JP2005068543A - 金属酸化物系透明導電膜への不純物の添加方法 - Google Patents

金属酸化物系透明導電膜への不純物の添加方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 圧力差アークプラズマを加熱源に用いる真空蒸着法において、金属酸化物系薄膜に母体材料と蒸気圧の異なる金属化合物を不純物として含む、低抵抗率不純物添加金属酸化物系透明導電膜を、任意の基体上に形成することを特徴とする金属酸化物系透明導電膜への不純物添加技術を提供する。
【解決手段】 母体材料として少なくとも1種類の金属またはその金属を含む化合物から成る蒸発源を用い、圧力差アークプラズマ真空蒸着法により金属酸化物系透明導電膜を形成する際に、蒸着中に不純物材料として少なくとも1種類の金属を含む化合物を、蒸発源及び加熱方式を用いることなく気体の形態で、蒸着装置内の任意の場所から連続的または間欠的に導入することにより、金属酸化物透明導電膜中に不純物を添加し、任意の基体上に不純物添加金属酸化物系透明導電膜を形成することにより達成できる。
【選択図】図1

Description

発明の詳細な説明
産業上の利用分野
本発明は金属酸化物系透明導電膜への不純物の添加方法に関する。
各種ディスプレイ装置や薄膜太陽電池の透明電極、あるいは将来的に莫大な需要が見込まれる紫外線遮断・赤外線反射特性に優れた省エネルギー建築用窓硝子コーティング材として、可視光透過率が高く、低抵抗な特性を有する透明導電膜が欠かせない。現在最も広く利用されている透明導電膜は、金属酸化物薄膜が主であり、高い化学的安定性を有する酸化錫(SnO)系(Fまたはアンチモン(Sb)を添加したものが主として使用されている。)、優れた電気的・光学的特性を有する錫添加酸化インジウム(In:Sn以下ITOという)、低コストで資源的にも全く問題がなく、ITOに匹敵する優れた電気的・光学的特性を有するアルミニウムやガリウム等を不純物として添加した酸化亜鉛(ZnO)系透明導電膜がある。
従来、不純物添加金属酸化物透明導電膜の製造方法としてはマグネトロンスパッタリング法が採用されている。しかしながら、マグネトロンスパッタリング法においては、成膜速度が遅く生産性が低いという問題がある。加えて、不純物添加ZnO系透明導電膜においては、ターゲットのエロージョン部分に対向する部分の基体上に作製された膜の抵抗率が上昇し、膜上での抵抗率の分布が生じる問題点があった。近年、このような膜上での抵抗率の分布が発生せず、大面積に且つ極めて高速成膜が可能な新しい透明導電膜作製技術としてアークプラズマ等の圧力差アークプラズマを加熱源に用いる真空蒸着法(これを反応性活性化蒸着もしくはイオンプレーティング法と呼ぶ場合もある)が開発され、ITOやガリウム(Ga)添加酸化亜鉛焼結体ターゲットを用いて作製した金属酸化物系透明導電膜において、低効率10−4Ωcm台、平均可視光透過率85%以上の優れた特性が実現されている。
発明が解決しようとする課題
マグネトロンスパッタリング法においては、実現できる抵抗率や材料コスト等を総合的に勘案すると、ZnO系透明導電膜において最も優れた不純物はアルミニウム(Al)であることが知られている。しかしながら、アークプラズマ等の圧力差アークプラズマを加熱源に用いる真空蒸着法においては、AlをドーピングしたZnO焼結体ターゲットを用いて低抵抗率のAl添加ZnO系透明導電膜の作製は実現されていない。それは、Alの融点がZnと比較して高く、またAlの蒸気圧がZnと比較して極めて低いために、ZnO薄膜を形成するプラズマ加熱条件においては、Alはターゲットからほとんど蒸発しないためである。このように、該圧力差アークプラズマを加熱源に用いる真空蒸着法においては、融点や蒸気圧の大きく異なる材料を組み合わせて焼結ターゲットの組成を忠実に反映した薄膜を作製することは極めて困難であり、これは成膜技術として致命的な欠陥である。