JP2005080326A - 回路ボックスのバスバー回路基板及びバスバー回路基板の組立方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車載JB(ジョイントボックス)等、電気回路の接続、分岐等に用いられる回路ボックスのケース内に収容されるバスバー回路基板として多用されている、バスバーと絶縁板との積層体の組み立てでは、絶縁板の両面にバスバーを固定する工程が存在するが、これが、工程増、両面にバスバーの固定用のかしめ用突起を有する絶縁板(樹脂板)の製造コストが高いなどの問題があるため、生産性の向上、低コスト化を実現できる技術が求められていた。
【解決手段】絶縁板20の片面のみにバスバー10を積層固定してなる部分組立体1A、1Bの間に、バスバー10や絶縁板20を挟み込むようにして積層、一体化して構成されるバスバー回路基板及びその製造方法を提供する。
【選択図】 図2
【解決手段】絶縁板20の片面のみにバスバー10を積層固定してなる部分組立体1A、1Bの間に、バスバー10や絶縁板20を挟み込むようにして積層、一体化して構成されるバスバー回路基板及びその製造方法を提供する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気回路を形成するバスバーが絶縁板を介在させて複数積層された構成であり、例えば車載用JB(ジョイントボックス)等である回路ボックスの中に収容されるバスバー回路基板及びバスバー回路基板の組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車等の車両に搭載されて、各種電気機器ユニットへの給電用電線の接続、分岐等に用いられる所謂JB(ジョイントボックス)といった回路ボックスとしては、図9及び図10に示すように、電気回路を構成するバスバーが絶縁板を介在させて多層に積層された構成のバスバー回路基板50を収容したものが多用されている(例えば特許文献1)。なお、図9は、バスバー回路基板50の構造を簡単に示す断面図、図10はバスバー回路基板50を分解して示した図である。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−78179号公報
【0004】
図9及び図10において、バスバー回路基板50は、4層に配置されたバスバー30と、バスバー30の各層の間に介在された3枚の絶縁板40とが積層、一体化された構成になっている。
なお、以下、バスバー回路基板50について、図9右側を表面側、図9左側を裏面側と称することとする。また、図9、図10中、説明の便宜上、4層に配置されているバスバー30には層毎に表面側から順に31〜34の符号を付し、3枚の絶縁板40には表面側から順に41〜43の符号を付し、区別して説明できるようにしてある。
【0005】
このバスバー回路基板50は、最も表面側に位置するバスバー層(以下、第1層とも言う)を構成するバスバー31及び表面側から2番目のバスバー層(以下、第2層とも言う)を構成するバスバー32が最も表面側に位置する絶縁板41(以下、表面側絶縁板とも言う)に固定された構成の部分組立体51と、表面側から3番目のバスバー層(以下、第3層とも言う)のバスバー33及び表面側から4番目、つまり、このバスバー回路基板50の最も裏面側に位置するバスバー層(以下、第4層とも言う)を構成するバスバー34が最も裏面側に位置する絶縁板43(以下、裏面側絶縁板とも言う)に固定された構成の部分組立体52と、両側の部分組立体51、52間、つまり、第2層と第3層のバスバー層の間に挟み込まれている絶縁板42(以下、中間絶縁板とも言う)とが積層された構成になっている。
【0006】
ここで用いられるバスバー30は、周知のものであり、金属板(導電性を有する金属板)の一部分の折り曲げ成形によって突片状の端子片30a、30bが立ち上げるようにして形成されている導電性の板材であり、絶縁板に積層される部分は詳細にはバスバーを形成する金属板の板状部分である。
なお、図9、図10では、第1〜4層の各層のバスバー30を1つずつ図示しているが、第1〜4層の各層は、形成する電気回路に対応して、それぞれ複数のバスバー30によって構成することが多い。
【0007】
図9、図10のバスバー回路基板50を構成するバスバー30からバスバー回路基板50の表面側に突出されている端子片30a、並びに、バスバー30からバスバー回路基板50の裏面側に突出されている端子片30bは、電線やコネクタ等との電気接続用端子として機能する。なお、バスバー回路基板50を構成する各絶縁板40には端子片30a、30bの貫通用の貫通穴(図示略)が形成されており、この貫通穴によって、端子片30a、30bを絶縁板40に貫通させることができる。
【0008】
前記バスバー回路基板50の組み立ては、まず、該バスバー回路基板50を構成する各バスバー30を絶縁板40に固定してから、絶縁板40同士を重ね合わせて全体を一体化するものであり、具体的には、図10に示すように、表面側絶縁板41にバスバー31、32を固定して組み立てた部分組立体51と、裏面側絶縁板43にバスバー33、34を固定して組み立てた部分組立体52と、中間絶縁板42とを、一対の部分組立体51、52間に中間絶縁板42を挟み込むようにして重ね合わせて一体化している。
表面側絶縁板41に対するバスバー31、32の固定、裏面側絶縁板43に対するバスバー33、34の固定には、合成樹脂製の絶縁板41、43に突設されたかしめ用突起40a(樹脂製の突起。図10仮想線参照)の押し潰しによるかしめ固定(図9はかしめ固定が完了した状態を示す)が広く採用されている。表面側、裏面側の絶縁板41、43には両面(外面側及び該外面側に対向する内面側)にかしめ用突起40aが形成されており、絶縁板41、43について表裏両側でそれぞれかしめ用突起40aの押し潰しによるバスバー30のかしめ固定を行うことで、部分組立体51、52が組み立てられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような構成のバスバー回路基板50では、専用の装置を用いて絶縁板40の片面ずつバスバー30の固定作業(かしめ用突起の押し潰しによるかしめ固定)を行って部分組立体51、52を組み立てている。このため、バスバー回路基板50の組み立てでは、絶縁板40にバスバー40を固定する作業が1つの絶縁板40について2回、2種類の絶縁板41、43について合計4回必要であり、固定作業の回数が多く、かしめ固定用の装置に対する絶縁板40の取り付け向きの反転なども必要であり、生産性向上の妨げになっていた。
