JP2005068043A - 皮膚柔軟化剤 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】 ジヒドロキシフェニル基を有する化合物を有効成分とする皮膚柔軟化剤。
【効果】 本発明によれば、皮膚の硬化を防止できるとともに、皮膚への残留性に優れ、かつ皮膚刺激もない皮膚柔軟化剤、これを含有する洗浄剤組成物、外用剤組成物を提供することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた皮膚柔軟化効果を有し、かつ皮膚刺激がなく皮膚残留性に優れる、皮膚柔軟化剤、この皮膚柔軟化剤を含有する洗浄剤組成物、外用剤組成物に関するものである。
一般に外界と接触の機会が多い皮膚、毛髪、口腔、呼吸器等の組織は、洗顔剤・皮膚洗浄剤・洗口剤・歯磨き粉・シャンプー・衣料用洗剤・食器用洗剤等の活性剤による暴露を受け、それら組織の水分量低下を原因とする皮膚硬化を招きやすい。
また太陽光、紫外線等の外的刺激は、皮膚のバリア機能を低下させ、皮膚の経表皮水分喪失に基づく皮膚硬化やつっぱり感をもたらす原因となっている。また、老化により人体の水分量は低下するため、皮膚、毛髪の柔軟性は喪失し硬化を招く原因となっている。
皮膚において角層は最外層に位置するため、角層水分量は低下を招きやすく、結果的に皮膚のうるおい感や若々しさの喪失、皮膚の硬化、肌触りの低下の原因となることが知られている(非特許文献1参照)。
これまで、皮膚柔軟性を維持するために、天然保湿因子の溶出力の弱い活性剤の発明がされてきたが、天然保湿因子の溶出を満足できる水準まで抑えるには至っておらず、洗浄による皮膚硬化は依然として避けられないのが現状である。
低刺激性界面活性剤を使用することによる皮膚へのマイルド性や洗浄後のうるおい感の向上を図った洗浄剤組成物が開示されているが(特許文献1:特開平3−153798号公報参照)、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩等に比べそのマイルド性は高いものの、角質層の水分量を維持するには未だ充分でなかった。
一方、皮膚硬化の予防又は改善する目的では、従来から保湿剤が知られており、例えば、尿素、グリセロール、アミノ酸誘導体、ムコ多糖類、各種天然物等を有効成分とする化粧料の使用が試みられてきている(非特許文献2参照)。
しかしながら、これらの保湿成分は、作用が弱く少量で充分な効果を発揮することが困難であったり、発汗や洗浄時の洗浄水で容易に脱落し皮膚定着性に劣るという課題があり、持続性、安定性、使用感等の点から不充分であった。
また、効果の高い有効成分としてビタミンA酸、α−ヒドロキシカルボン酸、β−ヒドロキシカルボン酸が知られている(非特許文献1参照)。さらに、グリコール酸等のα−ヒドロキシカルボン酸は優れた角質層柔軟化作用を有することから化粧料に配合することが提案されている(特許文献2:特開昭55−19291号公報参照)。しかし、α−オキシ酸は、正常な皮膚生理を阻害するような低いpH領域(pH2〜4)でしかその効果が発現しないだけでなく、刺激性の点で問題があった。
また角質軟化作用を有するものとして、β−ヒドロキシカルボン酸のひとつである、サリチル酸が知られている(特許文献3:特開平11−116483号公報参照)。しかし、該化合物は適用後に刺痛感、かゆみ、及びつっぱり感を生じ、かなりの不快感を与えるという問題は解決されていない。よって、該化合物を含め、β−ヒドロキシカルボン酸の使用は一般に好まれていないのが現状である。
以上のことから、優れた皮膚柔軟化効果を有しかつ皮膚刺激がなく皮膚残留性に優れる、皮膚柔軟化剤が切望されていた。
特開平3−153798号公報 特開昭55−19291号公報 特開平11−116483号公報 特開昭63−162611号公報 特開平7−187989号公報 尾沢、「香粧品科学会誌」、1987年、11(4)、p297−307 武村俊之、「ファルマシア」、1992年、28(1)、p61−65
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、日常の紫外線や界面活性剤等の暴露、又は老化による皮膚角層の水分喪失により誘起される皮膚の硬化、つっぱり感を防止できるとともに、皮膚への残留性に優れ、かつ皮膚刺激もない皮膚柔軟化剤、これを含有する洗浄剤組成物、外用剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題に鑑み、皮膚柔軟化成分に関して鋭意研究を進めた結果、
ジヒドロキシフェニル基を有する化合物が、上記目的を達成できることを知見し、発明を完成するに至ったものである。
