JP2005079143A - 結晶シリコンおよびこれを用いた光電変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 BSF構造として用いるp+型半導体領域を高品質化した結晶シリコンを提供することと、それを用いた、特に高効率な太陽電池等の光電変換装置を提供すること。
【解決手段】 アルミニウムの濃度およびホウ素の濃度のそれぞれが深さ方向において同一傾向に分布し、かつ酸素を含有しているp+型半導体領域を備えている結晶シリコンとすること、および、この結晶シリコン中のp+型半導体領域をBSF構造として機能させる光電変換装置とする。
【選択図】 図2
【解決手段】 アルミニウムの濃度およびホウ素の濃度のそれぞれが深さ方向において同一傾向に分布し、かつ酸素を含有しているp+型半導体領域を備えている結晶シリコンとすること、および、この結晶シリコン中のp+型半導体領域をBSF構造として機能させる光電変換装置とする。
【選択図】 図2
Description
本発明は不純物が高濃度のp型半導体にドープされたp+型半導体領域を有する結晶シリコンおよびこれを用いた光電変換装置に関し、特に、このp+型半導体領域をBSF構造として機能させた太陽電池に関する。
太陽電池や光センサ等の光電変換装置は、表面に入射した太陽光などの光エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。この電気エネルギーへの変換効率を向上させるため、従来から様々な試みがなされてきた。その代表的なもののひとつにBSF(back surface field)構造があり、この構造により、長波長域の感度の改善による光電流の増加、p型半導体層/p+型半導体層間のエネルギー差による開放電圧の増大、および裏面電極とのオーミック特性を良好にすることによる曲線因子(F.F.)の改善等の効果を生じさせることができる。
p型結晶シリコン(Si)基板を用いた太陽電池にBSF構造を形成するには、アルミニウム(Al)粉末を主成分として含有するAlペーストをSi基板に塗布・焼成を行う方法が、自動化が容易であり、生産性が高いことから広く用いられている。
Alペーストについては、Al粉末,ガラスフリット,有機結合剤,有機溶剤をベースとし、必要に応じてホウ素(B)含有物を適宜混合したものを用いる(特許文献1を参照。)。このように、ガラスフリット成分あるいはB含有物として、B含有材料をAlペーストに混ぜることにより、BSF効果を向上させることができるとされている。
また、非特許文献1にはBがドープされたAlをスパッタ法により形成した後、熱処理することによりBSF構造を形成することが開示されており、通常950℃以上が必要なBの拡散が低温にて実現されることによりBSF効果が増大することが開示されている。
特開2003−69056号公報
26th IEEE Photovoltaic Specialists Conference,1997,p.275
上述した従来例によれば、Alに加えてBを添加することによりBSF効果が高められるとされているが、発展途上の段階にあり、現状では例えば太陽電池特性を十分に満足するBSF構造が得られていないと思われる。
本発明の目的は、BSF構造として用いるp+型半導体領域を高品質化した結晶シリコンを提供することと、それを用いた、特に高効率な太陽電池等の光電変換装置を提供することにある。
本発明の結晶シリコンは、1)アルミニウムの濃度およびホウ素の濃度のそれぞれが深さ方向において同一傾向に分布し、かつ酸素を含有しているp+型半導体領域を備えていることを特徴とする。
また、2)1)において、前記p+型半導体領域は、その深さ方向において前記アルミニウムの濃度と前記酸素の濃度との和、または前記ホウ素の濃度と前記酸素の濃度との和が、一定値となる部分が存在していることを特徴とする。
また、3)1)または2)において、前記p+型半導体領域に存在する前記酸素の濃度は、前記p+型半導体領域以外の領域に存在する酸素の濃度よりも低いことを特徴とする。
