JP2005077105A - 静電容量検出装置及びその駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優良な静電容量検出装置を実現する。
【解決手段】M行N列の行列状に配置されたM本の電源線と、N本の出力線、及び此等交点に設けられた静電容量検出素子とを具備し、静電容量検出素子は信号検出素子と信号増幅素子とを含み、信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用MIS型半導体装置から成る。
【選択図】 図5
【解決手段】M行N列の行列状に配置されたM本の電源線と、N本の出力線、及び此等交点に設けられた静電容量検出素子とを具備し、静電容量検出素子は信号検出素子と信号増幅素子とを含み、信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用MIS型半導体装置から成る。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は指紋等の微細な凹凸を有する対象物の表面形状を、対象物表面との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り読み取る静電容量検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、指紋センサ等に用いられる静電容量検出装置はセンサ電極と当該センサ電極上に設けられた誘電体膜とを単結晶硅素基板に形成していた(特開平11−118415、特開2000−346608、特開2001−56204、特開2001−133213等)。図1は従来の静電容量検出装置の動作原理を説明している。センサ電極と誘電体膜とがコンデンサの一方の電極と誘電体膜とを成し、人体が接地された他方の電極と成る。このコンデンサーの静電容量CFは誘電体膜表面に接した指紋の凹凸に応じて変化する。一方、半導体基板には静電容量CSを成すコンデンサーを準備し、此等二つのコンデンサーを直列接続して、所定の電圧を印可する。斯うする事で二つのコンデンサーの間には指紋の凹凸に応じた電荷Qが発生する。この電荷Qを通常の半導体技術を用いて検出し、対象物の表面形状を読み取っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら此等従来の静電容量検出装置は当該装置が単結晶硅素基板上に形成されて居る為に、指紋センサとして用いると指を強く押しつけた際に当該装置が割れて仕舞うとの課題を有して居た。
【0004】
更に指紋センサはその用途から必然的に20mm×20mm程度の大きさが求められ、静電容量検出装置面積の大部分はセンサ電極にて占められる。センサ電極は無論単結晶硅素基板上に作られるが、膨大なエネルギーと労力とを費やして作成された単結晶硅素基板の大部分(センサ電極下部)は単なる支持体としての役割しか演じてない。即ち従来の静電容量検出装置は高価なだけでは無く、多大なる無駄と浪費の上に形成されて居るとの課題を有する。更に従来の静電容量検出装置では微少な電荷Qを読む為に検出感度が悪いとの課題も有して居る。電荷Qは誘電体膜の容量にて定まるので、当該装置の保護膜としても機能している誘電体膜を厚くすると、電荷Qは益々小さくなる。換言すれば従来の静電容量検出装置では検出感度をあげると、保護膜(誘電体膜)が薄くなって当該装置の耐久性が悪化するとの課題も有して居る。
【0005】
加えて近年、クレジットカードやキャッシュカード等のカード上に個人認証機能を設けてカードの安全性を高めるべきとの指摘が強い。然るに従来の単結晶硅素基板上に作られた静電容量検出装置は柔軟性に欠ける為に、当該装置をプラスティック基板上に作成し得ないとの課題を有している。
【0006】
そこで本発明は上述の諸事情を鑑み、その目的とする所は安定に動作し、更に製造時に不要なエネルギーや労力を削減し得、又単結晶硅素基板以外にも作成し得る優良な静電容量検出装置とその駆動方法とを提供する事に有る。具体的には検出感度の高い、薄膜半導体装置から成る静電容量検出装置とその駆動方法を提供する事にある。
【0007】
又本発明の別な目的は保護膜を厚くして当該装置の耐久性を改善しても、検出感度が高い優れた静電容量検出装置とその駆動方法とを提供する事にも有る。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置に於いて、静電容量検出装置はN本の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)及びM行N列の行列状に配置されたM本の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)とN本の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、及び各電源線(PLi)と各列線(CLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)とを具備し、此の静電容量検出素子(ECSEij)は信号検出素子(SSEij)と信号増幅素子(SAEij)と信号転送素子(STEij)を含み、信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から成り、信号転送素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)から成る事を特徴とする。更に信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のソース領域は電源線(PLi)に接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域は信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域に接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のゲート電極は列線(CLj)に接続される事をも特徴とする。又、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のソース領域は出力線(OLj)に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域は信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電極は容量検出電極に接続される事をも特徴とする。この時に信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域と信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域とがPN接合ダイオードを形成している事をも特徴とする。
【0009】
本発明は対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置に於いて、静電容量検出装置はN本の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)及びM行N列の行列状に配置されたM本の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)とN本の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、各電源線(PLi)と各列線(CLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)、N本の各出力線(OLj)とN本の各列線(CLj)に接続する出力信号選択回路とを具備し、此の静電容量検出素子(ECSEij)は容量検出電極と容量検出誘電体膜と信号増幅素子(SAEij)と信号転送素子(STEij)とを含み、出力信号選択回路は共通出力線と出力信号用パスゲート(j列目に位置する出力信号用パスゲート(PG−OLj、jは1からN迄の整数)とを含み、信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から成り、信号転送素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜型半導体装置(PSD−STij)から成り、出力信号用パスゲートはゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)から成る事を特徴とする。この際、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のソース領域は電源線(PLi)に接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域は信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域に接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のゲート電極は列線(CLj)に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のソース領域は出力線(OLj)に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域は信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電極は容量検出電極に接続され、出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)のソース領域は出力線(OLj)に接続され、出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGij)のドレイン領域は共通出力線に接続され、出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGij)のゲート電極は列線(CLj)に接続される事をも特徴とする。この時、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域と、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域とがPN接合ダイオードを形成していることをも特徴とする。
