JP2005071788A - アルカリ電池 - Google Patents

アルカリ電池

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Abstract

【課題】電極を薄いものとしながらも出力特性をはじめとした電池特性に優れ、電池性能を低下させることがなく、セパレータを薄いものとしながらも内部短絡を生じることのないアルカリ電池を提供することを目的とする。
【解決手段】負極と、ポリオレフィン製不織布からなる厚さが50μm以上110μm以下のセパレータと、エンボス加工によって凹凸部が形成された開孔度20%以下のパンチングメタルからなる電極用基材の凹部に電極用活物質が充填され、該基材の凸部は表面が露出した状態又は活物質が付着した状態であるニッケル極と、を具備したアルカリ電池。
【選択図】図1


Description

本発明は、アルカリ電池とくに高出力用ニッケル−水素電池の正極板およびセパレータに関する。
近年、携帯用、移動用、据置き用等に用いられるアルカリ電池に対して、高性能、高安全性、優れた長期貯蔵性等、高品質化の追求が進んでいる。特に、最近注目されているハイブリッド車や電動工具などには高出力が要求され、これに用いられるアルカリ電池にも高出力、高エネルギー密度のものとすることが求められている。
アルカリ電池を高出力、高エネルギー密度のものとするには、原理的には電極の厚さを薄くし、セパレータについても薄くすることで達成できる。しかしながら、電極の厚さを薄くすること及びセパレータの厚さを薄くすることについては、それぞれ次に述べるような問題点があった。
先ず、電極に係る問題点について説明する。例えば、ニッケル水素電池は、正極としてニッケル極を用い、負極として水素を吸蔵・放出できる合金を充填した水素極が用いられている。負極には、主にパンチングメタルからなる芯材に水素吸蔵合金粉末を含むペーストを塗布し、加圧して得られた電極が用いられている。一方、正極のニッケル極については、活物質である水酸化ニッケルをコバルト化合物で被覆して導電性を向上させる等の改良がなされているが、それでも負極の活物質である金属と比較すると導電性が劣るものである。このため、ニッケル極においては、焼結体や発泡状多孔体に活物質を充填した三次元構造とすることによって、性能の向上が図られており、焼結体からなる基材や発泡状多孔体について、種々の改良がなされている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
これに対し、ニッケル極用基材として、負極と同様にパンチングメタル等の二次元構造の基材を用いればニッケル極の低価格化が可能と考えられる(例えば、下記特許文献4参照)。この場合、きわめて薄い電極とすれば、活物質と基板との距離が短くなって利用率や出力の低下が少なくなり、実用化が可能と思われる。しかしながら、薄形化に限界があるために、利用率を向上させるために優れた導電剤が必要であり、また長寿命化のために優れた結着剤が必要であり、二次元構造の基材を用いたニッケル極は、いまだ十分な性能を発揮するには至っていない。
ところで、ニッケルカドミウム電池のカドミウム極やニッケル水素電池の合金負極などアルカリ電池の負極に実用化されているペースト式電極は、通常、パンチングメタル、スクリーン等の二次元構造の基材を用い、これに活物質ペーストを塗着させた状態で、一定間隔を有するスリット間を通過させてペーストの表面を平滑化し、その後、乾燥し、加圧して製造されている。この場合、スリットの間隔については、ペーストを塗着させた基材を通過させる必要があるため、例えば、厚さ50μm程度のパンチングメタルを基材とする場合には、0.3mm程度にスリット間隔を設定し、この間を通過させた後、加圧して電極の厚さ調整して、所望の厚さの電極を形成している。このように、従来のペースト式電極の製造方法では、基材の厚さより間隔を大きくしたスリット間を通過させる方法が一般的である。このため、ペーストの水分の影響やスリットによる平滑性の精度に問題があり、大量生産の場合に電極間にバラツキが発生し、これが容量や出力の不均一性の原因となるケースが多い。