また、それぞれ両面にかしめ用突起を有する2種類の絶縁板41、43を形成する必要があるため、絶縁板41、43の樹脂成形用金型のコストが高く付くといった問題もある。かしめ用突起を押し潰するためのかしめプレス機のかしめプレス金型も高価であり、2種類の絶縁板41、43について、それぞれ2面ずつ、合計4面に対して、それぞれに対応するかしめプレス金型を用意するとなると、コストが非常に高く付く。
なお、前述の問題は、例えば、表面側、裏面側の絶縁板の間にもかしめ用突起を有する絶縁板が設けられている構成のバスバー回路基板など、バスバー固定用のかしめ用突起を有する絶縁板の数が多い程、顕著になってくる。
【0010】
本発明は、上記の事情に基づきなされたものであり、その目的とするところは、組み立て作業の効率化、低コスト化を実現できる回路ボックスのバスバー回路基板及びバスバー回路基板の組立方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明では以下の構成を採用した。
請求項1記載の発明は、複数層積層されたバスバーの層と、バスバーの層間に介在された絶縁板とを有して構成され、電気回路の接続、分岐等に用いられる回路ボックスのケース内に収容されるバスバー回路基板であって、このバスバー回路基板の表裏両側が、絶縁板の片面に積層状態にバスバーを固定した構成の部分組立体によって形成されており、さらに、前記表裏両側の部分組立体の間に、各部分組立体を構成する絶縁板間での挟み込み、あるいは、片方の部分組立体の絶縁板と、両部分組立体の間に別途介挿した絶縁板との間での挟み込みによって保持されたバスバーを有することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の回路ボックスのバスバー回路基板において、前記固定手段が、合成樹脂製の絶縁板の外面に突出されたかしめ用突起であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の回路ボックスのバスバー回路基板において、前記部分組立体を構成する絶縁板の前記バスバーが固定されている面に対向する内面側に、バスバーを収容するバスバー収容溝が形成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、複数層積層されたバスバーの層と、バスバーの層間に介在された絶縁板とを有して構成され、電気回路の接続、分岐等に用いられる回路ボックスのケース内に収容されるバスバー回路基板の組立方法であって、絶縁板の片面に積層状態にバスバーを固定した構成の一対の部分組立体を重ね合わせにより一体化する際に、この一対の部分組立体間に積層されるバスバーを、各部分組立体を構成する絶縁板間での挟み込み、あるいは、片方の部分組立体の絶縁板と、両部分組立体の間に別途介挿した絶縁板との間での挟み込みによって保持することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は本実施の形態に係るバスバー回路基板1の構造を簡単に示す断面図、図2はバスバー回路基板1を分解して示した図、図3はバスバー回路基板1の構造を示す部分拡大断面斜視図、図4はバスバー回路基板1のバスバー10を示す斜視図である。
【0013】
図1において、バスバー回路基板1は、複数層(ここでは4層)に積層されたバスバー10と、バスバー10の各層の間に介在された絶縁板20とが積層、一体化された構成の積層体である。
なお、以下、バスバー回路基板1について、図1右側を表面側、図1左側を裏面側と称することとする。図3は、バスバー回路基板1の一部を表面側から見た向きで図示している。
また、図1、図2中、説明の便宜上、4層に配置されているバスバー10には層毎に表面側から順に11〜14の符号を付し、3枚の絶縁板20には表面側から順に21〜23の符号を付し、区別して説明できるようにしてある。
絶縁板20の内、最も表面側に位置する絶縁板21、並びに、最も裏面側に位置する絶縁板23を、外側絶縁板と称する場合がある。以下、最も表面側に位置する絶縁板21を「表面側絶縁板」、最も裏面側に位置する絶縁板23を「裏面側絶縁板」と称する場合がある。
【0014】
バスバー回路基板1の最も表面側に位置するバスバー層(以下、第1層とも言う)を構成するバスバー11は、表面側絶縁板21の外面21a(バスバー回路基板1の表面側)に固定されている。また、表面側から4番目、つまり、このバスバー回路基板1の最も裏面側に位置するバスバー層(以下、第4層とも言う)を構成するバスバー14は、裏面側絶縁板23の外面23a(バスバー回路基板1の裏面側)に固定されている。表面側、裏面側の絶縁板21、23の間に位置する絶縁板22(以下、中間絶縁板とも言う)は、表面側から2番目のバスバー10の層(以下、第2層とも言う)を構成するバスバー22と、表面側から3番目のバスバー10の層(以下、第3層とも言う)を構成するバスバー23との間に介装されている。
なお、図1、図2では、第1〜4層の各層のバスバー10を1つずつ図示しているが、第1〜4層の各層を構成するバスバー10の数に特に限定は無く、この実施の形態では、第1〜4層の各層がそれぞれ複数のバスバー10によって構成されている。
【0015】
図1、図2のバスバー回路基板1の表面側には、第1〜4層の各層のバスバー11〜14の端子片10aが突出されており、バスバー回路基板1の裏面側にも同様に、第1〜4層の各層のバスバー11〜14の端子片10bが突出されている。ここで用いられるバスバー10は、周知のものであり、例えば図3、図4に示すように、金属板(導電性を有する金属板)の一部分の折り曲げ成形によって突片状の端子片10a、10bが立ち上げるようにして形成されている導電性の板材である。このバスバー10の絶縁板20に積層される部分は、詳細にはバスバー10を形成する金属板の板状部分10cである。端子片10a、10bの、バスバー回路基板1の表面側あるいは裏面側に突出された部分(図3は表面側への突出部分を示す)は、電線やコネクタ等との電気接続用端子として機能する。