【0010】
本発明は対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置の駆動方法に於いて、静電容量検出装置はN本の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)及びM行N列の行列状に配置されたM本の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)とN本の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、各電源線(PLi)と各列線(CLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)とを具備し、此の静電容量検出素子(ECSEij)は信号検出素子(SSEij)と信号増幅素子(SAEij)と信号転送素子(STEij)を含み、信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から成り、信号転送素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)から成り、電源線(PLi)が選択時は高電位に保たれ、電源線(PLi)が非選択時は低電位に保たれる事を特徴とする。
【0011】
本発明は対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置の駆動方法に於いて、静電容量検出装置はN本の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)及びM行N列の行列状に配置されたM本の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)とN本の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、各電源線(PLi)と各列線(CLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)とを具備し、此の静電容量検出素子(ECSEij)は信号検出素子(SSEij)と信号増幅素子(SAEij)と信号転送素子(STEij)を含み、信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から成り、信号転送素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)から成り、列線(CLj)が選択時は低電位に保たれ、列線(CLj)が非選択時は高電位に保たれる事を特徴とする。
【0012】
本発明は対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置の駆動方法に於いて、静電容量検出装置はN本の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)及びM行N列の行列状に配置されたM本の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)とN本の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、各電源線(PLi)と各列線(CLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)とを具備し、此の静電容量検出素子(ECSEij)は信号検出素子(SSEij)と信号増幅素子(SAEij)と信号転送素子(STEij)を含み、信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から成り、信号転送素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)から成り、電源線(PLi)が選択時は高電位に保たれ、電源線(PLi)が非選択時は低電位に保たれ、列線(CLj)が選択時は低電位に保たれ、列線(CLj)が非選択時は高電位に保たれる事を特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置を金属−絶縁膜−半導体膜から成るMIS型薄膜半導体装置にて作成する。薄膜半導体装置は通常硝子基板上に作成される為に、大面積を要する半導体集積回路を安価に製造する技術として知られ、具体的に昨今では液晶表示装置等に応用されている。従って指紋センサ等に適応される静電容量検出装置を薄膜半導体装置にて作成すると、単結晶硅素基板と云った多大なエネルギーを消費して作られた高価な基板を使用する必要がなく、貴重な地球資源を浪費する事なく安価に当該装置を作成し得る。又、薄膜半導体装置はSUFTLA(特開平11−312811やS. Utsunomiya et. al. Society for Information Display p. 916 (2000))と呼ばれる転写技術を適応する事で、半導体集積回路をプラスティック基板上に作成出来るので、静電容量検出装置も単結晶硅素基板から解放されてプラスティック基板上に形成し得るので有る。
【0014】
さて、図1に示すが如き従来の動作原理を適応した静電容量検出装置を薄膜半導体装置にて作成するのは、現在の薄膜半導体装置の技術を以てしては不可能である。二つの直列接続されたコンデンサー間に誘起される電荷Qは非常に小さい為に、高精度感知を可能とする単結晶硅素LSI技術を用いれば電荷Qを正確に読み取れるが、薄膜半導体装置ではトランジスタ特性が単結晶硅素LSI技術程には優れず、又薄膜半導体装置間の特性偏差も大きいが故に電荷Qを精確に読み取れない。そこで本発明の静電容量検出装置はM行N列の行列状に配置されたM本の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)とN本の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、及びN本の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)、各電源線(PLi)と各列線(OLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)とを具備せしめ、此の静電容量検出素子は信号検出素子(SSEij)と信号増幅素子(SAEij)とを含むとの構成とする。信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、容量検出電極には測定すべき静電容量に応じて電圧Vが発生する。本発明ではこの電圧Vを各静電容量検出素子に設けられた信号増幅素子にて増幅し、電流に変換する。具体的には信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から成り、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電極が容量検出電極に接続される。図2に本願発明の動作原理図を示す。基準静電容量CSを持つコンデンサーと、対象物の表面形状に応じて変化する静電容量CFを有するコンデンサーとの間に適当な電圧V0を印可すると、この電圧V0は容量に応じて分割される。こうして発生した電圧Vを信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電位として利用する。此の状態にて薄膜半導体装置のドレイン領域に所定の電圧を印可すると、誘起された電圧Vに応じて薄膜半導体装置のソースドレイン間に流れる電流Iは著しく増幅される。容量検出電極に誘起された電荷Q自体は何処にも流れずに保存されるので、ドレイン電圧を高くしたり或いは測定時間を長くする等で電流Iの測定も容易になり、従って薄膜半導体装置を用いても対象物の表面形状を十分正確に計測出来る様になる。
【0015】
前述の如く本願発明では信号増幅素子として信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)を用いて居る。この場合、静電容量Csを持つコンデンサーを信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)其の物で兼用し得る。即ち静電容量Csに代わる新たな静電容量を信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のトランジスタ容量CTとするので有る。斯うする事で静電容量検出素子から静電容量Csを持つコンデンサーを省略出来、構造が簡素化されると同時に製造工程も容易と化す。加えて図2に描かれて居る二つの電源を共通の電源Vddとして纏める事も静電容量検出装置内に於ける余計な配線を省略し得るとの観点で効果的と言える。斯様な状態に於ける動作原理に関する等価回路図を図3に示す。対象物の表面形状に応じて変化する静電容量CFを有するコンデンサーとトランジスタ容量CTを有するコンデンサーとが直列に接続されて居る。厳密にはトランジスタ容量CTは信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン電極とゲート電極との間に形成される静電容量である。図3の構成を最も簡便に実現させるには信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のソース領域を出力線(OLj)に接続し、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域を電源線(PLi)に接続した上で、電源線(PLi)に電圧Vddを印可し、出力線(OLj)より対象物の表面形状に応じて変化する電流Iを取り出せば良い。但しこうした簡便な素子構造では信号出力に長時間要したり、静電容量検出素子間で情報が干渉するとの課題が生ずるので、本発明では静電容量検出素子に信号転送素子(STEij)として信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)を具備せしめ、電源線(PLi)から信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)を介し信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)へ電圧Vddを印可させる。こうする事で静電容量に応じた信号を短時間に取り出せ、更に静電容量検出素子(ECSEij)間に生ずる情報の干渉を防ぐ事が可能となる。
