JP2005072194A - 気化器用分散器、この気化器用分散器を用いたmocvd用気化器、これら気化器用分散器若しくはmocvd用気化器に用いられるロッド、及びキャリアガスの分散方法並びにキャリアガスの気化方法 - Google Patents
気化器用分散器、この気化器用分散器を用いたmocvd用気化器、これら気化器用分散器若しくはmocvd用気化器に用いられるロッド、及びキャリアガスの分散方法並びにキャリアガスの気化方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】特別な固定部品を用いることなくキャリアガスの圧力に拘わらずロッドの飛び出しを防止することができ、しかも、複数の薄膜形成材料を適量配分で合流部で合流させることができる気化器用分散器を提供する。
【解決手段】キャリアガスの搬送経路に沿って形成された穴にその内壁と協働してガス通路35を形成するロッド37が挿入され、ガス通路35内に導入されたキャリアガスに複数の薄膜形成原料を分散させる分散部がガス通路の中途部に配置され、ロッド37の少なくともキャリアガス搬送方向下流側の先端部分が先細りとされると共に穴の内壁がその先端形状に沿って形成され、その合流部によりガス通路35の下流端部に分散部で複数の薄膜形成材料を分散させたキャリアガスが合流される。
【選択図】図1
【解決手段】キャリアガスの搬送経路に沿って形成された穴にその内壁と協働してガス通路35を形成するロッド37が挿入され、ガス通路35内に導入されたキャリアガスに複数の薄膜形成原料を分散させる分散部がガス通路の中途部に配置され、ロッド37の少なくともキャリアガス搬送方向下流側の先端部分が先細りとされると共に穴の内壁がその先端形状に沿って形成され、その合流部によりガス通路35の下流端部に分散部で複数の薄膜形成材料を分散させたキャリアガスが合流される。
【選択図】図1
Description
本発明は、キャリアガスを用いて複数の原料溶液等を気化するための気化器用分散器、この気化器用分散器を用いたMOCVD用気化器、これら気化器用分散器若しくはMOCVD用気化器に用いられるロッド、及びキャリアガスの分散方法並びにキャリアガスの気化方法に関する。
近年、電子デバイスの分野においては、回路の高密度化と共に電子デバイスの一層の小型化および高性能化が望まれており、例えば、トランジスタの組み合わせで情報の記憶動作を行うSRAM(Static Random Access read write Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、或いはトランジスタとキャパシタの組み合わせで情報の記憶動作を行うDRAM(Dynamic Random Access Memory)などのように、電子デバイスの機能を単に回路構成のみで達成するばかりではなく、機能性薄膜等の材料自体の特性を利用してデバイスの機能を実現することが有利になりつつある。
そのため、電子部品に用いられる誘電体材料などの薄膜化が望まれている。このような材料を薄膜化する一つの方法として、CVD法がある。
このCVD法は、PVD法、ゾルゲル法、その他の成膜法に比べて成膜速度が大きく、多層薄膜の製造が容易であるなどの特徴を有している。また、MOCVD法は、有機物を含む化合物を薄膜形成用の原料として用いるCVD法であり、安全性が高く、膜中のハロゲン化物の混入がないなどの利点を有する。
MOCVD法に用いられる原料は、一般的に固体粉末あるいは液体であり、これらの原料を容器に入れ、一般的に減圧中で加熱して原料を気化器で気化させた後、キャリアガスによって薄膜成膜装置内に送り込んでいる。
図8は、このようなMOCVD法の気化システムのシステムブロック図(特許文献1参照)である。
図8において、10は複数の原料溶液等を気化器1へと供給する供給部である。
供給部10は、キャリアガス(例えば、N2又はAr)が充填されたガスボンベ11と、酸素が充填された酸素ボンベ12と、冷却水が貯留された貯水タンク13と、強誘電体薄膜用の原料(例えば、3種類の有機金属錯体としてSr(DPM)2、Bi(C6H5)3、Ta(OC2H5)5)並びに溶剤としてTHF(テトラヒドロフラン)を貯留した複数のリザーブタンク14〜17と、ガスボンベ11と気化器1とに接続されたガス供給管18と、酸素ボンベ12と気化器1とに接続された酸素供給管19と、貯水タンク13と気化器1とに接続された給水管20並びに配水管21と、リザーブタンク14〜17と気化器1とに接続された液体供給管22〜25と、リザーブタンク14〜17とガスボンベ11とに接続された多岐管26とを備えている。
