従来から、TV用ズームレンズ装置におけるズーミングやフォーカシングの操作形態として、所謂1軸2操作方式とサーボ操作方式の2つが多く用いられている、このうち1軸2操作方式では、レンズ系より延設された操作棒をレンズ光軸方向に対して、前後に操作を行うことでズーミングを行い、操作棒を回転させることでフォーカス操作を行う。又サーボ操作方式では、ズーミング、フォーカシングを行うために、別々の専用の操作部材を設け、ズーミングの場合は操作部材のサムリングと呼ばれている部分を操作部材の円周方向に倒し、倒した角度によりズーム機能を司るレンズ群の速度操作を行い、また、フォーカシングの場合は、操作部材を円周方向に回転させることで、フォーカス機能を司るレンズ群の位置操作を行う。
この2つの操作方式のうち、1軸2操作方式は、操作棒の光軸方式の位置によりズームの位置が決定されるため、迅速な撮影画角の位置決めが必要なスポーツ中継などの撮影において多く使用されている。
一方、サーボ操作方式においては、一般的にサムリングの倒れ角をポテンショメータ等のセンサーにより検出し、検出された出力に応じてモータの回転速度を変化させ、このモータの駆動力によりズーミングを司るレンズ群の駆動を行っている。このため、サムリングを倒す角度を一定にしていれば、一定の速度でズーミングが可能となる。このため特に、ドラマの撮影等においてスローなズーム操作が要求される撮影において広く使用されている。
近年は、1軸2操作方式とサーボ操作方式の双方の長所を取り入れ、レンズの駆動としてモータを利用した1軸2操作方式を行うズームレンズが知られている(例えば特許文献1)。
一般に、サーボ操作方式のズームレンズでは、前述のようにモータの回転速度を制御することでレンズ群の駆動を行っているため、電気的な処理により新しい機能を付加することが容易に可能であり、撮影を行う上での様々な補助的な機能が付加されている。この付加機能の1つにズーミングを司るレンズ群の光軸方向の駆動範囲を制限する、所謂、ズームトラックと呼ばれている機能がある。このズームトラック機能を使用する目的の1つに撮影上不要な被写体が、撮影画面に入るのを防ぐことがある、一方TV用のズームレンズにおける特徴の1つに望遠端近傍にてズームレンズ全系のFno(Fナンバー)が低下することがある。このためズーミングを行い望遠端近傍を撮影するようになると撮影した画面が暗くなり映像の品位が低下する場合がある。ズームトラック機能を使用する目的の他の1つとして、操作者の操作によりこのFナンバーの低下による画質の低下を防ぐことがある。具体的な例で示せば、前者の場合はスタジオでドラマ等の撮影を行う場合、スタジオとドラマのセットの大きさによってはズームレンズを広角側に操作にすると、セット以外の映像、例えば、スタッフや照明設備が映像に映り込んでしまう場合がある。この場合はズームトラック機能でズームレンズの広角側への駆動範囲を制限することで、不要な被写体が映像に映ることを防ぐことが可能になる。また、後者の場合は、前述したように、より効果的な映像をとるために、望遠端近くまでズーミング操作をすると、Fnoが低下するため、撮影されている映像が暗くなってしまい、撮影の条件によっては映像品位が落ちてしまうことがある。このFnoの低下は、特にスポーツ中継等でよく使用されている超焦点レンズにおいて著しい。しかしながら、スポーツ中継などではより効果的な映像を撮影するためにより望遠側での映像が必要となってくる場合がある。このような場合には、ズームトラック機能を使用し、望遠側のズーム領域の駆動範囲を制限すれば、撮影者の操作によりFnoが低下したズーム位置へレンズ群を駆動させることが防げ、品位の落ちた映像の撮影防止が可能になる。いずれの場合においても、ズーミング用のレンズ群の光軸方向の駆動範囲を制限すれば、操作者であるカメラマンのズーム操作に伴う負担を軽減することが可能である、このため、ズームトラック機能はズーム操作方式のズームレンズにおいては有用な機能の1つになっている。
特開平06−230266号公報
