JP2005071855A - マグネトロン - Google Patents
マグネトロン Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005071855A JP2005071855A JP2003301378A JP2003301378A JP2005071855A JP 2005071855 A JP2005071855 A JP 2005071855A JP 2003301378 A JP2003301378 A JP 2003301378A JP 2003301378 A JP2003301378 A JP 2003301378A JP 2005071855 A JP2005071855 A JP 2005071855A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetron
- filament coil
- secondary recrystallized
- coil
- filament
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Microwave Tubes (AREA)
Abstract
【課題】フィラメントコイルの変形を防止し、長寿命かつ安定して発振できるマグネトロンを提供する。
【解決手段】陽極と陰極とを有するマグネトロンにおいて、トリウム1%含有タングステンのコイルを、マグネトロンに組み込まれる前の部品の状態で、2100℃の還元炉内で10分間加熱して2次再結晶化し、フィラメントコイル全域に亘って、2次再結晶粒が、長手方向2次再結晶粒長Lと、径方向2次再結晶粒長Wとの比L/Wが平均して6以上となるようにしたフィラメントコイルを用いたマグネトロン。
【選択図】 図2
【解決手段】陽極と陰極とを有するマグネトロンにおいて、トリウム1%含有タングステンのコイルを、マグネトロンに組み込まれる前の部品の状態で、2100℃の還元炉内で10分間加熱して2次再結晶化し、フィラメントコイル全域に亘って、2次再結晶粒が、長手方向2次再結晶粒長Lと、径方向2次再結晶粒長Wとの比L/Wが平均して6以上となるようにしたフィラメントコイルを用いたマグネトロン。
【選択図】 図2
Description
本発明は、マグネトロンに係り、特に陰極のフィラメントコイルに関する。
従来、マグネトロンに使用されるフィラメントコイルは、一般的に部品を製品に組み込む製造段階で通電加熱が行われ、図7に示すように、表面に炭化タングステンの炭化層が形成される。この炭化処理により、フィラメントコイルから電子が放出されやすくなる(特許文献1参照)。一方、マグネトロンでは陰極と陽極との距離が一定であることが必要であるため、陰極としてのフィラメントコイルと、陽極としての板状ベインとの距離が変化しないことが重要である。
しかしながら、上記従来の技術では、フィラメントコイルの両端を金属材料のエンドハットで固定した状態で通電加熱しており、両端部では熱が発散して加熱温度が低くなるため、フィラメントコイルの組成が全域に亘って均一にならず、また結晶粒の大きさも小さい。このため、マグネトロンの動作状態によってはフィラメントの温度が上昇し、変形やサグ(たわみ)等が発生しやすく、ベインとの距離を変化させる結果、マグネトロンが著しく劣化し、短寿命化を招く恐れがある。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、フィラメントコイルの変形を防止し、長寿命であり、かつ、安定して発振できるマグネトロンを提供することを目的としている。
本発明のマグネトロンは、陽極と陰極とを有するマグネトロンにおいて、前記陰極に、2次再結晶化したフィラメントコイルを用いたものである。この構成により、フィラメントコイルは変形しにくい組成となるため、このフィラメントコイルを用いたマグネトロンは、結果として、長寿命となり、かつ、安定して発振できる。
また、本発明のマグネトロンは、前記フィラメントコイルを1900℃〜2200℃の温度条件で加熱処理したものである。この構成により、フィラメントコイルは変形しにくい組成となるため、このフィラメントコイルを用いたマグネトロンは、結果として、長寿命となり、かつ、安定して発振できる。
さらに、本発明のマグネトロンは、前記フィラメントコイルが、全域に亘って、前記フィラメントコイルの長手方向断面において、2次再結晶粒の長手方向2次再結晶粒長Lと、径方向2次再結晶粒長Wとの比L/Wが平均して6以上であるものである。この構成により、フィラメントコイルは変形しにくい組成となるため、このフィラメントコイルを用いたマグネトロンは、結果として、長寿命となり、かつ、安定して発振できる。
本発明によれば、フィラメントコイルの変形を防止し、長寿命であり、かつ、安定して発振できるマグネトロンを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態のマグネトロンの部分断面図である。同図に示すように、本実施形態のマグネトロンは、陽極筒体1と、陽極筒体1の内周面に固着され、かつ、中心軸の周りに放射状に配置された複数の板状ベイン2と、これらの板状ベイン2を1枚おきに電気的に接続する複数個の均圧リング3と、複数枚の板状ベイン2の1枚に固着されたマイクロ波放出用アンテナ4と、複数枚の板状ベイン2の中心軸に向かう面で形成される略円筒の中央部に位置し、電子を放出する陰極5とを備える。また、陰極5は、後述するフィラメントコイル51と、フィラメントコイル51の上下端をそれぞれ固定するためのエンドハット52,53と、エンドハット52,53をそれぞれ支持するリード線54,55とを有する。