ガス供給管18の経路中にはバルブ18aとマスフローコントローラ18bとが設けられ、酸素供給管19の経路中にはバルブ19aとマスフローコントローラ19bとバルブ19cとが設けられ、給水管20の経路中にはバルブ20aが設けられ、溶剤用の液体供給管22の経路中にはバルブ22aとマスフローコントローラ22bとが設けられ、錯体用の液体供給管23〜25の経路中にはバルブ23a〜25aとマスフローコントローラ23a〜25bとが設けられ、多岐管26の経路中にはバルブ26a〜26dとエアパージ26eとバルブ26fとが設けられている。尚、液体供給管23〜25は、液体供給管22と接続されるように分岐されており、それぞれバルブ23c〜25cが設けられている。
ガスボンベ11に充填されたキャリアガスは、ガス供給管18のバルブ18aを開くことにより、マスフローコントローラ18bに流量制御されて気化器1へと供給される。また、ガスボンベ11に充填されたキャリアガスは、多岐管26のバルブ26f並びにバルブ26a〜26dを開くと共にエアパージ用のバルブ26eの放出状態を閉とすることによりキャリアガスがリザーブタンク14〜17に送り込まれる。これにより、リザーブータンク14〜17内はキャリアガスにより加圧され、貯留された原料溶液はその溶液内に先端が臨んでいる液体供給管22〜25内を押し上げられてマスフローコントロ―ラ22b〜25bにより流量制御された後、気化器1の接続管2〜5に輸送される。
また、同時に、酸素ボンベ12からマスフロ―コントロ―ラ19bで―定流量に制御された酸素(酸化剤)が気化器1へと輸送される。
さらに、給水管20のバルブ20aを開くことにより貯水タンク13内の冷却水が気化器1の内部を循環して気化器1を冷却する。
尚、接続管27〜30は、図示例では気化器1の軸線方向に沿って並設されているが、実際には貯水タンク13からの給水管20又は配水管21と接続される接続管31,32とで放射状に交互に設けられている。
リザーブタンク15〜17内に貯留された原料溶液は、溶剤であるTHFに常温で液体又は固体状の有機金属錯体(Sr(DPM)2、Bi(C6H5)3、Ta(OC2H5)5)を溶解しているため、そのまま放置しておくとTHF溶剤の蒸発によって有機金属錯体が析出し、最終的に固形状になる。従って、原液と接触した液体供給管23〜25の内部がこれによって閉塞されることを防止するため、成膜作業終了後の液体供給管23〜25内及び気化器1内をリザーブタンク14内のTHFで洗浄すればよい。この際の洗浄は、マスフロ―コントローラ13b〜25bの出口側から気化器1までの区間とし、作業終了後にリザーブタンク14内に貯留されたTHFで洗い流すものである。
図7は、気化器1の要部の構成を示す断面図である。この図7において、気化器1は、ガス供給管18が接続される分散器2と、分散器2の下流側に連続して接続された反応管3と、反応管3の周囲を覆うヒータ4とを備えている。
分散器2は、ガス供給管18と同軸上に位置するガス通路5とを有する。このガス通路5の始端上流口5aと終端噴射口5bとの間には、各接続管27〜30の先端が臨んでおり(図では対向配置された接続管28,29のみ図示)、これによりリザーブタンク15〜17内に貯留された原料溶液がこのガス通路5内に供給可能となっている。また、分散器2には、接続管31,32に連通して貯水タンク13内の冷却水が循環するための冷却経路6が形成されている。さらに、分散器2には、ガス供給管18の始端上流口5aよりも上流側に一端が位置すると共に終端噴射口5bに他端が位置するロッド7と、このロッド7の他端を支持するピン8とを備えている。尚、ロッド7の一端はガス供給管18の端部付近に設けられたピン9により保持されている。
このような構成においては、分散器2の内部に穴を貫通し、その穴の軸線と同軸上に位置するように、穴の内径(4.50mm)のよりも小さな外径(4.48mm)を有するロッド7を埋め込む。分散器2とロッド7との間に形成された空間によりガス通路5が形成される。ロッド7はビス9により位置決め状態で保持されている。
