JP2005077148A - 血液検査方法及び装置 - Google Patents

Abstract

【課題】
本発明の課題は赤沈の検査を自動化する方法を提供する血液の検査方法に関するものである。
【解決手段】
血液の電気的性状、とりわけゼータ電位及びインピーダンス測定により赤沈の検査が可能であることから、それを効率的に実施する手段を検討したところ、これらの測定を赤血球数、血球数、血小板数、ヘマトクリット、血色素等を自動で測定している血液検査装置に組み込んで検査することにより、赤沈の測定を自動化し、しかも赤沈の検査データと血液検査データを比較する手段を用いることにより、より的確な病態の検査が可能になる方法を提供する。
【選択図】
【図３】

Description

本発明は血液の検査方法及び装置に関するものである。

臨床検査の分野に置いて、赤血球沈降速度（赤沈）は古くから行われている検査の一つである。赤沈は赤血球の凝集に関係し、凝集が早くて大きいほど促進する。凝集は血漿蛋白質の荷電状態の変化と密接に関係し、陽性荷電の蛋白質が増量すると、赤血球の陰性荷電を中和して血球の凝集を早めるため、赤沈が促進される。逆に陰性荷電の蛋白質が増加すれば赤血球はより強く反発し凝集し難くなることから、赤沈が遅延する。この検査は簡便で有用な検査であるが、多量の血液（約１ｍＬ）が必要であり、しかも専用の容器で他の検査用血液とは別途採血しなければならない上に、判定までに最低1時間は必要であるといったような欠点がある。最近、遠心法を利用した迅速赤沈法が開発され測定の迅速化が可能になったが、個々の被検試料について専用の赤沈管に血液を充填して専用の機器にセットして測定する必要がある。従って、自動化された簡便で迅速な赤沈の検査方法の開発が望まれていた。特許文献１によれば、被検試料の静電容量を電気的手段により計測するとともに、被検試料のヘマトクリットを電気的手段により計測し、静電容量及びヘマトクリットの関数として赤沈の値を算出しようとする方法が開示されている。しかし、この開示は赤沈の電気的測定データの補正を目的としたヘマトクリット値の計測であり、血液検査を自動化するための手段は開示されていない。
特表平０９−５０５１４６

本発明の課題は赤沈の検査を自動化する方法を提供する血液の検査方法に関するものである。

本発明者らは、簡便で迅速でしかも自動化できる赤沈の検査方法を鋭意研究した。血液の電気的性状、とりわけゼータ電位及びインピーダンス測定により赤沈の検査が可能であることから、それを効率的に実施する手段を検討したところ、電気的性状の測定を赤血球数、血球数、血小板数、ヘマトクリット、血色素等を自動で測定している血液検査装置に組み込んで検査することが可能であることを見出し、さらに電気的性状の検査データと血液検査データを比較する手段を用いることにより、より的確な病態の検査が可能になることを見出し本発明を完成させた。

本発明は、赤沈測定と血球計数の両方を同一装置で行うことができ効果的な血液検査が可能である。しかも従来別途採血が必要で、検査結果が得られるまで長時間要していた赤沈検査を、血液検査のために採血した試料を用いて自動的に行うことが可能になるといった、格段の効果を有する検査方法及び装置を提供できる。

本発明は以下の構成からなる。
１、赤血球沈降速度の測定工程を赤血球数、血色素量、ヘマトクリット、白血球数、血小板数のうちから選ばれた少なくとも３項目の血液検査工程と同一計測装置内で行うことを特徴とする血液の検査方法。
２、赤血球沈降速度の測定工程が被検試料の電気的性状を測定する工程である前記１に記載の検査方法。
３、電気的性状を測定する工程がゼータ電位、インピーダンス選ばれた少なくとも一つである前記２に記載の検査方法。
４、血液の電気的性状の測定データ及び血液検査データを比較演算する工程を含む前記１〜３に記載の検査方法。
５、前記１〜４に記載の検査方法を実施する検査装置又はシステム。

本発明は、赤血球沈降速度（赤沈）の測定工程を赤血球数、血色素量、ヘマトクリット、白血球数、血小板数等の測定をする血液検査の計測装置内で行うことを特徴とする血液の検査方法およびその検査装置に関するものである。赤沈の計測は血液の電気的性状、とりわけゼータ電位又はインピーダンスを測定することにより実施される。ゼータ電位やインピーダンスの測定は赤沈検査の指標となることは既に公知である。これらの測定を効率よく行う方法として血液検査装置に組み入れて、自動的に測定することにより、効率的な検査が可能である。

