JP2005090230A - ガスタービン排ガス利用の加熱炉システム - Google Patents

ガスタービン排ガス利用の加熱炉システム Download PDF

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Abstract

【課題】
設備コストの低いガスタービン排ガス利用加熱炉装置を提供する。
【解決手段】
加熱炉1にガスタービン3を付設して、そのガスタービン3の排ガスを加熱炉1に支燃剤として導入するシステムにおいて、ガスタービン3からのガスタービン排ガス(500〜600℃)流路31に排熱回収ボイラ4を設けている。この排熱回収ボイラ4は少なくとも複数の熱交換器(例えば蒸発器6と蒸発器7)を具備し、水又は蒸気との熱交換によって150〜400℃程度まで温度の低下したガスタービン排ガスの一部を蒸発器6と蒸発器7の中間又はその下流の分岐点33から取り出す。この取り出したガスタービン排ガスを加熱炉1内に導入している。
【効果】
分岐点から取り出すガスタービン排ガスの温度は150〜400℃であり、流路及び送風機などの耐熱温度を低くできるので、設備コストを小さくできる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ガスタービン排ガス利用の加熱炉システムに係り、特に石油精製プラントにガスタービン発電設備を設けて発電すると共に、そのガスタービンの排ガスを石油精製プロセス等における加熱炉に支燃剤の少なくとも一部として導入することにより、加熱炉の燃料を節減するシステムに関する。
加熱炉は、石油精製プロセスにおいて、原油,常圧残油,ナフサ等の原料を加熱するために使用されている。原料は加熱炉の被加熱管に供給される。例えば常圧下にて原油を加熱・蒸留し、沸点差でLPG,ガソリン,灯油,軽油,重質軽油,常圧残油に分留する場合、加熱炉の被加熱管を貫流する大量の原油を、360℃程度の高温まで加熱する必要がある。この加熱用燃料を節減する方法として、加熱炉にガスタービンを付設して、そのガスタービンの排ガスを加熱炉に支燃剤として導入するシステム(以下、ガスタービン排ガス利用加熱炉システム)が提案されている。
このガスタービン排ガス利用加熱炉システムの従来構成は、特許文献1に例示されているように、付設されているガスタービンの高温排ガスの一部が排ガス流路を経て加熱炉内に直接導入されると共に、ガスタービンの不時の停止に備えて常用又は非常用の送風機が備えられ、送風機からの空気を上記排ガス流路の途中に導入できるように構成されている。
特開平06−207531号公報
しかしながら、上記従来技術では、ガスタービン排ガスの温度は500〜600℃と高温であるので、この高温排ガスを加熱炉に導入するためには、この温度に耐える高温用排ガス流路が必要になり、設備コストが高くなるという課題がある。
本発明の目的は、高温用排ガス流路が不要なガスタービン排ガス利用の加熱炉システムを提供することにある。
本発明では、加熱炉にガスタービンを付設して、そのガスタービンの排ガスを加熱炉に支燃剤として導入するシステムにおいて、ガスタービンからのガスタービン排ガス流路に排熱回収ボイラを設け、排熱回収ボイラの熱交換器で水等と熱交換して温度が低下した排ガスを、排熱回収ボイラの途中から取り出し加熱炉に導入するようにする。より具体的には、ガスタービン排ガス(500〜600℃)の下流流路に排熱回収ボイラを設けて、石油精製プロセス等で必要とする蒸気も供給するとともに、この排熱回収ボイラを構成する熱交換器を少なくとも二分割し、水又は蒸気との熱交換によって150〜400℃程度まで温度の低下したガスタービン排ガスの一部をこの分割点又はその下流から取り出し、ガスタービン排ガス流路を介して加熱炉内に導入している。
本発明では、ガスタービンからのガスタービン排ガスは排熱回収ボイラで温度が下げられるので、高温用排ガスダクトが不要になり、設置コストを低減できる効果がある。
以下、本発明の第1の実施例について図1と図2を参照して説明する。
図1において、加熱炉1に付設されたガスタービン3には燃料20が供給され、発電機5で発電するとともに、そのガスタービン排ガスはガスタービン排ガス流路31,排熱回収ボイラ4,ガスタービン排ガス流路32を経て、煙突17より排出される。
排熱回収ボイラ4は給水加熱器12,分割された蒸発器7と蒸発器6,蒸気過熱器11等の熱交換器と、気水分離ドラム13で構成される。排熱回収ボイラ4では、これら熱交換器でガスタービン排ガスと給水21との熱交換により、蒸気22を発生させる。この蒸気22はプロセス蒸気や蒸気タービン駆動用の蒸気として利用される。
