JP2005069688A - レゾルバサブアッシーの組立方法とレゾルバサブアッシー - Google Patents
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Abstract
【課題】レゾルバロータの位置決めが容易な組立方法を提供する。
【解決手段】本組立方法は、内部にトーションバー24を受入れて固定する筒状部材34と、その筒状部材34の外側に固定されたレゾルバロータ32からなるレゾルバサブアッシー33を組立てる。そして、端面の周方向の一部に凹部が形成されたスリーブ28の周りにその凹部を回転方向の基準位置としてレゾルバロータ32を固定し、凹部にかみ合うとともにレゾルバロータ32に干渉しない凸部とトーションバー24の固定部と同形状のダミー部を持つ治具にスリーブ28とレゾルバロータ32をセットし、筒状部材34とダミー部をかみ合わせた状態で筒状部材34をスリーブ28に圧入する。
【選択図】 図2
【解決手段】本組立方法は、内部にトーションバー24を受入れて固定する筒状部材34と、その筒状部材34の外側に固定されたレゾルバロータ32からなるレゾルバサブアッシー33を組立てる。そして、端面の周方向の一部に凹部が形成されたスリーブ28の周りにその凹部を回転方向の基準位置としてレゾルバロータ32を固定し、凹部にかみ合うとともにレゾルバロータ32に干渉しない凸部とトーションバー24の固定部と同形状のダミー部を持つ治具にスリーブ28とレゾルバロータ32をセットし、筒状部材34とダミー部をかみ合わせた状態で筒状部材34をスリーブ28に圧入する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レゾルバサブアッシーの組立方法に関するものである。特に、レゾルバサブアッシーを構成するレゾルバロータの位置決め技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レゾルバ式トルクセンサが知られている。レゾルバ式トルクセンサは、その機能から見ると、2つのレゾルバサブアッシーと1本のトーションバーと2つのステータコイルサブアッシーで構成されている。レゾルバサブアッシーは、トーションバーの端部を受入れて固定する筒状部材と、筒状部材の外側に固定されたレゾルバロータを有している。トーションバーの両端部のそれぞれにレゾルバサブアッシーが固定される。トーションバーの一端に固定された一端側のレゾルバサブアッシーの周囲を一端側のステータコイルサブアッシーが包囲し、他端に固定された他端側のレゾルバサブアッシーの周囲を他端側のステータコイルサブアッシーが包囲する
各レゾルバロータには磁束を発生するコイルが組込まれている。各ステータコイルサブアッシーは、各レゾルバロータが発生する磁束を検出する。ステータコイルサブアッシーが検出する磁束は、ステータコイルサブアッシーに対するレゾルバロータの回転角に依存する。各ステータコイルサブアッシーの出力電圧から、各ステータコイルサブアッシーに対する各レゾルバロータの回転角が検出される。
【0003】
トーションバーの一端側のレゾルバサブアッシーとステータコイルサブアッシーによってトーションバーの一端側の回転角が検出される。トーションバーの他端側のレゾルバサブアッシーとステータコイルサブアッシーによってトーションバーの他端側の回転角が検出される。両回転角の差からトーションバーのねじれ角が検出され、トーションバーのねじれ角からトーションバーにねじれをもたらしているトルクが検出される。
レゾルバ式トルクセンサは、例えば自動車の電動パワーステアリングシステムのステアリングシャフトに装着され、ステアリングシャフトに作用する操舵トルクを検出するのに用いられている。
【0004】
2つのステータコイルサブアッシーは物理的には一体に固定されている。このために、2つのレゾルバロータは、トーションバーの両端部に固定されたときに、所定の回転位置関係に配置されている必要がある。即ち、トーションバーがねじれていない場合に、一端側のステータコイルサブアッシーによって検出される回転角と、他端側のステータコイルサブアッシーによって検出される回転角とが一致するように2つのレゾルバロータは回転方向に位置決めされている必要がある。2つのレゾルバロータの回転位置が所定のものからずれていると、トーションバーがねじれていないにも係わらずに、一端側のステータコイルサブアッシーによって検出される回転角と他端側のステータコイルサブアッシーによって検出される回転角とが不一致となり、トルクが作用していると誤検出してしまう。
レゾルバロータは筒状部材を介してトーションバーに固定される。そこで、2つのレゾルバロータがトーションバーの両端部に固定されたときに、所定の回転位置関係に位置決めされるためには、まず、筒状部材とレゾルバロータの回転位置関係を位置決めしておかなければならない。
【0005】
従来のレゾルバロータの組立方法では、レゾルバロータが筒状部材に仮止めされた状態のレゾルバサブアッシーをトーションバーの一端と他端に固定する。そして、ステータコイルサブアッシーから出力されるトルク検出信号をモニターしながら、筒状部材に対するレゾルバロータの軸回りの回転位置を調整する。レゾルバロータの軸回りの回転位置を調整し、トルク検出信号がトーションバーにトルクが作用していないことを示す値になったら、その位置でレゾルバロータを筒状部材に固定する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、トルク検出信号をモニターしながらレゾルバロータの回転位置を調整して位置決めするのは難しく、多大な労力が必要であった。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、レゾルバロータの位置決めを容易に行うことができる技術を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用と効果】請求項1に記載の組立方法は、内部にトーションバーを受入れて固定する筒状部材と、その筒状部材の外側に固定されたレゾルバロータからなるレゾルバサブアッシーを組立てる。本発明の組立方法では、端面の周方向の一部に凹部が形成されたスリーブの周りにその凹部を回転方向の基準位置としてレゾルバロータを固定し、凹部にかみ合うとともにレゾルバロータに干渉しない凸部とトーションバーの固定部と同形状のダミー部を持つ治具にスリーブとレゾルバロータをセットし、筒状部材とダミー部をかみ合わせた状態で筒状部材をスリーブに圧入する。
