以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1には、本発明で用いられるLC共振タグの一例が示されている。
同図(A)に示すように、このLC共振タグ100は、絶縁部材である合成樹脂フィルムからなるシート110と、このシート110の片面に形成された導電パターン120と、シート110に貼着される剥離紙130とで構成されている。
シート110は、中央の折れ線111で2つ折可能とされている。シート110の表面には、銅等の導電性金属膜からなる導電パターン120が形成されている。導電パターン120は、上記折れ線111を挟んで左右にほぼ対称な形状で形成されたコイル121と、コンデンサ電極板部122とを有している。
導電パターン120は、矩形のコンデンサ電極板部122が二つ折りされた樹脂フィルムの両方の中央に形成され、それぞれのコンデンサ電極板部122の一端から引出されて、それぞれのコンデンサ電極板部122を幾重にも取り囲むように渦巻状に形成されたコイル121から構成される。それぞれのコイル121は、連結パターン部分123で連結されており、この連結パターン部分123には、折れ線111の近傍で打ち抜き孔112が形成されて分断され、それぞれのコイル121の端点は、折れ線111の近傍で打ち抜き孔112を挟んで対向する位置にある。
シート110は、折れ線111で導電パターン120を外側にして折り曲げられて、その内側面に形成された図示しない接着剤層によって1枚のシートに接着される。その結果、コンデンサ電極板部122が、絶縁性のシート110を介在させて対向配置され、コンデンサ126(同図(B)参照)を構成する。
また、左右の導電パターンを連結する連結パターン部分123に、シート110を折れ線111で折り曲げて接着した後に、シート110の打ち抜き孔112によって回路の一部が除去されて、打ち抜き孔112の対向する孔縁に接点124,125が形成されている。
従って、コンデンサ126の両極からそれぞれ伸びるコイル121はその端部に接点124,125を有する構成となる。言い換えれば、LC共振タグ100の回路は、コンデンサ126が二つのコイル121に挟まれた状態で三者が直列配置され、その両端部に接点124,125を有する構成となっており、接点124,125を短絡することで閉回路となる構成である。
同図(B)に示すように、シート110を折れ線111で折り曲げて接着した後の片方の面であって、接点124,125が形成されていない面は、接着剤層が塗布されて接着面131をなしている。そして、この接着面131に剥離紙130が貼着されており、剥離紙130を剥がすことにより接着面131を露出させて、LC共振タグ100を目的とする箇所に接着できるようになっている。
上記LC共振タグ100の接点124,125が、後述する締結具又は接続具の締結又は接続によって導通されると、LC共振タグ100の回路が閉回路となり、共振回路が構成されるようになっている。
LC共振タグ100の接点124と接点125を短絡すると、LC共振タグ100の回路がループを形成して閉回路となる。図3に示すように、閉回路となったLC共振タグ100の回路に、所定周波数の送信電波aを送信すると、送信電波aに共振して振幅の大きくなったエコー波bが発生する。ここで、所定周波数とは、LC共振タグ100の回路が共振を起こす周波数であり、コンデンサ126の容量やコイル121の形状により決定される周波数である。
接点124,125が開放している状態では、LC共振タグ100の回路は閉回路になっておらず共振回路として機能しない。
コンデンサ126と二つのコイル121を直列配置したLC共振タグ100の回路を閉回路にすることにより、共振回路として機能するようになる。
エコー波bの発生の有無を検知することによって、LC共振タグ100の回路が共振回路として機能しているか否かを判定でき、LC共振タグ100の回路が閉回路となっているか否かを判別でき、LC共振タグ100の接点124と接点125が短絡しているか開放しているかを判断できる。
従って、LC共振タグ100を締結具や被締結部材、接続具や被接続部材に接着して締結具の締結完了時や接続具の接続完了時に接点124と接点125を物理的に短絡するようにすれば、締結具による締結の完了或いは接続具による接続の完了とそれらの未了を区別することができる。なお、締結具や接続具による接点124と接点125の物理的短絡方法や手段等については後に詳述する。
また、LC共振タグ100の接点124,125のみを締結具や被締結部材、接続具や被接続部材に接着し、LC共振タグ100は、荷物に針金で縛り付けられた荷札のように、連結パターン部分123を介して接続部或いは締結部近傍に配置してもよい。
なお、接点124,125は、必要に応じて、リード線や、更なる導電パターンによって、配管コネクタ及びクリップの係合面等に延出されてもよい。
更に、本発明においては、このようなLC共振タグ100を用いることは必ずしも必要ではなく、締結具又は接続具に直接導電パターンを形成して、共振回路を構成することも可能である。
この場合の導電パターンは、前述したLC共振タグ100の導電パターンのようにコンデンサ126と二つのコイル121で構成するばかりでなく、コンデンサ126とコイル121の二部材を直列配置する構成としても同様の効果が得られる。コンデンサ126とコイル121の二部材を直列配置して両端に接点を設けたものが最も簡素な構成で低コストとなる。
LC共振タグ100を効率よく製造するために、二つ折り構成とコンデンサ126が二つのコイル121に挟まれて直列配置された導電パターン120を採用しているが、コンデンサ126とコイル121の二部材を直列配置する構成としたLC共振タグ100でも同様の効果が得られることは言うまでもない。
LC共振タグ100を締結具や被締結部材、接続具や被接続部材と別個で製造し、締結具や被締結部材、接続具や被接続部材に接着する構成とした場合には、LC共振タグ100の汎用性が確保され、共通部材化が可能となりコスト低減が期待できる。
一方、導電パターンを締結具や接続具に直接形成した場合は、形成場所やコンデンサやコイルの配置等、個々の場合に合わせて設計できる利点があると共に、導電パターンを形成した締結具や接続具が供給されれば、組み立て現場では従来通りの締結作業や接続作業をするだけで、締結や接続の完了を確認できる利点を享受できる。また、大きさも形状が様様な被締結部材や被接続部材にLC共振タグ100を接着したり、少量多品種の被締結部材や被接続部材にLC共振タグ100を接着したりするよりは、締結具や接続具に導電パターンを形成した方が汎用性があり、コストの低減が期待できる。
ここでいうコンデンサやコイルの配置とは、例えば、二部材からなる接続具の場合、一方に短絡線のみを形成し、他方に共振回路を構成する主要部材であるコンデンサとコイルを直列配置して形成してそれぞれの両端を接点として、両方の接点同士を締結や接続と同時に当接させるように配置する場合や、一方にコンデンサを形成してその両端を接点とし、他方にコイルを形成してその両端を接点として両方の接点同士を締結や接続と同時に当接させるように配置する場合を指す。
このように構成すれば接続具や締結具を構成する二部材の形状や大きさが異なる場合は、狭いスペースしか取れない部材に短絡線のみを配置し、もう一方の部材に共振回路を構成するその他の部材を配置することが可能となる。
或いは所定周波数を得るためにコイルの形状に制約がある場合は、コイル形状に適合する部材にコイルを配置し、他方にコンデンサ等を配置することも可能となる。
また、二部材の大きさが小さ過ぎて配置スペースが取れない場合でも、二部材に短路線やリード線のみを配置して被締結部材や被接続部材に共振回路を構成するその他の部材を配置することが可能になり、多種多様な締結具や接続具に対しての適用が可能となる。
図2(A)、(B)は、本発明で用いられるLC共振タグの他の例を示す表裏面の模式図である。同図(C)、(D)は、上記LC共振タグにおいて表裏面のパターンを接続する方法を示す説明図である。同図(E)は、上記LC共振タグの等価回路図である。
図2に示すLC共振タグ101は、絶縁シート3に銅、アルミニウムなど導電性の帯状パターンを、例えば接着、蒸着、及びエッチング等の手段によって形成することにより、構成されている。図2(A)に示すように、LC共振タグ100の表面に形成された帯状パターンは、コンデンサ(コンダクタンス)126を構成するための比較的広い第1コンデンサ電極板部11と、第1コンデンサ電極板部11の一端から引き出されている細線でうず巻状のコイル121と、コイル121の先端に位置する第1導通部13と、第1コンデンサ電極板部11の他端から引き出された配線14と、配線14の先端に位置する接点15とを含む。
一方、図2(B)に示すように、LC共振タグ101の裏面にも、銅、アルミニウムなど導電性の帯状パターンが形成されており、この帯状パターンは、第1コンデンサ電極板部11とほぼ同じ形状で、第1コンデンサ電極板部11と共にコンデンサ(コンダクタンス)126を構成する第2コンデンサ電極板部21と、コイル121の第1導通部13に連結される第2導通部23と、第2コンデンサ電極板部21と第2導通部23とを最短距離で直線状に連結する連結部22と、第2コンデンサ電極板部21から引き出された第3導通部24とを含む。
