JP2005089648A - 電気絶縁性成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、成形性を良好に保持しつつ耐アーク性を著しく改善した電気絶縁性成形体を提供することである。
【解決手段】 本発明の課題は、前記充填材は、当該充填材の総質量を基準に、粒径15〜100 μmの大粒径粒子と、粒径4 μm未満の小粒径粒子とを、合計して、少なくとも70質量%の分布割合で含み、(前記大粒径粒子の含有量)対(前記小粒径粒子の含有量)の質量比は、10:6〜10:14であり、上記充填材の含有量は、前記バインダー樹脂および前記バインダー樹脂用硬化剤の不揮発成分の質量との合計質量を基準に、75〜85質量%であることを特徴とする電気絶緑性成形体によって解決される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電気絶縁性成形体に関する。更に詳しくは、本発明は、耐アーク性を著しく改善した電気絶縁性成形体に関する。
ガラス繊維や炭素繊維を分散強化材としてバインダー樹脂に分散させた、繊維強化プラスチックは、安価であって耐熱性や耐燃性や耐トラッキング性などに優れているため、従来から各種の構造材料に採用されている。特に、ガラスマットなどの補強材を用いた成形体、特に積層体は、電気絶緑性や耐アーク性に優れているため、電動機回路オンオフ制御用の電気開閉器の遮蔽板として採用されている。このような電気絶縁性の成形体は、電気開閉器などの電極開閉時に発生するアークのエネルギーを吸収でき、これにより、アークから電気機器を保護する機能を奏する。
近年、電気機器の小型化や軽量化に伴って電気開閉器の小型化や高容量化への要求が高まり、かかる電気絶縁性成形体も、耐アーク性に関し、高性能化が要望され、この要望に対し、種々の解決法が提案されているが、未だ、満足すべき方法は、存在しない(以下の特許文献1、参照)。
特開平08−36938号公報
電気絶縁性成形体は、一般に、ガラスマット補強材やバインダー樹脂やバインダー樹脂用硬化剤などの他に、耐アーク性などの特性向上のために、粒状の充填材を含んでいる。電気絶縁性成形体を製造するには、まず、ガラスマット補強材に対し、樹脂および充填材を含浸し、乾燥させて複数のプリプレグを形成し、その後、これらプリプレグを成形、特に加熱圧縮成形して、電気絶縁性成形体を形成することができる。
前記した耐アーク性向上の観点から言えば、電気絶縁性成形体において、充填材を多量に存在させれば足りるが、かかる充填材を、あまりにも多量に存在させると、通常は樹脂で全体が均一に覆われる最終ガラスマット表面において、その平滑性が劣化して、樹脂欠という、成形上、問題が起こる。このため、本発明の出願前、前記バインダー樹脂および前記バインダー樹脂用硬化剤の不揮発成分の質量と前記補強材の質量との合計質量を基準に、約67質量%を越える含有量で充填材を含む電気絶縁性成形体は、存在していなかった。
そこで、本発明の課題は、成形性を良好に保持しつつ耐アーク性を著しく改善した電気絶縁性成形体を提供することである。
本発明者は、前記課題を達成するため、鋭意検討した結果、従来技術で主として採用されていた粒径またはそれ以上の粒径の充填材(大粒径充填材)に加えて、大粒径充填材よりも小さい粒径の充填材(小粒径充填材)を特定の割合で使用すると、上記課題を達成できることを見出し、この知見に基づき、本発明が完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、耐アーク性を向上させる粒状の充填材と、バインダー樹脂と、バインダー樹脂用の硬化剤との混合物を補強材に含浸してプリプレグを形成し、形成したプリプレグを成形してなる電気絶縁性成形体を提供する。本発明の電気絶縁性成形体は、前記充填材が、当該充填材の総質量を基準に、粒径15〜100 μmの大粒径粒子と、粒径4 μm未満の小粒径粒子とを、合計して、少なくとも70質量%の分布割合で含み、(前記大粒径粒子の含有量)対(前記小粒径粒子の含有量)の質量比が、10:6〜10:14であり、上記充填材の総含有量が、前記バインダー樹脂および前記バインダー樹脂用硬化剤の不揮発成分の質量との合計質量を基準に、75〜85質量%であることを特徴とする。
