JP2005083956A - ガスセンサ - Google Patents

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Abstract


【課題】共存する硫化水素の干渉を受けずに二酸化硫黄の濃度を選択的に測定可能なガスセンサを提供する。
【解決手段】本発明のガスセンサは、電解液20と接する作用電極10と対極5を有し、測定ガスを作用電極20に供給して電気化学的に反応させ、作用電極10と対極5間に発生した電流に基づいて測定ガスの濃度を測定するガスセンサであって、測定ガスを電解液20に供給するガス供給部31に、非水溶性の金属硫酸塩を主成分とする材料からなる干渉ガス除去部16が設けられている。干渉ガス除去部16としては、硫酸銀、硫酸鉛及び硫酸バリウムからなる群から選択される材料から構成することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、二酸化硫黄(SO2)濃度を測定するためのガスセンサに関し、特に、共存する硫化水素(H2S)の干渉を受けずに二酸化硫黄濃度を選択的に測定するための技術に関する。
従来、SO2の濃度を簡易に測定するためのガスセンサとしては、構造が単純であるとともに消費電力が小さいという理由から電気化学的原理に基づく電気化学式ガスセンサがよく用いられている。
この電気化学式ガスセンサは、SO2ガスを直接電気化学的に反応させて生成した電解電流により濃度を知る直接電流検出型と、SO2ガスを一旦溶液中に溶解させてpH変化あるいは電気伝導度の変化により濃度を知る間接検出型に分けられる。
直接電流検出型センサは、ガスを直接反応させるため、反応量に比例した出力が得られ、かつ、応答が速やかであるなど、間接検出型では実現できない利点を持つ。
直接電流検出型センサをさらに細かく分類すると、以下の3種類に分けられる。
(1)作用電極と対極及び電解質からなり、両極間に流れる電流を取り出す燃料電池式センサ
(2)作用電極と対極及び電解質からなり、外部駆動回路により作用電極と対極間の電位差を一定に保ちながら両極間に流れる電流を取り出す2電極定電位電解式センサ
(3)作用電極と対極及び比較電極の3電極と電解質からなり、外部駆動回路により比較電極に対する作用電極の電位差を一定に保ちながら、作用電極と対極間に流れる電流を取り出す3電極定電位電解式センサ
特許第2954174号公報
ところで、生成した電解電流により濃度を知る直接電流検出型のSO2ガスセンサは、SO2だけでなくH2Sに対しても感度を有することが知られている。
それぞれのガスに対する感度比は、以下の反応式(1)、(2)により推定できる。この場合、H2Sに対する感度は、理論的にはSO2の4倍となる(各ガス1モルに対する反応電子数の比となる。)。
SO2+2H2O → H2SO4+2H++2e- …(1)
2S+4H2O → H2SO4+8H++8e- …(2)
なお、実際の感度比(H2S)/(SO2)の値は3〜5倍である。
一般に、SO2ガスの濃度検知が必要とされる火山や鉱山あるいはプラント等においては、H2Sガスが共存していることが多く、このH2Sの干渉影響は実用上の問題となっている。
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、共存する硫化水素の干渉を受けずに二酸化硫黄の濃度を選択的に測定可能なガスセンサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、電解質と接する作用電極と対極を有し、測定ガスを前記作用電極に供給して電気化学的に反応させ、前記作用電極と対極間に発生した電流に基づいて前記測定ガスの濃度を測定するガスセンサであって、前記測定ガスを前記作用電極に供給するガス供給部に、非水溶性の金属硫酸塩を主成分とする材料からなる干渉ガス除去部が設けられているガスセンサである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記干渉ガス除去部が、硫酸銀、硫酸鉛及び硫酸バリウムからなる群から選択される材料から構成されているものである。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2のいずれか1項記載の発明において、前記干渉ガス除去部が、前記金属硫酸塩に珪藻土粉末を混合した材料から構成されているものである。
本発明のガスセンサは、ガス供給部に非水溶性の金属硫酸塩を主成分とする材料からなる干渉ガス除去部が設けられているため、測定ガス中含まれているH2Sは干渉ガス除去部でほぼ完全に反応除去されるようになる。
この反応式の一例を式(3)に示す。
Ag2SO4+H2S → Ag2S+H2SO4 …(3)
一方、SO2は金属硫酸塩とは反応せず、また吸着もほとんど生じないため、干渉ガス除去部をそのまま通過して作用電極に到達する。
その結果、本発明によれば、共存するH2Sの濃度にかかわらずSO2の濃度を正確に測定することが可能になる。
他方、干渉ガス除去部の材料として水溶性の金属塩を用いることも考えられるが、水溶性の塩の場合空気中に放置すると空気中の水分を吸収するため、除去能力が低下したり、通気抵抗が増したり、SO2を吸着するようになり、採用することができない。
