JP2005068579A - 熱接着性複合繊維及び繊維構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性およびソフト性に優れた繊維構造体を得ることができ、しかもカード性が良好な熱接着性複合繊維、及びソフト性に優れた繊維構造体を提供する。
【解決手段】前記熱接着性成分が、軟化点が200℃以下の非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)と融点が200℃以下の熱可塑性エラストマー(B)とから重量比(A:B)で85:15〜50:50で形成された熱接着性成分と、融点220℃以上の熱可塑性ポリマーで形成された繊維形成性成分とを有する熱接着性複合繊維を用いて繊維構造体を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐久性およびソフト性に優れた繊維構造体を得ることができ、しかもカード性が良好な熱接着性複合繊維及びかかる熱接着性複合繊維を含むソフト性に優れた繊維構造体に関するものである。
従来、ポリエステルなどの熱可塑性ポリマーからなる熱接着性繊維は、品質、環境問題、リサイクル性、取扱性など優れた特性を有しているため、不織布や詰綿等各種繊維構造体の接着用として広く用いられている。
例えば、特許文献1では、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリアルキレンテレフタレートを芯成分とし、イソフタル酸成分やテレフタル酸成分等を構成成分とする結晶融点をもたない非晶性ポリエステル系重合体を鞘成分とした接着性複合繊維が提案されている。かかる接着性複合繊維によれば、120〜150℃といった比較的低温で熱固着でき、高温の熱処理を必要とせずに繊維構造体を成形することが可能である。しかしながら、かかる熱接着性複合繊維を用いて得られた繊維構造体において、熱接着部が硬くソフト性の点で十分なものではなかった。
一方、特許文献2では、ポリエステル系ノンエラストマーを芯成分とし、熱可塑性エラストマーを鞘成分とする接着性複合繊維が提案されている。かかる接着性複合繊維を用いて得られた繊維構造体は熱接着部が弾性を有するため、鞘成分が非晶性ポリエステル系重合体からなる複合繊維を用いた前記の繊維構造体よりもソフト性が改善されるものの、熱接着点がアメーバー状となるため構成繊維の自由度が阻害され、ソフト性の点でなお満足なものではなかった。また、不織布の製造工程においてウエブ化の際、複合繊維の表面に現れたエラストマーにより複合繊維がシリンダーに捲き付きやすく、ウエブ斑、ウエブ切れが発生するなどカード性が悪いという問題があった。
特開2002−302833号公報 特許第3128363号公報
本発明は、上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、耐久性およびソフト性に優れた繊維構造体を得ることができ、しかもカード性が良好な熱接着性複合繊維、及びソフト性に優れた繊維構造体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、熱接着性複合繊維の鞘成分として、非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)と熱可塑性エラストマー(B)とを特定量ブレンドすることにより、驚くべきことに、鞘成分として熱可塑性エラストマー(A)単独で用いたものと比較して、耐久性を維持しつつ優れたソフト性を有すること、また、かかる熱接着性複合繊維はカード性にも優れることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「熱接着性成分と繊維形成性成分とからなる熱接着性複合繊維であって、前記熱接着性成分が、軟化点が200℃以下の非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)と融点が200℃以下の熱可塑性エラストマー(B)とから重量比(A:B)で85:15〜50:50で形成され、一方、繊維形成性成分が融点220℃以上の熱可塑性ポリマーで形成されることを特徴とする熱接着性複合繊維。」が提供される。
その際、熱接着性成分が繊維表面の50%以上を占めることが好ましい。また、非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)の軟化点としては、50〜130℃の範囲であることが好ましい。一方、熱可塑性エラストマー(B)の融点が140〜190℃の範囲であることが好ましい。前記前記非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)としては、共重合ポリエステルが好適である。熱可塑性エラストマー(B)としては、ポリエステル系エラストマーが好適である。また、繊維形成性成分を形成する熱可塑性ポリマーとしては、リサイクル性の点でポリエステルが好適である。