また、4)1)乃至3)のいずれかにおいて、前記p+型半導体領域に存在する酸素の濃度は、2×1016/cm3以上5×1017/cm3以下であることを特徴とする。
さらに、本発明の光電変換装置は、5)1)乃至4)のいずれかの結晶シリコンを備え、前記p+型半導体領域をBSF構造として機能させることを特徴とする。
本発明の結晶シリコンおよびこれを用いた光電変換装置によれば、アルミニウムとホウ素の深さ方向における濃度が同一傾向に分布している。すなわち、プロファイルが同一となっている。ここで、プロファイルが同一とは濃度が同じということではなく、濃度の増減の形が同じことを意味しており、濃度としては1桁以内の相違を指す。これにより、高い変換効率が得られる。
また、本発明では、アルミニウムと酸素の濃度の和、またはホウ素と酸素の濃度の和を一定値とする。ここで一定値とは、主に測定誤差や、界面の影響によるスパイク状の部分(2〜3.5μm程度の深さの領域)を除いた部分がほぼ一定値であることを意味しており、濃度としては2倍以内を指す。これより、高い変換効率が得られる。
また、p+半導体領域の酸素濃度は周囲より濃度が少なくなっており、BSF構造の品質を格段に向上させることができる。これは、本発明のBSF構造の形成メカニズムに起因していると考えられる。BSF構造の形成時には、アルミニウムに加えホウ素を適量としたことにより、BSF形成領域の結晶シリコン中の酸素が引き抜かれ、酸素と入れ替わるようにアルミニウムとホウ素とが入っていく現象が生じたものと考えられる。このため、特にp+半導体領域とそれ以外の結晶シリコンとの酸素濃度は適量が存在する。結晶シリコンの適量は1×1017/cm3以上5×1018/cm3以下である。なぜなら、この濃度範囲より低い場合では、アルミニウムとホウ素とが酸素と入れ替わる量が少なすぎるため、十分なBSF効果が得られない。また、この濃度範囲より高い場合では結晶シリコン自体の膜品質の低下を招くからである。一方、BSF構造であるp+半導体領域の酸素濃度は、界面領域を除くと2×1016/cm3以上5×1017/cm3以下であることが望ましい。この濃度範囲より低い場合では、アルミニウムとホウ素の酸素との入れ替わりはほとんど飽和した状態であり、過剰なアルミニウムとホウ素がBSF領域内の外側(開放側、バルク側ではない)に存在していることになり、BSF構造の品質低下を招く。また、この濃度以上では、BSF構造の品質が十分でないため、光電変換特性等の特性が低下してしまうからである。
以上により、本発明によれば、アルミニウムとホウ素が同一の濃度プロファイルのp+型半導体領域を有しているので、従来に比較して高品質なBSF構造とすることが可能となる。また、このBSF構造における酸素濃度をその周囲の領域より減少させ、アルミニウムまたはホウ素と酸素の濃度の和を一定値とすることにより、さらに高効率な太陽電池等の光電変換装置を得ることができる。
以下、本発明の最良の形態を光電変換装置であるバルク型Si太陽電池を例にとり、模式的にあらわした図面に基づいて詳細に説明する。図1はp+型半導体領域をBSF構造として用いたバルク型Si太陽電池の構造を示す断面図である。
図1において、101はp型Si基板、102はn型Si層、103はp+型半導体領域であるp+型Si(BSF)層、104は反射防止膜、105は表面電極、106は裏面電極をそれぞれ示している。
p型Si基板101は結晶Siであり、単結晶もしくは多結晶のSi基板である。単結晶Siの場合は引き上げ法などの単結晶育成方法によって作製され、多結晶Siの場合は鋳造法などによって作製される。多結晶Siは大量生産が可能であり、製造コスト面で単結晶Siよりもきわめて有利である。引き上げ法や鋳造法によって形成されたインゴットを300μm程度の厚みにスライスして、10cm×10cmもしくは15cm×15cm程度の大きさに切断してSi基板とする。
Si基板101の表面側には、入射した光を有効に取り込むために凹凸構造とすることが望ましい(不図示)。この凹凸構造はアルカリを用いたウエットエッチング法や反応性イオンエッチング(RIE)法で形成することができる。