上記の組立方法は、スリーブに形成されている凹部を基準位置としてスリーブにレゾルバロータを固定する。そして、治具の凸部にスリーブの凹部をかみ合わせ、筒状部材とダミー部をかみ合わせた状態で筒状部材をスリーブに圧入する。治具のダミー部はトーションバーの固定部と同形状に形成されているので、このようにして組立てたレゾルバサブアッシーを治具から外し、トーションバーに固定すると、トーションバーとレゾルバロータとの軸回りの位置関係は一義的に定まる。従って、トーションバーとレゾルバロータを組合わせた状態で、レゾルバロータの軸回り位置を調整することを要しない。よって、このような組立方法によれば、レゾルバロータの位置決めを容易に行うことができる。
【0009】
請求項1に記載の組立方法において、組付けられたスリーブとレゾルバロータを、スリーブに挿入される案内部と、案内部をダミー部軸方向に移動可能な状態で保持する保持部と、案内部を筒状部材の圧入方向とは逆向きに付勢する手段とがさらに設けられている治具にセットし、筒状部材で案内部を押して移動させながら筒状部材をスリーブに圧入することが好ましい(請求項2)。
上記の組立方法によれば、スリーブを治具の案内部にセットすることによって、筒状部材に対するスリーブの軸直角方向の位置決めを行うことができる。そして、筒状部材で案内部を押して移動させながら筒状部材をスリーブに圧入する。
【0010】
請求項3に記載のレゾルバサブアッシーは、内部にトーションバーを受入れて固定する筒状部材と、その筒状部材の外側に固定されたレゾルバロータからなる。本発明のレゾルバサブアッシーは、筒状部材とレゾルバロータとの間に、端面の周方向の一部に凹部が形成されたスリーブが介在している。
このように構成されていると、スリーブに形成されている凹部を基準としてレゾルバロータと筒状部材を容易に位置決めすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明を自動車の電動パワーステアリングシステム80を構成するピニオン装置10に適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず最初に、図1を参照しながら電動パワーステアリングシステム80の構成について説明する。電動パワーステアリングシステム80は、ハンドル82と、ラック機構84と、ラック機構84に装着されたピニオン装置10と、一端がハンドルに接続され他端がピニオン装置10に接続されているハンドルシャフト83等を備えている。ラック機構84は、その外郭を形成するラックハウジング52と、ラックハウジング52内を軸方向に往復動可能なラック98を有している。詳しくは後述するが、ピニオン装置10は、ハンドル82が操舵されることによって発生する操舵トルクを検出するレゾルバ12を内蔵している。レゾルバ12にはピニオン34(図1においては図示省略)が設けられており、このピニオン34がラック98とかみ合わされている。
【0012】
電動パワーステアリングシステム80は、さらにレゾルバ12に接続されたコントローラ85と、コントローラ85に接続された電動機86と、電動機86が発生した補助トルクをラック機構84に伝達する伝達機構87を備えている。
ラック機構98の両端にはタイロッド91が装着されている。タイロッド91の一端にはナックルアーム92が連結されている。ナックルアーム92の他端は、車輪93に連結されている。
このように構成されているので、運転者がハンドル82を操舵すると、ハンドルシャフト83を介してピニオン装置10のレゾルバ12が回転する。レゾルバ12が回転すると、レゾルバ12に設けられているピニオン34も回転する。ピニオン34が回転すると、これにかみ合わされているラック98が軸方向に動き、タイロッド91とナックルアーム92を介して車輪93の操向方向を変化させる。ハンドル82が操舵されて発生する操舵トルクはピニオン装置10のレゾルバ12によって検出され、この検出信号に基づいてコントローラ85は電動機86を制御する。
【0013】
レゾルバ12が検出した操舵トルクが小さいと、コントローラ85は電動機86を小さな補助トルクを発生するように制御する。レゾルバ12が検出した操舵トルクが大きいと、コントローラ85は電動機86を大きな補助トルクを発生するように制御する。電動機86が発生した補助トルクはラック機構84に伝達され、ラック98の動きを補助する(アシストする)。従って、運転者は軽い力でハンドル82を操舵することができる。
【0014】
続いて、ピニオン装置10について詳述する。
図2に示されているように、ピニオン装置10は、ハウジング50と、このハウジング50に対して回転可能に装着されているレゾルバ12等から構成されている。ハウジング50は、ボルト(図示省略)によってラックハウジング52に締結されている。レゾルバ12は、ハンドル側ベアリング14とラック側ベアリング16を介してハウジング50に装着されている(以下、図2の上側をハンドル側、下側をラック側と言う)。
【0015】
レゾルバ12は、ハンドル側レゾルバサブアッシー13、ラック側レゾルバサブアッシー33、ステータコイル17、18、トーションバー24等から構成されている(以下、ハンドル側レゾルバサブアッシーとラック側レゾルバサブアッシーを、それぞれハンドル側RSA、ラック側RSAと略す)。
ハンドル側RSA13は、シャフト22、スリーブ26、レゾルバロータ30から構成されている。シャフト22には、軸方向に貫通する貫通穴22cが形成されている。シャフト22のハンドル側端部には、軸直角方向に貫通するピン穴22aと、セレーション22bが形成されている。シャフト22の軸方向中央部には、拡径された圧入部22dが形成されている。この圧入部22dにスリーブ26が圧入される。スリーブ26の外側には、レゾルバロータ30が設けられている。