さらに、具体的に説明すると、一般に、皮膚が硬くなる現象は、乾燥により皮膚の角質細胞内ケラチン繊維間の(潤滑油としての)自由水が抜け、ケラチン繊維間で結合が形成されるため柔軟性を失うことが主な原因と考えられている。
皮膚を柔軟化する方法としては、ケラチン繊維間に自由水を補給することや、自由水の代替物質の補給が考えられる。ケラチン繊維間に自由水を補給する方法としては、一般的な保湿剤を用いる方法が挙げられるが、これらは皮膚表面に潤いを与えても角層内部に充分に浸透せず、その効果は不充分であり、発汗や洗浄行動時の水分で容易に脱落し皮膚定着性に劣るという課題があった。一方、自由水の代替物質の補給としては、サリチル酸や乳酸等のヒドロキシ酸が挙げられる。これらは、皮膚への浸透性に優れ、ケラチン繊維間同士の結合を自由水と同様、ケラチン繊維間で潤滑油様の機能をすることで柔軟性をもたらすことが知られている。しかしながら、皮膚刺激性の問題があった。
これに対し、ジヒドロキシフェニル基を有する化合物が、一般的な保湿剤と異なり、自由水の代替物質として働いて皮膚を柔軟化させる効果を有し、かつ皮膚刺激がなく、皮膚残留性に優れるということは、本発明者による新知見である。
従って、本発明は
(1)ジヒドロキシフェニル基を有する化合物を有効成分とする皮膚柔軟化剤。
(2)ジヒドロキシフェニル基を有する化合物がロスマリン酸であることを特徴とする(1)記載の皮膚柔軟化剤。
(3)(1)又は(2)に記載の皮膚柔軟化剤を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
(4)(1)又は(2)に記載の皮膚柔軟化剤を含有することを特徴とする外用剤組成物を提供する。
本発明によれば、皮膚の硬化を防止できるとともに、皮膚への残留性に優れ、かつ皮膚刺激もない皮膚柔軟化剤、これを含有する洗浄剤組成物、外用剤組成物を提供することができる。
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。
本発明のジヒドロキシフェニル基を有する化合物としては、皮膚柔軟化作用を有するものであれば特に限定されない。具体的には、ロスマリン酸、クロロゲン酸、コーヒー酸、エラグ酸、ケルセチン、ケンフェロール、ε−ビニフェリン、アスチルビン、イソアスチルビン、ネオアスチルビン、ネオイソアスチルビン、ファンキオシド−E、クエルシトリン、イウクリフィン、タキシフォリン、テアフラビン、ゲニステイン、ルテオリン、キサントフモール、カテコール等、これらの塩、これらの誘導体及び該誘導体の塩等を挙げることができる。ジヒドロキシフェニル基は1つであっても2つ以上有していてもよい。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ジヒドロキシフェニル基を有する化合物としては、ロスマリン酸、カテコール、クロロゲン酸、コーヒー酸、エラグ酸が好ましい。
ここで、ジヒドロキシフェニル基を有する化合物の一種であるロスマリン酸を代表例として詳述する。ロスマリン酸は、下記式で表せる物質であり、シソ科常緑小灌木であるマンネンロウ(Rosmarinus officinalis L.)に代表される植物群に含まれている。
Figure 2005068043
ロスマリン酸を用いる技術としては、以下が知られている。例えば、ロスマリン酸又は/及び水溶性高分子物質を含む化粧料が美肌効果を示すこと(特許文献4:特開昭63−162611号公報参照)、ロスマリン酸を含むシソ科植物抽出液を含有する化粧料が美白効果を有すること(特許文献5:特開平7−187989号公報参照)が知られているが、これまで、ロスマリン酸を含むジヒドロキシフェニル基を有する化合物が、皮膚残留性に優れ、皮膚刺激がなく、かつ皮膚柔軟化効果に優れていることは知られていなかった。
本発明において、ロスマリン酸はいずれの由来のものでも使用できる。例えば前記シソ科常緑小灌木であるマンネンロウ(Rosmarinus officinalis L.)のほか、シソ科、ムラサキ科、キョウチクトウ科、セリ科、リンドウ科の植物、具体的にはセージ、アオジソ、チリメンジソ、タイム、エンメイソウ等の植物から抽出することができる。また化学的な有機合成によって調製することもできる。本発明ではロスマリン酸の純粋な化合物を使用することができるが、これに限定されるものではなく、化粧品、洗浄剤、医薬品、医薬部外品、食品として不適当な不純物を含有しない限り半精製、又は粗製のロスマリン酸を使用することもできる。
上記植物は自生、栽培するものを用いることができるが、これらに限らず遺伝子組換えによって得られた組換え体植物やカルス、毛状根といった培養細胞、培養組織も用いることができる。
