JP2005067013A - ロール状印刷版材料包装体及びロール状印刷版材料 - Google Patents

ロール状印刷版材料包装体及びロール状印刷版材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 出力装置にロール状印刷版材料をマガジンに装填し出力装置に供給した場合、蛇行が生じることなくロール状印刷版材料から広幅印刷版材料を引き出すことが出来るロール状印刷版材料包装体の提供。
【解決手段】 広幅帯状印刷版材料を中空円筒状の巻き芯に巻設しロール状にし、該巻き芯の両端にフランジ部材を取り付けたロール状印刷版材料を包装材料で包装したロール状印刷版材料包装体において、該巻き芯の長さが該広幅帯状印刷版材料の幅方向の長さより0.5〜2.0mm短いことを特徴とするロール状印刷版材料包装体。
【選択図】 図1

Description

本発明は、広幅帯状印刷版材料を中空円筒状の巻き芯に巻設しロール状にし、該巻き芯の両端にフランジ部材を取り付けたロール状印刷版材料を包装材料で包装したロール状印刷版材料包装体に関する。
印刷データのデジタル化に伴い、画像データを直接印刷版に記録するCTPが普及してきた。CTP(コンピューター・トゥー・プレート)に使用される印刷版材料は、従来のPS版と同様にアルミ基材を使用するメタルタイプとフィルム基材上に印刷版としての機能層を設けたフレキシブルタイプがある。近年、商業印刷においては印刷の多品種少部数化傾向が進み、市場では高品質で低価格な印刷版材料への要望が強くなっている。
従来のフレキシブルタイプの印刷版材料は、例えば特開平5−66564号に開示されるようなフィルム基材上に銀塩拡散転写方式の感光層を設けたもの、あるいは特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号に開示されるようなフィルム基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層し、表層をレーザー露光でアブレーションさせて印刷版を形成するように構成されたもの、あるいは特開2001−96710に開示されるようなフィルム基材上に親水性層と熱溶融性画像形成層を設け、レーザー露光により親水性層あるいは画像形成層を画像様に発熱させることで画像形成層を親水性層上に溶融固着させるものが挙げられる。
銀塩拡散転写方式は、露光後に湿式の現像と乾燥の工程が必要であり、画像形成工程での寸法精度が十分得られないため、高品質の印刷には適していない。
アブレーション方式は現像処理を必要としないが、表層のアブレーションにより画像を形成するためドット形状が不安定になりやすい。又、アブレーションした表層の飛散物による材料表面や露光装置内部の汚染が発生することがある。
レーザー光を熱に変換し熱溶融画像を親水性層上に形成する方式は鮮鋭なドット形状が得られ、高精細な画像形成に適している。又この方式の中には、画像書き込み後の印刷版をオフセット印刷機で印刷することにより湿し水で非画像部の画像形成層のみを膨潤溶解して印刷初期の印刷紙(損紙)上に転写除去する所謂印刷機上現像ができるものがあり、この場合は露光後の現像プロセスが不要であるため、品質安定性、環境適性にも優れている。
CTPの場合、生産効率を高めるために版の出力装置を連続自動運転することが一般的である。フィルム基材を使用した印刷版材料は、一般的に出力装置内に供給し、出力装置内で所定サイズに自動断裁して使用されるため、広幅帯状印刷版材料を中空円筒状の巻き芯に巻設し、ロール状としたロール状印刷版材料の形態で使用することが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
これらのロール状印刷版材料を出力装置に装着する場合、巻き芯の両端にフランジ部材を取り付け、このフランジ部材を回転自在に保持するガイド部と、ロール状印刷版材料の端部の引き出し口とを有する構造のマガジンに装填したものを出力装置に装着することが一般的である。
しかしながら特許文献1に記載されている如き巻き芯を使用した場合、次の様な問題点を有している。
1)巻き芯の長さが変動し、広幅帯状印刷版材料の幅より長くなった場合、巻き芯の中空部に嵌入するフランジ部材と巻設した広幅帯状印刷版材料との間に間隙が発生する。
2)フランジ部材が樹脂成形品の場合、嵌入部がフランジ部に直角に取り付けられていなくRをもって取り付けられているため、嵌入部の根元まで嵌入することが出来ないためフランジ部材と巻設した広幅帯状印刷版材料との間に間隙が発生する場合がある。
この様な状態のロール状印刷版材料をマガジンに装填し出力装置に供給した場合、ロール状印刷版材料から広幅帯状印刷版材料を引き出す際、蛇行が発生し寸法精度が安定しない、端部が擦れ印刷機上現像性が劣化したり、インクの付着性が低下するという新たな課題が発生することが判った。
これらの対策として、出力装置側にガイド又はEPCを設置したりすることが行われているのであるが、出力装置が大きくなったり費用が掛かかるため、この様な対策をすることなく使用することが出来るロール状印刷版材料包装体の開発が望まれている。
実開平04−93839号公報
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は出力装置にロール状印刷版材料をマガジンに装填し出力装置に供給した場合、蛇行が生じることなくロール状印刷版材料から広幅印刷版材料を引き出すことが出来るロール状印刷版材料包装体を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
(請求項1)
広幅帯状印刷版材料を中空円筒状の巻き芯に巻設しロール状にし、該巻き芯の両端にフランジ部材を取り付けたロール状印刷版材料を包装材料で包装したロール状印刷版材料包装体において、該巻き芯の長さが該広幅帯状印刷版材料の幅方向の長さより0.5〜2.0mm短いことを特徴とするロール状印刷版材料包装体。
(請求項2)
前記広幅帯状印刷版材料は、画像形成層を外面にして中空円筒状の巻き芯に巻設されていることを特徴とする請求項1に記載のロール状印刷版材料。
(請求項3)
前記広幅帯状印刷版材料は、プラスチックフィルム基材上に親水性層及び画像形成層をこの順に有し、少なくとも一方の層に近赤外線を熱に変換する光熱変換材料を含有する機上現像型印刷版材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載のロール状印刷版材料。
出力装置にロール状印刷版材料をマガジンに装填し出力装置に供給した場合、蛇行が生じることなくロール状印刷版材料から広幅印刷版材料を引き出すことが出来るロール状印刷版材料包装体を提供することが出来、蛇行の発生が無く寸法精度が向上すると共に擦れに伴う品質異常もなくなり品質性能が向上した。
以下、本発明の実施態様について図1〜図3に基づいて説明する。
図1はロール状印刷版材料包装体の概略分解斜視図である。
図中、1はロール状印刷版材料包装体を示す。101は広幅印刷版材料を中空円筒状の巻き芯102に巻設しロール状にしたロール状印刷版材料を示し、101aは先端部を示す。103は巻き芯102の両端に取り付けるフランジ部材を示す。フランジ部材103はフランジ部103aと巻き芯102の中空部102aに嵌め込む嵌入部103bとを有している。103cは巻き芯102の両端にフランジ部材を取り付けた時、ロール状印刷版材料101の側面101bに接触するフランジ部103aの内面を示す。103dはフランジ部103aの外面を示す。