1軸2操作方式のズームレンズは、操作棒のレンズ光軸方向の位置によりズーム位置が決定されるため、操作者は直感的にズーム位置を把握でき、サーボ操作方式のズームレンズに比べ画角の位置決め操作が行いやすい。このため、迅速な画角の位置決めが必要なスポーツ中継などの撮影において多く使用されている。一般的な1軸2操作方式のズームレンズでは、ズーミングを司るレンズ群と操作棒をワイヤー等を介してメカニカルに連動させてレンズ群の駆動を行っている。このために、ズーミング用のレンズ群の作動範囲を任意の位置で制限することが構造的に難しく、ズームトラック機能をもうけていない撮像装置が多かった。この為1軸2操作方式のズームレンズでは、Fnoの低下による映像品位の劣化、あるいは、不要な被写体の映り込み等に対しては、撮影の現場において操作者がズーム操作の際に注意することで回避しており、操作者に多大な負担を強いてきた。
本発明は、操作棒を前後方向に駆動し、ズームレンズを構成するズーミング用レンズ群を移動させ予め設定したズーム範囲でのズーミングを行うときに予め設定したズーム範囲の内側のズーム範囲を設定し、この設定したズーム範囲でズーミングが行えるようにし、操作者が不注意でFnoの低下による映像品位の低下や不要な被写体の映り込みを防止することができる撮像装置の提供を目的とする。
この他本発明は、迅速な位置決めが可能な1軸2操作方式を用い、操作棒の位置から直感的にズーム位置を把握できるという1軸2操作方式の利点を保ったまま、ズームトラッキング機能を適切に付加し操作者が不注意でFnoの低下による映像品位の低下や不要な被写体の映り込みを防止することができる撮像装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明の撮像装置は、ズームレンズを構成するズーミング用レンズ群を光軸方向に移動させる駆動手段と、操作棒の前後方向の位置情報を検出する位置検出手段と、該位置検出手段からの位置信号に基づいて該駆動手段を駆動させて、該ズーミング用レンズ群を移動させて予め設定されたズーム範囲でズーミングを行う演算手段とを有する撮像装置であって、該予め設定されたズーム範囲の内側のズーム範囲を設定するズーム駆動範囲設定手段を有していることと特徴としている。
請求項2の発明は、請求項1の発明において前記操作棒の前後方向の操作範囲は、前記ズーム駆動範囲設定手段によるズーム範囲の設定の前後で一定であり、該操作棒の全操作範囲の移動において前記ズーミング用レンズ群を前記設定したズーム範囲中で移動するようにしたズームトラック機能選択手段を有することを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項1の発明において前記操作棒の前後方向の操作範囲は、前記ズーム駆動範囲設定手段によるズーム範囲の設定の前後で一定であり、該操作棒の全操作範囲の移動のうち、前記設定したズーム範囲外においては、該操作棒の移動にかかわらず前記ズーミング用レンズ群を固定とするズームトラック機能選択手段を有していることを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項1,2又は3の発明において前記演算手段は、前記ズーム駆動範囲設定手段からのズーム範囲信号と、前記ズームトラック機能選択手段からの信号に基づいて前記操作棒の移動に対するズーミング用レンズ群の移動条件を演算し、該演算効果に基づいて前記駆動手段を駆動し、該ズーミング用レンズ群を移動制御していることを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項の発明において前記操作棒を回動したとき、前記ズームレンズを構成するフォーカス用レンズ群を光軸方向に移動させてフォーカスを行う1軸2操作機構を有していることを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれか1項の発明において前記ズーミング用レンズ群のズーム範囲の設定の有効又は無効を設定するズームトラック設定手段を有していることを特徴としている。
本発明によれば操作者が不注意でFnoの低下による映像品位の低下や不要な被写体の映り込みを防止することができる撮像装置を達成することができる。