【0016】
バスバー回路基板1を構成する各絶縁板20には、バスバー10の端子片10a又は10bが貫通される貫通穴20a(図3に表面側絶縁板21の貫通穴20aを例示)が形成されている。第2〜4層のバスバー12〜14の端子片10a、並びに、第1〜3層のバスバー11〜13の端子片10bは、前記貫通穴20aによって絶縁板20を貫通させて、バスバー回路基板1の外側(表面側又は裏面側)に突出されている。
なお、絶縁板20を貫通する端子片10a、10bは、バスバー回路基板1を構成する絶縁板20同士間の位置ずれ防止や、絶縁板20とバスバー10との間の位置ずれ防止のためのストッパとしても機能する。
【0017】
このバスバー回路基板1は、4層のバスバー10の層と3枚の絶縁板20とが積層されている構成である点では、図9に示した従来例のバスバー回路基板50と同様であるが、但し、図1、図2に示すように、このバスバー回路基板1は、表面側絶縁板21の外面21aのみにバスバー10が固定された構成の部分組立体1Aと、裏面側絶縁板23の外面23aのみに固定された構成の部分組立体1Bとを有しており、一対の部分組立体1A、1Bと、第2層のバスバー12(詳細には板状部分10c)と、中間絶縁板22と、第3層のバスバー13(詳細には板状部分10c)とが、一対の部分組立体1A、1Bの間(詳細には絶縁板21、23の間)に、第2層のバスバー12と、中間絶縁板22と、第3層のバスバー13とを挟み込むようにして積層状態に一体化されている点で、図9に例示したバスバー回路基板50と異なる。つまり、部分組立体1A、1B間における、第2層のバスバー12及び第3層のバスバー13の固定は、図9に例示したかしめ用突起等の固定手段を用いた固定では無く、第2層のバスバー12については、部分組立体1Aの絶縁板21(表面側絶縁板)と中間絶縁板22との間の挟み込みによる固定であり、第3層のバスバー13については、部分組立体1Bの絶縁板23(裏面側絶縁板)と中間絶縁板22との間の挟み込みによる固定である。
表面側、裏面側の絶縁板21、23の外面に対するバスバー10の固定は、合成樹脂製の絶縁板20の外面に突設されているかしめ用突起20b(図3、図7,図8等参照)の押し潰しによるかしめ固定であるが、この詳細については後に説明する。
【0018】
図5、図6に示すように、第1層のバスバー11の端子片10bの、バスバー回路基板1を貫通してバスバー回路基板1外側に突出される部分は、該端子片10b表面から僅かに突出する突部10dによって、バスバー回路基板1の絶縁板20の貫通穴20aを通り抜けにくい寸法に形成されている。この端子片10bを貫通穴20aに貫通させる際には、貫通穴20aに圧入する。前記突部10bは、バスバー回路基板1からのバスバー11の浮き上がりや離脱を防止するためのストッパとして機能する。突部10dは、バスバー回路基板1に貫通、突出される全ての端子片10bに形成されている必要はなく、一部の端子片10bのみに形成しても良い。突部10dは、第2〜4層のバスバー10の端子片10a、10bにも形成されている。
【0019】
なお、このストッパとしては、前記突部10dに限定されず各種構成が採用可能であり、例えば、バスバー回路基板1を貫通してバスバー回路基板1外側に突出される部分全体が湾曲成形されたもの、バスバー回路基板1の絶縁板20の貫通穴20a内面に圧接する寸法を有し、接圧によってストッパとしての機能を果たすものなどである。また、ストッパとして端子片に形成する突起としても、図5、図6等に例示した形状のものに限定されず、例えば、複数の小突起や、係合爪状のものなど、各種構成が採用可能である。
【0020】
本発明に係るバスバー回路基板の一体化状態の維持の点では、少なくとも、バスバー回路基板の対向する両側の最外層のバスバー(この実施の形態では第1、4層のバスバー11、14)から、それぞれバスバー回路基板を貫通して反対側に突出する端子部(この実施の形態では、第1層のバスバー11の端子部10b、及び、第4層のバスバー14の端子部10a)にストッパを形成して、両側の最外層のバスバー間、換言すれば、両側の部分組立体1A、1B間の離間を防止することが好ましい。
【0021】
本発明に係るバスバー回路基板1の組立方法としては、まず、外側絶縁板21、23の外面側へのバスバー10の固定によって部分組立体1A、1Bを組み立てる。次いで、図2に示すように、一対の部分組立体1A、1Bと、第2層のバスバー12と、中間絶縁板22と、第3層のバスバー13とを、一対の部分組立体1A、1Bの間(詳細には絶縁板21、23の間)に、第2、3層のバスバー12、13と、中間絶縁板22とを挟み込むようにして積層状態に一体化することで、バスバー回路基板1を組み立てる。この一体化の際には、第2〜4層のバスバー12〜14の端子片10aを絶縁板20の貫通穴20aへの挿入、貫通によってバスバー回路基板1の表面側に突出させるとともに、第1〜3層のバスバー11〜13の端子片10bも絶縁板20の貫通穴20aへの挿入、貫通によってバスバー回路基板1の裏面側に突出させる。
【0022】
バスバー回路基板1の組み立てにあたり、第2、3層のバスバー12、13は、部分組立体1A、1Bの絶縁板20の貫通穴20aへの端子片の挿入によって部分組立体の絶縁板20に組み付けた状態で行うことが、作業性の向上の点で好ましい。
この実施の形態では、図3、図7等に示すように、部分組立体1A、1Bの絶縁板20の内面側(外面とは逆の側)に形成したバスバー収容溝20cにバスバー10を収容するようにしている。バスバー収容溝20cは収容するバスバー10形状にほぼ一致する回路状に形成されており、このバスバー収容溝20cにバスバー12、13を収容することで、部分組立体の絶縁板20に組み付けたバスバー12、13が前述の一体化の作業途中で落下したり、位置ズレを生じることを防止できる利点があり、作業性向上の点で有効である。