また、本発明によれば、「前記のポリエステル系熱接着性複合繊維を含む繊維構造体であって、密度が0.005〜0.10g/cmの範囲であり、熱接着部がアメーバー状になることなく全方位的に可撓性を有することを特徴とする繊維構造体。」が提供される。かかる繊維構造体における熱接着性複合繊維が占める割合としては、20〜60重量%であることが好ましいく、その際、他の繊維として融点220℃以上のポリエステルからなる短繊維が40〜80重量%含まれることが好ましい。かかる繊維構造体の25%圧縮硬さとしては、250N以下であることが好ましい。
本発明によれば、耐久性およびソフト性に優れた繊維構造体を得ることができ、しかもカード性が良好な熱接着性複合繊維、及び優れたソフト性を有する繊維構造体が提供される。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明の熱接着性複合繊維において、熱接着性成分が、軟化点が200℃以下の非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)と融点が200℃以下の熱可塑性エラストマー(B)とがブレンドされたポリマーからなる。
ここで、非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)は結晶融点を持たない非晶性である必要がある。結晶融点を有する結晶性ポリマーでは、熱接着性複合繊維を用いて繊維構造体を得た際、熱接着部が硬くなり満足なソフト性が得られず好ましくない。かかる非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)の軟化点としては、200℃以下(好ましくは50〜130℃)である必要がある。該軟化点が200℃よりも高いと、熱接着性複合繊維を使用して繊維構造体を得る際、加熱温度を高く設定する必要があり、繊維形成性成分の品質低下を招くため好ましくない。
このような非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジ酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸などの酸成分と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分のランダムまたはブロック共重合体があげられる。なかでも、広く用いられている、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、エチレングリコール成分から構成される非晶性共重合ポリエステルが、コスト面や取扱い性の点で好ましい。
この非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)の重合度は、固有粘度で0.4〜0.8(特に好ましくは0.5〜0.7)の範囲にあることが好ましい。
一方、熱可塑性エラストマー(B)の融点は200℃以下(好ましくは、140〜190℃)である必要がある。該融点が200℃よりも高いと、熱接着性複合繊維を使用して繊維構造体を得る際、加熱温度を高く設定する必要があり、繊維形成性成分の品質低下を招くため好ましくない。
かかる熱可塑性エラストマー(B)としては、ポリウレタン系エラストマーやポリエステル系エラストマーが好ましい。
ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500〜6000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,p´−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリコール、アミノアルコールまたはトリオールとの反応により得られるポリマーである。これらのポリマーのうち、特に好ましいものはポリオールとしてポリテトラメチレングリコール、またはポリ−ε−カプロラクトンまたはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンである。この場合、有機ジイソシアネートとしてはp−p´−ジフェニルメタンジイソシアネートが好適である。また、伸長剤としては、p,p´−ビスヒドロキシエトキシベンゼンまたは1,4−ブタンジオールが好適である。