また、上記第3導通部24は、LC共振タグ101の表面に設けられた第4導通部16に連結され、更に第4導通部16には接点18が設けられている。LC共振タグ101の表面に設けられた上記接点15、18は所定間隔をおいて対向して配置されている。
第1導通部13と第2導通部23との連結、及び第3導通部24と第4導通部16との連結は、例えば次のようにして行うことができる。図2(C)に示すように、絶縁シート3の表裏面に前記帯状パターンが形成されており、表裏面のパターンの対応する箇所に、第1導通部13と第2導通部23、及び第4導通部16と第3導通部24が、それぞれ配置されている。この絶縁シート3を、凸凹形圧着(プレス)などにより挟み込む。すると、図2(D)に示すように、第1導通部13と第2導通部23とが導通し、第4導通部16と第3導通部24とが導通する。
このため、図2(E)に示すように、コンデンサ126とコイル121とが並列接続され、かつ、コンデンサ126の両端から伸びる1対の接点15,18が所定間隔を置いて対置された状態となる。そして、コネクタの接続或いはクリップの締結と同時に、上記1対の接点15,18間が導通することにより、コンデンサ126の両端部が短絡され、LC共振タグ101が共振回路として機能しなくなるようにされている。
図3には、図1に示したようなLC共振タグ100を検出する装置の一例が示されている。この検出装置150は、送信コントローラ151と、送信アンプ152とを備え、これらによって、所定周波数の電波を送信する送信アンテナ153を有している。また、この送信アンテナ153からの電波を受信する受信アンテナ154と、受信アンプ155と、データプロセッサ156を備え、データプロセッサ156に接続される記憶手段157と、表示警告手段158とに連結されている。
なお、上記において、送信コントローラ151、送信アンプ152及び送信アンテナ153が送信機を構成し、受信アンテナ154及び受信アンプ155が受信機を構成している。ただし、送信アンテナ152と受信アンテナ154や、送信機と受信機とは、送受信アンテナや送受信機として共用することもできる。
締結具の締結或いは接続具の接続を確認するために、検出装置150の送信アンテナ153をそれらに貼り付けたLC共振タグ100に近付ける。
そして、送信コントローラ151と、送信アンプ152とによって、送信アンテナ153から、LC共振タグ100の共振周波数とほぼ同じ周波数の送信電波aを送信すると、LC共振タグ100が共振してエコー波bを発生する。このエコー波bが受信アンテナ154で受信され、受信アンプ155を介してデータプロセッサ156に伝達される。
共振によって発生したエコー波bは、送信電波aと比較して振幅が大きく受信時のレベルが高いので、送信電波aとエコー波bを見分けることができる。
データプロセッサ156は、記憶手段157に記憶された特定周波数における受信レベルと比較して、受信レベルが著しく高まった場合には、上記LC共振タグ100の回路が閉回路となり、共振回路として機能していることを確認する。こうしてLC共振タグ100の回路が共振回路として機能していることを確認すると、そのことを表示警告装置158により表示又は通報する。これによって、作業者は、LC共振タグ100を取付けた締結具又は接続具の締結又は接続が完了したかどうかを瞬時に知ることができる。
送信電波aやエコー波bが到達できる範囲が限られているので、その範囲内に入るように送信アンテナ153と受信アンテナ154を、或いはこれらのアンテナを一体に備えた検出装置150をLC共振タグ100に近付ける必要がある。
その一方で、締結や接続の完了によって共振回路として機能しているLC共振タグ100が複数あった場合でも、複数のLC共振タグ100が送信電波aやエコー波bの到達できる範囲内になければ、アンテナや検出装置をそれぞれのLC共振タグ100に順次近付けることで、複数箇所の締結や接続の完了を順次確認することができる。
なお、上記検出装置150は、図2に示したLC共振タグ101にも適用することができる。その場合には、締結具又は接続具の締結又は接続が完了すると、1対の接点15,18間が導通して、コンデンサ126の両端部が短絡され、LC共振タグ101が共振回路として機能しなくなるようにされているので、受信アンテナ154がエコー波bを検出できなくなることで、締結や接続の完了を確認することができる。
また、コンデンサ126とコイル121の二部材を直列に配置した回路に、電波を送信する代わりに誘導磁界を近付けると、その誘導電磁波に共振した交流電圧を発生させられる。その回路に記憶部、演算部、送信部、受信部、整流部、電源部からなる制御回路を付加し、誘導電磁波に共振して発生した交流電圧を整流して電源とすることにより、制御回路を駆動することができる。
コイル121とコンデンサ126からなる回路が共振回路として機能することを利用して接続或いは締結を確認する方式がLC共振方式であり、コイル121とコンデンサ126と制御回路からなる回路が共振回路として機能することを利用して接続或いは締結を確認する方式がIC共振方式である。
LC共振タグ100に記憶部、演算部、送信部、受信部、整流部、電源部からなる制御回路を付加したものをIC共振タグとする。
絶縁部材からなる可撓性のフィルムやシートに導電パターンを形成して、接続具や締結具或いは被接続具や被締結具に貼り付けるIC共振タグにも、前述したLC共振タグ100と同様の利点があり、この利点はIC共振タグとLC共振タグの代表呼称である共振タグに共通したものである。
検出装置150に誘導磁界発生装置を設けて、締結や接続の完了によって閉回路となり共振回路として機能しているIC共振タグに、検出装置150から誘導電磁波を送信して制御回路を駆動すると、検出装置150と制御回路との間でデータの送受信やデータの演算が可能となるばかりでなく、この回路を設けた接続部や締結部と検出装置150との双方でデータの記憶が可能となる。
この構成によれば、締結具の締結或いは接続具の接続を確認できるばかりでなく、接続作業や締結作業の履歴やこれら作業の検査履歴、接続具や締結具の仕様等をデータ化して双方に保存することで、これらのデータを製造現場や品質管理に使用でき、製品自身にもこれらのデータを書き残すことができる。携帯型の検出装置により、工場から出荷された製品が使用されている場所でこれらのデータを確認することができ、保守点検や事故発生時の原因究明に活用できる。
LC共振タグ100をIC共振タグに置き換えて使用したり、コンデンサ126とコイル121と制御回路からなる導電パターンを接続具や締結具等に直接形成すれば、LC共振タグ100と同様に電磁波を含む電波の共振によって接続或いは締結を確認できるばかりでなく、保守点検や事故発生時の原因究明にも活用できる。
コンデンサ126の容量やコイル121の形状を変更することにより、エコー波bが発生する所定周波数を変更することができるので、所定周波数の送信電波aやエコー波bが到達できる範囲に複数のLC共振タグ100を配置しなければならない場合でも、コンデンサ126の容量やコイル121の形状がそれぞれ異なるLC共振タグ100を配置すれば、各LC共振タグ100が共振を起こす共振周波数、つまり所定周波数が異なるので、複数のLC共振タグ100のそれぞれが共振回路として機能しているのか否かを判別することができる。
なお、各LC共振タグ毎に共振周波数を変えておき、それぞれの箇所の締結具又は接続具毎に異なる共振周波数のLC共振タグを取付け、送信コントローラ151によって、周波数を断続或いは連続して徐々に変化させながら送信アンテナ153から送信電波aを送信し、各LC共振タグ100の固有の共振周波数で共振させることにより発生したエコー波を受信アンテナ154及び受信アンプ155を介して、データプロセッサ156に取り込み、記憶手段157に記憶された対応する周波数における受信レベルと比較して、受信レベルが著しく高まった場合には、対応する共振周波数のLC共振タグ100の回路が閉回路となり共振回路として機能していることを確認することもできる。これによれば、締結又は接続の完了した箇所がどこであるか、完了していない箇所がどこであるかを特定でき、複数の締結又は接続箇所の確認を同時に行う際の作業性を向上させることができる。
本発明が適用される締結具としては、例えばクリップ、ファスナー、ねじ、リベット、ターンクリップ、スクリューグロメット、プッシュオンフィックス、ホースバンドなどが挙げられる。
また、本発明が適用される接続具としては、例えば配管コネクタ、ワンタッチカプラー、スナップリング、電線(ハーネス)コネクタ、光ファイバコネクタなどが挙げられる。
図4〜6には、本発明を燃料配管コネクタに適用した一実施形態が示されている。
この絶縁部材からなるリテーナ付燃料コネクタ200は、導電性の金属からなる管210とホースやチューブ等を接続するもので、管210は、その端部外周に環状突部211を有している。また、図示しないホースやチューブ等は、ハウジング220に接続される。更に、リテーナ付燃料コネクタ200は、上記ハウジング220と、このハウジング220内に予め配置されるストッパ240と、ハウジング220に組付けられるリテーナ260とを備えている。そして、管210の端部を上記ハウジング220に挿入し、リテーナ260をハウジング220に差し込むことによって、リテーナ260を環状突部211に係合させることができるようになり、その接続によって抜け止めされ、接続が完了するようになっている。ハウジング220は燃料を通す貫通孔を軸方向に備えている。
