JP2005078110A - 画像検出方法、および画像検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、表面にホログラムや回折格子を有する媒体の画像を確実に検出できる画像検出方法、および画像検出装置を提供することを課題とする。
【解決手段】画像検出装置は、透明回折格子1a、1bを顔画像Pの上に重ねたIDカードCを照明する光源、および法線L上に配置されたカメラを有する。X軸方向に沿った方向から照明して取得画像1を撮像し、Y軸方向に沿った方向から照明して取得画像2を撮像し、2つの画像を合成することにより、透明回折格子1a、1bからの回折光の影響のない顔画像Pを検出する。
【選択図】 図7
【解決手段】画像検出装置は、透明回折格子1a、1bを顔画像Pの上に重ねたIDカードCを照明する光源、および法線L上に配置されたカメラを有する。X軸方向に沿った方向から照明して取得画像1を撮像し、Y軸方向に沿った方向から照明して取得画像2を撮像し、2つの画像を合成することにより、透明回折格子1a、1bからの回折光の影響のない顔画像Pを検出する。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
入射光を透過するとともに該入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現された画像情報を有する光学部材を、被検出画像の上に重ねて設けた媒体から、上記媒体上の被検出画像、または、上記反射特性を利用して表現された画像情報、および、上記媒体上の被検出画像と上記反射特性を利用して表現された画像情報を検出する画像検出方法、および、装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、表面にホログラムや回折格子を有する媒体として、個人情報を印刷したカードの表面に透明ホログラムを設けて名字を表示した名札としても利用できるIDカードが考案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このIDカードは、特定の方向から光が入射した際、透明ホログラムで書かれた名字が視認できるようになっている。
【0004】
また、従来、表面のホログラムの検査方法として、照明を特定方向、特定角度から照射し、その回折光、反射光を固定された受光系でセンシングする事でホログラムの良否判定を自動的に行なう検査装置が考案されている。(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
この装置をホログラムの連続製造工程内に設置・使用する事で、ホログラムの良否判定を連続して行なうことが可能となる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−272276号公報(段落[0011]、図4)
【0007】
【特許文献2】
特許2728205
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した透明ホログラム付きのIDカードを作成した後、例えば、透明ホログラムを介してカード表面に印刷された顔写真の印刷品質を検査する場合、カード表面を照明すると、顔写真の上に重なったホログラムによって反射光、および、回折光が変化し、検出される顔写真の濃度変化や欠けなどを生じてしまうことが考えられる。この場合、この濃度変化や欠けが実際の顔写真の印刷ミスによるものなのかホログラムによるものなのかを判断することは難しかった。
【0009】
また、上述したホログラムの検査方法では照明系、受光系が固定のため、複数のホログラムを含む検査対象の場合、複数の照明系、受光系が必要となる。
【0010】
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、表面に透明ホログラムや回折格子を有する媒体の画像を確実に検出できる画像検出方法、および画像検出装置を提供することにある。
【0011】
また、特性の分からない透明ホログラムでも特性を把握する方法を提供すると共に、一度把握した情報については再利用する事ができる画像検出・検査方法、及び、画像検出・検査装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の画像検出方法は、入射光を透過するとともに該入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現された画像情報を有する光学部材を、被検出画像の上に重ねて設けた媒体から、上記被検出画像を検出する画像検出方法であって、上記被検出画像を検出する光学系は、上記被検出画像を照明する光源とその反射光を受光して上記被検出画像を撮像する撮像部とを有し、上記光学部材を介して上記被検出画像を照明する光源および上記媒体のうち少なくとも一方を移動して、上記光学部材からの反射光による影響が比較的少ない複数位置で上記撮像部を介して上記被検出画像をそれぞれ撮像する撮像工程と、この撮像工程で撮像した複数の画像を合成して上記光学部材からの反射光による影響のない上記被検出画像を検出する検出工程と、を有する。
【0013】
また、本発明の画像検出方法は、入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現される特定画像を有する光学部材から、上記特定画像を検出する画像検出方法であって、上記特定画像を検出する光学系は、上記光学部材を照明する光源とその反射光を受光して上記特定画像を撮像する撮像部とを有し、上記光源および上記光学部材のうち少なくとも一方を移動して、複数位置で上記撮像部を介して上記特定画像を撮像する撮像工程と、この撮像工程で撮像した複数の画像を合成して上記特定画像を検出する検出工程と、を有する。
【0014】
また、本発明の画像検出方法は、入射光を透過するとともに該入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現される特定画像を有する光学部材を、被検出画像の上に重ねて設けた媒体から、上記被検出画像を検出するとともに、上記光学部材から上記特定画像を検出する画像検出方法であって、上記被検出画像および上記特定画像を検出する光学系は、上記光学部材を介して上記被検出画像を照明する光源とその反射光を受光して上記被検出画像および上記特定画像を撮像する撮像部とを有し、上記光源および上記媒体のうち少なくとも一方を移動して、上記光学部材からの反射光による影響が比較的少ない複数位置で上記撮像部を介して上記被検出画像をそれぞれ撮像する撮像工程と、この撮像工程で撮像した複数の画像を合成して上記光学部材からの反射光による影響のない上記被検出画像を検出するとともに上記特定画像を検出する検出工程と、を有する。