Si基板101の表面側には、図1に示すように、リン(P)等のn型不純物が拡散されたn型Si層102が形成されている。このn型Si層102は、Si基板101内に半導体接合部を形成するために設けるものであり、例えばPを拡散させる場合、POCl3を用いた気相拡散法、P2O5を用いた塗布拡散法、およびP+イオンを直接拡散させるイオン打ち込み法などによって形成される。n型Si層102は0.3〜0.5μm程度の深さに形成される。
このSi基板101の表面側には、反射防止膜104が形成されている。反射防止膜104は、Si基板101の表面で光が反射するのを防止して、Si基板101内に光を有効に取り込むために設ける。この反射防止膜104は、Si基板101との屈折率差等を考慮して、屈折率が2程度の材料で構成され、厚み500〜2000Å程度の窒化シリコン(SiNX)膜や酸化シリコン(SiO2)膜などで構成される。
Si基板101の裏面側には、p型不純物が高濃度に拡散されたBSF層103を形成する。このBSF層103は、Si基板101の裏面近くでキャリアの再結合による効率の低下を防ぐために、Si基板101の裏面側に内部電界を形成するものである。
つまり、Si基板101の裏面近くで発生したキャリアがこの電界によって加速される結果、電力が有効に取り出されることとなり、特に長波長の光感度が増大する。
BSF層103を形成するにはAl粉末を主成分として含有するAlペーストをSi基板101の裏面に塗布・焼成を行う方法が広く用いられている。このAlペーストには必要に応じてB含有材料が添加される。
Si基板101の表面側および裏面側には、表面電極105および裏面電極106が形成されている。この表面電極105および裏面電極106は、主にAg紛,バインダー,フリットなどからなるAgペーストをスクリーン印刷して焼成し、その上に半田層を形成する。表面電極105は、例えば幅200μm程度に、またピッチ3mm程度に形成される多数のフィンガー電極(不図示)と、この多数のフィンガー電極を相互に接続する2本のバスバー電極(105)で構成される。裏面電極106は、例えば幅300μm程度に、またピッチ5mm程度に形成される多数のフィンガー電極(不図示)と、この多数のフィンガー電極を相互に接続する2本のバスバー電極(106)で構成される。
次に、本発明の他の実施形態について、光電変換装置である球状Si太陽電池を例にとり説明する。図2は本発明に係るBSF層を用いた球状Si太陽電池の構造を示す図である。
図2において、201は基板、202は絶縁体、203はp型結晶質Si粒子、204はp+半導体領域であるp+型Si(BSF)層、205はn型半導体層、206は上部電極膜をそれぞれ示す。
基板201としては、金属、ガラス、セラミックまたは樹脂等が用いられる。好ましくは、銀,アルミニウム,銅等の高反射金属とする。なぜなら、基板201の反射率が大きいことで、基板201で光を反射させて結晶質半導体粒子203へより多くの光を導くことができ、変換効率が向上するために好ましいからである。また、基板201として絶縁体を用いる場合には、基板201の表面に下部電極となる導電層を形成する必要があるが、上記と同様な理由で、この導電層は高反射材料であることが好ましい。
基板201と結晶質Si粒子203の接合界面には、p型不純物が高濃度に拡散されたp+型Si(BSF)層204を形成する。このBSF層204は、結晶質Si粒子203の裏面近くでキャリアの再結合による効率の低下を防ぐために、結晶質Si粒子203の裏面側に内部電界を形成するものである。
つまり、結晶質Si粒子203の裏面近くで発生したキャリアが、この電界によって加速される結果、電力が有効に取り出されることになり、特に長波長の光感度が増大する。
BSF層204を形成するには、例えば、基板201としてAlを用いた場合、Bを高濃度に含有するSi膜を基板201の表面に成膜した後、結晶質Si粒子203と溶着するのと同時に形成する。
