JP2005087636A - 超音波診断装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 ２次元走査において被検体の動きに合わせて機械走査方向の走査密度を変更して最適なボリュームレートが得られる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】 制御器が、振動子走査位置の移動速度に対して機械走査位置の移動速度を一定にしたまま、機械走査の往路と復路とで機械走査位置と振動子走査位置の関係をずらすことで、機械走査方向の走査密度を変更する。
【選択図】 図２Ｂ

Description

本発明は、配列振動子を用いた超音波の送受信による電子走査を行ない、かつ機械的に配列振動子を移動させて、体内の３次元情報を得るための超音波診断装置に関する。

配列振動子を用いて体内に超音波の送受信を繰り返し行うことで、体内の２次元情報を得、さらにこの配列振動子を機械的に走査して体内の３次元情報を得る超音波診断装置の探触子の原理はすでに公知のものとなっており、たとえば特許文献１に記載された構成が知られている。

以下、この従来の超音波診断装置について、図６、図７、図８Ａおよび図８Ｂを参照して説明する。

図６は、従来の超音波診断装置の一構成例を示すブロック図である。図６において、制御器６１０により制御されたタイミングで送受信器４から発生した送信パルスが、配列振動子１のうち、制御器６１０により指定された振動子を駆動し、図示されない被検体に超音波を送信する。被検体内で反射した超音波信号は配列振動子１で電気信号に変換され、送受信器４を経て検波器５で検波された後、走査変換器６０６を経て、表示器７に画像として表示される。

このとき、配列振動子１のうち送受信で用いる開口の位置もしくは送受信ビームの方向を順次変更することで、２次元走査を行なうことができる。さらに、制御器６１０の制御により配列振動子１が固定されているモータ（Ｍ）８を回転させることで、３次元の走査が可能となる。エンコーダ（Ｅ）９は、モータの回転位置情報を制御器１０に返し、正確な制御を行なうのに役立つ。

ところで、モータ８による機械走査の走査方向は配列振動子１の配列方向と直交している。図７に示すように、配列振動子１をロータ２に固定し、回転軸３を中心に円弧を描くように配列振動子１を機械的に移動させる。

この従来例においては、図８Ａおよび図８Ｂに示すように、振動子走査方向と機械走査方向の位置関係を同一にして、往復運動を行なうものであった。この方法によれば、往復運動において同一位置を通過するようにすることで、歪みを低減でき、また、同じ位置のデータを往路と復路において取得することで、１往復で２ボリュームのデータを得ることができ、ボリュームレート（単位時間あたりの画像取り込み枚数）を向上させることができる。
特許第３３２９７７０号公報

従来の超音波診断装置において、被検体の動きが遅い場合、図８Ｂに示すように、図８Ａに比べて機械走査方向の移動速度を遅くすることにより、機械走査方向の走査密度を向上させることができる。原理的にはモータ８の回転を遅くすればよいが、実際問題としてモータ８の回転を遅くした場合、モータ８が起動しなかったり、正確な動作が望めなくなる、という問題がある。

また、被検体が胎児であるような場合、動きがゆっくりな状態から一転して活発な動きになることがある。このような場合に、機械走査方向の移動速度を変えるという方法では追従できない、という問題点がある。

本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、機械走査方向の移動速度を一定にしたまま、機械走査方向の走査密度を変更することができ、被検体の動きに合わせて最適なボリュームレートが得られる超音波診断装置を提供することにある。

前記の目的を達成するため、本発明に係る超音波診断装置は、検体に対して配列振動子を用いた超音波の送受信による電子走査を行ない、電子走査と直交した方向に配列振動子を機械的に移動あるいは回転もしくは偏向させる２次元走査において、配列振動子の走査位置の移動速度に対して機械走査位置の移動速度を一定にしたまま、機械走査位置と振動子走査位置の関係をずらすことで、機械走査方向の走査密度を変更する制御手段を含んで構成される。

この構成により、機械走査方向への配列振動子の移動速度を一定としたまま、機械走査方向の走査密度を変化させることができる。

また、本発明に係る超音波診断装置は、機械走査方向の走査密度を設定するための操作部を備え、制御手段は、操作部での設定に応じて、機械走査方向の走査密度を変更する構成をとる。