ハウジング220は、図示しないホースやチューブ等が外挿されて接続されるニップル221を一端に有している。そして、ハウジング220の他端は、管210の端部を挿入する開口部222をなしている。ハウジング220の内周には、2個のシールリング223が配置されている。
ハウジング220の両側壁には、後述するストッパ240の一対の突出片241が嵌着される側壁開口224がそれぞれ形成されている。側壁開口224とニップル221との間には、後述するストッパ240に設けられた突出片241の先端と当接する突起が備えられており、管210をハウジング220に完全に挿入すると突出片241がその突起を乗り越えて係止されるので、ストツパ240が位置決めされ、後述するようにリテーナ260の挿入が可能になる。また、ハウジング220の天壁には、リテーナ260のロック片261が挿入される天壁開口225が形成されている。
ストッパ240は、ハウジング220内に挿入される環状部分242を有している。この環状部分242から、ハウジング220の開口部222に向かって、管210の環状突部211に弾性的に係合する係合片243と、前記ハウジング220の両側壁の側壁開口224に嵌着される一対の突出片241とが延出されている。
環状部分242から延出された一対の突出片241は、軸方向に所定の距離だけ伸びた後、ハウジング220の両側壁に向かって斜めに拡開し、先端を後方に折り返されて、ハウジング220の側壁開口224に嵌着している。この突出片241のハウジング開口部222寄りの端部には、外径方向に突出する突起244が形成されている。
この突起244は、管210を挿入する前の初期位置において、リテーナ260に係合し、リテーナ260の差し込みを阻止するが、管210がハウジング220内に挿入されると、管210の環状突部211が係合片243に係合し、管210の移動に伴ってストッパ240が軸方向にスライドし、管210が完全に挿入されると、突起244の係合が外れて、リテーナ260の差し込みが可能となる。すなわち、ストッパ240は、管210がハウジング220内に完全に挿入されるまで、リテーナ260の差し込みを阻止する役割をなしている。
リテーナ260の天壁の内周中央には、ハウジング220の天壁開口225に挿入される2つのロック片261が延出されている。ロック片261は、リテーナ260の両側壁からやや離れて板状に延出され、その下縁部には円弧状に切り欠かれた管当接面262を有している。この管当接面262は、管210の外周に適合する内径を有し、左右の当接面262が管210の外周に嵌合してロック片261が、環状突起211と係合することで、管210がハウジング220と一体となり、抜け外れが防止されている。
リテーナ260の天壁に図1に示したようなLC共振タグ100を貼り付け、LC共振タグ100の回路には、コイル121とコンデンサ126が直列配位され、両端部からロック片261の両側の管当接面262まで導電パターン283、284が延出され、端部に接点283a、284aが形成されている。
従って、リテーナ付燃料コネクタ200によれば、管210をハウジング220の開口部222から挿入すると、ストッパ240の係合片243に管210の環状突部211が弾性的に係合する。そして、管210をハウジング220内に完全に押し込むと、ストッパ240が押し込み方向にスライドし、突起244とリテーナ260との係合が外れて、リテーナ260をハウジング220に差し込むことが可能となる。
そこで、リテーナ260をハウジング220に差し込むと、ロック片261が管210に嵌合し、環状突起211に係合して、管210が抜け止めされて、管210がリテーナ付燃料コネクタ200に連結される。
このとき、ロック片261の両側の管当接面262には、LC共振タグ100の回路の両端部から延出された一対の導電パターン283、284の端部に接点283a、284aが形成されているため、この接点283a、284aが管210に当接し、導電性の金属からなる管210を通じて導通する。その結果、LC共振タグ100の回路が閉回路となり、共振回路として機能する。
従って、この状態で共振回路の共振周波数とほぼ同一の周波数の送信電波aを送信機から送信すると、前記共振回路が送信された電波を反射してエコー波bを発生させる。そのエコー波bを受信機で受信することにより、接続の完了を確認することができる。
接続が完了する前は、LC共振タグ100の回路の両端にそれぞれ繋がる接点283aと接点284aが開放しているので、LC共振タグ100の回路は閉回路になっていない。管210がハウジング220に完全に挿入されない限り、リテーナ260もハウジング220に挿入不能であるので、接点283a,284aが短絡回路であり導電部材である管210と当接しない。LC共振タグ100の回路は閉回路となっていないので、送信機から送信電波aを送信しても、共振回路として機能しないのでエコー波bを発生せず、受信機でエコー波bを受信することがないためリテーナ付燃料コネクタ200の接続の完了が確認されることはない。
図7〜9には、本発明をリテーナ付燃料コネクタに適用した他の実施形態が示されている。なお、図4〜6に示した実施形態と実質的に同じ部分には同符号を付して、その説明を省略することにする。
本実施の形態は、絶縁部材からなる管210の接続に適したリテーナ付燃料コネクタである。
このリテーナ付燃料コネクタは、リテーナ260におけるLC共振タグ100の回路の接点部の構成を変えただけであり、他の部分は、図4〜5に示した実施形態と実質的に同じであるため、上記変更点のみ説明することにする。
図8に示すように、LC共振タグ100の回路は、コイル121と、コンデンサ126を直列配置してその回路の両端に接点124,125を有している。そして、上記接点124,125の間に抜き孔127が形成されている。一方、リテーナ260の天壁には、LC共振タグ100を貼り付けたとき、上記抜き孔127と重なる透孔263が形成されている。
リテーナ260の天壁には、LC共振タグ100を貼り付けた状態で、上記抜き孔127及び透孔263を通して、スイッチ290が挿入されるようになっている。スイッチ290は、上記抜き孔127及び透孔263の内周に適合する絶縁性の樹脂製の基部291と、この基部291を貫通して下方に伸びる一対の平行な弾性金属片292、293とを有している。
金属片292、293の上端部292a、293aは、基部291から露出した状態でフランジ状に折曲され、上記LC共振タグ100の接点124,125に当接するようになっている。また、金属片292、293の下端部は、接点292b、293bをなしている。一方の接点292bは、他方の接点293bに当接しやすくするために突起状をなしている。
これらの接点292b、293bは、リテーナ260のロック片261の管当接面262に、一方の接点292bが内周から突出するように配置され、ロック片261が管210に嵌合すると、一方の接点292bが管210に押圧されて他方の接点293b側に撓み、他方の接点293bに当接してLC共振タグ100の回路が閉回路となり、共振回路として機能する。
この実施形態においても、管210をハウジング220に完全に挿入すると、リテーナ260がハウジング220に差し込めて、ロック片261を管210に嵌合させ、環状突起211に係合させて接続を完了すると、上記接点292b、293bに当接してLC共振タグ100の回路が閉回路となり、共振回路として機能するので、共振回路の共振周波数とほぼ同一の周波数の送信電波aを送信機から送信し、前記共振回路によって反射されたエコー波bを受信機で受信することにより、接続の完了を確認することができる。
接続が完了する前は、LC共振タグ100の回路の両端にそれぞれ繋がる接点292bと接点293bが開放しているので、LC共振タグ100の回路も閉回路となっていない。管210がハウジング220に完全に挿入されない限り、リテーナ260もハウジング220に挿入不能となり、接点292bは絶縁部材からなる管210に押圧されないので接点293bと当接することもない。接点292bと接点293bが開放された状態を保持したままとなりLC共振タグ100の回路は閉回路とならない。送信機から送信電波aを送信しても、共振回路として機能しないのでエコー波bが発生せず、受信機でエコー波bを受信することがないためリテーナ付燃料コネクタ200の接続の完了が確認されることはない。
上述のように、リテーナ付燃料コネクタ200は管210が導電性の材質であっても、絶縁性の材質であっても適応できる。
本実施の形態におけるリテーナ付燃料コネクタ200は、自動車の燃料配管を接続するためのものであるので、管210やホースやチューブ等を被接続部材とした接続用途に限らず、管210を燃料配管経路の途中に配設されるカットオフバルブやシャットオフバルブ、チェックバルブ、ドレインバルブといった燃料の流れ方向制御や流量制御等のための弁機能を持った部材や燃料タンク等を被接続部材として直接接続するように構成することも可能である。