本発明は、このような事情に鑑み、該圧力差アークプラズマを加熱源に用いる真空蒸着法において、金属酸化物系透明導電膜蒸着中に蒸着装置内へ少なくとも1種類以上の不純物金属元素を含む化合物を気体の形態で連続的または間欠的に導入することにより、任意の基体上に低抵抗率不純物添加金属酸化物系透明導電膜を形成することを特徴とする金属酸化物系透明導電膜への不純物の添加技術を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、母体材料として少なくとも1種類の金属またはその金属を含む化合物から成る固形物に、該アークプラズマ等の圧力差アークプラズマを加熱源に用いる真空蒸着法を用いて金属酸化物系透明導電膜を形成する際に、同時にドーパントとして少なくとも1種類の金属を含む有機および無機化合物を含んだガスを蒸着装置内に連続的または間欠的に導入することにより、任意の基体上に不純物添加金属酸化物系透明導電膜を形成することを特徴とする金属酸化物系透明導電膜への不純物添加方法にある。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、ドーパント材料を蒸着容器内に設けたるつぼ内に装填し、るつぼの温度を制御することによりドーパントガスの供給量を制御することを特徴とする金属酸化物系透明導電膜への不純物添加方法にある。
本発明の第3の態様は、第1の態様において、ドーパント材料を任意の温度に保持した容器に充填封入し、該容器内と蒸着装置内との圧力差により、ドーパントガスを蒸着装置内に導入し、該容器の温度を制御することにより、ドーパントガスの供給量を制御することを特徴とする金属酸化物系透明導電膜への不純物添加方法にある。
本発明の第4の態様は、第1の態様において、ドーパント材料を任意の温度に制御可能な容器に充填した後、該容器の導入口へ不活性ガス等の適当な搬送ガスを供給してドーパントを含む化合物気体を含んだ搬送ガスを蒸着装置内に導入し、該容器の温度と搬送ガスの流量によってドーパントを含む化合物気体の供給量を適量に制御することを特徴とする金属酸化物系透明導電膜への不純物添加方法にある。
本発明の第5の態様は、第1の態様において、母体金属材料が亜鉛(Zn)、インジウム(In)もしくは錫(Sn)単体またはそのいずれか1種類の金属を含む化合物からなる固形物を用いることを特徴とする金属酸化物系透明導電膜への不純物添加方法にある。
本発明の第6の態様は、第1の態様において、ドーパント材料が有機化合物であるアセチルアセトネート、アセテート、キレート、アルキルもしくはアルコキシド系等の金属を含む錯塩もしくは錯体化合物であることを特徴とする金属酸化物系透明導電膜への不純物添加方法にある。
本発明の第7の態様は、第1の態様において、ドーパント材料が無機化合物であるフッ化物もしくは塩化物等の金属を含むハロゲン化物であることを特徴とする金属酸化物系透明導電膜への不純物添加方法にある。
本発明の第8の態様は、第6及び7の態様において、有機および無機化合物がGa、Si、B、Y、In、Sc、Ge、Ti、Zr、Sn、AlもしくはHfのいずれかを含むことを特徴とする金属酸化物系透明導電膜への不純物添加方法にある。
本発明の第9の態様は、第2〜7の態様において、金属酸化物系透明導電膜への不純物添加装置を有する圧力差アークプラズマ真空蒸着装置にある。
作用
本発明の目的に適う前述した少なくとも1種類の金属を含む化合物気体を該アークプラズマ中に連続的または間欠的に導入する添加方法を用いることにより、融点及び蒸気圧が大きく異なる不純物を添加量を制御して添加でき、低抵抗率金属酸化物系透明導電膜を作製できるという顕著な作用効果がある。
以下、本発明を実施例により説明する。
本発明の一つの実施形態を図面に従って説明する。図1は本発明の第1の様態に係る圧力差アークプラズマを加熱源に採用した真空蒸着装置の一例を示している。この真空蒸着装置では、真空チャンバー内に設置したルツボ中に不純物材料であるSiアセテートを充填し、温度を一定に制御することにより、一定の蒸気圧のSiアセテートガスを蒸着装置内に連続的に導入し、アークプラズマに接触させることにより、Siアセテートを分解しSiを生成する。同時にアークプラズマにより加熱されたノンドープZnO焼結体が蒸発し、プラズマ中及び基体上で反応・堆積することによって、ZnO薄膜中にSiを任意の組成で添加することができる。