【0023】
絶縁板21、23に対するバスバー10の固定は、絶縁板21、23の前記かしめ用突起20bが突設されている面に対してのみ行えば良いから、図7、図8に示すように、表面側、裏面側の絶縁板21、23には、該絶縁板21、23にバスバー10を固定するための固定手段としてのかしめ用突起20b(図7はかしめ用突起20bを押し潰した状態)がバスバー回路基板1の外面側(表面側又は裏面側)となる面のみに形成されている。表面側、裏面側の絶縁板21、23の内面側には、かしめ用突起は形成されていない。
なお、この実施の形態では、各外側絶縁板21、23の外面21a、23aに配置、積層されるバスバー10を、各外側絶縁板21、23の外面21a、23aに形成されたバスバー収容溝20dに収容してがたつきを防止するようになっている。かしめ用突起20bは、バスバー収容溝20dに近接する位置にて外側絶縁板20の外面上に突設されており、押し潰しによって横方向に拡がることでバスバー収容溝20d内のバスバー10上に張り出して、バスバー10のバスバー収容溝20dからの離脱を防止するようになっている。
【0024】
中間絶縁板22は、バスバーを固定するための構成(例えばかしめ用突起)を設ける必要が無く、この実施形態では、両面(部分組立体1Aの絶縁板21に対面される面と、部分組立体1Bの絶縁板23に対面される面)とも平坦面になっている、単純な板状の部材である中間絶縁板22を採用している。このような中間絶縁板22であれば、該中間絶縁板22を形成するための樹脂成形金型が単純なもので済むなど、中間絶縁板22の低コスト化を容易に実現できる。また、この中間絶縁板22としては、第2層のバスバー10と第3層のバスバー10との間の電気絶縁性を確保できるものであれば良く、板厚を薄くできる。中間絶縁板22の板厚を薄くすることで、バスバー回路基板1全体の厚さ寸法の圧縮、使用樹脂量の節約による中間絶縁板22の低コスト化を容易に実現できる。
【0025】
絶縁板21、23に対するバスバー10の固定は、絶縁板21、23の前記かしめ用突起20bが突設されている面に対してのみ行えば良いから、然るに、本発明に係るバスバー回路基板1によれば、かしめ用突起の押し潰しによる絶縁板に対するバスバーのかしめ固定の工程を従来に比べて大幅に減少させることができ、生産性を向上できる。また、表面側、裏面側の絶縁板21、23には外面側のみにかしめ用突起20bを形成すれば良いことから、絶縁板21、23を形成するための樹脂成形用金型の必要数を減少でき、低コスト化できる。かしめ用突起20bの押し潰し用のかしめプレス金型の必要数も減少でき、低コスト化できる。
【0026】
なお、本実施の形態では、4層のバスバーと3層の絶縁板とが積層されるバスバー回路基板について説明したが、本発明においてバスバーや絶縁板の積層数はこれに限らず、バスバーが2層以上、絶縁板が2層以上(2層のバスバー及び2層の絶縁板は、表裏両側の部分組立体を構成するバスバー及び絶縁板)の条件で任意に設計変更することが可能である。
また、外側絶縁板の外面にバスバーを固定する固定手段としては前述のかしめ用突起に限定されず、例えば、絶縁板外面に一体成形等によって形成された係合爪など、各種構成が採用可能である。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、バスバー回路基板の最も外側に配置される絶縁板の外面に配設されたバスバーだけ、絶縁板に対する固定作業を行えば、残りのバスバー回路基板の絶縁板上に配設されるバスバーについては、絶縁板間での挟み込みによって固定でき、別途、かしめ等の固定手段による絶縁板への固定を行わずに固定でき(かしめ工程の削減)、しかも、バスバー回路基板を構成する全てのバスバー及び絶縁板の積層状態を維持できる。然るに、バスバー回路基板の内側のバスバーの絶縁板に対する固定作業の省略によるバスバー回路基板の組み立て作業の効率化を実現できる。バスバー回路基板の最も外側に配置される絶縁板の外面に配設されたバスバーについて、絶縁板の外面側におけるバスバーの固定手段としてかしめ用突起を採用した場合、かしめ作業は片面のみであり、また、表裏両側の部分組立体間に配置される絶縁板については、バスバーを固定するためのかしめ作業を全て省略できるため、かしめプレス金型の必要数の削減を実現でき、低コスト化できるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るバスバー回路基板の構造を簡単に示す断面図である。
【図2】図1のバスバー回路基板を分解して示した図である。
【図3】図1のバスバー回路基板の構造を示す部分拡大断面斜視図である。
【図4】図1のバスバー回路基板のバスバーの一例を示す斜視図である。
【図5】図1のバスバー回路基板のバスバーの端子片形状を示す斜視図である。
【図6】図1のバスバー回路基板に貫通させた端子片を示す断面図である。
【図7】図1のバスバー回路基板を構成する外側絶縁板に形成した溝を示す部分拡大断面斜視図である。
【図8】図1のバスバー回路基板を構成する外側絶縁板に形成したかしめ用突起を示す図であって、かしめ用突起のかしめ前の状態を示す。
【図9】従来のバスバー回路基板の構造を簡単に示す断面図である。
【図10】図9のバスバー回路基板を分解して示した図である。
【符号の説明】
1…バスバー回路基板、 1A,1B…部分組立体、 10〜14…バスバー、 10a,10b…端子片、 20〜23…絶縁板、 20b…かしめ用突起、 20c…バスバー収容溝、 21a,23a…外面。
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気回路を形成するバスバーが絶縁板を介在させて複数積層された構成であり、例えば車載用JB(ジョイントボックス)等である回路ボックスの中に収容されるバスバー回路基板及びバスバー回路基板の組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車等の車両に搭載されて、各種電気機器ユニットへの給電用電線の接続、分岐等に用いられる所謂JB(ジョイントボックス)といった回路ボックスとしては、図9及び図10に示すように、電気回路を構成するバスバーが絶縁板を介在させて多層に積層された構成のバスバー回路基板50を収容したものが多用されている(例えば特許文献1)。なお、図9は、バスバー回路基板50の構造を簡単に示す断面図、図10はバスバー回路基板50を分解して示した図である。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−78179号公報