【0016】
本発明を具現化する静電容量検出素子の構造を図4を用いて説明する。静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)の信号増幅素子(SAEij)を成す信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)と信号転送素子(STEij)を成す信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)はソース領域とチャンネル形成領域とドレイン領域とを含む半導体膜とゲート絶縁膜とゲート電極とを不可欠な構成要件としている。半導体膜には多結晶半導体膜や単結晶半導体膜が用いられる。これらの材質は珪素を主体とし、純珪素(Si)や珪素素とホウ素(B)、燐(P)、ゲルマニウム(Ge)等の混合半導体材料も利用される。図4の構成例では此の信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)と信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)を第一層間絶縁膜が被って居る。信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のソース領域には第一配線が接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のソース電極には第二配線が接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電極には第三配線が接続される。第一配線と第二配線との間には第二層間絶縁膜が設けられ、第一配線と第二配線とを電気的に分離している。静電容量検出素子の信号検出素子を成す容量検出電極は信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電極に第三配線にて接続される。第二配線と容量検出電極との間には第三層間絶縁膜が設けられ、第二配線と容量検出電極とを電気的に分離している。本発明では微少信号を検出することを目的としているために第一配線や第二配線と静電容量検出電極間はできるだけ不要な寄生容量が形成されぬ構造を取っている。具体的には容量検出電極とその最近の下層に位置する配線(図4では第二配線)とを分離する絶縁膜(図4では第三層間絶縁膜)が有する単位面積当たりの静電容量(CID=ε0εID/dID、ε0は真空の誘電率、εIDは分離絶縁膜の比誘電率、dIDは分離絶縁膜の厚さ)と、容量検出誘電体膜が有する単位面積当たりの静電容量(CCD=ε0εCD/dCD、εCDは容量検出誘電体膜の比誘電率、dCDは容量検出誘電体膜の厚さ)との比(CID/CCD=εID・dCD/εCD・d¥DW¥ID)が0.25程度以下となる様にする。こうする事で容量検出電極を30μm×30μm程度まで小さくしても配線容量(図4では第二配線と容量検出電極との寄生容量)を無視し得る程小さく出来、精密な静電容量の検出が可能となる。この関係を満たせば容量検出電極面積が900μm2程度以上有れば高感度の静電容量検出が可能となる。容量検出電極上は容量検出誘電体膜が被い、容量検出誘電体膜は静電容量検出装置の最表面に位置する。容量検出誘電体膜は静電容量検出装置の保護膜の役割も同時に演ずる。
【0017】
次に本発明に依る静電容量検出装置の全体構成を図5を用いて説明する。対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置はM行N列の行列状に配置されたM本(Mは1以上の整数)の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)と、N本(Nは1以上の整数)の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)、N本(Nは1以上の整数)の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、及び各電源線(PLi)と各出力線(OLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)とを最小限の構成要素としている。此等に加えて本発明に依る静電容量検出装置はM本の電源線(PLi)に接続する電源選択回路や、N本の出力線(OLj)とN本の列線(CLj)に接続する出力信号選択回路のどちらか一方、或いは両者をも具備して居ても良い。静電容量検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜からなる信号検出素子(SSEij)と信号増幅素子(SAEij)と信号転送素子(STEij)を含み、対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する。静電容量検出素子がM行N列の行列状に配置されているので、対象物の表面形状を読み取るには行と列とを其々順次走査してM×N個の静電容量検出素子を適当な順番に選択して行かねばならない。各静電容量検出素子に如何なる順序にて電源を供給して行くかを定めるのが電源選択回路である。電源選択回路は少なくとも共通電源線と電源用パスゲートとを含んで居り、M本の電源線(PLi)の何れに電源供給するかを選択する。此れとは対照的に各静電容量検出素子から如何なる順序にて検出された信号を読み出すかを定めるのが出力信号選択回路である。出力信号選択回路は少なくとも共通出力線と出力信号用パスゲートとを含んで居り、N本の出力線(OLj)の何れから出力信号を取り出すかとN本の列線(CLj)の何れかに選択信号を供給するかを選択する。
【0018】
本発明では静電容量検出素子内の信号検出素子(SSEij)は容量検出電極と容量検出誘電体膜から成り、信号転送素子(STEij)はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)から構成され、信号増幅素子(SAEij)はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から構成される。又、出力信号用パスゲートもゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)から成る。本願発明では信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のソース領域は電源線(PLi)に接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域は信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域に接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のゲート電極は列線(CLj)に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のソース領域は出力線(OLj)に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域は信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電極は容量検出電極に接続される。(図4ではMIS型薄膜半導体装置のソース領域をS、ドレイン領域をD、ゲート電極をGにて表示して居る。また、PMOSでは電位の高い側をソース、低い側をドレインと定義し、NMOSでは電位の高い側をドレイン、低い側をソースと定義する。)ここで信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域と信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域とはPN接合を形成し、整流素子の役割をすることで信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)から信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)へのみ導通があり、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)への導通は起こらない。具体的には、対象物の形状に応じて信号検出素子(SSEij)により検出された電圧Vに対応する電流が出力線から共通出力線へと伝播する際に、電流が静電容量検出素子(ECSEij)の他行上に配置される静電容量検出素子(例えば一行上に位置するECSEi−1j、図5)の信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAi−1j)のソース領域から信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STi−1j)を通り電源線へと流れ込んでいくことをPN接合部で防止することで、検出された電圧Vに対応する電流を正確に共通出力線へと伝えることができる。2行上、3行上と全ての静電容量検出素子(ECSEij)においてもPN接合は同様の役割を果たしている。斯うして電源線(PLi)と出力線(OLj)とは、容量検出電極にて検出された電荷Qに感応するチャンネル形成領域を介在してお互いに接続される。
【0019】
