JP2005066838A - ポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法、及びポリイミド製フィルムの製造方法 - Google Patents
ポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法、及びポリイミド製フィルムの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】簡易なポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法を提供する。
【解決手段】ポリアミド酸溶液を円筒状金型に塗布又はシート状金属表面に流延してポリアミド酸塗膜を形成し、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成してポリイミド製フィルムを製造する際に、前記加熱乾燥の温度、該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、前記イミド転化反応における最高到達温度及び250℃以上の温度に保持されている時間、前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、を予め所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液中のカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する電気抵抗率調節工程を有することを特徴とするポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリアミド酸溶液を円筒状金型に塗布又はシート状金属表面に流延してポリアミド酸塗膜を形成し、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成してポリイミド製フィルムを製造する際に、前記加熱乾燥の温度、該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、前記イミド転化反応における最高到達温度及び250℃以上の温度に保持されている時間、前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、を予め所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液中のカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する電気抵抗率調節工程を有することを特徴とするポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置の静電プロセス用部材等に用いられるポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法、及び該ポリイミド製フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電複写方式を用いた画像形成装置では、光導電性感光体からなる像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像して可視化したトナー像とする。
例えば、前記トナー像を中間転写体を介して静電的に転写することにより所要の再生画像を得る場合の画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、前記中間転写体の材料としては、ポリカーボネート樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリアルキレンフタレートなどの熱可塑性樹脂の導電性の無端ベルトやポリイミド樹脂や、ポリアミドイミド樹脂を用いる提案がなされている(例えば、特許文献2〜6参照。)。
この中でも、全芳香族ポリイミド樹脂は強度が強いため転写部材に好ましく用いられる。
【0004】
前記転写部材は抵抗値を所定の値に制御する必要がある。このためにカーボンブラックや金属酸化物といった導電性粒子を樹脂中に混合する方法がよく知られているが、導電性粒子を非常に微細に分散にしないと転写ムラや転写画像の乱れが生じる不具合があった。
【0005】
また、前記全芳香族ポリイミド樹脂は熱的に安定かつ溶剤に不溶なため、抵抗調整するためには、前駆体であるポリアミド酸へ抵抗制御剤を分散する、もしくはモノマー溶液中に抵抗制御剤を分散した後に重合する方法にて、抵抗制御剤含有ポリアミド酸を調製し、得られた抵抗制御剤含有ポリアミド酸溶液を膜状にした後、乾燥次いでイミド転化をして部材を作る必要がある。転写部材として好ましい抵抗領域は表面抵抗率で1×108Ω/□〜1×1015Ω/□、体積抵抗率で1×106Ω・cm〜1×1013Ω・cmである。この抵抗領域はカーボン配合比と抵抗率の傾きが急であり制御が非常に難しいことが知られている。
【0006】
カーボンブラック含有ポリイミドフィルムの抵抗率は、カーボンブラックの配合比によって調節されるが、カーボンブラックの配合比と表面抵抗率との関係は図3及び4に示したように急(図3の場合では、カーボンブラックの配合比が1PHR異なると、表面抵抗率が2桁異なってしまう。)であるため、分散時におけるカーボンブラックのバラツキや、ポリアミド酸におけるカーボンブラックの固形分率のバラツキ等により抵抗値が変化してしまう場合がある。更に、製造設備が変わると電気抵抗率が変化(図3及び4におけるカーボンブラックの配合比と表面抵抗率との関係を示す線が、左右にドリフトする。)してしまう。そのため、カーボンブラック含有ポリイミドフィルムを製造する際には、ロットごとに電気抵抗率の確認作業を行い、カーボンブラックの配合比の微調整を行う必要があった。
しかし、この確認作業はフィルムを製造する工程で行っているため、材料のロスが多く発生し、かつ、製造工程への負荷が大きい。したがって、ロットごとの確認作業を行わないで、カーボンブラック含有ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する方法の確立が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−206567号公報
【特許文献2】
特開平06−095521号公報
【特許文献3】
特開平5−200904号公報
【特許文献4】
特開平6−228335号公報
【特許文献5】
特開平6−149081号公報
【特許文献6】