この構成により、操作者が走査密度とボリュームレートの最適化を図ることができる。

さらに、本発明に係る超音波診断装置は、被検体の動き速度を検出する動き検出手段を備え、制御手段は、動き検出手段により検出された動き速度に応じて、機械走査方向の走査密度を変更する構成をとる。

この構成により、被検体の移動速度に合わせて、走査密度を自動的に調整することができる。

この場合、本発明に係る超音波診断装置は、動き検出手段に対して前記被検体の動き速度を検出する被検部位の範囲を指定する動き検出範囲設定手段を含んで構成される。

この構成により、ボリュームレートを被検体の部分的な動きに合わせるのか、または全体的な動きに合わせるのかを容易に決定することができる。

本発明によれば、機械走査方向の移動速度を一定にしたまま、機械走査方向の走査密度を変更することができ、被検体の動きに合わせて最適なボリュームレートが得られる超音波診断装置を提供することが可能になる、という格別な効果を奏する。

以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

（第１の実施の形態）
図１は、本発明の第１の実施の形態に係る超音波診断装置の一構成例を示すブロック図である。

図１において、超音波診断装置は、従来例の説明で参照した図６と比較して概略構成は同じであるが、制御器１０（制御手段）による送受信器４の制御、および走査変換器６内部でのデータの扱いが異なっている。

以下、本実施の形態の超音波診断装置の動作について、図２Ａ、図２Ｂおよび図２Ｃを参照して説明する。図２Ａは、従来例と同じで、往復ともに同じ位置を走査するものである。これに対し、図２Ｂでは、機械走査の往路と復路が異なり、機械走査方向に見て、往路のピッチの１／２の位置に復路が入るようになっている。図１の走査変換器６は、このように往路と復路が異なる位置にあることを認識し、機械走査方向に対し２倍の走査密度の画像を生成する。

図２Ｃでは、さらに１度目の往路のピッチを４等分するように、１度目の往路、２度目の往路、１度目の復路、２度目の復路で１つのボリュームが生成される。

以上のように、本実施の形態によれば、機械走査方向への配列振動子の移動速度を一定としたまま、機械走査方向の走査密度を変化させることができる。

（第２の実施の形態）
図３は、本発明の第２の実施の形態に係る超音波診断装置の一構成例を示すブロック図である。なお、図３において、第１の実施の形態の説明で参照した図１と同じ構成および機能を有する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。

本実施の形態が第１の実施の形態と異なるのは、操作部１１−１の構成、すなわち操作部１１−１内に走査密度調整スイッチ１２が設けられている点にある。

本実施の形態では、操作者が操作部１１の走査密度調整スイッチ１１により、機械走査方向における走査密度を設定し、制御器１０が走査密度調整スイッチ１１による設定に応じて、機械走査方向における走査密度を変更する。

以上のように、本実施の形態によれば、操作者が走査密度とボリュームレートの最適化を図ることができる。

（第３の実施の形態）
図４は、本発明の第３の実施の形態に係る超音波診断装置の一構成例を示すブロック図である。なお、図４において、第１の実施の形態の説明で参照した図１と同じ構成および機能を有する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。

本実施の形態が第１の実施の形態と異なるのは、動き検出部１３（動き検出手段）を設け、動き検出部１３が、送受信器４から出力される受信信号に基づいて被検体の動き速度を検出し、制御部１０が、検出された動き速度に応じて、機械走査方向における走査密度を変更する点にある。

この動き検出の方法としては、近年行なわれている組織ドプラ法などを用いたり、また、走査変換部６において時間を経た同じ断面の断層像を比較する方法を用いることも可能である。動き検出部１３において算出された移動速度は、制御器１０に入力され、制御器１０は、移動速度が大きい場合は走査密度を上げるように、移動速度が小さい場合は走査密度を下げるように、走査線密度の制御を行う。

以上のように、本実施の形態によれば、被検体の移動速度に合わせて、走査密度を自動的に調整することができる。

（第４の実施の形態）
図５は、本発明の第４の実施の形態に係る超音波診断装置の一構成例を示すブロック図である。なお、図５において、第１の実施の形態の説明で参照した図１と同じ構成および機能を有する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。