【0004】
図9及び図10において、バスバー回路基板50は、4層に配置されたバスバー30と、バスバー30の各層の間に介在された3枚の絶縁板40とが積層、一体化された構成になっている。
なお、以下、バスバー回路基板50について、図9右側を表面側、図9左側を裏面側と称することとする。また、図9、図10中、説明の便宜上、4層に配置されているバスバー30には層毎に表面側から順に31〜34の符号を付し、3枚の絶縁板40には表面側から順に41〜43の符号を付し、区別して説明できるようにしてある。
【0005】
このバスバー回路基板50は、最も表面側に位置するバスバー層(以下、第1層とも言う)を構成するバスバー31及び表面側から2番目のバスバー層(以下、第2層とも言う)を構成するバスバー32が最も表面側に位置する絶縁板41(以下、表面側絶縁板とも言う)に固定された構成の部分組立体51と、表面側から3番目のバスバー層(以下、第3層とも言う)のバスバー33及び表面側から4番目、つまり、このバスバー回路基板50の最も裏面側に位置するバスバー層(以下、第4層とも言う)を構成するバスバー34が最も裏面側に位置する絶縁板43(以下、裏面側絶縁板とも言う)に固定された構成の部分組立体52と、両側の部分組立体51、52間、つまり、第2層と第3層のバスバー層の間に挟み込まれている絶縁板42(以下、中間絶縁板とも言う)とが積層された構成になっている。
【0006】
ここで用いられるバスバー30は、周知のものであり、金属板(導電性を有する金属板)の一部分の折り曲げ成形によって突片状の端子片30a、30bが立ち上げるようにして形成されている導電性の板材であり、絶縁板に積層される部分は詳細にはバスバーを形成する金属板の板状部分である。
なお、図9、図10では、第1〜4層の各層のバスバー30を1つずつ図示しているが、第1〜4層の各層は、形成する電気回路に対応して、それぞれ複数のバスバー30によって構成することが多い。
【0007】
図9、図10のバスバー回路基板50を構成するバスバー30からバスバー回路基板50の表面側に突出されている端子片30a、並びに、バスバー30からバスバー回路基板50の裏面側に突出されている端子片30bは、電線やコネクタ等との電気接続用端子として機能する。なお、バスバー回路基板50を構成する各絶縁板40には端子片30a、30bの貫通用の貫通穴(図示略)が形成されており、この貫通穴によって、端子片30a、30bを絶縁板40に貫通させることができる。
【0008】
前記バスバー回路基板50の組み立ては、まず、該バスバー回路基板50を構成する各バスバー30を絶縁板40に固定してから、絶縁板40同士を重ね合わせて全体を一体化するものであり、具体的には、図10に示すように、表面側絶縁板41にバスバー31、32を固定して組み立てた部分組立体51と、裏面側絶縁板43にバスバー33、34を固定して組み立てた部分組立体52と、中間絶縁板42とを、一対の部分組立体51、52間に中間絶縁板42を挟み込むようにして重ね合わせて一体化している。
表面側絶縁板41に対するバスバー31、32の固定、裏面側絶縁板43に対するバスバー33、34の固定には、合成樹脂製の絶縁板41、43に突設されたかしめ用突起40a(樹脂製の突起。図10仮想線参照)の押し潰しによるかしめ固定(図9はかしめ固定が完了した状態を示す)が広く採用されている。表面側、裏面側の絶縁板41、43には両面(外面側及び該外面側に対向する内面側)にかしめ用突起40aが形成されており、絶縁板41、43について表裏両側でそれぞれかしめ用突起40aの押し潰しによるバスバー30のかしめ固定を行うことで、部分組立体51、52が組み立てられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような構成のバスバー回路基板50では、専用の装置を用いて絶縁板40の片面ずつバスバー30の固定作業(かしめ用突起の押し潰しによるかしめ固定)を行って部分組立体51、52を組み立てている。このため、バスバー回路基板50の組み立てでは、絶縁板40にバスバー40を固定する作業が1つの絶縁板40について2回、2種類の絶縁板41、43について合計4回必要であり、固定作業の回数が多く、かしめ固定用の装置に対する絶縁板40の取り付け向きの反転なども必要であり、生産性向上の妨げになっていた。
また、それぞれ両面にかしめ用突起を有する2種類の絶縁板41、43を形成する必要があるため、絶縁板41、43の樹脂成形用金型のコストが高く付くといった問題もある。かしめ用突起を押し潰するためのかしめプレス機のかしめプレス金型も高価であり、2種類の絶縁板41、43について、それぞれ2面ずつ、合計4面に対して、それぞれに対応するかしめプレス金型を用意するとなると、コストが非常に高く付く。
なお、前述の問題は、例えば、表面側、裏面側の絶縁板の間にもかしめ用突起を有する絶縁板が設けられている構成のバスバー回路基板など、バスバー固定用のかしめ用突起を有する絶縁板の数が多い程、顕著になってくる。
【0010】
本発明は、上記の事情に基づきなされたものであり、その目的とするところは、組み立て作業の効率化、低コスト化を実現できる回路ボックスのバスバー回路基板及びバスバー回路基板の組立方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明では以下の構成を採用した。