信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のソース領域は電源線(PLi)に接続しているので、選択された電源線(例えばi行目)に接続する信号転送素子の内で列線が選択された(例えばj行列目の)信号転送素子(PSD−STij)に接続されている信号増幅素子へ電源を供給し、信号増幅素子は対象物の表面形状に応じた電流を各出力線(OLj)に供給することになる。本願発明では出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)のソース領域は出力線(OLj)に接続され、出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)のドレイン領域は共通出力線に接続され、出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)のゲート電極は列線(CLj)に接続される。電源線(PLi)が選択時は高電位に保たれ、電源線(PLi)が非選択時は低電位に保たれ、列線(CLj)が選択時は低電位に保たれ、列線(CLj)が非選択時は高電位に保たれる。列線(CLj)は一例として出力信号用シフトレジスタの各出力段となし得るし(図5の場合)、或いは出力信号用シフトレジスタに代わる出力信号用デコーダーの各出力段ともなし得る。出力信号用シフトレジスタはN個の出力段に転送されて来た選択信号を順次供給して行く。又、出力信号用デコーダーはデコーダーへの入力信号に応じてM個の出力段から特定の出力段を選定する。斯うしてN個の出力信号用パスゲートには適時選択信号が入力され、結果としてN本の出力線(OLj)が共通出力線と順次電気的な導通が取られて行く。信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のソース領域は出力線(OLj)に接続しているので、電源選択回路にて選択された電源線(PLi)に接続するN個の信号増幅素子の内で唯一出力信号選択回路にて選択された出力線(OLj)に接続する信号増幅素子だけが、対象物の表面形状に応じた電流を共通出力線に供給する事に成る。以降同様にして、M本の電源線(PLi)の内の一本が選択された状態にてN本の出力線(OLj)を順次走査して行く事で、M行N列の行列状静電容量検出素子からの信号が順番に共通出力線に供給されて行くのである。具体的には選択された列線(CLj)に接地電圧等の低電圧が保持されている時に出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)のゲートが開き、かつ選択された列線に接続している信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のゲートもそれぞれ開く。さらに選択された電源線(PLi)に接地電圧に対して高電圧が保持されている時にのみ信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域と信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域とのPN接合部に導通が起こる。このようにして選択された列線(CLj)と選択された電源線(PLi)に接続している信号増幅素子のみが対象物の表面形状に応じた電流を出力線(OLj)へと供給し、さらに 共通出力線に供給することで対象物の表面形状の全体像を得る事ができる。さらに対象物が指紋のような個人認証を目的とする場合は、外部に設置されたコントロールICによって特徴点とその周辺の静電容量検出装置のみを選択し、読み出すことで認証に必要な検出時間を短縮することも可能となる。
【0020】
斯様な静電容量検出素子は前述のSUFTLA技術を用いて、プラスティック基板上に形成され得る。単結晶硅素技術に基づく指紋センサはプラスティック上では直ぐに割れて仕舞ったり、或いは十分な大きさを有さぬが為に実用性に乏しい。これに対して本願発明に依る静電容量検出装置は薄膜半導体装置で作られるため、プラスティク基板上に転写でき、プラスティック基板上の静電容量検出素子はプラスティック基板上で指を被うに十分に大きい面積としても静電容量検出素子が割れる心配もなく、プラスティック基板上での指紋センサとして利用し得る。具体的には本願発明により個人認証機能を兼ね備えたスマートカードが実現される。個人認証機能を備えたスマートカードはキャッシュカード(bankcard)やクレジットカード(credit card)、身分証明書(Identity card)等で使用され、此等のセキュリティーレベルを著しく高めた上で尚、個人指紋情報をカード外に流出させずに保護するとの優れた機能を有する。
【0021】
(実施例1)
ガラス基板上に薄膜半導体装置からなる静電容量検出装置を製造した上で、此の静電容量検出装置をSUFTLA技術を用いてプラスティック基板上に転写し、プラスティック基板上に静電容量検出装置を作成した。静電容量検出装置は400行400列の行列状に並んだ静電容量検出素子から構成される。行列部の大きさは20.32mm角の正方形である。
【0022】
基板は厚み400μmのポリエーテルスルフォン(PES)である。信号増幅用MIS型半導体装置も出力信号パスゲート用MIS型半導体装置も、出力信号用シフトレジスタを構成するMIS型半導体装置も、総て同じ断面構造を有する薄膜トランジスタにて作られている。薄膜トランジスタは図4に示すトップゲート型で工程最高温度425℃の低温工程にて作成される。半導体膜はレーザー結晶化にて得られた多結晶硅素薄膜でその厚みは59nmである。又、ゲート絶縁膜は化学気相堆積法(CVD法)にて形成された45nm厚の酸化硅素膜で、ゲート電極は厚み400nmのタンタル薄膜から成る。ゲート絶縁膜を成す酸化硅素膜の比誘電率はCV測定により略3.9と求められた。第一層間絶縁膜と第二層間絶縁膜は原料物質としてテトラエチルオーソシリケート(TEOS:Si(OCH2CH3)4)と酸素とを用いてCVD法にて形成した酸化硅素膜である。第一層間絶縁膜はゲート電極(本実施例では400nm)よりも20%程度以上厚く、第二層間絶縁膜よりも薄いのが望ましい。斯うするとゲート電極を確実に覆って、ゲート電極と第一配線乃至は第二配線との短絡を防止し、同時に第二層間絶縁膜を厚くし得るからである。本実施例では第一層間絶縁膜を500nmとした。第三層間絶縁膜は第二配線と容量検出電極とを分離し短絡を防止して居る。第一配線と容量検出電極とは第二層間絶縁膜と第三層間絶縁膜とによって分離されている。従って第一配線と容量検出電極との間に生ずる寄生容量を最小とし、好感度の静電容量検出装置を実現するには第二層間絶縁膜の誘電率と第三層間絶縁膜の誘電率とは出来る限り小さく、その厚みは出来る限り厚い方が好ましい。而るにCVD法にて積層された酸化硅素膜の総厚みが2μm程度を越えると酸化膜に亀裂が生ずる場合があり、歩留まりの低下をもたらす。従って第一層間絶縁膜と第二層間絶縁膜と第三層間絶縁膜との和は2μm程度以下とする。斯うする事で静電容量検出装置の生産性が向上する。先にも述べた様に第二層間絶縁膜と第三層間絶縁膜とは厚い方が好ましいので、第一層間絶縁膜よりも厚くする。第一層間絶縁膜はゲート電極よりも20%程度以上厚く、第二層間絶縁膜と第三層間絶縁膜とは第一層間絶縁膜よりも厚く、第一層間絶縁膜と第二層間絶縁膜と第三層間絶縁膜との和は2μm程度以下が理想的と言える。本実施例では第二層間絶縁膜の厚みを1μmとした。第一配線と第二配線は何れも500nm厚のアルミニウムより成り、配線幅は5μmである。第一配線に依り共通出力線と出力線が形成され、第二配線にて電源線と出力選択用出力線、及び容量検出電極が形成された。電源線と容量検出電極との間隔は5μmで、出力線と容量検出電極との間隔も矢張り5μmである。本実施例では静電容量検出装置を成す行列のピッチを66.7μmとし、解像度を381dpi(dots per inch)としている。従って容量検出電極は55.0μm×55.0μmの大きさとなる。容量検出誘電体膜は厚み400nmの窒化硅素膜にて形成された。CV測定からこの窒化硅素膜の比誘電率は略7.5であったから、素子容量CDは凡そ574fF(フェムトファラッド)となる。本実施例の静電容量検出装置を指紋センサと想定すると、指紋の凹凸は50μm程度なので、静電容量検出装置表面に指紋の谷が来た時の対象物容量CAは0.54fFと計算される。一方、信号増幅用MIS半導体装置のゲート電極長Lを7μmとし、ゲート電極幅Wを10μmとしたから、トランジスタ容量CTは凡そ53.7fFとなる。斯くして電源電圧Vddを3.3Vとすると、指紋の山が静電容量検出装置表面に接した時に信号増幅用MIS半導体装置のゲート電極に印可される電圧VGTは0.16Vとなり、指紋の谷が来た時に此のゲート電極に印可される電圧VGVは3.22Vとなる。
【0023】
図6には本実施例にて用いたMIS型半導体装置の伝達特性を示す。出力信号用シフトレジスタはCMOS構成とされ、信号増幅用MIS型半導体装置はNMOSトランジスタで形成され、信号転送用MIS型半導体装置と出力信号パスゲート用MIS型半導体装置はPMOSトランジスタにて形成された。この結果、指紋の山が静電容量検出装置表面に接した時に信号増幅素子から出力される電流値は5.6×10−13Aと窮めて微弱となる。反対に指紋の谷が来た時には信号増幅素子から2.4×10−5Aと大きな電流が出力され、指紋等の凹凸情報を精度良く検出するに至った。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述してきた様に、従来の単結晶硅素基板を用いた技術では数mm×数mm程度の小さな静電容量検出装置しかプラスティック基板上に形成出来なかったが、本願発明に依るとその百倍もの面積を有する静電容量検出装置をプラスティク基板上に作成する事が実現し、しかも対象物の凹凸情報を窮めて高精度に検出出来る様になった。その結果、例えばスマートカードのセキュリティーレベルを著しく向上せしめるとの効果が認められる。又、単結晶硅素基板を用いた従来の静電容量検出装置は装置面積の極一部しか単結晶硅素半導体を利用して居らず、莫大なエネルギーと労力とを無駄に費やしていた。これに対し本願発明では斯様な浪費を排除し、地球環境の保全に役立つとの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術に於ける動作原理を説明した図。
【図2】本願発明に於ける動作原理を説明した図。
【図3】本願発明に於ける動作原理を説明した図。
【図4】本願発明の素子構造を説明した図。
【図5】本願発明全体構成を説明した図。
【図6】本実施例にて用いた薄膜半導体装置の伝達特性図。
【発明の属する技術分野】
