以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。この実施の形態は、半導体ウエハ等の基板の表面に設けた配線用の微細凹部に、配線材料としての銅を埋込んで銅層からなる配線を形成するようにした例を示しているが、他の配線材料を使用しても良いことは勿論である。
図1を参照して、半導体装置における銅配線形成例を説明する。図1(a)に示すように、半導体素子を形成した半導体基材1上の導電層1aの上に、例えばSiO2からなる酸化膜やLow−k材膜等の絶縁膜2を堆積し、この絶縁膜2の内部に、例えばリソグラフィ・エッチング技術により、配線用の微細凹部としての微細孔(ビアホール)3と配線溝(トレンチ)4を形成し、その上にTaN等からなるバリア層5、更にその上に電解めっきの給電層としてのシード層6をスパッタリング等により形成する。
そして、図1(b)に示すように、基板Wの表面に銅めっきを施すことで、基板Wの微細孔3及び配線溝4内に銅を充填させるとともに、絶縁膜2上に銅層7を堆積させる。その後、化学機械的研磨(CMP)などにより、絶縁膜2上のバリア層5、シード層6及び銅層7を除去して、微細孔3及び配線溝4内に充填させた銅層7の表面と絶縁膜2の表面とをほぼ同一平面にする。これにより、図1(c)に示すように、絶縁膜2の内部にシード層6と銅層7からなる配線(銅配線)8を形成する。
次に、図1(d)に示すように、基板Wの表面に無電解めっきを施し、配線8の表面に、Co合金やNi合金等からなる保護膜9を選択的に形成し、これによって、配線8の表面を保護膜9で覆って保護する。
図2は、本発明の実施の形態におけるめっき装置を備えた基板処理装置の平面図を示す。図2に示すように、この基板処理装置は、例えばスミフボックス等の内部に多数の半導体ウエハ等の基板を収納した搬送ボックス10を着脱自在な矩形状の装置フレーム12を備えている。この装置フレーム12の内部には、ロード・アンロードステーション14と、このロード・アンロードステーション14との間で基板を授受する走行自在な搬送ロボット16が備えられている。そして、搬送ロボット16を挟んで該搬送ロボット16の両側には、一対のめっき装置18が配置され、更に、搬送ロボット16を挟んで一方の側には、洗浄・乾燥装置20、ベベルエッチング・裏面洗浄装置22及び膜厚測定器24が直列に配置され、他方の側には、熱処理(アニール)装置26、前処理装置28、無電解めっき装置30及び研磨装置32が直列に配置されている。
ここで、装置フレーム12には遮光処理が施され、これによって、この装置フレーム12内での以下の各工程を遮光状態で、つまり、配線に照明光等の光が当たることなく行えるようになっている。このように、配線に光を当たることを防止することで、例えば銅からなる配線に光が当たって光電位差が生じ、この光電位差によって配線が腐食してしまうことを防止することができる。
図3は、めっき装置18の概要を示す。図3に示すように、めっき装置18は、水平方向に揺動自在な揺動アーム500を備え、この揺動アーム500の先端に電極ヘッド502が回転自在に支承されている。一方、電極ヘッド502の下方に位置して、表面(被めっき面)を上向きにして基板Wを保持する基板保持部504が上下動自在に配置され、この基板保持部504の上方には、該基板保持部504の周縁部を囲繞するようにカソード部506が配置されている。
なお、この例では、電極ヘッド502として、その径が基板保持部504の径より僅かに小さい径を有するものを使用し、電極ヘッド502と基板保持部504との相対位置を変化させることなく、基板保持部504で保持した基板Wの表面(被めっき面)のほぼ全面に亘ってめっきを行えるようにした例を示している。また、この例では、表面を上向きにして基板を保持してめっきを行うようにした、いわゆるフェースアップ方式を採用しためっき装置に適用した例を示しているが、表面を下向きにして基板を保持してめっきを行うようにした、いわゆるフェースアップ方式を採用しためっき装置や、基板を鉛直方向に配置してめっきを行うようにした、いわゆる竪置きタイプのめっき装置にも適用できることは勿論である。
基板保持部504の上面の周縁部には、内部に設けた真空通路504aに連通するリング状の真空吸着溝504bが設けられ、この真空吸着溝504bを挟んだ内外の両側に、シールリング508,510が装着されている。これにより、基板保持部504の上面に基板Wを載置し、真空通路504aを介して真空吸着溝504b内を真空吸引することで、基板Wをその周縁部を吸着して保持するようになっている。
揺動アーム500は、下記のように、サーボモータからなる上下動モータ560とボールねじ562とを有する上下動機構(多孔質体位置決め機構)564を介して上下動し、図示しない旋回モータを介して、旋回(揺動)するようになっている。なお、モータの代わりに空気圧アクチュエータを使用しても良いことは勿論である。
前記カソード部506は、この例では6分割されたカソード電極512と、このカソード電極512の上方を覆うように取付けた環状のシール材514とを有している。シール材514は、その内周縁部が内方に向け下方に傾斜し、かつ徐々に薄肉となって、内周端部が下方に垂下するように構成されている。これにより、基板保持部504が上昇した時に、この基板保持部504で保持した基板Wの周縁部にカソード電極512が押付けられて通電し、同時にシール材514の内周端部が基板Wの周縁部上面に圧接し、ここを水密的にシールして、基板の上面(被めっき面)に供給されためっき液が基板Wの端部から染み出すのを防止するとともに、めっき液がカソード電極512を汚染することを防止するようになっている。
なお、この例において、カソード部506は、上下動不能で基板保持部504と一体に回転するようになっているが、上下動自在で、下降した時にシール材514が基板Wの被めっき面に圧接するように構成しても良い。
前記電極ヘッド502は、下方に開口した有底円筒状のハウジング520を有している。ハウジング520は、揺動アーム500の自由端に取付けた回転体524の下面に固着されて該回転体524と一体に回転するよう構成されており、下端開口部を多孔質体528で閉塞することで、内部に円板状のアノード526を配置し、該アノード526を浸漬させるめっき液Qを導入するアノード室530を区画形成している。
この多孔質体528は、この例では、多孔質材を3層に積層した多層構造となっている。すなわち、多孔質体528は、主にめっき液を保持する役割を果たすめっき液含浸材532と、このめっき液含浸材532の下面に取付けられた多孔質パッド534から構成され、この多孔質パッド534は、基板Wと対面する下層パッド534aと、この下層パッド534aとめっき液含浸材532との間に介装される上層パッド534bから構成されている。そして、めっき液含浸材532と上層パッド534bは、ハウジング520の内部に位置し、下層パッド534aでハウジング520の下端開口部を閉塞するようになっている。
