JP2005083873A - バイオセンサ - Google Patents

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Yoshihisa Suda
吉久 須田
Kunio Yamada
邦生 山田
Yasushi Hasebe
靖 長谷部
Shunichi Uchiyama
俊一 内山
Tokio Hagiwara
時男 萩原
Hiroko Kaneko
浩子 金子
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Abstract

【課題】 酵素などの生体由来分子または生体分子を金属層や高分子層を介さずに炭素基材に固定したバイオセンサを提供する。
【解決手段】 アモルファス炭素および結晶が一方向に配向した結晶性炭素とを含む炭素基材の端面に存在する多数のOH基などの反応性残基を利用して、塩化シアヌルなどの結合分子を介して、または吸着により直接、蛋白質または電子メディエータなどを固定化する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、酵素、抗体、電子移動メディエータ、糖タンパク質、細胞、微生物などの生体由来分子または生体分子を炭素基材に固定したバイオセンサに関する。
電気化学的測定に酵素センサを使用することは知られている。酵素センサのセンサ表面への酵素の固定化は、これまでは通常、重合体に結合させ、2官能性試薬によって架橋させて、膜の内側および膜の中に封入することによって、実施されてきた。これらの方法は、酵素分子が固相の厚い層の中に分布するという不都合がある。その結果、生成物が電極に拡散することが阻害され、センサの反応時間が長くなり、感度が低下する。
特開平8−233773公報には、貴金属表面を有する支持材上に吸着された結合分子を介して酵素を固定することが開示されている。
本願出願人による特願2002−320261号には、炭素基材を貴金属層で海島状に覆って貴金属表面のみに選択的に結合分子を吸着させて酵素を固定したバイオセンサが開示されている。また本願出願人による特願2003−096624号には、側鎖にマレイミド基を有する高分子化合物を介して酵素を炭素基材に固定したバイオセンサが開示されている。
特開平8−233773号公報
本発明の目的は、酵素、抗体、電子移動メディエータ、糖タンパク質、細胞、微生物などの生体由来分子または生体分子を金属層や高分子層を介さずに炭素基材に固定したバイオセンサを提供することにある。
本発明のバイオセンサは、液不透過性を有する炭素基材と、該炭素基材に、該炭素基材の表面に存在する反応性残基を介し、金属層または高分子層を介さずに固定された生体由来分子または生体分子とを具備することを特徴とする。
前記炭素基材は、アモルファス炭素および該アモルファス炭素中に分散し結晶が実質的に一方向に配向した結晶性炭素とを含むことが好ましい。
前記生体由来分子または生体分子は、例えば前記炭素基材表面の反応性残基に化学的に結合した低分子量の結合分子を介して炭素基材に固定される。
或いはまた、前記生体由来分子または生体分子は、前記炭素基材に直接固定される。
前記生体由来分子または生体分子は、例えば、酵素及び/又は該酵素の電極反応を促進する電子移動メディエータである。
液不透過性を有する炭素基材、とりわけその中でもアモルファス炭素およびアモルファス炭素中に分散し結晶が実質的に一方向に配向した結晶性炭素とを含む炭素基材は、その端面に反応性残基を多数有するので、それに化学的に結合した塩化シアヌルなどの低分子量の結合分子を介して、または吸着により直接、酵素などの生体由来分子または生体分子を固定することができる。
PFC(Plastic Formed Carbon)の作製
(実施例1)