本願発明は指紋等の微細な凹凸を有する対象物の表面形状を、対象物表面との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り読み取る静電容量検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、指紋センサ等に用いられる静電容量検出装置はセンサ電極と当該センサ電極上に設けられた誘電体膜とを単結晶硅素基板に形成していた(特開平11−118415、特開2000−346608、特開2001−56204、特開2001−133213等)。図1は従来の静電容量検出装置の動作原理を説明している。センサ電極と誘電体膜とがコンデンサの一方の電極と誘電体膜とを成し、人体が接地された他方の電極と成る。このコンデンサーの静電容量CFは誘電体膜表面に接した指紋の凹凸に応じて変化する。一方、半導体基板には静電容量CSを成すコンデンサーを準備し、此等二つのコンデンサーを直列接続して、所定の電圧を印可する。斯うする事で二つのコンデンサーの間には指紋の凹凸に応じた電荷Qが発生する。この電荷Qを通常の半導体技術を用いて検出し、対象物の表面形状を読み取っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら此等従来の静電容量検出装置は当該装置が単結晶硅素基板上に形成されて居る為に、指紋センサとして用いると指を強く押しつけた際に当該装置が割れて仕舞うとの課題を有して居た。
【0004】
更に指紋センサはその用途から必然的に20mm×20mm程度の大きさが求められ、静電容量検出装置面積の大部分はセンサ電極にて占められる。センサ電極は無論単結晶硅素基板上に作られるが、膨大なエネルギーと労力とを費やして作成された単結晶硅素基板の大部分(センサ電極下部)は単なる支持体としての役割しか演じてない。即ち従来の静電容量検出装置は高価なだけでは無く、多大なる無駄と浪費の上に形成されて居るとの課題を有する。更に従来の静電容量検出装置では微少な電荷Qを読む為に検出感度が悪いとの課題も有して居る。電荷Qは誘電体膜の容量にて定まるので、当該装置の保護膜としても機能している誘電体膜を厚くすると、電荷Qは益々小さくなる。換言すれば従来の静電容量検出装置では検出感度をあげると、保護膜(誘電体膜)が薄くなって当該装置の耐久性が悪化するとの課題も有して居る。
【0005】
加えて近年、クレジットカードやキャッシュカード等のカード上に個人認証機能を設けてカードの安全性を高めるべきとの指摘が強い。然るに従来の単結晶硅素基板上に作られた静電容量検出装置は柔軟性に欠ける為に、当該装置をプラスティック基板上に作成し得ないとの課題を有している。
【0006】
そこで本発明は上述の諸事情を鑑み、その目的とする所は安定に動作し、更に製造時に不要なエネルギーや労力を削減し得、又単結晶硅素基板以外にも作成し得る優良な静電容量検出装置とその駆動方法とを提供する事に有る。具体的には検出感度の高い、薄膜半導体装置から成る静電容量検出装置とその駆動方法を提供する事にある。
【0007】
又本発明の別な目的は保護膜を厚くして当該装置の耐久性を改善しても、検出感度が高い優れた静電容量検出装置とその駆動方法とを提供する事にも有る。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置に於いて、静電容量検出装置はN本の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)及びM行N列の行列状に配置されたM本の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)とN本の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、及び各電源線(PLi)と各列線(CLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)とを具備し、此の静電容量検出素子(ECSEij)は信号検出素子(SSEij)と信号増幅素子(SAEij)と信号転送素子(STEij)を含み、信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から成り、信号転送素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)から成る事を特徴とする。更に信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のソース領域は電源線(PLi)に接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域は信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域に接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のゲート電極は列線(CLj)に接続される事をも特徴とする。又、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のソース領域は出力線(OLj)に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域は信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電極は容量検出電極に接続される事をも特徴とする。この時に信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域と信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域とがPN接合ダイオードを形成している事をも特徴とする。
【0009】
本発明は対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置に於いて、静電容量検出装置はN本の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)及びM行N列の行列状に配置されたM本の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)とN本の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、各電源線(PLi)と各列線(CLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)、N本の各出力線(OLj)とN本の各列線(CLj)に接続する出力信号選択回路とを具備し、此の静電容量検出素子(ECSEij)は容量検出電極と容量検出誘電体膜と信号増幅素子(SAEij)と信号転送素子(STEij)とを含み、出力信号選択回路は共通出力線と出力信号用パスゲート(j列目に位置する出力信号用パスゲート(PG−OLj、jは1からN迄の整数)とを含み、信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から成り、信号転送素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜型半導体装置(PSD−STij)から成り、出力信号用パスゲートはゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)から成る事を特徴とする。この際、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のソース領域は電源線(PLi)に接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域は信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域に接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のゲート電極は列線(CLj)に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のソース領域は出力線(OLj)に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域は信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電極は容量検出電極に接続され、出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)のソース領域は出力線(OLj)に接続され、出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGij)のドレイン領域は共通出力線に接続され、出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGij)のゲート電極は列線(CLj)に接続される事をも特徴とする。この時、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域と、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域とがPN接合ダイオードを形成していることをも特徴とする。
【0010】
本発明は対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置の駆動方法に於いて、静電容量検出装置はN本の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)及びM行N列の行列状に配置されたM本の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)とN本の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、各電源線(PLi)と各列線(CLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)とを具備し、此の静電容量検出素子(ECSEij)は信号検出素子(SSEij)と信号増幅素子(SAEij)と信号転送素子(STEij)を含み、信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から成り、信号転送素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)から成り、電源線(PLi)が選択時は高電位に保たれ、電源線(PLi)が非選択時は低電位に保たれる事を特徴とする。
【0011】