このように、多孔質体528を多層構造とすることで、例えば基板Wの表面(被めっき面)と対面する多孔質パッド534(下層パッド534a)として、十分な平坦性を有するものを使用することが可能となる。つまり、この下層パッド534aは、基板Wの表面(被めっき面)と対面する面(表面)の平担性がある程度高く、めっき液が通過できる微細貫通穴を有し、絶縁物もしくは絶縁性の高い物質で形成されていることが望ましい。
また、下層パッド534aに要求される微細貫通穴は、平坦性を保つために丸穴の貫通孔が好ましく、更に、微細貫通穴の穴径や単位面積当たりの個数などはめっきする膜質や配線パターンによって最適値が異なるが、両者とも小さい方が凹部内におけるめっき成長の選択性を向上させる上で好ましい。具体的な、微細貫通穴の穴径や単位面積当たりの個数としては、例えば、穴径30μm以下、好ましくは5〜20μmの微小貫通孔が、気孔率で50%以下の状態で存在すれば良い。
この下層パッド534aは、更に親水性の材料であることが好ましく、例えば下記に示す材料に対し親水化処理または親水基を重合させたものが用いられる。このような材料の例としては、多孔ポリエチレン(PE)、多孔ポリプロピレン(PP)、多孔ポリアミド、多孔ポリカーボネートまたは多孔ポリイミド等が挙げられる。このうち、多孔PE、多孔PP、多孔ポリアミド等は、超高分子のPE、PP、ポリアミド等の細かい粉を原料とし、これを押し固め、焼結成形することにより調製したものであり、フィルダスS(三菱樹脂(株)製)、サンファインUH、サンファインAQ(ともに旭化成(株)製)、Spacy(スペイシーケミカル社製)等の商品名で市販されている。また、多孔ポリカーボネートは、例えば、ポリカーボネートフィルムにアクセラレーターで加速した高エネルギーの重金属(銅等)を貫通させ、これにより生成する直線上のトラック(軌跡)を選択的にエッチングすることにより調製されるものである。
一方、めっき液含浸材532は、アルミナ、SiC、ムライト、ジルコニア、チタニア、コージライト等の多孔質セラミックスまたはポリプロピレンやポリエチレンの焼結体等の硬質多孔質体、あるいはこれらの複合体、更には織布や不織布で構成される。例えば、アルミナ系セラミックスにあっては、ポア径30〜200μm、SiCにあっては、ポア径30μm以下、気孔率20〜95%、厚み1〜20mm、好ましくは5〜20mm、更に好ましくは8〜15mm程度のものが使用される。この例では、例えば気孔率30%、平均ポア径100μmでアルミナ製の多孔質セラミックス板から構成されている。そして、この内部にめっき液を含有させることで、つまり多孔質セラミックス板自体は絶縁体であるが、この内部にめっき液を複雑に入り込ませ、厚さ方向にかなり長い経路を辿らせることで、めっき液の電気伝導率より小さい電気伝導率を有するように構成されている。
このようにめっき液含浸材532をアノード室530内に配し、このめっき液含浸材532によって大きな抵抗を発生させることで、銅層7(図1参照)の抵抗の影響を無視できる程度となし、基板Wの表面の電気抵抗による電流密度の面内差を小さくして、めっき膜の面内均一性を向上させることができる。
電極ヘッド502を垂下保持する揺動アーム500は、サーボモータからなる上下動モータ560とボールねじ562とを有し、電極ヘッド502内に保持した多孔質体528の上下方向の位置決めを行う多孔質体位置決め機構を構成する上下動機構564を介して上下動する構成されている。これにより、上下動機構(多孔質体位置決め機構)564を介して電極ヘッド502を下降させ、多孔質体528の下層パッド534aの下面が、基板保持部504で保持した基板Wの表面(上面)に近接し該基板Wの表面と一定の間隔Dを置いた所定の位置に位置させて停止させることができるようになっている。この間隔Dは、1.5mm以下であることが好ましく、更に1.0mm程度である。
ハウジング520には、この内部にめっき液を導入するめっき液導入管544と、加圧流体を導入する加圧流体導入管(図示せず)が取付けられており、アノード526の内部には、多数の細孔526aが設けられている。これにより、めっき液Qは、めっき液導入管544からアノード室530内に導入され、アノード室530の内部を加圧することで、アノード526の細孔526a内を通過してめっき液含浸材532の上面に達し、この内部から多孔質パッド534(上層パッド534b及び下層パッド534a)の内部を通過して、基板保持部504で保持した基板Wの上面に達する。
なお、アノード室530の内部は、化学反応により発生するガスも含み、このため、圧力が変化することがある。このため、アノード室530内の圧力は、プロセス中のフィードバック制御によりある設定値にコントロールされるようになっている。
ここで、アノード526は、例えば、銅めっきを行う場合にあっては、スライムの生成を抑制するため、含有量が0.03〜0.05%のリンを含む銅(含リン銅)で構成されている。白金、チタン等の不溶解性金属あるいは金属の上に白金や酸化イリジウム等をコーティング(めっき)した不溶解性電極であってもよく、交換等が不要なことから、不溶解性金属あるいは不溶解性電極であることが好ましい。更に、めっき液の流通のしやすさ等から、網状であってもよい。
カソード電極512はめっき電源550の陰極に、アノード526はめっき電源550の陽極にそれぞれ電気的に接続される。
次に、このめっき装置でめっきを行う時の操作について説明する。先ず、基板保持部504の上面に基板Wを吸着保持した状態で、基板保持部504を上昇させて、例えば図1に示すシード層(導電体層)6を形成した基板Wの被めっき面の周縁部をカソード電極512に接触させて通電可能な状態となし、更に、基板Wの被めっき面の周縁部上面にシール材514を圧接させ、基板Wの被めっき面の周縁部を水密的にシールする。
一方、電極ヘッド502にあっては、アイドリングを行ってめっき液の置換及び泡抜き等を行っている位置(アイドリング位置)から、めっき液Qを内部に保持した状態で、所定の位置(プロセス位置)に位置させる。つまり、揺動アーム500を一旦上昇させ、更に旋回させることで、電極ヘッド502を基板保持部504の直上方位置に位置させ、しかる後、下降させて、多孔質体528の下層パッド534aの下面が、基板保持部504で保持した基板Wの表面(上面)に近接し該基板Wの表面と一定の間隔D、例えば1.0mm(D=1.0mm)を置いた所定の位置(プロセス位置)に達した時に停止させる。そして、アノード室530内を加圧して、電極ヘッド502で保持しためっき液Qを多孔質パッド534の下面から吐出させて液張りを行う。
この液張り後、下層パッド534aを基板Wの表面に近接させた状態で、多孔質体528を、例えば1回転/secの速度で回転させながら、カソード電極512をめっき電源550の陰極に、アノード526をめっき電源550の陽極にそれぞれ接続し、基板Wの被めっき面(シード層6)とアノード526との間に、電流密度が、例えば、1〜50mA/cm2の電流を流して基板Wの被めっき面(シード層6の表面)へのめっきを行う。