一方、ポリエステル系エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4´−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオール、あるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000程度の、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エトレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキシド)グリコールのうち少なくとも1種とから構成される三元共重合体である。
なかでも、前記の非晶性ポリエステル系ノンエラストマーとのブレンド性の面から、ポリブチレン系テレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルポリエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル成分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。その際、この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分と置換されていてもよく、同時にグリコール成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていてもよい。
また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分は、ブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってもよい。
この熱可塑性エラストマー(B)の重合度は、固有粘度で0.8〜1.7(特に好ましくは0.9〜1.5)の範囲にあることが好ましい。
本発明の熱接着性複合繊維の熱接着性成分を形成するポリマーは、前記非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)と熱可塑性エラストマー(B)とが重量比(A:B)85:15〜50:50(好ましくは、80:20〜55:45)でブレンドされたものである。本発明の熱接着性複合繊維において、該重量比(A:B)が特に重要であり、該重量比(A:B)がこの範囲から外れると、本発明の主目的である満足なソフト性が得られず好ましくない。熱可塑性エラストマー(B)の重量比が、この範囲よりも大きいと、熱接着部がアメーバ状となるため、耐久性は良好であるが熱接着部の繊維が拘束され満足なソフト性が得られず好ましくない。同時に、不織布の製造工程においてウエブ化の際、複合繊維の表面に現れたエラストマーにより複合繊維がシリンダーに捲き付きやすく、ウエブ斑、ウエブ切れが発生しやすくなり好ましくない。逆に、非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)の重量比がこの範囲よりも大きいと、該熱接着性複合繊維を用いて繊維構造体を得た場合、熱接着部はアメーバ状とはならないが、熱接着部の弾性が低くなるため、ソフト性及び耐久性が劣るため好ましくない。
なお、ブレンドされたポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、着色剤、その他各種の改良剤等が必要に応じて配合されていてもよい。
次に、本発明の熱接着性複合繊維において、繊維形成性成分は、融点220℃以上(好ましくは230〜270℃)の熱可塑性ポリマーで形成される。該融点が220℃未満となると、複合繊維を安定して紡糸することが困難となるだけでなく、熱処理接着時の安定性が低下し好ましくない。かかる繊維形成性成分用のポリマーとして、ポリエステルやナイロンなどが例示され、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルがリサイクル性の点で好適である。
本発明の熱接着性複合繊維において、熱接着成分が単繊維の表面の全部または一部(好ましくは繊維表面積の50%以上、特に好ましくは60%以上)を占めていれば、正芯芯鞘型、偏心芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型、割繊型いずれの複合形態をとっていてもよい。なかでも、正芯芯鞘型、偏心芯鞘型、サイドバイサイド型が特に好ましい。
本発明の熱接着性複合繊維は、以下の方法により製造することができる。
まず、軟化点が200℃以下の前記非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)と融点が200℃以下の前記熱可塑性エラストマー(B)とを各々ペレット化し、重量比(A:B)で85:15〜50:50となるように混合機で機械的に混合するか、紡糸前にエクストルーダーに別々に投入して熱接着性成分とする等の方法があるが、必要な比率に混合できればどのような方法を使用してもかまわない。一方、融点220℃以上の前記熱可塑性ポリマーをペレット化して繊維形成性成分とする。次いで、通常の複合繊維用紡糸装置を用いて、複合形態が前記のようになるよう紡糸することにより容易に製造することができる。