【0015】
更に、本発明の画像検出装置は、入射光を透過するとともに該入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現される特定画像を有する光学部材を、被検出画像の上に重ねて設けた媒体を上記光学部材を介して照明する光源と、上記媒体および光学部材からの反射光を受光して上記被検出画像および特定画像を撮像する撮像部と、上記光源と上記媒体を相対的に移動させる移動機構と、この移動機構によって上記光源および媒体を相対的に移動させた複数位置で上記撮像部を介して撮像した複数の画像を合成し、上記光学部材からの反射光による影響のない上記被検出画像を検出するとともに上記特定画像を検出する画像処理部と、を備えている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態に係る画像検出方法、および画像検出装置について詳細に説明する。ここでは、表面に被検出画像(以下、単に画像Pと称する)が印刷されたカード状の媒体Mであって、画像Pの上に透明ホログラム1を重ねて設けた媒体Mから、透明ホログラム1を介して媒体表面の画像Pを検出するとともに、透明ホログラム1の反射光に含まれる画像を検出する画像検出方法、および画像検出装置について説明する。
【0017】
図1には、透明ホログラムの一種として、透明回折格子1の断面を部分的に拡大して示してある。透明回折格子1は、半透明、且つ入射光依存性のある微小構造を有する。この微小構造は、図1で紙面方向に真っ直ぐ延びた凸部および凹部を有する。そして、この微小構造の表面に、例えばハーフミラー状の金属膜がコーティングされている。透明回折格子1のこのような構造により、透明回折格子1で反射される反射光に特定の画像情報を付加することができる。
【0018】
この透明回折格子1は、金属膜がハーフミラー状になっているため、図中上方からの入射光の一部を透過させるとともに、入射光の一部を反射する。反射光は、入射光の特性、すなわち入射光の波長λ、入射角度θin、入射方向、および透明回折格子1の格子間ピッチdに依存した反射特性を有する。ここで言う入射角度とは透明回折格子1に対する入射光の入射位置から垂直に延びた法線Lとの間の入射光のなす角度を指し、入射方向とは入射光の法線L周りの方向を指す。
【0019】
具体的には、図1に示すように、透明回折格子1の凸部および凹部が延びた方向(以下、この方向を格子方向と称する)と直交する方向から入射角度θinで入射光が入射したときの反射光の反射角度θoutは、その際の回折光をm次回折光とした場合、
d・(sinθout−sinθin)=±m・λ …式(1)
を満たす値となる。
【0020】
ここで、図2乃至図5を参照して、上述した透明回折格子1を画像Pに重ねた媒体Mから上述した法線上に設置したカメラ2によって画像Pを撮像する場合における回折光の影響について考察する。尚、ここでは、透明回折格子1の格子方向と直交する方向をX方向、格子方向をY方向、上述した法線に沿った方向をZ方向とした。
【0021】
図2には格子方向と直交する方向から入射角度θin(ここでは30度と仮定する)でXZ平面に沿って入射する平行光によって媒体Mの表面を照明した場合における反射光の様子を斜視図にして示してあり、図3にはそのときのXZ平面への射影を概略的に示してある。
【0022】
入射角度θinで格子方向と直交する方向から照明された平行光の一部は透明回折格子1を透過して画像Pに達し、その反射特性に依存した反射光が法線上に設置されたカメラ2に入射して画像Pが撮像される。
【0023】
一方、透明回折格子1によって反射された反射光は、上述した式(1)の関係に従って、XZ平面内で回折される。このとき、図3に示す例では、−1次回折光がカメラ2に入力される。このように、透明回折格子1によって反射された回折光がカメラ2に入力されると、媒体Mの表面に設けられた画像Pを撮像する場合、取得した画像に回折光の影響が及ぶことになる。
【0024】
逆に、回折光の影響を無くして媒体M表面の画像Pを撮像するためには、回折光がカメラ2に入射しない相対的な位置関係でカメラ2と光源3を配置すれば良いことになる。
【0025】
図4には格子方向から入射角度θin(ここでは30度と仮定する)でYZ平面に沿って入射する平行光によって媒体Pの表面を照明した場合における反射光の様子を斜視図にして示してあり、図5にはそのときのYZ平面への射影を概略的に示してある。
【0026】
入射角度θinで格子方向から照明された平行光の一部は透明回折格子1を透過して画像Pに達し、その反射特性に依存した反射光がカメラ2によって撮像される。この場合、透明回折格子1によって反射される反射光は、図4に示すように、YZ平面と直交する方向に回折されるため、正反射の方向に撮像部が無ければ、回折光がカメラ2に入射されることはない。このため、格子方向と平行な方向から照明した場合、回折光の影響が無い状態で画像Pを撮像できる。
【0027】
つまり、法線上に設置したカメラ2によって透明回折格子1を介して画像Pを撮像する場合、光源3からの照明光の入射方向および入射角度を適当な値に調節することにより、透明回折格子1で反射される回折光がカメラ2に入射しない入射方向および入射角度を選択することができ、回折光の影響の無い画像Pを撮像できることが分る。言い換えると、カメラ2の位置を変えても、光源3とカメラ2の相対的な位置関係を適当な値に調節することにより、カメラ2に回折光が入らない状態で画像Pを撮像することができる。
【0028】
次に、図6に示すブロック図を参照して、本発明の実施の形態に係る画像検出装置(以下、単に検出装置10と称する)について説明する。尚、ここでは、上述した構成と同様に機能する部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0029】
検出装置10の制御部11には、媒体Mの表面を照明するための光源3、光源3を法線Lの周りで回転させる回転機構12、光源3をXY平面と直交する面内で移動させて照明光の入射角度を調節するためのチルト機構13、媒体Mからの反射光を取得して画像を撮像するため法線L上に設置されたカメラ2、カメラ2を法線Lを中心にして回転させる回転機構14、読取り媒体の諸特性、測定条件、及び、良否・真偽判定基準を記憶するための記憶部15、カメラ2で撮像した複数の画像を合成して媒体Pの表面に印刷された画像Pおよび透明回折格子1によって描かれる画像P’の検出等を行なう画像処理部16、および画像処理部16で検出した画像Pおよび画像P’の検査結果を通知する通知部17、外部情報端末との情報のやり取りをするI/F部18が接続されている。
【0030】
