JP2005083795A - 繊維材評価方法及び繊維材検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 不織布等のシート状繊維材における貫通部分の形状等の構造を可視化し、貫通部分の面積、貫通率等及び厚さ方向におけるミクロな貫通特性を定性、定量して評価し得る繊維材評価方法を提供する。
【解決手段】 金属製高反射材11上に不織布13を載置し、載置された不織布13の繊維構造を、金属製高反射材11の高反射な載置面に対向配置された対物レンズ14を備えた共焦点型レーザ顕微鏡12を用いて評価する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、不織布等の三次元に繊維質を絡ませたシート状繊維材の構造を評価・検査する繊維材評価方法及び繊維材検査装置に関する。
不織布等をはじめ、繊維質を三次元に絡ませたシート状の繊維材料の構造上の評価や検査は一般に気孔率によって行なわれ、この気孔率が材料選択の指標となっていた。この気孔率は、繊維密度や配合量から計算されるものであるが、経験的な判断に委ねられることが多いばかりか、材料全体での評価しか行なえず、材料中に局部的に欠陥があるかどうかを評価することは困難であった。
一方、不織布などシート状繊維材料は、各種電池、例えば燃料電池のセルを構成するセパレータ等として用いられている。燃料電池のセパレータ等に用いられる場合、繊維材料において貫通部分が多数あったり貫通面積が大きいときには正極−負極間の短絡に直結する問題がある。この貫通部分が密集もしくは大サイズ(数十μm以上)であれば容易に検知が可能であるが、上記のような気孔率による評価では局部的にあるいは小面積(直径換算10μm以下)で存在する貫通部分を発見することは難しい。
そのため、存在する貫通部分が局部的で数μm程度のサイズである場合には、貫通部分の検知ができないばかりか、ミクロサイズでの厚さ方向の貫通状態がどのようであるかを定量的に把握することも困難であり、微小な領域による短絡への寄与が不明のまま経験的に不織布などの仕様を決定していたのが実情である。特に不織布には高い電解液の保持性が求められるので高い気孔率を有することが必要である反面、効率面からはより薄いことが望まれる。したがって、数μm程度の貫通部分であっても電池内では正負間の短絡が起きやすい傾向にある。
また、共焦点型顕微鏡などの光学系を用いた評価法では、繊維材料の焦点のあった高さ全体の観察は可能であるが、厚さ方向の深部における貫通の有無まで判断することは困難である(例えば、特許文献1参照)。つまり、一般に共焦点型顕微鏡は、観察試料表面からの反射を利用したものであり、傾斜が大きく、厚み方向に深くなるにつれて反射して戻ってくる光が弱くなるため、暗部としてしか認識することはできない。
特開平11−64797号公報
上記したように、従来知られている技術では、例えば燃料電池用(セパレータ等)など使用目的に応じて求められる貫通特性を詳細に判定することは不可能であり、特にシート状の材料の場合に材料面の一部に局部的にできた貫通状態(形状や面積等)や片側の表面から厚さ方向におけるミクロな貫通特性を定量的に把握することができる技術は確立されていないのが現状である。
本発明は、上記に鑑み成されたものであり、シート状繊維材が個々に有する貫通部分の形状等の構造を可視化し、貫通部分の面積、貫通率等及び厚さ方向におけるミクロな貫通特性を定性でき、定量的に評価することができる繊維材評価方法並びに繊維材検査装置を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
上記目的を達成するために、本発明の繊維材評価方法は、反射材料上にシート状繊維材を載置し、載置されたシート状繊維材の繊維構造を、反射材料の載置面に対向配置された対物レンズを備えた共焦点型光学系を用いて評価するように構成したものである。
本発明の繊維材評価方法においては、共焦点型光学系を用いて三次元画像を得ると共に、被評価物であるシート状繊維材を載置するステージを反射材料で構成し、シート状繊維材を厚さ方向に貫通する貫通部分を通過し反射材料で反射されて戻ってきた光を検出して評価を行なう。
本発明の繊維材評価方法では、光反射性の反射材料をステージとするので、繊維材に入射されて戻ってくる間に極微弱となって従来検出できなかった光を反射材料で高反射させることができ、さらに共焦点型光学系による三次元の画像を得るので、シート厚方向の深部の貫通情報をも得ることが可能となる。これにより、これまで暗像としてしか捉えられなかった観察面から厚み方向の深部に至る貫通状態が光情報として得られ、貫通部分の存在を詳細に評価できると共に、貫通位置や分布、数、形状、大きさなどの貫通特性をも評価することが可能となる。そして、貫通部分が観察された共焦点画像を解析処理することで、貫通形状や貫通率などの具体的評価を行なうことができる。