ラック側RSA33は、ピニオン34、スリーブ28、レゾルバロータ32から構成されている。ピニオン34には、ピニオンギア34aと、セレーション溝34bが形成されている。ピニオン34のハンドル側外周部には、圧入部34cが形成されている。この圧入部34cにスリーブ28が圧入される。スリーブ28の外側には、レゾルバロータ32が設けられている。
【0016】
トーションバー24のハンドル側端部には、軸直角方向に貫通するピン穴24aが形成されている。トーションバー24のラック側端部には、セレーション24bが形成されている。トーションバー24の中央部24cは、ハンドル側端部とラック側端部よりも径が小さく形成されており、この中央部24cが捻りバネとして機能する。
トーションバー24のハンドル側は、ハンドル側RSA13のシャフト22の貫通穴22cに差し込まれる。そして、ピン36がピン穴22aとピン穴24aに圧入されることにより、トーションバー24はシャフト22に対して固定される。トーションバー24のセレーション24bは、ピニオン34のセレーション溝34bと嵌合される。このようにして、ハンドル側RSA13とラック側RSA33はトーションバー24に結合される。
【0017】
ハンドル側RSA13とラック側RSA33がトーションバー24に結合されると、図3に良く示されているように、ステータコイル17、18は、レゾルバロータ30、32を包囲するように配置される。ステータコイル17、18およびレゾルバロータ30、32には、コイル38が装着されている。図2に示されている配線42は、ステータコイル17、18とコントローラ85を接続している。配線42は、クランプ46によって保持されている。クランプ46は、ブラケット44を介してハウジング50に固定されている。
シャフト22のセレーション22bは、ハンドルシャフト83の他端に嵌合されている。ピニオン34のピニオンギア34aはラック98とかみ合わされている。
【0018】
ステータコイル17、18は、それぞれレゾルバロータ30、32が発生する磁束を検出する。ステータコイル17が検出する磁束は、ステータコイル17に対するレゾルバロータ30の回転角に依存する。ステータコイル18が検出する磁束は、ステータコイル18に対するレゾルバロータ32の回転角に依存する。操舵トルクがレゾルバ12に作用すると、トーションバー24に捻れが発生する。トーションバー24が捻れると、ステータコイル17とステータコイル18から、それぞれハンドル側とラック側のトーションバー24の回転角に対応した信号がコントローラ85に出力される。コントローラ85は、トーションバー24のハンドル側とラック側の回転角の差から、トーションバー24に作用している操舵トルクを検出する。
【0019】
ラック側RSA33の組立方法について説明する。なお、以下の説明においては、ラック側RSA33を構成するピニオン34、スリーブ28、レゾルバロータ32、組立治具70を模式的に図示した図面を用る。
図4に示されているピニオン34は、セレーション溝34bを軸直角方向断面が方形の穴で簡略化している。ピニオン34の外周の一部には、外径方向に突出して周方向に延びるストッパ部34eが形成されている。図5はスリーブ28を図示している。スリーブ28には、軸方向に切り込まれた凹部28aが形成されている。図6は、レゾルバロータ32を図示している。
【0020】
図7に示されているように、ラック側RSA33の組立に用いる組立治具70は、基台72と、この基台72上に装着されているセット具71から構成されている。セット具71は、スリーブ案内部74、ダミートーションバー部76から構成されている。スリーブ案内部74の外周には、円弧外周部74aと平面外周部74bが設けられている。円弧外周部74aは、スリーブ28の内面28bにフィットする寸法とされている。平面外周部74bから突出するように凸部73が形成されている。凸部73は、スリーブ28の凹部28aとかみ合う形状に形成されている。ダミートーションバー部76は、トーションバー24のラック側(セレーション24b等)を模擬した形状に形成されている。
【0021】
図8に示されているように、基台72内に収容部72aが形成されている。ダミートーションバー部76の下端は収容部72aの底面72bに固定されている。スリーブ案内部74には、軸方向に貫通する軸直角方向断面が方形のガイド穴74cが形成されている。そして、このガイド穴74cにダミートーションバー部76が挿入されている。ガイド穴74cの軸直角方向断面とダミートーションバー部76の軸直角方向断面が共に方形なので、スリーブ案内部74はダミートーションバー部76に対して軸回りの動きが禁止される。スリーブ案内部74の下端には、外径方向に拡がったストッパ99が形成されている。収容部72aの底面72bとスリーブ案内部74との間にはスプリング97が介装されている。このように構成されているので、スリーブ案内部74は、スプリング97によって上方に付勢されながら、ストッパ99が基台72に当接した状態で安定する。スリーブ案内部74に下向きの力が作用すると、スリーブ案内部74は下方に移動して基台72の収容部72aに収容される。なお、スリーブ案内部74と凸部73を別体とし、凸部73が基台72側に固定される構成とすることもできる。
【0022】
ラック側RSA33を組立てるに際しては、図9、図10に示されているように、凹部28aを基準にしてスリーブ28に対するレゾルバロータ32の軸回り位置を調整し、その状態でスリーブ28とレゾルバロータ32を固定して一体化する。そして、図11に示されているように、一体化されたスリーブ28とレゾルバロータ32を上方から組立治具70にセットする。このときに、スリーブ案内部74の円弧外周部74aをスリーブ28の内面28bに挿入し、かつスリーブ28の軸回り位置を調整してスリーブ28の凹部28aとスリーブ案内部74の凸部73をかみ合わせる。図12は、スリーブ28とレゾルバロータ32が組立治具70にセットされた状態を示している。
