JP2005084269A - 累進屈折力レンズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】遠用領域と近用領域とこれら領域の間に配置され屈折力が累進的に変化する累進領域を備え、加入勾配(D)、加入度(ADD)及び累進帯長さ(L)がD=ADD/Lで示され、遠用領域から近用領域にかけて加入度が徐々に付加されていくように加入勾配が設定された累進屈折力レンズにおいて、累進帯長さ全長を19mmよりも長く設定する一方で、少なくとも近用領域に至る間の累進領域の下方域の加入勾配がD=ADD/λ (λを固有累進帯長さと定義する:λ≦19mm)で示され、より好ましくは累進領域の上方域の加入勾配が下方域の加入勾配よりも小さいこと。
【選択図】 図5
Description
一般的に累進屈折力レンズは屈折力のそれぞれ異なる2つの屈折領域と、それら両領域の間で屈折力(度数)が累進的に変わる累進領域とを備えた非球面レンズとされており、境目がなく1枚のレンズで遠くのものから近くのものまで見ることができるものである。ここに2つの領域とはレンズの上方位置に設定された遠用部領域と、レンズの下方位置に設定された近用部領域の2つの領域のことである。遠用部領域と近用部領域との移行帯である累進領域は滑らかかつ連続的に連結されている。
遠用部領域は主として遠距離の物体を目視するための領域であり、近用部領域は主として近距離の物体を目視するための領域であり、累進領域は主として中距離の物体を目視するための領域である。もっとも累進屈折力レンズは屈折力が連続的に変化しているためこれら領域が明確に区画されているわけではない。
ここに、遠近等の距離の概念はしっかりとした区分けがされているわけではなく定義も決まってはいない。一般に遠距離とは2〜3mよりも遠くを言い、近距離とは50cmよりも手前側を言い、中距離とはこれらの中間距離を言う。
レンズ設計においては遠用部領域から近用部領域に至る屈折力の変化、つまり加入度と加入勾配をいかに設定するかによって装用者の求めるレンズを設計することとなる。近距離〜中距離で装用することを念頭においたレンズの一例として特許文献1を挙げる。
このレンズ特性では加入勾配が小さく(図3や図6において斜線の傾斜が急)設定されるとともに累進領域から近用部領域にかけての加入度が大きく設定されている。加入勾配が小さいため非点収差が緩和されて装用者が目線を主注視線を上下させた際の違和感が減り、更にアイポイント付近から下方域にかけての加入度が大きいため近距離〜中距離において良く見えるという利点があるものの、遠用アイポイント位置においてすら加入度がかなり大きいため極端に遠距離が見えにくい設定となっている。
本来ユーザはこのような特性であることを理解してこのレンズを装着した眼鏡を購入するわけであるが、極端に遠距離が見えにくいということは遠距離とも中距離ともいえる3〜5m程度の距離において必ずしもよく見えないということとなる。上記のように距離の概念は決まっているわけではないため、3〜5m程度の距離は遠距離ともいえるのであるが、ユーザによってはこのくらいの距離は中距離と認識することもあり、そうであれば近距離〜中距離が見える眼鏡のはずなのに実際には中距離はよく見えないと不満を感じる場合がある。
更に、このグラフように遠用アイポイント位置においてかなり大きな加入度が設定されているとかなり上側を目視しないと(つまり上目使いにしないと)遠距離は見ることができず不便となる。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、特に近距離〜中距離での装用を主とするとともに、3〜5mのあまり遠くない程度の遠距離の物体も比較的見えやすくなるように設計可能な累進屈折力レンズを提供することにある。
D=ADD/L
同第1の屈折領域から第2の屈折領域にかけて加入度が徐々に付加されていくように加入勾配が設定された累進屈折力レンズにおいて、累進帯長さ全長を19mmよりも長く設定する一方で、少なくとも前記第2の屈折領域に至る間の累進領域の下方域の加入勾配が次の関係式で示され、
D=ADD/λ (λを固有累進帯長さと定義する)
λ≦19mmと設定されることをその要旨とする。
また請求項2の発明では請求項1に記載の発明の構成に加え、遠用アイポイントにおける加入割合を累進帯長さ全体での加入に対して13〜37%としたことをその要旨とする。
また請求項3の発明では請求項1又は2の発明の構成に加え、前記第1の屈折領域入り口の位置を前記遠用アイポイント位置よりも4〜8mm上方に設定するようにしたことをその要旨とする。
また請求項4の発明では請求項1〜3に記載のいずれかの発明の構成に加え、前記第2の屈折領域入り口の位置を前記遠用アイポイント位置よりも9〜17mm下方に設定するようにしたことをその要旨とする。