本発明は対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置の駆動方法に於いて、静電容量検出装置はN本の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)及びM行N列の行列状に配置されたM本の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)とN本の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、各電源線(PLi)と各列線(CLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)とを具備し、此の静電容量検出素子(ECSEij)は信号検出素子(SSEij)と信号増幅素子(SAEij)と信号転送素子(STEij)を含み、信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から成り、信号転送素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)から成り、列線(CLj)が選択時は低電位に保たれ、列線(CLj)が非選択時は高電位に保たれる事を特徴とする。
【0012】
本発明は対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置の駆動方法に於いて、静電容量検出装置はN本の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)及びM行N列の行列状に配置されたM本の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)とN本の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、各電源線(PLi)と各列線(CLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)とを具備し、此の静電容量検出素子(ECSEij)は信号検出素子(SSEij)と信号増幅素子(SAEij)と信号転送素子(STEij)を含み、信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から成り、信号転送素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)から成り、電源線(PLi)が選択時は高電位に保たれ、電源線(PLi)が非選択時は低電位に保たれ、列線(CLj)が選択時は低電位に保たれ、列線(CLj)が非選択時は高電位に保たれる事を特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置を金属−絶縁膜−半導体膜から成るMIS型薄膜半導体装置にて作成する。薄膜半導体装置は通常硝子基板上に作成される為に、大面積を要する半導体集積回路を安価に製造する技術として知られ、具体的に昨今では液晶表示装置等に応用されている。従って指紋センサ等に適応される静電容量検出装置を薄膜半導体装置にて作成すると、単結晶硅素基板と云った多大なエネルギーを消費して作られた高価な基板を使用する必要がなく、貴重な地球資源を浪費する事なく安価に当該装置を作成し得る。又、薄膜半導体装置はSUFTLA(特開平11−312811やS. Utsunomiya et. al. Society for Information Display p. 916 (2000))と呼ばれる転写技術を適応する事で、半導体集積回路をプラスティック基板上に作成出来るので、静電容量検出装置も単結晶硅素基板から解放されてプラスティック基板上に形成し得るので有る。
【0014】
さて、図1に示すが如き従来の動作原理を適応した静電容量検出装置を薄膜半導体装置にて作成するのは、現在の薄膜半導体装置の技術を以てしては不可能である。二つの直列接続されたコンデンサー間に誘起される電荷Qは非常に小さい為に、高精度感知を可能とする単結晶硅素LSI技術を用いれば電荷Qを正確に読み取れるが、薄膜半導体装置ではトランジスタ特性が単結晶硅素LSI技術程には優れず、又薄膜半導体装置間の特性偏差も大きいが故に電荷Qを精確に読み取れない。そこで本発明の静電容量検出装置はM行N列の行列状に配置されたM本の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)とN本の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、及びN本の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)、各電源線(PLi)と各列線(OLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)とを具備せしめ、此の静電容量検出素子は信号検出素子(SSEij)と信号増幅素子(SAEij)とを含むとの構成とする。信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、容量検出電極には測定すべき静電容量に応じて電圧Vが発生する。本発明ではこの電圧Vを各静電容量検出素子に設けられた信号増幅素子にて増幅し、電流に変換する。具体的には信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から成り、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電極が容量検出電極に接続される。図2に本願発明の動作原理図を示す。基準静電容量CSを持つコンデンサーと、対象物の表面形状に応じて変化する静電容量CFを有するコンデンサーとの間に適当な電圧V0を印可すると、この電圧V0は容量に応じて分割される。こうして発生した電圧Vを信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電位として利用する。此の状態にて薄膜半導体装置のドレイン領域に所定の電圧を印可すると、誘起された電圧Vに応じて薄膜半導体装置のソースドレイン間に流れる電流Iは著しく増幅される。容量検出電極に誘起された電荷Q自体は何処にも流れずに保存されるので、ドレイン電圧を高くしたり或いは測定時間を長くする等で電流Iの測定も容易になり、従って薄膜半導体装置を用いても対象物の表面形状を十分正確に計測出来る様になる。
【0015】
前述の如く本願発明では信号増幅素子として信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)を用いて居る。この場合、静電容量Csを持つコンデンサーを信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)其の物で兼用し得る。即ち静電容量Csに代わる新たな静電容量を信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のトランジスタ容量CTとするので有る。斯うする事で静電容量検出素子から静電容量Csを持つコンデンサーを省略出来、構造が簡素化されると同時に製造工程も容易と化す。加えて図2に描かれて居る二つの電源を共通の電源Vddとして纏める事も静電容量検出装置内に於ける余計な配線を省略し得るとの観点で効果的と言える。斯様な状態に於ける動作原理に関する等価回路図を図3に示す。対象物の表面形状に応じて変化する静電容量CFを有するコンデンサーとトランジスタ容量CTを有するコンデンサーとが直列に接続されて居る。厳密にはトランジスタ容量CTは信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン電極とゲート電極との間に形成される静電容量である。図3の構成を最も簡便に実現させるには信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のソース領域を出力線(OLj)に接続し、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域を電源線(PLi)に接続した上で、電源線(PLi)に電圧Vddを印可し、出力線(OLj)より対象物の表面形状に応じて変化する電流Iを取り出せば良い。但しこうした簡便な素子構造では信号出力に長時間要したり、静電容量検出素子間で情報が干渉するとの課題が生ずるので、本発明では静電容量検出素子に信号転送素子(STEij)として信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)を具備せしめ、電源線(PLi)から信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)を介し信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)へ電圧Vddを印可させる。こうする事で静電容量に応じた信号を短時間に取り出せ、更に静電容量検出素子(ECSEij)間に生ずる情報の干渉を防ぐ事が可能となる。
【0016】