具体的には、蒸発源として破砕状ノンドープ酸化亜鉛(ZnO)焼結体、不純物材料としてSiアセテートをそれぞれ採用し、Siアセテート充填ルツボ温度70から160℃、Ar雰囲気 0.6Pa、基板温度250℃、投入電力4.5kWでガラス基板上に膜厚約400nmのSi添加ZnO(ZnO:Si)薄膜の成膜を行った。図2に作製した該膜の典型的な抵抗率、キャリア密度およびホール移動度のSiアセテートルツボ温度依存性を示す。ルツボ温度の上昇に伴って、キャリア密度が増大し、抵抗率が減少しており、Siアセテート中のSiがZnO薄膜中に添加され、有効なドナーとして作用していることがわかった。ルツボ温度160℃において、キャリア密度6.0×1020cm、抵抗率9.5×10−4Ωcmをそれぞれ実現できた。また、作製したSi添加ZnO薄膜の平均可視光透過率は約90%であった。
図3は本発明の第5の様態に係る圧力差アークプラズマを加熱源に採用した真空蒸着装置を示している。この真空蒸着装置では、蒸着装置外部に設置した気密容器中に不純物材料であるAlアセチルアセトネートを充填封入し、温度を一定に制御する。該気密容器を一定の温度に制御し、Alアセチルアセトネートガスの蒸気圧と蒸着装置内との圧力差によりAlアセチルアセトネートガスを蒸着装置内連続的に導入し、アークプラズマと接触させることにより、Alアセチルアセトネートを分解しAlを生成する。同時にアークプラズマにより加熱されたノンドープZnO焼結体が蒸発し、プラズマ中及び基体上で反応・堆積することによって、Al添加ZnO薄膜を作製することができる。具体的には、蒸発源として破砕状ノンドープ酸化亜鉛(ZnO)焼結体、不純物材料としてAlアセチルアセトネートをそれぞれ採用し、Alアセチルアセトネート気密容器温度70〜160℃、Ar雰囲気0.6Pa、基板温度250℃、投入電力4.5kWでガラス基体上に膜厚約400nmのAl添加ZnO(ZnO:Al)薄膜の成膜を行った。該気密容器の温度及びキャリアガスの流量を変化させることにより、薄膜中のキャリア密度を制御でき、容器温度160℃、キャリウアガス流量1ccmの条件下において、キャリア密度6.0×1020cm−3、抵抗率9.5×10−4Ωcmをそれぞれ実現できた。また、作製したAl添加ZnO薄膜の平均可視光透過率は約90%であった。
図4は本発明の第6の様態に係る圧力差アークプラズマを加熱源に採用した真空蒸着装置を示している。この真空蒸着装置では、蒸着装置外部に設置した気密容器中に不純物材料であるテトラエトキシシラン(TEOS)を充填し、温度を一定に制御する。該容器中に質量流量制御装置によって流量を制御したアルゴンガスを供給し、該容器の温度によって制御された一定蒸気圧のTEOSガスを混合し、蒸着装置と該容器間に設けられた質量流量制御装置によって流量を制御したアルゴン/TEOS混合ガスを蒸着装置内に連続的あるいは間欠的に導入し、アークプラズマと接触させることにより、TEOSを分解しSiを生成する。同時にアークプラズマにより加熱されたノンドープZnO焼結体が蒸発し、プラズマ中及び基体上で反応・堆積することによって、Si添加ZnO薄膜を作製することができる。具体的には、蒸発源として破砕状ノンドープ酸化亜鉛(ZnO)焼結体、不純物材料としてTEOSをそれぞれ採用し、TEOS充填容器温度70から160℃、キャリウアガス流量1〜5ccm、Ar雰囲気0.6Pa、基板温度250℃、投入電力4.5kWでガラス基板上に膜厚約400nmのSi添加ZnO(ZnO:Si)薄膜の成膜を行った。金属容器の温度及びキャリアガスの流量を変化させることにより、薄膜中のキャリア密度を制御でき、容器温度160℃、キャリウアガス流量1ccmの条件下において、キャリア密度5.0×1020cm−3、抵抗率1.0×10−3Ωcmをそれぞれ実現できた。また、作製したAl添加ZnO薄膜の平均可視光透過率は約90%であった。
