JP2005089143A - 用紙の巻き取り仕上げ方法 - Google Patents

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【課題】長尺幅の供給用紙ロールから用紙を引き出し、所望の紙幅にスリットとして巻芯(紙管)に偏芯量を少なくして巻き取る、巻き取り仕上げ方法を提供する。
【解決手段】長尺幅の用紙が巻き取られた供給用紙ロールから用紙を引き出し、所定の紙幅にスリッターで裁断し、その裁断した用紙を巻芯に巻き取る方法において、該供給用紙ロールから引き出された用紙の巻始めからの所定の長さをスリッターで裁断することなく該巻芯に巻き取り、続いて、該スリッターで所定の紙幅に裁断して巻き取りを行なう。
【選択図】なし

Description

本発明は、巻芯に対して用紙を巻き付けるに当たり、巻き取りの偏芯を改善して巻き取り仕上げを行なうための方法に関する。
長網式抄紙機などで抄紙される紙は、生産性を向上させる等のために、通常3m以上の幅で抄かれ、抄紙機出口において当該幅でロール状に巻き取られる。
かかるロール状に巻き取られた紙ロールは、輸送上の問題や、印刷機や加工機などの幅、その他需要者による使用の態様上の問題などのため、そのままの形で印刷工場などに出荷できない。
そのため、製紙工場では、スリッターで適当な小さい幅に裁断し、必要に応じて巻き取り長さも短くして、需要者の印刷機等の加工機械に適合する大きさの小巻に巻き直して出荷する。そして、小巻に巻き直すときには、一般に巻芯に紙管を用いる。
小巻に巻き直した巻取用紙ロールは、印刷工場において、通常はそのままの形で巻き戻しながら印刷機に供給される。ところが、この巻取用紙ロールの断面形状が真円でなく、偏芯していると、印刷機の中でばたつき、断紙、印刷ズレ等の悪影響を及ぼす。
従って、製紙工場では、各巻き取り紙について、偏芯量を測定し、偏芯量が一定値以下のものだけを出荷するようにしている。
この偏芯量をできるだけ小さく抑えるために従来においては、紙管内部にエアーシャフト、金属の芯(カラー)、調芯性巻芯シャフトなどを挿入したりして紙管のズレをなくし、巻取用紙ロールの偏芯を防止している(例えば特許文献1参照)。しかし、これらによっては巻取り紙の偏芯を抑制するには不充分であり、また、紙管をセットする際及び巻取り仕上げ後に面倒なカラー、調芯性巻芯シャフトの出し入れの作業が不可欠である。
特開2002−3025号公報
本発明は上記のような巻芯シャフトなどの偏芯用治具を使用しなくても巻取用紙ロールの偏芯が0〜1mmの範囲に抑えられる用紙の巻き取り仕上げ方法を提供することをその課題とする。
本発明者らは、抄紙機で抄造されたロール状の紙(長尺幅の用紙が巻き取られた供給用紙)をスリットして小巻に巻直す際に、芯際の紙を巻き始めから所定長さをスリットせずに巻芯(紙管)に巻始め、その後スリッターを通して所定の紙幅で巻取りを仕上げることで、偏芯用治具を使用しなくても効果的に偏芯を抑制できることを見出し、本発明を至ったものである。
本発明によれば、上記課題は下記(1)〜(3)によって達成される。
(1)長尺幅の用紙が巻き取られた供給用紙ロールから用紙を引き出し、所定の紙幅にスリッターで裁断し、その裁断した用紙を巻芯に巻き取る方法において、該供給用紙ロールから引き出された用紙の巻始めからの所定の長さをスリッターで裁断することなく該巻芯に巻き取り、続いて、該スリッターで所定の紙幅に裁断して巻き取ることを特徴とする用紙の巻き取り仕上げ方法。
(2)用紙の巻き始めからの所定長さが0.5〜20mであることを特徴とする上記(1)に記載の用紙の巻き取り仕上げ方法。
(3)巻芯に巻き取られた用紙の偏芯量が0〜1mmの範囲内である上記(1)または(2)に記載の用紙の巻き取り仕上げ方法。
本発明の用紙の巻き取り仕上げ方法は、巻き付け当初において、巻芯(紙管)にはスリットされていない長尺幅の用紙を巻きつけることにより、巻芯を変形させることなく剛性を付与することができ、その結果、巻取用紙ロールの偏芯は著しく抑制されたものとなる。また、本発明の用紙の巻き取り仕上げ方法は、偏芯用治具を使用しないので、これの出し入れ等の面倒な作業を省くことができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
図1は長尺幅の供給用紙ロールから用紙を巻出し、巻取用紙ロールの偏芯を無くしながら、用途に応じた紙幅に裁断してロール状に巻き取るための、本発明の実施に有用なワインダー設備の一例である。