このように、多孔質体528を基板保持部504で保持した基板Wの被めっき面へ近接し該被めっき面と一定の間隔Dを置いた所定の位置に位置させ、この状態で、多孔質体528を回転させることにより、被めっき面の表面状態に変化を与え、この変化により、被めっき面のフィールド部(非配線部)表面におけるめっき速度を抑制することができる。つまり、この被めっき面の表面状態の変化は、被めっき面に多孔質体528を近接させる効果により、配線溝等の内部よりも被めっき面のフィールド部表面に選択的に与えられ、このため配線溝等の内部とフィールド部表面におけるめっきの速度差が生まれる。これによって、配線溝等の内部おけるめっき高さがフィールド部表面のめっき高さに追いつき、より平坦な表面のめっき膜が形成される。しかも、この方法においては、特殊な電流条件や添加剤を必要とせず、かつ、被めっき面に対して常に非接触な状態でめっきを行うため、パーティクルの等の発生をなくして良好な膜質のめっき膜が得られる。
これにより、基板Wの表面(被めっき面)に、配線用の微細凹部を埋めるのに十分な膜厚の銅層7(図1(b)参照)を成膜した後、カソード電極512とアノード526との間の通電を停止し、電極ヘッド502を上昇させ旋回させて元の位置(アイドリング位置)に戻す。
なお、液張り後、下層パッド534aを基板Wの表面に近接させた状態で、多孔質体528を、例えば1回転/secの速度で2回転させた後、多孔質体528の回転を停止させて静止させ、しかる後、好ましくは、多孔質体528の静止後、2秒以内にカソード電極512をめっき電源550の陰極に、アノード526をめっき電源550の陽極にそれぞれ接続し、基板Wの被めっき面(シード層6)とアノード526との間に、電流密度が、例えば、1〜50mA/cm2の電流を流して基板Wの被めっき面(シード層6の表面)へのめっきを行うようにしたもよい。更に、必要に応じて、上記操作を必要回数繰り返して、基板Wの表面(被めっき面)に、配線用の微細凹部を埋めるのに十分な膜厚の銅層7(図1(b)参照)を成膜するようにしてもよい。
このように、多孔質体528を静止させた後、2秒以下に通電を開始してめっきを行うことで、配線溝等の内部のめっき速度とフィールド部表面のめっき速度の比(配線溝等の内部のめっき速度/フィールド部表面のめっき速度)を、例えば2倍以上にすることができる。
なお、この例では、多孔質体528を回転させて基板保持部504で保持した基板Wと相対運動させるようにした例を示しているが、基板保持部504を回転させるようにしてもよい。
図4は、多孔質体528を構成する下層パッド534aと基板保持部504(図3参照)で保持した基板Wとを相対運動させる駆動機構の他の例の概要を示す。この例は、下層パッド534aの中心O1と、基板保持部504で保持した基板Wの中心O2とを距離“e”だけ編心させ、下層パッド534aがこの距離“e”を半径としたスクロール運動、つまり自転を行わない公転運動(並進回転運動)を行うようにしている。これにより、下層パッド534aと基板保持部504で保持した基板Wは、下層パッド534aのスクロール運動に伴って相対運動する。
図5は、多孔質体528を構成する下層パッド534aと基板保持部504(図3参照)で保持した基板Wとを相対運動させる駆動機構の更に他の例の概要を示す。この例は、下層パッド534aの中心O1と、基板保持部504で保持した基板Wの中心O2とを互いに距離Hだけ変位させ、下層パッド534aは、その中心O1周りに、基板Wは、その中心O2周りそれぞれ自転するようにしている。これにより、下層パッド534aと基板保持部504で保持した基板Wは、それぞれの中心周りの自転(公自転)に伴って相対運動する。
図6は、多孔質体528を構成する下層パッド534aと基板保持部504(図3参照)で保持した基板Wとを相対運動させる駆動機構の更に他の例の概要を示す。この例は、下層パッド534aが基板保持部504で保持した基板Wの表面に沿って、一方向に直線移動して、下層パッド534aと基板Wとが相対運動するようにしている。なお、この例では、基板Wを固定しているが、基板W側が直線運動するようにしたり、また、両者が互いに逆方向に直線運動するようにしてもよい。
図7は、多孔質体528を構成する下層パッド534aと基板保持部504(図3参照)で保持した基板Wとを相対運動させる駆動機構の更に他の例の概要を示す。この例は、多孔質体628を構成する下層パッド534aが上下及び/または左右方向に振動して、下層パッド534aと基板Wとが相対運動するようにしている。なお、基板W側を上下及び/または左右方向に振動するようにしてもよいことは勿論である。
図8は、めっき液の組成や液温等を管理してめっき装置18に供給するめっき液管理供給システムを示す。図8に示すように、めっき装置18の電極ヘッド502を浸漬させてアイドリングを行うめっき液トレー600が備えられ、このめっき液トレー600は、めっき液排出管602を介してリザーバ604に接続されており、めっき液排出管602を通して排出されためっき液は、リザーバ604に入る。
そして、このリザーバ604に入っためっき液は、ポンプ606の駆動に伴って、めっき液調整タンク608に入る。このめっき液調整タンク608には、温度コントローラ610や、サンプル液を取出して分析するめっき液分析ユニット612が付設され、更に、めっき液分析ユニット612の分析によって不足する成分を補給する成分補給管614が接続されており、めっき液調整タンク608内のめっき液は、ポンプ616の駆動に伴って、めっき液供給管618に沿って流れ、フィルタ620を通過して、めっき液トレー600に戻されるようになっている。
このように、めっき液調整タンク608でめっき液の組成及び温度を一定に調整し、この調整しためっき液をめっき装置18の電極ヘッド502に供給して、該電極ヘッド502で保持することで、めっき装置18の電極ヘッド502に、常に一定の組成及び温度を有するめっき液を供給することができる。
図9及び図10は、基板を洗浄(リンス)し乾燥させるようにした洗浄・乾燥装置20の一例を示す。つまり、この洗浄・乾燥装置20は、まず化学洗浄及び純水洗浄(リンス)を行い、その後、スピンドル回転により洗浄後の基板Wを完全乾燥させるようにした装置であり、基板Wのエッジ部を把持するクランプ機構420を備えた基板ステージ422と、このクランプ機構420の開閉を行う基板着脱用昇降プレート424とを備えている。
基板ステージ422は、スピンドル回転用モータ(図示せず)の駆動に伴って高速回転するスピンドル426の上端に連結されている。また、クランプ機構420で把持した基板Wの周囲には、処理液の飛散を防止する洗浄カップ428が配置されており、この洗浄カップ428は図示しないシリンダの作動に伴って上下動するようになっている。