その際には、弁機能を持った部材や燃料タンク等にハウジング220を延設するか、それら部材等にハウジング220を取付ける構成とすればよい。また、ホースやチューブ等と弁機能を持った部材や燃料タンク等を接続する場合は、管210をそれらの部材に取付けることになる。更に、リテーナ付燃料コネクタ200をそれらの部材に取付けることにより、弁機能を持った部材や燃料タンク等同士を直接接続することも可能である。
どの被接続部材を接続する場合でも、前述と同様にしてそれぞれの被接続部材同士の接続完了を確実に即座に簡単に非接触で確認できることは言うまでもない。
弁機能を持った部材や燃料タンク等に取付ける場合には、燃料コネクタ200のLC共振タグ100をそれらの部材に移設して、燃料コネクタ200とLC共振タグ100との間を導電パターン等で繋げて接続を確認することもできる。
ここで、LCタグ100の接点124,125を予め短路線で短絡してLCタグ100の回路を閉回路にして共振回路として機能させておき、その短絡線を図示しない透孔上に配置して、リテーナ260を押し下げたとき、ハウジング220側から立設した先端の尖った突起が、上記透孔から突き出すようにしておき、この突起によって短絡線を切断して閉回路を遮断し、共振回路としての機能を失わせる構成としても、接続の確認を行うことができる。
短絡線を切断しない限り、共振回路として機能しているので、送信機から送信電波aを送信するとエコー波bが発生して受信機がエコー波bを受信するので、スイッチが透孔263に挿入されていないことが確認され、管210とリテーナ付燃料コネクタ200の接続が行われていないと判断する。
リテーナ260を押し下げてハウジング220側から突き出す突起によって短路線を切断すると、接点125、126の間で回路が遮断されて共振回路として機能しないので、送信機から送信電波aを送信しても、エコー波bが発生せず、受信機でエコー波bを受信することがないため、前述の実施の形態と同様に管210とリテーナ付燃料コネクタ200の接続の完了が確認される。
ここで、接点125,126をもたずに閉回路を構成している導電パターンをもったLC共振タグを使用することもできる。
従ってこのような構成では、特に接点125,126を必要としないばかりか、弾性金属片292,292も不要となるので安価な構成で接続の確認ができる。
図10,11には、本発明を3ピース配管コネクタに適用した更に他の実施形態が示されている。
この3ピース配管コネクタ300は、管310の端部に形成されて絶縁部材からなるた差込み部320と、管311の端部に形成されて絶縁部材からなるソケット340と、ソケット340に装着される導電性の金属からなる屈曲ワイヤで形成されたストッパ360とで構成されている。
差込み部320は、先端テーパ部321から、ストレート部322を経て、拡径テーパ部323に至る形状をなすと共に、拡径テーパ部323の頂部外周に、環状溝部324と位置決め用突起325とが形成された構造をなし、軸線に沿って貫通孔を有している。
ソケット340は、管311に対して所定角度、この実施形態の場合、約60度で連結され、軸線に沿って貫通孔を有している。また、この実施形態では、管311の端部は、図示しないホース、チューブ等が差し込み易いように、先細テーパ状の差込み口312をなしている。
ソケット340は、段階的に拡径する形状をなし、上記差込み口312よりもやや拡径した第1拡径部341と、この第1拡径部341からやや拡径した第2拡径部342と、第2拡径部342から更に拡径した第3拡径部343とを有する。ソケット340の上記管311と反対側の端部は、差込み部320を受け入れる挿入口350をなしている。
上記第1拡径部341の内周には、上記差込み部320の先端テーパ部321が挿入される。上記第2拡径部342の内周には、図示しないOリングが配置され、上記差込み部320のストレート部322が挿入される。
第3拡径部343の内周には、上記差込み部320の拡径テーパ部323と、環状溝部324とが挿入され、この環状溝部324に前記ストッパ360が嵌合して抜け止めされるようになっている。また、ソケット340の第3拡径部343には、前記差込み部340の位置決め用突起325が挿入されるガイド溝344が形成されている。
ソケット340の第3拡径部343には、ストッパ360が挿入される切欠き溝345が形成されている。切欠き溝345は、第3拡径部343の周方向の対向する部分に沿って、ソケット340の内外を貫通するようにスリット状に形成されている。
第3拡径部343外周の切欠き溝345の上半部には、切欠き溝345の対向縁部から突出するリブ346が形成され、ストッパ360を挟んで確実に保持するようにしている。第3拡径部343外周の切欠き溝345の中間部には、ソケット320の端部側に、周方向に沿った断面がV字状の凹部347が形成されている。第3拡径部343外周の切欠き溝345の下端には、ストッパ360の端部を収容するためのコ字状の壁で囲まれた収容凹部348が形成されている。
ストッパ360は、全体として門形に屈曲させたワイヤ等で構成されている。ストッパ360の両端部には、ソケット320の軸方向、差込み口側に向けてほぼ90°で屈曲された前方屈曲部361が形成されている。更に、前方屈曲部361からやや基部寄り部分には、内側に円弧状に屈曲した内方屈曲部362が形成されている。
ストッパ360をソケット340に装着する場合には、ストッパ360の両端部を広げながら、ソケット340の切欠き溝345に挿入しつつ上方から被せると、まず、ストッパ360の前方屈曲部361が、ソケット340外周のV字状の凹部347に嵌合して仮保持される。この状態で更に強く下方に押し込むと、ストッパ360の両端部が再び広がりながらスライドし、前方屈曲部361が収容凹部348に嵌合する。
このとき、図11に示すように、ストッパ360の両端部は、ソケット360の切欠き溝345に挿入されて、切欠き溝345の円周を弦のように横切って、その一部が切欠き溝345の内周から内側に突出した状態となり、特に内側屈曲部362は、内側に大きく突出する。
管310の端部に形成された差込み部320のストレート部322に、LC共振タグ100が貼付されており、このLC共振タグ100の回路の両端の接点124,125に接続されたそれぞれのリード部170が環状溝部324の内壁にまで伸びて、環状溝部324の底面にそれぞれの導電パターン171をなしていることである。
従って、管310、311を接続する際には、位置決め用突起325をガイド溝344に合わせながら、ストッパ360を嵌着した管311のソケット340に管310の差込み部320を挿入する。ストッパ360は切欠き溝345から内側に突出しており、その部分が差込み部320の拡径テーパ部323に当接して押し広げられながら、差込み部320が挿入されていく。そして、ストッパ360の両端部が、差込み部320の環状溝部324に嵌合して、管310と管311の接続が完了する。
こうして、接続が完了すると、ストッパ360の両端部が、環状溝部324の底面を押圧してそれぞれの導電パターン171に当接するため、ストッパ360を介して、一対のリード150が導通し、LC共振タグ100の回路が閉回路となり、共振回路として機能する。そこで、共振回路の共振周波数とほぼ同一の周波数の送信電波aを送信機から送信し、前記共振回路によって反射されたエコー波bを受信機で受信することにより、接続の完了を確認することができる。
接続が完了する前は、LC共振タグ100の回路の両端に夫々繋がる一対の導電パターン171が開放しているので、LC共振タグ100の回路も閉回路となっていない。管310が管311のソケット340に完全に挿入されない限り、短絡回路であり短絡部材であるストツパ360が環状溝部324に挿入不能となり、ストッパ360の両端部が環状溝部底面に形成された夫々の導電パターン171と当接することはない。導電パターン171同士が開放された状態を保持したままとなり、送信機から送信電波aを送信しても、共振回路として機能しないのでエコー波bが発生せず、受信機でエコー波bを受信することがないため3ピース配管コネクタ300の接続の完了が確認されることはない。
本実施の形態における3ピース配管コネクタ300は、自動車の冷却水配管を接続するためのものであるので、管310と管311に装着したホースやチューブを被接続部材とした接続用途に限らない。
差し込み部320の端部に管310の代わりにニップルを形成してホースやチューブを装着し、差し込み部320とソケット340を接続すれば、ホースやチューブ同士の接続にも使用できる。
また、差し込み部320とソケット340の何れかを、冷却に使用する機器やラジエタ一等の部材と一体で形成したり、それらに取付けたりすることにより、冷却に使用する機器やラジエタ一等の部材と管或いはホースやチューブとの接続にも使用できる。
どの被接続部材を接続する場合でも、前述と同様にしてそれぞれの被接続部材同士の接続完了を確実に即座に簡単に非接触で確認できることは言うまでもない。
図12には、本発明を配管コネクタに適用した更に他の実施形態が示されている。
この2ピース配管コネクタ400は、管410とホースやチューブ等を接続するもので、同図(A)に示すように、管410の端部に先細テーパ状の拡径部411が形成されている。