104はロール状印刷版材料101の巻き芯102の両端にフランジ部材103を取り付けた後、ロール状印刷版材料101の周面及びフランジ部材の外側103dを包装する包装材料を示す。105は包装材料104の後端部を止めるテープを示す。包装材料104の両端は嵌込部103bの内側103eに押し込まれている。
本発明に係る包装材料は、単層材料であっても多層材料であっても良い。例えば、一般の包装材料として使用されている高分子フィルム(例えば機能性包装材料の新展開株式会社東レリサーチセンター記載の熱可塑性樹脂フィルム)エチレンテトラフルオロエチル共重合体(ETFE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、2軸延伸ポリプロピレン(0PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、2軸延伸ナイロン6、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリエーテルスチレン(PES)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ナイロン(ONy)、ポリエステル(PET)、ポリビニルアルコール(PVA)、延伸ビニロン(OV)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVOH)、塩化ビニリデン(PVDC)等が使用できる。
又、これら熱可塑性樹脂フィルムは必要に応じて単体でも良いし又は、2種以上のフィルムを積層させて用いることが出来る。例えばCPP/OPP、PET/OPP/LDPE、Ny/OPP/LDPE、CPP/OPP/EVOH、サランUB/LLDPE(ここでサランUBとは旭化成工業株式会社製の塩化ビニリデン/アクリル酸エステル系共重合樹脂を原料とした2軸延伸フィルムを示す。)K−OP/PP、K−PET/LLDPE、K−Ny/EVA(ここでKは塩化ビニリデン樹脂をコートしたフィルムを示す)等が使用されている。又、必要に応じて異種フィルムと共押し出しで作った多層フィルム、延伸角度を変えて張り合わせて作った多層フィルム等も当然使用出来る。更に必要とする包装材料の物性を得るために使用するフィルムの密度、分子量分布を組み合わせて作る事も当然可能である。
積層させて用いる場合、最内層の熱可塑性樹脂フィルムとしては低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びメタロセン触媒を使用して製造した低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、また、これらフィルムと高密度ポリエチレン(HDPE)フィルムの混合使用したフィルムが使用されている。
上記積層フィルムの製造方法としては、一般的に知られている各種の方法が用いられ、例えばウェットラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、熱ラミネート法を利用して作ることが可能である。他に使用材料によっては多層インフレーション方式により作ることが出来る。
積層する際に使用される接着剤としては一般的に知られている接着剤が使用出来る。例えば各種ポリエチレン樹脂、各種ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂熱溶解接着剤、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂等のエチレン共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂熱溶融接着剤、その他熱溶融型ゴム系接着剤等がある。エマルジョン、ラテックス状の接着剤であるエマルジョン型接着剤の代表例としては、ポリ酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、酢酸ビニルとアクリル酸エステル共重合体樹脂、酢酸ビニルとマレイン酸エステル共重合体樹脂、アクリル酸共重合物、エチレン−アクリル酸共重合物等のエマルジョンがある。ラテックス型接着剤の代表例としては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等のゴムラテックスがある。又、ドライラミネート用接着剤としてはイソシアネート系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等があり、その他、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂等をブレンドしたホットメルトラミネート接着剤、感圧接着剤、感熱接着剤等公知の接着剤を用いることもできる。エクストルージョンラミネート用ポリオレフィン系樹脂接着剤はより具体的にいえば、各種ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂などのポリオレフィン樹脂からなる重合物及びエチレン共重合体(EVA、EEA、等)樹脂の他、L−LDPE樹脂の如く、エチレンと他のモノマー(α−オレフィン)を共重合させたもの、Dupot社のサーリン、三井ポリケミカル社のハイミラン等のアイオノマー樹脂(イオン共重合体樹脂)及び三井石油化学(株)のアドマー(接着性ポリマー)等がある。その他紫外線硬化型接着剤も最近使われはじめた。特にLDPE樹脂とL−LDPE樹脂が安価でラミネート適性に優れているので好ましい。又前記記載樹脂を2種以上ブレンドして各樹脂の欠点をカバーした混合樹脂は特に好ましい。例えばL−LDPE樹脂とLDPE樹脂をブレンドすると延展性が向上し、ネックインが小さくなるのでラミネート速度が向上し、ピンホールが少なくなる。上記接着剤を用いて各層を接着する時、接着強度は350g/15mm巾以下になる様に積層することが好ましい
本発明に係る包装材料としては、厚さが40〜150μmの単層材料であっても多層材料であっても良い。
ロール状印刷版材料101の包装方法としては特に限定はなく、例えば本図に示す包装方法以外として上記の包装材料を袋状にして収納し、口元を縛る方式であってもかまわない。
本図で示されるロール状印刷版材料包装体1を使用するに際しては、先ず包装材料104を取り除いた後、出力装置に装着する専用のマガジン(図2を参照)に装填し、マガジンを出力装置に装着することが一般的である。
図2はマガジンの概略斜視図である。図2の(a)は図1で示されるロール状印刷版材料を装填した状態のマガジンの概略斜視図である。図2の(b)は図2の(a)に示されるロール状印刷版材料用のマガジンの蓋を開いた状態を示す概略斜視図である。図2の(b)では、ロール状印刷版材料用のマガジンの中を説明するためロール状印刷版材料は省略してある。
図中、2はロール状印刷版材料用のマガジンを示す。201は両端にフランジ部材103(図1を参照)を取り付けたロール状印刷版材料1(図1を参照)を収納する開口部201aを有する本体を示す。202は本体201の開口部201aを覆う蓋体を示し、本体201の側壁201bに開閉自在に連結部材(例えば、蝶番)を介して取り付けられている。