このような方法でアルカリ電池の正極に用いるニッケル極を作製しようとした場合、水酸化ニッケル等の導電性の低い活物質を用いると、ニッケル極の表面部分に存在する基材から離れた部分の活物質層の利用率が低くなるという欠点があり、更に、充放電で活物質の脱落が生じやすく、電極寿命が短くなるという問題点もある。
次に、セパレータに係る問題点について説明する。セパレータは電気化学反応に寄与しない電池材料であるので、電池中に多くを占めればそれだけ電池容量は低下し、出力も低下する。従って、セパレータは基本的には薄いほど好ましい。しかしながら、現実には、厚さ110〜170μm程度、特に厚さ120〜150μmのポリオレフィン不織布が用いられており、これより薄いものは用いられていない。これは次のような理由による。
不織布のような構造のセパレータでは、薄くすると強度が低下し、上記したような焼結体や発泡状多孔体に活物質を充填した三次元構造の電極と組み合わせると、短絡の危険性が生じる。そこで、薄くしても充分な強度を有するためには、目付け重量を増すことが挙げられる。ところが、目付け重量を増すことは多孔度を低下させることを意味する。ここに、ポリオレフィン等の耐アルカリ性の樹脂は絶縁性であり、イオン伝導性を有さないので、多孔度の低下により抵抗が増加し、高出力の電池とすることができない。アルカリ電池において、イオン導電性が良好であることは重要である。特に、過充電時に正極から発生する酸素がセパレータ中を通過することは、ノイマン方式の負極でのガス吸収による過充電での電池からのガス漏れや漏液防止に不可欠である。この観点からも、多孔度を低下させることの問題点は大きい。ちなみに、従来のアルカリ電池に用いられている厚さ120〜150μmのポリオレフィン不織布セパレータは、目付け量が35〜50g/m2程度であり、多孔度は40〜60%程度とされている。
ところで、市販電池のセパレータに用いられているポリオレフィン不織布は疎水性であるため、親水処理されている。親水処理の方法としては、界面活性剤や無機粉体の添加、スルフォン基などのイオン交換基の導入、フッ素ガス処理等が提案されている。
特開平5−62686号公報 特開平11−176450号公報 特開平11−176451号公報 特開平7−94181号公報
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、電極を薄いものとしながらも出力特性をはじめとした電池特性に優れ、電池性能を低下させることがなく、セパレータを薄いものとしながらも内部短絡を生じることのないアルカリ電池を提供することを目的とする。
(1)負極と、ポリオレフィン製不織布からなる厚さが50μm以上110μm以下のセパレータと、エンボス加工によって凹凸部が形成された開孔度20%以下のパンチングメタルからなる電極用基材の凹部に電極用活物質が充填され、該基材の凸部は表面が露出した状態又は活物質が付着した状態であるニッケル極と、を具備したアルカリ電池。
(2)前記セパレータは、目付け量が35g/m2以上50g/m2以下である上記(1)記載のアルカリ電池。
(3)前記電極用基材の凸部に付着した活物質の量が、全活物質充填量の10重量%以下である上記(1)又は(2)記載のアルカリ電池。
(4)前記電極用基材に活物質を充填後、該基材表面に付着した活物質を除去して得られる、該基材の凸部の表面が露出した状態である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のアルカリ電池。
(5)前記電極用基材が、機械的にエンボス加工してパンチングメタルに凹凸部が形成されたものである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のアルカリ電池。
(6)前記パンチングメタルの開孔度が5〜15%である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のアルカリ電池。