かくして得られた熱接着性複合繊維は、通常、必要に応じて延伸された後、用途や目的に応じて公知の方法により捲縮が付与され短繊維に裁断されて、不織布やブロック状の繊維構造体用バインダーとして使用される。
本発明の熱接着性複合繊維をバインダーとして、単独で、または他の繊維を主体繊維として不織布やブロック状の繊維構造体を得ると、熱接着性成分が前記のようなブレンドポリマーで形成されているため、熱接着部がアメーバ状となることなく、しかも弾性を有しているため、得られた繊維構造体は、耐久性およびソフト性に優れる。しかも、不織布の製造工程においてウエブ化の際、ウエブ斑やウエブ切れが発生することもない。
次に、本発明によれば、前記熱接着性複合繊維を含む繊維構造体であって、厚みが0.1cm以上(好ましくは0.5〜40cm)、密度が0.005〜0.10g/cm(好ましくは0.01〜0.07g/cm)の範囲であり、熱接着部がアメーバー状になることなく全方位的に可撓性を有する繊維構造体が提供される。
ここで、本願でいう「アメーバー状になることなく」とは、熱接着部において、繊維同士が交差した状態で熱接着しており、該交差部に熱接着性成分が集まっていないことである。すなわち、図1に示す熱接着部の模式図において、W/Dが2.0未満となるような状態である。一方、「アメーバー状」とは、交差部に熱接着性成分が集まっており、W/Dが2.0以上の状態である。なお、Wは熱固着点の巾であってW1 とW2 の平均値(n数=10)であり、Dは熱固着に関与する熱接着性複合繊維のD1,D2,D3、D4の平均直径(n数=10)である。
また、「全方位的に可撓性を有する」とは、繊維構造体に荷重が加えられたとき、したがって該熱接着部に荷重が加えられたとき、この熱接着部が荷重の方向に沿って自由自在に変形可能であり、かつ回復可能であるような可撓性を有するということである。
本発明の繊維構造体において、繊維構造体の密度が0.005g/cm未満である場合には、繊維同士の接合点が少なくなるため、ソフト性の耐久性が低くなり好ましくない。逆に、0.10g/cmを越えると、繊維間の自由度が低くなりソフト性が低下し好ましくない。かかる繊維構造体における熱接着性複合繊維が占める割合としては、20〜60重量%の範囲が好ましい。その際、他方の繊維としては、融点220℃以上(好ましくは230〜270℃)のポリエステルからなる短繊維であることが好ましい。かかるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが好適である。
繊維構造体に含まれる熱接着性複合繊維には、捲縮数が3〜40個/25mm(好ましくは5〜30個/25mm)、捲縮率が3〜40%(好ましくは5〜30%)となるように捲縮が付与され、繊維長が3〜100mmに裁断されていることが好ましい。捲縮数が3個/25mm未満または捲縮率が3%未満の場合には、短繊維間の絡合が不足してカード通過性が悪くなり、品位の高い繊維構造体が得られない恐れがある。一方、捲縮数が40個/25mmを越えるか捲縮率が40%を越える場合には、短繊維の絡合が大きすぎてカードで十分な梳綿をなすことができず、品位の高い繊維構造体が得られない恐れがある。なお、捲縮の形態は機械捲縮であっても立体捲縮であってもよい。
また、前記の融点220℃以上のポリエステルからなる短繊維にも、熱接着性複合繊維と同様に、捲縮数が3〜40個/25mm(好ましくは5〜30個/25mm)、捲縮率が3〜40%(好ましくは5〜30%)となるように捲縮が付与され、繊維長が3〜100mmに裁断されていることが好ましい。
かかる繊維構造体は、種々の方法で製造することができる。例えば、前記の熱接着性複合繊維と短繊維とを用いて混綿後、カードなどで開繊しウエブ化し、ウエブを積層してそのまま熱処理してもよいし、所定形状を有するモールドに所定量のウエブを詰め込んで圧縮・加熱成型してもよい。また、パンチングプレートで構成される平板やキャタピラー式の上下パンチングプレートによるコンベアーに積層ウエブを挟み込み、加熱処理を行い、さらに加熱中および/または加熱直後に縦および/または横に圧縮して熱融着させ、冷却する製造方法があげられる。さらには、エアレイド法と呼ばれる短カット繊維を空気により分散しウエブを形成して、さらに熱処理することにより薄手の繊維構造体を得ることもできる。
かくして得られた繊維構造体において、熱接着部がアメーバ状となることなく、しかも弾性を有しているため、得られた繊維構造体は、耐久性およびソフト性に優れる。しかも、不織布の製造工程においてウエブ化の際、ウエブ斑やウエブ切れが発生することもない。