その結果、例えば燃料電池のセパレータとして用いる場合などにおいて、正負極間の短絡に対する貫通部分の寄与を定性的に、またその貫通特性の程度を定量的に把握することが可能になり、貫通部分に要求される繊維材個々の繊維構造の、使用目的に応じた適否、仕様を評価、決定することができる。特に不織布は、燃料電池のセパレータ等をはじめ電池用材料として用いられており、正極/負極間にリークが生ずるような貫通部分がどの程度であるかを評価することは短絡を回避するうえで不可欠であり、またより薄く構成されるのが効率的であるので、局部的に存在し、微小に存在する貫通部分を定性的かつ定量的に把握できる観点から有用である。
本発明の繊維材評価方法は、共焦点型光学系を用いて得た共焦点画像によりシート状繊維材の貫通部分を定量可能であり、容易に評価や目的に応じて要求される仕様の決定を行なうことができる。具体的には、共焦点型光学系によって観察された共焦点画像を適宜選択した市販の画像解析ツールを用いることによって、シート全面積中における貫通面積や貫通率、貫通数等として得ることができる。
本発明の繊維材評価方法においては、反射材料の上に載置されたシート状繊維材上に更に透明板を載置し、載置された透明板を介してシート状繊維材を加圧圧縮しながら評価することができる。これにより、シート状繊維材が圧縮されることにより変化する貫通部分の形状に起因する貫通特性を評価することができる。例えば燃料電池への実装を模擬する場合などにおいて、繊維材の最適な厚さや圧縮条件等を含めた電池設計を行なうことができる。
また、シート状繊維材に電解液を含浸すると共に、反射材料と該反射材料及び対物レンズの間に反射材料の載置面に対向して設けられた透明板との間に空隙を有して気密に構成された室の、前記反射材料(載置面)上に、電解液が含浸されたシート状繊維材を載置し、透明板を介して該シート状繊維材を加圧圧縮して評価するようにすることができる。これにより、例えば不織布を燃料電池用の材料(セパレータ等)として用いた場合など、現実に生じ得る面方向の圧力付与に加えて電解液に伝えられる静水圧の影響による不織布の変形をも考慮した、貫通形状に起因した貫通特性を評価することができる。つまり、上記のように単にシート状繊維材上に透明板を載置して圧縮する簡易な構成に比して、より詳細に最適化された厚さや圧縮条件等を採用した電池設計を行なうことができる。
上記のように加圧圧縮を行なって評価する場合には、更にシート状繊維材を載置する反射材料を、電池用電極材又は該電池用電極材の表面を反射材料で被覆してなる高反射電極材で構成することができる。これにより、実際の電池(燃料電池や二次電池など)を想定した評価が行なえ、貫通部分において露出する電極材表面を計測、観察することが可能であるので、電池として構成されたときに短絡を生じ得るか否かの評価を定量的に行なうことができる。上記の電池用電極材には、特に燃料電池用電極材や二次電池用電極材などを選択することができる。
本発明の繊維材検査装置は、シート状繊維材を載置する反射材料と、前記反射材料の載置面に対向配置された対物レンズを有する共焦点型光学系と、で構成したものである。
本発明の繊維材検査装置は、上記した繊維材評価方法を用いてシート状繊維材の評価を行なうのに好適な装置であり、既述したように、共焦点型光学系と共にステージとして光を高反射させ得る反射材料を備えるので、繊維材に入射されて戻ってくる間に極微弱となって従来検出できなかった光を反射材料で高反射させて厚さ方向を含めた三次元画像が得られ、シート厚方向の深部に至る貫通情報を得ることができる。その結果、製造ラインの検査工程において、上記の繊維材評価方法を用いた品質検査装置を構築することができる。
また、本発明の繊維材検査装置は、反射材料及び共焦点型光学系と共に、反射材料と対物レンズとの間に反射材料の載置面に対向して設けられた透明板と、反射材料の側端及び前記透明板の側端に周設された側面部材と、反射材料及び前記透明板と前記側面部材との間をシールするシール材とを更に設けて構成することができる。これにより、既述した、反射材料と該反射材料及び対物レンズの間に反射材料の載置面に対向して設けられた透明板との間に空隙を有して気密に構成された室を設けることができ、この気密性の室内に電解液が含浸されたシート状繊維材を配置し、透明板を介して加圧圧縮しながら評価可能であるので、現実に生じ得る面方向の圧力付与に加えて電解液に伝えられる静水圧の影響による不織布の変形をも考慮した、貫通形状に起因した貫通特性を評価することができる。