尚、ガス通路5の断面幅は0.02mmとなる。この際、ガス通路5の断面幅は、0.005〜0.10mmが好ましい。これは、0.005mm未満では加工が困難であり、0.10mmを超えるとキャリアガスを高速化するために高圧のキャリアガスを用いる必要が生じてしまうからである。
ガス通路5の上流からは、ガス供給管18からキャリアガスが導入される。このキャリアガスには、ガス通路5の中途部に位置する各接続管27〜30の先端から原料溶液が滴下されるため、この原料溶液がガス通路5を通過するキャリアガスに分散される。
これにより、ガス通路5の下流の終端噴射口5bから反応管3に原料溶液を分散したキャリアガスが噴射され、反応管3内を流れる原料溶液を分散したキャリアガスをヒータ4で加熱し気化した後、図示を略する薄膜成膜装置へと送り込まれる。
ところで、上記の如く構成されたMOCVD用気化器にあっては、ロッド7が端なる円柱状のシャフトであるため、キャリアガスの圧力をかけすぎるとロッド7が飛び出すおそれがあるため、キャリアガスの最大圧力を原料溶液の分散制御とは別に制御する必要があった。
また、複数の原料溶液を、その滴下量に応じた配分で反応管3に至る前に分散することができないという問題も生じていた。
本発明は、上記問題を解決するため、特別な固定部品を用いることなくキャリアガスの圧力に拘わらずロッドの飛び出しを防止することができ、しかも、複数の薄膜形成材料を適量配分で気化部に至る前に分散させることができる気化器用分散器、この気化器用分散器を用いたMOCVD用気化器、これら気化器用分散器若しくはMOCVD用気化器に用いられるロッド、及びキャリアガスの分散方法並びにキャリアガスの気化方法を提供することを目的とする。
その目的を達成するため、請求項1に記載の気化器用分散器は、キャリアガスの搬送経路に沿って形成された穴に挿入されて該穴の内壁との協働によりガス通路を形成するロッドと、前記ガス通路の中途部に位置して前記ガス通路内に導入されたキャリアガスに複数の薄膜形成原料を分散させる分散部とを備え、前記ロッドの少なくともキャリアガス搬送方向下流側の先端部分を先細りとすると共に前記穴の内壁をその先端形状に沿わせ、前記ガス通路の下流端部に前記分散部で複数の薄膜形成材料を分散させたキャリアガスを合流させる合流部を設けたことを要旨とする。
請求項2に記載のMOCVD用気化器は、請求項1に記載の気化器用分散器に隣接して前記分散部で複数の薄膜形成材料を分散させたキャリアガスを気化する気化部を設けたことを要旨とする。
請求項3に記載のロッドは、請求項1に記載の気化器用分散器若しくは請求項2に記載のMOCVD用気化器に使用されるロッドであって、前記ロッドの外周には薄膜形成材料と1対1で対応した複数の溝が形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載のロッドは、前記溝は直線状の溝であることを要旨とする。
請求項5に記載のロッドは、前記溝は螺旋状の溝であることを要旨とする。
請求項6に記載のロッドは、前記ロッドに冷却路を形成したことを要旨とする。
請求項7に記載の気化器用分散器は、一面を導入側とし且つ他面を噴射側とするブロック体に前記導入側から前記噴射側に向かって互いに接近する方向に傾斜した複数の貫通穴により複数のガス通路が形成されると共に、該複数のガス通路のそれぞれの中途部に前記ガス通路内へと薄膜形成原料を導入する分散部が設けられていることを要旨とする。
請求項8に記載のMOCVD用気化器は、請求項7に記載の気化器用分散器に隣接して前記分散部で複数の薄膜形成材料を分散させたキャリアガスを気化する気化部を設けたことを要旨とする。
請求項9に記載の気化起用分散器又はMOCVD用気化器は、前記ガス通路よりも内側に冷却路を形成したことを要旨とする。
請求項10に記載のキャリアガスの分散方法は、ガス通路の中途部複数箇所から薄膜形成材料を導入してキャリアガスに前記薄膜形成材料を分散させると共に、前記ガス通路の下流端部に互いに接近する方向に案内される合流部にてキャリアガスを合流させることを要旨とする。
請求項11に記載のキャリアガスの気化方法は、ガス通路の中途部複数箇所から薄膜形成材料を導入してキャリアガスに前記薄膜形成材料を分散させると共に、前記ガス通路の下流端部に互いに接近する方向に案内される合流部にてキャリアガスを合流させた後に気化することを要旨とする。