図1は、本発明の実施例1の腰部概略図である。同図において1は、TV用のズームレンズを有する撮像装置の全体を示し、2はズームレンズの1軸2操作を行う操作棒を示している。この操作棒2は前後方向である光軸方向(矢印La)に前後に操作、あるいは、回転方向(矢印Ma)の操作が可能な構造になっており、光軸方向に操作することでズームレンズのズーミング操作が行え、回転方向に操作することでズームレンズのフォーカシング操作が行える。3は直線型ポテンショメータ等の位置検出器であり、操作棒2の光軸方向の位置を検出している。さらにこの位置検出器3の出力は演算手段5に接続されている。つまり操作棒2の光軸方向の位置が位置検出器3で位置信号に変換され、演算手段5にズームレンズの操作信号として入力される。また、演算手段5にはズームトラッキング機能を有効、無効にするため(ON,OFFするため)のズームトラック設定手段16、ズーミング用レンズ群の光軸方向の駆動範囲を制限するズーム駆動範囲設定手段17、および、操作棒2の操作とズーミング用レンズ群の移動との関係を設定するズームトラック機能選択手段18が接続されている。演算手段5では、ズームトラック設定手段16の出力信号が機能の有効を示す状態になったときに位置検出器3からの出力信号をズーム駆動範囲の片方の端点(ズーム位置)として記憶手段4に記憶している。また、演算手段5では、ズームトラッキング機能選択手段18からの出力信号がズームトラック機能が有効であると判断されたときには、記憶手段4に記憶されているズーム駆動範囲の端点位置を読み込み、後述するように、この読み込まれた位置を超えないようにズーミングの駆動範囲の制御を行っている。演算手段5では、位置検出器3から出力された位置信号を使ってズーミング機能を司るレンズ群を駆動制御するための制御演算を行い、演算結果である信号を、レンズ群を駆動するモータ(駆動手段)7の制御信号として出力している。6はモータ7を駆動するために入力した信号を増幅する増幅器である。増幅器6は演算手段5から出力された制御信号を増幅し、ズーミングを司るレンズ群13用のモータ駆動信号として出力している。7はズーミングを司るレンズ群13を駆動するためのモータであり、増幅器6により増幅された信号に従って駆動される。さらに、ズームレンズ駆動用のモータ7には、モータ7の角度検出用のエンコーダ8が接続されている。本実施例では、エンコーダ8はインクリメンタルタイプエンコーダで構成され、出力した角度信号は演算手段5に帰還している。また、ズームレンズ駆動用のモータ7の回転軸はカップリング9を介しレンズ群内のシャフト10と連結されている。このような構造によりモータ7の回転駆動力は保持されたままタイミングベルト11に伝達され、カム12を回転させている。カム12にはズーミングを司るレンズ群13がレンズ保持部材を介して接続されている。このカム12により、モータ7の回転力がズーミングを司るレンズ群13の光軸方向の駆動力に変換されており、レンズ群13が光軸方向に駆動されることでズーミングが可能になる。また、カム12はギア14を介して位置検出器15に接続されている。位置検出器15はポテンショメータなどの絶対位置を検出できる構成より成り、この位置検出器15によりレンズ群13の光軸方向の絶対位置の検出が行える。
以上のように本実施例では、サーボ操作方式と同様にモータを使用してズーミング用レンズ群を駆動する方式に、1軸2操作方式の操作棒2を設け、操作棒2に光軸方向の位置を電気的に検出する位置検出器3を付加し、操作棒2を操作することにより位置検出器3から出力された操作信号からズーミング用レンズを駆動するためのモータ7の駆動信号を演算する演算手段5を備え、さらにズームトラッキング機能の有効、無効を設定選択するズームトラック設定手段16と、トラッキング機能の有効時にズームレンズの駆動範囲を制限するためのズーム駆動範囲設定手段17を設けている。そして演算手段5が、ズームトラック設定手段16の設定によりズームトラッキング機能が有効と判断した場合は、操作棒2を光軸方向に操作することで操作棒2の光軸方向の位置を検出する位置検出器3から出力される操作信号と、ズーム駆動範囲設定手段17にて設定された条件に従って、ズーミング用レンズ群の駆動用モータ7の駆動信号を演算し、操作棒2の物理的な操作範囲を変えること無く、ズームレンズのズーミング用レンズ群の作動範囲を制限している。