真空蒸着装置内に設置したルツボ中に不純物材料であるエチルヘキサン酸Snを充填し、温度を一定に制御することにより、一定の蒸気圧のエチルヘキサン酸Snガスを蒸着装置内に連続的に導入し、アークプラズマと接触させることにより、エチルヘキサン酸Snを分解しSnを生成する。同時にアークプラズマにより加熱されたノンドープIn焼結体が蒸発し、プラズマ中及び基体上で反応・堆積することによって、Sn添加In(ITO)薄膜を作製できた。具体的には、蒸発源として破砕状ノンドープ酸化インジウム(In)焼結体、不純物材料としてエチルヘキサン酸Snをそれぞれ採用し、エチルヘキサン酸Sn充填ルツボ温度70から160℃、Ar雰囲気 0.6Pa、基板温度250℃、投入電力4.5kWでガラス基板上に膜厚約400nmのITO薄膜の成膜を行った。ルツボ温度160℃において、キャリア密度1.0×1021cm−3、抵抗率3.5×10−4Ωcmをそれぞれ実現できた。また、作製したITO薄膜の平均可視光透過率は約85%であった。また、実施例2及び3で述べた、蒸着装置外部に設置した気密容器中に不純物材料を充填し、蒸着装置内に不純物ガスを導入する方法においても、エチルヘキサン酸Snは有効なドナー材料として作用した。
蒸着装置内に設置したルツボ中に不純物材料であるSbアセチルアセトネートを充填し、温度を一定に制御することにより、一定の蒸気圧のSbアセチルアセトネートガスを蒸着装置内に連続的に導入し、アークプラズマと接触させることにより、Sbアセチルアセトネートを分解しSnを生成する。同時にアークプラズマにより加熱されたノンドープSnO焼結体が蒸発し、プラズマ中及び基体上で反応・堆積することによって、Sb添加SnO(SnO:Sb)薄膜を作製することができる。具体的には、蒸発源として破砕状ノンドープ酸化錫(SnO)焼結体、不純物材料としてSnアセチルアセトネートをそれぞれ採用し、Sbアセチルアセトネート充填ルツボ温度70から160℃、Ar雰囲気 0.6Pa、基板温度250℃、投入電力4.5kWでガラス基板上に膜厚約400nmのSnO:Sb薄膜の成膜を行った。ルツボ温度160℃において、キャリア密度4.0×1020cm−3、抵抗率1.5×10−3Ωcmをそれぞれ実現できた。また、作製したSnO:Sb薄膜の平均可視光透過率は約85%であった。また、実施例2及び3で述べた、蒸着装置外部に設置した気密容器中に不純物材料を充填し、蒸着装置内に不純物ガスを導入する方法においても、Sbアセチルアセトネートは有効なドナー材料として作用した。
蒸着装置内に設置したルツボ中に不純物材料であるAlイソプロポキシドを充填し、温度を一定に制御することにより、一定の蒸気圧のAlイソプロポキシドガスを蒸着装置内に連続的に導入し、アークプラズマと接触させることにより、Alイソプロポキシドを分解しAlを生成する。同時にアークプラズマにより加熱されたノンドープZnO焼結体が蒸発し、プラズマ中及び基体上で反応・堆積することによって、Al添加ZnO薄膜を作製することができる。具体的には、蒸発源として破砕状ノンドープ酸化亜鉛(ZnO)焼結体、不純物材料としてAlアセチルアセトネートをそれぞれ採用し、Alイソプロポキシド充填ルツボ温度70から160℃、Ar雰囲気 0.6Pa、基板温度250℃、投入電力4.5kWでガラス基板上に膜厚約400nmのAl添加ZnO(ZnO:Al)薄膜の成膜を行った。ルツボ温度の上昇に伴って、キャリア密度が増大し、抵抗率が減少しており、Alイソプロポキシド中のAlがZnO薄膜中に取り込まれ、有効なドナーとして作用していることがわかった。ルツボ温度160℃において、キャリア密度9.0×1020cm−3、抵抗率5.5×10−4Ωcmをそれぞれ実現できた。また、作製したAl添加ZnO薄膜の平均可視光透過率は約90%であった。また、実施例2及び3で述べた、蒸着装置外部に設置した気密容器中に不純物材料を充填し、蒸着装置内に不純物ガスを導入する方法においても、Alイソプロポキシドは有効なドナー材料として作用した。
蒸着装置内に設置したルツボ中に不純物材料である塩化アルミニウムを充填し、温度を一定に制御することにより、一定の蒸気圧の塩化アルミニウムガスを蒸着装置内に連続的に導入し、アークプラズマと接触させることにより、塩化アルミニウ厶を分解しAlを生成する。同時にアークプラズマにより加熱されたノンドープZnO焼結体が蒸発し、プラズマ中及び基体上で反応・堆積することによって、Al添加ZnO薄膜を作製することができる。具体的には、蒸発源として破砕状ノンドープ酸化亜鉛(ZnO)焼結体、不純物材料として塩化アルミニウムをそれぞれ採用し、塩化アルミニウム充填ルツボ温度70から160℃、Ar雰囲気 0.6Pa、基板温度250℃、投入電力4.5kWでガラス基板上に膜厚約400nmのAl添加ZnO(ZnO:Al)薄膜の成膜を行った。