203は、本体201と蓋体202との間に設けられたロール状印刷版材料1(図1を参照)の先端部101aの引き出し口を示す。204は蓋体202に配設されたガイド部材を示し、205は本体201に配設されたガイド部材を示す。
206aは本体201の側壁201cの底面201e側に配設されたロール状印刷版材料を回転可能に載置するガイド部材である一対のロールを示す。側壁201dの底面201e側にも同様に一対のロール206bが配設されている。ロール部材206a、206bは回転可能となっており、フランジ部材103a、103bの端辺を受けロール状印刷版材料1(図1を参照)を載置するようになっている(図3を参照)。ロール206a、206bは収納するロール状印刷版材料のサイズに合わせ、一対のロールの間隔及びロール206a、206bの間隔を変更出来るように本体201に配設されている。
図3は図2の(a)のB−B′に沿った概略断面図である。
図中、208は蓋体202を本体201に開閉自在に取り付ける連結部材を示す。他の符号は図1、図2と同義である。
先端部101aを引っ張る(図中の矢印方向)ことで、回転可能なロール206a(206b)にフランジ部材103a(103b)の端辺を介して載置されているロール状印刷版材料1はロール206a(206b)の回転(図中の矢印方向)により容易に引き出すことが可能となっている。先端部101aは露光装置側の一対の挟持ローラーにより挟まれ引き出され、所定長引き出された広幅帯状印刷版材料は、装置内で断裁され露光部に送られて使用される様になっている。
図4は図1のA−A′に沿った概略断面図である。図4の(a)は広幅帯状印刷版材料の幅と同じ長さの巻き芯を使用した場合の概略断面図である。図4の(b)は広幅帯状印刷版材料の幅より短い巻き芯を使用した場合の概略断面図である。尚、本図では包装材料は省略してある。
図中、Mは広幅帯状印刷版材料の幅(ロール状印刷版材料の幅)方向の長さを示し、Nは巻き芯の長さを示す。図4の(a)は、広幅帯状印刷版材料の幅と同じ長さの従来の巻き芯102bを使用した場合を示す。巻き芯102bを使用した場合、ロール状印刷版材料101の側面101bとフランジ部103aの内面との間隙Oが出来、この状態で図2、図3に示されるマガジンに装填し、出力装置に装着しロール状印刷版材料101の先端101a(図2を参照)を引き出し広幅帯状印刷版材料を引き出すとき、ロール状印刷版材料101の両端に出来た間隙で広幅帯状印刷版材料が蛇行し、寸法精度が安定しない、端部が擦れ印刷機上現像性が劣化したり、インクの付着性低下等の問題が発生する。
図4の(b)は広幅帯状印刷版材料の幅方向の長さより短い本発明に係わる巻き芯102cを使用した場合を示す。図4の(b)に示される巻き芯102cの長さは、使用する広幅帯状印刷版材料の幅方向の長さより0.5〜2.0mm短くなっている。0.5mm未満の場合は、巻き芯に巻き取りロール状印刷版材料を作製し、両端にフランジ部材を取り付けるとき、フランジ部材によってはフランジ部材の嵌入部の基部まで入らなくなり、フランジ部とロール状印刷版材料の側面の間に隙間が空いてしまいマガジンに装填し、出力装置に装着し、使用するとき蛇行が生じるめ好ましくない。2.0mmを越えた場合は、巻き芯が短くなり、ロール状印刷版材料を支えられなくなりロール状印刷版材料が変形する危険があるため好ましくない。
巻き芯102cを使用した場合、ロール状印刷版材料101の側面101bにフランジ部103aの内面が密着するため図4の(a)に示す如き間隙Oは出来ない。この状態で図2、図3に示されるマガジンに装填し、出力装置に装着しロール状印刷版材料101の先端101a(図2を参照)を引き出し広幅帯状印刷版材料を引き出すとき、広幅帯状印刷版材料は蛇行が発生することなく出力装置に供給されるため、寸法精度が安定し、端部が擦れがなく品質が安定する。
図5は図4の部分拡大概略断面図である。図5の(a)は図4の(a)のDで示される部分の部分拡大概略断面図である。図5の(b)は図4の(b)のEで示される部分の部分拡大概略断面図である。
図5の(a)に示される様に、ロール状印刷版材料101の側面101bとフランジ部103aの内面との間隙Oが出来る原因として次のことが挙げられる。
1)巻き芯102bのバラツキにより広幅帯状印刷版材料の幅方向の長さより長い巻き芯102bを使用してしまう。
2)フランジ部材103の嵌入部103bの基部103fがRを有しているため、巻き芯102bの中空部にフランジ部材103の嵌入部103bを嵌入したとき、巻き芯102bの端部が基部103fのRに接触し嵌入部103bの基部103まで嵌入することが出来ない。
しかしながら、図5の(b)に示される様に、広幅帯状印刷版材料の幅方向の長さより短い巻き芯102cを使用することで図5の(a)の間隙Oが発生する原因が解決されるため、巻き芯102cの中空部にフランジ部材103の嵌入部103bを嵌入したとき、巻き芯102cの端部が基部103fのRに接触しないため嵌入部103bの基部103まで嵌入することが可能となる。
本発明に係る巻き芯は特に限定はなく、例えば特開平5−197085号、同10−142744号、同11−44931号、特開2000−29661、同2002−114418、同2002−187148、同2003−40495等に記載されている巻き芯が挙げられる。
以下に本発明に係るロール状印刷版材料について説明する。ロール状印刷版材料に用いることのできる基材としては、金属箔、紙、プラスチックフィルム、あるいはそれらの複合体である。取り扱い性の点からはプラスチックフィルムが特に好ましい。印刷版作成装置内での安定搬送性と印刷版としての取り扱い易さから基材の厚みとしては85〜295μmが好ましく、特に好ましくは150〜250μmである。
85μm未満の場合は、基材の種類によっては印刷版としての機械強度が不十分となり、耐刷性と寸法精度が劣化する場合がある。250μmを越えた場合は、基材の種類によっては硬くなり、露光時の位置精度が不良となり、良好な印刷品質が得られない場合がある。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類を挙げることができる。特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムが好ましい。
これらプラスチックフィルムの表面は、親水性層との密着性を確保するためにコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が施されていても良い。又、サンドブラスト、ブラシ研磨等により機械的に基材表面を粗面化することもできる。更に親水性官能基を有するラテックス、あるいは水溶性樹脂による下引き層を設けることも好ましい態様である。
ロール状印刷版材料の親水性層は、多孔質構造を有する親水性マトリックス構造体を含有する。親水性マトリックスを形成する素材としては、有機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性マトリックスや、ポリアルコキシシラン、チタネート、ジルコネート又はアルミネートの加水分解、縮合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリックス層、金属酸化物等が好ましく用いられる。特に金属酸化物微粒子を含むことが好ましく、例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良く、平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