記憶部15には、媒体の種類に合った光学条件の情報、例えば透明回折格子1の種類毎に予め測定した光源3の回転位置(照明光の入射方向)およびチルト角度(照明光の入射角度)、さらには取得画像に対するチェック項目、及び、良否・真偽判定基準などの情報が格納されている。
【0031】
次に、図7および図8を参照して、上記検出装置10による画像検出方法について説明する。図7には本実施の形態の画像検出方法を説明するための動作説明図を示してあり、図8には画像検出方法を説明するためのフローチャートを示してある。
【0032】
ここでは、カード状の媒体Mとして、その表面に顔画像P(上述した画像Pに相当)を印刷して2種類の透明回折格子1a、1bを顔画像Pの上に貼り付けたIDカードC(図7)に関して、このIDカードCから、顔画像Pを検出するとともに、透明回折格子1a、1bの画像P’を検出する方法について説明する。尚、本実施の形態では、透明回折格子1a、1bは、それぞれ直角三角形に形成され、それぞれの格子方向が直交するように組み合わされて顔画像Pの上に重ねて設けられているものとする。
【0033】
IDカードCの表面に印刷された顔画像Pを検出する場合、まず、X軸と平行な方向から入射角度θinの平行光によってIDカードCの表面を照明し、法線L上に設置されたカメラ2によって1つ目の画像(取得画像1)を撮像する(図8、ステップ1)。このときの入射角度θinは、格子方向がY軸方向に沿った透明回折格子1aで回折される回折光がカメラ2に入り、透明回折格子1aの下の画像が回折光の影響により取得できなくなるような角度(本実施の形態では30度と仮定する)に設定されている。照明光の入射角度θinは、チルト機構13を動作させることにより設定される。
【0034】
この場合、格子方向がX軸方向に沿った透明回折格子1bに対しては、照明の平行光が格子方向に沿って入射されることになり、上述したように、透明回折格子1bで回折される回折光がカメラ2に入ることはない。このため、取得画像1に関しては、透明回折格子1aの下の画像を取得できない反面、透明回折格子1bの下の画像はカメラ2を介して正常に撮像されることになる。また、反面、取得画像1により、透明回折格子1aからの反射光に含まれる画像が同時に撮像されている。
【0035】
取得画像1を撮像した後、今度は、回転機構12を動作させて光源3を法線Lの周りで90度回転させ、Y軸と平行な方向からIDカードCの表面を照明してカメラ2を介して2つ目の画像(取得画像2)を撮像する(ステップ2)。この際も、照明光の入射角度θinが、格子方向がX方向に沿った透明回折格子1bの下の画像が撮像不可能な角度(本実施の形態では6030度と仮定する)となるように、チルト機構13が動作されて光源3の位置が設定される。
【0036】
この場合、格子方向がY軸方向に沿った透明回折格子1aに対しては、照明の平行光が格子方向に沿って入射されることになり、上述したように、透明回折格子1aで回折される回折光がカメラ2に入ることはない。このため、取得画像2に関しては、透明回折格子1bの下の画像を取得できない反面、透明回折格子1aの下の画像はカメラ2を介して正常に撮像されることになる。また、反面、取得画像2により、透明回折格子1bからの反射光に含まれる画像が同時に撮像されている。
【0037】
この後、上記のように撮像された取得画像1および取得画像2が画像処理部16で処理されて、IDカードC表面の顔画像Pが検出される(ステップ3)とともに、透明回折格子1a、1bの画像P’が検出される(ステップ4)。
【0038】
ステップ3では、取得画像1に含まれる透明回折格子1bの下の画像と取得画像2に含まれる透明回折格子1aの下の画像とが合成され、回折光の影響の最も少ない画像が顔画像Pとして検出される。また、ステップ4では、取得画像1に含まれる透明回折格子1aの画像と取得画像2に含まれる透明回折格子1bの画像とが合成され、回折光の影響が最も大きい画像が透明回折格子1の画像P’として検出される。
【0039】
そして、ステップ3で検出した顔画像Pの印刷状態が検査され、且つステップ4で検出した透明回折格子1の画像P’から透明回折格子1の真偽が検査され、その検査結果が通知部17を介してオペレータに通知される(ステップ5)。
【0040】
さらに、ステップ1およびステップ2でそれぞれ取得画像1および取得画像2を取得したときの照明光の入射方向および入射角度が記憶部15に記憶される(ステップ6)。本実施の形態では、取得画像1を撮像した際の照明光の入射方向はX軸方向に沿った方向であり、そのときの入射角度は30度であり、取得画像2を撮像した際の照明光の入射方向はY軸方向に沿った方向であり、そのときの入射角度は30度であった。
【0041】
そして、本実施の形態で説明した透明回折格子1a、1bと同じ種類の透明回折格子を貼り付けた他のIDカードCから顔画像Pおよび透明回折格子1の画像Pを検出する際に、ステップ6で記憶部15に記憶した各画像取得時の照明光の入射方向および入射角度が読み出され、この読み出した入射方向および入射角度に従って光源3の回転機構12およびチルト機構13が動作され、光源3が各画像取得位置に配置される。
【0042】
以上のように、本実施の形態によると、透明回折格子1を上に重ねた状態の被検出画像Pを検出する際、複数の方向から透明回折格子1を介して照明光を当てて複数の画像を撮像し、これら複数の画像を合成して被検出画像を検出するようにした。これにより、透明回折格子1から反射された回折光による影響を最も少なくした状態で被検出画像Pを確実に検出できるようになった。
【0043】
また、本実施の形態によると、オペレータは、通知部17を介して通知される検査結果を見て被検出画像Pの印刷品質や透明回折格子1の真偽を判断でき、利便性を向上させることができる。
【0044】
さらに、本実施の形態によると、透明回折格子1の種類毎に各画像取得時における照明光の入射方向および入射角度を予め記憶部15に記憶しておき、同じ種類の透明回折格子1を被検出画像Pの上に貼り付けた媒体Mを検査する際に、これら入射方向および入射角度を読み出して光源3を移動および位置決めするようにした。これにより、回転機構12やチルト機構13をいちいち動作させて複数の画像を取得する必要がなくなり、光源3の移動および位置決めに要する処理時間を大幅に減少できるようになった。
【0045】
本実施の形態によれば、各種情報を保管している記憶部は検査装置内部にあることになっているが、I/F:18を介して外部と情報を共有する事でより効率的な使い方もできる。
【0046】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0047】