請求項1に記載の気化器用分散器は、キャリアガスの搬送経路に沿って形成された穴にその内壁と協働してガス通路を形成するロッドが挿入され、ガス通路内に導入されたキャリアガスに複数の薄膜形成原料を分散させる分散部がガス通路の中途部に配置され、ロッドの少なくともキャリアガス搬送方向下流側の先端部分が先細りとされると共に穴の内壁がその先端形状に沿って形成され、その合流部によりガス通路の下流端部に分散部で複数の薄膜形成材料を分散させたキャリアガスが合流されることにより、ロッドのキャリアガス搬送方向下流側の先細り部分がガス通路によって位置決めされるため、部特別な固定部品を用いることなくキャリアガスの圧力に拘わらずロッドの飛び出しを防止することができ、しかも、複数の薄膜形成材料を適量配分で合流部で合流させることができる。
次に、本発明のMOCVD用気化器を図面に基づいて説明する。尚、以下の各実施例において、原料供給システム等の見かけ上のシステム構成は図8に示したものと同一であるため、ここではシステム全体の詳細な説明は省略する。
(実施例1)
図1及び図2は、本発明のMOCVD用気化器の実施例1を示す。図1は本発明のMOCVD用気化器の要部の断面図、図2(A)はロッドの拡大断面図、図2(B)は円錐形状のロッドの断面図、図2(C)は角錐形状のロッドの断面図である。
図1及び図2は、本発明のMOCVD用気化器の実施例1を示す。図1は本発明のMOCVD用気化器の要部の断面図、図2(A)はロッドの拡大断面図、図2(B)は円錐形状のロッドの断面図、図2(C)は角錐形状のロッドの断面図である。
図1において、気化器1は、ガス供給管18が接続される分散器2と、分散器2の下流側に連続して接続された反応管3と、反応管3の周囲を覆うヒータ4とを備えている。なお、反応管3とヒータ4とで気化部を構成している。
分散器2は、ガス供給管18と同軸上に位置するガス通路35を有する。このガス通路35の始端上流口35aと終端噴射口35bとの間には、各接続管27〜30の先端(分散部)が臨んでおり(図では対向配置された接続管28,29のみ図示)、これによりリザーブタンク15〜17内に貯留された原料溶液がこのガス通路35内に供給可能となっている。また、分散器2には、接続管31,32に連通して貯水タンク13内の冷却水が循環するための冷却経路36が形成されている。さらに、分散器2には、始端上流口35aに一端が位置すると共に終端噴射口35bに他端が位置するロッド37を備えている。
ロッド37は、図2(A)に示すように、中途部から終端噴射口35b側に向かって互いに軸心方向に接近するように先細りとされた先端部37aと、ガス通路35を形成するように軸線方向に沿う直線状(又は螺旋状)のガイド溝37bと、貯水タンク13内の冷却水(若しくは別タンクからの液体又は気体)が循環するための冷却経路37cが形成されている。
先端部37aは、図2(B)に示すように、円錐(又は截頭円錐)形状とされており、この先端形状に沿うように分散器2の穴内壁を形成することによりガス通路35が終端噴射口35bで合流(合流部)することとなる。尚、先端部37aは、図2(C)に示すように角錐(又は截頭角錐)形状としても良い。この際、図2(C)では四角錐としているが、ガス通路35の本数、即ち、リザーブータンク14〜17の数に相当する原料溶液(薄膜形成原料)の数に対応した面数の多角錐とすることができる。尚、この場合にはその各面にガイド溝37bが形成されることは勿論である。また、終端噴射口35bを合流部としているが、この合流部は終端噴射口35bよりもキャリアガス搬送方向上流側に設けても良い。
このような構成においては、分散器2の内部に穴を貫通し、その穴に、穴の内径(例えば、4.50mm)と略同一外径のロッド37を挿入すると、ロッド37の先端形状により穴に対してロッド37が位置決めされると同時に分散器2の穴内壁とガイド溝37bとの協働によりガス通路35が形成される。
尚、ガイド溝37bの幅並びに深さは、ガス通路35の断面幅が0.005〜0.10mmとなるように形成されているが、0.10mm以上であってもキャリアガスを高速化するために高圧のキャリアガスを用いたとしても、ロッド37が反応管3に向かってずれることはない。
ガス通路35の上流からは、ガス供給管18からキャリアガスが導入される。このキャリアガスには、ガス通路35の中途部に位置する各接続管27〜30の先端から原料溶液が滴下されるため、この原料溶液がガス通路35を通過するキャリアガスに分散される。
これにより、ガス通路35の下流の終端噴射口35bで合流した後の原料溶液を分散したキャリアガスが反応管3に噴射される。