PFC電極作製のための素材(アモルファス炭素源)として、塩素化塩化ビニル樹脂(日本カーバイド社製 T−742)35質量%、フラン樹脂(日立化成社製 ヒタフランVF−302)45質量%、の混合樹脂系を用い、これに黒鉛微粉末(日本黒鉛社製 SP−300S 平均粒度2μm)20質量%を複合した組成物100質量%に対し、可塑剤としてジアリルフタレートモノマー20質量%を添加して、ヘンシェル・ミキサーを用いて分散した後、表面温度を120℃に保ったミキシング用二本ロールを用いて十分に混練を繰り返してシート状組成物を得、ペレタイザーによってペレット化し成形用組成物を得た。このペレットをスクリュー型押出機で直径3.6mmのダイスを用い脱気を行いつつ130℃で3m/秒の速度で押し出し、これを枠に固定して、180℃に加熱されたエアー・オーブン中で10時間処理してプリ・カーサー(炭素前駆体)線材とした。次に、これを窒素ガス中で500℃までを10℃/時、500℃から1000℃迄を50℃/時の昇温速度で昇温し、その後1500℃迄を100℃/時で昇温し、1500℃で3時間保持した後自然冷却して焼成を完了した。また、上記ペレットを1.2mm×60mm角のダイスを用いシート成形し同様に1500℃まで焼成し、得られた厚み1mmの板の水素ガス気体透過係数を差圧法で測定したところ、6.2×10-13cm3・cm/cm2・sec・cmHgであった。これにより液不透過性が確認された。
(実施例2)
アモルファス炭素源として、塩素化塩化ビニル樹脂(日本カーバイド社製 T−742)30質量%、フラン樹脂(日立化成社製 ヒタフランVF−302)40質量%、の混合樹脂系を用い、これに黒鉛微粉末(日本黒鉛社製 CSSP−B 平均粒度1μm)30質量%を複合した組成物100質量%に対し、可塑剤としてジアリルフタレートモノマー20質量%を添加して、ヘンシェル・ミキサーを用いて分散した後、表面温度を120℃に保ったミキシング用二本ロールを用いて十分に混練を繰り返してシート状組成物を得、ペレタイザーによってペレット化し成形用組成物を得た。このペレットをスクリュー型押出機で直径3.6mmのダイスを用い脱気を行いつつ130℃で3m/秒の速度で押し出し、これを枠に固定して、180℃に加熱されたエアー・オーブン中で10時間処理してプリ・カーサー(炭素前駆体)線材とした。次に、これを窒素ガス中で500℃までを10℃/時、500℃から1000℃迄を50℃/時の昇温速度で昇温し、その後1500℃迄を100℃/時で昇温し、1500℃で3時間保持した後自然冷却して焼成を完了した。また、上記ペレットを1.2mm×60mm角のダイスを用いシート成形し同様に1500℃まで焼成し、得られた厚み1mmの板の水素ガス気体透過係数を差圧法で測定したところ、1.8×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHgであった。
(実施例3)
チロシナーゼ固定化炭素電極によるカテコールの電気化学検出
3−1 チロシナーゼ固定化炭素基材の作製
A:PFCへのチロシナーゼの固定化
PFC電極の前処置(前処理1)
実施例1で得られた直径3mm、長さ50mmの炭素基材(PFC電極棒)の端面と両端面から長さ10mmの範囲の側面をエメリーペーパー(600番)で研磨し蒸留水中で5分間超音波洗浄し、100℃のドライオーブンで5分間乾燥させた後、以下に示す5種類の方法でチロシナーゼを固定化した。
1)塩化シアヌル法
前処理1を行ったPFC棒をトルエン中で10分間超音波洗浄した。次に50mMの塩化シアヌル/トルエン溶液に所定時間、室温にて浸漬させることによりPFCエッジ面のOH基を活性化した。再びトルエン中で超音波洗浄を2分間行った後、窒素気流下室温で10分間乾燥させた。このPFC棒を5mlのチロシナーゼ(ポリフェノールオキシダーゼ、EC.1.14.18.1,>2500units/mg、マッシュルーム由来)水溶液(0.25mg/ml蒸留水)に室温にて24時間浸漬することによりチロシナーゼ固定化PFCを得た。固定化の概略図を図1に示す。この方法は酵素(蛋白質)表面のリジン残基のε−アミノ基あるいは蛋白質表面に存在する糖鎖の水酸基を介して蛋白質を化学修飾するものである。
2)APTES−グルタルアルデヒド法(APTES−GA法−1)