請求項1記載の発明は、複数層積層されたバスバーの層と、バスバーの層間に介在された絶縁板とを有して構成され、電気回路の接続、分岐等に用いられる回路ボックスのケース内に収容されるバスバー回路基板であって、このバスバー回路基板の表裏両側が、絶縁板の片面に積層状態にバスバーを固定した構成の部分組立体によって形成されており、さらに、前記表裏両側の部分組立体の間に、各部分組立体を構成する絶縁板間での挟み込み、あるいは、片方の部分組立体の絶縁板と、両部分組立体の間に別途介挿した絶縁板との間での挟み込みによって保持されたバスバーを有することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の回路ボックスのバスバー回路基板において、前記固定手段が、合成樹脂製の絶縁板の外面に突出されたかしめ用突起であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の回路ボックスのバスバー回路基板において、前記部分組立体を構成する絶縁板の前記バスバーが固定されている面に対向する内面側に、バスバーを収容するバスバー収容溝が形成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、複数層積層されたバスバーの層と、バスバーの層間に介在された絶縁板とを有して構成され、電気回路の接続、分岐等に用いられる回路ボックスのケース内に収容されるバスバー回路基板の組立方法であって、絶縁板の片面に積層状態にバスバーを固定した構成の一対の部分組立体を重ね合わせにより一体化する際に、この一対の部分組立体間に積層されるバスバーを、各部分組立体を構成する絶縁板間での挟み込み、あるいは、片方の部分組立体の絶縁板と、両部分組立体の間に別途介挿した絶縁板との間での挟み込みによって保持することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は本実施の形態に係るバスバー回路基板1の構造を簡単に示す断面図、図2はバスバー回路基板1を分解して示した図、図3はバスバー回路基板1の構造を示す部分拡大断面斜視図、図4はバスバー回路基板1のバスバー10を示す斜視図である。
【0013】
図1において、バスバー回路基板1は、複数層(ここでは4層)に積層されたバスバー10と、バスバー10の各層の間に介在された絶縁板20とが積層、一体化された構成の積層体である。
なお、以下、バスバー回路基板1について、図1右側を表面側、図1左側を裏面側と称することとする。図3は、バスバー回路基板1の一部を表面側から見た向きで図示している。
また、図1、図2中、説明の便宜上、4層に配置されているバスバー10には層毎に表面側から順に11〜14の符号を付し、3枚の絶縁板20には表面側から順に21〜23の符号を付し、区別して説明できるようにしてある。
絶縁板20の内、最も表面側に位置する絶縁板21、並びに、最も裏面側に位置する絶縁板23を、外側絶縁板と称する場合がある。以下、最も表面側に位置する絶縁板21を「表面側絶縁板」、最も裏面側に位置する絶縁板23を「裏面側絶縁板」と称する場合がある。
【0014】
バスバー回路基板1の最も表面側に位置するバスバー層(以下、第1層とも言う)を構成するバスバー11は、表面側絶縁板21の外面21a(バスバー回路基板1の表面側)に固定されている。また、表面側から4番目、つまり、このバスバー回路基板1の最も裏面側に位置するバスバー層(以下、第4層とも言う)を構成するバスバー14は、裏面側絶縁板23の外面23a(バスバー回路基板1の裏面側)に固定されている。表面側、裏面側の絶縁板21、23の間に位置する絶縁板22(以下、中間絶縁板とも言う)は、表面側から2番目のバスバー10の層(以下、第2層とも言う)を構成するバスバー22と、表面側から3番目のバスバー10の層(以下、第3層とも言う)を構成するバスバー23との間に介装されている。
なお、図1、図2では、第1〜4層の各層のバスバー10を1つずつ図示しているが、第1〜4層の各層を構成するバスバー10の数に特に限定は無く、この実施の形態では、第1〜4層の各層がそれぞれ複数のバスバー10によって構成されている。
【0015】
図1、図2のバスバー回路基板1の表面側には、第1〜4層の各層のバスバー11〜14の端子片10aが突出されており、バスバー回路基板1の裏面側にも同様に、第1〜4層の各層のバスバー11〜14の端子片10bが突出されている。ここで用いられるバスバー10は、周知のものであり、例えば図3、図4に示すように、金属板(導電性を有する金属板)の一部分の折り曲げ成形によって突片状の端子片10a、10bが立ち上げるようにして形成されている導電性の板材である。このバスバー10の絶縁板20に積層される部分は、詳細にはバスバー10を形成する金属板の板状部分10cである。端子片10a、10bの、バスバー回路基板1の表面側あるいは裏面側に突出された部分(図3は表面側への突出部分を示す)は、電線やコネクタ等との電気接続用端子として機能する。
【0016】
バスバー回路基板1を構成する各絶縁板20には、バスバー10の端子片10a又は10bが貫通される貫通穴20a(図3に表面側絶縁板21の貫通穴20aを例示)が形成されている。第2〜4層のバスバー12〜14の端子片10a、並びに、第1〜3層のバスバー11〜13の端子片10bは、前記貫通穴20aによって絶縁板20を貫通させて、バスバー回路基板1の外側(表面側又は裏面側)に突出されている。
なお、絶縁板20を貫通する端子片10a、10bは、バスバー回路基板1を構成する絶縁板20同士間の位置ずれ防止や、絶縁板20とバスバー10との間の位置ずれ防止のためのストッパとしても機能する。
【0017】
このバスバー回路基板1は、4層のバスバー10の層と3枚の絶縁板20とが積層されている構成である点では、図9に示した従来例のバスバー回路基板50と同様であるが、但し、図1、図2に示すように、このバスバー回路基板1は、表面側絶縁板21の外面21aのみにバスバー10が固定された構成の部分組立体1Aと、裏面側絶縁板23の外面23aのみに固定された構成の部分組立体1Bとを有しており、一対の部分組立体1A、1Bと、第2層のバスバー12(詳細には板状部分10c)と、中間絶縁板22と、第3層のバスバー13(詳細には板状部分10c)とが、一対の部分組立体1A、1Bの間(詳細には絶縁板21、23の間)に、第2層のバスバー12と、中間絶縁板22と、第3層のバスバー13とを挟み込むようにして積層状態に一体化されている点で、図9に例示したバスバー回路基板50と異なる。つまり、部分組立体1A、1B間における、第2層のバスバー12及び第3層のバスバー13の固定は、図9に例示したかしめ用突起等の固定手段を用いた固定では無く、第2層のバスバー12については、部分組立体1Aの絶縁板21(表面側絶縁板)と中間絶縁板22との間の挟み込みによる固定であり、第3層のバスバー13については、部分組立体1Bの絶縁板23(裏面側絶縁板)と中間絶縁板22との間の挟み込みによる固定である。