また上記植物は、その枝部、葉部、根部、種子部、果実部、花部等を用いることができる。
上記植物由来のロスマリン酸の調製方法は公知の方法が採用できる。例えば、マンネンロウを250〜500μmに粉砕したもの、もしくはそれらをヘキサン等の低極性溶媒にて脱脂したものを親水性溶媒、具体的にはエタノール、メタノール、含水エタノール、アセトンを用いてソックスレー法もしくは冷却濾過法等で抽出物を得る。次いで水を添加した後有機溶媒を留去し、さらに水を加えて生じる沈殿の除去、もしくはヘキサン、酢酸エチル、メタノール、水等の溶媒による分配等の方法を用いてロスマリン酸濃縮液を得る。次いで本濃縮液を減圧蒸留、低極性溶媒による洗浄、pH調整による塩の解離、ケイ酸カラム、樹脂カラム、高速液体クロマトグラフィーによって精製する等の方法を用いることができる。
本発明に用いられるその他のジヒドロキシフェニル基を有する化合物は、ロスマリン酸と同様、由来を問わず、自生、栽培植物、組換え体植物やカルス、毛状根といった培養細胞、培養組織、又は化学的な有機合成によって調製することもできる。本発明では純粋な化合物を使用することができるが、これに限定されるものではなく、化粧品、洗浄剤、医薬品、医薬部外品、食品として不適当な不純物を含有しない限り、半精製又は粗製のジヒドロキシフェニル基を有する化合物を使用することもできる。
ジヒドロキシフェニル基を有する化合物を有効成分とする皮膚柔軟化剤は、ジヒドロキシフェニル基を有する化合物の1種又は2種以上を用いることができる。皮膚柔軟化剤は、顔又は身体の皮膚、粘膜の洗浄、保護、処置又はケア製品、ケラチン繊維用の洗浄、保護、処置又はケア製品、メークアップ製品に使用できる。特に、顔、手又は身体用の処置又はケア用クリーム(例えば、デイクリーム、ナイトクリーム、抗日光クリーム)、保護又はケア用身体用乳液、ローション(クレンジングローション、抗日光ローション)、スキンケアムース又はゲル、及び浴用組成物に使用できる。また、特に、ファンデーション、リップスティック及びアイシャドウといった、頬、唇、睫毛、及び眉毛のメークアップ製品にも使用することができ、この場合は、染料、特に化学染料又は顔料を含むことができる。
さらに、本発明は、皮膚柔軟化剤を含有する洗浄剤組成物及び外用剤組成物を提供する。洗浄剤組成物としては、シャンプー、リンス、コンディショナー、洗顔剤、全身洗浄剤、洗口剤、歯磨き粉、衣料用洗剤、衣料用柔軟剤、漂白剤、食器用洗剤、浴室用洗剤、トイレ用洗剤、住居用洗剤等が挙げられる。ここで、シャンプー、リンス、コンディショナーは、洗浄による手肌や頭皮の柔軟化に効果があるものである。
外用剤組成物としては、化粧品、医薬品、医薬部外品が挙げられる。具体的には、クリーム、乳液、化粧水、美容液、パック等の基礎化粧料、口紅、ファンデーション等のメークアップ化粧料、ゼリー剤、軟膏等の医薬品や医薬部外品等、種々の形態で幅広く好適に使用することができる。
これらのなかでも、ジヒドロキシフェニル基を有する化合物が皮膚残留性に優れ、皮膚硬化を招きやすい洗浄後でも高い効果を発現するという比類ない特徴を有する点から、洗顔剤、全身洗浄剤、洗口剤、歯磨き粉、衣料用洗剤、衣料用柔軟剤、漂白剤、食器用洗剤、浴室用洗剤、トイレ用洗剤、住居用洗剤等に用いることが好ましく、特に洗顔剤、全身洗浄剤(ボディシャンプー)、食器用洗剤に用いることが好ましい。
ジヒドロキシフェニル基を有する化合物の含有量は特には限定されないが、洗浄剤組成物の場合、洗浄剤組成物全体に対して0.001〜30質量%が好ましく、特に0.01〜10質量%が好ましい。外用剤組成物の場合、外用剤組成物全体に対して0.001〜30質量%が好ましく、特に0.01〜10質量%が好ましい。配合量が少なすぎると、その配合効果が十分に発揮されない場合があり、一方、多すぎると着色や析出物の出現など、組成物の外観を損ねる場合がある。
本発明の洗浄剤組成物及び外用剤組成物には、任意成分を本発明の効果を妨げない範囲で適宜配合することができる。任意成分としては、例えば、高級アルコール、シリコーン油等の油分、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、水溶性高分子化合物、アクリル樹脂分散液、ビタミン等の薬剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等の界面活性剤、殺菌剤、防腐剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料、顔料、無機粉体、ナイロン、ポリエチレン等のポリマー水不溶性粉体等が挙げられる。これらを1種単独で又は2種以上適宜組み合わせて用いることができる。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量配合することができる。