(7)前記パンチングメタルの厚さが20〜50μm、エンボス加工によって凹凸部が形成された電極用基材の見掛けの厚さが0.2〜0.5mm、該基材の単位面積当たりの重量が200〜500g/m2である上記(1)〜(6)のいずれかに記載のアルカリ電池。
(8)前記ニッケル極の厚さが150μm〜250μmである上記(1)〜(7)のいずれかに記載のアルカリ電池。
(9)前記電極用活物質が、表面がコバルト化合物で被覆された球状の水酸化ニッケルである上記(1)〜(8)のいずれかに記載のアルカリ電池。
本発明電池に用いるニッケル極は、その電極用基材として、エンボス加工によって凹凸部が形成されたパンチングメタルを用いる。このような電極用基材の製造方法については、特に限定的ではないが、例えば、薄板状の金属材料を用い、パンチングメタル加工可能な成型用型とエンボス構造に成型するための型を用い、機械的に加工して製造することが好ましい。機械的加工によってパンチングメタル化とエンボス加工を行う場合には、精度良く加工することができ、基材の厚さや凹部を容易に均一に製造できるので、ニッケル極用活物質充填時の部分的なバラツキが大幅に減少して高性能の電極とすることができる。
このような本発明に係るニッケル極は、基板が二次元又は疑似三次元構造であるので、従来の焼結体、発泡状多孔体あるいは繊維からなる三次元構造の基板を用いた場合に比べて、セパレータの面方向に対する垂直方向の力が顕著に非局在化される。従って、薄いセパレータを用いても、目付重量を増やすことなく、内部短絡の発生を顕著に抑止できる。本発明によれば、目付重量をさらに減らしても、内部短絡を起こすことがなく、電池特性をより向上できる。
電極用基材の材質については、特に限定はなく、例えば、ニッケル板やニッケルめっきを施した鉄板等の金属板を用いることができる。
電極用基材を形成するためのパンチングメタルの厚さについても、特に限定はなく、機械的加工を容易に行うことができる厚さであれば良く、例えば、15〜60μm程度、好ましくは、20〜50μmとすればよい。
前記パンチングメタルとしては、開孔度20%程度以下、好ましくは5〜15%程度のものを用いることが好ましい。従来用いられている汎用のパンチングメタルの開孔度は40〜60%程度であり、開孔度を大きくして、基材両面の活物質層をこの孔の部分で結合することで活物質の基材への付着力を高めている。本発明では、エンボス加工によってパンチングメタルに凹凸部を形成し、活物質の大部分を凹部に充填することにより、活物質と基材との接触面積が増加し、これにより活物質の基材への付着力を向上させることができる。その結果、20%以下という開孔度の少ないパンチングメタルを用いる場合であっても、充分な結合力を得ることができ、基材と活物質との接触面積が大きくなって、利用率及び電位を向上させることができる。
パンチングメタルの孔径については特に限定はないが、通常、0.1〜1mm程度とすれば良く、0.3〜0.8mm程度とすることが好ましい。エンボス加工によって形成する凹凸部の大きさについては、特に限定は無く、活物質を充填できる程度の凹凸部が交互に形成されていればよい。例えば、凹部と凹部の間隔、即ち、凹部の幅を0.5〜1.5mm程度とすればよい。
パンチングメタル基材にエンボス加工を施した後の基材の見掛け厚さについては、特に限定はないが、例えば、0.2〜0.5mm程度とすればよい。また、基材の単位面積あたりの重量については、通常、200〜500g/m2程度とすればよい。基材は、全体として面状であればよく、電極の使用形態に応じて平面状や曲面状とすることができる。
本発明電池に用いるニッケル極は、上記した構造の基材の凹部にニッケル用活物質が充填され、該基材の凸部は表面が露出した状態又は活物質が付着した状態としたものである。このような構造のニッケル極を製造するには、まず、ニッケル用活物質を含むペーストを電極用基材の凹部を含む全体に十分に塗着させる。