特許第2560727号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、簡易なポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法、及び材料のロスが少なく、製造工程への負荷が小さい、電気抵抗率が調節されたポリイミド製フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、下記の本発明が前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
<1> ポリアミド酸、カーボンブラック及び溶剤を少なくとも含有するポリアミド酸溶液を、円筒状金型に塗布、又はシート状金属表面に流延して、ポリアミド酸塗膜を形成し、更に、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成し、該ポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型又はシート状金属から剥離してポリイミド製フィルムを製造する際に、該ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節するポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法であって、(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、を予め所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する電気抵抗率調節工程を有することを特徴とするポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法である。
【0010】
<2> 前記電気抵抗率調節工程が、先ず前記(1)〜(5)が所定の値に調節された状態でポリイミド製フィルムを製造し、ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量と電気抵抗率との相関関係を確認した後、該確認された相関関係を基に、前記(1)〜(5)を予め前記所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する工程であることを特徴とする<1>に記載のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法である。
【0011】
<3> 前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を、表面抵抗率として1×108〜1×1015Ω/□、体積抵抗率として1×106〜1×1013Ω・cmに調節することを特徴とする<1>又は<2>に記載のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法である。
【0012】
<4> ポリアミド酸、カーボンブラック及び溶剤を少なくとも含有するポリアミド酸溶液を、円筒状金型に塗布、又はシート状金属表面に流延して、ポリアミド酸塗膜を形成し、更に、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成し、該ポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型又はシート状金属から剥離するポリイミド製フィルムの製造方法であって、(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、を予め所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させて、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する電気抵抗率調節工程を有することを特徴とするポリイミド製フィルムの製造方法である。
【0013】
<5> 前記電気抵抗率調節工程が、先ず前記(1)〜(5)が所定の値に調節された状態でポリイミド製フィルムを製造し、ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量と電気抵抗率との相関関係を確認した後、該確認された相関関係を基に、前記(1)〜(5)を予め前記所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する工程であることを特徴とする<4>に記載のポリイミド製フィルムの製造方法である。
【0014】
<6> 前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率が、表面抵抗率として1×108〜1×1015Ω/□、体積抵抗率として1×106〜1×1013Ω・cmに調節されていることを特徴とする<4>又は<5>に記載のポリイミド製フィルムの製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法は、ポリアミド酸、カーボンブラック及び溶剤を少なくとも含有するポリアミド酸溶液を、円筒状金型に塗布、又はシート状金属表面に流延して、ポリアミド酸塗膜を形成し、更に、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成し、該ポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型又はシート状金属から剥離してポリイミド製フィルムを製造する際に、該ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節するポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法であり、(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、を予め所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する電気抵抗率調節工程を有することを特徴とする。
【0016】
前記ポリイミド製フィルムを製造する際に、前記(1)〜(5)が予め所定の値に設定されていると、前記(1)〜(5)以外の他の条件にかかわらず、前記ポリアミド酸溶液中のカーボンブラックの含有量から、製造されるポリイミド製フィルムの電気抵抗率が一元的に決まる。
従って、前記(1)〜(5)を予め所定の値に設定しておけば、前記(1)〜(5)以外の他の条件にかかわらず、製造されるポリイミド製フィルムの電気抵抗率は、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量のみで決まるため、前記(1)〜(5)以外の条件を気にせずに製造されるポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節することができる。つまり、製造されるポリイミド製フィルムの電気抵抗率を簡易に調節することができる。