ルツボ温度の上昇に伴って、キャリア密度が増大し、抵抗率が減少しており、塩化アルミニウ厶中のAlがZnO薄膜中に取り込まれ、有効なドナーとして作用していることがわかった。ルツボ温度160℃において、キャリア密度8.0×1020cm−3、抵抗率6.5×10−4Ωcmをそれぞれ実現できた。また、作製したAl添加ZnO薄膜の平均可視光透過率は約90%であった。また、実施例2及び3で述べた、蒸着装置外部に設置した気密容器中に不純物材料を充填し、蒸着装置内に不純物ガスを導入する方法においても、塩化アルミニウムは有効なドナー材料として作用した。
蒸着装置内に設置したルツボ中に不純物材料であるフッ化アルミニウ厶を充填し、温度を一定に制御することにより、一定の蒸気圧のフッ化アルミニウムガスを蒸着装置内に連続的に導入し、アークプラズマと接触させることにより、フッ化アルミニウムを分解しAlを生成する。同時にアークプラズマにより加熱されたノンドープZnO焼結体が蒸発し、プラズマ中及び基体上で反応・堆積することによって、Al添加ZnO薄膜を作製することができる。具体的には、蒸発源として破砕状ノンドープ酸化亜鉛(ZnO)焼結体、不純物材料としてフッ化アルミニウムをそれぞれ採用し、フッ化アルミニウム充填ルツボ温度70から160℃、Ar雰囲気 0.6Pa、基板温度260℃、投入電力4.5kWでガラス基板上に膜厚約400nmのAl添加ZnO(ZnO:Al)薄膜の成膜を行った。ルツボ温度の上昇に伴って、キャリア密度が増大し、抵抗率が減少しており、フッ化アルミニウム中のAlがZnO薄膜中に取り込まれ、有効なドナーとして作用していることがわかった。ルツボ温度160℃において、キャリア密度8.0×1020cm−3、抵抗率6.5×10−4Ωcmをそれぞれ実現できた。また、作製したAl添加ZnO薄膜の平均可視光透過率は約90%であった。また、実施例2及び3で述べた、蒸着装置外部に設置した気密容器中に不純物材料を充填し、蒸着装置内に不純物ガスを導入する方法においても、フッ化アルミニウムは有効なドナー材料として作用した。
蒸着装置内に設置したルツボ中に不純物材料であるZnアセチルアセトネートを充填し、温度を一定に制御することにより、一定の蒸気圧のZnアセチルアセトネートガスを蒸着装置内に連続的に導入し、アークプラズマと接触させることにより、Znアセチルアセトネートを分解しZnを生成する。同時にアークプラズマにより加熱されたノンドープIn焼結体が蒸発し、プラズマ中及び基体上で反応・堆積することによって、Zn添加In(In:Zn)薄膜を作製することができる。具体的には、蒸発源として破砕状ノンドープ酸化亜鉛(In)焼結体、不純物材料としてZnアセチルアセトネートをそれぞれ採用し、Znアセチルアセトネート充填ルツボ温度70から160℃、Ar雰囲気 0.6Pa、基板温度250℃、投入電力4.5kWでガラス基板上に膜厚約400nmのITO薄膜の成膜を行った。ルツボ温度160℃において、キャリア密度1.0×1021cm−3、抵抗率3.5×10−4Ωcmをそれぞれ実現できた。また、作製したITO薄膜の平均可視光透過率は約85%であった。また、実施例2及び3で述べた、蒸着装置外部に設置した気密容器中に不純物材料を充填し、蒸着装置内に不純物ガスを導入する方法においても、Znアセチルアセトネートは有効なドナー材料として作用した。
本発明になる金属酸化物透明導電膜への不純物添加方法におけるドーパントとしては、前記実施例のみに限定されるものではなく、ドーピングのために十分な蒸気圧を有する種々の金属有機化合物もしくは金属無機化合物が利用できることは言うまでもない。
発明の効果