例えば、上述した実施の形態では、2方向から被検出画像Pを照明して2つの画像を取得し、これら2つの画像を合成して媒体Mの画像Pおよび透明回折格子1の画像P’を検出した場合について説明したが、これに限らず、透明回折格子1の種類に応じて3つ以上の方向から照明した3つ以上の画像を取得して媒体Mの画像Pおよび透明回折格子1の画像P’を検出するようにしても良い。つまり、本実施の形態では、透明ホログラムとして2種類の格子方向しか持たない透明回折格子1a、1bを用いた場合について説明したが、3つ以上の格子方向を有する透明ホログラムを用いた場合には、その格子方向に応じた数の異なる方向から照明して撮像した3つ以上の画像を合成すれば良い。
【0048】
また、上述した実施の形態では、複数の方向から被検出画像Pを照明して複数の画像を撮像するため、光源3を回転およびチルトさせた場合について説明したが、これに限らず、透明回折格子1の種類に応じて複数の光源をそれぞれ所定位置に固定配置して被検出画像Pを異なる方向から順に照明するようにしても良い。
【0049】
また、上述した実施の形態では、媒体Mに対して光源3を移動させることにより照明光の入射方向および入射角度を変更した場合について説明したが、これに限らず、光源3およびカメラ2を含む光学系に対して媒体Mを移動して媒体Mに対する照明光の入射方向および入射角度を変更するようにしても良い。
【0050】
また、照明光の波長λは、任意に選択可能であり、例えば特定の比較的狭い波長域を有する単色光を照明光に用いても良く、この場合、回折光の方向を比較的狭い範囲に特定することができる。これにより、回折光がカメラ2に入る角度範囲を狭くでき、S/N比をより高めることができる。
【0051】
また、上述した実施の形態では、画像を広い範囲で撮像するエリアカメラ2を法線L上に固定配置して媒体Mの画像Pおよび透明回折格子1の画像P’を検出する場合について説明したが、これに限らず、複数の撮像素子をライン状に並設したラインセンサを用いて撮像するようにしても良い。この場合、ラインセンサおよび媒体Mのうち少なくとも一方を移動させてスキャンして、画像を検出する必要がある。
【0052】
さらに、上述した実施の形態では法線L上に固定配置したカメラ2によって画像を撮像した場合について説明したが、以下のような条件下では、カメラ2を法線Lを中心に回転させることにより、別の効果を奏することができる。例えば、複数個の撮像素子を複数列、複数行に並べたエリアカメラを用いて、媒体Mの表面に印刷された複数列、複数行の画点を有する画像Pを撮像する場合、撮像素子の並び方向と画点の並び方向が一致しないと、図9に示すようなモアレを生じることが知られている。このため、このような条件下では、カメラ2を法線Lを中心にして回転させて撮像素子の並び方向と画点の並び方向を一致させることが有効となる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、表面にホログラムや回折格子を有する媒体の画像を確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明回折格子の部分拡大断面図。
【図2】図1の透明回折格子の格子方向と直交する方向から光を入射したときの反射光の様子を示す斜視図。
【図3】図2のXZ平面内における反射光の様子を示す図。
【図4】図1の透明回折格子の格子方向と平行な方向から光を入射したときの反射光の様子を示す斜視図。
【図5】図4のYZ平面内における反射光の様子を示す図。
【図6】この発明の実施の形態に係る画像検出装置の概略構成を示すブロック図。
【図7】図6の画像検出装置によって画像を検出する動作を説明するための動作説明図。
【図8】図7とともに画像検出動作を説明するためのフローチャート。
【図9】モアレを生じた画像の例を示す図。
【符号の説明】
1…透明回折格子、2…カメラ、3…光源、11…制御部、12…回転機構、13…チルト機構、14…回転機構、15…記憶部、16…画像処理部、17…通知部、18…I/F、C…IDカード、L…法線、M…媒体、P…画像、θin…入射角度、θout…反射角度。
【発明の属する技術分野】
入射光を透過するとともに該入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現された画像情報を有する光学部材を、被検出画像の上に重ねて設けた媒体から、上記媒体上の被検出画像、または、上記反射特性を利用して表現された画像情報、および、上記媒体上の被検出画像と上記反射特性を利用して表現された画像情報を検出する画像検出方法、および、装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、表面にホログラムや回折格子を有する媒体として、個人情報を印刷したカードの表面に透明ホログラムを設けて名字を表示した名札としても利用できるIDカードが考案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このIDカードは、特定の方向から光が入射した際、透明ホログラムで書かれた名字が視認できるようになっている。
【0004】
また、従来、表面のホログラムの検査方法として、照明を特定方向、特定角度から照射し、その回折光、反射光を固定された受光系でセンシングする事でホログラムの良否判定を自動的に行なう検査装置が考案されている。(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
この装置をホログラムの連続製造工程内に設置・使用する事で、ホログラムの良否判定を連続して行なうことが可能となる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−272276号公報(段落[0011]、図4)
【0007】
【特許文献2】
特許2728205
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した透明ホログラム付きのIDカードを作成した後、例えば、透明ホログラムを介してカード表面に印刷された顔写真の印刷品質を検査する場合、カード表面を照明すると、顔写真の上に重なったホログラムによって反射光、および、回折光が変化し、検出される顔写真の濃度変化や欠けなどを生じてしまうことが考えられる。この場合、この濃度変化や欠けが実際の顔写真の印刷ミスによるものなのかホログラムによるものなのかを判断することは難しかった。
【0009】
また、上述したホログラムの検査方法では照明系、受光系が固定のため、複数のホログラムを含む検査対象の場合、複数の照明系、受光系が必要となる。
【0010】
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、表面に透明ホログラムや回折格子を有する媒体の画像を確実に検出できる画像検出方法、および画像検出装置を提供することにある。