【0017】
また、前記(1)〜(5)が所定の値に調節された状態でポリイミド製フィルムを製造し、そのときのポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量と電気抵抗率との相関関係を確認しておけば、該確認された相関関係を基に、前記(1)〜(5)を予め前記所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率の調節が可能となる。
このことより、従来必要であったフィルム製造工程を用いたロットごとの電気抵抗率確認作業を行わないで、ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節することができる。
【0018】
前記カーボンブラックの含有量と電気抵抗率との相関関係を確認する方法としては、先ず前記(1)〜(5)が所定の値に調節された状態でポリイミド製フィルムを製造し、少なくとも2ポイントのポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量における電気抵抗率を測定し、その値から検量線を作成しておき、新たにポリイミド製フィルムを製造する際に、前記(1)〜(5)を検量線が作成されたときと同じ条件にすれば、例えば、製造設備等の、前記(1)〜(5)以外の他の条件設定が変更されていても、前記検量線を参考に、前記ポリアミド酸溶液中のカーボンブラックの含有量を変化させることにより、ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を所望の値に調節する方法が挙げられる。
尚、本発明において、前記加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率は、イミド転化前の前記ポリアミド酸塗膜とイミド転化後のポリイミド樹脂皮膜層との質量差を、前記加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜で除した値に100を乗じ[質量%]で表したものである。
【0019】
一方、前記(1)〜(5)の内、何れか1つでも設定が異なると、前記ポリアミド酸溶液中のカーボンブラックの含有量から、製造されるポリイミド製フィルムの電気抵抗率が一元的に決まらず、前記確認された相関関係を基に、前記ポリアミド酸溶液中のカーボンブラックの含有量を変化させることにより、ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を所望の値に調節することができなくなる。
【0020】
これは、以下の理由によると考えられる。
(1)前記加熱乾燥の温度、或いは(2)前記加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率が異なると、イミド転化する際の加熱中にカーボン粒子の配列の仕方が変わり、電気抵抗率が変化すると考えられる。この結果、前記加熱乾燥の温度が高い、或いは前記加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率の値が大きいと、表面抵抗率及び体積抵抗率が高くなると考えられる。
また、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、或いは(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間が異なると、イミド転化する際に体積収縮率が変化し、電気抵抗率が変化すると考えられる。この結果、前記最高到達温度が高い、或いは前記250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間が長いと、表面抵抗率及び体積抵抗率は低くなると考えられる。
さらに、(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さが異なると、溶剤の蒸発速度が変わりカーボンブラックの配向度が変わるために電気抵抗率も変化すると考えられる。
【0021】
本発明のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法における、ポリアミド酸溶液を円筒状金型に塗布、又はシート状金属表面に流延して、ポリアミド酸塗膜を形成し、更に、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成し、該ポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型又はシート状金属から剥離する工程の詳細は、後述する本発明のポリイミド製フィルムの製造方法の場合と同様であるので、説明は省略する。
【0022】
本発明のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法により調節される電気抵抗率は、本発明におけるポリイミド製フィルムを画像形成装置の静電プロセス用部材に用いる場合は、表面抵抗率で1×108〜1×1015Ω/□であることが好ましく、1×1010〜1×1013Ω/□であることがより好ましい。また、体積抵抗率で1×106〜1×1013Ω・cmであることが好ましく、1×109〜1×1011Ω・cmであることがより好ましい。
【0023】
前記表面抵抗率は、例えば、図1に示す円形電極を用いて測定することができる。図1は、表面抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図1に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に被測定物Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(1)により、被測定物Tの表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。ここで、下記式(1)中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示す。D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式(1) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
【0024】