本発明によれば、シート状繊維材が個々に有する貫通部分の形状等の構造を可視化し、貫通部分の面積、貫通率等及び厚さ方向におけるミクロな貫通特性を定性でき、定量的に評価することができる繊維材評価方法並びに繊維材検査装置を提供することができる。
以下、本発明の繊維材評価方法について、本発明の繊維材検査装置の説明を通じて詳述する。
本発明の繊維材評価方法は、反射材料上にシート状繊維材を載置し、載置されたシート状繊維材の繊維構造を、反射材料の載置面に対向配置された対物レンズを備えた共焦点型光学系を用いて評価するものであり、本発明の繊維材検査装置を用いて好適に実施することができる。
本発明の繊維材検査装置は、シート状繊維材を載置する反射材料と、該反射材料の載置面に対向配置された対物レンズを有する共焦点型光学系と、で構成されており、例えば図1に示すように好適に構成することができる。繊維材検査装置10は、反射材料11と共焦点型光学系12とを、対物レンズ14が反射材料11のシート状繊維材が載置される載置面と対向するように配置して構成されている。
反射材料は、少なくともシート状繊維材が載置される面(載置面)が光反射性を示すものであり、好ましくは高い光反射性を示す載置面を有して構成される(高反射材料)。高反射材料である場合の高い光反射性は、反射材料に反射された反射光束の入射光束に対する割合〔正反射率(%)〕を指標とすることができ、正反射率が80%以上であることが好ましい。また、載置面の平滑性は、所望の光反射性が得られる範囲で適宜選択でき、平滑なほど鏡面となるので好ましい。
反射材料は、例えば、アルミニウムや銀等の金属など鏡面性の材料を用いて好適に構成することができる。反射材料は、その載置面が光反射性であれば任意に構成することが可能であり、例えば、反射材料の全体が鏡面性の材料で構成されてもよいし、載置面のみを鏡面性の材料で構成して光反射性にするようにしてもよい。
共焦点型光学系には、例えばレーザー顕微鏡等の共焦点型顕微鏡などが含まれる。共焦点型は、被評価物に対し入出射される光の方向(厚さ方向)を含む三次元的な画像を得ることができる。本発明においては、上記正反射率の観点から、入射光が反射材料のシート状繊維材載置面に略垂直となるように共焦点型光学系を配置することが望ましい。
本発明の繊維材検査装置では、図2に示すように、共焦点型光学系から入射された光15はシート状繊維材13の貫通部分のみを通過して反射材料11に到達し、反射材料11で反射されると再び貫通部分を通って共焦点型光学系12に戻り、貫通部分を視覚的に観察することができる。上記のように多くの光を正反射させ得るため、得られた画像から貫通部分の存在を明確に把握することができ、さらに例えば市販の画像解析ツールを用いて容易に貫通位置や分布、数、形状、大きさ、各種割合(%)などの貫通特性を評価することができる。
本発明に係るシート状繊維材には、シート形状の繊維材料であれば特に制限はなく、例えば不織布、絶縁紙等が含まれ、本発明の繊維材評価方法及び繊維材検査装置は特に繊維質を不規則に絡ませてなる不織布等の評価に好適である。
以下、本発明の繊維材評価方法及び繊維材検査装置について、不織布の製造ライン20に繊維材検査装置10を併設して構成された不織布製造装置を一例に図3を参照して詳細に説明する。
不織布製造装置は、不織布を製造する製造ライン20と、製造ライン20から搬出された不織布を巻き取る巻取り部30と、巻取り部30より搬送方向上流に設けられた繊維材検査装置10と、繊維材検査装置10と製造ライン20との間に設けられ、搬送ラインからの搬出を停めずに繊維材検査装置10での一時的な搬送停止を可能とする回送部40と、モニター部及び画像処理部とを備え、繊維材検査装置10で取り込んだ画像データから品質の判定を行なって評価するデータ処理部(制御部)50と、で構成されている。
繊維材検査装置10は、図1と同様の構成となるように、金属製高反射材(高反射材料)11と共焦点型レーザー顕微鏡12とを、対物レンズ14が金属製高反射材の高反射面に対向するように配置して構成されており、搬送された長尺状の不織布は前記高反射面上に載置され、一時的に停止させて対物レンズ14を通して画像を取り込むと共に、貫通部分からの反射光を検出できるようになっている。
データ処理部50は、モニター部51と画像処理部52とで構成され、画像処理部52は繊維材検査装置10及び製造ライン20とそれぞれ電気的に接続されており、画像処理部52に取り込まれた画像データ等はモニター部51に表示可能なようになっている。繊維材検査装置10で取り込まれた画像データは、まず画像処理部52に送られ、画像処理部52で画像処理がなされた後、不織布が品質不良であるか否かが判定され、品質不良であるときには製造ラインにフィードバックされるようになっている。このとき、画像データ及び画像処理後の画像処理データはモニター部51に表示することができる。