上記金属酸化物微粒子は、その造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、さらに、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
親水性層マトリクス構造の多孔質化材として、粒径が1μm未満の多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。多孔質金属酸化物粒子としては、以下に記載の多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
多孔質シリカ粒子は、一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法では、ケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、もしくは中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では、四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により、多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
粒子の多孔性としては、細孔容積で0.5ml/g以上であることが好ましく、0.8ml/g以上であることがより好ましく、1.0〜2.5ml/gであることが更に好ましい。細孔容積は、塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。逆に、細孔容積が0.5ml/g未満の場合には、印刷性能が不十分となる場合がある。
ゼオライトは、結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。天然及び合成ゼオライトを合わせた一般式は、次のように表される。
(M1、(M2)0.5)m(AlmSinO2)(m+n)・xH2
ここで、M1、M2は交換性のカチオンであって、M1はLi+、Na+、K+、Tl+、Me4+(TMA)、Et4+(TEA)、Pr4+(TPA)、C7152 +、C816+等であり、M2はCa2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、C8182 2+等である。又、n≧mであり、m/nの値つまりはAl/Si比率は1以下となる。Al/Si比率が高いほど交換性カチオンの量が多く含まれるため極性が高く、従って親水性も高い。好ましいAl/Si比率は0.4〜1.0であり、更に好ましくは0.8〜1.0である。xは整数を表す。
ゼオライト粒子としては、Al/Si比率が安定しており、又粒径分布も比較的シャープである合成ゼオライトが好ましく、例えばゼオライトA:Na12(Al12Si1248)・27H2O;Al/Si比率1.0、ゼオライトX:Na86(Al86Si106384)・264H2O;Al/Si比率0.811、ゼオライトY:Na56(Al56Si136384)・250H2O;Al/Si比率0.412等が挙げられる。
Al/Si比率が0.4〜1.0である親水性の高い多孔質粒子を含有することで、親水性層自体の親水性も大きく向上し、印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなる。又、指紋跡の汚れも大きく改善される。Al/Si比率が0.4未満では親水性が不充分であり、上記性能の改善効果が小さくなる。
また、本発明に係るロール状印刷版材料の親水性層マトリクス構造は、層状粘土鉱物粒子を含有することができる。該層状鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。特に、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が1μm未満であり、平均アスペクト比が50以上であることが好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲より大きくなると、塗膜に不均一性が生じて、局所的に強度が弱くなる場合がある。又、アスペクト比が上記範囲以下である場合、添加量に対する平板状の粒子数が少なくなり、増粘性が不充分となり、粒子物の沈降を抑制する効果が低減する。
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを調製した後、塗布液に添加することが好ましい。
親水性層マトリクスにはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば、「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
また、親水性層中に水溶性樹脂を含有してもよい。水溶性樹脂としては、例えば、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられるが、本発明に用いられる水溶性樹脂としては、多糖類を用いることが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜20μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。このような凹凸構造は、親水性層マトリクスに適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷適性を有する構造を得ることができ、好ましい。
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さなど)は、アルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、水溶性多糖類の種類及び添加量、その他添加材の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
本発明で用いることのできる無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができるが、塗布液中での沈降を抑制するために、多孔質な金属酸化物粒子を用いることが好ましい。多孔質な金属酸化物粒子としては、前述の多孔質シリカ粒子や多孔質アルミノシリケート粒子を好ましく用いることができる。
また、無機素材で被覆された粒子としては、例えば、ポリメチルメタアクリレートやポリスチレンといった有機粒子を芯材とし、芯材粒子よりも粒径の小さな無機粒子で被覆した粒子が挙げられる。無機粒子の粒径としては、芯材粒子の1/10〜1/100程度であることが好ましい。また、無機粒子としては、同様にシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができる。被覆方法としては、種々の公知の方法を用いることができるが、ハイブリダイザのような空気中で芯材粒子と被覆材粒子とを高速に衝突させて芯材粒子表面に被覆材粒子を食い込ませて固定、被覆する乾式の被覆方法を好ましく用いることができる。
また、有機粒子の芯材を金属メッキした粒子も用いることができる。このような粒子としては、例えば、樹脂粒子に金メッキを施した積水化学工業社製の「ミクロパールAU」等が挙げられる。