図2は、本発明のマグネトロンに用いられるフィラメントコイルの長手方向断面図である。フィラメントコイル51は、トリウム1%含有タングステンのコイルを、マグネトロンに組み込まれる前の部品の状態で、2100℃の還元炉内で10分間加熱して2次再結晶化し、フィラメントコイル全域に亘って、2次再結晶粒が、長手方向2次再結晶粒長Lと、径方向2次再結晶粒長Wとの比L/Wが平均して6以上となるようにしたものである。この処理により、フィラメントコイルは、変形やサグ(たわみ)を起こしにくい組成となる。したがって、このフィラメントコイルを用いたマグネトロンは、長寿命となり、かつ、安定して発振できる。
本発明は、陽極と陰極とを有するマグネトロンにおいて、陰極のフィラメントコイルを加熱処理して2次再結晶化したマグネトロンに関するものであるが、以下、フィラメントコイルの加熱条件を変化させた場合について説明する。
図3は、フィラメントコイルの加熱温度をそれぞれ(a)1800℃、(b)2100℃、(c)2400℃とした場合の2次再結晶粒の観察図である。なお、フィラメントコイルの加熱処理は、前述したように、各温度に保たれた還元炉内で10分間行うものとする。図3(a)(1800℃で加熱処理)では、2次再結晶が全域に亘って形成されていないことが分かる。図3(b)(2100℃で加熱処理)では、全域に亘って2次再結晶化されており、2次再結晶粒の長手方向2次再結晶粒長Lと径方向2次再結晶粒長Wとの比L/Wが平均して6以上となっている。図3(c)(2400℃で加熱処理)では、2次再結晶粒が粗大化していることが分かる。
図4は、図3に示す各フィラメントコイルを用いたマグネトロンの寿命試験の結果を示す図である。この寿命試験は、フィラメントコイルの温度が高くなる条件下で行ったものである。図4は、各加熱温度において、その加熱温度で加熱処理した複数のフィラメントコイルの寿命試験結果及びそれらの平均値をプロットしたものである。同図から、マグネトロンの寿命は、2100℃で加熱処理したフィラメントコイルを用いた場合に最も長くなることが分かる。
図5は、フィラメントコイルの長手方向2次再結晶粒長Lと、径方向2次再結晶粒長Wとの比L/Wの平均値を変化した場合の、マグネトロンの寿命試験の結果を示す図である。同図から、比L/Wの平均値が4である場合はマグネトロンの寿命が約750時間であり、比L/Wの平均値が5である場合は約1200時間であるのに対して、比L/Wの平均値が6以上である場合はマグネトロンの寿命が約1500時間以上と長寿命となることが分かる。
図6は、フィラメントコイルの加熱処理条件を変化させた場合の2次再結晶粒の観察図である。ここでは、線径φ0.5mmのマグネトロン用1%トリウム添加タングステンコイルを、水素気流中で通電加熱処理した。詳細な加熱処理条件を表1に示す。
表1に示す保持時間とは、目標とする加熱処理温度(目標温度)に達した時から、この温度を保持した時間のことである。また、表1に示すクイックアップとは、目標温度まで一気に昇温させることを意味する。クイックアップの場合、実際には、通電開始後5秒以内で目標温度に到達する。なお、通電開始から目標温度に達するまでの時間を昇温時間という。
表1のTEST1〜6に示す各条件で加熱処理したフィラメントコイルの長手方向断面図を図6の(a)〜(f)にそれぞれ示す。同図から、2400℃で加熱した場合、2次再結晶粒の粗大化が見られることが分かる。また、加熱処理温度が同一の場合、図6(a)〜(c)に示すように、保持時間を変化させても2次再結晶粒の大きさに大きな変化は見られないのに対し、図6(b)及び(d)に示すように、クイックアップした場合は、クイックアップしなかった場合に比べて2次再結晶粒の大きさが小さくなる。つまり、加熱処理温度が同一の場合、加熱時間(=昇温時間+保持時間)は極端に短かい場合を除いて2次再結晶粒の大きさに影響せず、保持時間よりも昇温速度の方が2次再結晶粒の大きさに大きく影響すると考えられる。
以上説明したように、2100℃で加熱して2次再結晶化したフィラメントコイルは、変形やサグを起こしにくい組成となる。したがって、このようなフィラメントコイルを用いたマグネトロンは、フィラメントコイルの温度が高くなるような過酷な使用環境においても、長寿命であり、かつ、安定して発振することができる。
なお、フィラメントコイルの加熱温度が2100℃の場合にマグネトロンの寿命が最も長くなるが、フィラメントコイルの加熱温度は1900℃〜2200℃であってもよい。また、フィラメントコイルの組成成分の変化に応じて、加熱条件は多少異なる。
また、フィラメントコイルの加熱処理は、外部加熱でもよいし、通電加熱でもよい。外部加熱の場合はコイル全体が均一に加熱されるが、通電加熱の場合は、コイルの両端の加熱温度が低くなってしまうため、両端部を除いた中央部を使用するとよい。
また、上述したように2次再結晶化したフィラメントコイルをマグネトロンに組み込んだ後、通電加熱によって炭化処理してもよい。
本発明のマグネトロンは、フィラメントコイルの変形を防止し、長寿命であり、かつ、安定して発振できる効果を有し、電子レンジ用や産業用のマグネトロン等に有用である。
1 陽極筐体
2 板状ベイン
3 均圧リング
4 マイクロ波放出用アンテナ
5 陰極
51 フィラメントコイル
52,53 エンドハット
54,55 リード線
L 長手方向2次再結晶粒長
W 径方向2次再結晶粒長
2 板状ベイン
3 均圧リング
4 マイクロ波放出用アンテナ
5 陰極
51 フィラメントコイル
52,53 エンドハット
54,55 リード線
L 長手方向2次再結晶粒長
W 径方向2次再結晶粒長
Claims (3)
- 陽極と陰極とを有するマグネトロンにおいて、
