JP2005071642A - 荷電粒子質量選別装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】質量に応じた速度差を持つイオンやクラスターなどの荷電粒子をサイズに応じて選別して連続取り出しができる小型軽量な荷電粒子サイズ選別装置を提供する。
【解決手段】同形の第1の高周波電界発生電極32と第2の高周波電界発生電極34を間隙を挟んで配置し出口スリット36を設け、第1高周波電界発生電極32は選別目的の荷電粒子が通過する時間の整数分の1の周期を持った第1高周波電界を発生し、第2高周波電界発生電極34は第1高周波電界に対して間隙の幅を電極長で割った値と同じ位相角だけ遅れかつ位相が逆で波数と振幅が同じ第2高周波電界を発生する。出口スリット36は荷電粒子の進行軸上に配置され、選別された荷電粒子を出口スリットから回収することを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、イオンやクラスターなどの荷電粒子を質量に基づいて選別する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特定の粒子を種とする微結晶の成長や、空間中に隔離した状態で粒子と反応ガスを反応させる材料処理などにおいて、特定の質量を持った粒子を選択的に捕獲したり外部に取り出したりして利用する要請がある。特に複数個の原子分子が凝集してできるクラスターは特異な物理化学的挙動を示し、広い分野に亘る利用が検討されている。
【0003】
ガスクラスター発生装置は、加圧ガスの供給を受けて原子質量が数1000のクラスターを発生する。ガスクラスター発生装置で発生するクラスターでは凝集するガス分子の数は確率的に分布するので質量に幅があり、利用あるいは研究の対象とするためには、たとえば質量数すなわち質量に基づいて選別する必要がある。
質量に基づいた選別を行うにはクラスターをイオン化すると便利である。
ガスクラスター発生装置から放出されるクラスターは、イオン化電極を通して荷電粒子化した後に、適当な質量選別方法を用いて、質量にしたがって分別して利用する。
【0004】
一般的に使用されている質量選別方法あるいは質量分析方法は磁場型、四重極電界型、飛行時間型などがあり、イオン化後に加速電極で加速したイオンクラスターを導入して、その速度によって分別するものが多い。
加速電極で電界を電荷に作用させて荷電粒子を加速すると、作用力は電荷で決まるので、粒子の質量が小さければ高速になり質量が大きければ低速になる。
【0005】
磁場型質量選別装置は、セクターマグネットで発生する磁場の中に荷電粒子を通すもので、荷電粒子の運動方向と磁場の向きに垂直な方向に力が作用するため荷電粒子の軌道が偏向する。このとき、重い粒子は曲がりにくく軽い粒子は曲がりやすいため、取り出し位置あるいは磁場強度を調整することにより所望の質量の荷電粒子を得ることができる。
【0006】
この装置は、設計が容易で、同じ質量の荷電粒子を連続的に取り出すことができるが、装置が大型化し重量化し、またビームの軌道軸と取り出し軸が角度を持つため他の装置との取り合いが複雑になる。さらに、質量が大きくなるほど単位増し分の全体質量に対する割合が小さくなるため、分解能が質量に逆比例するという問題もある。
【0007】
四重極電界型質量選別装置は交流と直流電場を併用して作用させるもので、その1例が特許文献1に開示されている。特許文献1記載の装置は、図8に示すように、中心軸の周りに対称的に配置された4本以上の柱状電極からなる中心電極とこれらを取り囲む外部電極で構成し、柱状電極にはそれぞれ交互に位相の反転した交流電圧を与え、さらに中心電極と外部電極の間に荷電粒子を中心電極の方に移動させるような直流バイアスを与えるようにしたものである。
【0008】
外部電極と中心電極の間に存在する荷電粒子は中心電極に集まる方向に移動し、一方、中心電極に引加される交流電圧により時間平均した交流電界強度が中心電極から距離の増大と共に減少するため、荷電粒子は中心電極から遠ざかる方向に斥力を受ける。この交流電界による斥力は、交流の周波数をf、粒子の質量をmとすると、1/mfに比例するので、荷電粒子の平衡位置は質量が大きいほど中心に近くなる。