以上説明したように本発明によると、少なくとも一種類以上の金属もしくは金属を含む化合物から成る固形物を用いて、該圧力差アークプラズマを加熱源に用いる真空蒸着法により金属酸化物系透明導電膜を形成する際に、同時に不純物として少なくとも一種類の金属を含む化合物を気体の形態でアークプラズマ中に連続的または間欠的に導入することにより、任意の基体上に不純物添加金属酸化物系透明導電膜を形成できるという顕著な効果が得られた。このように、不純物を含むガスを外部からプラズマ中に供給し、プラズマ中及び基板上での分解・反応により、薄膜中にドーピングできるということは、融点や蒸気圧が大きく異なる材料の組み合わせでも該圧力差アークプラズマ真空蒸着法を用いて不純物添加が可能であるという顕著な効果があるため、各種不純物添加金属酸化物系透明導電膜の特性向上等が期待でき、その効果は絶大である。
実施例1における真空蒸着装置 1........圧力差型アークプラズマガン 2........プラズマ収束コイル 3........基体ホルダー 4........基体ヒーター 5........焼結体導入ハース 6........アノード磁石 7........不純物材料充填用るつぼ 実施例1における透明導電膜の抵抗率及びキャリア密度のるつぼ温度依存性 実施例2におけるにおける真空蒸着装置 1........圧力差型アークプラズマガン 2........プラズマ収束コイル 3........基体ホルダー 4........基体ヒーター 5........焼結体導入ハース 6........アノード磁石 7........不純物材料充填用容器 実施例3におけるにおける真空蒸着装置 1........圧力差型アークプラズマガン 2........プラズマ収束コイル 3........基体ホルダー 4........基体ヒーター 5........焼結体導入ハース 6........アノード磁石 7........不純物材料充填用容器 8........質量流量制御装置

Claims (7)

  1. 蒸発源として少なくとも1種類の金属またはその金属を含む化合物を主原料とする固形物を用い、該蒸発源の加熱方式として圧力差アークプラズマを用いる真空蒸着(これを圧力差アークプラズマ真空蒸着、反応性活性化蒸着もしくはイオンプレーティング等の呼び方が使用されている)装置を使用して任意の基体上に金属酸化物系透明導電膜を形成する際に、不純物は該蒸発源及び加熱方式を用いることなく別途蒸着装置内の任意の場所から不純物として少なくとも1種類以上の金属元素を含む化合物を気体の形態で連続的または間欠的に導入して基体上へ供給することを特徴とする不純物添加金属酸化物系透明導電膜の不純物の添加方法。
  2. 前記請求項1記載の不純物金属元素を含む化合物が有機化合物であるアセチルアセトネート、アセテート、キレート、アルキルもしくはアルコキシド系等の不純物金属元素を含む錯塩もしくは錯体化合物であることを特徴とする金属酸化物系透明導電膜への不純物の添加方法。
  3. 前記請求項1記載の不純物金属元素を含む化合物が無機化合物であるフッ化物もしくは塩化物等の不純物金属元素を含むハロゲン化物であることを特徴とする金属酸化物系透明導電膜への不純物の添加方法。
  4. 前期請求項2及び3記載の不純物金属元素を含む化合物がGa、Si、B、Y、In、Sc、Ge、Ti、Zr、Sn、AlもしくはHfのいずれかを含むことを特徴とする金属酸化物系透明導電膜への不純物の添加方法。
  5. 不純物金属元素を含む化合物を任意の温度(任意の蒸気圧)に制御可能な容器内に充填し、該容器内と蒸着装置内との圧力差により不純物金属元素を含む化合物を気体の形態で蒸着装置内に導入し、該容器の温度(蒸気圧)を制御することにより不純物金属元素を含む化合物の供給量を制御することを特徴とする請求項1〜3記載の金属酸化物系透明導電膜への不純物の添加方法。
  6. 不純物金属元素を含む化合物を任意の温度(任意の蒸気圧)に制御可能な容器(液体材料ではバブラーと呼ぶ場合もある)内に充填した後、該容器を不活性ガス等の適当な搬送ガスを導入して不純物金属元素を含む化合物を気体の形態で蒸着装置内に導入し、該容器の温度(蒸気圧)と搬送ガスの流量を制御することにより不純物金属元素を含む化合物の供給量を適量に制御することを特徴とする請求項1〜3記載の金属酸化物系透明導電膜への不純物の添加方法。
  7. 請求項1〜6記載の金属酸化物系透明導電膜への不純物金属元素添加装置を有する圧力差アークプラズマ真空蒸着装置。
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