ガスタービン排ガスの一部は蒸発器7と蒸発器6の間のガスタービン排ガス分岐点33から取り出され、流量調節のための流量調節弁14,ガスタービン排ガス流路34を経て、加熱炉1の加熱炉燃焼器37に導入される。
一方、残りのガスタービン排ガスは蒸発器7,給水加熱器12でさらに熱回収された後、流量調節弁40を経て、煙突17より大気に排出される。
なお、流量調節弁14と流量調節弁40を調節することにより、煙突17から排出するガスタービン排ガス流量と加熱炉1に供給するガスタービン排ガス流量の割合を調節することが可能である。
燃料19は上記ガスタービン排ガス中の残存酸素を支燃剤として燃焼され、その燃焼ガスにより加熱炉1内の被加熱管内を貫流する原油18を必要な温度まで加熱する。
加熱炉1で加熱された原油は常圧蒸留塔2に送られ、沸点差でLPG,ガソリン,灯油,軽油,重質軽油,常圧残油に分留される。
次に、本実施例の作用を説明する。
通常運転時における排熱回収ボイラの温度線図を図2に示す。同図において太い実線はガスタービン排ガス温度201、細い実線は被加熱側温度205を示す。なお、太い実線201の延長線上の太い破線は、ガスタービン排ガス分岐点33からガスタービン排ガスを取り出さなかった場合のガスタービン排ガス温度を示している。
同図に示すように、排熱回収ボイラガス入口に温度202、例えば600℃で入ったガスタービン排ガスは、蒸気過熱器11,蒸発器6との熱交換によりガスタービン排ガス分岐点33(図1)では温度203、例えば約350℃まで低下し、さらに蒸発器7,給水加熱器12との熱交換により排熱回収ボイラガス出口では温度204、例えば約150℃で排出される。
一方、排熱回収ボイラ被加熱側入口に温度206で入った給水は、給水加熱器12で温度207まで加熱され、蒸発器7及び蒸発器6で温度209、例えば約250℃の飽和蒸気となる。この飽和蒸気は蒸気過熱器11で過熱され、温度210の蒸気がプロセス蒸気又は蒸気タービン駆動用蒸気として送出される。
したがってガスタービン排ガス流路34(図1)に取り込まれるガスタービン排ガスの温度は約350℃まで低下しており、流量調節弁14,ガスタービン排ガス流路34等の耐熱温度は、600℃のガスタービン排ガスを直接導入する場合に比べて低くてよいので、設備コストを下げることが可能になるという効果がある。
また、加熱炉1に供給するガスタービン排ガスの温度を排熱回収ボイラ4での熱回収により下げているので、ガスタービンからの排熱を加熱炉1だけでなく蒸気発生にも有効に利用できるという効果がある。
さらに、ガスタービン3のガスタービン排ガス流量が加熱炉1で必要とする流量より多いという条件の元で、必要とする発電量や蒸気量に合わせてガスタービン3の規模を選択できるという効果もある。
本発明の第2の実施例について図3を参照して説明する。なお、第1の実施例と共通する部分については説明を省略する。
本実施例では、図3に示すように空気流量を調節するための流量調節弁15を具備した空気流路35を設け、ガスタービン排ガス分岐点33からのガスタービン排ガス流路34に流量調節弁14を設け、この空気流路35とガスタービン排ガス流路34を合流点10で接続して、新鮮な空気とガスタービン排ガスを混合している。この混合空気を送風機
41を具備した混合空気流路36により加熱炉1に供給している。加熱炉1に供給する混合空気の流量及び混合空気におけるガスタービン排ガスの割合は、送風機41,流量調節弁14,流量調節弁15を調節することにより調節可能である。
本第2の実施例では、第1の実施例で説明した効果に加え、下記の効果がある。
本第2の実施例では、通常運転時にはガスタービン排ガス分岐点33からのガスタービン排ガスと大気から直接取り込んだ空気を混合して加熱炉1に供給している。この場合、合流点10に流入するガスタービン排ガスと空気との温度差は600℃のガスタービン排ガスを直接導入する場合に比べて約1/2程度になるので、合流点10及びその近傍の流路の熱サイクル疲労が緩和される。また、ガスタービン排ガスと大気からの空気をほぼ均一に混合させるための長いダクトや混合促進部材がほとんど不要となる効果がある。
また、ガスタービン3のガスタービン排ガス流量が加熱炉1で必要とする流量より少ない場合には、その不足分を空気流路35から補うことができるので、加熱炉1の規模にかかわらず、必要とする発電量や蒸気量に合わせてガスタービン3の規模を選択できるという効果もある。
さらに、本第2の実施例では、ガスタービンが不時に停止した場合には、流量調節弁