【0023】
なお、スリーブ28の凹部28aの形状は、図5、図9に示されているような矩形状でなくてもよい。例えば、凹部28aの形状を図13に示されているようなV字状とし、これに対応した形状に凸部73を形成してもよい。このような形状に凹部28aと凸部73を形成すると、凸部73に凹部28aがかみ合わされる過程で、スリーブ案内部74に対するスリーブ28の軸回り位置が自動的に調整される。このため、スリーブ28とレゾルバロータ32を組立治具70にセットするのがより容易になる。
【0024】
続いて、図14に示されているように、ピニオン34を上方から組立治具70のセット具71に押込む。この押込みは、ピニオン34のおおよその軸回り位置を調整してから行う。すると、ピニオン34のセレーション溝34bとダミートーションバー部76とが嵌合し、セット具71に対するピニオン34の軸回り位置が一義的に定まる。
ピニオン34がセット具71に押込まれる過程で、ピニオン34の下端面34dがスリーブ案内部74の上端面74cに当接し、スプリング82の付勢力に抗してスリーブ案内部74を下向きに移動させる。下向きに移動したスリーブ案内部74は、基台72の収容部72aに沈み込んで収容される。また、同時に、ピニオン34がスリーブ28に圧入される。スリーブ28にピニオン34が圧入されて行くと、図15に示されているように、ピニオン34のストッパ部34eの下端がスリーブ28の上端と当接し、それ以上ピニオン34を押込むことができなくなる。これによって、スリーブ28に対するピニオン34の軸方向の位置決めが行われる。以上でラック側RSA33の組立が終了する。
【0025】
以上説明したラック側RSA33の組立方法によれば、位置関係が調整されて一体化されたスリーブ28およびレゾルバロータ32とピニオン34とが組立治具70上で位置決めされ、その状態でピニオン34をスリーブ28に圧入してラック側RSA33とする。組立治具70のダミートーションバー部76は、トーションバー24のラック側形状(セレーション24b等)を模擬している。このため、ラック側RSA33を組立治具70から取外し、トーションバー24に装着すると、ラック側RSA33とトーションバー24の位置関係は、組立治具70上でのラック側RSA33とダミートーションバー部76の位置関係と同じになる。すなわち組立治具70上で位置決めしたとおりに、ラック側RSA33とトーションバー24を結合することができる。従って、以上説明したような組立方法によれば、レゾルバロータ32の位置決めを容易に行うことができる。また、ラック側RSA33側に要する加工としては、スリーブ28に設ける凹部28aのみである。このため、製品加工上のコストアップは非常に小さい。
【0026】
ハンドル側RSA13についても、上述した組立治具70と同様な組立治具を用いて組立を行うことができる。この場合、組立治具のダミートーションバー部の上端部に、ピン穴24aの上方が開放されたU字状の溝を設ける。このように構成すると、ピン36を装着したシャフト22をダミートーションバー部の上記U字状溝に差し込むことにより、シャフト22の軸回り位置が位置決めされる。
【0027】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
従って、例えば、以下に記載するように構成することもできる。
【0028】
(1)スリーブ案内部74を設けず、凸部73を基台72に固定する。この組立治具にスリーブ28をセットするときには、ピニオン34の圧入部34とスリーブ28の内面28bcが合致するようにスリーブ28の軸直角方向位置を調整し、それからピニオン34をスリーブ2に圧入する。
このようにすると、簡易な構成の組立治具でレゾルバサブアッシーを組立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る電動パワーステアリングシステムの模式図。
【図2】実施形態に係るピニオン装置の断面図。
【図3】図2のII部の拡大図。
【図4】実施形態に係るピニオンの模式的斜視図。
【図5】実施形態に係るスリーブの模式的斜視図。
【図6】実施形態に係るレゾルバロータの模式的斜視図。
【図7】実施形態に係る組立治具の模式的斜視図。
【図8】実施形態に係る組立治具の断面図。
【図9】実施形態に係るスリーブとレゾルバロータが組立られた状態の模式的側面図。
【図10】実施形態に係るスリーブとレゾルバロータが組立られた状態の模式的平面図。
【図11】実施形態に係る組立治具にスリーブとレゾルバロータがセットされる過程の説明図。
【図12】実施形態に係る組立治具にスリーブとレゾルバロータがセットされた状態の側面図(一部を断面視)。
【図13】実施形態に係るスリーブ側面図(変形例)。
【図14】実施形態に係る組立治具にピニオンがセットされる過程の説明図(一部を断面視)。
【図15】実施形態に係る組立治具にスリーブとレゾルバロータとピニオンがセットされた状態の側面図(一部を断面視)。
【符号の説明】
10:ピニオン装置
12:レゾルバ
13:ハンドル側レゾルバサブアッシー(ハンドル側RSA)
14:ハンドル側ベアリング
16:ラック側ベアリング
17、18:ステータコイル
22:シャフト、22a:ピン穴、22b:セレーション、22c:貫通穴
24:トーションバー、24a:ピン穴、24b:セレーション、24c:軸方向中央部
26:スリーブ
28:スリーブ、28a:凹部、28b:内面
30、32:レゾルバロータ
33:ラック側レゾルバサブアッシー(ラック側RSA)
34:ピニオン、34a:ピニオンギア、34b:セレーション溝、34c:圧入部、34d:下端面、34e:ストッパ部
38:コイル
42:配線
44:ブラケット
46:クランプ
50:ハウジング
52:ラックハウジング
70:組立治具
71:セット具
72:基台、72a:収容部、72b:底面、74c:ガイド穴
73:凸部
74:スリーブ案内部、74a:円弧外周部、74b:平面外周部
76:ダミートーションバー部
80:電動パワーステアリングシステム
82:ハンドル
83:ハンドルシャフト
84:ラック機構
85:コントローラ