本発明によれば、前記要件、特に、大粒径充填材に加えて、小粒径充填材を所定の分布割合で添加することなどによって、従来技術が被っていた成形過程における表面平滑性の劣化を引き起こすことなく成形性を良好に保持しつつ、充填材の総充填量を、従来技術に比し、著しく増加させることができ、これにより、耐アーク性が著しく向上するという、技術的効果を奏することができる。このように、従来技術よりも著しく多量の充填材を使用しても従来技術に匹敵する成形性を良好に保持できるという事実は、当該分野の技術常識から見て、驚くべきことである。
好ましくは、(前記大粒径粒子の含有量)対(前記小粒径粒子の含有量)の質量比は、10:8〜10:12である。また、好ましくは、本発明に使用される充填材は、耐アーク性を向上させる水分放出性化合物、特に水酸化アルミニウムを含んでなる。また、好ましくは、本発明に使用される補強材はガラスマットであり、本発明に使用されるバインダー樹脂は不飽和ポリエステルであり、本発明に使用されるバインダー樹脂用硬化剤はビニル系モノマーである。
前記したように、本発明の電気絶縁性成形体は、耐アーク性を向上させる粒状の充填材と、バインダー樹脂と、バインダー樹脂用硬化剤との混合物(以下、含浸用混合物)を補強材に含浸して好適には複数のプリプレグを形成し、形成したプリプレグを成形(好適には加熱圧縮成形)することによって形成される。
本発明の成形体は、積層板、積層棒、積層管などいずれの形態であってよいが、積層板が特に好適である。
充填材
耐アーク性を向上させる粒状の充填材は、耐アーク性、即ち絶縁物である電気絶縁性成形体の表面が電気アークに耐えうる特性を向上させる機能を有する材料であれば、いずれの材料も使用できるが、好適には、耐熱性の機能をも示す材料である。
本発明にとって好適な充填材は、本発明の成形体を電気絶縁性材料として使用した場合に電極の開閉時に発生するアーク熱などの熱によって水分を放出しうる水分放出性化合物を含んでなる。このような水分放出性化合物として、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどを例示することができる。
例えば、水酸化アルミニウムは、加熱によりアルミナと水とを形成し、この水の蒸発する際の蒸発潜熱によって本発明の成形体を冷却できると共に、遊離水分によってアークのエネルギーを吸収でき、その結果、耐熱性および耐アーク性を向上させることができる。
本発明にとって特に好適な充填材は、水酸化アルミニウムを含んでなる。
充填材の粒径、大粒径粒子/小粒径粒子の質量比および含有量
本発明に使用される充填材は、当該充填材の総質量を基準に、粒径15〜100 μmの大粒径粒子と、粒径4 μm未満の小粒径粒子とを、合計して、少なくとも70質量%の分布割合で含み、(前記大粒径粒子の含有量)対(前記小粒径粒子の含有量)の質量比は、10:6〜10:14であり、上記充填材の総含有量は、前記バインダー樹脂および前記バインダー樹脂用硬化剤の不揮発成分の合計質量を基準に、75〜85質量%であることを必要とする。
本発明によれば、大粒径粒子の充填材は、粒径15〜100 μmを有し、小粒径粒子の充填材は、粒径4 μm未満を有する。小粒径粒子の粒径上限値以上の粒径であって大粒径粒子の粒径下限値未満の粒径を有するような充填材は、小粒径粒子充填材による最密充填作用を奏しないため、本発明にとって、あまり好適ではないが、このような粒子を含んでいても、前記した大粒径粒子/小粒径粒子の質量比並びに大粒径粒子と小粒径粒子との合計分布割合を充足する限り、成形性を良好に保持しつつ高充填量を達成できることが判明した。一方、大粒径粒子の粒径上限値を越えれば、このような大粒径粒子よりも大きい粒子は、補強材中に適切に含浸、分散せず、また補強材表面上に適切に分布しないという欠陥を引き起こすものと、考えられる。なお、粒子の粒径および分布割合は、実施例に記載の方法によって測定することができる。
本発明によれば、大粒径粒子と小粒径粒子との合計分布割合は、当該充填材の総質量を基準に、70質量%以上であることが必要であって、この下限値を下回れば、小粒径粒子による最密充填効果による高充填量を達成できない。好適には、大粒径粒子と小粒径粒子との合計分布割合は、80質量%以上であり、100質量%がより好適である。