前記陰極に、2次再結晶化したフィラメントコイルを用いたマグネトロン。 - 請求項1記載のマグネトロンであって、
前記フィラメントコイルを1900℃〜2200℃の温度条件で加熱処理したマグネトロン。 - 請求項1又は2記載のマグネトロンであって、
前記フィラメントコイルは、全域に亘って、前記フィラメントコイルの長手方向断面において、2次再結晶粒の長手方向2次再結晶粒長Lと、径方向2次再結晶粒長Wとの比L/Wが平均して6以上であるマグネトロン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003301378A JP2005071855A (ja) | 2003-08-26 | 2003-08-26 | マグネトロン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003301378A JP2005071855A (ja) | 2003-08-26 | 2003-08-26 | マグネトロン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005071855A true JP2005071855A (ja) | 2005-03-17 |
Family
ID=34406020
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003301378A Withdrawn JP2005071855A (ja) | 2003-08-26 | 2003-08-26 | マグネトロン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005071855A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022063942A1 (en) * | 2020-09-23 | 2022-03-31 | Elekta Limited | Magnetron maintenance |
-
2003
- 2003-08-26 JP JP2003301378A patent/JP2005071855A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022063942A1 (en) * | 2020-09-23 | 2022-03-31 | Elekta Limited | Magnetron maintenance |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1505627B1 (en) | Magnetron | |
US20110051898A1 (en) | Electron emitter and method of making same | |
JP4725389B2 (ja) | 高圧放電ランプ | |
EP2175472A1 (en) | Electron source | |
JP4426904B2 (ja) | タングステン線状材およびその製造方法 | |
WO2017131895A1 (en) | Dual material repeller | |
JP2003007432A (ja) | セラミックスヒータ | |
CN1838373A (zh) | 超高压水银灯 | |
JP2005071855A (ja) | マグネトロン | |
US8471473B2 (en) | Arc tube for discharge lamp device | |
EP2337060B1 (en) | Electrode structures for discharge lamps | |
US20090289550A1 (en) | High-pressure mercury discharge lamp | |
US2488716A (en) | Electric high-pressure discharge tube | |
JP3267212B2 (ja) | 高圧放電ランプ用電極とその製造方法 | |
JPWO2019107113A1 (ja) | エミッタ、それを用いた電子銃、それを用いた電子機器、および、その製造方法 | |
JP2005209539A (ja) | マグネトロン | |
CN109585259B (zh) | 放电灯及其制造方法、放电灯用电极及其制造方法 | |
JP4209933B2 (ja) | 放電灯用電極およびその製造方法、ならびに放電灯 | |
JPH0696679A (ja) | M型電子管用陰極 | |
JP2005056725A (ja) | MoSi2製発熱体及び同発熱体の製造方法 | |
JP6959103B2 (ja) | マグネトロンカソード | |
JP7129311B2 (ja) | マグネトロン | |
JP2009224205A (ja) | トリウムタングステン陰極の製造方法、トリウムタングステン陰極、熱陰極装置 | |
RU2373602C1 (ru) | Катод прямого накала | |
RU2427940C1 (ru) | Плазменный эмиттер электронов |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20051004 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20060325 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070731 |