【0011】
また、特性の分からない透明ホログラムでも特性を把握する方法を提供すると共に、一度把握した情報については再利用する事ができる画像検出・検査方法、及び、画像検出・検査装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の画像検出方法は、入射光を透過するとともに該入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現された画像情報を有する光学部材を、被検出画像の上に重ねて設けた媒体から、上記被検出画像を検出する画像検出方法であって、上記被検出画像を検出する光学系は、上記被検出画像を照明する光源とその反射光を受光して上記被検出画像を撮像する撮像部とを有し、上記光学部材を介して上記被検出画像を照明する光源および上記媒体のうち少なくとも一方を移動して、上記光学部材からの反射光による影響が比較的少ない複数位置で上記撮像部を介して上記被検出画像をそれぞれ撮像する撮像工程と、この撮像工程で撮像した複数の画像を合成して上記光学部材からの反射光による影響のない上記被検出画像を検出する検出工程と、を有する。
【0013】
また、本発明の画像検出方法は、入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現される特定画像を有する光学部材から、上記特定画像を検出する画像検出方法であって、上記特定画像を検出する光学系は、上記光学部材を照明する光源とその反射光を受光して上記特定画像を撮像する撮像部とを有し、上記光源および上記光学部材のうち少なくとも一方を移動して、複数位置で上記撮像部を介して上記特定画像を撮像する撮像工程と、この撮像工程で撮像した複数の画像を合成して上記特定画像を検出する検出工程と、を有する。
【0014】
また、本発明の画像検出方法は、入射光を透過するとともに該入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現される特定画像を有する光学部材を、被検出画像の上に重ねて設けた媒体から、上記被検出画像を検出するとともに、上記光学部材から上記特定画像を検出する画像検出方法であって、上記被検出画像および上記特定画像を検出する光学系は、上記光学部材を介して上記被検出画像を照明する光源とその反射光を受光して上記被検出画像および上記特定画像を撮像する撮像部とを有し、上記光源および上記媒体のうち少なくとも一方を移動して、上記光学部材からの反射光による影響が比較的少ない複数位置で上記撮像部を介して上記被検出画像をそれぞれ撮像する撮像工程と、この撮像工程で撮像した複数の画像を合成して上記光学部材からの反射光による影響のない上記被検出画像を検出するとともに上記特定画像を検出する検出工程と、を有する。
【0015】
更に、本発明の画像検出装置は、入射光を透過するとともに該入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現される特定画像を有する光学部材を、被検出画像の上に重ねて設けた媒体を上記光学部材を介して照明する光源と、上記媒体および光学部材からの反射光を受光して上記被検出画像および特定画像を撮像する撮像部と、上記光源と上記媒体を相対的に移動させる移動機構と、この移動機構によって上記光源および媒体を相対的に移動させた複数位置で上記撮像部を介して撮像した複数の画像を合成し、上記光学部材からの反射光による影響のない上記被検出画像を検出するとともに上記特定画像を検出する画像処理部と、を備えている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態に係る画像検出方法、および画像検出装置について詳細に説明する。ここでは、表面に被検出画像(以下、単に画像Pと称する)が印刷されたカード状の媒体Mであって、画像Pの上に透明ホログラム1を重ねて設けた媒体Mから、透明ホログラム1を介して媒体表面の画像Pを検出するとともに、透明ホログラム1の反射光に含まれる画像を検出する画像検出方法、および画像検出装置について説明する。
【0017】
図1には、透明ホログラムの一種として、透明回折格子1の断面を部分的に拡大して示してある。透明回折格子1は、半透明、且つ入射光依存性のある微小構造を有する。この微小構造は、図1で紙面方向に真っ直ぐ延びた凸部および凹部を有する。そして、この微小構造の表面に、例えばハーフミラー状の金属膜がコーティングされている。透明回折格子1のこのような構造により、透明回折格子1で反射される反射光に特定の画像情報を付加することができる。
【0018】
この透明回折格子1は、金属膜がハーフミラー状になっているため、図中上方からの入射光の一部を透過させるとともに、入射光の一部を反射する。反射光は、入射光の特性、すなわち入射光の波長λ、入射角度θin、入射方向、および透明回折格子1の格子間ピッチdに依存した反射特性を有する。ここで言う入射角度とは透明回折格子1に対する入射光の入射位置から垂直に延びた法線Lとの間の入射光のなす角度を指し、入射方向とは入射光の法線L周りの方向を指す。
【0019】
具体的には、図1に示すように、透明回折格子1の凸部および凹部が延びた方向(以下、この方向を格子方向と称する)と直交する方向から入射角度θinで入射光が入射したときの反射光の反射角度θoutは、その際の回折光をm次回折光とした場合、
d・(sinθout−sinθin)=±m・λ …式(1)
を満たす値となる。
【0020】
ここで、図2乃至図5を参照して、上述した透明回折格子1を画像Pに重ねた媒体Mから上述した法線上に設置したカメラ2によって画像Pを撮像する場合における回折光の影響について考察する。尚、ここでは、透明回折格子1の格子方向と直交する方向をX方向、格子方向をY方向、上述した法線に沿った方向をZ方向とした。
【0021】
図2には格子方向と直交する方向から入射角度θin(ここでは30度と仮定する)でXZ平面に沿って入射する平行光によって媒体Mの表面を照明した場合における反射光の様子を斜視図にして示してあり、図3にはそのときのXZ平面への射影を概略的に示してある。
【0022】
入射角度θinで格子方向と直交する方向から照明された平行光の一部は透明回折格子1を透過して画像Pに達し、その反射特性に依存した反射光が法線上に設置されたカメラ2に入射して画像Pが撮像される。
【0023】
一方、透明回折格子1によって反射された反射光は、上述した式(1)の関係に従って、XZ平面内で回折される。このとき、図3に示す例では、−1次回折光がカメラ2に入力される。このように、透明回折格子1によって反射された回折光がカメラ2に入力されると、媒体Mの表面に設けられた画像Pを撮像する場合、取得した画像に回折光の影響が及ぶことになる。