前処理1を行ったPFC棒をγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)原液5mlに室温で1h浸漬させることによりPFC表面をアミノシリル化した。トルエンで5分間超音波洗浄し吸着種を除いた。窒素気流下で10分間乾燥させた後、1%グルタルアルデヒド(GA)水溶液に所定時間浸した。蒸留水で洗浄し吸着種を除去した後、5mlのチロシナーゼ水溶液(0.25mg/ml蒸留水)に室温にて24時間浸漬することによりチロシナーゼ固定化PFCを得た。固定化の概略図を図2に示す。この方法は酵素(蛋白質)表面のリジン残基のε−アミノ基および電極表面に修飾したAPTES末端のアミノ基同士をGAにより架橋することにより蛋白質を化学修飾するものである。
3)カルボジイミド脱水縮合法(WSC脱水縮合法)
前処理1を行ったPFC棒を15%の熱硝酸溶液で15分間処理し電極表面官能基を酸化しCOOH密度を増大させた。50mMの水溶性カルボジイミド(WSC)[正式名称:1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸]水溶液に所定時間浸漬し(o−アシルイソ尿素中間体)を形成させた。WSC活性化PFCを蒸留水で洗浄した後、5mlのチロシナーゼ水溶液(0.25mg/ml蒸留水)に室温にて24時間浸漬することによりチロシナーゼ固定化PFCを得た。固定化の概略図を図3に示す。この方法は酵素(蛋白質)表面のリジン残基のε−アミノ基と電極表面のCOOH基から脱水縮合剤(WSC)によりアミド結合を形成させ蛋白質を化学修飾するものである。
4)塩化チオニル法
前処理1を行ったPFC棒を15%の熱硝酸溶液で15分間処理し電極表面官能基を酸化しCOOH密度を増大させた。50mMの塩化チオニル/トルエン溶液に24時間浸漬しCOOH基を修飾した。トルエンで5分間超音波洗浄し吸着種を除いた後、窒素気流下で10分間乾燥させた。5mlのチロシナーゼ0.25mg/ml水溶液(蒸留水)に室温にて24時間浸漬することによりチロシナーゼ固定化PFCを得た。固定化の概略図を図4に示す。この方法は炭素表面のCOOHから酸塩化物を形成させた後、酵素(蛋白質)表面のリジン残基と反応させ、アミド結合を介して蛋白質を化学修飾するものである。
5)吸着法
前処理1を行ったPFC棒を5mlのチロシナーゼ水溶液(0.25mg/ml蒸留水)に室温にて24時間浸漬することによりチロシナーゼ吸着PFCを得た。
得られた酵素固定化PFCはすべて蒸留水で注意深く洗浄した後、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)に浸し4℃で保存した。
B:ガラス状炭素(GC)へのチロシナーゼの固定化
ガラス状炭素(GC)電極(直径3mm)(ビー.エー.エス(株)製 CV用GCEグラッシーカーボン電極)は炭素の周りの絶縁性高分子をエッジングして炭素部分を2mm露出させたものを用いた。定法に従いGC端面をアルミナ研磨し蒸留水中で超音波処理した後、窒素気流下で乾燥させた。
GCの炭素部分を50mMの塩化シアヌル/トルエン溶液に1h浸漬させた後トルエンで洗浄した。窒素気流下で10分乾燥させた後、5mlのチロシナーゼ水溶液(0.25mg/ml蒸留水)に室温にて24時間浸漬することによりチロシナーゼ固定化GC電極を得た。得られたチロシナーゼ固定化GC電極を蒸留水で注意深く洗浄した後、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)に浸し4℃で保存した。固定化の概略図は基本的に図1と同様である。
1−2 カテコールの電気化学増幅検出
それぞれの固定化法の電気化学応答を比較する前に、測定に先立ち図5に示すようにPFC棒の端面と側面の上下10mmを残して残りの側面(30mm)をパラフィルムで覆い絶縁した。
PFC電極とGC電極との応答を比較する際には、みかけの電極表面積を統一するため、図6に示すように、PFC電極の側面上10mmのみを残し残り(40mm)をパラフィルムで絶縁し、端面(直径3mm)のみを露出させて応答を比較した。GC電極は露出している炭素部分の端面(3mm)を残し側面(2mm)をパラフィルムで覆い絶縁した。