さらに、その反応管3内を流れる原料溶液を分散したキャリアガスは、ヒータ4で加熱して気化した後、図示を略する薄膜成膜装置へと送り込まれる。
(実施例2)
図3及び図4は、本発明のMOCVD用気化器の実施例2を示す。図3は本発明のMOCVD用気化器の要部の断面図、図4(A)はロッドの拡大断面図、図4(B)は円錐形状のロッドの断面図、図4(C)は角錐形状のロッドの断面図である。
図3及び図4は、本発明のMOCVD用気化器の実施例2を示す。図3は本発明のMOCVD用気化器の要部の断面図、図4(A)はロッドの拡大断面図、図4(B)は円錐形状のロッドの断面図、図4(C)は角錐形状のロッドの断面図である。
図2において、気化器1は、ガス供給管18が接続される分散器2と、分散器2の下流側に連続して接続された反応管3と、反応管3の周囲を覆うヒータ4とを備えている。
分散器2は、ガス供給管18と同軸上に位置するガス通路35を有する。このガス通路35の始端上流口35aと終端噴射口35bとの間には、各接続管27〜30の先端が臨んでおり(図では対向配置された接続管28,29のみ図示)、これによりリザーブタンク15〜17内に貯留された原料溶液がこのガス通路35内に供給可能となっている。また、分散器2には、接続管31,32に連通して貯水タンク13内の冷却水が循環するための冷却経路36が形成されている。さらに、分散器2には、始端上流口35aに一端が位置すると共に終端噴射口35bに他端が位置するロッド47を備えている。
ロッド47は、図4(A)に示すように、終端噴射口35b側に向かって互いに軸心方向に接近するように先細りとされ、ガス通路35を形成するように軸線方向に沿う直線状(又は螺旋状)のガイド溝47bと、貯水タンク13内の冷却水(若しくは別タンクからの液体又は気体)が循環するための冷却経路47cが形成されている。また、ロッド47は、図4(B)に示すように、円錐(又は截頭円錐)形状とされており、この先端形状に沿うように分散器2の穴内壁を形成することによりガス通路35が終端噴射口35bで合流することとなる。なお、ロッド47は、図4(C)に示すように角錐(又は截頭角錐)形状としても良い。この際、図4(C)では四角錐としているが、ガス通路35の本数、即ち、リザーブータンク14〜17の数に相当する原料溶液(薄膜形成原料)の数に対応した面数の多角錐とすることができる。尚、この場合にはその各面にガイド溝47bが形成されることは勿論である。
このような構成においては、分散器2の内部に穴を貫通し、その穴に、穴の内径(例えば、4.50mm)と略同一外径のロッド47を挿入すると、ロッド47の先端形状により穴に対してロッド47が位置決めされると同時に分散器2の穴内壁とガイド溝47bとの協働によりガス通路35が形成される。
尚、ガイド溝47bの幅並びに深さは、ガス通路35の断面幅が0.005〜0.10mmとなるように形成されているが、0.10mm以上であってもキャリアガスを高速化するために高圧のキャリアガスを用いたとしても、ロッド47が反応管3に向かってずれることはない。
ガス通路35の上流からは、ガス供給管18からキャリアガスが導入される。このキャリアガスには、ガス通路35の中途部に位置する各接続管27〜30の先端から原料溶液が滴下されるため、この原料溶液がガス通路35を通過するキャリアガスに分散される。
これにより、ガス通路35の下流の終端噴射口35bで合流した後の原料溶液を分散したキャリアガスが反応管3に噴射される。
さらに、その反応管3内を流れる原料溶液を分散したキャリアガスは、ヒータ4で加熱して気化した後、図示を略する薄膜成膜装置へと送り込まれる。
(実施例3)
図5及び図6は、本発明のMOCVD用気化器の実施例3を示す。図5は本発明のMOCVD用気化器の要部の断面図、図5は要部の拡大断面図である。
図5及び図6は、本発明のMOCVD用気化器の実施例3を示す。図5は本発明のMOCVD用気化器の要部の断面図、図5は要部の拡大断面図である。
図5において、気化器1は、ガス供給管18が接続される分散器2と、分散器2の下流側に連続して接続された反応管3と、反応管3の周囲を覆うヒータ4とを備えている。
分散器2は、ガス供給管18と同軸上に位置するガス通路35を有する。このガス通路35の始端上流口35aと終端噴射口35bとの間には、各接続管27〜30の先端が臨んでおり(図では対向配置された接続管28,29のみ図示)、これによりリザーブタンク15〜17内に貯留された原料溶液がこのガス通路35内に供給可能となっている。また、分散器2には、接続管31,32に連通して貯水タンク13内の冷却水が循環するための冷却経路36が形成されている。