活物質を含むペースト自体は、従来からペーストを塗着させて形成される電極、いわゆるペースト式電極において使用されているペーストと同様のものを使用できる。例えば、活物質としては、水酸化ニッケルを用いることができる。特に、表面にオキシ水酸化コバルトなどのコバルト化合物を被覆した球状の水酸化ニッケルが、利用率や放電率に優れている点で好適である。ニッケル極のバインダーとしても、公知のバンダーを用いることができる。例えば、ポリオレフィンが、性能と寿命のいずれにも優れている点で好ましい。ポリオレフィンは単独で用いる他に、フッ素樹脂と併用してもよい。
活物質を含むペーストを電極用基材に塗着させる方法については特に限定はなく、通常のペースト塗着法と同様とすれば良い。最も簡単な方法としては、ペースト中に基材を通過させる方法が挙げられる。その他、ペーストを両面から噴射させる方法等の方法を適宜適用して、凹部を含む基材の全体にペーストを塗着させればよい。
本発明では、このようにして凹凸構造を有する基材に活物質を含むペーストを塗着させた後、該基材の凹部に活物質が充填され、該基材の凸部は基材表面が露出した状態又は活物質が付着した状態とする。このような充填状態とすることによって、活物質の大部分が基材の凹部に均一に充填され、該基材の凸部、即ち、基材表面については活物質の付着量が少ない状態となり、部分的なバラツキが大幅に削減でき、安定した性能の電極となり、更に、活物質の利用率の低下や脱落を抑制できる。
基材の凸部における活物質の付着量については、活物質の全充填量の10重量%程度以下とすることが好ましく、5重量%程度以下とすることがより好ましい。このように、活物質の大部分が基材の凹部に充填され、凸部における活物質の付着量が非常に少ない状態とすることによって、得られるニッケル極は、特に高出力と高い利用率を有し、しかも長寿命となる。特に、基材の凸部において付着した活物質をほぼ完全に除去し、基材表面が露出した状態にする場合には、活物質に対する基材の比率が増加するので容量は低下するが、高出力のニッケル極とすることができる。
上記した活物質の充填状態とする方法については、特に限定的ではなく、例えば、基材に活物質ペーストを塗着させた後、乾燥し、基材の凸部に付着している活物質ペーストを鋭利な刃などで除去する方法などを採用できる。また、活物質を含むペーストを基材に塗着させた後、基材を通過させる際に該基材の見掛けの厚さと実質的に同じ間隔となるスリット間に該基材を通過させる方法によれば、非常に効率良く上記した充填状態とすることができる。
このための方法としては、スリット間隔を狭くする方向に弾性付勢されたスリット形成部材を用い、スリットの間隔を基材の厚さと同一、或いは、基材の厚さより若干狭い間隔に設定し、このスリット間に基材を通過させればよい。弾性付勢されたスリット形成部材としては、ゴムなどの弾性を有する材料、スプリング等を用いてスリット間隔を狭くする方向に押しつけることが可能な構造とした部材、両端が弾性体で固定された円柱状の部材等を用いることができる。このようなスリット形成部材において、弾性の強さを適宜設定することによって、スリット間を基材が通過する際に、スリットの間隔を基材の厚さと実質的に同じ厚さとすることができる。例えば、ゴム製のスリット形成部材を用いる場合には、該部材が基材の進行方向に変形し、スリット形成部材が基材にほぼ密着した状態となり、スリット間隔を基材の厚さと実質的に同じ厚さとすることができる。また、両端が弾性体で固定された円柱状部材をスリット形成部材とするスリットでは、スリット間に基材が通過する際に、該円柱状部材の間隔が基材とほぼ同じ厚さに広がり、円柱状部材が基材に密着した状態となる。
特に、スリット形成部材として、円柱状部材を用いる場合には、鋭利な断面を持つスリット形成部材を用いる場合と比較して、スリット間の基材の通過を円滑とすることができる。