電気化学測定は、図7の電気化学セルで行った。電解液には酸素飽和した10mlの0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)10を用いた。チロシナーゼ固定化電極12を作用極、白金線14を対極、Ag/AgCl電極(内部液:飽和KCl)16を参照極とする3電極系で電解液10をマグネチックスターラー18により一定速度で攪拌した。作用極12にはAg/AgCl参照極16の電位を基準として−0.050V(vs.Ag/AgCl)をポテンショスタットで印加した。ベース電流が一定になったところで0.02mM、0.1mM、1mMのカテコール標準溶液100μlをマイクロピペット20で電解液(10ml)に添加した。1回の添加で標準溶液中のカテコールは希釈され電解液中の濃度は添加前の約1/100となる。カテコールは電極表面に拡散し固定化チロシナーゼの触媒作用によりo−キノンに酸化されるが、o−キノンは炭素電極で−0.050Vにおいて電解還元されてカテコールが再生される。このカテコールが再び酵素反応を受けることにより図8に示すリサイクリング反応が生じ増幅された電流応答を得ることができる。定常値が得られたところで再びカテコールを加え同様の操作を繰り返すことにより図9に示すような階段状の応答曲線が得られた。試料を添加した後、定常値に達するまでの時間(応答時間)は10秒〜15秒以内と迅速である。
各固定化法で作製したチロシナーゼ固定化PFCでカテコール0.2μM(2×10-6M)〜100μM(10-4M)までの検量線を作製した。5種類の固定化法の中では塩化シアヌル法が最も高感度かつ再現性に優れた応答を示した。表1に示すように各修飾法において反応時間などにより応答に差が生じるが、それぞれの方法における最良の検量線(図10)からセンサの感度(検量線の傾き)および検出限界を比較すると、感度の大きな順に塩化シアヌル法>WSC脱水縮合法>APTES−GA法>塩化チオニル>吸着法となった。またベース電流の大きさや電位印加後ベース電流が安定するまでの時間は各方法で差があり、吸着法<塩化シアヌル法<APTES−GA法<WSC脱水縮合法<塩化チオニル法の順にベース電流が大きく安定時間が長くなった。
塩化シアヌル法により作製したチロシナーゼ固定化PFCの検量線の直線領域は0.01μM〜30μM、感度(直線領域の傾き:104.8nA/μM)であり出力限界電流を0.5nAとして見積もった検出限界は4.7μMであった。同一条件で作製したGC電極の応答と比較すると図11に示すように(直線領域の傾き:17.7nA/μM)でありPFCのほうが感度で約6倍優れていることがわかった。キノン→カテコールの電子移動速度の違い、表面に存在する反応性残基の量の違いによる酵素固定化量の違いが要因として考えられる。
Figure 2005083873
(実施例4)
グルコースオキシダーゼ固定化炭素電極によるグルコースの電気化学検出
2−1 グルコースオキシダーゼ固定化炭素基材の作製
A:PFCへのグルコースオキシダーゼの固定化(APTES−GA法−2)
前処理1を行ったPFC棒をγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)原液5mlに室温で1h浸漬させることによりPFC表面をアミノシリル化した。トルエンで5分間超音波洗浄し吸着種を除いた後、窒素気流下で10分間乾燥させた。APTES処理したPFC端面を上に向けて5μlのグルコースオキシダーゼ(GOD;EC1.1.3.4,from aspergillus niger,>180units/mg)溶液(10mg/ml)と5μlの1%グルタルアルデヒド(GA)を混合した溶液(計10μl)をPFC端面に載せ、500mlのビーカーをかぶせ室温で8h放置した。これによりPFC表面のアミノ基とGODおよびGOD同士を架橋させPFC表面に酵素層を形成させた。図12に表面の模式図を示す。図2のAPTES−GA法−1と異なる点は、酵素とGA混合液をAPTES処理したPFC上で架橋させることにより、酵素同士の架橋反応が生じ多層の酵素層が電極上に形成される点である。得られた酵素固定化PFC電極を注意深く純水で洗浄した後、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)に浸し4℃で保存した。