データ処理部50による制御ルーチンについて、図4を参照してより具体的に説明する。図4は、画像データを取り込むと共に画像処理して品質検査を行なう検査制御ルーチンを示すものである。
製造ライン20から搬出された長尺状の不織布が繊維材検査装置10に搬送されると、繊維材検査装置10内で一旦停止される。停止後、本ルーチンが実行され、ステップ100において不織布の画像が三次元画像データとして取り込まれると共に、貫通部分の計測が行なわれる。取込まれた画像データ及び計測データは、データ処理部50の画像処理部52に送信される。
送信された画像データは、ステップ110において共焦点画像としてモニター部51に表示され、さらにステップ120において画像処理部52に格納された画像解析ツールによって画像処理が行なわれ、貫通部分の有無や貫通位置等の判定が可能なようにモニター部51に画像表示されるようになっている。
ステップ130において、上記の処理結果に基づいて貫通頻度(分布)、単位面積当りの貫通数、貫通形状、貫通部分の個々の面積及び該面積の全面中の面積率(貫通率)などの各種貫通特性が算出され、評価される。
次のステップ140では、ステップ130で算出、評価された結果に基づいて画像処理部52により不織布の品質が不良であるか否かが判断され、品質不良であると判断されたときには、ステップ150に移行して製造ライン20に不良程度に対応した修正値をフィードバックする。また、ステップ140において、品質が良好であると判断したときにはそのまま本ルーチンを終了する。その後、検査の終了した不織布は巻取り部30へ搬送されて巻き取られ、同時に繊維材検査装置10内に新たに不織布の検査対象領域が搬入されて再び搬送が停止され、上記と同様にして一連の検査制御ルーチンが実行される。
次に、本発明の繊維材評価方法及び繊維材検査装置による評価、検査方法の他の例について説明する。以下に説明する他の例は、既述した繊維材評価方法及び繊維材検査装置の形態に好適に適用することができる。
図5は、反射材料61上にシート状繊維材62を載置すると共に、載置されたシート状繊維材62上に更に透明板63を載置し、この透明板63を介してシート状繊維材62を加圧圧縮しながら繊維構造を評価するように構成したものである。このように加圧条件下での貫通部分の評価が行なえる構成にすることで、例えば燃料電池のセパレータとして設けられた場合など圧力がかかる構造中を想定した条件での評価を行なうことができる。
透明板としては、該透明板を通した画像の取込みや観察に支障がなく所望圧に耐え得る板状体であれば適宜選択して適用することができ、例えばガラス板、各種の透明プラスチック板などが挙げられる。透明板の光透過率や厚さ、表面性状等は評価に支障のない範囲で適宜選択すればよい。
加圧圧縮する場合の圧力としては、シート状繊維材の組成や厚み等に依存するが、シート状繊維材の厚みが100%(非圧縮状態)〜50%(半分厚)となる程度の圧力が望ましい。
図6は、本発明の繊維材検査装置を、シート状繊維材を載置する反射材料71と、反射材料71の載置面に対向配置された対物レンズ14を有する共焦点光学系12と、反射材料71と対物レンズ14との間に反射材料71の載置面に対向して設けられた透明板73と、反射材料71及び透明板73の両方の側端に周設された側面部材76と、反射材料71及び透明板73と側面部材76との間をシールするシール材74a、74bとで構成したものである。この構成では、反射材料71及び透明板73並びに側面部材76を各々底部及び上部並びに側部とした、シート状繊維材を配置して加圧圧縮するための試料室75が設けられており、この試料室75はシール材74a、74bで気密性に保たれると共に、透明板73を支持する側面部材76がシール材74b(反射材料71)を矢印方向に摺動して容積可変に構成されている。また、反射材料71がシール材74b(側面部材76)を摺動するようにしたり、透明板73にシール材74aを固定して透明板73がシール材74aを介して側面部材76を摺動するようにすることもできる。