前記体積抵抗率は、例えば、図2に示す円形電極を用いて測定することができる。図2は、体積抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図2に示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と第二電圧印加電極B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状電極部C’と、該円柱状電極部C’の外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部D’とを備える。第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と第二電圧印加電極B’との間に被測定物T’を挟持し、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(2)により、被測定物Tの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式(2)中、tは被測定物Tの厚さを示す。
式(2) ρv=π×(D/2)2/t×(V/I)
【0025】
本発明のポリイミド製フィルムの製造方法は、ポリアミド酸、カーボンブラック及び溶剤を少なくとも含有するポリアミド酸溶液を、円筒状金型に塗布、又はシート状金属表面に流延して、ポリアミド酸塗膜を形成し、更に、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成し、該ポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型又はシート状金属から剥離する製造方法であって、(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、を予め所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させて、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する工程を有することを特徴とする。
【0026】
前記ポリアミド酸溶液は、ポリアミド酸、カーボンブラック及び溶剤を少なくとも含有する。前記ポリアミド酸は、テトラカルボン酸の無水物とジアミンを反応させることで得ることができる。前記テトラカルボン酸の無水物としてはピロメリット酸二無水物や、3,4:3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物やこれらの混合物が挙げられ、ジアミンとしてはパラフェニレンジアミンや4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等があげられる。
【0027】
また、前記ポリアミド酸を溶かす溶剤としては、DMFやNMPといったアミド系溶剤やフェノール類等が挙げられ、更に粘度調整等の目的でこれらの溶剤に芳香族系炭化水素等を少量混合してもよい。
一方、前記カーボンブラックは、オイルファーネスブラックやアセチレンブラック、チャンネルブラック等の一般的なカーボンブラックを用いることができるが、分散性の点でカーボンブラックを酸化処理したものを用いることが好ましい。また、前記カーボンブラックは、1種類でなく複数種類配合することも可能である。
【0028】
前記ポリアミド酸溶液は、前記溶剤に溶解させたポリアミド酸を含む溶液中に前記カーボンブラックを分散させることにより得られる。前記ポリアミド酸溶液中に前記カーボンブラックを分散する方法としては、ボールミルやサンドミルといったメディアの衝突力を利用した分散方式、3本ロールやニーダーといった剪断力で分散する方法、或いは溶液を高速で衝突させたり狭い領域を通る剪断力で分散を行うジェットミル等が挙げられる。
【0029】
本発明のポリイミド製フィルムの製造方法の1態様は、前記カーボンブラックが分散されているポリアミド酸溶液を円筒状金型内面もしくは表面に塗布してポリアミド酸塗膜を形成する。前記塗布する方法は特に限定されないが、遠心成形やディッピング法が挙げられる。その後、溶液が偏らないように回転させながら加熱乾燥して溶剤を除去してする。このときに、後述するイミド転化反応を、金型からポリアミド酸をフィルムを取り外して別の型に差し替えて後に行なうか、或いはそのままの同じ円筒状金型を用いて行なうかは、適宜判断して行えばよい。
【0030】
溶剤を除去したポリアミド酸塗膜は、加熱することでイミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成する。前記イミド転化反応はポリアミド酸の条件によって異なるが、300〜450℃で、20〜60分間反応させることが好ましい。
形成されたポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型、或いは差し替えた型より取り外し、適当な幅に切断することで無端状のポリイミド製フィルムを得ることができる。
【0031】
また、無端状のカーボンブラック含有ポリイミド製フィルムではなく、シート状のカーボンブラック含有ポリイミド製フィルムを得たい場合には、本発明のポリイミド製フィルムの製造方法の他の態様として、カーテンフローコートやバーコート機等を用いてシート状金属表面に前記ポリアミド酸溶液を流延し、前記同様に加熱することで溶剤を除去した後、シート状金属からはずしてイミド転化するか、或いはそのままイミド転化反応をさせて、シート状金属表面からはずすことでシート状のポリイミド製フィルムを得ることができる。尚、本態様におけるイミド転化反応の好ましい条件は、既述の本発明のポリイミド製フィルムの製造方法の1態様におけるイミド転化反応と同様である。
一方、前記の無端状のポリイミド製フィルムを切り開いて、シート状のポリイミド製フィルムとしてもよい。
【0032】
本発明のポリイミド製フィルムにおける電気抵抗率調節工程は、既述の本発明のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法における電気抵抗率調節工程と同様である。
本発明のポリイミド製フィルムは、電気抵抗率の調節が簡便に行なえるため、材料のロスが少なく、製造工程への負荷が小さくて済む。
特に、前記(1)〜(5)が所定の値のときの前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量と電気抵抗率との相関関係を確認しておけば、該確認された相関関係を基に、前記(1)〜(5)を予め前記所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率の調節が可能となり、従来必要であったロットごとの電気抵抗率確認作業を行わないで、ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節することができ、材料のロスが少なく、製造工程への負荷が小さくて済むという効果がより顕著になる。