粒径は、1〜10μmが好ましく、1.5〜8μmがより好ましく、2μm〜6μmがさらに好ましい。粒径が10μmを超えると、画像形成の解像度の低下や、ブランケット汚れの劣化が生じる懸念がある。本発明では、粒径が1μm以上の粒子の添加量としては、本発明に係る表面形態パラメータを満足するように適宜調整されるが、親水性層全体の1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。親水性層全体としては、有機樹脂やカーボンブラック等の炭素を含有する素材の含有比率が低いことが親水性を向上させるために好ましく、これらの素材の合計が9質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。
基材と親水層の間に設ける中間親水性層に用いる素材としては、親水性層と同様の素材を用いることができる。ただし、中間親水性層は多孔質であることの利点が少なく、また、より無孔質である方が塗膜強度の観点から好ましい。親水性マトリクス構造を形成する多孔質化材の含有量は、親水性層よりも少ないことが好ましく、含有しないことがより好ましい。
中間親水性層で用いる粒径が1μm以上の粒子の添加量としては、中間親水性層全体の1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。
中間親水性層全体としても親水性層と同様に、有機樹脂やカーボンブラック等の炭素を含有する素材の含有比率が低いことが親水性を向上させるために好ましく、これらの素材の合計が9質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。
本発明に係る親水性層、中間親水性層及びその他に設けられる層には、光熱変換素材を含有することができる。
光熱変換素材としては、赤外吸収色素、無機・有機顔料、金属、金属酸化物を用いることが好好ましく、具体的には下記のような素材を挙げることができる。
赤外吸収色素としては、シアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては、特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。前者としては、黒色酸化鉄(Fe34)や、前述の二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。後者とては、例えば、SbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したもの、逆に金属酸化物粒子の表面を親水性化合物で被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換素材のうち、金属酸化物である黒色酸化鉄(Fe34)、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。複合酸化物の具体例を挙げれば、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの金属酸化物光熱変換材は、平均一次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均一次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均一次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均一次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。したがって、これらの金属酸化物光熱変換材は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均一次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
これらの金属酸化物の添加量としては、親水性層や下層に対して0.1〜60質量%であり、3〜60質量%が好ましく、3〜45質量%がより好ましい。光熱変換材の添加量は親水性層と中間親水性層で異なっていてもよい。
本発明のロール状印刷版材料の画像形成層には、熱溶融性及びまたは熱融着性微粒子を含有する以下のような素材を含有させることができる。熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上100℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものであり、また乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げて作業性を向上させるためにこれらのワックスに、例えば、ステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でも、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
また、熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は、公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。構成層中での熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。熱融着性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、該熱可塑性疎水性高分子重合体粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。また、高分子重合体の質量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
高分子重合体微粒子は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体からなるものでもよい。溶液重合法又は気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水又は水性媒体に分散、有機溶媒を留去して微粒子化する方法等が挙げられる。又、熱溶融性微粒子、熱融着性微粒子は、何れの方法においても、必要に応じ重合あるいは微粒子化の際に分散剤、安定剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。また、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等を含有させても良い。
又、熱可塑性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
又、熱可塑性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
構成層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
熱溶融性及びまたは熱融着性微粒子を含有する画像形成層には、さらに水溶性素材を含有することができる。水溶性素材を含有することにより、印刷機上で湿し水やインクを用いて未露光部の画像形成層を除去する際に、その除去性を向上させることができる。