この場合には、特にシート状繊維材に電解液を含浸させ、電解液が含浸されたシート状繊維材を試料室75に収納するようにして反射材料71上に載置し、図6−(b)に示すように、透明板73を支持する側面部材76がシール材74bを矢印方向に摺動するように移動させることによって、透明板73を介して収納されたシート状繊維材72を加圧圧縮しながら繊維構造の評価を行なうことができる。気密状態を保って評価できるので、面方向にかかる圧力だけでなく、電解液に伝えられる静水圧の影響をも含めた不織布の変形に起因する貫通特性の評価を行なうことが可能である。つまり、例えば燃料電池など実際の密閉系を想定した詳細な評価が可能である。ここでの加圧も上記同様、シート状繊維材の厚みが100%(非圧縮状態)〜50%(半分厚)となる程度の圧力が望ましい。
シール材としては、棒状、リング状などの所望の形状にした弾性部材が好適であり、例えば、ゴム材、シリコーン材、液状ガスケット等から適宜選択することができる。
電解液は、電解質を含んだ溶液であり、場合に応じて適宜選択することができる。シート状繊維材に電解液を含浸させるには、繊維材を電解液中に浸漬させたり、電解液を吹きつける等の公知の方法を適宜選択して行なうことができる。
また上記において、反射材料として、燃料電池や二次電池などの電池用電極材又は該電池用電極材の表面を反射材料で被覆してなる高反射電極材で構成することができる。例えば燃料電池用電極材の場合は、多孔質カーボンペーパーやカーボンクロス等、白金又は白金と他の金属との合金等の触媒、電解質材料など、一般に使用される電極材料によって構成することができる。具体的には、例えば有機溶剤に分散された触媒担持カーボン粉に電解質溶液(例えばナフィオン溶液)を適量添加してペースト化して塗布等してなる触媒層や該層上に更にカーボンクロス等を設けた積層物、及び前記触媒層又は積層物を上記の反射材料で被覆したものを適用できる。
以上のようにして、これまで詳細な評価や品質検査が行なえなかったシート状繊維材の繊維構造を可視化し、繊維材面の一部に局部的にできた貫通状態(形状や面積等)や片側の表面から厚さ方向におけるミクロな貫通特性を定性のみならず定量的に評価することができる。その結果、シート状繊維材の品質管理や仕様決定を具体的に実施するのに有用である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
既述のように、図3と同様に構成された不織布製造装置を構築した。すなわち、不織布を製造する製造ライン20と、製造ライン20から搬出された長尺状の不織布を巻き取る巻取り装置30と、不織布搬送路の巻取り装置30より上流に設けられ、不織布をレーザスキャンして画像の取り込みを行なう繊維材検査装置10と、繊維材検査装置10と製造ライン20との間に設けられ、画像取り込み時に不織布の搬送を一時的に停止させるための回送部40と、モニター部及び画像処理部とを備え、繊維材検査装置10の取り込みデータを用いて共焦点画像の表示、画像処理、及び品質検査の判定を行なって評価するデータ処理部50と、で構成されている。
繊維材検査装置10は、図1と同様の構成となるように、アルミニウム電解研磨鏡面部材(高反射材料)11と共焦点型レーザー顕微鏡(VK8550[光源波長λ685nm]、キーエンス社製)12とを、対物レンズ14がアルミニウム電解研磨鏡面部材の鏡面に対向するように配置して構成されており、搬送された長尺状の不織布は鏡面上に載置され、一時的に停止させて対物レンズ14を通して画像の取り込みを行なうと共に貫通部分からの反射光を検出できるようになっている。また、データ処理部50は、モニター部51と画像処理部52とを備えており、画像処理部52は繊維材検査装置10及び製造ライン20とそれぞれ電気的に接続され、画像処理部52に送信された画像データや画像処理データ等はモニター部51に表示されるようになっている。
まず、製造ライン20から搬出された長尺状の不織布の、検査しようとする被検査領域が繊維材検査装置10に搬送されたことが検知され、回送部40の搬送方向下流における搬送が一旦停止された。このとき、図4に示す検査制御ルーチンが実行された。具体的には、ステップ100に移行して不織布をレーザスキャンして三次元画像データを取り込むと共に貫通部分の計測が行なわれ、取込まれた画像データ及び計測データはデータ処理部50の画像処理部52に送信され、更に送信された画像データはステップ110において共焦点画像としてモニター部51に表示された(図7参照)。