絶縁体202は、正極と負極の分離を行うために結晶質Si粒子203間に充填する。絶縁体202としては、ガラス材料,樹脂材料,無機有機複合材料等を用いる。絶縁体202はn型半導体層205を形成した後に形成する。n型半導体層205は結晶質Si粒子203上にそれぞれ独立して形成されるだけであり、後述する上部電極層206で相互に接続される。絶縁体202を形成する前に、pn接合を形成することにより、絶縁体202を除去する工程が不要となること、さらに、絶縁体202を除去することによる欠陥や絶縁体202からの汚染が原因でpn接合の品質を低下させることが無く、高い変換効率が実現できる。絶縁体202の波長400nm〜1200nmの透過率は70%以上であることが好ましい。透過率が70%以下のとき、結晶質Si粒子203へ入射する光の量が減少して変換効率が低下するため好ましくない。
結晶質Si粒子203は、気相成長法,アトマイズ法,直流プラズマ法等で形成可能であるが、非接触環境下に融液を落下させる融液落下法が好ましい。また、結晶質Si粒子203はp型であることが好ましい。例えば、Siに添加してp型を呈するB,Al等を1×1014〜1×1018原子/cm3程度添加したものである。
また、図2に示すように、結晶質Si粒子203の下部表面で球内側へ段差を設けることが好ましい。結晶質Si粒子203の下部表面で粒内側への段差を設けることにより、n型半導体層205の膜厚を所望の場所で薄く変化させることができるため好ましい。結晶質Si粒子203表面が下部で粒内側への段差を形成する方法として、フォトレジストを用いた選択エッチングによる方法、基板201と結晶質Si粒子203とを溶着後に、基板201を選択エッチングする方法等がある。
また、結晶質Si粒子203の表面は粗面であることが好ましい。なぜなら、結晶質Si粒子203の表面を粗面化することにより、n型半導体層205の膜を結晶質Si粒子203の下部で薄く形成する箇所を設けることができるため好ましいからである。結晶質Si粒子203の表面を粗面化する方法として、RIEを用いたドライエッチング法,水酸化ナトリウム等を用いた選択ウエットエッチング法,サンドブラスト法等を用いることができる。
n型半導体層205は、プラズマCVD法,触媒CVD法,スパッタリング法等で形成する。ここで、n型半導体層205は結晶質Si粒子203の天頂部膜厚よりも下部膜厚が薄く形成されているものとする。なぜなら、発電に大きく寄与する結晶質Si粒子203の天頂部には、n型半導体層205を厚く形成し確実なpn接合を形成するとともに、n型半導体層205における結晶質Si粒子203の下部の膜厚を薄くすることにより、n型半導体層205を通って下部電極201に流れるリーク電流を小さくすることができ、高い変換効率を実現できるからである。ここで、結晶質Si粒子203の下部とは結晶質Si粒子203で基板201に近い位置を示し、例えば赤道部と基板201の間である。また、n型半導体層205は結晶質Si粒子203の天頂部と基板201上に形成されるが、天頂部と基板201とでは分離していることが好ましい。なぜなら、n型半導体層205が下部で分離することで、さらにn型半導体層205を通って下部電極に流れるリーク電流が小さくなるため好ましいからである。
この結晶質Si粒子203上のみにn型半導体層205を形成することが好ましい。なぜなら、結晶質Si粒子203上のみではなく、絶縁層202上にもn型半導体層205を形成する場合、光吸収ロスが大きくなり、結晶質Si粒子203へ入射する光が減少するため好ましくないからである。また、n型半導体層205を、絶縁層202を形成する前に形成することが好ましい。なぜなら、n型半導体層205を、絶縁層202を形成した後に形成すると、pn接合面積が絶縁層202の形状によって決定され好ましくないからである。また、n型半導体層205を形成する際に、絶縁層202が工程上の汚染原因となり、pn接合の品質が低下するため好ましくないからである。また、n型半導体層205で結晶質Si粒子203の表面を覆うことにより、表面再結合を低減させ変換効率が向上するからである。