【0009】
そこで、電圧や周波数を調整すると、所定の値以上の質量を持つ荷電粒子を中心電極の内側に集めて、取り出すことができる。
四重極電界型質量選別装置も連続取り出しも可能で、低エネルギー領域では最も一般的に利用されるが、質量が大きくなるほど分解能が低下する。また、電極断面形状は高い製作精度が要求される。
【0010】
また、飛行時間型質量選別装置は、運動する荷電粒子のエネルギーと電荷が等しいときには、質量の差は飛行速度の差として現れることを利用したものある。荷電粒子の進行方向に入り口と出口の電極を設置して、それぞれに直流電圧を印加して荷電粒子を遮断しておく。ある瞬間にある一定時間だけ入り口電極の電圧を切ると、荷電粒子が直進して出口電極に到達するので、2組の電極の間を飛行する時間に合わせて出口電極の電圧を切れば、所定の質量の粒子だけが出口電極を通過するので、質量選別をすることができる。
【0011】
飛行時間型質量選別装置は、パルス時間幅を変更することで強度や分解能を簡単に調整することができる。また、簡単な装置構成でありながら任意の質量を有する粒子を選別することができる。しかし、選別が間欠的になり、選別された粒子の連続供給はできない。
【0012】
【特許文献1】
特開2869517号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、質量が大きくても選別力が低下せず、連続取り出しができる小型軽量な荷電粒子質量選別装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の荷電粒子質量選別装置は、交流電界形成電極と出口スリットを設けた交流電界形成部を備えたものであり、交流電界形成電極には質量選別しようとする荷電粒子が通過する時間の逆数の整数倍の周波数を持った交流電界を形成する。出口スリットは荷電粒子の進行軸上に配置され、質量選別された荷電粒子を出口スリットから回収することを特徴とする。
【0015】
本発明の荷電粒子質量選別装置は、加速電極で加速した荷電粒子の速度は質量と対応があることに基づいて質量選別するものである。
交流電界形成電極内には荷電粒子の進行軸に垂直な方向に交流電界が形成されている。荷電粒子は交流電界形成電極中を進行する間に交流電界の作用を受けて進行軸に垂直の方向に加速度を生じるので、軌道が偏向し電極の出口で進行軸から偏倚すると共に進行軸に垂直の方向の速度成分を持つようになる。
しかし、荷電粒子が電極部を通過する間に整数周期分の交流電界を横切る場合は、作用を及ぼす電界成分が正負相等しいので電極出口における荷電粒子の進行軸に垂直の速度成分は相殺されてゼロになり、進行軸に平行な速度成分のみを有するようになる。
【0016】
そこで、選別の目的とする質量を持った荷電粒子の速度を求めて、この速度で進行すると交流電界形成電極内でちょうど整数個の交流電界を経験するように交流電界周波数を調整する。すると、交流電界形成電極通過後、目的の荷電粒子は進行軸に平行に走行し、目的外の荷電粒子は進行軸に対して角度を持って走行するので、区別が可能となる。なお、選別目的の荷電粒子が交流電界形成電極に進入してくるときに交流電界の位相がゼロでなければ電極出口における荷電粒子の軌道は進行軸と離れるが、進行軸に平行の速度成分しか持たないことは同じである。
これにより、進行軸上にスリットを設けることで、選別目的の荷電粒子のみを取り出すことができる。
【0017】
なお、交流電界の周波数が荷電粒子が電極を通過する時間の逆数に等しい値であるときが、交流電界の作用力が最も大きくなり、選別が容易になるので好ましい。また、交流電界の周波数が大きくて選別目的より高速の荷電粒子がちょうど交流電界の周期を整数倍通過するようになると、目的の荷電粒子との選別が困難になるので、このような現象を抑制する意味からも、目的の荷電粒子がちょうど交流電界1周期分を通過するような周波数を選択することが好ましい。