【0024】
逆に、回折光の影響を無くして媒体M表面の画像Pを撮像するためには、回折光がカメラ2に入射しない相対的な位置関係でカメラ2と光源3を配置すれば良いことになる。
【0025】
図4には格子方向から入射角度θin(ここでは30度と仮定する)でYZ平面に沿って入射する平行光によって媒体Pの表面を照明した場合における反射光の様子を斜視図にして示してあり、図5にはそのときのYZ平面への射影を概略的に示してある。
【0026】
入射角度θinで格子方向から照明された平行光の一部は透明回折格子1を透過して画像Pに達し、その反射特性に依存した反射光がカメラ2によって撮像される。この場合、透明回折格子1によって反射される反射光は、図4に示すように、YZ平面と直交する方向に回折されるため、正反射の方向に撮像部が無ければ、回折光がカメラ2に入射されることはない。このため、格子方向と平行な方向から照明した場合、回折光の影響が無い状態で画像Pを撮像できる。
【0027】
つまり、法線上に設置したカメラ2によって透明回折格子1を介して画像Pを撮像する場合、光源3からの照明光の入射方向および入射角度を適当な値に調節することにより、透明回折格子1で反射される回折光がカメラ2に入射しない入射方向および入射角度を選択することができ、回折光の影響の無い画像Pを撮像できることが分る。言い換えると、カメラ2の位置を変えても、光源3とカメラ2の相対的な位置関係を適当な値に調節することにより、カメラ2に回折光が入らない状態で画像Pを撮像することができる。
【0028】
次に、図6に示すブロック図を参照して、本発明の実施の形態に係る画像検出装置(以下、単に検出装置10と称する)について説明する。尚、ここでは、上述した構成と同様に機能する部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0029】
検出装置10の制御部11には、媒体Mの表面を照明するための光源3、光源3を法線Lの周りで回転させる回転機構12、光源3をXY平面と直交する面内で移動させて照明光の入射角度を調節するためのチルト機構13、媒体Mからの反射光を取得して画像を撮像するため法線L上に設置されたカメラ2、カメラ2を法線Lを中心にして回転させる回転機構14、読取り媒体の諸特性、測定条件、及び、良否・真偽判定基準を記憶するための記憶部15、カメラ2で撮像した複数の画像を合成して媒体Pの表面に印刷された画像Pおよび透明回折格子1によって描かれる画像P’の検出等を行なう画像処理部16、および画像処理部16で検出した画像Pおよび画像P’の検査結果を通知する通知部17、外部情報端末との情報のやり取りをするI/F部18が接続されている。
【0030】
記憶部15には、媒体の種類に合った光学条件の情報、例えば透明回折格子1の種類毎に予め測定した光源3の回転位置(照明光の入射方向)およびチルト角度(照明光の入射角度)、さらには取得画像に対するチェック項目、及び、良否・真偽判定基準などの情報が格納されている。
【0031】
次に、図7および図8を参照して、上記検出装置10による画像検出方法について説明する。図7には本実施の形態の画像検出方法を説明するための動作説明図を示してあり、図8には画像検出方法を説明するためのフローチャートを示してある。
【0032】
ここでは、カード状の媒体Mとして、その表面に顔画像P(上述した画像Pに相当)を印刷して2種類の透明回折格子1a、1bを顔画像Pの上に貼り付けたIDカードC(図7)に関して、このIDカードCから、顔画像Pを検出するとともに、透明回折格子1a、1bの画像P’を検出する方法について説明する。尚、本実施の形態では、透明回折格子1a、1bは、それぞれ直角三角形に形成され、それぞれの格子方向が直交するように組み合わされて顔画像Pの上に重ねて設けられているものとする。
【0033】
IDカードCの表面に印刷された顔画像Pを検出する場合、まず、X軸と平行な方向から入射角度θinの平行光によってIDカードCの表面を照明し、法線L上に設置されたカメラ2によって1つ目の画像(取得画像1)を撮像する(図8、ステップ1)。このときの入射角度θinは、格子方向がY軸方向に沿った透明回折格子1aで回折される回折光がカメラ2に入り、透明回折格子1aの下の画像が回折光の影響により取得できなくなるような角度(本実施の形態では30度と仮定する)に設定されている。照明光の入射角度θinは、チルト機構13を動作させることにより設定される。
【0034】
この場合、格子方向がX軸方向に沿った透明回折格子1bに対しては、照明の平行光が格子方向に沿って入射されることになり、上述したように、透明回折格子1bで回折される回折光がカメラ2に入ることはない。このため、取得画像1に関しては、透明回折格子1aの下の画像を取得できない反面、透明回折格子1bの下の画像はカメラ2を介して正常に撮像されることになる。また、反面、取得画像1により、透明回折格子1aからの反射光に含まれる画像が同時に撮像されている。
【0035】
取得画像1を撮像した後、今度は、回転機構12を動作させて光源3を法線Lの周りで90度回転させ、Y軸と平行な方向からIDカードCの表面を照明してカメラ2を介して2つ目の画像(取得画像2)を撮像する(ステップ2)。この際も、照明光の入射角度θinが、格子方向がX方向に沿った透明回折格子1bの下の画像が撮像不可能な角度(本実施の形態では6030度と仮定する)となるように、チルト機構13が動作されて光源3の位置が設定される。
【0036】
この場合、格子方向がY軸方向に沿った透明回折格子1aに対しては、照明の平行光が格子方向に沿って入射されることになり、上述したように、透明回折格子1aで回折される回折光がカメラ2に入ることはない。このため、取得画像2に関しては、透明回折格子1bの下の画像を取得できない反面、透明回折格子1aの下の画像はカメラ2を介して正常に撮像されることになる。また、反面、取得画像2により、透明回折格子1bからの反射光に含まれる画像が同時に撮像されている。
【0037】
この後、上記のように撮像された取得画像1および取得画像2が画像処理部16で処理されて、IDカードC表面の顔画像Pが検出される(ステップ3)とともに、透明回折格子1a、1bの画像P’が検出される(ステップ4)。
【0038】
ステップ3では、取得画像1に含まれる透明回折格子1bの下の画像と取得画像2に含まれる透明回折格子1aの下の画像とが合成され、回折光の影響の最も少ない画像が顔画像Pとして検出される。また、ステップ4では、取得画像1に含まれる透明回折格子1aの画像と取得画像2に含まれる透明回折格子1bの画像とが合成され、回折光の影響が最も大きい画像が透明回折格子1の画像P’として検出される。