また請求項5の発明では請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記累進領域の上方域の加入勾配の平均値と前記累進領域の下方域の加入勾配の平均値とが異なることをその要旨とする。
また請求項6の発明では請求項5に記載の発明の構成に加え、前記累進領域の上方域の加入勾配の平均値は前記累進領域の下方域の加入勾配の平均値よりも小さいことをその要旨とする。
また請求項7の発明では請求項1、2、5又は6のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記累進領域の上方域における加入勾配はほぼ一定に推移し、所定の勾配変化点を不連続的に通過した後に前記累進領域の下方域に至り再びほぼ一定に推移するようにしたことをその要旨とする。
また請求項8の発明では請求項7に記載の発明の構成に加え、前記所定の勾配変化点は累進帯長さの1/3〜2/3の間にあるようにしたことをその要旨とする。
また請求項9の発明では請求項7又は8に記載の発明の構成に加え、前記所定の勾配変化点は前記遠用アイポイント位置又は同遠用アイポイント近傍位置に設定されるようにしたことをその要旨とする。
また請求項10の発明では請求項5〜9のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記第1の屈折領域入り口の位置は前記遠用アイポイント位置よりも7〜13mm上方に設定されていることをその要旨とする。
ここに加入勾配とは屈折力の変化、つまり加入度がどのように変化しているかを示す一般に中央基準線上において得られる指標値であって、加入勾配(D)、加入度(ADD:単位はディオプタ)及び累進帯長さ(L:単位はmm)とした場合に次の関係式で示される値である。
D=ADD/L
しかし、本発明では累進帯長さが19mmよりも長く設定されている設定されている累進屈折力レンズにおいて累進領域の下方域の加入勾配を次の関係式で示される値で設定したことが特徴である。
D=ADD/λ (λ≦19mm、λ:固有累進帯長さ)
遠用アイポイントとは眼鏡装用者が正面視かつ遠方視をした場合に視線の通過するレンズ上の位置である。
また、加えてこのような設定の累進屈折力レンズにおいては第1の屈折領域入り口の位置を遠用アイポイント位置よりも4〜8mm上方に設定することが好ましく、更に5〜7mm上方に設定することが最も好ましい。
更に加えてこのような設定の累進屈折力レンズにおいては第2の屈折領域入り口の位置を遠用アイポイント位置よりも9〜17mm下方に設定することが好ましく、更に11〜15mm下方に設定することが最も好ましい。
ここに、第1の屈折領域入り口及び第2の屈折領域入り口は理論的には徐々に加入されていく屈折力(度数)が第1及び第2の屈折領域の屈折力に達する位置であるといえるが、実際のレンズ設計においては不連続的、例えば屈曲した段差としてそれら入り口で急激に屈折力を変化させるわけにはいかない。つまり、レンズ表面は穏やかに第1及び第2の屈折領域に導入されなければならないため入り口付近では度数の変化が穏やかに(より好ましくは度数勾配の変化率が一定であること)設計されている。
このため図10のグラフに示すように、仮想的にある地点を入り口と想定した場合にはその地点は未だ所定の度数に到達していないといえる。その結果、実際の度数測定装置による測定によって入り口を決定する場合には「入り口」と定義付ける範囲にはある程度の幅を持たせる必要がある。
具体的に入り口を決定する場合には入り口に隣接する度数変化の一定な領域が一定のままで到達するであろう理論上の到達点を入り口とする方法を採用する。度数変化の一定な領域の加入勾配を「平均加入勾配」として以下のように計算する。
遠用アイポイントにおける加入度(D)−A×平均加入勾配=0
となるようなA(単位:mm)の値を第1の屈折領域入り口(遠用アイポイントからAmm上方)として規定する。
同様に、遠用アイポイントにおける加入度(D)+B×平均加入勾配=当該レンズの加入度(D)
となるようなB(単位:mm)の値を第2の屈折領域入り口(遠用アイポイントからBmm下方)として規定する。
更に、このような異なる加入勾配を有する上方及び下方域では累進領域の上方域における加入勾配はほぼ一定に推移し、所定の変化点を不連続的に通過した後累進領域の下方域に至り再びほぼ一定に推移するように設定することが好ましく、その変化点は累進帯長さの1/3〜2/3の間にあるようにすることがより好ましい。加えて遠用アイポイント位置又は同遠用アイポイント近傍位置に設定されることが更に好ましい。理想は遠用アイポイントと一致することでで、遠用アイポイント近傍とは少なくとも上下方向のズレが±3mm以内であることが好ましい。