【0018】
ところで、選別対象の荷電粒子は進行軸に平行に取り出されるが進行軸から離れたものも大量に存在するため、選別対象荷電粒子の一部しかスリットを通過しない。そこで、本発明の第2の荷電粒子質量選別装置は、上記の交流電界形成電極と同形状の第2の電極を下流側の進行軸上に設置する。なお、以下の説明において、初めの交流電界形成電極を第1交流電界形成電極と呼ぶことがある。
【0019】
第2交流電界形成電極に形成する第2交流電界の位相を調整することで、第1交流電界形成電極で選別対象荷電粒子が経験する電界と全く逆の電界を経験するようにする。すると、選別対象荷電粒子は、第1交流電界形成電極を通過後に、進行軸を中心に分布が広がった状態で進行軸に平行に進行するようになり、電極間の間隙中を進行軸と平行に飛行して、第2交流電界形成電極内で形成している第2交流電界に進行軸と平行に進入する。選別対象荷電粒子は、第2交流電界の働きで再び進行軸の方向に収束し、第2交流電界形成電極を通過後、進行軸上に集約するので、選別対象荷電粒子の回収率を大幅に向上させることができる。
【0020】
荷電粒子発生装置の条件によっては、たとえば目的とする粒子に対して整数の2乗倍の質量を有する荷電粒子など、飛行速度が整数分の1になるため交流電界を整数倍経験して、第1交流電界形成電極を出るときに進行軸と平行の速度を有するようになった選別対象荷電粒子以外の荷電粒子が含まれる場合がある。このような荷電粒子は、第2交流電界形成電極を出たところでも進行軸に平行な速度を持ち、選別目的の荷電粒子と混ざってノイズになる可能性がある。
そこで、本願発明は、第1交流電界形成電極と第2交流電界形成電極の間隙を調整できるようにすることが好ましい。
【0021】
選別目的の荷電粒子が間隙の幅を飛行する時間だけ第2交流電界の位相を遅らせておくと、荷電粒子が第2交流電界形成電極に到着したときの第2交流電界は第1交流電界形成電極を出たときの第1交流電界の位相と丁度同じ位相状態になっている。
したがって、選別目的の荷電粒子は第2交流電界形成電極で第1交流電界形成電極で受けたと全く逆の作用を受けるので、第2交流電界形成電極を出たときには丁度進行軸の上に戻る。すなわち、選別目的の荷電粒子は第1交流電界形成電極に進入したときの位相にかかわらず、第2交流電界形成電極を出るときには全て進行軸の上に集まることになる。
【0022】
また、選別目的外の荷電粒子は間隙を飛行する時間が異なりまた飛行方向が進行軸に対して角度を有するため、第2交流電界形成電極に到達したときに第2交流電界の位相が異なりまた第2交流電界形成電極内で履歴する電界がずれる。このため、目的外の荷電粒子が第2交流電界形成電極を出るときには進行軸上を軸に平行に走行することにはならない。
飛行速度が特別の関係にある荷電粒子は、第2交流電界形成電極を通過した後で進行軸に平行に進行するが、それらの進行軸からの分布の広がりは、第1交流電界形成電極と第2交流電界形成電極の間隙を調整することにより調整することができる。
【0023】
すなわち、選別対象荷電粒子以外の荷電粒子は、第1交流電界形成電極を出たときの第1交流電界の位相と第2交流電界電極に到達したときの第2交流電界の位相が適合しないため、第2交流電界形成電極を出るときの荷電粒子の速度は進行軸と平行の成分しか持たないが、軸に垂直な方向に分布して進行軸上に集合することがない。
そして、進行軸に垂直な分布状態は、電極間の間隙と2つの交流電界の位相との関係を調整することにより変化する。出口スリットは進行軸に設けられるので、進行軸上を軸に沿って走行する荷電粒子のみが出口スリットを通過し、それ以外の荷電粒子はスリットを通り抜けることができない。したがって、電極間間隙を調整することにより出口スリットを通過する選別対象荷電粒子以外の荷電粒子の量を少なくすることができる。
なお、電極間間隙を変化させても、選別対象荷電粒子は必ず進行軸上に集約するように交流電界の位相差を調整すれば、選別対象荷電粒子の回収率が変化することはない。