【0039】
そして、ステップ3で検出した顔画像Pの印刷状態が検査され、且つステップ4で検出した透明回折格子1の画像P’から透明回折格子1の真偽が検査され、その検査結果が通知部17を介してオペレータに通知される(ステップ5)。
【0040】
さらに、ステップ1およびステップ2でそれぞれ取得画像1および取得画像2を取得したときの照明光の入射方向および入射角度が記憶部15に記憶される(ステップ6)。本実施の形態では、取得画像1を撮像した際の照明光の入射方向はX軸方向に沿った方向であり、そのときの入射角度は30度であり、取得画像2を撮像した際の照明光の入射方向はY軸方向に沿った方向であり、そのときの入射角度は30度であった。
【0041】
そして、本実施の形態で説明した透明回折格子1a、1bと同じ種類の透明回折格子を貼り付けた他のIDカードCから顔画像Pおよび透明回折格子1の画像Pを検出する際に、ステップ6で記憶部15に記憶した各画像取得時の照明光の入射方向および入射角度が読み出され、この読み出した入射方向および入射角度に従って光源3の回転機構12およびチルト機構13が動作され、光源3が各画像取得位置に配置される。
【0042】
以上のように、本実施の形態によると、透明回折格子1を上に重ねた状態の被検出画像Pを検出する際、複数の方向から透明回折格子1を介して照明光を当てて複数の画像を撮像し、これら複数の画像を合成して被検出画像を検出するようにした。これにより、透明回折格子1から反射された回折光による影響を最も少なくした状態で被検出画像Pを確実に検出できるようになった。
【0043】
また、本実施の形態によると、オペレータは、通知部17を介して通知される検査結果を見て被検出画像Pの印刷品質や透明回折格子1の真偽を判断でき、利便性を向上させることができる。
【0044】
さらに、本実施の形態によると、透明回折格子1の種類毎に各画像取得時における照明光の入射方向および入射角度を予め記憶部15に記憶しておき、同じ種類の透明回折格子1を被検出画像Pの上に貼り付けた媒体Mを検査する際に、これら入射方向および入射角度を読み出して光源3を移動および位置決めするようにした。これにより、回転機構12やチルト機構13をいちいち動作させて複数の画像を取得する必要がなくなり、光源3の移動および位置決めに要する処理時間を大幅に減少できるようになった。
【0045】
本実施の形態によれば、各種情報を保管している記憶部は検査装置内部にあることになっているが、I/F:18を介して外部と情報を共有する事でより効率的な使い方もできる。
【0046】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0047】
例えば、上述した実施の形態では、2方向から被検出画像Pを照明して2つの画像を取得し、これら2つの画像を合成して媒体Mの画像Pおよび透明回折格子1の画像P’を検出した場合について説明したが、これに限らず、透明回折格子1の種類に応じて3つ以上の方向から照明した3つ以上の画像を取得して媒体Mの画像Pおよび透明回折格子1の画像P’を検出するようにしても良い。つまり、本実施の形態では、透明ホログラムとして2種類の格子方向しか持たない透明回折格子1a、1bを用いた場合について説明したが、3つ以上の格子方向を有する透明ホログラムを用いた場合には、その格子方向に応じた数の異なる方向から照明して撮像した3つ以上の画像を合成すれば良い。
【0048】
また、上述した実施の形態では、複数の方向から被検出画像Pを照明して複数の画像を撮像するため、光源3を回転およびチルトさせた場合について説明したが、これに限らず、透明回折格子1の種類に応じて複数の光源をそれぞれ所定位置に固定配置して被検出画像Pを異なる方向から順に照明するようにしても良い。
【0049】
また、上述した実施の形態では、媒体Mに対して光源3を移動させることにより照明光の入射方向および入射角度を変更した場合について説明したが、これに限らず、光源3およびカメラ2を含む光学系に対して媒体Mを移動して媒体Mに対する照明光の入射方向および入射角度を変更するようにしても良い。
【0050】
また、照明光の波長λは、任意に選択可能であり、例えば特定の比較的狭い波長域を有する単色光を照明光に用いても良く、この場合、回折光の方向を比較的狭い範囲に特定することができる。これにより、回折光がカメラ2に入る角度範囲を狭くでき、S/N比をより高めることができる。
【0051】
また、上述した実施の形態では、画像を広い範囲で撮像するエリアカメラ2を法線L上に固定配置して媒体Mの画像Pおよび透明回折格子1の画像P’を検出する場合について説明したが、これに限らず、複数の撮像素子をライン状に並設したラインセンサを用いて撮像するようにしても良い。この場合、ラインセンサおよび媒体Mのうち少なくとも一方を移動させてスキャンして、画像を検出する必要がある。
【0052】
さらに、上述した実施の形態では法線L上に固定配置したカメラ2によって画像を撮像した場合について説明したが、以下のような条件下では、カメラ2を法線Lを中心に回転させることにより、別の効果を奏することができる。例えば、複数個の撮像素子を複数列、複数行に並べたエリアカメラを用いて、媒体Mの表面に印刷された複数列、複数行の画点を有する画像Pを撮像する場合、撮像素子の並び方向と画点の並び方向が一致しないと、図9に示すようなモアレを生じることが知られている。このため、このような条件下では、カメラ2を法線Lを中心にして回転させて撮像素子の並び方向と画点の並び方向を一致させることが有効となる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、表面にホログラムや回折格子を有する媒体の画像を確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明回折格子の部分拡大断面図。
【図2】図1の透明回折格子の格子方向と直交する方向から光を入射したときの反射光の様子を示す斜視図。
【図3】図2のXZ平面内における反射光の様子を示す図。
【図4】図1の透明回折格子の格子方向と平行な方向から光を入射したときの反射光の様子を示す斜視図。
【図5】図4のYZ平面内における反射光の様子を示す図。
【図6】この発明の実施の形態に係る画像検出装置の概略構成を示すブロック図。
【図7】図6の画像検出装置によって画像を検出する動作を説明するための動作説明図。
【図8】図7とともに画像検出動作を説明するためのフローチャート。
【図9】モアレを生じた画像の例を示す図。
【符号の説明】
1…透明回折格子、2…カメラ、3…光源、11…制御部、12…回転機構、13…チルト機構、14…回転機構、15…記憶部、16…画像処理部、17…通知部、18…I/F、C…IDカード、L…法線、M…媒体、P…画像、θin…入射角度、θout…反射角度。