このワインダー設備においては、前述したように、長尺幅のロール状に巻き取られた供給用紙ロール1の巻芯1aは、図示されていない軸受けに回転自在に軸止されている。供給用紙ロール1の巻軸1aは制動用の発電機3に接続されている。
供給用紙ロール1から引き出された用紙2は、テンションローラ4、スプレッタバー5、スリッター(下刃)6b及びガイドローラ7の搬送経路を経て第1ドラム8と第2ドラム10によって回転駆動する巻き取り軸紙管13に巻き取られる。なお、この用紙巻き取り動作に入る前に、予め用紙2の端部を粘着テープ等により巻き取り軸紙管13に固定し巻き付けておく。
本ワインダー設備においては、後述のごとく、巻き始めの紙により紙管を保持させることが可能であるため、前記巻き取り軸紙管13は、図2に示されるように、偏芯用治具を使用することなく巻芯(紙管)のみとし、紙管13の保持は両端部のコアチャック16,17の圧力によって保持されるようになっている。同図に示されるように、紙管13の一方端側にコアチャック16を嵌め込むとともに、紙管13の他端側に着脱自在としたコアチャック17を嵌め込み、着脱自在側のコアチャック17からの圧力により縦列的に並べられた紙管13a、13bが保持されるようになっている。なお、ワインダーへのセットは、コアキーパー18と呼ばれる紙管保持具を用い、縦列的に並べられた紙管13a、13bが位置ずれしないようにセットされる。
第1ドラム8のドラム軸8aには、第1ドラムモータ9が接続固定され、第2ドラム10のドラム軸10aには、第2ドラムモータ11が接続固定されている。さらに、第1ドラム8と第2ドラム10の円周面上には、巻き取り軸紙管13が載置されている。また、上部側を押さえるための第3ドラム14のドラム軸14aには第3ドラムモータ15が接続固定されている。
第1ドラムモータ9、第2ドラムモータ11及び第3ドラムモータ15を駆動させて、第1ドラム8と第2ドラム10を図中時計方向に回転駆動させると、これら第1ドラム8と第2ドラム10の円周面上に載置されている巻き取り軸紙管13は、図中反時計方向に回転する。この巻き取り軸紙管13の反時計方向の回転により、用紙2は、供給用紙ロール1を反時計方向に回転させながら引き出し、図中矢印Xで示す方向に、テンションローラ4、スプレッタバー5、スリッター(下刃)6b及びガイドローラ7に案内されて、巻き取り軸紙管13に巻き取られて巻取用紙ロール12を形成する。
テンションローラ4は、供給用紙ロール1から引き出され、巻取用紙ロール12に巻き取る際の張力を計測するものである。スプレッタバー5は、用紙2の紙幅方向に生じる張力の不整合を調整するものである。スリッター(下刃)6bは、長尺幅の用紙2を所定の紙幅に裁断するスリッター(上刃)6aが当接するものである。ガイドローラ7は、スリッター(上刃)6aで裁断された所定紙幅の用紙2を巻き取り軸紙管13に案内するものである。
用紙2をスリッター(上刃)6aで裁断する際に、搬送される用紙2に弛みや歪み或いは紙幅方向の張力差が生じると、スリッター(上刃)6aで切断される紙幅に誤差が生じる。このため、用紙2には、紙幅全体に対してほぼ均一の張力を随時与える必要がある。
このために、スプレッタバー5で図中矢印Yで示すように、用紙2の平面と直交する方向に張力調整され、その張力調整された用紙2に生じる張力は、テンションローラ4に設けた図示していないロードセルによって計測される。
このテンションローラ4のロードセルで計測された張力値のもとで、供給用紙ロール1の巻軸1aに接続された発電機3を駆動制御して、供給用紙ロール1の回動に制動を与えて用紙2の張力を随時一定になるように制御されている。
本発明は、長尺幅の用紙2が巻き取り軸紙管13に巻始めから所定の長さまでは、所定の紙幅に裁断することなく巻き取りを行い、その後は、スリッター(上刃)6aで所定の紙幅に裁断するという方法が採用される。
前記の巻始めから所定の長さは、用紙2の紙質や坪量などによって左右されるが、好ましくは0.5〜20m、より好ましくは2〜3mである。0.5m未満では所望の偏芯量が得られにくい。また20mを超えるようであると所望の偏芯量は得られるものの、所定の紙幅に裁断された用紙が少なくなって経済的に不利であり、巻き始めの裁断されていない部分が長すぎると巻き取りが分かれなくなる。