【0024】
こうして、選別目的の荷電粒子をそれ以外の荷電粒子から弁別して取り出すことができる。たとえばガスクラスター発生装置で発生するクラスターをイオン化して加速器で加速した場合には、クラスターの速度は質量に反比例するので、交流電界の周期に対応する速度を持った成分とその他の成分を弁別して目的の質量を持った成分を選別して供給することができる。
このように、本発明の荷電粒子質量選別装置によれば、所定の速度の荷電粒子を選別することにより、質量のそろった荷電粒子をほぼ連続的に供給することができる。
【0025】
なお、第1交流電界形成電極と第2交流電界形成電極の間の間隙における荷電粒子進行軸上に遮蔽物を設けてもよい。
クラスター発生装置の条件によっては、目的とする荷電粒子と異なる質量を有するにもかかわらず荷電粒子質量選別装置の出口において目的粒子と同じような偏向速度と偏向位置を持つようになる場合がある。たとえば、目的とするクラスターより重いクラスターでは、飛行速度が遅いため交流電界を何周期分もくぐって、結局元の進行軸上に戻って選別装置から出力されるものも出現する可能性がある。
【0026】
このような重い粒子では、交流電界形成電極の電界が軸に垂直な方向の加速度に与える作用が小さいので、進行軸からの乖離が大きくないものが多く、粒子は軸の近傍に集まることになる。また、目的とする荷電粒子は第1交流電界形成電極を出た位置でゼロ加速度状態となるが、交流電界形成電極に進入するときの位相差に従って、進行軸に垂直な方向に分布する。
そこで、軸上に遮蔽板や遮蔽ブロックなどの任意の形状の遮蔽物を設けて質量の大きい不純物を捕捉して除去すれば、目的とする荷電粒子の一部は遮蔽物に捕獲されるが殆どは後段の交流電界形成電極に進入するので、選別粒子の純度を向上させることができる。
【0027】
また、出口スリットは、2個以上のスリットを進行軸上に配列して構成するようにしてもよい。
目的の粒子が偏向速度と偏位がない状態で、すなわち進行軸上で軸に沿って飛行して出口スリットに達して外部に取り出され、目的の粒子以外は交流電界形成電極の中で中心軌道から逸れて分離される。しかし、交流電界の波と速度の異なる目的外の粒子の中には複雑な軌跡を措いて出口スリットに到達するものもあり得る。出口スリットに入射する目的外粒子は、進行軸に沿って入射することはなく進行軸に戻った荷電粒子は必ずスリットに対して斜めに入射する。
したがって、2個以上のスリットを軸上に配置すれば、斜入射する粒子は後ろのスリットを通過できないので、最後のスリットは軸上を軸に平行な速度で入射したものしか通過せず、目的の粒子のみが分別されることになる。
【0028】
さらに、進行軸上に荷電粒子を加減速する加減速電極を備えることが好ましい。
荷電粒子の選別には荷電粒子の速度が余り大きくない方が好ましい。一方、クラスターに何らかの反応を起こさせて利用するためには、選別したクラスターのエネルギーが高いことが好ましい。そこで、クラスターを加減速する加減速電極を選別後の位置に設けることが好ましい。なお、加減速電極は粒子選別に差し障りがない場合には、選別前や選別領域の中間位置に設置してもよいことはいうまでもない。
【0029】
なお、第1交流電界形成電極と第2交流電界形成電極を組にして、複数組を進行軸に沿って配置すれば、質量選別の繰り返しにより選別の純度が向上する効果がある。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の荷電粒子質量選別装置を実施の形態に基づき図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明に係る1実施例の荷電粒子質量選別装置をガスクラスター装置と組み合わせてクラスターイオンをプロセシングしてターゲットに作用させるようにした装置を示すブロック図、図2は本実施例の荷電粒子質量選別装置の構成を示すブロック図、図3は荷電粒子質量選別装置の作用を説明する線図、図4は進行波の位相速度と同じ速度で飛行する荷電粒子について算出した軌跡を描いた図面、図5は飛行速度の異なる荷電粒子の軌跡図、図6は入り口側の進行波形成電極と出口側の進行波形成電極の間に遮蔽物を置いた場合を示す図面、図7は遮蔽物の効果を説明する図面である。