86:電動機
87:伝達機構
91:タイロッド
92:ナックルアーム
97:スプリング
98:ラック
99:ストッパ
【発明の属する技術分野】本発明は、レゾルバサブアッシーの組立方法に関するものである。特に、レゾルバサブアッシーを構成するレゾルバロータの位置決め技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レゾルバ式トルクセンサが知られている。レゾルバ式トルクセンサは、その機能から見ると、2つのレゾルバサブアッシーと1本のトーションバーと2つのステータコイルサブアッシーで構成されている。レゾルバサブアッシーは、トーションバーの端部を受入れて固定する筒状部材と、筒状部材の外側に固定されたレゾルバロータを有している。トーションバーの両端部のそれぞれにレゾルバサブアッシーが固定される。トーションバーの一端に固定された一端側のレゾルバサブアッシーの周囲を一端側のステータコイルサブアッシーが包囲し、他端に固定された他端側のレゾルバサブアッシーの周囲を他端側のステータコイルサブアッシーが包囲する
各レゾルバロータには磁束を発生するコイルが組込まれている。各ステータコイルサブアッシーは、各レゾルバロータが発生する磁束を検出する。ステータコイルサブアッシーが検出する磁束は、ステータコイルサブアッシーに対するレゾルバロータの回転角に依存する。各ステータコイルサブアッシーの出力電圧から、各ステータコイルサブアッシーに対する各レゾルバロータの回転角が検出される。
【0003】
トーションバーの一端側のレゾルバサブアッシーとステータコイルサブアッシーによってトーションバーの一端側の回転角が検出される。トーションバーの他端側のレゾルバサブアッシーとステータコイルサブアッシーによってトーションバーの他端側の回転角が検出される。両回転角の差からトーションバーのねじれ角が検出され、トーションバーのねじれ角からトーションバーにねじれをもたらしているトルクが検出される。
レゾルバ式トルクセンサは、例えば自動車の電動パワーステアリングシステムのステアリングシャフトに装着され、ステアリングシャフトに作用する操舵トルクを検出するのに用いられている。
【0004】
2つのステータコイルサブアッシーは物理的には一体に固定されている。このために、2つのレゾルバロータは、トーションバーの両端部に固定されたときに、所定の回転位置関係に配置されている必要がある。即ち、トーションバーがねじれていない場合に、一端側のステータコイルサブアッシーによって検出される回転角と、他端側のステータコイルサブアッシーによって検出される回転角とが一致するように2つのレゾルバロータは回転方向に位置決めされている必要がある。2つのレゾルバロータの回転位置が所定のものからずれていると、トーションバーがねじれていないにも係わらずに、一端側のステータコイルサブアッシーによって検出される回転角と他端側のステータコイルサブアッシーによって検出される回転角とが不一致となり、トルクが作用していると誤検出してしまう。
レゾルバロータは筒状部材を介してトーションバーに固定される。そこで、2つのレゾルバロータがトーションバーの両端部に固定されたときに、所定の回転位置関係に位置決めされるためには、まず、筒状部材とレゾルバロータの回転位置関係を位置決めしておかなければならない。
【0005】
従来のレゾルバロータの組立方法では、レゾルバロータが筒状部材に仮止めされた状態のレゾルバサブアッシーをトーションバーの一端と他端に固定する。そして、ステータコイルサブアッシーから出力されるトルク検出信号をモニターしながら、筒状部材に対するレゾルバロータの軸回りの回転位置を調整する。レゾルバロータの軸回りの回転位置を調整し、トルク検出信号がトーションバーにトルクが作用していないことを示す値になったら、その位置でレゾルバロータを筒状部材に固定する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、トルク検出信号をモニターしながらレゾルバロータの回転位置を調整して位置決めするのは難しく、多大な労力が必要であった。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、レゾルバロータの位置決めを容易に行うことができる技術を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用と効果】請求項1に記載の組立方法は、内部にトーションバーを受入れて固定する筒状部材と、その筒状部材の外側に固定されたレゾルバロータからなるレゾルバサブアッシーを組立てる。本発明の組立方法では、端面の周方向の一部に凹部が形成されたスリーブの周りにその凹部を回転方向の基準位置としてレゾルバロータを固定し、凹部にかみ合うとともにレゾルバロータに干渉しない凸部とトーションバーの固定部と同形状のダミー部を持つ治具にスリーブとレゾルバロータをセットし、筒状部材とダミー部をかみ合わせた状態で筒状部材をスリーブに圧入する。
上記の組立方法は、スリーブに形成されている凹部を基準位置としてスリーブにレゾルバロータを固定する。そして、治具の凸部にスリーブの凹部をかみ合わせ、筒状部材とダミー部をかみ合わせた状態で筒状部材をスリーブに圧入する。治具のダミー部はトーションバーの固定部と同形状に形成されているので、このようにして組立てたレゾルバサブアッシーを治具から外し、トーションバーに固定すると、トーションバーとレゾルバロータとの軸回りの位置関係は一義的に定まる。従って、トーションバーとレゾルバロータを組合わせた状態で、レゾルバロータの軸回り位置を調整することを要しない。よって、このような組立方法によれば、レゾルバロータの位置決めを容易に行うことができる。
【0009】
請求項1に記載の組立方法において、組付けられたスリーブとレゾルバロータを、スリーブに挿入される案内部と、案内部をダミー部軸方向に移動可能な状態で保持する保持部と、案内部を筒状部材の圧入方向とは逆向きに付勢する手段とがさらに設けられている治具にセットし、筒状部材で案内部を押して移動させながら筒状部材をスリーブに圧入することが好ましい(請求項2)。