また、洗浄・乾燥装置20は、クランプ機構420で把持した基板Wの表面に処理液を供給する薬液用ノズル430と、基板Wの裏面に純水を供給する複数の純水用ノズル432と、クランプ機構420で把持した基板Wの上方に配置された回転可能なペンシル型洗浄スポンジ434とを備えている。この洗浄スポンジ434は、水平方向に揺動可能な旋回アーム436の自由端に取付けられている。なお、洗浄・乾燥装置20の上部には、装置内にクリーンエアを導入するためのクリーンエア導入口438が設けられている。
このような構成の洗浄・乾燥装置20においては、基板Wをクランプ機構420で把持して回転させ、旋回アーム436を旋回させながら、薬液用ノズル430から処理液を洗浄スポンジ434に向けて供給しつつ、基板Wの表面に洗浄スポンジ434を擦り付けることで、基板Wの表面の洗浄を行うようになっている。そして、純水用ノズル432から基板Wの裏面に純水が供給され、この純水用ノズル432から噴射される純水で基板Wの裏面も同時に洗浄(リンス)される。このようにして洗浄された基板Wは、スピンドル426を高速回転させることでスピン乾燥させられる。
図11にベベルエッチング・裏面洗浄装置22の一例を示す。このベベルエッチング・裏面洗浄装置22は、基板のエッジ(ベベル)部に付着した銅層7(図1参照)のエッチングと裏面洗浄を同時に行い、しかも、基板表面に設けた回路形成部における銅の自然酸化膜の成長を抑えるようにしたもので、有底円筒状の防水カバー920の内部に位置して基板Wをフェースアップでその周縁部の円周方向に沿った複数箇所でスピンチャック921により水平に保持して高速回転させる基板ステージ922と、この基板ステージ922で保持された基板Wの表面側のほぼ中央部上方に配置されたセンタノズル924と、基板Wの周縁部の上方に配置されたエッジノズル926とを備えている。センタノズル924及びエッジノズル926は、それぞれ下向きで配置されている。また基板Wの裏面側のほぼ中央部の下方に位置して、バックノズル928が上向きで配置されている。前記エッジノズル926は、基板Wの直径方向及び高さ方向を移動自在に構成されている。
このエッジノズル926の移動幅Lは、基板の外周端面から中心部方向に任意の位置決めが可能になっていて、基板Wの大きさや使用目的等に合わせて、設定値の入力を行う。通常、2mmから5mmの範囲でエッジカット幅Cを設定し、裏面から表面への液の回り込み量が問題にならない回転数以上であれば、その設定されたカット幅C内の銅層等を除去することができる。
次に、このベベルエッチング・裏面洗浄装置22による洗浄方法について説明する。まず、スピンチャック921を介して基板を基板ステージ922で水平に保持した状態で、基板Wを基板ステージ922と一体に水平回転させる。この状態で、センタノズル924から基板Wの表面側の中央部に酸溶液を供給する。この酸溶液としては非酸化性の酸であればよく、例えばフッ酸、塩酸、硫酸、クエン酸、蓚酸等を用いる。一方、エッジノズル926から基板Wの周縁部に酸化剤溶液を連続的または間欠的に供給する。この酸化剤溶液としては、オゾン水、過酸化水素水、硝酸水、次亜塩素酸ナトリウム水等のいずれかを用いるか、またはそれらの組み合わせを用いる。
これにより、基板Wの周縁部のエッジカット幅Cの領域では上面及び端面に成膜された銅層等は酸化剤溶液で急速に酸化され、同時にセンタノズル924から供給されて基板の表面全面に拡がる酸溶液によってエッチングされ溶解除去される。このように、基板周縁部で酸溶液と酸化剤溶液を混合させることで、予めそれらの混合水をノズルから供給するのに比べて急峻なエッチングプロフィールを得ることができる。このときそれらの濃度により銅のエッチングレートが決定される。また、基板の表面の回路形成部に銅の自然酸化膜が形成されていた場合、この自然酸化物は基板の回転に伴って基板の表面全面に亘って広がる酸溶液で直ちに除去されて成長することはない。なお、センタノズル924からの酸溶液の供給を停止した後、エッジノズル926からの酸化剤溶液の供給を停止することで、表面に露出しているシリコンを酸化して、銅の付着を抑制することができる。
一方、バックノズル928から基板の裏面中央部に酸化剤溶液とシリコン酸化膜エッチング剤とを同時または交互に供給する。これにより基板Wの裏面側に金属状で付着している銅等を基板のシリコンごと酸化剤溶液で酸化しシリコン酸化膜エッチング剤でエッチングして除去することができる。なおこの酸化剤溶液としては表面に供給する酸化剤溶液と同じものにする方が薬品の種類を少なくする上で好ましい。またシリコン酸化膜エッチング剤としては、フッ酸を用いることができ、基板の表面側の酸溶液もフッ酸を用いると薬品の種類を少なくすることができる。これにより、酸化剤供給を先に停止すれば疎水面が得られ、エッチング剤溶液を先に停止すれば飽水面(親水面)が得られて、その後のプロセスの要求に応じた裏面に調整することもできる。
このように酸溶液すなわちエッチング液を基板に供給して、基板Wの表面に残留する金属イオンを除去した後、更に純水を供給して、純水置換を行ってエッチング液を除去し、その後、スピン乾燥を行う。このようにして基板表面の周縁部のエッジカット幅C内の銅層の除去と裏面の銅汚染除去を同時に行って、この処理を、例えば80秒以内に完了させることができる。なお、エッジのエッジカット幅を任意(2mm〜5mm)に設定することが可能であるが、エッチングに要する時間はカット幅に依存しない。
図12及び図13は、熱処理(アニール)装置26を示す。この熱処理装置26は、基板Wを出し入れするゲート1000を有するチャンバ1002の内部に位置して、基板Wを、例えば400℃に加熱するホットプレート1004と、例えば冷却水を流して基板Wを冷却するクールプレート1006が上下に配置されている。また、クールプレート1006の内部を貫通して上下方向に延び、上端に基板Wを載置保持する複数の昇降ピン1008が昇降自在に配置されている。更に、アニール時に基板Wとホットプレート1004との間に酸化防止用のガスを導入するガス導入管1010と、該ガス導入管1010から導入され、基板Wとホットプレート1004との間を流れたガスを排気するガス排気管1012がホットプレート1004を挟んで互いに対峙する位置に配置されている。
ガス導入管1010は、内部にフィルタ1014aを有するN2ガス導入路1016内を流れるN2ガスと、内部にフィルタ1014bを有するH2ガス導入路1018内を流れるH2ガスとを混合器1020で混合し、この混合器1020で混合したガスが流れる混合ガス導入路1022に接続されている。
これにより、ゲート1000を通じてチャンバ1002の内部に搬入した基板Wを昇降ピン1008で保持し、昇降ピン1008を該昇降ピン1008で保持した基板Wとホットプレート1004との距離が、例えば0.1〜1.0mm程度となるまで上昇させる。この状態で、ホットプレート1004を介して基板Wを、例えば400℃となるように加熱し、同時にガス導入管1010から酸化防止用のガスを導入して基板Wとホットプレート1004との間を流してガス排気管1012から排気する。これによって、酸化を防止しつつ基板Wをアニールし、このアニールを、例えば数十秒〜60秒程度継続してアニールを終了する。基板の加熱温度は100〜600℃が選択される。