【0031】
本発明の荷電粒子質量選別装置は、ガスクラスター発生装置と組み合わせて利用することにより、ガスクラスター装置の効用を高めてガスクラスター装置の応用分野をますます広げることになる。
ガスクラスター発生装置は、クラスター生成部1とイオン化加速部2と質量選別部3とプロセス部4を直列に配設したものである。クラスター生成部1は本体11と本体出口に設けられたノズル12とクラスタ生成部1の出口に設けられたスキマー13を主要構成要素とする。2.5atmから4atm程度の加圧ガスを本体11に導入すると、ガス分子同士が擬集してクラスターを形成し、0.1mm程度の細孔の後で管径を徐々に拡大させたガラスノズル11から射出して、スキマー12で多数の分子が擬集したクラスターを選び取って射出する。たとえば、アルゴンガスをクラスター化するときには、原子量500から10000程度に凝集したクラスターを豊富に発生することができる。
【0032】
イオン化加速部2にはイオン化電極21と加速電極22が設けられていて、クラスター生成部1から供給されるクラスタービームに含まれるクラスターをイオン化し、加速電極22の電界により加速して質量選別部3に供給する。クラスターは通常1価の陽イオンを持ち、直流電界で加速されるため、質量に反比例する速度を持って質量選別部3に流入することになる。
質量選別部3には本発明に係る荷電粒子質量選別装置31が備えられて、ここで、目的の質量を有するクラスターイオンが選別されプロセス部4に供給される。プロセス部4では選別されたクラスターに対して所望のプロセスが施され、たとえばターゲット41に堆積するようになっている。
【0033】
荷電粒子質量選別装置31は、図2に示すように、第1交流電界形成電極32と第1交流電源33、第2交流電界形成電極34と第2交流電源35、および出口スリット36を備える。第1交流電源33は、第1交流電界形成電極32に、目的とする荷電粒子が電極を通過する時間が交流電界の周期の整数倍、好ましくは1倍になるような正弦波Asin(ωt)の交流電界を形成させる。
図3は、交流電界の関係を説明する図面である。上段のグラフは横軸に時間を取って第1交流電界形成電極32における電界波形を示す。また、下段のグラフは第2交流電界形成電極34における電界波形を示す。
【0034】
目的の荷電粒子の速度をVtとし、第1交流電界形成電極(EL1)32の長さをLeとすると、
1/f=Le/Vt
となるようにする。ここで、fは波数で、ω=2πfである。
すると、荷電粒子は第1交流電界を1周期分くぐって電極を通過する。したがって、丁度第1交流電界がゼロの時に電極に到達した荷電粒子は、電界による進行軸に垂直の方向の力を正負同等に受けて電極の出口に達するので、出口における荷電粒子は進行軸上にあって進行軸に沿って飛行する。
【0035】
周波数は、荷電粒子が交流電界の周期の整数倍くぐって電極を通過するようにしてもよい。ただし、荷電粒子がくぐる周期数が大きくなるほど、荷電粒子の軸に垂直な方向に移動させる交流電界の作用力は小さくなる。
また、第1交流電界と位相差をもって進入したときにも、速度が同じであれば、同様に電界による進行軸に垂直の方向の力が相殺して電極の出口に達するので、電極の出口における荷電粒子は進行軸から離れていても進行軸に平行に飛行するようになる。なお、荷電粒子が交流電界の整数周期分をくぐっても同様に出口で進行軸に沿って飛行するようになることは言うまでもない。
【0036】
第2交流電界形成電極中で形成する第2交流電界は、第1交流電界と位相が逆になっていて、目的の荷電粒子が間隙を飛行する時間に対応するだけの位相差を持つ。間隙の幅をDl、位相差をφとすれば、
φ=ωD1/Vt=2πD1/Le
また、第2交流は、
−Asin(ωt−φ)
で表される。
【0037】