本実施例では操作棒2の光軸方向の操作範囲は、ズーミング用のレンズ群の光軸方向の駆動範囲は一意に対応し、ズーム駆動範囲設定手段17により設定、制限された光軸方向の駆動範囲と操作棒2の光軸方向の駆動範囲が一致する方式と、操作棒2の光軸方向の操作可能範囲と、ズーミング用レンズ群の光軸方向の駆動範囲は一意に対応しており、ズーム駆動範囲設定手段17によって設定されたズーム範囲を超えて操作棒が操作された場合はズーミング用のレンズ群の駆動が行われない方式の2方式のうち一方を選択して用いている。
図4はズーム駆動範囲設定手段17によるズーム範囲の設定を示す説明図である。
図4(A)は操作棒2の移動に対応してズーミング用レンズ群を光軸上の移動範囲全てにわたり移動させたときに得られる、予め設定されたズーム範囲(ズームトラック設定面)Zoを示す、図4(B)はズーム駆動範囲設定手段17によって設定されたズーム範囲(ズームトラック設定後)Zaであり、予め設定されたズーム範囲Zoの内側の一領域を示している。
図4(A)のズームトラック設定前においては、操作棒2の全操作範囲の移動でズーミング用レンズ群を移動させてズーム範囲Zoのズーミングを行う。
本実施形態では、図4(B)のズームトラック設定後においては、操作棒2の全操作範囲の移動ズーミング用レンズ群を移動させてズーム範囲Zaのズーミングを行う方式と操作棒の全操作範囲の移動のうち設定したズーム範囲Za以外のズーム範囲(ZW-a、ZT-a)では、操作棒2の移動にかかわらずズーミング用レンズ群を固定とし、設定したズーム範囲Za内においてのみ操作棒2の移動に対してズーミング用レンズ群を移動させる方式のうち一方をズームトラック機能選択手段18により選択して用いている。
こうした構成の基で操作者が撮像装置1を操作するために操作棒2を操作した場合のフローを図2に示す。このフローは予め決められているサンプリング時間毎にステップ20より行われるものとする。実施例1では現在のサンプリングである、nサンプリング時のフローについて説明してあるが、1サンプリング前のサンプリングであるn−1サンプリング時も同様のフローが行われている。演算手段5ではこのフローに先立ち、電源投入直後1度だけ位置検出器15の信号出力を入力し、入力した値をエンコーダ8の出力相当の値に換算した後、この値をズームレンズの初期位置ZP0として演算を行っている。
操作者がズーミングのため操作棒2を操作すると操作量に応じて位置検出器3からの出力が変化し、操作棒2の位置信号として演算手段5に入力される。演算手段5では、予め決められているサンプリング時間毎に、この操作棒2のズーム位置指令値(位置信号)Z’Cnを入力している。また、演算手段5では、同じサンプリング時間毎にエンコーダ8の回転角度信号δZPnを入力している。この回転角度信号δZPnは前回n−1回目のサンプリング時から現在のnサンプリング時の間にエンコーダ8から出力された角度信号を積算した値で、この値により1サンプリング間でのモータ7の回転角度の変化、つまり、レンズ群13の位置の変化を検出している(ステップ21)。
演算手段5では、前回のサンプリング時のズーム位置信号ZPn−1に1サンプリング間でのズーム用レンズ群13の位置の変化δZnを加え、現サンプリング時のズーム位置信号を算出する。ZPn=ZPn−1+δZPn(ステップ22)。次に、演算手段5では、入力された操作棒2の位置信号Z’Cnから、トラッキング機能を考慮したズーム位置指令値ZCnを算出する。(ステップ23)この算出の詳細な過程については、後述の図3に示されるフローにて説明する。