アニール終了後、昇降ピン1008を該昇降ピン1008で保持した基板Wとクールプレート1006との距離が、例えば0〜0.5mm程度となるまで下降させる。この状態で、クールプレート1006内に冷却水を導入することで、基板Wの温度が100℃以下となるまで、例えば10〜60秒程度、基板を冷却し、この冷却終了後の基板を次工程に搬送する。
なお、この例では、酸化防止用のガスとして、N2ガスと数%のH2ガスを混合した混合ガスを流すようにしているが、N2ガスのみを流すようにしてもよい。
図14乃至図20は、基板の無電解めっきの前処理を行う前処理装置28を示す。この前処理装置28は、フレーム50の上部に取付けた固定枠52と、この固定枠52に対して相対的に上下動する移動枠54を備えており、この移動枠54に、下方に開口した有底円筒状のハウジング部56と基板ホルダ58とを有する処理ヘッド60が懸架支持されている。つまり、移動枠54には、ヘッド回転用サーボモータ62が取付けられ、このサーボモータ62の下方に延びる出力軸(中空軸)64の下端に処理ヘッド60のハウジング部56が連結されている。
この出力軸64の内部には、図17に示すように、スプライン66を介して該出力軸64と一体に回転する鉛直軸68が挿着され、この鉛直軸68の下端に、ボールジョイント70を介して処理ヘッド60の基板ホルダ58が連結されている。この基板ホルダ58は、ハウジング部56の内部に位置している。また鉛直軸68の上端は、軸受72及びブラケットを介して、移動枠54に固定した固定リング昇降用シリンダ74に連結されている。これにより、この昇降用シリンダ74の作動に伴って、鉛直軸68が出力軸64とは独立に上下動するようになっている。
また、固定枠52には、上下方向に延びて移動枠54の昇降の案内となるリニアガイド76が取付けられ、ヘッド昇降用シリンダ(図示せず)の作動に伴って、移動枠54がリニアガイド76を案内として昇降するようになっている。
処理ヘッド60のハウジング部56の周壁には、この内部に基板Wを挿入する基板挿入窓56aが設けられている。また、処理ヘッド60のハウジング部56の下部には、図18及び図19に示すように、例えばPEEK製のメインフレーム80と、例えばポリエチレン製のガイドフレーム82との間に周縁部を挟持されてシールリング84aが配置されている。このシールリング84aは、基板Wの下面の周縁部に当接し、ここをシールするためのものである。
一方、基板ホルダ58の下面周縁部には、基板固定リング86が固着され、この基板ホルダ58の基板固定リング86の内部に配置したスプリング88の弾性力を介して、円柱状のプッシャ90が基板固定リング86の下面から下方に突出するようになっている。更に、基板ホルダ58の上面とハウジング部56の上壁部との間には、内部を気密的にシールする、例えばテフロン(登録商標)製で屈曲自在な円筒状の蛇腹板92が配置されている。
これにより、基板ホルダ58を上昇させた状態で、基板Wを基板挿入窓56aからハウジング部56の内部に挿入する。すると、この基板Wは、ガイドフレーム82の内周面に設けたテーパ面82aに案内され、位置決めされてシールリング84aの上面の所定の位置に載置される。この状態で、基板ホルダ58を下降させ、この基板固定リング86のプッシャ90を基板Wの上面に接触させる。そして、基板ホルダ58を更に下降させることで、基板Wをスプリング88の弾性力で下方に押圧し、これによって基板Wの表面(下面)の周縁部にシールリング84aで圧接させて、ここをシールしつつ、基板Wをハウジング部56と基板ホルダ58との間で挟持して保持するようになっている。
なお、このように、基板Wを基板ホルダ58で保持した状態で、ヘッド回転用サーボモータ62を駆動すると、この出力軸64と該出力軸64の内部に挿着した鉛直軸68がスプライン66を介して一体に回転し、これによって、ハウジング部56と基板ホルダ58も一体に回転する。
処理ヘッド60の下方に位置して、該処理ヘッド60の外径よりもやや大きい内径を有する上方に開口した、外槽100aと内槽100bを有する処理槽100が備えられている。処理槽100の外周部には、蓋体102に取付けた一対の脚部104が回転自在に支承されている。更に、脚部104には、クランク106が一体に連結され、このクランク106の自由端は、蓋体移動用シリンダ108のロッド110に回転自在に連結されている。これにより、蓋体移動用シリンダ108の作動に伴って、蓋体102は、処理槽100の上端開口部を覆う処理位置と、側方の待避位置との間を移動するように構成されている。この蓋体102の表面(上面)には、下記のように、例えば還元力を有する電解イオン水を外方(上方)に向けて噴射する多数の噴射ノズル112aを有するノズル板112が備えられている。
更に、図20に示すように、処理槽100の内槽100bの内部には、薬液タンク120から薬液ポンプ122の駆動に伴って供給された薬液を上方に向けて噴射する複数の噴射ノズル124aを有するノズル板124が、該噴射ノズル124aが内槽100bの横断面の全面に亘ってより均等に分布した状態で配置されている。この内槽100bの底面には、薬液(排液)を外部に排出する排水管126が接続されている。この排水管126の途中には、三方弁128が介装され、この三方弁128の一つの出口ポートに接続された戻り管130を介して、必要に応じて、この薬液(排液)を薬液タンク120に戻して再利用できるようになっている。更に、この例では、蓋体102の表面(上面)に設けられたノズル板112は、例えば純水等のリンス液を供給するリンス液供給源132に接続されている。また、外槽100aの底面にも、排水管127が接続されている。
これにより、基板を保持した処理ヘッド60を下降させて、処理槽100の上端開口部を処理ヘッド60で塞ぐように覆い、この状態で、処理槽100の内槽100bの内部に配置したノズル板124の噴射ノズル124aから薬液を基板Wに向けて噴射することで、基板Wの下面(処理面)の全面に亘って薬液を均一に噴射し、しかも薬液の外部への飛散を防止しつつ薬液を排水管126から外部に排出できる。更に、処理ヘッド60を上昇させ、処理槽100の上端開口部を蓋体102で閉塞した状態で、処理ヘッド60で保持した基板Wに向けて、蓋体102の上面に配置したノズル板112の噴射ノズル112aからリンス液を噴射することで、基板表面に残った薬液のリンス処理(洗浄処理)を行い、しかもこのリンス液は外槽100aと内槽100bの間を通って、排水管127を介して排出されるので、内槽100bの内部に流入することが防止され、リンス液が薬液に混ざらないようになっている。