繊維構造体のソフト性としては、JIS K−6401による25%圧縮硬さが250N以下(より好ましくは50〜230N)であることが好ましい。なお、かかる繊維構造体には、プリント加工等の染色仕上げ加工が付加されていてもよい。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)捲縮数
JIS L 1015 7.12に記載の方法により測定した。
(2)捲縮率
JIS L 1015 7.12に記載の方法により測定した。
(3)繊度
JIS L 1015 7.5.1 A法に記載の方法により測定した。
(4)繊維長
JIS L 1015 7.4.1 C法に記載の方法により測定した。
(5)融点
熱示差分析計990型(Du Pont社製)を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークを求めた。
(6)軟化点
微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、約3gのポリマーを2枚のカバーガラスにはさみ、ピンセットで軽くおさえながら昇温速度20℃/分で昇温し、ポリマーの熱変化を観測した。その際、ポリマーが軟化して流動を始めた温度を軟化点とした。
(7)繊維構造体の厚みと密度
平板状に調整された繊維構造体の目付け(g/m)を測定し、4.9mN/cm(0.5gf/cm)の荷重下での厚み(mm)を測定し、密度(g/cm)を算出した。
(8)硬さ
JIS K−6401により25%圧縮硬さ(N)と50%圧縮硬さ(N)を測定した。
(9)定荷重圧縮残留歪
平板状に調整された、厚み5cmの繊維構造体に7840mN/cm(800gf/cm)の荷重下で10秒間圧縮したのち除重して5秒間放置の操作を360回繰返し、24時間後再び繊維構造体の厚みを測定した。初期厚みに対する繰返し圧縮後の厚み変化量の比率(%)を繊維構造体の定荷重圧縮残留歪(%)とした。
(10)8万回圧縮残留歪
JIS K−6401により8万回圧縮残留歪(%)を測定した。
(11)固有粘度
35℃のオルソクロロフェノール溶液で測定した。
[実施例1]
熱接着性成分の非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)として、テレフタル酸とイソフタル酸とを60/40(モル%)で混合した酸成分と、エチレングリコールとジエチレングリコールとを85/15(モル%)で混合したジオール成分とから共重合ポリエステルを得た。該共重合ポリエステル(固有粘度0.56)は明確な融点を有しておらず、110℃の軟化点を有していた。
一方、熱接着性成分の熱可塑性エラストマー(B)として、テレフタル酸とイソフタル酸とを80/20(モル%)で混合した酸成分とブチレングリコールとを重合し、得られたポリブチレン系テレフタレート38%(重量%)をさらにポリブチレングリコール(分子量2000)62%(重量%)と加熱反応させ、融点155℃のブロック共重合ポリエーテルエステルエラストマー(固有粘度1.0)を得た。
次いで、各々をペレット化し減圧乾燥した後、非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)ペレットと熱可塑性エラストマー(B)ペレットとを、重量比(A:B)で70:30に混合し、鞘部用ポリマー(熱接着性成分)とした。
また、ガラス転移点67℃、融点256℃の通常のポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.64)のペレットを減圧乾燥し、芯部用ポリマー(繊維形成性成分)とした。
これら鞘部用ポリマーと芯部用ポリマーとを用いて、通常の芯鞘型複合溶融紡糸装置で複合比(体積比)50:50で、紡糸温度290℃、吐出量540g/分、吐出孔数750個の紡糸口金から溶融吐出し、通常の油剤を付与し、延伸することなく620m/分で引き取って未延伸の芯鞘型(正芯)熱接着性複合繊維を得た。
この未延伸の熱接着性複合繊維を集束し、11万dtex(10万de)のトウにして、まず65℃の温水中で2.4倍に延伸した後、60℃の温水中でさらに1.05倍に延伸し油剤を付与した後、35℃まで自然冷却された押し込み式クリンパーで捲縮を付与し、繊維長51mmに切断して単糸繊度4.4dtexの熱接着性複合短繊維を得た。このときの捲縮数は11個/25mm、捲縮率15%であった。
この複合短繊維30%(重量%)と、常法により得られた短繊維の太さが15.4dtex(14de)、繊維長が64mm、捲縮数が9ケ/25mmの中空断面ポリエチレンテレフタレート短繊維(融点256℃)70%(重量%)とを通常のカードにより混綿し、目付け30g/mのウエブを得た。このウエブを重ね、厚み5cm、密度0.035g/cmになるように平板型の金型に入れ、180℃で10分間熱処理して、平板型の繊維構造体を得て、硬さ、定荷重圧縮残留歪、8万回圧縮残留歪を評価した。得られた繊維構造体は耐久性およびソフト性に優れるものであった。評価結果を表1に示す。