上記した方法によって、基材の凹部に活物質を充填した後、常法に従って二次電池用ニッケル極とすることができる。例えば、活物質を充填した基材を乾燥し、所定の厚さとなるように平板加圧やローラープレス等により加圧加工する操作を行えばよい。加圧後のニッケル極の厚さについては、特に限定的ではないが、150μm以上、250μm以下とすることが好ましい。ニッケル極の厚さを150μm以上とすることにより、活物質塗布時に特別な技術を必要とすることがなく、量産に適するため好ましい。また、250μm以下とすることにより、基板構造を二次元あるいは擬似三次元に限定していることから、一般的な発泡ニッケルマットと比較して高率放電性能が低下するおそれがないため好ましい。
以上の方法によれば、基材の凹部には活物質が均一に充填されて部分的なバラツキが大幅に削減でき、安定した性能の電極となる。また、活物質の大部分が基材の凹部に充填され、基材の凸部については、表面の活物質の付着量が少なく、基材表面が露出した状態又は少量の活物質が付着した状態となる。このような構造とすることによって、活物質の利用率の低下や脱落を抑制できる。
このようにして得られるニッケル極は、アルカリ電池用の電極として有用であり、特に、ニッケル−水素二次電池用電極として有効に使用できる。
本発明電池に用いるセパレータは、厚さが50μm以上110μm以下のポリオレフィン製不織布であり、従来電池に用いられるセパレータの厚さが120〜150μmであるのに比べて薄い。なかでも、厚さを60〜95μmとすれば、高率放電およびエネルギー密度の点で好ましい。ポリオレフィン製不織布には、親水性処理を施すことができる。親水性処理としては、発煙硫酸やフッ素ガスによる処理が挙げられるが、これに限定されるものではない。
上記したように、本発明に係るニッケル極は、基板が二次元又は疑似三次元構造であるので、セパレータの面方向に対する垂直方向の力が顕著に非局在化される。従って、このように薄いセパレータを用いても、目付重量を増やすことなく、内部短絡の発生を顕著に抑止できる。このことから、本発明電池に用いる前記セパレータの目付け量を35g/m2以上50g/m2以下とすることができる。目付け量を35g/m2以上とすることによって、基板エッジや活物質による微短絡となるおそれを低減できる。また、目付量を50g/m2以下とすることにより、高率放電性能の低下となるおそれを低減できる。
本発明は、以上に述べた作用により、電極を薄いものとしながらも出力特性をはじめとした電池特性に優れ、電池性能を低下させることがなく、セパレータを薄いものとしながらも内部短絡を生じることのないアルカリ電池を提供することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
厚さ95μm、目付け重量37g/m2、多孔度約50%のポリプロピレン不織布を3%発煙硫酸に2分間浸漬し、セパレータを調製した。
本発明電池の正極となるニッケル極は、以下のようにして得た。平均厚さ2.5μmのニッケルめっき皮膜を形成した鉄製薄板(厚さ35μm)を用い、孔径0.5mm、開孔度10%のパンチングメタルを作製した。このパンチングメタルにエンボス加工を施して凹凸部を形成して、電極用基材を得た。該基材では、凹部と凹部の間隔は0.8mmであり、基材の見掛けの厚さは0.42mm、単位あたりの重量は280g/m2であった。
該基材の平面図及び断面図を図1に示す。図1において1がパンチングメタル部分で2が孔部分、3がエンボスパンチングメタルの凹部、4が凸部であり、この3と4により凹凸構造を有する。
3重量%相当のオキシ水酸化コバルトで表面を被覆した水酸化ニッケル粉末を活物質として用い、この水酸化ニッケル92重量部と水酸化コバルト4重量部に、更に、ペースト状にするために1%のカルボキシメチルセルロース水溶液を加え、結着剤として2%のフッ素樹脂懸濁液と3.5%のポリエチレンエマルジョンを加えて、活物質を含むペーストを得た。このようにして得られたペースト中にエンボス加工して得られた上記基材を通過させて、活物質を含むペーストを基材に十分に塗着させた。
一方、両端が軟ゴム製部材によって固定された直径20mmのステンレス製円柱を2個用い、各円柱を外周面が向き合う形に設置して、円柱間の間隔を0.35mmに設定してスリットを形成し、上記方法で活物質ペーストを塗着させた基材を、2個の円柱で形成されたスリット間を開くようにして通過させて、基材の表面を平滑化させた。この状態における基材の断面図の外観を図2に示す。図2のように、凹部に活物質が充填され、凸部には活物質の塗着が少ないニッケル極が得られた。