14を閉止し、流量調節弁15をさらに開いて必要な空気量を取り込むことにより、加熱炉1の運転を継続できる。又は、流量調節弁14を閉止することなく煙突17の出口からも排熱回収ボイラ4及びガスタービン排ガス流路34を介して空気を取り込むことにより、空気流路35からの空気と合わせて加熱炉1の運転を継続できるという効果がある。
以上は、通常運転時に合流点10で常に空気を混合している例を示したが、本第2の実施例はこの運用に限られるものではない。
例えば、通常運転時には流量調節弁15を閉止してガスタービン排ガスのみを加熱炉1に供給することも可能である。ガスタービン3が不時に停止した場合には、流量調節弁
15を開き、流量調節弁14を閉止することにより、加熱炉1に供給する支燃剤をガスタービン排ガスから空気に切り替えても良い。又は、ガスタービン3が不時に停止した場合に、流量調節弁14を閉止することなく煙突17の出口からも排熱回収ボイラ4及びガスタービン排ガス流路34を介して空気を取り込むことにより、空気流路35からの空気と合わせて加熱炉1の運転を継続することもできる。
なお、ガスタービン3が不時に停止した場合に、煙突17の出口から排熱回収ボイラ4及びガスタービン排ガス流路34を介して取り込んだ空気は、比較的温度が高くかつ熱容量の大きい蒸発器7によって加熱されている。そのため、大気から直接取り込んだ空気に切り替える場合に比べて加熱炉1に供給される支燃剤(空気)の温度変化が小さいので、ガスタービン3が不時に停止した場合の加熱炉燃焼器37の燃焼性や加熱炉1の温度分布への影響が緩和されるという効果もある。
本発明の第3の実施例について図4を参照して説明する。なお、第1及び第2の実施例と共通する部分については説明を省略する。
本第3の実施例では、図4に示すように空気流量を調節するための流量調節弁15及び空気送風機9を具備した空気流路35を設け、ガスタービン排ガス分岐点33からのガスタービン排ガス流路34に流量調節弁14及び排ガス送風機8を設け、この空気流路35とガスタービン排ガス流路34を合流点10で接続し、新鮮な空気とガスタービン排ガスを混合して、混合空気流路36により加熱炉1に供給している。
本第3の実施例では、第1及び第2の実施例で説明した効果に加え以下の効果がある。
すなわち、第2の実施例における送風機41は、通常運転時にはガスタービン排ガスと空気の混合空気を、ガスタービン停止時には空気を送風する必要があるので、運転状態によって流体特性(ガス組成,ガス密度,温度)が広い範囲で変化する。そのため、流体特性の変化に対応可能な仕様の大容量送風機を選定する必要があり、コスト高となる。
これに対して本第3の実施例ではガスタービン排ガスと空気のそれぞれの流体特性及び流量に適合した送風機を選定可能となり、比較的低コストにできるという効果がある。
本発明の各実施例によれば、ガスタービンからの500〜600℃のガスタービン排ガスは排熱回収ボイラで150〜400℃まで温度が下げられて排ガス送風機に導入されるので、高温用排ガスダクトが不要になり、かつ、排ガス送風機の耐熱温度も低くできるので、設置コストを低減できるという効果がある。
また、加熱炉に供給するガスタービン排ガスの温度を排熱回収ボイラでの熱回収により下げているので、ガスタービンからの排熱を加熱炉だけでなく蒸気発生にも有効に利用できるという効果がある。
本発明の第1の実施例を示す概略構成図。 本発明の作用を示す説明図。 本発明の第2の実施例を示す概略構成図。 本発明の第3の実施例を示す概略構成図。
符号の説明
1…加熱炉、2…常圧蒸留塔、3…ガスタービン、4…排熱回収ボイラ、5…発電機、6,7…蒸発器、8…排ガス送風機、9…空気送風機、10…合流点、11…蒸気過熱器、12…給水加熱器、13…気水分離ドラム、14,15…流量調節弁、16,17…煙突、18…原油、19,20…燃料、21…給水、22…蒸気、23…空気、31,32,34…ガスタービン排ガス流路、33…ガスタービン排ガス分岐点、35…空気流路、36…混合空気流路、37…加熱炉燃焼器、40…流量調節弁、41…送風機、201…ガスタービン排ガス温度、202…排熱回収ボイラガス入口温度、203…ガスタービン排ガス分岐点ガス温度、204…排熱回収ボイラガス出口温度、205…被加熱側温度、206…給水入口温度、207…蒸発器の水入口温度、209…蒸気過熱器の蒸気入口温度、210…蒸気過熱器の蒸気出口温度。

Claims (9)