この前処理装置28によれば、図14に示すように、処理ヘッド60を上昇させた状態で、この内部に基板Wを挿入して保持し、しかる後、図15に示すように、処理ヘッド60を下降させて処理槽100の上端開口部を覆う位置に位置させる。そして、処理ヘッド60を回転させて、処理ヘッド60で保持した基板Wを回転させながら、処理槽100の内部に配置したノズル板124の噴射ノズル124aから薬液を基板Wに向けて噴射することで、基板Wの全面に亘って薬液を均一に噴射する。また、処理ヘッド60を上昇させて所定位置で停止させ、図16に示すように、待避位置にあった蓋体102を処理槽100の上端開口部を覆う位置まで移動させる。そして、この状態で、処理ヘッド60で保持して回転させた基板Wに向けて、蓋体102の上面に配置したノズル板112の噴射ノズル112aからリンス液を噴射する。これにより、基板Wの薬液による処理と、リンス液によるリンス処理とを、2つの液体が混ざらないようにしながら行うことができる。
なお、処理ヘッド60の下降位置を調整して、この処理ヘッド60で保持した基板Wとノズル板124との距離を調整することで、ノズル板124の噴射ノズル124aから噴射された薬液が基板Wに当たる領域や噴射圧を任意に調整することができる。ここで、薬液等の前処理液を循環させて使用すると、処理に伴って有効成分が減少するとともに、基板に付着することによる前処理液(薬液)の持ち出しがあるので、前処理液の組成を分析し、不足分を添加するための前処理液管理ユニット(図示せず)を併置することが好ましい。具体的には、清浄化に使われる薬液は、酸乃至アルカリが主体であるので、例えばpHを測定し、所定の値との差から減少分を補給するとともに、薬液貯槽に設けた液面計により減少量を補給することができる。また、触媒液については、たとえば酸性のパラジウム溶液の場合には、pHにより酸の量を、また滴定法ないし比濁法によりパラジウムの量を測定し、同様にして減少量を補給することができる。
図21乃至図27に無電解めっき装置30を示す。この無電解めっき装置30は、図1(d)に示す保護膜9を形成するためのものあり、めっき槽200(図25及び図27参照)と、このめっき槽200の上方に配置されて基板Wを着脱自在に保持する基板ヘッド204を有している。
基板ヘッド204は、図21に詳細に示すように、ハウジング部230とヘッド部232とを有し、このヘッド部232は、吸着ヘッド234と該吸着ヘッド234の周囲を囲繞する基板受け236から主に構成されている。そして、ハウジング部230の内部には、基板回転用モータ238と基板受け駆動用シリンダ240が収納され、この基板回転用モータ238の出力軸(中空軸)242の上端はロータリジョイント244に、下端はヘッド部232の吸着ヘッド234にそれぞれ連結され、基板受け駆動用シリンダ240のロッドは、ヘッド部232の基板受け236に連結されている。更に、ハウジング部230の内部には、基板受け236の上昇を機械的に規制するストッパ246が設けられている。
ここで、吸着ヘッド234と基板受け236との間には、同様なスプライン構造が採用され、基板受け駆動用シリンダ240の作動に伴って基板受け236は吸着ヘッド234と相対的に上下動するが、基板回転用モータ238の駆動によって出力軸242が回転すると、この出力軸242の回転に伴って、吸着ヘッド234と基板受け236が一体に回転するように構成されている。
吸着ヘッド234の下面周縁部には、図22乃至図24に詳細に示すように、下面をシール面として基板Wを吸着保持する吸着リング250が押えリング251を介して取付けられ、この吸着リング250の下面に円周方向に連続させて設けた凹状部250aと吸着ヘッド234内を延びる真空ライン252とが吸着リング250に設けた連通孔250bを介して互いに連通するようになっている。これにより、凹状部250a内を真空引きすることで、基板Wを吸着保持するのであり、このように、小さな幅(径方向)で円周状に真空引きして基板Wを保持することで、真空による基板Wへの影響(たわみ等)を最小限に抑え、しかも吸着リング250をめっき液(処理液)中に浸すことで、基板Wの表面(下面)のみならず、エッジについても、全てめっき液に浸すことが可能となる。基板Wのリリースは、真空ライン252にN2を供給して行う。
一方、基板受け236は、下方に開口した有底円筒状に形成され、その周壁には、基板Wを内部に挿入する基板挿入窓236aが設けられ、下端には、内方に突出する円板状の爪部254が設けられている。更に、この爪部254の上部には、基板Wの案内となるテーパ面256aを内周面に有する突起片256が備えられている。
これにより、図22に示すように、基板受け236を下降させた状態で、基板Wを基板挿入窓236aから基板受け236の内部に挿入する。すると、この基板Wは、突起片256のテーパ面256aに案内され、位置決めされて爪部254の上面の所定位置に載置保持される。この状態で、基板受け236を上昇させ、図23に示すように、この基板受け236の爪部254上に載置保持した基板Wの上面を吸着ヘッド234の吸着リング250に当接させる。次に、真空ライン252を通して吸着リング250の凹状部250aを真空引きすることで、基板Wの上面の周縁部を該吸着リング250の下面にシールしながら基板Wを吸着保持する。そして、めっき処理を行う際には、図24に示すように、基板受け236を数mm下降させ、基板Wを爪部254から離して、吸着リング250のみで吸着保持した状態となす。これにより、基板Wの表面(下面)の周縁部が、爪部254の存在によってめっきされなくなることを防止することができる。
図25は、めっき槽200の詳細を示す。このめっき槽200は、底部において、めっき液供給管308(図27参照)に接続され、周壁部にめっき液回収溝260が設けられている。めっき槽200の内部には、ここを上方に向かって流れるめっき液の流れを安定させる2枚の整流板262,264が配置され、更に底部には、めっき槽200の内部に導入されるめっき液の液温を測定する温度測定器266が設置されている。また、めっき槽200の周壁外周面のめっき槽200で保持しためっき液の液面よりやや上方に位置して、直径方向のやや斜め上方に向けてめっき槽200の内部に、pHが6〜7.5の中性液からなる停止液、例えば純水を噴射する噴射ノズル268が設置されている。これにより、めっき終了後、ヘッド部232で保持した基板Wをめっき液の液面よりやや上方まで引き上げて一旦停止させ、この状態で、基板Wに向けて噴射ノズル268から純水(停止液)を噴射して基板Wを直ちに冷却し、これによって、基板Wに残っためっき液によってめっきが進行してしまうことを防止することができる。
更に、めっき槽200の上端開口部には、アイドリング時等のめっき処理の行われていない時に、めっき槽200の上端開口部を閉じて該めっき槽200からのめっき液の無駄な蒸発を防止するめっき槽カバー270が開閉自在に設置されている。