上記の組立方法によれば、スリーブを治具の案内部にセットすることによって、筒状部材に対するスリーブの軸直角方向の位置決めを行うことができる。そして、筒状部材で案内部を押して移動させながら筒状部材をスリーブに圧入する。
【0010】
請求項3に記載のレゾルバサブアッシーは、内部にトーションバーを受入れて固定する筒状部材と、その筒状部材の外側に固定されたレゾルバロータからなる。本発明のレゾルバサブアッシーは、筒状部材とレゾルバロータとの間に、端面の周方向の一部に凹部が形成されたスリーブが介在している。
このように構成されていると、スリーブに形成されている凹部を基準としてレゾルバロータと筒状部材を容易に位置決めすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明を自動車の電動パワーステアリングシステム80を構成するピニオン装置10に適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず最初に、図1を参照しながら電動パワーステアリングシステム80の構成について説明する。電動パワーステアリングシステム80は、ハンドル82と、ラック機構84と、ラック機構84に装着されたピニオン装置10と、一端がハンドルに接続され他端がピニオン装置10に接続されているハンドルシャフト83等を備えている。ラック機構84は、その外郭を形成するラックハウジング52と、ラックハウジング52内を軸方向に往復動可能なラック98を有している。詳しくは後述するが、ピニオン装置10は、ハンドル82が操舵されることによって発生する操舵トルクを検出するレゾルバ12を内蔵している。レゾルバ12にはピニオン34(図1においては図示省略)が設けられており、このピニオン34がラック98とかみ合わされている。
【0012】
電動パワーステアリングシステム80は、さらにレゾルバ12に接続されたコントローラ85と、コントローラ85に接続された電動機86と、電動機86が発生した補助トルクをラック機構84に伝達する伝達機構87を備えている。
ラック機構98の両端にはタイロッド91が装着されている。タイロッド91の一端にはナックルアーム92が連結されている。ナックルアーム92の他端は、車輪93に連結されている。
このように構成されているので、運転者がハンドル82を操舵すると、ハンドルシャフト83を介してピニオン装置10のレゾルバ12が回転する。レゾルバ12が回転すると、レゾルバ12に設けられているピニオン34も回転する。ピニオン34が回転すると、これにかみ合わされているラック98が軸方向に動き、タイロッド91とナックルアーム92を介して車輪93の操向方向を変化させる。ハンドル82が操舵されて発生する操舵トルクはピニオン装置10のレゾルバ12によって検出され、この検出信号に基づいてコントローラ85は電動機86を制御する。
【0013】
レゾルバ12が検出した操舵トルクが小さいと、コントローラ85は電動機86を小さな補助トルクを発生するように制御する。レゾルバ12が検出した操舵トルクが大きいと、コントローラ85は電動機86を大きな補助トルクを発生するように制御する。電動機86が発生した補助トルクはラック機構84に伝達され、ラック98の動きを補助する(アシストする)。従って、運転者は軽い力でハンドル82を操舵することができる。
【0014】
続いて、ピニオン装置10について詳述する。
図2に示されているように、ピニオン装置10は、ハウジング50と、このハウジング50に対して回転可能に装着されているレゾルバ12等から構成されている。ハウジング50は、ボルト(図示省略)によってラックハウジング52に締結されている。レゾルバ12は、ハンドル側ベアリング14とラック側ベアリング16を介してハウジング50に装着されている(以下、図2の上側をハンドル側、下側をラック側と言う)。
【0015】
レゾルバ12は、ハンドル側レゾルバサブアッシー13、ラック側レゾルバサブアッシー33、ステータコイル17、18、トーションバー24等から構成されている(以下、ハンドル側レゾルバサブアッシーとラック側レゾルバサブアッシーを、それぞれハンドル側RSA、ラック側RSAと略す)。
ハンドル側RSA13は、シャフト22、スリーブ26、レゾルバロータ30から構成されている。シャフト22には、軸方向に貫通する貫通穴22cが形成されている。シャフト22のハンドル側端部には、軸直角方向に貫通するピン穴22aと、セレーション22bが形成されている。シャフト22の軸方向中央部には、拡径された圧入部22dが形成されている。この圧入部22dにスリーブ26が圧入される。スリーブ26の外側には、レゾルバロータ30が設けられている。
ラック側RSA33は、ピニオン34、スリーブ28、レゾルバロータ32から構成されている。ピニオン34には、ピニオンギア34aと、セレーション溝34bが形成されている。ピニオン34のハンドル側外周部には、圧入部34cが形成されている。この圧入部34cにスリーブ28が圧入される。スリーブ28の外側には、レゾルバロータ32が設けられている。
【0016】
トーションバー24のハンドル側端部には、軸直角方向に貫通するピン穴24aが形成されている。トーションバー24のラック側端部には、セレーション24bが形成されている。トーションバー24の中央部24cは、ハンドル側端部とラック側端部よりも径が小さく形成されており、この中央部24cが捻りバネとして機能する。
トーションバー24のハンドル側は、ハンドル側RSA13のシャフト22の貫通穴22cに差し込まれる。そして、ピン36がピン穴22aとピン穴24aに圧入されることにより、トーションバー24はシャフト22に対して固定される。トーションバー24のセレーション24bは、ピニオン34のセレーション溝34bと嵌合される。このようにして、ハンドル側RSA13とラック側RSA33はトーションバー24に結合される。
【0017】