水溶性素材としては、親水性層に含有可能な素材として挙げた水溶性樹脂を用いることもできるが、本発明の画像形成層としては、糖類を用いることが好ましく、特にオリゴ糖を用いることが好ましい。
オリゴ糖の中でもトレハロースは、比較的純度の高い状態のものが工業的に安価に入手可能可能であり、水への溶解度が高いにもかかわらず、吸湿性は非常に低く、機上現像性及び保存性共に非常に良好である。
又、オリゴ糖水和物を熱溶融させて水和水を除去した後に凝固させると(凝固後短時間のうちは)無水物の結晶となるが、トレハロースは水和物よりも無水物の融点が100℃以上も高いことが特徴的である。これは赤外線露光で熱溶融し、再凝固した直後は露光済部は高融点で溶融しにくい状態となることを意味し、バンディング等の露光時の画像欠陥を起こし難くする効果がある。オリゴ糖の中でも特にトレハロースが好ましい。構成層中のオリゴ糖の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がさらに好ましい。
本発明に係る広幅帯状印刷版材料の裏面には、所望の平滑度と静摩擦係数を得るためにバックコート層が形成されていてもよい。バックコート層には、バインダー成分とマット材の他、表面滑性や導電性を付与する化合物を添加することが好ましい。バインダーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルセルロース、芳香族ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、弗素樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、テフロン(R)樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアセテート、ポリカーボネート、有機硼素化合物、芳香族エステル類、弗化ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、あるいはこれらのモノマーを主成分とする共重合体などの汎用ポリマーを使用することができる。
バインダーとして架橋可能なバインダーを用いることは、マット材の粉落ち防止やバックコートの耐傷性の向上に効果がある。又、保存時のブロッキングにも効果が大きい。この架橋手段は、用いる架橋剤の特性に応じて、熱、活性光線、圧力の何れか一つ又は組合せなどを特に限定することなく採用することができる。場合によっては、基材への接着性を付与するため、基材のバックコート層を設ける側に任意の易接着層を設けてもよい。
バックコート層に好ましく添加されるマット材としては、有機又は無機の微粒子が使用できる。有機微粒子としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メラミン樹脂等の樹脂よりなる有機微粒子等が挙げられ、中でも、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂が好ましい。ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、その他のラジカル重合系ポリマーの微粒子、ポリエステル、ポリカーボネートなど縮合ポリマーの微粒子なども挙げられる。無機微粒子としては、酸化珪素、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸亜鉛等の無機微粒子が挙げられ、中でも、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化珪素が好ましい。
無機微粒子の平均粒径としては0.5〜10μmが好ましく、0.8〜5μmがより好ましい。平均粒径が0.5μm未満であると、バックコート層に十分な粗面化を施すことができずに均一な密着を得るために長時間の減圧が必要になる。10μmを超えると、バックコート層の粗面化が粗すぎてスムースター値が大きくなり、固定部材との安定した密着性が確保できなくなる。
プラスチックフィルム基材には、バックコート層は0.5〜3g/m2程度の付量で設けることが好ましい。0.5g/m2未満では塗布性が不安定で、マット材の粉落ち等の問題が生じ易い。又、3g/m2を大きく超えて塗布されると好適なマット材の粒径が非常に大きくなり、保存時にバックコート層による受像面へのエンボス化が生じ、記録画像の抜けやムラが生じ易くなる。尚、マット剤を添加しない場合のバックコート層の付き量は0.01〜1.0g/m2が好ましい。
前記微粒子の含有量としては、バックコート層の全固形分質量に対し、0.5〜80質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。含有量が0.5質量%未満であると、バックコート層表面に十分な粗面化を施すことができないことがあり、80質量%を超えるとバックコート層の粗面化が粗すぎてスムースター値が大きくなり、画質が低下することがある。
バックコート層には、表面滑性を調整する目的で、各種界面活性剤、シリコンオイル、フッ素系樹脂、ワックス類等を添加することも好ましい。
印刷版材料が搬送路内で摩擦帯電による搬送異常や、帯電に起因する異物の付着を防止するために帯電防止剤を添加することもできる。帯電防止剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、高分子帯電防止剤、導電性微粒子等が使用できる。中でも、カーボンブラック、グラファイト、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物の微粒子、有機半導体等の導電性微粒子が好ましく用いられる。特にカーボンブラック、グラファイト、特に金属酸化物の微粒子を用いることは、温度等の環境の影響によらず安定した帯電防止能が得られるため好ましい。
上記金属酸化物微粒子の材料としては、SiO2、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、MgO、BaO、MoO3、V25及びこれらの複合酸化物、及び/又はこれらの金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。これらは単独で用いても、混合して用いてもよい。これらのうち好ましい金属酸化物としては、SiO2、ZnO、SnO2、Al23、TiO2、In23、MgOである。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAl或いはIn、SnO2に対してSb、Nb或いはハロゲン元素、In23に対してSnなどの異種原子を30モル%以下、好ましくは10モル%以下の量をドープしたものを挙げることができる。
金属酸化物微粒子は、バックコート層中に10〜90質量%の範囲で含まれていることが好ましい。金属酸化物微粒子の粒子径は、平均粒子径が0.001〜0.5μmの範囲が好ましい。ここでいう平均粒子径とは、金属酸化物微粒子の一次粒子径だけでなく高次構造の粒子径も含んだ値である。
本発明に係る広幅帯状印刷版材料は、相対湿度80%以下における表面比抵抗が108〜1012Ω/m2となる、層又は基材を有することがより好ましい。使用出来る帯電防止剤としては、相対湿度80%以下における層の表面比抵抗が108〜1012Ω/m2となるように各種界面活性剤、導電剤の中から適宜使用することが出来る。とりわけ、層中にカーボンブラック、カーボングラファイト、及び金属酸化物の微粒子の少なくとも1種を含有することにより、表面比抵抗が108〜1012Ω/m2となるよう設計することが好ましい。