香料として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)及び「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)及び「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)及び「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等で見られ、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
香料の代表例としては、例えば、本出願人による特開2003−113019号公報に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、香料は、香料安定化剤や溶剤と共に香料組成物として用いられるが、香料安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられ、香料組成中に0.0001〜10質量%配合されるが、好ましくは、0.001〜5質量%配合される。これらの中で、好ましい安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエンである。
本発明の皮膚柔軟化剤を含有する洗浄剤組成物及び外用剤組成物は、剤形として、水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油2層系、水−油−粉末3層系等の広い範囲の基剤とすることができ、クレンジング・バー又はセッケンを構成する固体製剤とすることもできる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%を示す。
[実施例1〜3,比較例1〜5]
<ロスマリン酸半精製物の調製>
マンネンロウ乾燥葉100gをのせた濾紙上に100mLのn−ヘキサンを通し脱脂を行い風乾後、本乾燥葉に対し10倍量の80質量%エタノールを加え、60℃にて2時間撹拌し、粗抽出溶液を得た。本粗抽出溶液中のエタノール分を減圧留去した後、等量の水とヘキサンを添加し、分液ロートにて分配し水相画分を分離した。さらに本画分をロータリーエバポレーターにて脱溶媒し8gのロスマリン酸粗精製物を得た。ロスマリン酸粗精製物を適当量の溶媒に溶解しケイ酸カラムに負荷し、クロロホルム:メタノール=10:1(体積比)にて分画を行い、高極性画分を分取した。本画分をロータリーエバポレーターにて脱溶媒し0.5gのロスマリン酸半精製物を得た。
得られたロスマリン酸半精製物は、精製水で希釈しロスマリン酸を70質量%含有するロスマリン酸含有液を調製した後、表1に記載した組成の溶液組成物の調製に供した。得られた溶液組成物について、下記試験方法に従って、皮膚柔軟化評価試験、皮膚刺激評価試験、皮膚残留性評価試験を行った。結果を表1に併記する。
角層シートを用いた皮膚柔軟化評価試験
7週齢の健常な雌モルモットの背部皮膚を採取しシート状の角層のみを文献記載[Kligman AM and Christophers E;Arch.Dermaol.,88,p702−705(1963)]の方法に従い調製した。こうして得た角層シートを、表1記載の37℃の被験溶液で10分間浸漬を行い、精製水で3回すすぎを行った。その後、温度25℃、湿度75%RHの条件で一昼夜静置した後、同条件下で汎用レオメーター(サン科学社製、引張試験機)にてヤング率の測定を行い、柔軟性を調べた。対照として比較例1の被験溶液に浸漬した角層シートのヤング率を1.00とした。
下記式に基づいて柔軟化率を求め、下記評価基準で皮膚柔軟化効果レベルを判定した。
Figure 2005068043
<評価基準>
◎:対照(比較例1)に比べ20%以上の軟化が認められたものを著効
○:5%以上20%未満の軟化が認められたものを良好
△:2.5%以上5%未満の軟化が認められたものを効果あり
×:2.5%未満の軟化が認められたものを効果なし
皮膚刺激評価試験
下記スティンギング試験を実施した。スティンギングとは、皮膚外用剤等を塗布した際に知覚する「ヒリヒリ感(burning)」、「ピリピリ感(stinging)」、「つっぱり感(tightness)」、「かゆみ(itching)」といった感覚的な刺激の総称であり、通常紅斑や浮腫といった炎症性症状は伴わない一過性に消失する反応を示す。これまで皮膚柔軟化作用を有する化合物であってスティンギング物質として知られるものに、乳酸、クエン酸、サリチル酸等が挙げられる。