このように、上方及び下方域で異なる加入勾配特性を有する場合では第1の屈折領域入り口の位置は遠用アイポイント位置よりも7〜13mm上方に設定されることが好ましく、更に10〜12mm上方に設定されることが最も好ましい。
本実施の形態1は図1に示すようなレイアウトに従ってレンズ設計がなされている。同図においてOは幾何中心、E1は遠用アイポイント、E2は近用アイポイント、P1は遠用入り口、Q1は近用入り口、P2は遠用度数測定位置、Q2は近用度数測定位置、Iはインセット量である。
ここに、遠用アイポイントは装用者が正面視をした場合に瞳中心を通る水平線(つまり視線)が通過する位置である。全距離について平均的に見え易く(逆にいうと、特定の距離を見えやすくしたものに比較して対応する個々の距離は相対的に見えにくい)設定したいわゆる遠近タイプの累進屈折力レンズでは遠用アイポイントE1は遠用入り口P1とほぼ一致する。しかし、中近タイプの累進屈折力レンズでは装用者は累進領域の下方域を特に頻繁に使用するため図1に示すように遠用入り口P1は遠用アイポイントE1よりも上方に設定される。
実施の形態1では遠用入り口P1は遠用アイポイントE1よりも4〜6mm上方位置に設定される。この範囲ならば装用者に上目使いでの遠望視を強要することにはならない。本実施の形態1では遠用入り口P1は遠用アイポイントEの15mm上方に設定した。遠用度数測定位置P2は遠用入り口P1よりもわずかに上方に設定される。
また、実施の形態1では近用入り口Q1は遠用アイポイントE1よりも13〜15mm下方位置に設定される。近用入り口Q1は近用アイポイントE2と一致する。中近タイプの累進屈折力レンズでは、遠近タイプの累進屈折力レンズにくらべて装用者の近用視する比重が大きい。そのため、近用入り口は遠用アイポイントに近いほうが、近方視のための眼下方回旋を小さくできるので好ましい。しかしながら、近ければ近いほど良いわけではない。人間が机に向かって近業を行うとき、頭が自然に下を向いて目線も同時に下を向く。そうすれば、眼はおよそ9mm前後(レンズ透過位置において)下を見ることとなるため近用入り口は遠用アイポイントよりもかなり下方(9mmより下方)とすることが望ましい。本実施の形態1では近用入り口Q1は遠用アイポイントE1の14mm下方に設定した。近用度数測定位置Q2は近用入り口Q1よりもわずかに下方に設定される。
水平方向におけるプリズム屈折力の測定位置は遠用入り口P1と近用入り口Q1との中間位置、つまりインセットの中間位置であって±0.5mmの範囲が最も好ましい。但し、インセット量Iが3.0mmよりも大きい場合には、近用アイポイントE2の耳側あるいは遠用アイポイントE1から鼻側に1.0mmの範囲に設置すれば結果は良好に得られる。
垂直方向におけるプリズム屈折力の測定位置は遠用アイポイントE1の下方4mm前後が最も好ましい。人が最も楽な状態の自然な視野の中央(常用視線)が、眼鏡レンズの位置でアイポイントのおよそ3mm下方になる。中近タイプの累進屈折力レンズでは常用視線よりもやや低い位置でプリズムを合わせると結果が良好に得られる。
このように本実施の形態1では加入割合が低く抑えられているため遠用アイポイントE1における遠方視が行いやすい(つまり3〜5mの比較的近くの遠距離がよく見える)こととなっている。
加入勾配は(D)は加入度(ADD)及び固有累進帯長さ(λ)とした場合の次の関係式で示される。
D=ADD/λ
本実施の形態1では固有累進帯長さ(λ)を19mmに設定した。本実施の形態1での累進帯長さ、つまり遠用入り口P1から近用入り口Q1の長さは21mmとされ固有累進帯長さよりも長く設定される。
加入度:2.0D
累進帯長さ21mm
加入勾配(2.0/19):0.105(D/mm)
遠用アイポイントにおける加入割合:26%
遠用入り口の位置:遠用アイポイントから5mm
近用入り口の位置:遠用アイポイントから14mm
明視幅(遠用入り口での0.5D幅):8.7mm
明視幅(累進領域最狭部での1.0D幅):14.4mm
明視幅(近用入り口での1.0D幅):18.8mm
累進領域最狭部及び近用入り口における明視幅の割合:77%
図2の累進屈折力レンズ1と図7に示す従来の中近タイプの累進屈折力レンズ3との非点収差を比較した場合、累進屈折力レンズ1は累進領域及び遠用部領域での明視幅が大きく中距離〜遠距離にかけて従来のレンズ3に比べて非常に見やすい特性となっている。
また、従来に比較して加入勾配が小さくなることから度数分布において図8に示すように特に遠用部領域での加入度が穏やかになるため遠用視に適することとなる。