さらに、(前記大粒径粒子の含有量)対(前記小粒径粒子の含有量)の質量比は、10:6〜10:14であることが必要である。この場合、相対的に大粒径粒子の分布割合が過大であると、小粒径粒子による適切な最密充填作用がなされないため、成形性を良好に保持しつつ高充填量を達成することが不可能になる。一方、相対的に小粒径粒子の分布割合が過大である場合には、樹脂との配合時に大幅な粘度上昇があり、多量の溶剤が必要になるという不都合が起こると共に、小粒径粒子による適切な最密充填作用が達成されない。好適には、(前記大粒径粒子の含有量)対(前記小粒径粒子の含有量)の質量比は、10:8〜10:12であり、より好適には10:8.0〜10:8.4である。また一実施形態によれば、上記質量比は、10:6.3〜10:8.0であり、10:6.3〜10:8.4であり、10:6.3〜10:12であり、10:8.4〜10:12である。なお、大粒径粒子および小粒径粒子の分布割合は、実施例に記載の方法によって測定される。
また、本発明に使用される充填材の総含有量は、バインダー樹脂および前記バインダー樹脂用硬化剤の不揮発成分の質量との合計質量(以下、単に、「バインダー樹脂等合計質量」という。」を基準に、75〜85質量%であることが必要であるが、かかる総含有量が上限値を越えれば、本発明の成形体の成形性に悪影響を与える一方、含有量が下限値を下回れば、耐アーク性の充分な改善に悪影響を与える。好適には、本発明に使用される充填材の総含有量は、75〜80質量%である。
なお、本明細書に用いられる「バインダー樹脂およびバインダー樹脂用硬化剤の不揮発成分」なる用語は、溶剤を除いた、バインダー樹脂およびバインダー樹脂用硬化剤の固体成分(固形分)を意味する。
本発明の一実施形態によれば、大粒径粒子は約45〜35質量%であり、小粒径粒子は35〜45質量%であり、小粒径粒子の上限値以上であって大粒径粒子の下限値未満の粒径を有する粒子は、約20質量%である。
バインダー樹脂
本発明の成形体に使用されるバインダー樹脂は、補強材と充填材とを結合したり、補強材を相互に結合したりする機能を有する材料であれば、いずれの材料であってもよいが、絶縁性などの電気的特性の観点から、不飽和ポリエステル、エポキシ、フェノールなどが好適であり、より好適なバインダー樹脂は、イソフタル酸系、オルソフタル酸系またはテレフタル酸系不飽和ポリエステルであり、特に好適なバインダー樹脂は、電気的特性の観点から、イソフタル酸系またはテレフタル酸系ポリエステルである。
バインダー樹脂用硬化剤
バインダー樹脂用硬化剤として、不飽和ポリエステルにはビニル系モノマーが使用され、エポキシには、アミン系硬化剤または有機酸無水物系硬化剤が使用され、フェノールには有機アミン系硬化剤が使用される。
さらに詳しくは、本発明にとって特に好適な不飽和ポリエステルの硬化には、ビニル系モノマーおよび要すれば重合開始剤(触媒)を用いる。このようなビニル系モノマーとして、芳香族系ラジカル重合性モノマーが好適であり、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレートなどを例示でき、これらは単独または2種類以上での併用にて用いることができる。また、かかる重合開始剤(触媒)として、例えば、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシアセテ−ト、t-ブチルパーオキシベンゾエートなどのアルキルパーエステル、2,2-(t-ブチル-パーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタ−ル、t-ブチルクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド化合物を例示でき、これらは単独または2種以上での併用にて用いることができる。
前記したように、本発明に使用される好適なバインダー樹脂は、不飽和ポリエステルであり、好適なバインダー樹脂用硬化剤は、ビニル系モノマー硬化剤である。
他の成分
前記した充填材、バインダー樹脂およびバインダー樹脂用硬化剤の他に、前記含浸用混合物は、成形性および耐アーク性に悪影響を与えない限り、他の成分を含むことができる。
例えば、本発明に使用される充填材とバインダー樹脂との結合を促進させるような有機シラン系カップリング剤、有機クロム酸系カップリング剤を使用することができる。カップリング剤の使用量は、好ましくは、溶剤を除いたバインダー樹脂不揮発性成分の質量を基準に、0.05〜5質量部、特に0.1〜3質量部である。さらに、本発明の成形体は、種々の添加剤、例えば、着色剤(顔料、染料)、難燃剤などを含むことができる。