n型半導体層205の膜厚は5nm以上100nm以下であることが好ましい。なぜなら、n型半導体層205の膜厚が5nm未満では、n型半導体層205の膜が島状に形成され、n型半導体層205の被覆不良箇所が発生するため好ましくないからである。また、n型半導体層205の膜厚が100nmを超える場合、n型半導体層205を通って下部電極に流れるリーク電流が大きくなり、かつn型半導体層205の光吸収が大きくなり、変換効率が低下するため好ましくないからである。また、n型半導体層205は非晶質,微結晶質,ナノ結晶質のいずれであってもよい。
上部電極膜206は、酸化錫,酸化インジウム等をスパッタリング法等で形成する。膜厚および屈折率を調整することにより、反射防止効果を持たせることも可能である。さらに、その上に銀又は銅ペーストを用いた適切なパターンで補助電極を形成してもよい。
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の目的を逸脱しない限り任意の形態とすることができる。また、以上の実施形態の説明では、本発明のBSF層を備えた単一接合型の太陽電池に対して適用した例について説明したが、複数の接合を有する太陽電池においても同様の効果を呈する。複数の接合を有する太陽電池として、例えば、p型結晶質Si粒子上にn型微結晶質半導体層を形成し、その上に中間層を介してp型非晶質半導体層、i型非晶質半導体層およびn型非晶質半導体層を順次形成したタンデム型太陽電池であってもよい。また、微結晶Si薄膜太陽電池やナノ結晶Si薄膜太陽電池等の結晶質Si薄膜を用いた薄膜Si太陽電池のp層としても、本発明のp+型半導体領域を好適なBSF構造とすることができる。
次に、本発明の太陽電池の具体例を、図2に示した球状Si太陽電池により説明する。
まず、アルミニウム基板201上に、Bを高濃度に含有する非晶質Si膜を成膜し、平均粒径700μmの粒状結晶であるp型Si203を密に1層配設し、加熱して基板201と粒状結晶Si203を溶着させた。これにより、基板201と粒状結晶Si203の界面には、AlとBが高濃度に含有されたBSF層204が形成される。次に、n型微結晶質半導体層205をプラズマCVD法により、基板温度250℃でSi粒子303の天頂部において50nm、下部において20nmの膜厚で成膜した。
次に、エポキシ樹脂を粒状結晶シリコン間に充填させ硬化して絶縁層202を形成した。その上にITOからなる上部電極膜206を100nmの厚みで形成して評価した。
表1にBを高濃度に含有する非晶質Si膜の形成条件(膜厚,Bのドープ量)および溶着温度を種々に変更したときの太陽電池特性を示す。また、作製した球状Si太陽電池をAl溶着部からSi球表面に向かって、Si球の不純物濃度(Al(アルミニウム),B(ホウ素),O(酸素))のプロファイルをSIMSにより分析した結果を図3〜7に示す。ここで、図3は実施例1、図4は実施例2、図5は実施例3、図6は比較例1、図7は比較例2の分析結果をそれぞれ示す。
本発明の実施例1〜3においては、AlとBのプロファイルが実質的に同一となっている。ここで、プロファイルが同一(濃度分布の傾向が同一)とは濃度が同じということではなく、濃度の増減の形が同じことを意味しており、濃度としては1桁以内の相違を指す(図3においては2〜5μm程度の領域)。それに対し比較例1においては、Bは含有されているもののAlとはプロファイルが異なっている。また、比較例2においては、BをドープしたSi膜を導入していないことからBは含有されていない。
表1から明らかなように、実施例1〜3においては高い変換効率が得られている。これはAlとBが同一の濃度プロファイルを示していることに起因していると考えられる。すなわち、AlとBを同一のプロファイルとすることにより、BによるBSF効果が加わり、より高品質なBSF層として機能している。ここで、比較例1,2のようにBがAlと異なったプロファイルの場合、含有量が少なければBSF効果が十分ではなく、含有深さが少なければ同様にBSF効果が十分ではなく、逆に多ければ、AlによるBSF効果が十分にならない。