目的の荷電粒子が第1交流電界形成電極を出たときの第1交流電界の位相位置と、第2交流電界形成電極に到達したときの第2交流電界の位相位置は同じになるので、第2交流電界形成電極を出るときには、第1交流電界形成電極で受けた作用が逆位相の第2交流電界で丁度相殺されて、進行軸上に戻り軸に垂直な速度成分もゼロになっている。
【0038】
図4は、選択対象の速度で飛行する荷電粒子について算出した交流電界形成部における軌跡を描いた図面である。いろいろな位相で第1交流電界形成電極に進入した荷電粒子は、電極内で受ける作用の差に基づいて電極を出るところで軸に垂直な方向に分布するが、速度は軸と平行な成分しか持たない。
各荷電粒子が間隙を飛行して第2交流電界形成電極に到達すると、第1交流電界形成電極を出たときの第1交流電界と同じ位相になった第1交流電界と逆位相の第2交流電界に進入する。したがって、第2交流電界形成電極内を走行する間に第1交流電界形成電極で受けた作用を丁度相殺して、電極を出るときには荷電粒子は進行軸の位置まで戻り、軸に沿ってスリットに向けて進行する。
一方、図5は、飛行速度の異なる荷電粒子の軌跡である。いずれも発散して元の軸に戻らない。
【0039】
図6は、入り口側の第1交流電界形成電極32と出口側の第2交流電界形成電極34の間に設けた隙間に遮蔽物37を置いた場合を示す図面である。
本実施例の交流形成部31を用いると、特に大きなクラスターでは第1交流電界形成電極32で形成する加速度が小さく進行軸から十分に離間しないで進行軸付近を走行する場合がある。遮蔽物37は、このような進行軸に近い位置を飛行する粒子を遮蔽するものである。目的とする質量の粒子の大部分は遮蔽物37を回避して第2交流電界形成電極34に入射し電界の作用で再び進行軸に集まり、出口スリット36を通って出力される。
【0040】
図7は遮蔽物の効果を説明する図面である。図7(a)に遮蔽物がないときの選別された粒子の質量分布を示し、図7(b)に遮蔽ブロックを軸上に据えたときの選別結果を示す。遮蔽ブロックがないときには目的とする原子量5000のクラスターより擬集量の大きな粒子が不純物として大量に含まれるのに対して、遮蔽ブロックがあるときは原子量の大きなクラスターが著しく減少している。
遮蔽物は、板状でも塊状でもよい。またイオンの流路に沿わせた紡錘形のものを使用することもできる。
【0041】
なお、図5から分かるように、目的外の質量の粒子も条件によっては出口スリット36に入射して通過することがある。
そこで、図6に点線で表したように、同様のスリット38をスリット36と同軸に並べて配置することにより、直進する粒子のみを出力するようにすることができる。
【0042】
選別目的の荷電粒子以外の粒子が出口スリット36の位置で進行軸上にあっても、荷電粒子は軸に垂直な速度成分を持っているので、進行軸に沿って離れた位置にあるスリット38を共に通過することができない。
従って、スリットを進行軸上に並べて設けることにより、目的外の質量の粒子を排除して選択性を向上させることができる。スリットは2個に限らず3個以上適当数を設けてもよいことはいうまでもない。
【0043】
また、本実施例の進行波形成部は、図6に点線で表したように、進行軸上に加減速電極39を設けてもよい。
本実施例の交流電界を用いた粒子の選別では電極内における電界の作用で選別するので、荷電粒子の速度が余り大きくない方が好ましい。一方、選別したクラスターに何らかの反応を起こさせて利用するためには、クラスターのエネルギーが高いことが好ましい。そこで、イオンクラスターを加減速する加減速電極39を第2交流電界形成電極34の後ろに設けて、選別後のクラスターを加減速して後の工程に供給できるようにしている。