表面側、裏面側の絶縁板21、23の外面に対するバスバー10の固定は、合成樹脂製の絶縁板20の外面に突設されているかしめ用突起20b(図3、図7,図8等参照)の押し潰しによるかしめ固定であるが、この詳細については後に説明する。
【0018】
図5、図6に示すように、第1層のバスバー11の端子片10bの、バスバー回路基板1を貫通してバスバー回路基板1外側に突出される部分は、該端子片10b表面から僅かに突出する突部10dによって、バスバー回路基板1の絶縁板20の貫通穴20aを通り抜けにくい寸法に形成されている。この端子片10bを貫通穴20aに貫通させる際には、貫通穴20aに圧入する。前記突部10bは、バスバー回路基板1からのバスバー11の浮き上がりや離脱を防止するためのストッパとして機能する。突部10dは、バスバー回路基板1に貫通、突出される全ての端子片10bに形成されている必要はなく、一部の端子片10bのみに形成しても良い。突部10dは、第2〜4層のバスバー10の端子片10a、10bにも形成されている。
【0019】
なお、このストッパとしては、前記突部10dに限定されず各種構成が採用可能であり、例えば、バスバー回路基板1を貫通してバスバー回路基板1外側に突出される部分全体が湾曲成形されたもの、バスバー回路基板1の絶縁板20の貫通穴20a内面に圧接する寸法を有し、接圧によってストッパとしての機能を果たすものなどである。また、ストッパとして端子片に形成する突起としても、図5、図6等に例示した形状のものに限定されず、例えば、複数の小突起や、係合爪状のものなど、各種構成が採用可能である。
【0020】
本発明に係るバスバー回路基板の一体化状態の維持の点では、少なくとも、バスバー回路基板の対向する両側の最外層のバスバー(この実施の形態では第1、4層のバスバー11、14)から、それぞれバスバー回路基板を貫通して反対側に突出する端子部(この実施の形態では、第1層のバスバー11の端子部10b、及び、第4層のバスバー14の端子部10a)にストッパを形成して、両側の最外層のバスバー間、換言すれば、両側の部分組立体1A、1B間の離間を防止することが好ましい。
【0021】
本発明に係るバスバー回路基板1の組立方法としては、まず、外側絶縁板21、23の外面側へのバスバー10の固定によって部分組立体1A、1Bを組み立てる。次いで、図2に示すように、一対の部分組立体1A、1Bと、第2層のバスバー12と、中間絶縁板22と、第3層のバスバー13とを、一対の部分組立体1A、1Bの間(詳細には絶縁板21、23の間)に、第2、3層のバスバー12、13と、中間絶縁板22とを挟み込むようにして積層状態に一体化することで、バスバー回路基板1を組み立てる。この一体化の際には、第2〜4層のバスバー12〜14の端子片10aを絶縁板20の貫通穴20aへの挿入、貫通によってバスバー回路基板1の表面側に突出させるとともに、第1〜3層のバスバー11〜13の端子片10bも絶縁板20の貫通穴20aへの挿入、貫通によってバスバー回路基板1の裏面側に突出させる。
【0022】
バスバー回路基板1の組み立てにあたり、第2、3層のバスバー12、13は、部分組立体1A、1Bの絶縁板20の貫通穴20aへの端子片の挿入によって部分組立体の絶縁板20に組み付けた状態で行うことが、作業性の向上の点で好ましい。
この実施の形態では、図3、図7等に示すように、部分組立体1A、1Bの絶縁板20の内面側(外面とは逆の側)に形成したバスバー収容溝20cにバスバー10を収容するようにしている。バスバー収容溝20cは収容するバスバー10形状にほぼ一致する回路状に形成されており、このバスバー収容溝20cにバスバー12、13を収容することで、部分組立体の絶縁板20に組み付けたバスバー12、13が前述の一体化の作業途中で落下したり、位置ズレを生じることを防止できる利点があり、作業性向上の点で有効である。
【0023】
絶縁板21、23に対するバスバー10の固定は、絶縁板21、23の前記かしめ用突起20bが突設されている面に対してのみ行えば良いから、図7、図8に示すように、表面側、裏面側の絶縁板21、23には、該絶縁板21、23にバスバー10を固定するための固定手段としてのかしめ用突起20b(図7はかしめ用突起20bを押し潰した状態)がバスバー回路基板1の外面側(表面側又は裏面側)となる面のみに形成されている。表面側、裏面側の絶縁板21、23の内面側には、かしめ用突起は形成されていない。
なお、この実施の形態では、各外側絶縁板21、23の外面21a、23aに配置、積層されるバスバー10を、各外側絶縁板21、23の外面21a、23aに形成されたバスバー収容溝20dに収容してがたつきを防止するようになっている。かしめ用突起20bは、バスバー収容溝20dに近接する位置にて外側絶縁板20の外面上に突設されており、押し潰しによって横方向に拡がることでバスバー収容溝20d内のバスバー10上に張り出して、バスバー10のバスバー収容溝20dからの離脱を防止するようになっている。
【0024】
中間絶縁板22は、バスバーを固定するための構成(例えばかしめ用突起)を設ける必要が無く、この実施形態では、両面(部分組立体1Aの絶縁板21に対面される面と、部分組立体1Bの絶縁板23に対面される面)とも平坦面になっている、単純な板状の部材である中間絶縁板22を採用している。このような中間絶縁板22であれば、該中間絶縁板22を形成するための樹脂成形金型が単純なもので済むなど、中間絶縁板22の低コスト化を容易に実現できる。また、この中間絶縁板22としては、第2層のバスバー10と第3層のバスバー10との間の電気絶縁性を確保できるものであれば良く、板厚を薄くできる。中間絶縁板22の板厚を薄くすることで、バスバー回路基板1全体の厚さ寸法の圧縮、使用樹脂量の節約による中間絶縁板22の低コスト化を容易に実現できる。