画像形成時にレーザー露光を行う場合、フォーカスがずれないようにするためには、プラスチックフィルム基材を固定するのに公知の方法と組み合わせて減圧密着を行うことが好ましい。ブロッキングの防止や良好な減圧密着性の付与の目的で、裏面が粗面化された基材或いはバックコート層にマット剤を添加した場合の表面粗さ(Rz)は0.04〜5.00μmの範囲が好ましい。
広幅帯状印刷版材料裏面のスムースター値は0.06MP以下であることが好ましく、より好ましくは0.0003MP〜0.06MPの範囲である。0.0003MP以下の場合は固定部材への均一密着性が悪くなったり安定密着に必要な時間が増大したりする。0.06MPより大きい場合には固定部材上への固定が不十分になり安定した画像露光ができない。
広幅帯状印刷版材料裏面と固定部材面との静摩擦係数は0.2〜0.6であることが好ましい。0.2以下の場合でも0.6以上であっても固定部材上での固定位置精度が低下し好ましくない。
以下に本発明に係るロール状印刷材料を使用した場合の画像形成方法の一例を挙げる。本発明に係るロール状印刷材料における画像形成は、熱により行うことができるが、特に赤外線レーザーによる露光によって画像形成を行うことが好ましい。
露光は、赤外及び/または近赤外領域で発光する、すなわち700〜1000nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用することが特に好ましい。
走査露光に好適な装置としては、半導体レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
一般的には、
(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、
(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、
(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式等があげられる。これらの中で、特に(3)項記載の走査露光方式が好ましく、特に印刷装置上で露光を行う装置においては、(3)項記載の露光方式が用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるのもではない。
実施例1
(ポリエチレンテレフタレート基材の作製)
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従いIV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出し、未延伸フィルムを作製した。これを所定の温度で2軸延伸し、厚さ175±3μmのPET基材を作製した。
(下引き済み基材の作製)
上記で得られた基材の両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。また反対側の面に下記下引き塗布液c−1、c−2またはc−3を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液d−1、d−2またはd−3を乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、それぞれ180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。
《下引き塗布液a》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.3%(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 92.0%
《下引き塗布液b》
ゼラチン 1%
アニオン系界面活性剤S−1 0.05%
硬膜剤H−1 0.02%
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.02%
防黴剤F−1 0.01%
水 98.9%
Figure 2005067013
《下引き塗布液c−1》;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 0.4%(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス
7.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 91.9%
《下引き塗布液d−1》;
成分d−11/成分d−12/成分d−13=66/31/1の導電性組成物
6.4%
硬膜剤H−2 0.7%
アニオン系界面活性剤S−1 0.07%
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.03%
水 93.4%
成分d−11:スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−12:スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−13:スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
Figure 2005067013
《下引き塗布液c−2》
ジュリマーET−410(日本純薬(株)製):Tg=52℃ 21%
SnO2/Sb(9/1質量比、平均粒子径0.25μm) 67%
マット剤(ポリメチルメタクリレート、平均粒子径5μm) 4%
デナコールEX−614B(ナガセ化成工業(株)製) 7%
《下引き塗布液d−2》;
PVdCポリマーラテックス:コア部90質量%、シェル部10質量%
(コアシェルタイプのラテックス)
コア部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=93/3/3/0.9/0.1(質量%)
シェル部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=88/3/3/3/3(質量%)
(質量平均分子量38000) 3000質量部
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 23質量部
マット剤(ポリスチレン、平均粒径2.4μm) 1.5質量部
《下引き塗布液c−3》;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.2%(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.7%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 92.0%
《下引き塗布液d−3》;
ゼラチン 1%
アニオン系界面活性剤S−1 0.05%
防黴剤F−1 0.01%
水 98.9%
(印刷版材料の作製)