なお、加減速電極39は、粒子選別に差し障りがない場合には、第1交流電界形成電極32の前や第1交流電界形成電極32と第2交流電界形成電極36の間に設置してもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の荷電粒子質量選別装置によって、目的とする質量のクラスターを選択して高純度で分離できるようになったので、クラスター発生装置と一緒に使用することにより、特殊な結晶や材料の形成その他、広い分野において任意の質量のクラスターを簡単かつ大量に供給して利用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る1実施例の荷電粒子質量選別装置をガスクラスター装置と組み合わせた装置を示すブロック図である。
【図2】本実施例の荷電粒子質量選別装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例における荷電粒子質量選別装置の作用を説明する線図である。
【図4】本実施例において目的とする質量の荷電粒子について算出した軌跡図である。
【図5】本実施例において目的外の荷電粒子について算出した軌跡図である。
【図6】本実施例において入り口側の進行波形成電極と出口側の進行波形成電極の間に遮蔽物を置いた場合を示す図面である。
【図7】本実施例における遮蔽物の効果を説明する図面である。
【図8】従来の荷電粒子質量選別装置の例を示す概念図である。
【符号の説明】
1 クラスター生成部
2 イオン化加速部
3 質量選別部
4 プロセス部
11 クラスター生成部本体
12 ノズル
13 スキマー
21 イオン化電極
22 加速電極
31 荷電粒子質量選別装置
32 第1交流電界形成電極
33 第1交流電源
34 第2交流電界形成電極
35 第2交流電源
36 出口スリット
37 遮蔽物
38 スリット
39 加減速電極

Claims (7)

  1. 加速電極で加速された荷電粒子を導入して質量に基づいて選別する交流電界形成部を備えた荷電粒子質量選別装置であって、該交流電界形成部が進行軸を共有した交流電界形成電極と出口スリットと電極電源調整器を備え、該電極電源調整器が前記交流電界形成電極に引加する交流電源を調整し、前記交流電界形成電極が荷電粒子の進行軸に垂直な偏向電界を持つ交流電界を形成し、前記出口スリットが前記荷電粒子の進行軸上に配置されて、前記周波数を前記交流電界形成電極を選別目的の荷電粒子が通過する時間の逆数の整数倍に調整することにより該荷電粒子の選別を行って、前記出口スリットから回収することを特徴とする荷電粒子質量選別装置。
  2. 前記交流電界形成電極と進行軸を共有した同形の第2交流電界形成電極をさらに備えて、前記交流電界形成電極と前記第2交流電界形成電極の間に電極間隙を有し、前記電極電源調整器が前記交流電界形成電極に第1交流電界を形成させ、前記第2交流電界形成電極に第2交流電界を形成させ、該第1交流電界と該第2交流電界の位相差を調整して、前記選別目的の荷電粒子が前記第1交流電界形成電極を通過する間に作用を受ける電界と全く逆の作用を前記第2交流電界形成電極を通過する間に受けるようにすることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子質量選別装置。
  3. 前記電極間隙の幅が調整可能であることを特徴とする請求項2記載の荷電粒子質量選別装置。
  4. 前記電極間隙の前記進行軸上に遮蔽物を配置することを特徴とする請求項2または3記載の荷電粒子質量選別装置。
  5. 請求項2から4のいずれかに記載の荷電粒子質量選別装置において、さらに、前記交流電界形成電極と第2交流電界形成電極の組を2式以上直列に配置したことを特徴とする荷電粒子質量選別装置。
  6. 前記出口スリットが2個以上のスリットを前記進行軸上に配列したもので構成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の荷電粒子質量選別装置。
  7. 前記荷電粒子進行軸上に前記荷電粒子を進行方向に加減速する加減速電極を設置したことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の荷電粒子質量選別装置。
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