次のステップ24ではズーム位置指令信号ZCnから、ズーム位置信号ZPnを減算し、ズーム位置誤差信号ZPEnを算出する(ZPEn=ZCn−ZPn)。ここでは現在のサンプリング時におけるズームの指令(目標)位置(ズーム位置)と実際のズームレンズ群のズーム位置の差を求めている。次のステップ25では、位置誤差を速度指令値に変換するために、ステップ24にて得られたズーム位置誤差ZPEnに比例定数Cp(位置ループゲイン)を乗じて現在のサンプリング時におけるズーム速度指令値ZSCnを算出する(ZSCn=Cp×ZPEn)。次のステップ26では、前回n−1回目のサンプリング時から今回n回目のサンプリング時の間のレンズ位置変化δZPnに比例定数Cdiffを乗じたものをズーム速度信号ZSFnとして算出する(ZSFn=Cdiff×δZPn)。ステップ27では、先に算出したズーム速度指令値ZSCnからこのズーム速度信号ZSFnを減算してズーム速度誤差ZSEnを算出する(ZSEn=ZSCn−ZSFn)。次にステップ28では、ズーム速度誤差ZSEnに比例定数Csを乗じてズームモータ駆動信号ZMOnを算出する(ZMOn=Cs×ZSEn)。最後に演算手段5ではこのモータ駆動信号ZMOnを増幅器6に出力し、モータ7を駆動してズームレンズ制御を行い(ステップ29)、サンプリング時間毎の一連の処理を終了する(ステップ30)。
次に前述した操作棒2の位置信号Z’Cnからトラッキング機能を考慮し、ズームレンズ位置指令信号ZCnを算出する過程(ステップ23)を詳細に説明する。図3が図2におけるステップ23の過程を詳細に示したフローである。図3におけるステップ31とステップ37間の一連のフローが第2図におけるステップ23にて実行されている。演算装置5は、ズームトラックスイッチ16の状態を検出し、ズームトラック機能が有効か否かを判断する(ステップ32)。トラッキング機能が有効であると判断した場合、つまり、ズーム駆動範囲に制限を加える必要がある場合はステップ33の状態に進み、ズーム駆動範囲に制限を加える必要がないと判断した場合にはステップ38の状態へ進む。
次にトラッキング機能が有効であると判断されステップ33の状態へ進むと、演算装置5では、図1に示されている記憶部材4より記憶されているズームのテレ側の駆動端点(リミット位置)、および、ワイド側の駆動端点(リミット位置)のデータを読み込み、それぞれ変数Lt、Lwとして記憶部材4に記憶する(ステップ33)。次のステップ34においては、演算装置5はトラッキングモード選択スイッチの状態を検出し、ズームトラッキングを実現するための2つの方法のどちらの処理を行うかの振り分けを行っている。
第1の方法は操作棒2のメカニカル的な移動範囲とズームレンズの駆動範囲を一意に対応させてトラッキング機能を実現する方法で、演算装置5では入力した操作棒2の位置データZ’Cnに比例定数C1を乗じた値とズーム駆動端点のデータを比較して、操作棒2の位置データがワイド側ズーム駆動端点とテレ側駆動端点の間に位置するように制限をかけ、制限されたデータをズーム位置指令値ZCnとして記憶部材4に記憶し(ステップ35)。ステップ37の状態へ進む。ここでC1は操作棒2の出力をエンコーダ相当の出力に変換するための定数である。この方法ではトラッキング機能が有効な場合、現サンプリング時のズーム位置指令値ZCnはワイド側のトラッキング端点をLw、テレ側のトラッキング端点をLtとして、ワイド側を基準とするとした場合、ZCnはLw≦ZCn≦Ltの範囲で制限される。このトラッキング方法を選択した場合の特徴としては、操作棒2をメカニカル的なワイド端より、メカニカル的なテレ端位置まで全捜査範囲を操作したとき、メカニカルなワイド端位置からワイド側トラッキング端点位置までは演算手段5によりズーム位置指令値の値はワイド側トラッキング端点の値であるLwに、テレ側トラッキング端点位置よりメカニカルなテレ端位置まではLtに固定されてしまうため、これらの間は操作2棒は操作しても、ズームレンズが駆動しない状態が発生する。しかしながら、トラッキング機能を有効にした場合と、無効にした場合とで操作棒2の光軸方向の位置と撮影画角が一意に対応するため、撮影中に機能のON/OFFを繰り返す撮影の場合にはカメラマンにとって操作上の違和感は少ない。
第2の方法は操作棒2のメカニカル的な移動範囲を記憶部材4に設定されているトラッキング端点に対応させる方法である。ワイド側のトラッキング端点をLw、テレ側のトラッキング端点をLt、操作棒2のメカニカルなワイド端で図1の位置検出器3より出力される操作棒位置をZ’Cw、操作棒のメカニカルなテレ端での操作棒位置をZ’Ctとしたとき、第2の方法でのトラッキング機能を実現したときには現在のサンプリング時の操作棒2の位置Z’Cnは次の式によりズーム位置指令値ZCnに変換されステップ37へ進む(ステップ36)。