また、管410と接続するコネクタ本体420は、絶縁部材からなり、ホースやチューブを外挿させるニップル421に連結する。ニップル421とは反対側の端部424は、その先端外周424aが先細テーパ状をなし、管410の内周に挿入されるようになっている。そして、端部424の外周には、Oリング425が装着される。コネクタ本体420は軸線に沿って貫通孔を有している。
同図(B)を併せて参照すると、コネクタ本体420外周の対向する2箇所から弾性片422が延出されて、上記端部424を覆うように伸びている。そして、それぞれの弾性片422の端部には、環状のバンド423が一体に連結され、このバンド423の内周423aはその端部に向かって次第に拡径するテーパ状をなしている。そして、バンド423内周の上記弾性片422と連結されている部分には、拡径段部423bが形成されている。
従って、管410は、コネクタ本体420の端部424と、バンド423との間に挿入され、管410の拡径部411が、バンド423の拡径段部423bに係合することによって抜け止めがなされ、管410がコネクタ本体420に完全に連結されるようになっている。
同図(C)に示すように、二箇所あるバンド423と弾性片422との連結部分のそれぞれに、導電プレート430が取付けられている。この導電プレート430は、同図(A)に示すように、弾性片422及びバンド423を貫通して、バンド423の拡径段部423bにある導電パターン431につながっている。また、管410の拡径部411の係合段部には、環状の導電パターン412が形成されている。
そして、同図(D)に示すLC共振タグ100が、上記バンド423の外周に貼られている。このLC共振タグ100は、細長い長方形シート部134と、この長方形シート部134の両端から、それと直交する方向に伸びるアーム状シート部135とを有している。このアーム状シート部135の内周(すなわち、コネクタ本体420に接する側)に、接点124,125が設けられている。そして、LC共振タグ100の長方形シート部134を上記バンド423の外周に貼り付け、上記アーム状シート部135を弾性片422に貼り付け、接点124,125を弾性片422の導電プレート430に当接させて導通させている。
管410がコネクタ本体420に完全に挿入されると、管410の拡径部411が、バンド423の拡径段部423bに係合し、管410の拡径部411の係合段部に形成された環状の導電パターン412が、コネクタ本体420のバンド423の拡径段部423bに形成された一対の導電パターン431の双方に当接し、それらを導通させる。
導電パターン431は、導電プレート430を介して、LC共振タグ100の接点124,125と導通しているので、結局、LC共振タグ100の接点124,125が互いに導通し、LC共振タグ100の回路が閉回路となり、共振回路として機能することになる。そこで、共振回路の共振周波数とほぼ同一の周波数の送信電波aを送信機から送信し、前記共振回路によって反射されたエコー波bを受信機で受信することにより、接続の完了を確認することができる。
接続が完了する前は、LC共振タグ100の回路の両端に夫々繋がる一対の導電パターン431が開放しているので、LC共振タグ100の回路も閉回路となっていない。短絡回路であり導電部材である管410がコネクタ本体420に完全に挿入されないと、拡径部411の係合段部が拡径段部423bと係合しないので、環状の導電パターン412が二つの導電パターン431と当接することはない。導電パターン431同士が開放された状態を保持したままとなり、送信機から送信電波aを送信しても、共振回路として機能しないのでエコー波bが発生せず、受信機でエコー波bを受信することがないため2ピース配管コネクタ400の接続の完了が確認されることはない。
本実施の形態における2ピース配管コネクタ400は、自動車の冷却水配管を接続するためのものであるので、被接続部材を管410やコネクタ本体420に装着したホースやチューブとした接続用途に限らない。
管410の端部にニップルを形成してホースやチューブを装着し、管410とコネクタ本体420を接続すれば、ホースやチューブ同士の接続にも使用できる。
また、管410とコネクタ本体420の何れかを、冷却に使用する機器やラジエタ一等の部材と一体で形成したり、それらに取付けたりすることにより、冷却に使用する機器やラジエタ一等の部材と管或いはホースやチューブとの接続にも使用できる。
どの被接続部材を接続する場合でも、前述と同様にしてそれぞれの被接続部材同士の接続完了を確実に即座に簡単に非接触で確認できることは言うまでもない。
また、管410を導電性の素材からなる導電部材とすることで、それ自身が短絡回路となり環状の導電パターン412と同等の機能となるので、導電パターン412を除去することも可能である。
図13〜15には、本発明を燃料コネクタに適用した更に他の実施形態が示されている。
この燃料コネクタ500は絶縁部材からなり、例えば図15に示した自動車の燃料タンク内に配設される燃料カットバルブ501への配管接続などに好適に用いられる。燃料カットバルブ501は、燃料タンク内の蒸気を、バルブ510に接続された配管を通してキャニスターに送ると共に、自動車の揺れ等によって燃料が上昇したときには、内蔵するフロート弁によって通路を塞ぐようにするものである。
すなわち、燃料カットバルブ501には、図13に示すような導電性の金属からなる管502が取付けられている。管502は、燃料タンク内の蒸気を排出するためのもので、その外周に環状のリブ503を有している。そして、この管502に、燃料コネクタ500を介して、チューブ504が接続されるようになっている。チューブ504は、燃料タンク外に取り出されて図示しないキャニスター等に連通される。
この燃料コネクタ500は、筒状の本体部510とその軸線方向に伸びる貫通孔を有している。本体部510の一端は軸方向に伸びる竹の子形状の接続管部511をなし、この接続管部511には、上記チューブ504が外挿されて接続されている。
本体部510の前記接続管部511と反対側の端部には、管502を受け入れる挿入孔512が開口し、この開口縁には、フランジ状に拡径した規制部513が形成されている。貫通孔に続く挿入孔512は、管502の外径より大きな内径に拡径された部分を有し、その拡径部分に環状のスライド部材530が、本体部510に対しスライド可能に挿入されている。そして、スライド部材530の先端部534と、挿入孔512の拡径部分の端部との間に、Oリング514,515が介装されており、管502と本体部510との間をシールしている。
スライド部材530は、外周の対向する2箇所で外方に延出された押え片531と、この押え片531に対して90度離れた部分から同じく外方に突設された嵌合凸部532とを有している。押え片531は、本体部510の開口516を通して本体部510の外部に突出されている。また、嵌合凸部532は、本体部510の別の開口517に嵌合している。
スライド部材530の内周には、管502のフランジ503が嵌合する環状溝533が形成されている。更に、スライド部材530の先端部534は、スライド部材530が挿入孔512の開口側に移動したとき、規制部513の内周に挿入されて拡開が阻止されると共に、スライド部材530が挿入孔512の奥方に位置するときには、規制部513から離れて開口516を通して拡開可能とされている。
本体部510の外周面にLC共振タグ100を貼り付け、その回路の両端の接点124,125のそれぞれにリード線140を繋げて、このリード線をスライド部材530の環状溝533の内周に形成された2つの導電パターン533aに繋げてある。
この燃料コネクタ500の接続に際しては、まず、スライド部材530を挿入孔512の奥方に移動させ、スライド部材530の先端部534が本体部510の規制部513から離れ、先端部534が開口516を通して拡開可能な状態となるようにしておく。
この状態で本体部510の挿入孔512に管502を挿入すると、スライド部材530の先端部534が外方に撓んで拡開し、管502のフランジ503が環状溝533に嵌合する。
こうして管502の接続が完了すると、管502のフランジ503が環状溝533の内周の導電パターン533aに当接するため、各リード線140に接続された導電パターン533aどうしが管502を介して導通し、LC共振タグ100の回路が閉回路となり、共振回路として機能することになる。そこで、共振回路の共振周波数とほぼ同一の周波数の送信電波aを送信機から送信し、前記共振回路によって反射されたエコー波bを受信機で受信することにより、接続の完了を確認することができる。
接続が完了する前は、LC共振タグ100の回路の両端にそれぞれ繋がる一対の導電パターン533aが開放しているので、LC共振タグ100の回路も閉回路となっていない。短絡回路であり導電部材である管502が燃料コネクタ500に完全に挿入されない限り、フランジ503が環状溝533に嵌合しないので、フランジ503が二つの導電パターン533aと当接することはない。導電パターン533a同士が開放された状態を保持したままとなり、送信機から送信電波aを送信しても、共振回路として機能しないのでエコー波bが発生せず、受信機でエコー波bを受信することがないため燃料コネクタ500の接続の完了が確認されることはない。