長尺幅の用紙2が、所定の紙幅に裁断されるのに先立って紙管に巻装されるため、紙管は変形されることなく剛性が付与され、以後のスリットされた用紙を偏芯させることなく巻き取ることが可能となる。
また、スリットされる以前の長尺幅の用紙2が巻き取り軸紙管13に巻き付け始めの状態においては、用紙2にかかる巻き取りテンションは、スリット後の用紙の巻き取りテンションよりも高くしておくことが好ましい。これにより、巻き取り軸紙管13を強く保持することが可能になり、巻き取り軸紙管13により良好な状態で用紙2が巻き付けられるようになる。
巻取用紙ロール12の偏芯量は0〜1mmの範囲内が適当である。
なお、本発明でいう偏芯量とは、巻取用紙ロール外周全長にわたって中心からの半径を測定し、その最大値と最小値との差である。また、この偏芯量の測定は従来からの人手による方法、すなわち、ノーズと呼ばれる円筒状又は円錐状のチャッキング金物を巻き取り用紙ロールの紙管の中心に差し込み、それを中心として、目盛りを付されたスケールを回転させて行なってもよいし、その他例えば特開2001−21319号公報に記載されるような光学的撮影手段によって行なってもよい。
また、これまでの説明では、巻芯として紙管を用いるとしてきたが、樹脂製の筒状体も巻芯として使用することもできる。
次に、実施例をあげて本発明を具体的に説明する。
(比較例1)
図1に示した装置を用い、供給用紙ロール1から紙幅341cmの用紙2(DIP100%を主成分として抄造された坪量44.5g/mの新聞用紙)を引き出し、所定の幅162.6cmにスリッター6a、6bで裁断しながら、13,700mを外周の直径11cmの新聞用紙巻取り用紙管13に巻きとった。この巻き取り時の条件はペーパー2の搬送速度が2,000m/分、テンション(T)がT=31N/100mmである。
(実施例1)
比較例1において、紙管13へ巻き始めから40mまではスリッターでの裁断を行なわなかった他は同じにして、巻き取り仕上げを行なった。
(実施例2)
比較例1において、紙管13へ巻き始めから3mまではスリッターでの裁断を行なわなかった他は同じにして、巻き取り仕上げを行なった。
(実施例3)
比較例1において、紙管13へ巻き始めから3m、まではスリッターでの裁断を行なわず、かつ、この間はテンション(T)を28N/100mmに低下させた他は同じにして、巻き取り仕上げを行なった。
(実施例4)
比較例1において、紙管13へ巻き始めから3m、まではスリッターでの裁断を行なわず、かつ、この間はテンション(T)を38N/100mmに上昇させた他は同じにして、巻き取り仕上げを行なった。
(評価)
これら比較例1、実施例1〜4の偏芯量を前記の方法で測定したところ、下表1のような結果が得られた。
実施例1においてはスリッターでの断裁を行わない部分が巻き始めから40mと長いため、巻き取りが分かれず、偏芯量を測定できなかった。
Figure 2005089143
上記のように、本発明によれば、偏芯の発生を抑制することができる。
本発明の方法の実施に有用なワインダー設備を説明するための説明図である。 巻取り軸紙管13の保持構造を示す図である。 巻取り軸紙管13のセット要領を示す図である。
符号の説明
1…供給用紙ロール、1a…巻軸、2…用紙、3…発電機、4…テンションローラー、5…スプレッタバー、6a…スリッター(上刃)、6b…スリッター(下刃)、7…ガイドローラー、8…第1ドラム、8a…ドラム軸、9…第1ドラムモータ、10…第2ドラム、10a…ドラム軸、11…第2ドラムモータ、12…巻取用紙ロール、13…巻き取り軸紙管、14…第3ドラム、15…第3ドラムモータ、16、17…コアチャック、18…コアキーパー

Claims (3)

  1. 長尺幅の用紙が巻き取られた供給用紙ロールから用紙を引き出し、所定の紙幅にスリッターで裁断し、その裁断した用紙を巻芯に巻き取る方法において、該供給用紙ロールから引き出された用紙の巻始めからの所定の長さをスリッターで裁断することなく該巻芯に巻き取り、続いて、該スリッターで所定の紙幅に裁断して巻き取ることを特徴とする用紙の巻き取り仕上げ方法。
  2. 用紙の巻き始めからの所定長さが0.5〜20mであることを特徴とする請求項1記載の用紙の巻き取り仕上げ方法。
  3. 巻芯に巻き取られた用紙の偏芯量が0〜1mmの範囲内である請求項1〜2いずれかに記載の用紙の巻き取り仕上げ方法。
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