スティンギング試験は、文献[P.J. Frosch and A.M. Kligman、 Journal of the Society of Cosmetic Chemists 28、197−209(1977)]記載の方法を改変して実施した。より具体的には、健常な20〜30代の女性20名を対象に、顔面の頬部を洗顔料で洗浄し、20分後に被検溶液を塗布し、塗布5分後に下記評価基準で刺激評価を行った。
<評価基準>
0点:全く刺激を感じない
1点:少し刺激を感じる
2点:刺激を感じる
3点:刺激を非常に感じる
20名の刺激指数を被験溶液毎に集計結果をもとに平均値を求め、刺激指数を算出し、さらにこの値をもとに下記基準に従って被験溶液の刺激レベルを評価した。
<基準>
◎:20名の平均刺激指数が0であり、全く刺激がないレベル
○:20名の平均刺激指数が0.5未満であり、殆ど刺激がないレベル
△:20名の平均刺激指数が0.5以上1.5未満であり、刺激を少し感じるレベル
×:20名の平均刺激指数が1.5以上であり、明らかに刺激を感じるレベル
皮膚残留性評価試験
皮膚への被験溶液の残留性は、上腕内側部の皮膚に被験溶液を外用した後、直ちに水ですすぎ、該外用部位に残留する被験溶液の残留率から評価した。詳細には、それぞれの成分をよく溶解する溶媒にて抽出し、液体クロマトグラフィー等の定量方法により、下記式に基づいて残留率を求め、下記評価基準で皮膚への残留しやすさを評価した。
Figure 2005068043
<評価基準>
○:残留率が1%以上
△:残留率が0.01%以上1%未満
×:残留率が0.01%未満
Figure 2005068043
洗剤組成物Aの組成は以下に示す通りである。
ポリオキシエチレン脂肪酸アミド 10.0%
C12ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム(n=3) 2.0%
直鎖アルキル(C11〜14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム 2.0%
C12ポリオキシエチレンアルキルエーテル(n=15) 10.0%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量1000) 2.0%
エタノール 5.0%
安息香酸ナトリウム塩 5.0%
キシレンスルホン酸 pH6.5に調整必要量
精製水 残部
合 計 100.0%
なお、表1記載のロスマリン酸含有液には、70.0質量%のロスマリン酸が含まれる。
表1に示した結果から明らかなように、1,3ブチレングリコール及び乳酸は洗剤A組成物の共存下では、角層柔軟化作用が認められなかった(比較例1,4,5)。一方、ロスマリン酸含有液は、洗剤A組成物共存下においても著しく角層を柔軟化した(実施例3)。さらに、ロスマリン酸含有液は、配合濃度依存的に皮膚角層の硬化を抑制しうることが判明した(実施例1〜3)。
皮膚刺激性については、保湿剤である1,3ブチレングリコールには認められなかったが(比較例2,4)、α−ヒドロキシカルボン酸類である乳酸には、低濃度の使用でも強い皮膚刺激を有することが判明した(比較例3,5)。一方、ロスマリン酸含有液には、皮膚刺激は全く認められなかった(実施例1〜3)。
また、良好な皮膚残留性を示したのはロスマリン酸含有液のみであり、1,3ブチレングリコールや乳酸は、精製水のすすぎでも容易に溶出し、洗剤A組成物の共存下では殆ど残留しないことが判明した。
以下、本発明の皮膚柔軟化剤を各種の用途に応じて配合した配合例を示す。
[実施例4〜6]
表2の組成に従って、常法に基づいて食器用洗剤組成物を調製した。なお、ロスマリン酸含有液は、実施例1と同様のものを用いた。
Figure 2005068043
なお、上記香料Aの組成は以下の通りである。α−ピネン1.0%、スイートオレンジ油40.0%、オレンジ油バレンシア12.0%、コリアンダー油2.0%、シトロネラ油2.0%、スイートフェンネル油1.0%、マンダリン油5.0%、ゆず油1.0%、ライム油12.0%、レモングラス油1.0%、レモン油20.0%、シトラール2.0%、cis−3−ヘキセノール(10.0%エタノール溶液)1.0%。
[実施例7〜9]
表3の組成に従って、常法に基づいて食器用洗剤組成物を調製した。なお、ロスマリン酸含有液は実施例1と同様のものを用いた。
Figure 2005068043