このめっき槽200は、図27に示すように、底部において、めっき液貯槽302から延び、途中にめっき液供給ポンプ304と三方弁306とを介装しためっき液供給管308に接続されている。これにより、めっき処理中にあっては、めっき槽200の内部に、この底部からめっき液を供給し、溢れるめっき液をめっき液回収溝260からめっき液貯槽302へ回収することで、めっき液が循環できるようになっている。また、三方弁306の一つの出口ポートには、めっき液貯槽302に戻るめっき液戻り管312が接続されている。これにより、めっき待機時にあっても、めっき液を循環させることができるようになっており、これによって、めっき液循環系が構成されている。このように、めっき液循環系を介して、めっき液貯槽302内のめっき液を常時循環させることにより、単純にめっき液を貯めておく場合に比べてめっき液の濃度の低下率を減少させ、基板Wの処理可能数を増大させることができる。
特に、この例では、めっき液供給ポンプ304を制御することで、めっき待機時及びめっき処理時に循環するめっき液の流量を個別に設定できるようになっている。すなわち、めっき待機時のめっき液の循環流量は、例えば2〜20L/minで、めっき処理時のめっき液の循環流量は、例えば0〜10L/minに設定される。これにより、めっき待機時にめっき液の大きな循環流量を確保して、セル内のめっき浴の液温を一定に維持し、めっき処理時には、めっき液の循環流量を小さくして、より均一な膜厚の保護膜(めっき膜)を成膜することができる。
めっき槽200の底部付近に設けられた温度測定器266は、めっき槽200の内部に導入されるめっき液の液温を測定して、この測定結果を元に、下記のヒータ316及び流量計318を制御する。
つまり、この例では、別置きのヒータ316を使用して昇温させ流量計318を通過させた水を熱媒体に使用し、熱交換器320をめっき液貯槽302内のめっき液中に設置して該めっき液を間接的に加熱する加熱装置322と、めっき液貯槽302内のめっき液を循環させて攪拌する攪拌ポンプ324が備えられている。これは、めっきにあっては、めっき液を高温(約80℃程度)にして使用することがあり、これと対応するためであり、この方法によれば、インライン・ヒーティング方式に比べ、非常にデリケートなめっき液に不要物等が混入するのを防止することができる。
図26は、めっき槽200の側方に付設されている洗浄槽202の詳細を示す。この洗浄槽202の底部には、純水等のリンス液を上方に向けて噴射する複数の噴射ノズル280がノズル板282に取付けられて配置され、このノズル板282は、ノズル上下軸284の上端に連結されている。更に、このノズル上下軸284は、ノズル位置調整用ねじ287と該ねじ287と螺合するナット288との螺合位置を変えることで上下動し、これによって、噴射ノズル280と該噴射ノズル280の上方に配置される基板Wとの距離を最適に調整できるようになっている。
更に、洗浄槽202の周壁外周面の噴射ノズル280より上方に位置して、直径方向のやや斜め下方に向けて洗浄槽202の内部に純水等の洗浄液を噴射して、基板ヘッド204のヘッド部232の、少なくともめっき液に接液する部分に洗浄液を吹き付けるヘッド洗浄ノズル286が設置されている。
この洗浄槽202にあっては、基板ヘッド204のヘッド部232で保持した基板Wを洗浄槽202内の所定の位置に配置し、噴射ノズル280から純水等の洗浄液(リンス液)を噴射して基板Wを洗浄(リンス)するのであり、この時、ヘッド洗浄ノズル286から純水等の洗浄液を同時に噴射して、基板ヘッド204のヘッド部232の、少なくともめっき液に接液する部分を該洗浄液で洗浄することで、めっき液に浸された部分に析出物が蓄積してしまうことを防止することができる。
この無電解めっき装置30にあっては、基板ヘッド204を上昇させた位置で、前述のようにして、基板ヘッド204のヘッド部232で基板Wを吸着保持し、めっき槽200のめっき液を循環させておく。
そして、めっき処理を行うときには、めっき槽200のめっき槽カバー270を開き、基板ヘッド204を回転させながら下降させ、ヘッド部232で保持した基板Wをめっき槽200内のめっき液に浸漬させる。
そして、基板Wを所定時間めっき液中に浸漬させた後、基板ヘッド204を上昇させて、基板Wをめっき槽200内のめっき液から引き上げ、必要に応じて、前述のように、基板Wに向けて噴射ノズル268から純水(停止液)を噴射して基板Wを直ちに冷却し、更に基板ヘッド204を上昇させて基板Wをめっき槽200の上方位置まで引き上げて、基板ヘッド204の回転を停止させる。
次に、基板ヘッド204のヘッド部232で基板Wを吸着保持したまま、基板ヘッド204を洗浄槽202の直上方位置に移動させる。そして、基板ヘッド204を回転させながら洗浄槽202内の所定の位置まで下降させ、噴射ノズル280から純水等の洗浄液(リンス液)を噴射して基板Wを洗浄(リンス)し、同時に、ヘッド洗浄ノズル286から純水等の洗浄液を噴射して、基板ヘッド204のヘッド部232の、少なくともめっき液に接液する部分を該洗浄液で洗浄する。
この基板Wの洗浄が終了した後、基板ヘッド204の回転を停止させ、基板ヘッド204を上昇させて基板Wを洗浄槽202の上方位置まで引き上げ、更に基板ヘッド204を搬送ロボット16との受渡し位置まで移動させ、この搬送ロボット16に基板Wを受渡して次工程に搬送する。
この無電解めっき装置30には、図27に示すように、無電解めっき装置30が保有するめっき液の液量を計測するとともに、例えば吸光光度法、滴定法、電気化学的測定などでめっき液の組成を分析し、めっき液中の不足する成分を補給するめっき液管理ユニット330が備えられている。そして、これらの分析結果を信号処理してめっき液中の不足する成分を、図示しない補給槽から定量ポンプなどを使ってめっき液貯槽302へ補給してめっき液の液量と組成を管理するようになっており、これによって、薄膜めっきを再現性良く実現できる。
このめっき液管理ユニット330は、無電解めっき装置30が保有するめっき液の溶存酸素を、例えば電気化学的方法等により測定する溶存酸素濃度計332を有しており、この溶存酸素濃度計332の指示により、例えば脱気、窒素吹き込みその他の方法でめっき液中の溶存酸素濃度を一定に管理することができるようになっている。このように、めっき液中の溶存酸素濃度を一定に管理することで、めっき反応を再現性良く実現することができる。
なお、めっき液を繰り返し利用すると、外部からの持ち込みやそれ自身の分解によってある特定成分が蓄積し、めっきの再現性や膜質の劣化につながることがある。このような特定成分を選択的に除去する機構を追加することにより、液寿命の延長と再現性の向上を図ることができる。
図28は、研磨装置(CMP装置)32の一例を示す。この研磨装置32は、上面に研磨布(研磨パッド)820を貼付して研磨面を構成する研磨テーブル822と、基板Wをその被研磨面を研磨テーブル822に向けて保持するトップリング824とを備えている。そして、研磨テーブル822とトップリング824とをそれぞれ自転させ、研磨テーブル822の上方に設置された砥液ノズル826より砥液を供給しつつ、トップリング824により基板Wを一定の圧力で研磨テーブル822の研磨布820に押圧することで、基板Wの表面を研磨するようになっている。なお、研磨パッドとして、予め砥粒を入れた固定砥粒方式を採用したものを使用してもよい。