この繊維構造体の熱接着部を電子顕微鏡(350倍)で観察したところ、アメーバ状にはなっておらず(W/Dが2.0未満)、紡錘状節部も見られなかった。
[実施例2,3、比較例1−4]
実施例1において、非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)ペレットと熱可塑性エラストマー(B)ペレットとの重量比、繊維形成性成分、繊維構造体の熱処理温度を表1のように変更すること以外は実施例1と同様にして熱接着性複合繊維および繊維構造体を得て、硬さ、定荷重圧縮残留歪、8万回圧縮残留歪を評価した。実施例2,3により得られた繊維構造体は、耐久性およびソフト性に優れるものであったが、比較例1−4により得られた繊維構造体は、ソフト性の点で満足なものではなかった。評価結果を表1に示す。
また、得られた繊維構造体の熱接着部を電子顕微鏡(350倍)で観察したところ、実施例2,3、比較例1,3のものでは、アメーバー状になっておらず(W/Dが2.0未満)、紡錘状節部も見られなかった。一方、比較例2,4のものでは、熱接着部がアメーバー状になっており(W/Dが2.0以上)、紡錘状節部も見られた。
[実施例4]
実施例1で得られた熱接着性複合短繊維を開繊機により十分開繊した後、ドッファー速度50m/分の通常のカードに5kg投入しカード性を評価したところシリンダー捲き付き、ウエブ斑、ネップ、ウエブ切れ等の発生がなく、カード性が良好であった。
[比較例5]
比較例4で得られた熱接着性複合短繊維を、実施例4と同様にカード性を評価したところ、ウエブ斑が大きくところどころ穴があいており、カード性が不良であった。
Figure 2005068579
本発明の熱接着性複合繊維によれば、耐久性およびソフト性に優れた繊維構造体を得ることができる。同時にカード性も良好であるため、不織布製造工程での均一性が向上し高品位の繊維構造体を得ることができる。また、本発明の繊維構造体はソフト性に優れるため、各種のクッション材、例えば家具、ベッド、寝具、各種座席のクッション材用、さらには薄手タイプとして衛材用内層クッション材等として使用することができ、その工業的価値は極めて大である。
熱接着部と紡錘状節部を模式的に示したものである。
符号の説明
1 紡錘状節部

Claims (11)

  1. 熱接着性成分と繊維形成性成分とからなる熱接着性複合繊維であって、前記熱接着性成分が、軟化点が200℃以下の非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)と融点が200℃以下の熱可塑性エラストマー(B)とから重量比(A:B)で85:15〜50:50で形成され、一方、繊維形成性成分が融点220℃以上の熱可塑性ポリマーで形成されることを特徴とする熱接着性複合繊維。
  2. 熱接着性成分が、繊維表面の50%以上を占める請求項1に記載の熱接着性複合繊維。
  3. 非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)の軟化点が50〜130℃の範囲である請求項1または請求項2に記載の熱接着性複合繊維。
  4. 熱可塑性エラストマー(B)の融点が140〜190℃の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の熱接着性複合繊維。
  5. 非晶性ポリエステル系ノンエラストマー(A)が共重合ポリエステルである請求項1〜4のいずれかに記載の熱接着性複合繊維。
  6. 熱可塑性エラストマー(B)がポリエステル系エラストマーである請求項1〜5のいずれかに記載の熱接着性複合繊維。
  7. 繊維形成性成分を形成する熱可塑性ポリマーがポリエステルである請求項1〜6のいずれかに記載の熱接着性複合繊維。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の熱接着性複合繊維を含む繊維構造体であって、厚みが0.1cm以上、密度が0.005〜0.10g/cmの範囲であり、熱接着部がアメーバー状になることなく全方位的に可撓性を有することを特徴とする繊維構造体。
  9. 繊維構造体における熱接着性複合繊維が占める割合が、20〜60重量%である請求項8に記載の繊維構造体。
  10. 繊維構造体に、他の繊維として融点220℃以上のポリエステルからなる短繊維が40〜80%含まれる請求項9に記載の繊維構造体。
  11. 25%圧縮硬さが250N以下である請求項8〜10のいずれかに記載の繊維構造体。
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