B:GCへのグルコースオキシダーゼの固定化(APTES−GA法−2)
GC電極(直径3mm)は炭素の周りの絶縁性高分子をエッジングして炭素部分を2mm露出させたものを用いた。定法に従いGC端面をアルミナ研磨し蒸留水中で超音波処理した後、窒素気流下で乾燥させた。
GCの炭素部分をAPTES原液5mlに室温で1h浸漬させることによりGC表面をアミノシリル化した後、PFCと同様に処理してGOD固定化GC電極を得た。
2−2 電気化学測定
サイクリックボルタンメトリー(CV)測定は図7の電気化学セルで行った。作用極12には炭素電極(PFCおよびGC)を用いた。図6に示すようにPFC、GC共に炭素端面(直径3mm)のみを露出させ、それ以外の炭素側面はPFC棒の上部10mm(端子として利用)を除きパラフィルムで絶縁した。電解液には1mMのハイドロキノン(HQ)を含むpH6.0の0.1Mリン酸緩衝液10mlを用いた。窒素ガスを20分間電解液に吹き込み電解液中の溶存酸素を完全に除去した。CV測定条件は下記の通りである。
初期電位:−0.6V 折り返し電位:+0.8V 電位スキャン速度:50mV/s
図13には表面状態の異なるPFC電極のサイクリックボルタモグラムを示す。AおよびBは未処理(研磨のみ)およびAPTES処理後のPFC電極のボルタモグラムである。ベンゾキノン/HQの可逆な酸化還元波が0.1V近傍に観察される。APTES処理により若干ピーク電流値が減少するもののピーク電位は変化していないことからAPTES処理後もPFC電極本来の良好な電子移動特性が保たれていることがわかる。一方、CはAPTES−GA−2法により酵素多重層を形成させた後のボルタモグラムである。Bに比べピーク電流がやや減少しピーク間電位差も広がり酸化還元波がやや不可逆な形状に変化している。図12に示すように、GODの蛋白質多重層が電極表面に形成されることによりヒドロキノンの電極表面への拡散が抑制されるためと考えられる。DはC測定後電解液にグルコース12mMを添加し10秒間溶液を攪拌した後に攪拌を止め測定したサイクリックボルタモグラムである。ベンゾキノン→HQに由来する還元波がほぼ完全に消失し、HQ→ベンゾキノンに伴う酸化波が著しく増大した。これは下記に示すHQ/ベンゾキノンを電子メディエーターとするグルコースオキシダーゼ反応が電極表面で生じたことを示している。すなわち電極反応で生じた1,4−ベンゾキノン(式1)が、グルコースオキシダーゼ反応で生じた還元型酵素(GOD−FADH2)(式2)と反応して酵素を酸化再生させ自身はHQに変化し(式3)、生じたHQが再び1,4−ベンゾキノンに酸化されることでこの酵素触媒サイクルが繰り返されることになる。
HQ → 1,4−ベンゾキノン + 2e- + 2H+ (1)
グルコース+GOD−FAD(酵素酸化型)→
グルコノラクトン+GOD−FADH2(酵素還元型) (2)
GOD−FADH2(酵素還元型)+1,4−ベンゾキノン→
GOD−FAD(酵素酸化型)+HQ (3)
次にこの結果に基づき、+0.3Vで定電位アンペロメトリーを行った。結果を図14に示す。電解液0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)10mlをマグネティックスターラーで一定速度で攪拌し電位を印加した後バックグランド電流が一定になったところで0.2mMのHQを添加すると式1に基づく酸化電流が生じた。定常値に達したところで1mMのグルコースを10回添加すると階段状の電流応答が得られた。応答時間は30秒から2分である。実施例3に比べ比較的長時間を要する理由は、図11に示すようにAPTES−GA法−2では酵素同士の架橋によりAPTES層の上部に酵素多重層が形成されるため、実施例3の各方法に比べ酵素膜層が厚くなっているためである。グルコースに対する電流応答はHQ濃度に依存し、概してHQ濃度が高くなるほどグルコース応答も増大した。図15には1mMのHQを電子メディエーターとするグルコースの検量線をPFCとGCで比較して示す。この測定条件ではGCではほとんど応答を得ることができなかった。GOD固定化GCのCV測定より、HQ→ベンゾキノンへの酸化が+0.3Vよりも高電位値(ピーク電位:+0.5V)にシフトしていること、APTESはエッジ面のOHに対して結合するためPFCとGCのエッジ官能基の違いにより酵素修飾量が異なることなどが要因として考えられる。以上の結果は、エッジ官能基を高密度に有するPFCが化学修飾による高機能バイオセンサの作製に極めて有利であることを裏付ける結果である。