このようなレンズ特性とすることによって累進帯長さに対応する加入勾配が大きくなる(グラフ上では傾斜が緩やかになる)。加入勾配が大きいため近用入り口に近づくにつれて十分な加入度を得られるため中距離から近距離にかけて非常に見やすいレンズ特性を有する。一方、遠用アイポイントにおける加入割合が25%と従来に比較してかなり小さくなるため、中近タイプの累進屈折力レンズ1であっても遠距離を目視することに極端に見にくくなることがない。
本実施の形態2は図4に示すようなレイアウトに従ってレンズ設計がなされている。同図においてOは幾何中心、E1は遠用アイポイント、E2は近用アイポイント、P1は遠用入り口、Q1は近用入り口、P2は遠用度数測定位置、Q2は近用度数測定位置、Iはインセット量である。
実施の形態2において実施の形態1と異なる点は遠用入り口P1が実施の形態1よりも上方位置に配置されること及びこれに伴って遠用度数測定位置P2が上方位置にずれること並びに加入勾配が累進領域の上方域と下方域で異なっていることである。近用入り口Q1については上記実施の形態1と同様である。そのためこれら異なる点のみを中心に説明しその他の説明は省略する。
実施の形態2における遠用入り口P1の位置は遠用アイポイントE1よりも10〜12mm上方位置に設定される。本実施の形態2では10mm上方に設定した。以下に説明するように実施の形態2においては加入勾配が累進領域の上方域と下方域で異なり上方域の加入勾配が小さい(傾斜が急)ためこのような設定が許されることとなっている。
遠用アイポイントE1と一致あるいはごく近傍に勾配変化点Rが設定され、これよりも上方域についての加入勾配はこれよりも下方域の加入勾配よりも小さく設定されることとなる。勾配変化点Rは常に累進帯長さの1/3〜2/3の間に配置される。より具体的な特性としては累進領域の上方域では加入度は緩やかに移行し、累進領域の下方域では加入度は比較的速やかに移行する。本実施の形態2では勾配変化点Rは遠用アイポイントE1と一致する。
本実施の形態2においても固有累進帯長さ(λ)を19mmに設定した。
図6に示すように、実施の形態2のレンズ2では勾配変化点Rによって加入勾配が変化することから遠用入り口の位置は加入勾配が変化のない実施の形態1のレンズ1よりも5mm上方に位置することとなる。つまり、遠用アイポイントよりも上方の加入度は(5mm/19mm)×2.00D≒0.53とされる。遠用アイポイントよりも上方の累進帯長さは10mmとなる。
加入度:2.0D
累進帯長さ24mm
累進領域の上方域での加入勾配(0.53/10):0.053(D/mm)
累進領域の下方域での加入勾配(2.0/19):0.105(D/mm)
勾配変化点Rの位置:遠用アイポイントと一致
遠用アイポイントにおける加入割合:26%
遠用入り口の位置:遠用アイポイントから10mm
近用入り口の位置:遠用アイポイントから14mm
明視幅(遠用入り口での0.5D幅):7.0mm
明視幅(累進領域最狭部での1.0D幅):13.1mm
明視幅(近用入り口での1.0D幅):16.3mm
累進領域最狭部及び近用入り口における明視幅の割合:80%
図5の累進屈折力レンズ1と図7に示す従来の中近タイプの累進屈折力レンズ3との非点収差を比較した場合、累進屈折力レンズ1は累進領域及び遠用部領域での明視幅が大きく中距離〜遠距離にかけて従来のレンズ3に比べて非常に見やすい特性となっている。また、累進領域の上方域での加入勾配が小さいため図9に示すように遠用部領域での加入が緩やかで遠用視に適している。
このようなレンズ特性とすることによって累進領域の下方域での累進帯長さに対応する加入勾配が大きくなる(グラフ上では傾斜が緩やかになる)。加入勾配が大きいため近用入り口に近づくにつれて十分な加入度を得られるため中距離から近距離にかけて非常に見やすいレンズ特性を有する。一方、遠用アイポイントにおける加入割合が25%と従来に比較してかなり小さくなるため、中近タイプの累進屈折力レンズ1であっても遠距離を目視することに極端に見にくくなることがない。
更に累進領域の上方域では加入勾配が小さい、つまり度数変化が穏やかであるため中近タイプの累進屈折力レンズ1であるにも関わらず遠距離が見やすくなっている。
・上記実施の形態2では勾配変化点はちょうどアイポイントの高さであったが、上下方向に±3mm以内でずれてもよい。
・上記実施の形態では固有累進帯長さ(λ)を19mmに設定したがもちろんこれ以下の数値であっても構わない。
・上記実施の形態2では累進領域の上方域での加入勾配を累進領域の下方域での加入勾配よりも小さく設定したが、この設定を逆にしてもよい。
・上記実施の形態2では2つの異なる加入勾配が設定されていたが、これを3つ以上としてもよい。
・上記実施の形態2では2つの異なる加入勾配はそれぞれ変化率が一定(直線状態)であったが、必ずしも直線でなくともよい。