このようなCMP装置32を用いて研磨作業を継続すると研磨布820の研磨面の研磨力が低下するが、この研磨力を回復させるために、ドレッサー828を設け、このドレッサー828によって、研磨する基板Wの交換時などに研磨布820の目立て(ドレッシング)が行われている。このドレッシング処理においては、ドレッサー828のドレッシング面(ドレッシング部材)を研磨テーブル822の研磨布820に押圧しつつ、これらを自転させることで、研磨面に付着した砥液や切削屑を除去すると共に、研磨面の平坦化及び目立てが行なわれ、研磨面が再生される。また、研磨テーブル822に基板の表面の状態を監視するモニタを取付け、その場(In-situ)で研磨の終点(エンドポイント)を検出してもよく、またその場(In-situ)で基板の仕上がり状態を検査するモニタを取付けてもよい。
図29及び図30は、反転機を備えた膜厚測定器24を示す。同図に示すように、この膜厚測定器24は反転機339を備え、この反転機339は、反転アーム353,353を備えている。この反転アーム353,353は、基板Wの外周をその左右両側から挟み込んで保持し、これを180°回動することで反転させる機能を有する。そしてこの反転アーム353,353(反転ステージ)の直下に円形の取付け台355を設置し、取付け台355上に複数の膜厚センサSを設置する。取付け台355は駆動機構357によって上下動自在に構成されている。
そして基板Wの反転時には、取付け台355は、基板Wの下方の実線の位置に待機しており、反転の前又は後に点線で示す位置まで上昇して膜厚センサSを反転アーム353,353に把持した基板Wに接近させ、その膜厚を測定する。
この例によれば、搬送ロボットのアームなどの制約がないため、取付け台355上の任意の位置に膜厚センサSを設置できる。また、取付け台355は上下動自在な構成となっているので、測定時に基板Wとセンサ間の距離を調整することも可能である。また、検出目的に応じた複数の種類のセンサを取付けて、各々のセンサの測定毎に基板Wと各センサ間の距離を変更することも可能である。但し取付け台355が上下動するため、測定時間をやや要することになる。
ここで、膜厚センサSとして、例えば渦電流センサが使用される。渦電流センサは渦電流を発生させ、基板Wを導通して帰ってきた電流の周波数や損失を検出することにより膜厚を測定するものであり、非接触で用いられる。更に膜厚センサSとしては、光学的センサも好適である。光学的センサは、試料に光を照射し、反射する光の情報から膜厚を直接的に測定することができるものであり、金属膜だけでなく酸化膜などの絶縁膜の膜厚測定も可能である。膜厚センサSの設置位置は図示のものに限定されず、測定したい箇所に任意の個数を取付ける。
次に、このように構成された基板処理装置によって、図1(a)に示す、シード層6を形成した基板に銅配線を形成する一連の処理を、図31を更に参照して説明する。
先ず、表面にシード層6を形成した基板Wを搬送ボックス10から一枚ずつ取出し、ロード・アンロードステーション14に搬入する。そして、このロード・アンロードステーション14に搬入した基板Wを搬送ロボット16で膜厚測定器24に搬送し、この膜厚測定器24でイニシャル膜厚(シード層6の膜厚)を測定し、しかる後、必要に応じて、基板を反転させてめっき装置18に搬送し、このめっき装置18で、図1(b)に示すように、基板Wの表面に銅層7を堆積させて、銅の埋込みを行う。
そして、この銅層7を形成した基板を、搬送ロボット16で洗浄・乾燥装置20に搬送して、基板Wの純水による洗浄を行ってスピン乾燥させるか、またはめっき装置18にスピン乾燥機能が備えられている場合には、このめっき装置18で基板Wのスピン乾燥(液切り)を行って、この乾燥後の基板をベベルエッチング・裏面洗浄装置22に搬送する。
このベベルエッチング・裏面洗浄装置22では、基板Wのベベル(エッジ)部に付着した不要な銅をエッチング除去すると同時に、基板の裏面を純水等で洗浄し、しかる後、前述と同様に、搬送ロボット16で洗浄・乾燥装置20に搬送して、基板Wの純水による洗浄を行ってスピン乾燥させるか、またはベベルエッチング・裏面洗浄装置22にスピン乾燥機能が備えられている場合には、このベベルエッチング・裏面洗浄装置22で基板Wのスピン乾燥を行って、この乾燥後の基板を、搬送ロボット16で熱処理装置26に搬送する。
この熱処理装置26で基板Wの熱処理(アニール)を行う。そして、この熱処理後の基板Wを搬送ロボット16で膜厚測定器24に搬送し、ここで銅の膜厚を測定し、この測定結果と前述のイニシャル膜厚の測定結果との差から、銅層7(図1(b)参照)の膜厚を求め、この測定後の膜厚によって、例えば次に基板に対するめっき時間を調整し、また膜厚が不足する場合には、再度めっきによる銅の追加の成膜を行う。そして、この膜厚測定後の基板Wを、搬送ロボット16により研磨装置32に搬送する。
この研磨装置32で、図1(c)に示すように、基板Wの表面に堆積した不要な銅層7及びシード層6を研磨除去して、基板Wの表面を平坦化する。この時、例えば、膜厚や基板の仕上がり具合をモニタで検査し、このモニタで終点(エンドポイント)を検知した時に、研磨を終了する。そして、この研磨後の基板Wを搬送ロボット16で洗浄・乾燥装置20に搬送し、この洗浄・乾燥装置20で基板表面を薬液で洗浄し、更に純水で洗浄(リンス)した後、高速回転させてスピン乾燥させる。そして、このスピン乾燥後の基板Wを搬送ロボット16で前処理装置28に搬送する。
この前処理装置28で、例えば基板表面へのPd触媒の付着や、基板の露出表面に付着した酸化膜の除去等の少なくとも一方のめっき前処理を行う。そして、このめっき前処理後の基板を、前述のように、搬送ロボット16で洗浄・乾燥装置20に搬送して、基板Wの純水による洗浄を行ってスピン乾燥させるか、または前処理装置28にスピン乾燥機能が備えられている場合には、この前処理装置28で基板Wのスピン乾燥(液切り)を行って、この乾燥後の基板を搬送ロボット16で無電解めっき装置30に搬送する。
この無電解めっき装置30で、図1(d)に示すように、露出した配線8の表面に、例えば無電解Co−W−Pめっきを施して、配線8の外部への露出表面に、Co−W−P合金膜からなる保護膜(めっき膜)9を選択的に形成して配線8を保護する。この保護膜9の膜厚は、0.1〜500nm、好ましくは、1〜200nm、更に好ましくは、10〜100nm程度である。この時、例えば、保護膜9の膜厚をモニタして、この膜厚が所定の値に達した時、つまり終点(エンドポイント)を検知した時に、無電解めっきを終了する。
そして、無電解めっきが終了した基板を、搬送ロボット16で洗浄・乾燥装置20に搬送し、この洗浄・乾燥装置20で基板表面を薬液で洗浄し、更に純水で洗浄(リンス)した後、高速回転させてスピン乾燥させる。そして、このスピン乾燥後の基板Wを搬送ロボット16でロード・アンロードステーション14を経由して搬送ボックス10内に戻す。
なお、この例は、配線材料として、銅を使用した例を示しているが、この銅の他に、銅合金、銀及び銀合金等を使用しても良い。