジン回転数Neoを設定する(ステップS3)。そして、ステップS4において実際のエンジン回転数Neaが目標エンジン回転数Neoとなるように無段変速機CVTの変速比を無段階に変速させる制御が行われる。
一方、ステップS1において有段自動変速モードが設定されていると判断されたときには、ステップS5に進み、スロットル開度センサ36により検出されたエンジンEのスロットル開度θTHおよび車速センサ37により検出された車速Vを読み込み、有段自動変速制御(ステップS10)を行う。
このステップS10の有段自動変速制御の内容を図3に示しており、この制御では、まずキックダウン制御を行っているか否かが判断され、キックダウン制御中であればステップS18に進む。一方、キックダウン制御中でないときにはステップS12に進み、ブレーキが作動されているか否かが判断され、ブレーキ作動中であればステップS18に進む。ブレーキが作動されていないときには、ステップS13に進み、発進クラッチ5のスリップ量が大きいか否かが判断される。発進クラッチ5のスリップ量が大きいとき、すなわち、発進時等で発進クラッチ5の係合制御が行われているようなときには、ステップS18に進み、発進クラッチ5のスリップが所定量以下のときには、ステップS14に進み、変速制御を行っているか否かが判断される。
変速中であれば、ステップS18に進み、変速中でなければ所定時間の経過を待って(ステップS15)から、ステップS16に進み走行路面勾配推定を行う。ステップS16において行われる走行路面勾配推定のため、エンジンスロットル開度θTHおよび車速V(および走行加速度dV/dt)と走行路面勾配との関係を示すテーブルもしくはマップが予め測定もしくは計算されて設定されている。このため、ステップS16においては、ステップS5において読み込まれた現在のスロットル開度θTHおよび車速V(走行加速度)に対応する路面勾配をこのテーブルから読み取って求める。
次に、ステップS17に進み、このように推定された路面勾配に応じた変速マップを検索する。この変速マップの例を図4および図5に示しており、これらの図に示すように、車速Vとスロットル開度θTHとに対応してシフトアップ線およびシフトダウン線が設定されている。これらの図においては、1速(LOW)から2速にシフトアップする1−2シフトアップ線1−2(U)、2速から3速にシフトアップする2−3シフトアップ線2−3(U)、3速から4速にシフトアップする3−4シフトアップ線3−4(U)、4速から5速にシフトアップする4−5シフトアップ線4−5(U)、5速から6速にシフトアップする5−6シフトアップ線5−6(U)、6速から7速にシフトアップする6−7シフトアップ線6−7(U)からなる合計6本のシフトアップ線(実線で示す)が設定されている。同様に、7速から6速にシフトダウンするシフトダウン線7−6(D)、6速から5速にシフトダウンするシフトダウン線6−5(D)、5速から4速にシフトダウンするシフトダウン線5−4(D)、4速から3速にシフトダウンするシフトダウン線4−3(D)、3速から2速にシフトダウンするシフトダウン線3−2(D)、2速から1速(LOW)にシフトダウンするシフトダウン線2−1(D)からなる6本のシフトダウン線(破線で示す)が設定されている。
図4は車両が平坦路を走行するときの変速マップであり、図5は車両が所定角度の登坂路を走行するときの変速マップである。登坂路走行用の変速マップの方が平坦路走行用の変速マップより低速側でシフトアップおよびシフトダウン制御が行われる。実際には、登坂角および降坂角の大きさ毎に対応して複数の変速マップが設定されており、ステップS17においては、これら複数の変速マップからステップS16で推定された路面勾配角に対応する変速マップを選択する。
そして、このようにして選択された変速マップ上で、スロットル開度θTHと車速Vとにより表される運転状態の変化に応じて変速制御を行う。具体的には運転状態を示す点がシフトアップ線を横切って移動したときにシフトアップ変速制御を行い、この点がシフトダウン線を横切って移動したときにシフトダウン変速制御を行う。例えば、図4において点Aで示す運転状態で6速段の変速比が設定されている状態から車速Vが増加して点Bで示す運転状態に移行した場合、シフトアップ線6−7(U)を横切るときに第7速へのシフトアップ変速制御が行われる。さらに、この状態からスロットル開度θTHが緩やかに閉じられるとともに車速Vが低下して点Cで示す運転状態に移行した場合、シフトダウン線7−6(D)を横切るときに第6速へのシフトダウン変速制御が行われる。
以上の説明から分かるように、ステップS16における走行路面勾配の推定処理と、ステップS17における推定路面勾配に応じたマップ選択処理とは、キックダウン中、ブレーキ作動中、発進クラッチ5のスリップ量が大きいとき、変速制御中(および変速制御終了後、所定時間経過するまで)においては行われない。このようなときに路面勾配推定を行うと推定値に遅れが生じ易いため、本制御ではこのときに路面勾配推定を中断して路面勾配推定に遅れが生じるのを防止している。
本発明に係る車両用無段変速機を有した動力伝達装置の構成を示す概略図である。 この車両用無段変速機における変速制御内容を示すフローチャートである。 図2のステップS10における有段変速制御内容を示すフローチャートである。 上記有段変速制御に用いられる平坦路用変速マップを示すグラフである。 上記有段変速制御に用いられる登坂路用変速マップを示すグラフである。
符号の説明
E エンジン
CVT 無段変速機
10 金属Vベルト機構(無段変速機構)
36 スロットル開度センサ(運転状態検出手段)
37 車速センサ(運転状態検出手段)
CV コントロールバルブ(変速制御装置)
ECU 電気制御ユニット(変速制御装置)

Claims (1)

  1. 駆動源の出力を無段階に変速して車輪に伝達して車両を駆動する無段変速機構と、
    前記車両の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    前記運転状態検出手段により検出された運転状態に応じて、前記無段変速機構の変速制御を行う変速制御装置と、
    前記運転状態検出手段により検出された運転状態に応じて、前記車両の走行する路面の勾配を推定する勾配推定手段とを備え、
    前記変速制御装置が、
    前記運転状態検出手段により検出された運転状態に応じて前記無段変速機構の変速比を無段階に制御する無段自動変速モードおよび前記運転状態検出手段により検出された運転状態に応じて前記無段変速機構の変速比を予め設定した複数の有段変速比のうちのいずれかとなるように制御する有段自動変速モードのいずれかを選択し、このように選択したモードに基づいて変速制御を行うようになっており、
    前記勾配推定手段により推定された勾配に応じて前記有段自動変速モードにおける変速特性を変更し、前記有段自動変速モードにおける変速時は前記勾配推定手段による勾配推定を所定期間停止することを特徴とする車両用無段変速機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013180113A1 (ja) * 2012-05-28 2013-12-05 株式会社デンソー 路面に対する車両の傾斜を検出する装置及びその方法

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