本発明を具現化する静電容量検出素子の構造を図4を用いて説明する。静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)の信号増幅素子(SAEij)を成す信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)と信号転送素子(STEij)を成す信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)はソース領域とチャンネル形成領域とドレイン領域とを含む半導体膜とゲート絶縁膜とゲート電極とを不可欠な構成要件としている。半導体膜には多結晶半導体膜や単結晶半導体膜が用いられる。これらの材質は珪素を主体とし、純珪素(Si)や珪素素とホウ素(B)、燐(P)、ゲルマニウム(Ge)等の混合半導体材料も利用される。図4の構成例では此の信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)と信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)を第一層間絶縁膜が被って居る。信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のソース領域には第一配線が接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のソース電極には第二配線が接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電極には第三配線が接続される。第一配線と第二配線との間には第二層間絶縁膜が設けられ、第一配線と第二配線とを電気的に分離している。静電容量検出素子の信号検出素子を成す容量検出電極は信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電極に第三配線にて接続される。第二配線と容量検出電極との間には第三層間絶縁膜が設けられ、第二配線と容量検出電極とを電気的に分離している。本発明では微少信号を検出することを目的としているために第一配線や第二配線と静電容量検出電極間はできるだけ不要な寄生容量が形成されぬ構造を取っている。具体的には容量検出電極とその最近の下層に位置する配線(図4では第二配線)とを分離する絶縁膜(図4では第三層間絶縁膜)が有する単位面積当たりの静電容量(CID=ε0εID/dID、ε0は真空の誘電率、εIDは分離絶縁膜の比誘電率、dIDは分離絶縁膜の厚さ)と、容量検出誘電体膜が有する単位面積当たりの静電容量(CCD=ε0εCD/dCD、εCDは容量検出誘電体膜の比誘電率、dCDは容量検出誘電体膜の厚さ)との比(CID/CCD=εID・dCD/εCD・d¥DW¥ID)が0.25程度以下となる様にする。こうする事で容量検出電極を30μm×30μm程度まで小さくしても配線容量(図4では第二配線と容量検出電極との寄生容量)を無視し得る程小さく出来、精密な静電容量の検出が可能となる。この関係を満たせば容量検出電極面積が900μm2程度以上有れば高感度の静電容量検出が可能となる。容量検出電極上は容量検出誘電体膜が被い、容量検出誘電体膜は静電容量検出装置の最表面に位置する。容量検出誘電体膜は静電容量検出装置の保護膜の役割も同時に演ずる。
【0017】
次に本発明に依る静電容量検出装置の全体構成を図5を用いて説明する。対象物の表面形状を読み取る静電容量検出装置はM行N列の行列状に配置されたM本(Mは1以上の整数)の電源線(i行目の電源線PLi、iは1からM迄の整数)と、N本(Nは1以上の整数)の出力線(j列目の出力線OLj、jは1からN迄の整数)、N本(Nは1以上の整数)の列線(j列目の列線CLj、jは1からN迄の整数)、及び各電源線(PLi)と各出力線(OLj)との交点に設けられた静電容量検出素子(i行j列に位置する静電容量検出素子ECSEij)とを最小限の構成要素としている。此等に加えて本発明に依る静電容量検出装置はM本の電源線(PLi)に接続する電源選択回路や、N本の出力線(OLj)とN本の列線(CLj)に接続する出力信号選択回路のどちらか一方、或いは両者をも具備して居ても良い。静電容量検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜からなる信号検出素子(SSEij)と信号増幅素子(SAEij)と信号転送素子(STEij)を含み、対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する。静電容量検出素子がM行N列の行列状に配置されているので、対象物の表面形状を読み取るには行と列とを其々順次走査してM×N個の静電容量検出素子を適当な順番に選択して行かねばならない。各静電容量検出素子に如何なる順序にて電源を供給して行くかを定めるのが電源選択回路である。電源選択回路は少なくとも共通電源線と電源用パスゲートとを含んで居り、M本の電源線(PLi)の何れに電源供給するかを選択する。此れとは対照的に各静電容量検出素子から如何なる順序にて検出された信号を読み出すかを定めるのが出力信号選択回路である。出力信号選択回路は少なくとも共通出力線と出力信号用パスゲートとを含んで居り、N本の出力線(OLj)の何れから出力信号を取り出すかとN本の列線(CLj)の何れかに選択信号を供給するかを選択する。
【0018】
本発明では静電容量検出素子内の信号検出素子(SSEij)は容量検出電極と容量検出誘電体膜から成り、信号転送素子(STEij)はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)から構成され、信号増幅素子(SAEij)はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から構成される。又、出力信号用パスゲートもゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)から成る。本願発明では信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のソース領域は電源線(PLi)に接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域は信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域に接続され、信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のゲート電極は列線(CLj)に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のソース領域は出力線(OLj)に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域は信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域に接続され、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のゲート電極は容量検出電極に接続される。(図4ではMIS型薄膜半導体装置のソース領域をS、ドレイン領域をD、ゲート電極をGにて表示して居る。また、PMOSでは電位の高い側をソース、低い側をドレインと定義し、NMOSでは電位の高い側をドレイン、低い側をソースと定義する。)ここで信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域と信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域とはPN接合を形成し、整流素子の役割をすることで信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)から信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)へのみ導通があり、信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)から信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)への導通は起こらない。具体的には、対象物の形状に応じて信号検出素子(SSEij)により検出された電圧Vに対応する電流が出力線から共通出力線へと伝播する際に、電流が静電容量検出素子(ECSEij)の他行上に配置される静電容量検出素子(例えば一行上に位置するECSEi−1j、図5)の信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAi−1j)のソース領域から信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STi−1j)を通り電源線へと流れ込んでいくことをPN接合部で防止することで、検出された電圧Vに対応する電流を正確に共通出力線へと伝えることができる。2行上、3行上と全ての静電容量検出素子(ECSEij)においてもPN接合は同様の役割を果たしている。斯うして電源線(PLi)と出力線(OLj)とは、容量検出電極にて検出された電荷Qに感応するチャンネル形成領域を介在してお互いに接続される。
【0019】
信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のソース領域は電源線(PLi)に接続しているので、選択された電源線(例えばi行目)に接続する信号転送素子の内で列線が選択された(例えばj行列目の)信号転送素子(PSD−STij)に接続されている信号増幅素子へ電源を供給し、信号増幅素子は対象物の表面形状に応じた電流を各出力線(OLj)に供給することになる。本願発明では出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)のソース領域は出力線(OLj)に接続され、出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)のドレイン領域は共通出力線に接続され、出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)のゲート電極は列線(CLj)に接続される。電源線(PLi)が選択時は高電位に保たれ、電源線(PLi)が非選択時は低電位に保たれ、列線(CLj)が選択時は低電位に保たれ、列線(CLj)が非選択時は高電位に保たれる。列線(CLj)は一例として出力信号用シフトレジスタの各出力段となし得るし(図5の場合)、或いは出力信号用シフトレジスタに代わる出力信号用デコーダーの各出力段ともなし得る。出力信号用シフトレジスタはN個の出力段に転送されて来た選択信号を順次供給して行く。又、出力信号用デコーダーはデコーダーへの入力信号に応じてM個の出力段から特定の出力段を選定する。斯うしてN個の出力信号用パスゲートには適時選択信号が入力され、結果としてN本の出力線(OLj)が共通出力線と順次電気的な導通が取られて行く。信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のソース領域は出力線(OLj)に接続しているので、電源選択回路にて選択された電源線(PLi)に接続するN個の信号増幅素子の内で唯一出力信号選択回路にて選択された出力線(OLj)に接続する信号増幅素子だけが、対象物の表面形状に応じた電流を共通出力線に供給する事に成る。以降同様にして、M本の電源線(PLi)の内の一本が選択された状態にてN本の出力線(OLj)を順次走査して行く事で、M行N列の行列状静電容量検出素子からの信号が順番に共通出力線に供給されて行くのである。具体的には選択された列線(CLj)に接地電圧等の低電圧が保持されている時に出力信号パスゲート用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−PGj)のゲートが開き、かつ選択された列線に接続している信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のゲートもそれぞれ開く。さらに選択された電源線(PLi)に接地電圧に対して高電圧が保持されている時にのみ信号転送用P型MIS薄膜半導体装置(PSD−STij)のドレイン領域と信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置(NSD−SAij)のドレイン領域とのPN接合部に導通が起こる。このようにして選択された列線(CLj)と選択された電源線(PLi)に接続している信号増幅素子のみが対象物の表面形状に応じた電流を出力線(OLj)へと供給し、さらに 共通出力線に供給することで対象物の表面形状の全体像を得る事ができる。さらに対象物が指紋のような個人認証を目的とする場合は、外部に設置されたコントロールICによって特徴点とその周辺の静電容量検出装置のみを選択し、読み出すことで認証に必要な検出時間を短縮することも可能となる。