ZCn=(Lt−Lw)/(Z’Ct−Z’Cw)×(Z’Cn−Z’Cw)+Lw
この方法では、第1の方法と異なりトラッキング機能の有効、無効の状態で、操作棒2の光軸方向の位置と撮影画角の関係が変化するが、ズームレンズが駆動しない状態がな痛め、無いため運用中にトラッキングのON/OFFを行わないような撮影形態の場合にはカメラマンにとっては操作上の違和感が少ない。
なお、本実施例においては、操作棒2のメカニカルなワイド端での図1の位置検出器3より出力される出力をZ’Cw、および、テレ端での検出器の出力をZ’Ctは予め図1の記憶部材4に記憶されているものとし、演算の際には記憶部材4より読み込まれるものとする。
演算装置5では上述の何れかのステップを踏んで、現在のサンプリングにおけるズーム位置指令値ZCnを算出しレンズ駆動モータ1をコントロールすることでトラッキング機能を実現している。
次にステップ32で演算手段5がズームトラッキング機能が無効であると判断された場合のフローについて説明する。このステップ32より分岐したフローはズームトラッキング端点の記憶、または、通常のズーミング操作における処理を行っている。ステップ38では演算手段5は図2におけるズームレンズの駆動範囲を制限するズーム駆動範囲設定手段17の状態を検出し、トラッキング端点位置を記憶する必要があると判断した場合は、ステップ39の状態へ、トラッキング端点位置を記録する必要が無い状態、つまり通常のズーミング操作の状態であると判断した場合はステップ43の状態へ進む。
ステップ39では、演算手段5は引き続きズームレンズ駆動範囲選択手段18の状態を検出、ズームトラッキング位置のワイド側端点位置を記憶する必要があると判断した場合は、ステップ40の状態へ進み、ワイド側の端点位置を記憶する必要がないと判断した場合は、ステップ41の状態へ進む。ステップ39の状態にて演算手段5がワイド側トラッキング端点位置を記憶する必要があると判断した場合、現在のサンプリング時操作棒の位置Z’Cnをズームトラッキング時のワイド側トラッキング端点位置Lwとして図1の記憶部材4に記憶して次のステップ43の状態へ進む(ステップ40)。また、ステップ39にて演算手段5がワイド側の端点位置を記憶する必要がないと判断した場合、演算手段5はズーム駆動範囲選択手段17の状態を検出し、ズームトラッキング位置のテレ側端点位置を記憶する必要があるか否かを判断する(ステップ41)。ズームトラッキング位置のテレ側端点位置を記憶する必要がある場合はステップ42の状態へ進む。このステップでは現在のサンプリング時操作棒の位置Z’Cnに比例定数C1を乗じ、ズームトラッキング時のテレ側トラッキング端点位置Ltとして図1の記憶部材4に記憶してステップ43の状態に進む(ステップ42)。ここでC1は操作棒2の出力をエンコーダ相当の出力に変換するための定数である。また、ステップ41においてズームトラッキング位置のテレ側端点位置を記憶する必要がないと演算手段5が判断した場合、例外処理として何も行わずにステップ43の状態へ進む。ステップ43の状態では、現在のサンプリング時操作棒の位置Z’Cnに比例定数C1を乗じ現在のサンプリング時におけるズーム位置指令値ZCnに記憶した後ステップ37に進む。ここでC1は操作棒2の出力をエンコーダ相当の出力に変換するための定数である。次のステップで算出されたズーム位置指令値ZCnを使用してのモータ制御のステップ(図2のステップ24)の状態へと進み、フローに従ってモータ7の制御をおこなう。
以上説明したように図2、図3のフローに従ってズーム位置指令値ZCnを算出し、この算出されたズーム位置指令値ZCnによりズーミング用のレンズ群13の位置をコントロールすることで、操作者にとって操作性の良い1軸2操作方式のズームレンズに運用上有用なズームトラッキング機能付加することができるため、より操作性を高めたTV用ズームレンズ装置の提供が可能になる。