(実施例5)
電子メディエーター吸着炭素電極の作製とNADHの電気化学検出
1)電子メディエーター吸着炭素基材の作製
PFC端面(直径3mm)をエメリーペーパー(2000番)で研磨した後、純水中で5分間超音波洗浄した。100℃のドライオーブンで5分間乾燥させた後、図16に示す6種類の電子メディエーターの2mMエタノール溶液5μlをPFC電極(直径3mm)の端面に載せ、500mlビーカーをかぶせ室温で6h乾燥させた後、蒸留水で洗浄した。GC電極を定法に従ってアルミナ研磨し、蒸留水中で超音波洗浄し室温で風乾した後、PFCと同様に処理して電子メディエーター吸着GC電極を作製した。
2)電気化学測定
2−1 電子メディエーター吸着PFCの電気化学特性
電気化学測定は図7に示す1室型セルで行った。電解液には0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)10mlを用い、作製した電子メディエーター吸着電極を作用極、対極には白金線、参照極にはAg/AgCl電極を用いた。測定の前に窒素ガスを20分間バブリングして電解液中の溶存酸素を除去した。図17にDCPIP吸着電極およびMPMS吸着電極についてPFCとGCのサイクリックボルタモグラムを比較して示す。
CV測定条件は下記の通りである。
DCIPC 初期電位:−0.2V 折り返し電位:+0.25V
電位スキャン速度:20mV/s
MPMS 初期電位:−0.5V 折り返し電位:+0.1V
電位スキャン速度:20mV/s
DCPIP、MPMSいずれもPFCで明らかに可逆な電子移動反応に基づく酸化還元波が得られたのに対し、GCでははっきりとした酸化還元波は得られなかった。これらの酸化還元波は電子スキャン50回繰り返しても減衰せず、安定に固定化されていることがわかった。グラファイト結晶のベーサル面にメチレンブルーなどの多環芳香族化合物が吸着することが既に報告されている。PFCはグラファイトエッジの表面密度が高くそれが同一面に整列していることなどがこれらの色素(電子メディエーター)の強い吸着の要因と考えられる。図18には電子スキャン速度を変えたときのチオニン吸着PFC電極のサイクリックボルタモグラムを示し、図19にはピーク電流とスキャン速度の関係を示す。ピーク電流は電位スキャン速度に比例して増大し、この応答が吸着電気活性種のものであることを支持している。表2に6種の電子メディエーター吸着PFCの電気化学特性をまとめて示す。ピーク間電位差はメルドラブルーを除き概ね26mVから42mV程度で表面密度は1.08(×10-10)mol/cm2〜2.99(×10-10)mol/cm2であった。
Figure 2005083873
2−2 NADHの電気化学検出
NADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド還元型)は300種を超えるデヒドロゲナーゼ(脱水素酵素)の基質型補酵素であり、迅速簡便なNADH定量法はデヒドロゲナーゼ基質測定の観点から食品分析・医療計測の分野で重要なテーマである。一般にNADHを電解酸化する場合には比較的高い印加電圧を必要とする。例えばpH7のリン酸緩衝液中において100mV/sで電位wをスキャンさせた場合、NADHの酸化ピーク電位はGCでは+0.5V(vs.Ag/AgCl)、PFCでは+0.3V(vs.Ag/AgCl)程度である。この電位領域では実試料に存在する被酸化性物質も酸化されるため、これらの妨害が問題となる。そこで各種電子メディエーターを電解触媒として用いることにより検出電位を低電位側にシフトさせる試みが行われている。今回作製した電子メディエーター吸着PFC電極を用いてNADHの電解触媒応答を測定した。