なお、上記の状態で管502を引き抜き方向に引っ張ると、管502のフランジ503が嵌合したスライド部材530が同方向に引っ張られ、スライド部材530が開口側へスライドされる。すると、スライド部材530の先端部534は、規制部513から離れた状態から、規制部513の内周に嵌り込んだ状態となり、拡径できなくなる。その結果、環状溝533に嵌合した管502のフランジ503が同環状溝533から脱出できなくなり、抜け止めがなされる。
一方、管502を本体部510から引抜いて再び分離したい場合には、管502を一旦、本体部510の挿入孔512に押し込み、押え片531を手で押えてスライド部材530を挿入孔512の奥方に移動させた位置に保持させながら、管502を引き抜き方向に引張ると、スライド部材530の先端部534が開口516を通して拡開するため、管502のフランジ503が環状溝533から外れ、管502を本体部510の挿入孔512から抜き出すことが可能となる。
図16,17には、本発明を燃料コネクタに適用した更に他の実施形態が示されている。なお、前記図13〜15の実施形態と同一部分には同符号を付してその説明を省略することにする。
本実施の形態は、絶縁部材からなる管502の接続に適した燃料コネクタである。
この実施形態のコネクタ自体の構造は、前記図13〜15に記載された実施形態とほぼ同じである。この実施形態の特徴は、LC共振タグ100がスライド部材530に貼り付けられていることにある。
すなわち、スライド部材530は、円筒部535と、この円筒部535の一端面から、ほぼ90度ずつの間隔で、軸方向に伸びる合計4つの突片536、537、538、539とを有している。そして、周方向に対向する一対の突片537、539には、前記押さえ片531が一体に形成されている。また、上記突片537、539に対して90度ずれて形成された、周方向に対向する一対の突片536、538には、前記嵌合凸部532が形成されている。図13〜14の実施形態で説明したように、押え片531は、本体部510の開口516を通して本体部510の外部に突出され、また、嵌合凸部532は、本体部510の別の開口517に嵌合する。上記4つの突片536、537、538、539の先端部内周には、前記環状溝533がそれぞれ形成されている。
そして、隣接する一対の突片536、539から周方向に沿って導電部材からなる帯片540、541が延出されており、これらの帯片540、541の先端は半径方向にややずれて所定の間隙を設けて重なっていて、それらの対向面に接点542、543が形成されている。また、上記円筒部535の外周にLC共振タグ100が貼付けられており、その開放された一対の接点に導通するリード線が、上記接点542、543のそれぞれに接続されている。なお、リード線や上記接点542,543は、スライド部材530表面に導体パターンを設けることによって形成することができる。
従って、この実施形態では、前記図13〜15に示した管502のフランジ503が、スライド部材530の環状溝533に嵌合して接続が完了すると、上記突片536、537、538、539が拡開する。このとき、外側の帯片540は、本体部510の内周に拘束されて広がらないのに対し、内側の帯片541は突片539と共に広がるため、上記接点542,543が当接し、LC共振タグ100の回路が閉回路となり、共振回路として機能することになる。そこで、共振回路の共振周波数とほぼ同一の周波数の送信電波aを送信機から送信し、前記共振回路によって反射されたエコー波bを受信機で受信することにより、接続の完了を確認することができる。
接続が完了する前は、LC共振タグ100の両端に夫々繋がる接点542,543が開放しているので、LC共振タグ100の回路も閉回路となっていない。絶縁部材である管502が燃料コネクタ500に完全に挿入されない限り、帯片541を備えている突片539が放射状に拡開せず、帯片541も法線方向に広がらないので、接点542と接点543が当接することはない。接点542,543が開放された状態を保持したままとなり、送信機から送信電波aを送信しても、共振回路として機能しないのでエコー波bが発生せず、受信機でエコー波bを受信することがないため燃料コネクタ500の接続の完了が確認されることはない。
上述のように、燃料コネクタ500は管502が導電性の材質であっても、絶縁性の材質であっても適応できる。
本実施の形態における燃料コネクタ500は、被接続部材であるホースやチューブ等との接続や管502を備えた燃料カットバルブを被接続部材としたものとの接続に限らず、管502を備えたカットオフバルブやシャットオフバルブ、チェックバルブ、ドレインバルブといった燃料の流れ方向制御や流量制御等のための弁機能を持った部材や燃料タンク等を被接続部材としたものとの接続にも適用できる。
先端に管502を装着したホースやチューブと燃料コネクタ500を接続することでホースやチューブ同士を接続することも可能である。
また、弁機能を持った部材や燃料タンク等に燃料コネクタ500を取付けて一方の被接続部材として、弁機能を持った部材や燃料タンク等に管502を取付けて他方の被接続部材として、それらを直接接続することも可能となる。
どの被接続部材同士を接続する場合でも、前述と同様にしてそれぞれの被接続部材同士の接続完了を確実に即座に簡単に非接触で確認できることは言うまでもない。
弁機能を持った部材や燃料タンク等に取付ける場合には、燃料コネクタ500のLC共振タグ100をそれらの部材に移設して、燃料コネクタ500とLC共振タグ100との間を導電パターン等で繋げて接続を確認することもできる。
上述したように、多種多様なコネクタ(接続具とする)は、被接続部材同士の接続完了を確実に即座に簡単に非接触で確認できる。
自動車のエンジンルーム等においては、エンジン冷却のための冷却水配管や、エンジンの燃料配管が密集して縦横に配設され、それら配管の接続箇所も多数存在する。これら多数の接続箇所の接続完了を確認するためには、前述したようにそれぞれの接続具や被接続部材或いは接続箇所にコンデンサ126の容量やコイル121の形状が異なるLC共振タグ100を使用したり、接続具自身に形成した回路のコンデンサ126の容量やコイル121の形状を変えた接続具をそれぞれの接続箇所ごとに別個に使用したりすれば、それぞれの接続箇所ごとの接続完了を確認することができる。
図18には、本発明を挿通孔に差し込んで弾性脚とフランジにより二つの被締結部材を重ねて締結するボタンクリップに適用した一実施形態が示されている。
このクリップ600は、絶縁部材からなり、被締結部材であるパネル601,602を締結するものであり、頭部610と、脚部620とを有している。頭部610は、フランジ状に広がる円形の外周と、曲面状に突出する上面とを有している。脚部620は、頭部610の下面からほぼ垂直に伸びる平行な一対の支柱621,621と、この支柱の途中から外径方向に延出された係合爪部622,622と、係合爪部622,622の先端部を山形テーパ状に形成して連結させた連結部623とで構成されている。
パネル601,602には、ボタンクリップの挿入孔603(図18には便宜上パネル601の挿入孔だけが示されている)が形成されており、ボタンクリップ600による締結の際には、これらの挿入孔603が重なるようにパネル601、602が重ね合わされる。
そして、ボタンクリップ600の脚部620に、金属のワッシャ630を通して、上記重ね合わされたパネル601,602の挿入孔603に挿入すると、脚部620が内側に撓んで係合爪部622,622が挿入孔603を通り抜け、パネル602の挿入孔の裏側の開口縁に係合する。その結果、パネル601,602がクリップ600によって締結されることになる。
頭部610と向き合って係合爪部622を形成する面は、挿入方向に向かって開いた形状をした斜面624であり、締結完了時には、この係合爪部622の斜面624がパネル620の挿入孔603の開口縁に係合している。
挿入孔603 に挿入の際に内側に擦んだ係合爪部622が、挿入孔603を通り抜けて元に戻ろうとしてその弾性力が外径方向に働くので、挿入孔603の開口縁に係合した斜面624によって挿入方向と逆向きに分力が発生する。
従って、ボタンクリップ600による締結が完了すると、頭部610と係合爪部622で二つの部材601,602を押圧した状態となる。
上記パネル601,602のうち、ボタンクリップ600の挿入側に位置するパネル601に、LC共振タグ100が貼られている。そして、LC共振タグ100の接点124,125が、上記挿入孔603を挟んで対置されている。その結果、上記締結がなされて、金属のワッシャ630が接点124,125に接触すると、LC共振タグ100の回路が閉回路となり、共振回路として機能することになる。そこで、共振回路の共振周波数とほぼ同一の周波数の送信電波aを送信機から送信し、前記共振回路によって反射されたエコー波bを受信機で受信することにより、締結の完了を確認することができる。