上記下引き済み基材の下引き面A上に、表1に示す親水性層1用塗布液(調製方法は下記に示す)、表2に示す親水性層2用塗布液(調製方法は下記に示す)、および表3に示す画像形成層用塗布液を用いて下引き済み基材の各々のA面上にワイヤーバーを用いて塗布した。塗布の順番は、先ず、基材上に親水性層1、親水性層2の順番でワイヤーバーを用いてそれぞれ乾燥付量が2.5g/m2、0.6g/m2になるように塗布し、120℃で3分間乾燥したのちに60℃で24時間の加熱処理を施した。その後、表3に示す画像形成層用塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥付量が0.6g/m2になるように塗布して50℃で3分間乾燥したのちに、40℃で72時間のシーズニング処理を施し作製した。総厚は180μm、スティフネスは100gであった。
尚、総厚は株式会社 東京精密製 ミニコム E−M43RDで測定した値である。スティフネスは、測定器としてスティフネステスターUT−100−230(株)東洋精機製作所製を使用し、サンプルサイズを10cm×8cm(有効面積8cm×8cm)とし、たわみ角を10度、押し込み量を2mmとして測定した値である。
《親水性層1用塗布液の調製》
表1に記載の各素材を、ホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、表1に記載の組成で混合、濾過して親水性層1用塗布液を調製した。尚、表中の各素材の混合の割合示す数値は質量部を表す。
Figure 2005067013
《親水性層2用塗布液の調製》
表2に記載の各素材を、ホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、表2に記載の組成で混合、濾過して親水性層2用塗布液を調製した。尚、表中の各素材の混合の割合示す数値は質量部を表す。
Figure 2005067013
《画像形成層用塗布液の調製》
表3に記載の各素材を、ホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、表3に記載の組成で混合、濾過して画像形成層用塗布液を調製した。尚、表中の各素材の混合の割合示す数値は質量部を表す。
Figure 2005067013
Figure 2005067013
(巻き芯の作製)
表4に示す様に長さを変えた、内径7.2cm、肉厚25mmのボール紙製の中空円筒状の巻き芯を作製し1−1〜1−6とした。尚、表中の巻き芯の長さは広幅帯状印刷材料の幅方向の長さに対する不足分を示す。
Figure 2005067013
(試料の作製)
作製した印刷版材料を、745mm幅で32mの長さに切断して作製した各巻き芯1−1〜1−6に巻設しロール状印刷版材料を作製し、巻き芯の両端の中空部に図1に示すフランジ部材の嵌入部を嵌め込み、試料101〜106とした。
(評価)
各試料101〜106を図2に示すロール状印刷版材料用マガジンに収納し、既存の銀塩フィルム用イメージセッター(大日本スクリーン製造(株)DTR−6120)に装填し、露光装置内で基準長さ620mmに連続10枚自動断裁した。断裁した枚葉の印刷版材料を半導体レーザーヘッドを搭載した露光機(コニカ株式会社製EV−Laserproofer II)を用いて画像露光を行った。画像露光は、露光ドラムに枚葉の印刷版材料を巻付け減圧密着によりドラム表面に固定し、波長808nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、露光エネルギーを印刷版材料面上で300mJ/cm2になるように設定し、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、175線で画像露光を行い、印刷版試料を作製した。尚、露光で使用した露光ドラムは直径270mm、幅850mmであり、露光条件は、ドラムを1分間に430回転させ、印刷版面上でのレーザーパワーを270mWとした。
上記のように画像形成した印刷版材料について、下記の印刷条件で印刷版としての寸法再現性、現像性、インク乗り、耐刷性を評価ランクに従って評価した結果を表5に示す。尚、インクは下記の2種を使用した。
印刷機:三菱重工業(株)製DAIYA1F−1
印刷用紙:北越製紙 ミューコート 104.7g/m2
湿し水 :アストロマーク3(日研化学研究所製)の2質量%溶液
インク :(1)トーヨーキングハイエコーM紅(東洋インキ社製)
(2)TKハイエコーSOY1(東洋インキ社製 大豆油インク)
寸法再現性、現像性、インク乗り、耐刷性の評価は以下に示す方法と評価ランクに従って行った。
1)寸法再現性
同一条件で連続10枚出力し、版の送り方向の2辺について、その長さを測定し平均した。測定を10版の全てについて行い、平均値の最大値と最小値の差を求め、それを寸法精度とした。測長は、(株)MITUTOYO製の三次元測定器(MICROCORD F604)を使用した。
評価ランク
○:寸法精度が0〜100μm未満
△:寸法精度が100μm以上、150μm未満
×:寸法精度が150μm以上
2)現像性
印刷開始のシークエンスをPS版の印刷シークエンスで行い、非画線部のインク汚れが完全になくなるまでの枚数を、画像形成領域と版端部について計測した。
評価ランク
○:インク汚れが完全になくなるまでの枚数が10枚以下
△:インク汚れが完全になくなるまでの枚数が11枚以上、25枚以下
×:インク汚れが完全になくなるまでの枚数が26枚以上
3)インクの乗り
湿し水、インク量を変化させ印刷物の仕上がりを、2種類のインクについて評価した。
評価ランク
○:インク量基準±50%以上で安定した刷り上がり
△:インク量±30%の領域で網点部のカラミ、ベタ濃度ムラが発生
×:インク量基準+30%未満で網点部のカラミ、カスレ、ベタ濃度ムラが発生
4)耐刷性
3%網点画像の点が半分以上欠落する印刷枚数を求めた(印刷は3万枚まで行った)。
評価ランク
○:印刷枚数が22000枚未満
△:印刷枚数が20000〜22000枚
×:印刷枚数が22000を越える
Figure 2005067013
本発明の有効性が確認された。
ロール状印刷版材料包装体の概略分解斜視図である。 マガジンの概略斜視図である。 図2の(a)のB−B′に沿った概略断面図である。 図1のA−A′に沿った概略断面図である。 図4の部分拡大概略断面図である。
符号の説明
1 ロール状印刷版材料包装体
101 ロール状印刷版材料
102 巻き芯
103 フランジ部材
103a フランジ部
103b 嵌入部
103c 内面
103f 基部
104 包装材料
2 マガジン
M、N 長さ
O 間隙

Claims (3)

  1. 広幅帯状印刷版材料を中空円筒状の巻き芯に巻設しロール状にし、該巻き芯の両端にフランジ部材を取り付けたロール状印刷版材料を包装材料で包装したロール状印刷版材料包装体において、該巻き芯の長さが該広幅帯状印刷版材料の幅方向の長さより0.5〜2.0mm短いことを特徴とするロール状印刷版材料包装体。
  2. 前記広幅帯状印刷版材料は、画像形成層を外面にして中空円筒状の巻き芯に巻設されていることを特徴とする請求項1に記載のロール状印刷版材料。
  3. 前記広幅帯状印刷版材料は、プラスチックフィルム基材上に親水性層及び画像形成層をこの順に有し、少なくとも一方の層に近赤外線を熱に変換する光熱変換材料を含有する機上現像型印刷版材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載のロール状印刷版材料。
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