【0025】
絶縁板21、23に対するバスバー10の固定は、絶縁板21、23の前記かしめ用突起20bが突設されている面に対してのみ行えば良いから、然るに、本発明に係るバスバー回路基板1によれば、かしめ用突起の押し潰しによる絶縁板に対するバスバーのかしめ固定の工程を従来に比べて大幅に減少させることができ、生産性を向上できる。また、表面側、裏面側の絶縁板21、23には外面側のみにかしめ用突起20bを形成すれば良いことから、絶縁板21、23を形成するための樹脂成形用金型の必要数を減少でき、低コスト化できる。かしめ用突起20bの押し潰し用のかしめプレス金型の必要数も減少でき、低コスト化できる。
【0026】
なお、本実施の形態では、4層のバスバーと3層の絶縁板とが積層されるバスバー回路基板について説明したが、本発明においてバスバーや絶縁板の積層数はこれに限らず、バスバーが2層以上、絶縁板が2層以上(2層のバスバー及び2層の絶縁板は、表裏両側の部分組立体を構成するバスバー及び絶縁板)の条件で任意に設計変更することが可能である。
また、外側絶縁板の外面にバスバーを固定する固定手段としては前述のかしめ用突起に限定されず、例えば、絶縁板外面に一体成形等によって形成された係合爪など、各種構成が採用可能である。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、バスバー回路基板の最も外側に配置される絶縁板の外面に配設されたバスバーだけ、絶縁板に対する固定作業を行えば、残りのバスバー回路基板の絶縁板上に配設されるバスバーについては、絶縁板間での挟み込みによって固定でき、別途、かしめ等の固定手段による絶縁板への固定を行わずに固定でき(かしめ工程の削減)、しかも、バスバー回路基板を構成する全てのバスバー及び絶縁板の積層状態を維持できる。然るに、バスバー回路基板の内側のバスバーの絶縁板に対する固定作業の省略によるバスバー回路基板の組み立て作業の効率化を実現できる。バスバー回路基板の最も外側に配置される絶縁板の外面に配設されたバスバーについて、絶縁板の外面側におけるバスバーの固定手段としてかしめ用突起を採用した場合、かしめ作業は片面のみであり、また、表裏両側の部分組立体間に配置される絶縁板については、バスバーを固定するためのかしめ作業を全て省略できるため、かしめプレス金型の必要数の削減を実現でき、低コスト化できるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るバスバー回路基板の構造を簡単に示す断面図である。
【図2】図1のバスバー回路基板を分解して示した図である。
【図3】図1のバスバー回路基板の構造を示す部分拡大断面斜視図である。
【図4】図1のバスバー回路基板のバスバーの一例を示す斜視図である。
【図5】図1のバスバー回路基板のバスバーの端子片形状を示す斜視図である。
【図6】図1のバスバー回路基板に貫通させた端子片を示す断面図である。
【図7】図1のバスバー回路基板を構成する外側絶縁板に形成した溝を示す部分拡大断面斜視図である。
【図8】図1のバスバー回路基板を構成する外側絶縁板に形成したかしめ用突起を示す図であって、かしめ用突起のかしめ前の状態を示す。
【図9】従来のバスバー回路基板の構造を簡単に示す断面図である。
【図10】図9のバスバー回路基板を分解して示した図である。
【符号の説明】
1…バスバー回路基板、 1A,1B…部分組立体、 10〜14…バスバー、 10a,10b…端子片、 20〜23…絶縁板、 20b…かしめ用突起、 20c…バスバー収容溝、 21a,23a…外面。
Claims (4)
- 複数層積層されたバスバーの層と、バスバーの層間に介在された絶縁板とを有して構成され、電気回路の接続、分岐等に用いられる回路ボックスのケース内に収容されるバスバー回路基板であって、
このバスバー回路基板の表裏両側が、絶縁板の片面に積層状態にバスバーを固定した構成の部分組立体によって形成されており、
さらに、前記表裏両側の部分組立体の間に、各部分組立体を構成する絶縁板間での挟み込み、あるいは、片方の部分組立体の絶縁板と、両部分組立体の間に別途介挿した絶縁板との間での挟み込みによって保持されたバスバーを有することを特徴とする回路ボックスのバスバー回路基板。 - 前記固定手段が、合成樹脂製の絶縁板の外面に突出されたかしめ用突起であることを特徴とする請求項1記載の回路ボックスのバスバー回路基板。
- 前記部分組立体を構成する絶縁板の前記バスバーが固定されている面に対向する内面側に、バスバーを収容するバスバー収容溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の回路ボックスのバスバー回路基板。
- 複数層積層されたバスバーの層と、バスバーの層間に介在された絶縁板とを有して構成され、電気回路の接続、分岐等に用いられる回路ボックスのケース内に収容されるバスバー回路基板の組立方法であって、
絶縁板の片面に積層状態にバスバーを固定した構成の一対の部分組立体を重ね合わせにより一体化する際に、この一対の部分組立体間に積層されるバスバーを、各部分組立体を構成する絶縁板間での挟み込み、あるいは、片方の部分組立体の絶縁板と、両部分組立体の間に別途介挿した絶縁板との間での挟み込みによって保持することを特徴とするバスバー回路基板の組立方法。
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JP2007330044A (ja) * | 2006-06-08 | 2007-12-20 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | 高電圧ジャンクションボックス |
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070814 |