締結が完了する前は、LC共振タグ100の接点124と接点125が開放しているので、LC共振タグ100の回路も閉回路となっていない。ボタンクリップ600の頭部610とパネル602に係合した係合爪部622によって、短絡回路であり導電部材である金属のワッシャ630が接点124と接点125に確実に押圧されない限り、接点124と接点125が金属のワッシャ630と当接した状態を安定して維持することはない。例えば、ボタンクリップ600を挿入孔603には挿入したが、係合爪部622がパネル602に係合していない場合などは、当接状態が安定して維持されないので、LC共振タグ100の回路が閉回路となったりならなかったりする。その場合、送信機から送信電波aを送信しても、共振回路として機能したりしなかったりして、エコー波bが発生したり途切れたりするので、受信機でエコー波bを継続して受信することがないためパネル601とパネル602の締結の完了が確認されることはない。
図19、20には、本発明をボタンクリップに適用した他の実施形態が示されている。この実施形態は、前記図18に示した実施形態と基本的な構成が同じなので、同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
金属のワッシャを用いずに締結を行うことができるこのボタンクリップ600aは、絶縁部材からなる頭部610のフランジ部の下面に環状の導電パターン611が形成されている。また、LC共振タグ100の接点124a、125aは、半田付け等の手段で盛り上がっている。また、その他の構成は、図18の実施形態と同じである。
ボタンクリップ600aは、一対のパネル601,602の挿入孔603に、ボタンクリップ600aの脚部620を挿入すると、脚部620が内側に撓んで係合爪部622,622が挿入孔603を通り抜け、裏側のパネル602の挿入孔の開口縁に係合し、一対のパネル601,602が締結される。そのとき、ボタンクリップ600aの頭部610の下面に形成された導電パターン611が、LC共振タグ100の盛り上がった接点124a、125aに当接し、LC共振タグ100の回路が閉回路となり、共振回路として機能することになる。従って、金属のワッシャを用いずに、締結の完了を確認することが可能になる。
締結が完了する前は、LC共振タグ100の接点124aと接点125aが開放しているので、LC共振タグ100の回路も閉回路となっていない。ボタンクリップ600aの頭部610とパネル602に係合した係合爪部622によって、短絡回路であり短絡線でもある環状の導通パターン611が接点124aと接点125aに押圧されない限り、接点124aと接点125aが導道パターン611と当接した状態を安定して維持することはない。例えば、ボタンクリップ600aを挿入孔603には挿入したが、係合爪部622がパネル602に係合していない場合などは、当接した状態が安定して維持されないので、LC共振タグ100の回路が閉回路となったりならなかったりする。送信機から送信電波aを送信しても、共振回路として機能したりしなかったりして、エコー波bが発生したり途切れたりするので、受信機でエコー波bを継続して受信することがないためパネル601とパネル602の締結の完了が確認されることはない。
図示しないが、頭部に部品を取付けたクリップを被締結部材であるパネルに締結する場合でも、LC共振タグ100の接点124,125がクリップを挿入する孔縁に対向するように、LC共振タグ100をパネルに貼り付け、クリップ締結時に短絡回路であり導電部材である金属のワッシャ630や短絡線である導電パターン611で接点124,125が短絡するようにすれば、クリップとパネルの締結を確認することができることは言うまでもない。
ここで、LCタグ100の接点124,125を予め短絡線で短絡してLCタグ100の回路を閉回路にして共振回路として機能させておき、その短路線を挿入孔603上に配置して、接点124,125と当接する部分が絶縁部材で構成されたボタンクリップ600,600aを、挿入孔603に挿入する際にクリップの先端によって短絡線を切断して閉回路を遮断し、共振回路としての機能を失わせる構成としても、締結の確認を行うことができる。
短絡線を切断しない限り、共振回路として機能しているので、送信機から送信電波aを送信するとエコー波bが発生して受信機がエコー波bを受信するので、ボタンクリップ600,600aが挿入孔に挿入されていないことが確認され、パネル601とパネル602の締結が行われていないと判断する。
ボタンクリップ600,600aの先端によって短絡線を切断すると、短絡線の切断が締結完了を意味することとなり、更にボタンクリップ600,600aを挿入して実際の締結を完了すると挿入方向に分力が発生してパネル601,602に締結力が働くと、接点124,125はクリップの絶縁部材で押圧され、接点124と接点125が当接することはないので、送信機から送信電波aを送信しても、共振回路として機能しないのでエコー波bが発生せず、受信機でエコー波bを受信することがないため、前述の実施の形態と同様にパネル601とパネル602の締結の完了が確認される。
ここで、接点125,126と短絡線をリード線に置き換えた導電パターンをもったLC共振タグを使用することもできる。
従ってこのような構成では、特に接点125,126を必要としないばかりか、金属のワッシャ630や導電パターン611も不要となるので安価な構成で締結の確認ができる。
図21には、本発明を挿入孔に差し込んで自転させることにより被締結部材を締結するターンクリップに適用した更に他の実施形態が示されている。
このターンクリップ700は、絶縁部材からなる直方体状の頭部710と、この頭部710の一面に一体形成されたスカート状に広がるシールパッド720と、このシールパッド720を介して、前記頭部710に対してT字状に伸びる支柱730と、支柱730の下端に同じくT字状に連結された直方体状の係合部740とを有している。
そして、上記係合部740には、頭部710と対向する面である係合面に支柱730を挟んで、出張った接点751,751が形成されている。これらの接点751,752は、係合部740に形成された導電パターン753の両端につながっている。
一方、一対のパネル601、602には、中心の円形部分604aと、この円形部分604aの対向する周縁から外方に伸びる切欠き部604bとで構成された挿入孔604が形成されている(図21においては便宜上、一方のパネル602の挿入孔のみを示している)。
また、この実施形態では、ターンクリップ700の挿入方向に対して裏面側のパネル602の外側面にLC共振タグ100が貼り付けられている。そして、LC共振タグ100の窪んだ接点124b,125bが、上記挿入孔604を挟んで対置されている。この場合、接点124b,125bは、上記挿入孔604の切欠き部604bが配置された部分と直交する方向に配置されている。
ターンクリップ700においては、上記挿入孔604が整合するように、パネル601、602を重ねて、パネル601側から上記挿入孔604にターンクリップ700の係合部740及び支柱730を挿入する。このとき、係合部740の長手方向が、挿入孔604の切欠き部604bに沿った方向にすることにより、係合部740を挿入することができる。
こうして、係合部740が裏面側のパネル602の外側に突出したら、ターンクリップ700を90度回転させて、係合部740を裏面側のパネル602の挿入孔604の周縁に係合させる。このとき、シールパッド720が表側のパネル601に弾性的に圧着されるため、係合部740の係合面が裏面側のパネル602に圧接される。
このとき、裏面側のパネル602の該当箇所には、LC共振タグ100の接点124b,125bが配置されているので、係合部740の係合面に形成された出張った接点751が、窪んだ接点124b,125bのいずれかに入り込んで押圧すると共に当接し、接点752が残りの接点に入り込んで押圧すると共に当接する。その結果、LC共振タグ100の開かれた接点124b,125bは、係合部740の係合面に形成された接点751,752と、それらと繋がる導電パターン753を介して繋がり、LC共振タグ100の回路が閉回路となり、共振回路として機能することになる。そこで、共振回路の共振周波数とほぼ同一の周波数の送信電波aを送信機から送信し、前記共振回路によって反射されたエコー波bを受信機で受信することにより、締結の完了を確認することができる。
締結が完了する前は、LC共振タグ100の接点124bと接点125bが開放しているので、LC共振タグ100の回路が閉回路になっていない。ターンクリップ700のシールパッド720とパネル602に係合した係合爪部740によって、短絡回路であり短絡線である導電パターン753 の両端にある接点751,752が接点124bにも接点125bにも押圧されない限り、接点124bが接点751または接点752と、接点125bが残りの接点と当接した状態を安定して維持することはない。例えば、ターンクリップ700を挿入孔603には挿入して回転させたが、回転角度が90度に満たなかった場合などは、接点751,752の出張りが接点124b,125bの窪みに入り込んで押圧しないので、当接した状態が安定して維持されず、LC共振タグ100の回路が開放されたり閉回路となったりする。送信機から送信電波aを送信しても、共振回路として機能したりしなかったりして、エコー波bが発生したり途切れたりするので、受信機でエコー波bを継続して受信することがないためパネル601とパネル602の締結の完了が確認されることはない。