次いで、乾燥後、ローラープレスで加圧して厚さを平均0.28mmとした。このようにして、本発明電池の正極となるペースト式ニッケル極を得た。
尚、上記した方法と同様にして基材に活物質を充填した後、凸部に付着した活物質層を除去し、その重量を求めたところ、全活物質充填量の3.5重量%であった。
負極は、次のようにして得た。まず、MmNi系合金にAl、Mn及びCoを加えた公知の5元系水素吸蔵合金であるMmNi3.6Co0.6Al0.4Mn0.4合金に1%のカルボキシメチルセルロース水溶液を加えてペースト状とし、これを厚さ50μm、開孔度50%のパンチングメタルに塗着させた。これを間隔0.22mmに設定した鋼製部材からなるスリット間を通過させ、乾燥後、ローラープレスで加圧して厚さを0.18mmとして負極を得た。この負極の実際の容量は、正極容量に対して170%とした。
前記ニッケル極(正極)と前記負極との間に前記セパレータを配して捲回し、極群とした。この極群に対して、正極−負極間に300Vの電圧を通電し、短絡の有無を調べ、短絡発生頻度を記録した。短絡発生のない前記極群を電極群にタブレス方式でニッケル端子を溶接で取り付け、SubCサイズの電槽に挿入した。次に、30%の水酸化カリウム水溶液に25g/リットルの水酸化リチウムを溶解した電解液を前記電槽内に注液した。次に、蓋と正極をニッケル板で溶接した後封口し、ニッケル水素電池を得た。これを本発明電池とする。
(比較例1)
正極基板に、目付け量450g/m2の三次元構造を有する発泡ニッケルマットを用いて、従来技術によるニッケル極を作製した。このニッケル極を用いたことを除いては、実施例1に用いたものと同じセパレータを用い、実施例1と同様にして捲回し、極群とした。この極群に対して、正極−負極間に300Vの電圧を通電し、短絡の有無を調べ、短絡発生個数を記録した。短絡発生のない前記極群について、実施例1と同様にしてニッケル水素電池を作製した。これを比較電池とする。
(内部短絡個数の比較)
実施例1及び比較例1において、短絡発生個数の記録に基づき、極群100個あたりの短絡発生頻度を表1に示す。
Figure 2005071788
表1の結果から明らかなように、比較例1に係る従来のニッケル極を用いた捲回極群は、短絡発生頻度が1割以上に至った。これに対して、実施例1に係る本発明のニッケル極を用いた捲回極群は、短絡発生が全く見られなかった。比較例1において短絡発生のあった捲回極群を解体したところ、セパレータに破損が観察された。
(電池性能の比較)
本発明電池及び比較電池の0.2ItAにおける設計容量を表2に示す。
Figure 2005071788
このように、本発明に係る薄いセパレータと、基板構造を二次元あるいは擬似三次元に限定したニッケル極を組み合わせることで、高い放電容量の電池を設計できる。これは、ニッケル極の基板に従来の発泡ニッケルマットを用いると、基板自体の目付け量が大きく、活物質充填量が低下するためである。なお、目付け量の小さい発泡ニッケルマットを用いると、基板自体の強度が小さいので、活物質充填時に基板が切断する問題が生じる。
次に、本発明電池及び比較電池について、温度25℃にて初期化成を行った。初期化成は、充電は電流0.1ItA、15時間とし、放電は電流0.2ItA、終止電圧1.0Vとし、この充放電を5サイクル繰り返した。充電と放電の間は30minの休止モードを設けた。
続いて、本発明電池及び比較電池について、充放電サイクル試験を続けた。充放電サイクル試験の条件は、下記で特に断らない限り、周囲温度25℃にて、充電は電流0.5ItA、充電深度は上記設計容量の110%とし、放電は電流1ItA、終止電圧1.0Vとした。これを標準的な充放電サイクル試験の条件とした。なお、充電から放電への切換時及び放電から充電への切換時にはそれぞれ30minの休止モードを設けた。
(レート特性試験)