ガス通路35は、図6に示すように、終端噴射口35b側に向かって互いに軸心方向に接近するように傾斜した穴により形成されている。尚、各穴よりも内側には、貯水タンク13内の冷却水(若しくは別タンクからの液体又は気体)が循環するための冷却経路を形成することも可能である(図示せず)。なお、ガス通路35は、リザーブータンク14〜17の数に相当する原料溶液(薄膜形成原料)の数に対応した本数だけ形成されている。
このような構成においては、分散器2にガス通路35となる穴を傾斜状態で貫通させるだけで良い。尚、ガス通路35の断面幅は0.005〜0.10mmとなるように形成されている。
ガス通路35の上流からは、ガス供給管18からキャリアガスが導入される。このキャリアガスには、ガス通路35の中途部に位置する各接続管27〜30の先端から原料溶液が滴下されるため、この原料溶液がガス通路35を通過するキャリアガスに分散される。
これにより、ガス通路35の下流の終端噴射口35bで合流した後の原料溶液を分散したキャリアガスが反応管3に噴射される。
さらに、その反応管3内を流れる原料溶液を分散したキャリアガスは、ヒータ4で加熱して気化した後、図示を略する薄膜成膜装置へと送り込まれる。
1…気化器
2…分散器
3…反応管
4…ヒータ
35…ガス通路
35a…始端上流口
35b…終端噴射口(合流部)
36…冷却通路
37、47…ロッド
2…分散器
3…反応管
4…ヒータ
35…ガス通路
35a…始端上流口
35b…終端噴射口(合流部)
36…冷却通路
37、47…ロッド
Claims (11)
- キャリアガスの搬送経路に沿って形成された穴に挿入されて該穴の内壁との協働によりガス通路を形成するロッドと、前記ガス通路の中途部に位置して前記ガス通路内に導入されたキャリアガスに複数の薄膜形成原料を分散させる分散部とを備え、
前記ロッドの少なくともキャリアガス搬送方向下流側の先端部分を先細りとすると共に前記穴の内壁をその先端形状に沿わせ、前記ガス通路の下流端部に前記分散部で複数の薄膜形成材料を分散させたキャリアガスを合流させる合流部を設けたことを特徴とする気化器用分散器。 - 請求項1に記載の気化器用分散器に隣接して前記分散部で複数の薄膜形成材料を分散させたキャリアガスを気化する気化部を設けたことを特徴とするMOCVD用気化器。
- 請求項1に記載の気化器用分散器若しくは請求項2に記載のMOCVD用気化器に使用されるロッドであって、
前記ロッドの外周には薄膜形成材料と1対1で対応した複数の溝が形成されていることを特徴とするロッド。 - 前記溝は直線状の溝であることを特徴とする請求項3に記載のロッド。
- 前記溝は螺旋状の溝であることを特徴とする請求項3に記載のロッド。
- 前記ロッドに冷却路を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載のロッド。
- 一面を導入側とし且つ他面を噴射側とするブロック体に前記導入側から前記噴射側に向かって互いに接近する方向に傾斜した複数の貫通穴により複数のガス通路が形成されると共に、該複数のガス通路のそれぞれの中途部に前記ガス通路内へと薄膜形成原料を導入する分散部が設けられていることを特徴とする気化器用分散器。
- 請求項7に記載の気化器用分散器に隣接して前記分散部で複数の薄膜形成材料を分散させたキャリアガスを気化する気化部を設けたことを特徴とするMOCVD用気化器。
- 前記ガス通路よりも内側に冷却路を形成したことを特徴とする請求項7に記載の気化起用分散器又は請求項8に記載のMOCVD用気化器。
- ガス通路の中途部複数箇所から薄膜形成材料を導入してキャリアガスに前記薄膜形成材料を分散させると共に、前記ガス通路の下流端部に互いに接近する方向に案内される合流部にてキャリアガスを合流させることを特徴とするキャリアガスの分散方法。
- ガス通路の中途部複数箇所から薄膜形成材料を導入してキャリアガスに前記薄膜形成材料を分散させると共に、前記ガス通路の下流端部に互いに接近する方向に案内される合流部にてキャリアガスを合流させた後に気化することを特徴とするキャリアガスの気化方法。
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