補強材
本発明の成形体に使用される補強材は、成形体の構造を補強する作用を示す材料であれば、いずれの材料であってもよいが、好ましくは電気絶縁性をも示す材料である。特に、ガラス質の材料は、良好な電気絶縁性を示すため、本発明にとって好適な補強材である。ガラス質の材料として、ガラスマットまたはガラスクロスを例示することができる。また、セラミック材料も、電気絶縁性を示すため、本発明にとって好適な補強材である。
本発明に特に好適な補強材は、取扱い性、補強信頼性、寸法安定性、強度、電気絶縁性などの理由から、電気用Eガラス繊維を原料として用いたチョップドストランドガラスマットである。好適なチョップドストランドガラスマットは、坪量100〜600 g/m2、より好適には秤量200〜500 g/m2のガラスマットである。チョップドストランドガラスマットの市販品の例として、日本板硝子社製のREM 300-G5(坪量300 g/m2)およびREM 450-E1(坪量450 g/m2)、日東紡績社製のMC 300A-104SS(坪量300 g/m2)およびMC 380A−104SS(坪量380 g/m2)などを例示することができる。
成形体の製造方法
本発明の成形体は、まず、プリプレグを、好適には複数形成し、次いでこれらプリプレグを成形、好適には圧縮成形、特に加熱圧縮成形して、成形体、例えば積層体、特に積層板を製造することができる。
プリプレグの調製
まず、バインダー樹脂と、バインダー用硬化剤と、要すれば粘度調整用の溶媒(例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ベンゼン、トルエンなど)とを混合して混合液を調製し、この混合液に、大粒径粒子および小粒径粒子を所定の割合で含む充填材を添加し、さらに要すれば重合開始剤(触媒)を添加、混合して、含浸用混合物を得る。得られた含浸用混合物を、補強材(例えば、ガラスマット)に含浸、特に塗布含浸し、例えば、温度100〜150℃で2〜20分間(好適には温度110〜130℃で3〜10分間)加熱して、ベトツキのないBステージ状態のプリプレグを調製する。
なお、含浸処理が悪影響を受けず、かつ含浸用混合物中の各成分が補強材の内部および表面において均一に分布しうる限り、各成分を任意に組合せて混合物を形成し、各混合物を別々に補強材に含浸させることもできる。
また、前記重合開始剤(触媒)の使用量は、好適には、前記バインダー樹脂不揮発性成分100質量部に対し、0.4〜5.0質量部とするのが好ましく、前記バインダー樹脂不揮発性成分100質量部に対し、0.5〜3.0質量部とするのが一層好ましい。また、前記有機溶媒の使用量は、前記バインダー樹脂不揮発性成分100質量部に対し、0〜100質量部の範囲、特に10〜50質量部の範囲が好ましい。また、〔補強材の質量〕対〔バインダー樹脂等合計質量〕の比率は、例えば、(100):(100〜400)、好適には(100):(150〜350)、より好適には(100):(180〜300)である。後者の使用量が、上記範囲よりも少なければ、成形に際し、補強材表面において樹脂欠け、ピンホールなどの欠陥が発生しやすく、他方、上記使用量が上記範囲よりも多ければ、成形過程においてしばしば樹脂の流れが起こり、その結果、成形体の強度不足が起こりえる。
また、前記含浸方法として、例えば、フローコート法、ロールコート法、パイプドクターノズル方式(PDN)による塗装法、吹付け法、アプリケート法などを例示することができる。
成形
前記で調製したプリプレグを、所望の厚みに相当する枚数にて、通常のセパレーターを介し積み重ね、積み重ねたプリプレグを、ステンレス板の間にセットして、好適には加熱下に、加圧し、これによりCステージの成形体を形成することができる。なお、セパレーターに代えて、ステンレス板を離型剤で処理するセパレーターレス方式を採用することもできる。
成形条件は、含浸用混合物の組成に応じて変化するが、好適には温度100〜200℃で圧力60〜300 kg/cm2、より好適には温度130〜160℃で圧力100〜200 kg/cm2である。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
粒径および分布割合の測定方法
ベックマン・コールター社製のレーザー回折粒度分布測定装置(LS 13 320)を用い、レーザ回折散乱法に従い、粒子の粒径および分布割合を測定した。