Claims (14)
- 入射光を透過するとともに該入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現された画像情報を有する光学部材を、被検出画像の上に重ねて設けた媒体から、上記被検出画像を検出する画像検出方法であって、
上記被検出画像を検出する光学系は、上記被検出画像を照明する光源とその反射光を受光して上記被検出画像を撮像する撮像部とを有し、
上記光学部材を介して上記被検出画像を照明する光源および上記媒体のうち少なくとも一方を移動して、上記光学部材からの反射光による影響が比較的少ない複数位置で上記撮像部を介して上記被検出画像をそれぞれ撮像する撮像工程と、この撮像工程で撮像した複数の画像を合成して上記光学部材からの反射光による影響のない上記被検出画像を検出する検出工程と、
を有することを特徴とする画像検出方法。 - 上記撮像工程では、上記入射光の上記光学部材に対する入射角度を変えるように上記光学系および媒体のうち少なくとも一方を移動することを特徴とする請求項1に記載の画像検出方法。
- 上記撮像工程では、上記入射光の上記光学部材に対する入射方向を変えるように上記光学系および媒体のうち少なくとも一方を移動することを特徴とする請求項1に記載の画像検出方法。
- 上記撮像工程で上記被検出画像を撮像したときの上記光学系および媒体の位置関係を上記光学部材の種類毎に記憶する記憶工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像検出方法。
- 上記検出工程で検出した被検出画像を検査する検査工程と、
この検査工程における検査結果を通知する通知工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像検出方法。 - 入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現される特定画像を有する光学部材から、上記特定画像を検出する画像検出方法であって、
上記特定画像を検出する光学系は、上記光学部材を照明する光源とその反射光を受光して上記特定画像を撮像する撮像部とを有し、
上記光源および上記光学部材のうち少なくとも一方を移動して、複数位置で上記撮像部を介して上記特定画像を撮像する撮像工程と、
この撮像工程で撮像した複数の画像を合成して上記特定画像を検出する検出工程と、
を有することを特徴とする画像検出方法。 - 上記撮像工程では、上記入射光の上記光学部材に対する入射角度を変えるように上記光学系および光学部材のうち少なくとも一方を移動することを特徴とする請求項6に記載の画像検出方法。
- 上記撮像工程では、上記入射光の上記光学部材に対する入射方向を変えるように上記光学系および光学部材のうち少なくとも一方を移動することを特徴とする請求項6に記載の画像検出方法。
- 上記撮像工程で上記特定画像を撮像したときの上記光学系および光学部材の位置関係を上記光学部材の種類毎に記憶する記憶工程をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の画像検出方法。
- 上記検出工程で検出した特定画像に基づいて上記光学部材を検査する検査工程と、
この検査工程における検査結果を通知する通知工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の画像検出方法。 - 入射光を透過するとともに該入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現される特定画像を有する光学部材を、被検出画像の上に重ねて設けた媒体から、上記被検出画像を検出するとともに、上記光学部材から上記特定画像を検出する画像検出方法であって、
上記被検出画像および上記特定画像を検出する光学系は、上記光学部材を介して上記被検出画像を照明する光源とその反射光を受光して上記被検出画像および上記特定画像を撮像する撮像部とを有し、
上記光源および上記媒体のうち少なくとも一方を移動して、上記光学部材からの反射光による影響が比較的少ない複数位置で上記撮像部を介して上記被検出画像をそれぞれ撮像する撮像工程と、
この撮像工程で撮像した複数の画像を合成して上記光学部材からの反射光による影響のない上記被検出画像を検出するとともに上記特定画像を検出する検出工程と、
を有することを特徴とする画像検出方法。 - 入射光を透過するとともに該入射光の特性に依存した反射特性を利用して表現される特定画像を有する光学部材を、被検出画像の上に重ねて設けた媒体を上記光学部材を介して照明する光源と、
上記媒体および光学部材からの反射光を受光して上記被検出画像および特定画像を撮像する撮像部と、
上記光源と上記媒体を相対的に移動させる移動機構と、
この移動機構によって上記光源および媒体を相対的に移動させた複数位置で上記撮像部を介して撮像した複数の画像を合成し、上記光学部材からの反射光による影響のない上記被検出画像を検出するとともに上記特定画像を検出する画像処理部と、
を備えていることを特徴とする画像検出装置。 - 上記複数位置で画像を撮像したときの上記光源および媒体の位置関係を上記光学部材の種類毎に記憶する記憶部をさらに備えていることを特徴とする請求項12に記載の画像検出装置。
- 上記画像処理部で検出した上記被検出画像および特定画像の検査結果を通知する通知部をさらに備えていることを特徴とする請求項12に記載の画像検出装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010250191A (ja) * | 2009-04-20 | 2010-11-04 | Sony Corp | ホログラム再生および撮像装置、ホログラム再生および撮像方法 |
US8303869B2 (en) | 2004-09-09 | 2012-11-06 | Nissin Kogyo Co., Ltd. | Composite material and method of producing the same, and composite metal material and method of producing the same |
CN113030122A (zh) * | 2021-04-08 | 2021-06-25 | 凌云光技术股份有限公司 | 一种基于柱透镜阵列的光柱镭射印刷检测装置及方法 |
-
2003
- 2003-08-29 JP JP2003209633A patent/JP2005078110A/ja active Pending
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