・上記図8の度数分布は一例であってユーザの視力特性、例えば近視であるか遠視であるかによって度数分布は変化しうる。例えば遠視気味のユーザであれば度数分布をやや上方にシフトさせるようにしてもよい。
・上記実施の形態1では遠用入り口の位置は、遠用アイポイント位置の上方4〜8mmであったが、5〜7mmでもよい。
・上記実施の形態2では遠用入り口の位置は、遠用アイポイント位置の上方10〜12mmであったが、7〜13mmでもよい。
・上記各実施の形態では近用入り口の位置は、遠用アイポイント位置の下方13〜15mmであったが、9〜17mmでもよい。
・上記のような度数変化面はレンズの表裏いずれか、あるいは両面に施しても構わない。
その他本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
(1)前記所定の勾配変化点は少なくとも前記遠用アイポイントよりも下側にはないことを特徴とする請求項7又は8に記載の累進屈折力レンズ。
(2) 前記第1の屈折領域入り口の位置は前記遠用アイポイント位置よりも7〜13mm上方に設定されていることを特徴とする付記1に記載の累進屈折力レンズ。
(3)プリズム屈折力の測定における水平位置は遠用入り口と近用入り口の中間位置から±0.5mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜10若しくは付記1又は2のいずれかに記載の累進屈折力レンズ。
(4)プリズム屈折力の測定における水平位置は当該レンズのインセット量が3.0mmよりも大きい場合には、近用アイポイントの耳側あるいは遠用アイポイントから鼻側に1.0mmの範囲に設置することを特徴とする請求項1〜10若しくは付記1又は2のいずれかに記載の累進屈折力レンズ。
Claims (10)
- レンズ上方に配置された比較的遠方を見るための第1の屈折領域と、同第1の屈折領域よりも下方に配置され同第1の屈折領域よりも大きな屈折力を有する第2の屈折領域と、これら領域の間に配置され屈折力が累進的に変化する累進領域を備え、加入勾配(D)、加入度(ADD)及び累進帯長さ(L)が次の関係式で示され、
D=ADD/L
同第1の屈折領域から第2の屈折領域にかけて加入度が徐々に付加されていくように加入勾配が設定された累進屈折力レンズにおいて、
累進帯長さ全長を19mmよりも長く設定する一方で、少なくとも前記第2の屈折領域に至る間の累進領域の下方域の加入勾配が次の関係式で示され、
D=ADD/λ (λを固有累進帯長さと定義する)
λ≦19mmと設定されることを特徴とする累進屈折力レンズ。 - 遠用アイポイントにおける加入割合を累進帯長さ全体での加入に対して13〜37%としたことを特徴とする請求項1に記載の累進屈折力レンズ。
- 前記第1の屈折領域入り口の位置は前記遠用アイポイント位置よりも4〜8mm上方に設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の累進屈折力レンズ。
- 前記第2の屈折領域入り口の位置は前記遠用アイポイント位置よりも9〜17mm下方に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の累進屈折力レンズ。
- 前記累進領域の上方域の加入勾配の平均値と前記累進領域の下方域の加入勾配の平均値とが異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の累進屈折力レンズ。
- 前記累進領域の上方域の加入勾配の平均値は前記累進領域の下方域の加入勾配の平均値よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載の累進屈折力レンズ。
- 前記累進領域の上方域における加入勾配はほぼ一定に推移し、所定の勾配変化点を不連続的に通過した後に前記累進領域の下方域に至り再びほぼ一定に推移することを特徴とする請求項1、2、5又は6に記載の累進屈折力レンズ。
- 前記所定の勾配変化点は累進帯長さの1/3〜2/3の間にあることを特徴とする請求項7に記載の累進屈折力レンズ。
- 前記所定の勾配変化点は前記遠用アイポイント位置又は同遠用アイポイント近傍位置に設定されることを特徴とする請求項7又は8に記載の累進屈折力レンズ。
- 前記第1の屈折領域入り口の位置は前記遠用アイポイント位置よりも7〜13mm上方に設定されていることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の累進屈折力レンズ。
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