粒子にレーザ照射して得られた散乱パターンの光強度を用い、体積球相当径および粒径分布を得た。
耐アーク性の測定方法(JIS K 6911 5.15)
JIS K 6911 5.15の規定に従い、電極間に商用周波数で12.5 kVの開放電圧を加えることができる電気回路と、同様に当該規定に規定された電極(直径2.4 cm、長さ20 mmのタングステン棒)を備えた電極装置とを用いて測定した。試験片は、直径100 mm、厚さ3.0 mmの円盤状成形体である。
当該規定に従い、試験片に通電して試験片が導通するまでの時間(秒)を測定した。
実施例1
(1)プリプレグの調製
イソフタル酸系不飽和ポリエステル(100質量%固形分)100質量部に、液状100%の硬化剤スチレンモノマー26質量部を添加し、さらに、所定の溶液粘度にするため、適当量のメチルエチルケトンを追加して溶液を形成した。その後、溶液中に、平均粒径20 μmの水酸化アルミニウム300質量部、平均粒径1 μmの水酸化アルミニウム80質量部および触媒t-ブチルパーオキシベンゾエート1.0質量部を添加して、攪拌混合した。
得られた混合物を、秤量360 g/m2のEガラスチョップドストランドガラスマットに塗布含浸させたのち、セパレーターを介し1 mm厚の板上にのせて、乾燥機にて温度120℃で10分間乾燥させ、秤量1,060 g/m2のベトツキのないBステージのプレプレグを得た。
(2)成形
得られたプリプレグを、セパレーターの除去後に、6枚積み重ね、別のセパレーターを介してステンレス板の間にセットし、プレス機によって、プレス圧力100 kg/cm2の実圧にて温度150℃で60分間成形して、厚み約3 mmのガラスマット積層板(Cステージ)を得た。
なお、水酸化アルミニウムに関し、大粒径粒子と小粒径粒子の合計分布割合、大粒径粒子/小粒径粒子の質量比、総含有量等は、以下の表2に示した。
実施例2
(1)プリプレグの調製
実施例1のプリプレグの調製法と同様な方法によって、秤量1,080 g/m2のプリプレグを調製した。
ただし、硬化剤スチレンモノマー26質量部に代えて、硬化剤スチレンモノマー20質量部および硬化剤ジアリルフタレートモノマー10質量部を用いた。また、平均粒径20 μmの粒子の使用量として355質量部を用い、平均粒径1 μmの粒子の使用量として130質量部を用いた。
(2)成形
実施例1の成形法と同様な方法に従い、得られたプリプレグを用い、厚み約3 mmのガラスマット積層板(Cステージ)を得た。ただし、プレス圧力100kg/cm2に代えて、プレス圧力140kg/cm2を用いた。
なお、水酸化アルミニウムに関し、大粒径粒子と小粒径粒子の合計分布割合、大粒径粒子/小粒径粒子の質量比、総含有量等は、以下の表2に示した。
実施例3
(1)プリプレグの調製
実施例2のプリプレグの調製法と同様な方法によって、秤量1,095 g/m2のプリプレグを調製した。ただし、平均粒径20 μmの粒子の使用量として450質量部を用い、平均粒径1 μmの粒子の使用量として160質量部を用いた。
(2)成形
実施例1の成形法と同様な方法に従い、得られたプリプレグを用い、厚み約3 mmのガラスマット積層板(Cステージ)を得た。ただし、プレス圧力100 kg/cm2に代えて、プレス圧力200 kg/cm2を用いた。
なお、水酸化アルミニウムに関し、大粒径粒子と小粒径粒子の合計分布割合、大粒径粒子/小粒径粒子の質量比、総含有量等は、以下の表2に示した。
実施例4
(1)プリプレグの調製
実施例1のプリプレグの調製法と同様な方法によって、秤量1,080 g/m2のプリプレグを調製した。
ただし、硬化剤スチレンモノマー26質量部に代えて、硬化剤スチレンモノマー20質量部および硬化剤ジアリルフタレートモノマー10質量部を用いた。また、平均粒径26 μmの粒子の使用量として160質量部を用い、平均粒径20 μmの粒子の使用量として160質量部を用い、平均粒径1 μmの粒子の使用量として160質量部を用いた。
(2)成形
実施例1の成形法と同様な方法に従い、得られたプリプレグを用い、厚み約3 mmのガラスマット積層板(Cステージ)を得た。ただし、プレス圧力100kg/cm2に代えて、プレス圧力140kg/cm2を用いた。
なお、水酸化アルミニウムに関し、大粒径粒子と小粒径粒子の合計分布割合、大粒径粒子/小粒径粒子の質量比、総含有量等は、以下の表2に示した。