本発明の場合、特に硫酸銀、硫酸鉛、硫酸バリウムは、水に不溶あるいは難溶で吸湿性がないため、長期間空気中に放置しても除去能力は変化せず、通気抵抗が変化したりSO2を吸着又は吸収して除去してしまうこともなく干渉ガス除去部の材料として好適である。
その一方で、硫酸銀、硫酸鉛、硫酸バリウムのいずれかがH2Sと反応した結果、硫化物とともに式(3)に示されるように硫酸(H2SO4)が生成され、反応が進行して硫酸が蓄積すると通気抵抗が高くなり、ガスの拡散を阻害することになるが、これに対しては、本発明の如く金属硫酸塩に珪藻土粉末を混合することにより、生成された硫酸が珪藻土粉末に吸収されるため、通気抵抗が高くなるのを防ぐことができる。
本発明によれば、共存する硫化水素(H2S)を干渉ガス除去部により除去した後のガスを測定することができ、その干渉影響を受けずにSO2の濃度を測定することができる。
また、本発明によれば、硫化水素の除去効果を長期間維持することができる。
以下、本発明に係るガスの好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である3電極定電位電解式センサの一例を示す断面図である。
図1に示すように、本実施の形態のガスセンサ1は、両端部にそれぞれ開口部2a、2bを 有する筒状の容器本体2と、容器本体2の両端部に取り付けられる第1及び第2の側板3A、3Bとを有し、容器本体2内には、硫酸、リン酸等の水溶液からなる電解液(電解質)20が充填されている。
容器本体2の一方の開口部2aには、例えば4フッ化エチレン樹脂(PTFE)からなるガス透過性の多孔質膜4に結着された対極5と比較電極6が電解液20に接した状態で設けられている。
対極5及び比較電極6は白金黒からなり、多孔質膜4と共に一対のゴムパッキン7、8によって挟まれた状態で、第1の側板3Aによって容器本体2の開口部2aが封止されるようになっている。
この第1の側板3Aには、対極5及び比較電極6に大気を供給するための空気孔30が設けられている。
容器本体2のもう一方の開口部2bには、例えば4フッ化エチレン樹脂(PTFE)からなるガス透過性の多孔質膜9に結着された作用電極10が電解液20に接した状態で設けられている。
作用電極10は、白金、金その他の貴金属からなり、バインダによって多孔質膜9上に貼付されるか、あるいは真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングの各法、または無電解めっき法によって多孔質膜9上に形成される。
この作用電極10は、多孔質膜9と共に一対のゴムパッキン11、12によって挟まれた状態で、第2の側板3Bによって容器本体2の開口部2bが封止されるようになっている。
なお、対極5、比較電極6、作用電極10は、それぞれリード線13、14、15を介して図示しない検出回路に接続されている。
第2の側板3Bには、多孔質膜9を介して測定ガスが電解液20に接触するように構成されたガス供給部31が設けられ、このガス供給部31は、測定ガスを導入するガス導入口32と、測定ガスを排出するガス排出口33に連通されている。
そして、本実施の形態においては、ガス供給部31の作用電極10に対してガス導入口32及びガス排出口33側に、H2Sガスを除去するための干渉ガス除去部16が配置されている。
ここで、干渉ガス除去部16はガス透過性の多孔質膜17、18によって挟まれた状態で保持されている。
この場合、ガス透過性の多孔質膜17、18としては、例えば4フッ化エチレン樹脂(PTFE)からなる膜を好適に使用することができる。
本発明の場合、干渉ガス除去部16の材料(除去剤)は、非水溶性(水に不溶又は難溶)の金属硫酸塩を主成分とするものである。
ここで、金属硫酸塩としては、例えば、硫酸銀(Ag2SO4)、硫酸鉛(PbSO4)、硫酸バリウム(BaSO4)からなる群から選択することができる。
この場合、除去剤は、市販の試薬粉末をそのまま用いるか、適当な担体に担持したものを使用することができる。
本発明の場合、干渉ガス除去部16の厚さは特に限定されることはないが、除去効率を保持し、かつ、通気抵抗をある程度低く保つ観点からは、2mm〜5mmとすることが好ましい。
なお、硫酸銀、硫酸鉛、硫酸バリウムは、単独で用いるほか、それぞれ混合して使用することも可能である。
また、金属硫酸塩の粉末に、珪藻土粉末を混合して用いることもできる。
本発明の場合、金属硫酸塩と珪藻土粉末の配合比は特に限定されることはないが、除去効率の確保の観点からは、5:1〜1:5とすることが好ましい。
このような構成を有する本実施の形態において、第2の側板2Bの導入口32を介して導入された測定ガスは、ガス供給部31の干渉ガス除去部16を通過する際、H2Sが、硫酸銀、硫酸鉛、硫酸バリウム等の金属硫酸塩と反応して除去される。
一方、SO2は金属硫酸塩と反応しないため、そのまま通過して作用電極10の表面に達する。そして、作用電極10では、式(4)に示す反応が生ずる。
SO2+2H2O → H2SO4+2H++2e- …(4)