ハンドル側RSA13とラック側RSA33がトーションバー24に結合されると、図3に良く示されているように、ステータコイル17、18は、レゾルバロータ30、32を包囲するように配置される。ステータコイル17、18およびレゾルバロータ30、32には、コイル38が装着されている。図2に示されている配線42は、ステータコイル17、18とコントローラ85を接続している。配線42は、クランプ46によって保持されている。クランプ46は、ブラケット44を介してハウジング50に固定されている。
シャフト22のセレーション22bは、ハンドルシャフト83の他端に嵌合されている。ピニオン34のピニオンギア34aはラック98とかみ合わされている。
【0018】
ステータコイル17、18は、それぞれレゾルバロータ30、32が発生する磁束を検出する。ステータコイル17が検出する磁束は、ステータコイル17に対するレゾルバロータ30の回転角に依存する。ステータコイル18が検出する磁束は、ステータコイル18に対するレゾルバロータ32の回転角に依存する。操舵トルクがレゾルバ12に作用すると、トーションバー24に捻れが発生する。トーションバー24が捻れると、ステータコイル17とステータコイル18から、それぞれハンドル側とラック側のトーションバー24の回転角に対応した信号がコントローラ85に出力される。コントローラ85は、トーションバー24のハンドル側とラック側の回転角の差から、トーションバー24に作用している操舵トルクを検出する。
【0019】
ラック側RSA33の組立方法について説明する。なお、以下の説明においては、ラック側RSA33を構成するピニオン34、スリーブ28、レゾルバロータ32、組立治具70を模式的に図示した図面を用る。
図4に示されているピニオン34は、セレーション溝34bを軸直角方向断面が方形の穴で簡略化している。ピニオン34の外周の一部には、外径方向に突出して周方向に延びるストッパ部34eが形成されている。図5はスリーブ28を図示している。スリーブ28には、軸方向に切り込まれた凹部28aが形成されている。図6は、レゾルバロータ32を図示している。
【0020】
図7に示されているように、ラック側RSA33の組立に用いる組立治具70は、基台72と、この基台72上に装着されているセット具71から構成されている。セット具71は、スリーブ案内部74、ダミートーションバー部76から構成されている。スリーブ案内部74の外周には、円弧外周部74aと平面外周部74bが設けられている。円弧外周部74aは、スリーブ28の内面28bにフィットする寸法とされている。平面外周部74bから突出するように凸部73が形成されている。凸部73は、スリーブ28の凹部28aとかみ合う形状に形成されている。ダミートーションバー部76は、トーションバー24のラック側(セレーション24b等)を模擬した形状に形成されている。
【0021】
図8に示されているように、基台72内に収容部72aが形成されている。ダミートーションバー部76の下端は収容部72aの底面72bに固定されている。スリーブ案内部74には、軸方向に貫通する軸直角方向断面が方形のガイド穴74cが形成されている。そして、このガイド穴74cにダミートーションバー部76が挿入されている。ガイド穴74cの軸直角方向断面とダミートーションバー部76の軸直角方向断面が共に方形なので、スリーブ案内部74はダミートーションバー部76に対して軸回りの動きが禁止される。スリーブ案内部74の下端には、外径方向に拡がったストッパ99が形成されている。収容部72aの底面72bとスリーブ案内部74との間にはスプリング97が介装されている。このように構成されているので、スリーブ案内部74は、スプリング97によって上方に付勢されながら、ストッパ99が基台72に当接した状態で安定する。スリーブ案内部74に下向きの力が作用すると、スリーブ案内部74は下方に移動して基台72の収容部72aに収容される。なお、スリーブ案内部74と凸部73を別体とし、凸部73が基台72側に固定される構成とすることもできる。
【0022】
ラック側RSA33を組立てるに際しては、図9、図10に示されているように、凹部28aを基準にしてスリーブ28に対するレゾルバロータ32の軸回り位置を調整し、その状態でスリーブ28とレゾルバロータ32を固定して一体化する。そして、図11に示されているように、一体化されたスリーブ28とレゾルバロータ32を上方から組立治具70にセットする。このときに、スリーブ案内部74の円弧外周部74aをスリーブ28の内面28bに挿入し、かつスリーブ28の軸回り位置を調整してスリーブ28の凹部28aとスリーブ案内部74の凸部73をかみ合わせる。図12は、スリーブ28とレゾルバロータ32が組立治具70にセットされた状態を示している。
【0023】
なお、スリーブ28の凹部28aの形状は、図5、図9に示されているような矩形状でなくてもよい。例えば、凹部28aの形状を図13に示されているようなV字状とし、これに対応した形状に凸部73を形成してもよい。このような形状に凹部28aと凸部73を形成すると、凸部73に凹部28aがかみ合わされる過程で、スリーブ案内部74に対するスリーブ28の軸回り位置が自動的に調整される。このため、スリーブ28とレゾルバロータ32を組立治具70にセットするのがより容易になる。
【0024】
続いて、図14に示されているように、ピニオン34を上方から組立治具70のセット具71に押込む。この押込みは、ピニオン34のおおよその軸回り位置を調整してから行う。すると、ピニオン34のセレーション溝34bとダミートーションバー部76とが嵌合し、セット具71に対するピニオン34の軸回り位置が一義的に定まる。
ピニオン34がセット具71に押込まれる過程で、ピニオン34の下端面34dがスリーブ案内部74の上端面74cに当接し、スプリング82の付勢力に抗してスリーブ案内部74を下向きに移動させる。下向きに移動したスリーブ案内部74は、基台72の収容部72aに沈み込んで収容される。また、同時に、ピニオン34がスリーブ28に圧入される。スリーブ28にピニオン34が圧入されて行くと、図15に示されているように、ピニオン34のストッパ部34eの下端がスリーブ28の上端と当接し、それ以上ピニオン34を押込むことができなくなる。これによって、スリーブ28に対するピニオン34の軸方向の位置決めが行われる。以上でラック側RSA33の組立が終了する。