次にステップ120において、画像処理部52に格納された画像解析ツール(三谷商事社製のWin Roof)によって、取込まれた画像データ及び計測データの画像処理が行なわれ、貫通部分の有無や貫通位置等の判定が可能なように処理後の画像がモニター部51に表示された(図8参照)。図8中に示すように、貫通部分は反射光で検知され、着色により塗潰されて表示されている。引き続きステップ130において、上記の処理結果に基づいて貫通部分のサイズ分布を求めると共に(図9参照)、貫通部分の個々の面積からスキャン面における貫通率(%;スキャン面に占める貫通部分の面積率)を算出した。貫通率は、0.83%であった。そして、次のステップ140において、求められたサイズ分布及び貫通率に基づいて画像処理部52で不織布の品質が不良であるか否かの判断が行なわれ、その結果上記では品質不良であると判断され、ステップ150において不良程度に応じた修正値が製造ライン20にフィードバックされた。なお、ステップ140において、品質が良好であると判断された場合にはそのまま本ルーチンを終了することができる。上記のようにして、長尺状の不織布の全域について評価を行なった。
繊維材検査装置の構成例を示す概略図である。 貫通部分で露出した反射材料で入射光が反射しているところを説明するための概念図である。 製造された不織布の品質検査が可能なように本発明の繊維材検査装置が配設された不織布製造装置の構成例を示す概略図である。 本発明の繊維材評価方法において不織布の品質検査時に実行される検査制御ルーチンを示す流れ図である。 透明板を用いて加圧圧縮しながら本発明の繊維材評価方法により評価しているところを説明するための概略断面図である。 (a)は気密性室が設けられた本発明の繊維材検査装置の構成例を示す概略断面図であり、(b)は(a)の繊維材検査装置を用いて加圧圧縮しながら本発明の繊維材評価方法により評価を行なっているところを説明するための概略断面図である。 共焦点型レーザー顕微鏡で取込まれた画像である。 取込まれた画像データを処理して貫通部分を表示する処理画像である。 処理結果に基づいて貫通部分のサイズ分布を示すヒストグラムである。
符号の説明
10…繊維材検査装置
11…金属製高反射材、アルミニウム電解研磨鏡面部材(反射材料)
12…共焦点型顕微鏡(共焦点光学系)
13,62,72…不織布(シート状繊維材)
50…データ処理部
63,73…ガラス板(透明板)
74…シール材

Claims (8)

  1. 反射材料上にシート状繊維材を載置し、載置されたシート状繊維材の繊維構造を、前記反射材料の載置面に対向配置された対物レンズを備えた共焦点型光学系を用いて評価する繊維材評価方法。
  2. 前記シート状繊維材が不織布である請求項1に記載の繊維材評価方法。
  3. 前記共焦点型光学系を用いて得た共焦点画像により前記シート状繊維材の貫通部分を定量する請求項1又は2に記載の繊維材評価方法。
  4. 載置されたシート状繊維材上に更に透明板を載置し、前記透明板を介して前記シート状繊維材を加圧圧縮して評価するようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維材評価方法。
  5. 前記シート状繊維材に電解液が含浸されると共に、前記反射材料と前記反射材料及び前記対物レンズの間に前記反射材料の載置面に対向して設けられた透明板との間に空隙を有して気密に構成された室の、前記反射材料上にシート繊維材を載置し、前記透明板を介して前記シート状繊維材を加圧圧縮して評価するようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維材評価方法。
  6. 前記反射材料が、電池用電極材又は電池用電極材の表面を反射材料で被覆してなる高反射電極材である請求項4又は5に記載の繊維材評価方法。
  7. シート状繊維材を載置する反射材料と、前記反射材料の載置面に対向配置された対物レンズを有する共焦点光学系と、を備えた繊維材検査装置。
  8. 前記反射材料と前記対物レンズとの間に前記反射材料の載置面に対向して設けられた透明板と、前記反射材料の側端及び前記透明板の側端に周設された側面部材と、前記反射材料及び前記透明板と前記側面部材との間をシールするシール材とを更に備えた請求項7に記載の繊維材検査装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5126917B1 (ja) * 2012-03-14 2013-01-23 レーザーテック株式会社 欠陥座標測定装置、欠陥座標測定方法、マスクの製造方法、及び基準マスク
US9786057B2 (en) 2014-09-19 2017-10-10 Lasertec Coporation Inspection apparatus, coordinate detection apparatus, coordinate detection method, and wavefront aberration correction method

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