本実施の形態が第３の実施の形態と異なるのは、操作部１１−２の構成、すなわち操作部１１−２内に動き検出範囲設定スイッチ１４（動き検出範囲設定手段）が設けられている点にある。

被検体の動きと言っても、例えば胎児の場合においても、心臓のみが拍動しているような部分的な動きもあり、また、胎児が四肢を動かしているような全体的な動きもある。本実施の形態では、操作部１１−２の動き検出範囲設定スイッチ１４により、動きが部分的でも機械方向の走査密度を変えるのかを操作者が決定する。動き検出範囲設定スイッチ１４により設定された動き検出範囲は、制御器１０を介して、動き検出範囲設定データとして動き検出部１３に入力される。

操作者が動き検出範囲を設定することで、より最適な走査密度を設定することが可能である。

以上のように、本実施の形態によれば、ボリュームレートを被検体の部分的な動きに合わせるのか、または全体的な動きに合わせるのかを容易に決定することができる。

本発明に係る超音波診断装置は、機械走査方向の移動速度を一定にしたまま、機械走査方向の走査密度を変更することができ、被検体の動きに合わせて最適なボリュームレートが得られるという利点を有し、動きが間欠的な胎児の描写などに関して有用であり、産科での超音波診断等の用途に適用できる。

本発明の第１の実施の形態に係る超音波診断装置の一構成例を示すブロック図 本発明の第１の実施の形態に係る超音波診断装置において、従来と同様の、探触子の機械走査方向位置に対する振動子走査方向位置の関係を示す図 本発明の第１の実施の形態に係る超音波診断装置において、図２Ａに対して機械走査方向の走査密度を２倍にした場合の、探触子の機械走査方向位置に対する振動子走査方向位置の関係を示す図 本発明の第１の実施の形態に係る超音波診断装置において、図２Ａに対して機械走査方向の走査密度を４倍にした場合の、探触子の機械走査方向位置に対する振動子走査方向位置の関係を示す図 本発明の第２の実施の形態に係る超音波診断装置の一構成例を示すブロック図 本発明の第３の実施の形態に係る超音波診断装置の一構成例を示すブロック図 本発明の第４の実施の形態に係る超音波診断装置の一構成例を示すブロック図 従来の超音波診断装置の一構成例を示すブロック図 従来の超音波診断装置における探触子の一構成例を示す図 従来の超音波診断装置における探触子の機械走査方向位置に対する振動子走査方向位置の関係を示す図 図８Ａに比べて機械走査の速度を遅くした場合の、従来の超音波診断装置における探触子の機械走査方向位置に対する振動子走査方向位置の関係を示す図

符号の説明

１ 配列振動子
２ ロータ
３ 回転軸
４ 送受信器
５ 検波器
６、６０６ 走査変換器
７ 表示器
８ モータ
９ エンコーダ
１０、６１０ 制御器（制御手段）
１１ 操作部
１２ 走査密度調整スイッチ
１３ 動き検出部（動き検出手段）
１４ 動き検出範囲設定スイッチ（動き検出範囲設定手段）

Claims (4)

1. 被検体に対して配列振動子を用いた超音波の送受信による電子走査を行ない、前記電子走査と直交した方向に前記配列振動子を機械的に移動あるいは回転もしくは偏向させる２次元走査において、前記配列振動子の走査位置の移動速度に対して機械走査位置の移動速度を一定にしたまま、機械走査位置と振動子走査位置の関係をずらすことで、機械走査方向の走査密度を変更する制御手段を備えた超音波診断装置。
2. 前記超音波診断装置は、前記機械走査方向の走査密度を設定するための操作部を備え、
   前記制御手段は、前記操作部での設定に応じて、前記機械走査方向の走査密度を変更する請求項１記載の超音波診断装置。
3. 前記超音波診断装置は、前記被検体の動き速度を検出する動き検出手段を備え、
   前記制御手段は、前記動き検出手段により検出された動き速度に応じて、前記機械走査方向の走査密度を変更する請求項１記載の超音波診断装置。
4. 前記超音波診断装置は、前記動き検出手段に対して前記被検体の動き速度を検出する被検部位の範囲を指定する動き検出範囲設定手段を備えた請求項３記載の超音波診断装置。
   
   

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