なお、上記香料Bの組成は以下の通りである。α−ピネン0.5%、スイートオレンジ油40.0%、オレンジ油バレンシア10.0%、コリアンダー油2.0%、シトロネラ油2.0%、スイートフェンネル油2.0%、マンダリン油5.0%、ゆず油2.0%、ライム油13.0%、レモングラス油1.0%、レモン油20.0%、シトラール1.5%、cis−3−ヘキセノール(10.0%エタノール溶液)1.0%。
[実施例10〜12]
表4の組成に従って、常法に基づいてシャンプー組成物を調製した。なお、ロスマリン酸含有液は実施例1と同様のものを用いた。
Figure 2005068043
なお、上記香料Cの組成は以下の通りである。α−ピネン1.0%、シクロペンタデカノン5.0%、アブソリュート オークモス2.0%、ライム油5.0%、サンダロール4.0%、シトラール4.0%、リナロール10.0%、ゲラニルアセテート6.0%、リナリルアセテート3.0%、アンブロキサン1.0%、オイゲノール3.0%、カシュメラン1.0%、cis−3−ヘキセニールサリシレート7.0%、ヘリオトロピン2.0%、γ−デカラクトン3.0%、クマリン6.0%、ゲラニルニトリル2.0%、ジャスミン フローラルベース10.0%、ミューゲ フローラルベース10.0%、リリアール15.0%。
[実施例13〜15]
表5の組成に従って、常法に基づいてボディーシャンプー組成物を調製した。なお、ロスマリン酸含有液は実施例1と同様のものを用いた。
Figure 2005068043
なお、上記香料Dの組成は以下の通りである。α−ピネン1.0%、アンブレットリド1.0%、オキサヘキサデセン−2−オン5.0%、シクロヘキサデセノン10.0%、アブソリュート オークモス2.0%、クラリーセージ油2.0%、ラバンジンアブソリュート2.0%、シトラール4.0%、リナロール8.0%、ロジノール10.0%、ゲラニルアセテート6.0%、リナリルアセテート3.0%、オイゲノール3.0%、cis−3−ヘキセノール1.0%、ダマセノン1.0%、γ−デカラクトン4.0%、クマリン6.0%、ジャスミン フローラルベース10.0%、ミューゲ フローラルベース6.0%、リリアール15.0%。
[実施例16〜18]
表6の組成に従って、常法に基づいてメイク落とし組成物を調製した。なお、ロスマリン酸含有液は実施例1と同様のものを用いた。
Figure 2005068043
なお、上記香料Eの組成は以下の通りである。α−ピネン1.0%、10−オキサヘキサデカノリド5.0%、アンブレットリド1.0%、オキサヘキサデセン−2−オン7.0%、ゲラニオール10.0%、シトロネロール10.0%、オクタナール1.0%、デカナール1.0%、ノナナール1.0%、バクダノール3.0%、フェニルエチルアルコール10.0%、メチルアトラレート1.0%、メチルイオノン8.0%、2−メチルウンデカナール1.0%、ローズ フローラルベース20.0%、ミューゲ フローラルベース6.0%、ジャスミン フローラルベース4.0%、リリアール10.0%。
[実施例19〜21]
表7の組成に従って、常法に基づいて外用剤組成物を調製した。なお、ロスマリン酸含有液は実施例1と同様のものを用いた。
Figure 2005068043
なお、上記香料Fの組成は以下の通りである。α−ピネン1.0%、10−オキサヘキサデカノリド5.0%、アンブレットリド1.0%、オキサヘキサデセン−2−オン7.0%、ゲラニオール7.5%、シトロネロール7.5%、オクタナール1.0%、デカナール1.0%、ノナナール1.0%、バクダノール3.0%、フェニルエチルアルコール10.0%、メチルアトラレート1.0%、メチルイオノン8.0%、2−メチルウンデカナール1.0%、ローズ フローラルベース20.0%、ミューゲ フローラルベース6.0%、ジャスミン フローラルベース4.0%、リリアール15.0%。
上記実施例4〜21で得た組成物を、それぞれ20〜50才代の男女47名に、常法に基づいて使用してもらったところ、皮膚刺激を感じずに、使用後皮膚が柔軟化されたと感じるものが多かった。

Claims (4)

  1. ジヒドロキシフェニル基を有する化合物を有効成分とする皮膚柔軟化剤。
  2. ジヒドロキシフェニル基を有する化合物がロスマリン酸であることを特徴とする請求項1記載の皮膚柔軟化剤。
  3. 請求項1又は2に記載の皮膚柔軟化剤を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
  4. 請求項1又は2に記載の皮膚柔軟化剤を含有することを特徴とする外用剤組成物。
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