また、本発明の実施例1においては、AlまたはBとOの濃度の和が一定値となっている。ここで一定値とは、主に測定誤差や、界面の影響によるスパイク状の部分(図3にいて3.5μm程度の領域)を除いた部分がほぼ一定値であることを意味しており、濃度としては2倍以内を指す(図3において2〜3.5μm程度の領域)。表1から明らかなように、実施例1は実施例2,3に比べても高い変換効率が得られている。これはAlまたはBとOとの濃度の和が一定値となっていることに起因していると考えられる。すなわち、この領域における酸素濃度はSiバルク部の濃度よりも少なくなっており、BSF層の品質が格段に向上している。つまり、BSF領域の形成メカニズムに起因していると考えられる。BSF層形成時にAlに加えBを適量加えたことにより、Siバルク中のOが引き抜かれ、入れ替わるようにAlとBが入っていく現象が生じたものと考えられる。このため、Siバルク部のO濃度は適量が存在し、1×1017/cm3以上で5×1018/cm3以下であることが望ましい。この濃度範囲より低い場合では、Al,Bと入れ替わる量が少なすぎるため、十分なBSF効果が得られない。また、この濃度範囲より高い場合ではSi自体の膜品質の低下を招いてしまう。一方、BSF領域のO濃度は界面領域を除くと、2×1016/cm3以上で5×1017/cm3以下であることが望ましい。この濃度範囲より低い場合では、Al,Bの入れ替わりはほとんど飽和した状態であり、過剰なAl、BがBSF領域の基板側に存在していることになり、BSF層の品質低下を招く。また、この濃度範囲より高い場合では、BSF層の品質が十分でないため、太陽電池特性が低下する。
このBSF層のAl濃度は5×1017/cm3以上で5×1019/cm3以下であることが望ましい。この濃度範囲より低い場合は、ドーピング不足のためBSF効果が十分得られない。また、この濃度範囲より高い場合は、過剰なAlのため、BSF層中の欠陥が増加し太陽電池特性が低下する。
また、このBSF層のB濃度は5×1017/cm3以上で5×1019/cm3以下であることが望ましい。この濃度範囲より低い場合は、ドーピング不足のためBSF効果を増強することが出来ない。また、この濃度範囲より高い場合は、過剰なBのためにBSF層中の欠陥が増加し太陽電池特性が低下する。
なお、本発明のBSF層の形成は、上述した方法に限られるものではなく、種々の方法が適用可能である。
101:p型Si基板
102:n型Si層
103:p+型Si(BSF)層(p+型半導体領域)
104:反射防止膜
105:表面電極
106:裏面電極
201:基板
202:絶縁体
203:p型結晶質Si粒子
204:p+型Si(BSF)層(p+半導体領域)
205:n型半導体層
206:上部電極膜
102:n型Si層
103:p+型Si(BSF)層(p+型半導体領域)
104:反射防止膜
105:表面電極
106:裏面電極
201:基板
202:絶縁体
203:p型結晶質Si粒子
204:p+型Si(BSF)層(p+半導体領域)
205:n型半導体層
206:上部電極膜
Claims (5)
- アルミニウムの濃度およびホウ素の濃度のそれぞれが深さ方向において同一傾向に分布し、かつ酸素を含有したp+型半導体領域を備えていることを特徴とする結晶シリコン。
- 前記p+型半導体領域は、その深さ方向において前記アルミニウムの濃度と前記酸素の濃度との和、または前記ホウ素の濃度と前記酸素の濃度との和が、一定値となる部分が存在していることを特徴とする請求項1に記載の結晶シリコン。
- 前記p+型半導体領域に存在する前記酸素の濃度は、前記p+型半導体領域以外の領域に存在する酸素の濃度よりも低いことを特徴とする請求項1または2に記載の結晶シリコン。
- 前記p+型半導体領域に存在する酸素の濃度は、2×1016/cm3以上5×1017/cm3以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の結晶シリコン。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の結晶シリコンを備え、該結晶シリコン中の前記p+型半導体領域をBSF構造として機能させることを特徴とする光電変換装置。
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