今回作製した電子メディエーター吸着PFCの中では特にMPMS吸着PFC電極において最も検出電位を定電位側にシフトさせることに成功した。MPMS吸着PFCのNADH共存下および非共存下でのサイクリックボルタモグラムを図20に示す。−0.15V近傍の酸化還元波は1mMのNADH添加後図のように変化し還元波が消失して酸化波が増大した。これは下記の電解触媒反応の進行を示唆している。
NADH + MPMS(酸化型) → NAD+ + MPMS(還元型) (4)
MPMS(還元型) → MPMS(酸化型)+2H+ + 2e- (5)
同一の電解セルを用いて溶液を一定速度で攪拌し、−0.1Vで定電位アンペロメトリーを行い、NADHの検量線を作製した。NADH標準溶液の所定量を電解液に添加するとほぼ1分程度で定常値に達した。図21に示すように検量線はNADH濃度10μMから120μMの範囲で直線性を示し、5nAを出力限界として見積もった検出限界は1.22μMであった。さらに実施例3および実施例4の方法を組み合わせて電子メディエーターと共にデヒドロゲナーゼを固定化すれば、各種デヒドロゲナーゼ基質計測用センサの作製も可能である。
炭素基材上への塩化シアヌル法による蛋白質固定化の概念図である。 炭素基材上へのAPTES−GA法による蛋白質固定化の概念図である。 炭素基材上へのwsc脱水縮合法による蛋白質固定化の概念図である。 炭素基材上への塩化チオニル法による蛋白質固定化の概念図である。 電気化学測定に用いたPFC電極を示す図である。 GC電極との応答の比較に用いたPFC電極を示す図である。 測定に用いた電気化学セルを示す図である。 カテコールのリサイクリング反応を示す概念図である。 チロシナーゼ固定化PFCによるカテコールの時間−電流曲線を示すグラフである。 それぞれの固定化法により得られたカテコールの検量線を示すグラフである。 チロシナーゼ固定化PFCとGCの検量線を示すグラフである。 炭素基材へのAPTES−GA法−2による蛋白質の固定化の概念図である。 表面状態の異なるPFC電極のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 グルコースオキシダーゼ固定化PFCの時間−電流曲線を示すグラフである。 グルコースオキシダーゼ固定化PFC電極とGC電極の検量線を示すグラフである。 各種のメディエータの構造を示す図である。 DIPIPおよびMPMSを吸着させたPFC電極とGC電極のCVの比較を示すグラフである。 電位スキャン速度を変えたときのチオニン吸着PFC電極のCVを示すグラフである。 ピーク電流とスキャン速度との関係を示すグラフである。 MPMS吸着PFC電極のNADH添加前後のCVを示すグラフである。 MPMS吸着PFCによるNADHの検量線を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 液不透過性を有する炭素基材と、
    該炭素基材に、該炭素基材の表面に存在する反応性残基を介し、金属層または高分子層を介さずに固定された生体由来分子または生体分子とを具備するバイオセンサ。
  2. 前記炭素基材は、アモルファス炭素および該アモルファス炭素中に分散し結晶が実質的に一方向に配向した結晶性炭素とを含む請求項1記載のバイオセンサ。
  3. 前記生体由来分子または生体分子は、前記炭素基材表面の反応性残基に化学的に結合した低分子量の結合分子を介して炭素基材に固定される請求項1または2記載のバイオセンサ。
  4. 前記生体由来分子または生体分子は、前記炭素基材に直接固定される請求項1または2記載のバイオセンサ。
  5. 前記生体由来分子または生体分子は、酵素及び/又は該酵素の電極反応を促進する電子移動メディエータである請求項1〜5のいずれか1項記載のバイオセンサ。
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