その結果、本実施の形態によれば、作用電極10で反応して生ずる電流は、SO2のみの濃度に依存することになり、H2Sの干渉影響を受けずにSO2の濃度測定が可能となる。
さらに、硫酸銀、硫酸鉛、硫酸バリウムは、水に不溶あるいは難溶で吸湿性がないため、長期間空気中に放置しても除去能力は変化せず、通気抵抗が変化したりSO2を吸着又は吸収して除去してしまうこともない。
さらにまた、金属硫酸塩に珪藻土粉末を混合すれば、生成された硫酸が珪藻土粉末に吸収されるため、通気抵抗が高くなるのを防ぐことができる。
図2は、本発明の他の実施の形態を示す概略構成図である。
図2に示すように、本実施の形態においては、干渉ガス除去部を通気系の経路に配置したものである。
ここで、符号21は、検出部25に接続された定電位電解式SO2センサをチャンバ内に有するガスセンサであり、このガスセンサ21は、ガスを吸引するポンプ22に連結されている。
そして、本実施の形態においては、ガスセンサ21のガス流路前段に、上述した構成を有する干渉ガス除去部23が設けられている。
本実施の形態においては、ポンプ22によって測定ガスが吸引され、干渉ガス除去部23に導入される。ここで測定ガス中に含まれているH2Sは反応除去され、残りのガスがガスセンサ21に導入される。
ガスセンサ21ではH2Sが反応除去された測定ガスを測定するため、H2Sの干渉影響を受けずにSO2の高精度の濃度測定が可能になる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上述の実施の形態においては、3電極定電位電荷式のガスセンサを例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、例えば2電極定電位電解式センサや燃料電池式のガスセンサに適用することも可能である。
また、干渉ガス除去部の材料としては、非水溶性の金属硫酸塩であれば、上述した以外の材料を用いることも可能である。
さらに、本発明は、上記実施の形態のような測定ガスを強制的に供給するセンサのみならず、いわゆる拡散式のセンサにも適用することができるものである。
具体的に、干渉ガス除去部の条件を設定して図1に示す構成の3電極定電位電荷式のガスセンサを試作し、本発明の効果を確認した。
この場合、干渉ガス除去部の除去剤は、硫酸銀(市販の試薬粉末:商品名硫酸銀 関東化学社製)をそのまま用い、珪藻土粉末(商品名セライト Celite社製)と容量比1:1で混合したものを約100mgを直径10mm、厚さ2mmの層状に形成して充填した。
このガスセンサにH2SとSO2いずれも30ppmの混合ガスを流量200ml/minで供給し、センサから発生する電流値を測定した。その結果を表1に示す。
一方、比較例として、干渉ガス除去部を設けない従来のセンサについてのそれぞれのガスに対する電流値を同表に示した。
Figure 2005083956
表1に示すように、従来のセンサではH2Sに対する電流値が5.28μAであるのに対し、本発明のセンサでは約1/1000の0.005μAになっており、干渉ガス除去部においてH2Sガスがほとんど除去されていることが理解される。
一方、SO2に関しては、従来のセンサの電流値1.65μAと本発明のセンサの電流値1.5μAの差は小さく、SO2ガスは除去されず干渉ガス除去部をそのまま通過していることが理解される。
他方、干渉ガス除去部のH2S除去容量を調べるために、30ppmのH2Sガスを上記本発明のセンサに200ml/minで連続的に供給し、電流値が増大し始めるまでの時間を測定した。
その結果、約40時間その除去能力を維持することがわかった。除去能力は干渉ガス除去部へ充填する除去剤の量に依存するので、必要に応じて充填量を決定すればよい。
さらに、干渉ガス除去部の安定性を評価するために、上記本発明のセンサを空気中に放置し、H2S除去効果の経時的変化を調べたが、1年間放置しても除去効果に変化はなかった。
本発明の実施の形態である3電極定電位電解式センサの一例を示す断面図である。 本発明の他の実施の形態を示す概略構成図である。
符号の説明
1…ガスセンサ 2…容器本体 3A…第1の側板 3B…第2の側板 4…多孔質膜 5…対極 6…比較電極 9…多孔質膜 10…作用電極 16…干渉ガス除去部 17、18…多孔質膜 20…電解液(電解質) 31…ガス供給部 32…ガス導入口 33…ガス排出口

Claims (3)

  1. 電解質と接する作用電極と対極を有し、測定ガスを前記作用電極に供給して電気化学的に反応させ、前記作用電極と対極間に発生した電流に基づいて前記測定ガスの濃度を測定するガスセンサであって、
    前記測定ガスを前記作用電極に供給するガス供給部に、非水溶性の金属硫酸塩を主成分とする材料からなる干渉ガス除去部が設けられているガスセンサ。
  2. 前記干渉ガス除去部が、硫酸銀、硫酸鉛及び硫酸バリウムからなる群から選択される材料から構成されている請求項1記載のガスセンサ。
  3. 前記干渉ガス除去部が、前記金属硫酸塩に珪藻土粉末を混合した材料から構成されている請求項1又は2のいずれか1項記載のガスセンサ。
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