【0020】
斯様な静電容量検出素子は前述のSUFTLA技術を用いて、プラスティック基板上に形成され得る。単結晶硅素技術に基づく指紋センサはプラスティック上では直ぐに割れて仕舞ったり、或いは十分な大きさを有さぬが為に実用性に乏しい。これに対して本願発明に依る静電容量検出装置は薄膜半導体装置で作られるため、プラスティク基板上に転写でき、プラスティック基板上の静電容量検出素子はプラスティック基板上で指を被うに十分に大きい面積としても静電容量検出素子が割れる心配もなく、プラスティック基板上での指紋センサとして利用し得る。具体的には本願発明により個人認証機能を兼ね備えたスマートカードが実現される。個人認証機能を備えたスマートカードはキャッシュカード(bankcard)やクレジットカード(credit card)、身分証明書(Identity card)等で使用され、此等のセキュリティーレベルを著しく高めた上で尚、個人指紋情報をカード外に流出させずに保護するとの優れた機能を有する。
【0021】
(実施例1)
ガラス基板上に薄膜半導体装置からなる静電容量検出装置を製造した上で、此の静電容量検出装置をSUFTLA技術を用いてプラスティック基板上に転写し、プラスティック基板上に静電容量検出装置を作成した。静電容量検出装置は400行400列の行列状に並んだ静電容量検出素子から構成される。行列部の大きさは20.32mm角の正方形である。
【0022】
基板は厚み400μmのポリエーテルスルフォン(PES)である。信号増幅用MIS型半導体装置も出力信号パスゲート用MIS型半導体装置も、出力信号用シフトレジスタを構成するMIS型半導体装置も、総て同じ断面構造を有する薄膜トランジスタにて作られている。薄膜トランジスタは図4に示すトップゲート型で工程最高温度425℃の低温工程にて作成される。半導体膜はレーザー結晶化にて得られた多結晶硅素薄膜でその厚みは59nmである。又、ゲート絶縁膜は化学気相堆積法(CVD法)にて形成された45nm厚の酸化硅素膜で、ゲート電極は厚み400nmのタンタル薄膜から成る。ゲート絶縁膜を成す酸化硅素膜の比誘電率はCV測定により略3.9と求められた。第一層間絶縁膜と第二層間絶縁膜は原料物質としてテトラエチルオーソシリケート(TEOS:Si(OCH2CH3)4)と酸素とを用いてCVD法にて形成した酸化硅素膜である。第一層間絶縁膜はゲート電極(本実施例では400nm)よりも20%程度以上厚く、第二層間絶縁膜よりも薄いのが望ましい。斯うするとゲート電極を確実に覆って、ゲート電極と第一配線乃至は第二配線との短絡を防止し、同時に第二層間絶縁膜を厚くし得るからである。本実施例では第一層間絶縁膜を500nmとした。第三層間絶縁膜は第二配線と容量検出電極とを分離し短絡を防止して居る。第一配線と容量検出電極とは第二層間絶縁膜と第三層間絶縁膜とによって分離されている。従って第一配線と容量検出電極との間に生ずる寄生容量を最小とし、好感度の静電容量検出装置を実現するには第二層間絶縁膜の誘電率と第三層間絶縁膜の誘電率とは出来る限り小さく、その厚みは出来る限り厚い方が好ましい。而るにCVD法にて積層された酸化硅素膜の総厚みが2μm程度を越えると酸化膜に亀裂が生ずる場合があり、歩留まりの低下をもたらす。従って第一層間絶縁膜と第二層間絶縁膜と第三層間絶縁膜との和は2μm程度以下とする。斯うする事で静電容量検出装置の生産性が向上する。先にも述べた様に第二層間絶縁膜と第三層間絶縁膜とは厚い方が好ましいので、第一層間絶縁膜よりも厚くする。第一層間絶縁膜はゲート電極よりも20%程度以上厚く、第二層間絶縁膜と第三層間絶縁膜とは第一層間絶縁膜よりも厚く、第一層間絶縁膜と第二層間絶縁膜と第三層間絶縁膜との和は2μm程度以下が理想的と言える。本実施例では第二層間絶縁膜の厚みを1μmとした。第一配線と第二配線は何れも500nm厚のアルミニウムより成り、配線幅は5μmである。第一配線に依り共通出力線と出力線が形成され、第二配線にて電源線と出力選択用出力線、及び容量検出電極が形成された。電源線と容量検出電極との間隔は5μmで、出力線と容量検出電極との間隔も矢張り5μmである。本実施例では静電容量検出装置を成す行列のピッチを66.7μmとし、解像度を381dpi(dots per inch)としている。従って容量検出電極は55.0μm×55.0μmの大きさとなる。容量検出誘電体膜は厚み400nmの窒化硅素膜にて形成された。CV測定からこの窒化硅素膜の比誘電率は略7.5であったから、素子容量CDは凡そ574fF(フェムトファラッド)となる。本実施例の静電容量検出装置を指紋センサと想定すると、指紋の凹凸は50μm程度なので、静電容量検出装置表面に指紋の谷が来た時の対象物容量CAは0.54fFと計算される。一方、信号増幅用MIS半導体装置のゲート電極長Lを7μmとし、ゲート電極幅Wを10μmとしたから、トランジスタ容量CTは凡そ53.7fFとなる。斯くして電源電圧Vddを3.3Vとすると、指紋の山が静電容量検出装置表面に接した時に信号増幅用MIS半導体装置のゲート電極に印可される電圧VGTは0.16Vとなり、指紋の谷が来た時に此のゲート電極に印可される電圧VGVは3.22Vとなる。
【0023】
図6には本実施例にて用いたMIS型半導体装置の伝達特性を示す。出力信号用シフトレジスタはCMOS構成とされ、信号増幅用MIS型半導体装置はNMOSトランジスタで形成され、信号転送用MIS型半導体装置と出力信号パスゲート用MIS型半導体装置はPMOSトランジスタにて形成された。この結果、指紋の山が静電容量検出装置表面に接した時に信号増幅素子から出力される電流値は5.6×10−13Aと窮めて微弱となる。反対に指紋の谷が来た時には信号増幅素子から2.4×10−5Aと大きな電流が出力され、指紋等の凹凸情報を精度良く検出するに至った。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述してきた様に、従来の単結晶硅素基板を用いた技術では数mm×数mm程度の小さな静電容量検出装置しかプラスティック基板上に形成出来なかったが、本願発明に依るとその百倍もの面積を有する静電容量検出装置をプラスティク基板上に作成する事が実現し、しかも対象物の凹凸情報を窮めて高精度に検出出来る様になった。その結果、例えばスマートカードのセキュリティーレベルを著しく向上せしめるとの効果が認められる。又、単結晶硅素基板を用いた従来の静電容量検出装置は装置面積の極一部しか単結晶硅素半導体を利用して居らず、莫大なエネルギーと労力とを無駄に費やしていた。これに対し本願発明では斯様な浪費を排除し、地球環境の保全に役立つとの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術に於ける動作原理を説明した図。
【図2】本願発明に於ける動作原理を説明した図。
【図3】本願発明に於ける動作原理を説明した図。
【図4】本願発明の素子構造を説明した図。
【図5】本願発明全体構成を説明した図。
【図6】本実施例にて用いた薄膜半導体装置の伝達特性図。
Claims (2)
- 対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、該対象物
の表面形状を読み取る静電容量検出装置に於いて、
該静電容量検出装置は出力線及びM行N列の行列状に配置されたM本の電源線とN本の列線、該電源線と該列線との交点に設けられた静電容量検出素子とを具備し、
該静電容量検出素子は信号検出素子と信号増幅素子と信号転送素子を含み、
該信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、
該信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置であり、
該信号転送素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜半導体装置から成る事を特徴とする静電容量検出装置。 - 対象物との距離に応じて変化する静電容量を検出する事に依り、該対象物
の表面形状を読み取る静電容量検出装置の駆動方法に於いて、
該静電容量検出装置は出力線及びM行N列の行列状に配置されたM本の電源線とN本の列線、該電源線と該列線との交点に設けられた静電容量検出素子とを具備し、
該静電容量検出素子は信号検出素子と信号増幅素子と信号転送素子を含み、
該信号検出素子は容量検出電極と容量検出誘電体膜とを含み、
該信号増幅素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号増幅用N型MIS薄膜半導体装置であり、
該信号転送素子はゲート電極とゲート絶縁膜と半導体膜とから成る信号転送用P型MIS薄膜半導体装置であり、
該電源線が選択時は高電位に保たれ、
該電源線が非選択時は低電位に保たれる事を特徴とする静電容量検出装置の駆動方法。
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JP2003209668A JP2005077105A (ja) | 2003-08-29 | 2003-08-29 | 静電容量検出装置及びその駆動方法 |
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