  1. 被加熱流体が内部を貫流する被加熱管と該被加熱管を加熱するための加熱炉燃焼器とを具備した加熱炉と、該加熱炉の外に付設されたガスタービンと、該ガスタービンの高温排ガスから熱を回収する複数の熱交換器を具備した排熱回収ボイラと、ガスタービンの高温排ガスを前記排熱回収ボイラに導入するためのガスタービン排ガス流路と、前記排熱回収ボイラの複数の熱交換器の中間又はその下流のガスタービン排ガス分岐点からガスタービン排ガスの一部を取り出して加熱炉に導入するためのガスタービン排ガス流路と、残りのガスタービン排ガスを大気に排出するための煙突に導くガスタービン排ガス流路とを具備し、前記加熱炉燃焼器で発生する燃焼熱とガスタービンの高温排ガスの熱を併用するガスタービン排ガス利用の加熱炉システム。
  2. 請求項1に記載の加熱炉システムにおいて、前記煙突に排ガスを導くガスタービン排ガス流路の途中に流量調節弁を設け、前記加熱炉に排ガスを導くガスタービン排ガス流路の途中に流量調節弁を設け、前記煙突から排出するガスタービン排ガス流量と前記加熱炉に供給するガスタービン排ガス流量の割合を調節可能としたガスタービン排ガス利用の加熱炉システム。
  3. 請求項1に記載の加熱炉システムにおいて、前記加熱炉に排ガスを導くガスタービン排ガス流路に流量調節弁を設け、空気流量を調節するための流量調節弁を具備した空気流路を設け、該空気流路は、前記加熱炉に排ガスを導くガスタービン排ガス流路と合流し、該合流点で混合された混合空気を送風機を具備した混合空気流路により、前記加熱炉に供給するようにしたガスタービン排ガス利用の加熱炉システム。
  4. 請求項1に記載の加熱炉システムにおいて、前記加熱炉に排ガスを導くガスタービン排ガス流路に流量調節弁と排ガス送風機を設け、空気流量を調節するための流量調節弁及び空気送風機を具備した空気流路を設け、前記空気流路は、前記加熱炉に排ガスを導くガスタービン排ガス流路と空気流路の合流しており、該合流点で混合された混合空気を混合空気流路により、前記加熱炉に供給するようにしたガスタービン排ガス利用の加熱炉システム。
  5. 加熱炉の支燃剤としてガスタービン排ガスを供給するようにした加熱炉へのガスタービン排ガス供給システムであって、
    ガスタービンと、
    前記ガスタービンの排ガスを利用する排熱回収ボイラとを有し、
    前記排熱回収ボイラの熱交換器で水又は蒸気と熱交換して所定の温度まで低下した前記排ガスを前記排熱回収ボイラの途中から取り出し、前記加熱炉に供給するようにしたことを特徴とする加熱炉へのガスタービン排ガス供給システム。
  6. 請求項5において、前記排熱回収ボイラの途中から前記加熱炉へ前記排ガスを供給する排ガス流路に流量調節弁を設け、前記排熱回収ボイラから最終的に排出される排ガスを煙突に導く排ガス流路に流量調節弁を設け、これらの流量調節弁の開度を調節することによって、前記加熱炉に供給するガスタービン排ガス流量を調節可能としたことを特徴とする加熱炉へのガスタービン排ガス供給システム。
  7. 請求項5において、前記ガスタービンは、そのガスタービン排ガス流量が前記加熱炉で必要とする流量より多くなるようにその規模が決められていることを特徴とする加熱炉へのガスタービン排ガス供給システム。
  8. 請求項5において、前記排熱回収ボイラの途中から前記加熱炉へ前記排ガスを供給する排ガス流路に設けた排ガス流量調節弁と、該排ガス流量調節弁の下流の前記排ガス流路に合流し空気流量調節弁を具備した空気流路と、前記排ガス流路と前記空気流路の合流点の下流の前記排ガス流路に設けた送風機を有することを特徴とする加熱炉へのガスタービン排ガス供給システム。
  9. 請求項5において、前記排熱回収ボイラの途中から前記加熱炉へ前記排ガスを供給する排ガス流路に設けた排ガス流量調節弁と、該排ガス流量調節弁の下流の前記排ガス流路に設けた排ガス送風機と、該排ガス送風機の下流の前記排ガス流路に合流し空気流量調節弁を具備した空気流路と、前記排ガス流路と前記空気流路の合流点と前記空気流量調節弁の間に設けた空気送風機を有することを特徴とする加熱炉へのガスタービン排ガス供給システム。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102758703A (zh) * 2012-07-18 2012-10-31 中国海洋石油总公司 透平余热回收利用系统
CN106499375A (zh) * 2016-10-25 2017-03-15 中国海洋石油总公司 一种透平烟气余热循环利用系统

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