【0025】
以上説明したラック側RSA33の組立方法によれば、位置関係が調整されて一体化されたスリーブ28およびレゾルバロータ32とピニオン34とが組立治具70上で位置決めされ、その状態でピニオン34をスリーブ28に圧入してラック側RSA33とする。組立治具70のダミートーションバー部76は、トーションバー24のラック側形状(セレーション24b等)を模擬している。このため、ラック側RSA33を組立治具70から取外し、トーションバー24に装着すると、ラック側RSA33とトーションバー24の位置関係は、組立治具70上でのラック側RSA33とダミートーションバー部76の位置関係と同じになる。すなわち組立治具70上で位置決めしたとおりに、ラック側RSA33とトーションバー24を結合することができる。従って、以上説明したような組立方法によれば、レゾルバロータ32の位置決めを容易に行うことができる。また、ラック側RSA33側に要する加工としては、スリーブ28に設ける凹部28aのみである。このため、製品加工上のコストアップは非常に小さい。
【0026】
ハンドル側RSA13についても、上述した組立治具70と同様な組立治具を用いて組立を行うことができる。この場合、組立治具のダミートーションバー部の上端部に、ピン穴24aの上方が開放されたU字状の溝を設ける。このように構成すると、ピン36を装着したシャフト22をダミートーションバー部の上記U字状溝に差し込むことにより、シャフト22の軸回り位置が位置決めされる。
【0027】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
従って、例えば、以下に記載するように構成することもできる。
【0028】
(1)スリーブ案内部74を設けず、凸部73を基台72に固定する。この組立治具にスリーブ28をセットするときには、ピニオン34の圧入部34とスリーブ28の内面28bcが合致するようにスリーブ28の軸直角方向位置を調整し、それからピニオン34をスリーブ2に圧入する。
このようにすると、簡易な構成の組立治具でレゾルバサブアッシーを組立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る電動パワーステアリングシステムの模式図。
【図2】実施形態に係るピニオン装置の断面図。
【図3】図2のII部の拡大図。
【図4】実施形態に係るピニオンの模式的斜視図。
【図5】実施形態に係るスリーブの模式的斜視図。
【図6】実施形態に係るレゾルバロータの模式的斜視図。
【図7】実施形態に係る組立治具の模式的斜視図。
【図8】実施形態に係る組立治具の断面図。
【図9】実施形態に係るスリーブとレゾルバロータが組立られた状態の模式的側面図。
【図10】実施形態に係るスリーブとレゾルバロータが組立られた状態の模式的平面図。
【図11】実施形態に係る組立治具にスリーブとレゾルバロータがセットされる過程の説明図。
【図12】実施形態に係る組立治具にスリーブとレゾルバロータがセットされた状態の側面図(一部を断面視)。
【図13】実施形態に係るスリーブ側面図(変形例)。
【図14】実施形態に係る組立治具にピニオンがセットされる過程の説明図(一部を断面視)。
【図15】実施形態に係る組立治具にスリーブとレゾルバロータとピニオンがセットされた状態の側面図(一部を断面視)。
【符号の説明】
10:ピニオン装置
12:レゾルバ
13:ハンドル側レゾルバサブアッシー(ハンドル側RSA)
14:ハンドル側ベアリング
16:ラック側ベアリング
17、18:ステータコイル
22:シャフト、22a:ピン穴、22b:セレーション、22c:貫通穴
24:トーションバー、24a:ピン穴、24b:セレーション、24c:軸方向中央部
26:スリーブ
28:スリーブ、28a:凹部、28b:内面
30、32:レゾルバロータ
33:ラック側レゾルバサブアッシー(ラック側RSA)
34:ピニオン、34a:ピニオンギア、34b:セレーション溝、34c:圧入部、34d:下端面、34e:ストッパ部
38:コイル
42:配線
44:ブラケット
46:クランプ
50:ハウジング
52:ラックハウジング
70:組立治具
71:セット具
72:基台、72a:収容部、72b:底面、74c:ガイド穴
73:凸部
74:スリーブ案内部、74a:円弧外周部、74b:平面外周部
76:ダミートーションバー部
80:電動パワーステアリングシステム
82:ハンドル
83:ハンドルシャフト
84:ラック機構
85:コントローラ
86:電動機
87:伝達機構
91:タイロッド
92:ナックルアーム
97:スプリング
98:ラック
99:ストッパ
Claims (3)
- 内部にトーションバーを受入れて固定する筒状部材と、その筒状部材の外側に固定されたレゾルバロータからなるレゾルバサブアッシーの組立方法であり、
端面の周方向の一部に凹部が形成されたスリーブの周りにその凹部を回転方向の基準位置としてレゾルバロータを固定し、前記凹部にかみ合うとともにレゾルバロータに干渉しない凸部とトーションバーの固定部と同形状のダミー部を持つ治具にスリーブとレゾルバロータをセットし、筒状部材とダミー部をかみ合わせた状態で筒状部材をスリーブに圧入することを特徴とするレゾルバサブアッシーの組立方法。 - スリーブに挿入される案内部と、案内部をダミー部軸方向に移動可能な状態で保持する保持部と、案内部を筒状部材の圧入方向とは逆向きに付勢する手段とが設けられている治具に、組付けられたスリーブとレゾルバロータをセットし、筒状部材で案内部を押して移動させながら筒状部材をスリーブに圧入することを特徴とする請求項1に記載の組立方法。
- 内部にトーションバーを受入れて固定する筒状部材と、その筒状部材の外側に固定されたレゾルバロータからなるレゾルバサブアッシーであり、筒状部材とレゾルバロータとの間に、端面の周方向の一部に凹部が形成されたスリーブが介在していることを特徴とするレゾルバサブアッシー。
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