上記充放電サイクルの20〜24サイクル目を用いて、各種放電率によるレート特性を取得した。このレート特性試験においては、周囲温度25℃にて、充電は電流0.5ItA、充電深度は上記設計容量の110%とした。放電終止電圧は0.9Vとした。各種放電電流における放電容量を比較して表3に示す。
Figure 2005071788
表3の結果より明らかなように、本発明電池と比較電池との間には、高率放電における放電効率の点で有意差が認められなかった。
(放電レートと放電平均電圧の関係)
続いて、上記充放電サイクルの30〜34サイクル目を用いて、放電電流と放電平均電圧の関係を調べた。このレート特性試験においては、周囲温度25℃にて、充電は電流0.5ItA、充電深度は上記設計容量の110%とした。結果を表4に示す。
Figure 2005071788
表4の結果から、本発明電池は比較電池に比べ、高出力の電池となっていることがわかる。これは、本発明電池においてはセパレータの厚さが薄くかつニッケル極の基板構造を二次元あるいは擬似三次元に限定し、かつ正極電極厚さを150μm〜250μmに限定したので、極間距離が小さく、正極容量が大きく、極板自体が薄いものとすることができたためと考えられる。
(繰り返し充放電サイクル性能)
続いて、35サイクル目以降は上記した標準的な充放電サイクル試験の条件により充放電サイクルを継続し、繰り返し充放電サイクル性能を確認した。19サイクル目における放電容量に対する各サイクル毎の放電容量の割合を百分率で求め、容量維持率(%)とした。結果を表5に示す。
Figure 2005071788
この結果から明らかなように、本発明電池は比較電池に比べて長寿命であることが確認された。これは、本発明電池においては、ニッケル極の基板構造を二次元あるいは擬似三次元に限定しているので、基板自体が機械的に加工して得られた骨格が本質的に露出しており、比較電池のように従来の発泡ニッケルマットを使用した極板よりもバリが少ないため、薄いセパレータを用いても微短絡等を生じることがないことによると考えられる。
本発明に係るニッケル電極用基材の平面図及び断面図である。 本発明に係るニッケル電極の断面図である。
符号の説明
1 パンチングメタル
2 孔部分
3 凹部
4 凸部

Claims (9)

  1. 負極と、ポリオレフィン製不織布からなる厚さが50μm以上110μm以下のセパレータと、エンボス加工によって凹凸部が形成された開孔度20%以下のパンチングメタルからなる電極用基材の凹部に電極用活物質が充填され、該基材の凸部は表面が露出した状態又は活物質が付着した状態であるニッケル極と、を具備したアルカリ電池。
  2. 前記セパレータは、目付け量が35g/m2以上50g/m2以下である請求項1記載のアルカリ電池。
  3. 前記電極用基材の凸部に付着した活物質の量が、全活物質充填量の10重量%以下である請求項1又は2記載のアルカリ電池。
  4. 前記電極用基材に活物質を充填後、該基材表面に付着した活物質を除去して得られる、該基材の凸部の表面が露出した状態である請求項1〜3のいずれかに記載のアルカリ電池。
  5. 前記電極用基材が、機械的にエンボス加工してパンチングメタルに凹凸部が形成されたものである請求項1〜4のいずれかに記載のアルカリ電池。
  6. 前記パンチングメタルの開孔度が5〜15%である請求項1〜5のいずれかに記載のアルカリ電池。
  7. 前記パンチングメタルの厚さが20〜50μm、エンボス加工によって凹凸部が形成された電極用基材の見掛けの厚さが0.2〜0.5mm、該基材の単位面積当たりの重量が200〜500g/m2である請求項1〜6のいずれかに記載のアルカリ電池。
  8. 前記ニッケル極の厚さが150μm〜250μmである請求項1〜7のいずれかに記載のアルカリ電池。
  9. 前記電極用活物質が、表面がコバルト化合物で被覆された球状の水酸化ニッケルである請求項1〜8のいずれかに記載のアルカリ電池。
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