図22〜25には、本発明を2ピースクリップに適用した更に他の実施形態が示されている。この2ピースクリップ800は、ピン部材810とグロメット840とから構成されている。
ピン部材810は、フランジ状の頭部811と、この頭部811の下面中心部より垂直に伸びる断面十字状の軸部812と、この軸部812の中間部に形成された環状の第1縮径部813と、この環状の第1縮径部813からテーパ状に拡径する第1拡径部814と、この第1拡径部814から軸部812の先端に向かってテーパ状に縮径する第2縮径部815と、この第2縮径部815に隣接する第2拡径部816と、先細テーパ状をなす先端部817とで構成されている。
第2縮径部815と第2拡径部816との間には、ほぼ90°ずつの角度で軸方向に沿って形成されたリブ818が設けられ、周方向に沿って4つの区画に分けられている。
一方、グロメット840は、フランジ部841と、全体として円筒状をなし、この円筒を軸方向に沿ったスリットによって、周方向に4分割された弾性脚部842とを有している。フランジ部841は、外周に突部843を有し、この突部843の周方向の3箇所に放射状の凹部844が形成されている。フランジ部841の中心には上記ピン部材810を挿入するための孔が形成され、この孔は、そのまま弾性脚部842の内周に連通している。
弾性脚部842は、その下端部がピン部材810の軸心方向に向かって突出し、図22に示すように、常時は上記ピン部材810の第2縮径部815に嵌合してグロメット840にピン部材810が組み付けられている。
また、グロメット840に対してピン部材812を押し込んだ状態では、図23に示すように、弾性脚部842の軸心方向に向かって突出した下端部が、ピン部材810の第1拡径部814に移動して、拡開された状態で第1拡径部814を押圧するので、ピン部材810には軸方向分力が働き、ピン部材810の頭部811がグロメット840のフランジ部841に押圧される。
2ピースクリップ800は、例えば被締結部材であるパネル601,602を重ね合わせ、それらの挿入孔603を重ねて、図22に示すように、軸部812を弾性脚部842に挿入した状態で、2ピースクリップ800をこの挿入孔603に挿入し、フランジ部841をパネル601に当接させた後、ピン部材810の頭部811を押して、ピン部材810をグロメット840に押し込むと、図23に示すように、弾性脚部842の下端部がピン部材810の第1拡径部814に移動して拡開する。その結果、拡開した弾性脚部842がパネル602の挿入孔603の周縁に係合し、ピン部材810及び弾性脚部842が挿入孔603から抜け止めされ、パネル601,602が締結される。
ピン部材810を、上記グロメット840に押し込んで締結を完了したときに、コンデンサ190とコイル181を直列配置した回路が閉回路となり、共振回路として機能するようにした。
すなわち、グロメット840のフランジ部841には、コイル181が埋設されており、その一方の端部はグロメット840のフランジ部841の上面であって、突部843の内周に取出されて接点182をなしている。また、コイル181の他方の端部は、グロメット840の突部843の内側壁に取出されて接点183をなしている。
また、ピン部材810の頭部811には、コンデンサ190が埋設されており、このコンデンサ190に接続された回路の一端は、頭部811の外周に取出されて接点191をなし、回路の他端は、フランジ部841の上面と対向する頭部811の下面に取出されて接点192をなしている。
ここで、フランジ部841に突部843をもたないタイプの2ピースクリップの場合には、接点191を頭部811の下面に取出し、接点183をフランジ部841の上面に取出した構成として、頭部811の内面とフランジ部841の上面にコンデンサ190とコイル181を繋ぐ4つの接点を配置すれば、上述と同様にパネル601とパネル602の締結の完了を確認することができる。
また、フランジ部841の上面と頭部811の下面が当接しないタイプの2ピースクリップの場合には、接点192を頭部811の外周に取出し、接点182をフランジ部841の突部843の内周に取出した構成として、頭部811の外周とフランジ部841の突部843の内周にコンデンサ190とコイル181を繋ぐ4つの接点を配置すれば、上述と同様にパネル601とパネル602の締結の完了を確認することができる。
従って、上述したように多種多様な2ピースクリップに対応できる。
従って、ピン部材810をグロメット840に押し込んで締結を完了すると、上記ピン部材810の接点191が上記グロメット840の接点183に当接し、上記ピン部材810の接点192が上記グロメット840の接点182に当接するため、コイル181とコンデンサ190を直列配置した回路が閉回路となり、共振回路として機能する。
なお、上記実施例では、ピン部材810の軸部812にリブ818を90°の角度で設けているが、ピン部材810の接点191及び192とグロメット840の接点182及び183が対面するように方向性を持たせるように、リブ818の幅と4分割されたグロメット840の弾性脚部842を変えておくと、設定が必ず合致する。
そして、共振回路の共振周波数とほぼ同一の周波数の送信電波aを送信機から送信し、前記共振回路によって反射されたエコー波bを受信機で受信することにより、締結の完了を確認することができる。
締結が完了する前は、コイル181の一方に繋がる接点182とコンデンサ190の一方に繋がる接点192が開放し、コイル181の他方に繋がる接点183とコンデンサ190の他方に繋がる接点191が開放しているので、回路が閉回路をなっていない。
ピン部材810がグロメット840に押し込まれていない状態では、弾性脚部842の下端部が第1拡径部814を押圧しないので軸線方向の分力が発生せず、ピン部材810の頭部811もグロメット840のフランジ部841に押圧されないので、接点192が接点182に押圧されず、接点191が接点183に押圧されることもない。
例えば、弾性脚部842の下端部がピン部材810の第2縞径部815に骸合している状態で、2ピースクリップ800を挿入孔603には挿入したが、ピン部材812をグロメット840に対して押し込まなかった場合などは、コイル181の接点182,183とコンデンサ190の接点191,192が開放された状態を維持したままとなり、送信機から送信電波aを送信しても、共振回路として機能しないのでエコー波bが発生せず、受信機でエコー波bを受信することがないためパネル601とパネル602の締結の完了が確認されることはない。
また、2ピースクリップ800のフランジ部841がパネル601に当接しない状態で、ピン部材812をグロメット840に対して押し込んだ場合は、弾性脚部842が挿入孔603の面に当たって拡開できないので、上述した場合と同様の理由で、コイル181の接点182,183とコンデンサ190の接点191,192が開放された状態を維持したままとなり、送信機から送信電波aを送信しても、共振回路として機能しないのでエコー波bが発生せず、受信機でエコー波bを受信することがないためパネル601とパネル602の締結の完了が確認されることはない。
更に、2ピースクリップ800を挿入孔603に挿入しないで、ビン部材812をグロメット840に対して押し込んだ場合は、弾性脚部842の下端部がピン部材810の第1拡径部814に移動し拡関して、軸線方向の分力がピン部材812に作用するので、ピン部材810の接点191がグロメット840の接点183に当接すると共に、ピン部材810の接点192もグロメット840の接点182に当接する。その結果、コイル181とコンデンサ190を直列配置した回路が閉回路となり共振回路として機能するが、前述したように送信電波aやエコー波bが到達できる範囲が限られているので、挿入孔603に近付けた送受信機からその範囲内にクリップが留まれない構成とすれば、送信電波aが共振回路に届かないか、エコー波bを受信できないのでパネル601とパネル602の締結の完了が確認されることはない。
上述したように、多種多様なクリップ(締結具とする)は、被締結部材同士の締結完了を確実に即座に簡単に非接触で確認できる。
特に自動車の内装品や外装品を車体パネルに締結する場合は、通常それらを複数の締結具で締結し、その締結箇所が隣接している場合が多い。
被締結部材を複数の締結具で締結する場合は、前述したようにそれぞれの締結具や被締結具或いは締結箇所にコンデンサ126の容量やコイル121の形状が異なるLC共振タグ100を使用したり、締結具自身に形成した回路のコンデンサ126の容量やコイル121の形状を変えた締結具をそれぞれの締結箇所ごとに別個に使用したりすれば、それぞれの締結箇所ごとの締結完了を確認することができる。
以上、各実施形態では、図1に示すように、コネクタの接続等がきちんとされると、1対の接点124,125間が導通して共振回路として機能する閉回路が構成されるようにしたLC共振タグ100を用いた場合を例に説明したが、図2に示すように、コネクタの接続等がきちんとされると、1対の接点15,18間が導通することにより、コンデンサ126の両端部が短絡され、LC共振タグ101が共振回路として機能しなくなるようにされたLC共振タグ101を用いるようにしてもよい。