測定しようとする血液は抗凝固剤を混和させて採血されたものを用いる。抗凝固剤として、ＥＤＴＡやクエン酸が用いられるが特に限定されるものではない。
通常の血球数を計測する血液検査では抗凝固剤にEDTAを用いているものが多い。本発明により、EDTA採血された血液を血液検査装置にセットして分析を行うことにより、従来の血球計数の血液学的検査に加えて赤沈の検査も自動的に行うことが可能となる。ゼータ電位の測定は電気泳動法、流動電位法、超音波法等が知られているが特に限定されるものではない。インピーダンスの測定は通常の周波数変化により測定される。単一周波数による測定も本発明の範囲であるが、より好ましくは複数周波数による測定、例えば異なる3周波数の測定等が用いられる。

電気的性状を測定することにより得られた測定データは、関数変換して赤沈値として算出し、報告することが可能である。このような関数は、実験的に求められる。測定された赤沈の検査結果は、実測値をそのまま報告、活用することも可能であるが、種々の検査データと比較検討することも本発明に含まれる。例えば、ある試料の測定した赤沈値を特許文献１に述べられているような関数を用いヘマトクリットや赤血球数で補正することも含まれる。さらには、生化学的検査データの一つである例えばCRPやASOの測定値との比較、血液凝固能検査データのフィブリノゲンの測定値との比較をすることも含まれる。データの比較は、通常差又は比がよく用いられる。そのような検査データの比較は、例えば赤沈値とCRPやフィブリノゲンの値との比を求めることも含まれる。

従来の検査フローと本発明の検査フローを図１に示した。従来の検査では患者から少なくとも赤沈検査用の採血と通常検査用の採血が行われ、通常の検査結果が報告された後に、赤沈の検査結果が報告されていた。本発明の方法では一つの採血で、しかも通常の検査結果の報告時に全ての結果が報告されることになり、患者及び医療現場に格段の効果を与えられる。

血液計数装置は血液試料の分注、希釈、計測操作により赤血球数、白血球数、血小板数、ヘマトクリット等を測定する。ヘモグロビンの測定はこれらの血球計測とは異なり、赤血球を破壊してヘモグロビンを遊離させ、そのヘモグロビン溶液の特異吸収を測定することにより行う。さらに、試料の一部を赤沈の測定のために分注し、電気的性状測定による赤沈測定に供される。これらの一連の機能の概略を図２に示した。電気的性状が血液の血球成分と血漿成分の容積比、すなわちヘマトクリット値に影響を受けることを回避するために、ヘマトクリット値補正機能を付加させておく。

実施例１で示した装置の概要に準じたブロック図の例を図３に示した。血液試料１を装置にセットし、血液試料を吸引ノズル２により吸引し、インピーダンス測定セル３に導かれ、セル内に設置されている電極4及び５によってインピーダンス測定が行われる。電極はインピーダンス測定回路６につながっており、そこで測定値が求められる。血液試料の一部はさらに血球数計測機構９に送られ、そこで赤血球数、白血球数、血小板数などの計測が行われる。その際に必要な希釈液はリザーバー１３より供給される。ここでは流路切り替えバルブ８により希釈液と血液試料を血球数計測機構９に供給する機構を示したが、その機構は特に限定されるものではない。血球数計測機構９で得られた信号は血球数計測回路１０に送られ処理される。インピーダンス測定回路６及び血球数計測回路１０の情報は演算装置１１に送られ演算されたのち検査データ１２として出力される。

本発明により、赤沈測定と血球計数の両方を同一装置で行うことができ効果的な血液検査が可能となり、血液検査診断機器として利用できる。

本発明と従来の方法を比較したフロー図である。 本発明の検査装置のフロー図である。 本発明の実施例のブロック図である。

符号の説明

１、血液試料
２、ノズル
３、インピーダンス測定セル
４、測定電極
５、参照電極
６、インピーダンス測定回路
７、ポンプ
８、流路切り替えバルブ
９、血球数計測機構部
１０、血球数計測回路
１１、演算装置
１２、検査結果

Claims (5)

1. 赤血球沈降速度の測定工程を赤血球数、血色素量、ヘマトクリット、白血球数、血小板数のうちから選ばれた少なくとも３項目の血液検査工程と同一計測装置内で行うことを特徴とする血液の検査方法。
2. 赤血球沈降速度の測定工程が被検試料の電気的性状を測定する工程である請求項１に記載の検査方法。
3. 電気的性状を測定する工程がゼータ電位、インピーダンス選ばれた少なくとも一つである請求項２に記載の検査方法。
4. 血液の電気的性状の測定データ及び血液検査データを比較演算する工程を含む請求項１〜３に記載の検査方法。
5. 請求項１〜４に記載の検査方法を実施する検査装置又はシステム。
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   

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