比較例1
実施例2のプリプレグ調製法と同様な方法により、秤量1,010 g/m2のプリプレグを調製した。ただし、平均粒径20 μmの粒子および平均粒径1 μmの粒子の使用に代えて、平均粒径20 μmの粒子のみを、使用量260質量部で用いた。次いで、プリプレグを、実施例1の成形法と同様な方法によって成形して、厚み約3 mmのガラスマット積層板(Cステージ)を得た。
なお、水酸化アルミニウムの分布割合および含有量等を、以下の表2に示した。
比較例2
実施例2のプリプレグ調製法と同様な方法により、秤量1,080 g/m2のプリプレグを調製した。ただし、平均粒径20 μmの粒子および平均粒径1 μmの粒子の使用に代えて、平均粒径20 μmの粒子のみを、使用量485質量部で用いた。次いで、プリプレグを、実施例1の成形法と同様な方法によって成形して、厚み約3 mmのガラスマット積層板(Cステージ)を得た。得られたガラスマット積層板の表面は、平滑性がなく、凹部や巣状の樹脂欠け形成とういう、好ましくない現象が観察され、製品として許容されない。
なお、水酸化アルミニウムの分布割合および含有量等を、以下の表2に示した。
試験例1
実施例1〜3および比較例1で得られたガラスマット積層板を、前記した耐アーク性の測定方法(JIS K 6911 5.15)に従い、各積層板につき3回試験して、耐アーク性を測定した。なお、比較例2のガラスマット積層板は、前記したように、外観不良のため、耐アーク性について試験しなかった。また、実施例1〜3並びに比較例1および2の各積層板につき、成形性について評価した。成形性の評価基準は、次のとおりである。
〇:積層体の表面において樹脂欠け、ピンホールなどがなく、良好な成形性を示す。
×:積層体の表面において樹脂欠け、ピンホールなどが観察され、成形性は、不良である。
得られた結果を、水酸化アルミニウムの含有量と共に、以下の表1に示す。
評価
表1の結果から明らかなように、大粒径粒子と小粒径粒子とを組み合わせて水酸化アルミニウムを高充填させた実施例1〜4では、成形性を良好に保持しつつ、耐アーク特性について飛躍的な特性向上を示していることが認められる。すなわち、従来技術のポリエステルガラスマット積層板では180〜200秒である耐アーク性に対し、本発明の積層板は、連続放電開始の180秒後において更に60秒以上の耐アーク性を達成できた。
一方、充填材含有量が従来技術に属する比較例1では、成形性は、満足のゆくものであるが、耐アーク試験で連続放電がはじまる180秒後から5〜10秒で導通する特性を示し、不充分な耐アーク性しか示さなかった。また、充填材含有量は、本発明に匹敵するが、小粒径粒子に比し、大粒径粒子を多量に含有させた比較例2では、満足のゆかない成形性しか得られなかった。
このようにして製造された電気絶縁性成形体は、電気開閉器の遮断板のような耐アーク性を必要とする用途に使用することができる。

Claims (4)

  1. 耐アーク性を向上させる粒状の充填材と、バインダー樹脂と、バインダー樹脂用の硬化剤との混合物を補強材に含浸してプリプレグを形成し、形成したプリプレグを成形してなる電気絶縁性成形体であって、
    前記充填材は、当該充填材の総質量を基準に、粒径15〜100 μmの大粒径粒子と、粒径4 μm未満の小粒径粒子とを、合計して、少なくとも70質量%の分布割合で含み、
    (前記大粒径粒子の含有量)対(前記小粒径粒子の含有量)の質量比は、10:6〜10:14であり、
    上記充填材の含有量は、前記バインダー樹脂および前記バインダー樹脂用硬化剤の不揮発成分の質量との合計質量を基準に、75〜85質量%であることを特徴とする電気絶緑性成形体。
  2. (前記大粒径粒子の含有量)対(前記小粒径粒子の含有量)の質量比は、10:8〜10:12である請求項1記載の電気絶縁性成形体。
  3. 前記充填材は、耐アーク性を向上させる粒状の水分放出性化合物を含んでなる請求項1または2記載の電気絶縁性成形体。
  4. 前記水分放出性化合物は、水酸化アルミニウムであり、前記補強材はガラスマットであり、前記バインダー樹脂は不飽和ポリエステルであり、前記硬化剤はビニル系モノマーである請求項1〜3のいずれかに記載の電気絶縁性成形体。
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