【0033】
本発明のポリイミド製フィルムの製造方法により製造されるポリイミド製フィルムの電気抵抗率は、得られたポリイミド製フィルムを画像形成装置の静電プロセス用部材に用いる場合には、表面抵抗率で1×108〜1×1015Ω/□であることが好ましく、1×1010〜1×1013Ω/□であることがより好ましい。
また、体積抵抗率で1×106〜1×1013Ω・cmであることが好ましく、1×109〜1×1011Ω・cmであることがより好ましい。
これは、表面抵抗率が1×108Ω/□未満、或いは体積抵抗率が1×106Ω・cm未満であると、転写電流が多く流れ、トナーへ電荷が注入され、画像乱れが生じる場合がある。一方、表面抵抗率が1×1015Ω/□を超える、或いは体積抵抗率が1×1013Ω・cmを超えると、転写電流が小さくなり、トナーを転写できなくなったり、次プロセスまでの間に除電しないため除電器の追加が必要になる場合がある。
尚、本発明のポリイミド製フィルムの製造方法における表面抵抗率及び体積抵抗率は、本発明のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節法に記載の方法と同様の方法により測定できる。
【0034】
本発明のポリイミド製フィルムの製造方法により得られたポリイミド製フィルム、特に表面抵抗率が1×108〜1×1015Ω/□、体積抵抗率が1×106〜1×1013Ω・cmに調節されたポリイミド製フィルムは、帯電防止性能を生かした除電フィルム、静電複写方式の画像形成装置に用いる転写部材等に好ましく用いられる。
また、得られたポリイミド製フィルムは他の層を積層した複合膜として使用してもかまわない。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
宇部興産製ユーワニスS(3,4:3’,4’−ビフェニールテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリアミド酸のNMP溶液で 固形分率が18質量%)に、カーボンブラック(Special Black 4Degussa製 pH3,揮発分14質量%)を17PHR添加し、横型サンドミル(Dyno製Dynomill KDL)にφ2mmのジルコニア製球を内容積の約60容量%充填し、φ90の攪拌羽で回転数1592rpmで回転させたところへ、5パス通し分散を行い、ポリアミド酸溶液1を調製した。得られたポリアミド酸溶液1をディップ法でφ305の金型外面に塗布後、120℃に設定した乾燥機中に回転させながら1時間入れ、溶剤であるNMPを除去した。この金型を取り出し冷却後、できた円筒状のポリアミド酸フィルムを取り外し、φ302径のA6063製、肉厚:20mmの金型に挿入した。ポリアミド酸フィルムを挿入した金型を380℃まで加熱することによりイミド転化し、その後金型から外し、ベースとなる無端状のカーボンブラックを含有するポリイミド製フィルム1を作製した。得られたポリイミド製フィルム1の厚みは75μm、表面抵抗率は5.4×1011Ω/□、体積抵抗率は1.2×109Ω・cmであった。尚、前記ポリイミド製フィルムの作製における(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さについては、表1に示した。
また、表面抵抗率は、図1に示す円形電極において、φ16の円柱状電極部C、及び、φ30(内径)×φ40(外径)のリング状電極部Dを用い、円柱状電極部Cに100Vの電圧をかけたときに、リング状電極部Dに流れる電流値I(電圧印加後10秒のときの値)を測定し、前記式(1)より求めた値である。
更に、体積抵抗率は、図2に示す円形電極において、φ16の円柱状電極部C’、及び、φ30(内径)×φ40(外径)のリング状電極部D’を用い、第二電圧印加電極B’から円柱状電極部C’に向かって100Vの電圧をかけたときに、流れる電流値I(電圧印加後30秒のときの値)を測定し、前記式(2)より求めた値である。
【0036】
(実施例1、比較例1〜5)
次に、前記ポリアミド酸溶液1を用いて、試験設備にて、φ68径のA6063製、肉厚:5mmの金型にディップ法により塗布後、更に(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さを表1の値に設定し、加熱乾燥及びイミド転化を行い、前記φ68径の金型から外すことにより、無端状のカーボンブラックを含有するポリイミド製フィルムを作製した。得られたポリイミド製フィルムの表面抵抗率及び体積抵抗率を表1に示す。また実施例1におけるカーボンブラックと表面抵抗率の関係をグラフとして図3に示す。
【0037】
(比較例6)
前記ベースとなる無端状のカーボンブラックを含有するポリイミド製フィルム1の作製において、φ302径のA6063製、肉厚:20mmの金型を、SUS304、肉厚:7.5mmの金型に変更する以外、ポリイミド製フィルム1と同様にして比較例6のポリイミド製フィルムを作製した。そのときの(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、更に得られたポリイミド製フィルムの表面抵抗率及び体積抵抗率を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1は、同じカーボンブラック含有ポリアミド酸溶液を用いた場合に、前記(1)〜(5)の値を前記ポリイミド製フィルム1の作製と同じ条件に設定した実施例1で得られたポリイミド製フィルムは、製造設備が異なっても、前記ポリイミド製フィルム1とほぼ同様の表面抵抗率及び体積抵抗率を有していることを示している。一方、前記ポリイミド製フィルム1とは、前記(1)〜(5)の何れかが異なる条件で作製された比較例1〜5のポリイミド製フィルムは、前記ポリイミド製フィルム1と表面抵抗率及び/又は体積抵抗率が異なるものであることを示している。また、前記ポリイミド製フィルム1と同じ設備で、金型材料と肉厚を変えることにより、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間が異なる条件で作製された比較例6のポリイミド製フィルムも、前記ポリイミド製フィルム1と表面抵抗率及び/又は体積抵抗率が異なるものであることを示している。
【0040】
宇部興産製ユーワニスA(3,4:3’,4’−ビフェニールテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミド酸のNMP溶液で 固形分率が18質量%)に、カーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH3,揮発分14質量%)を27PHR添加し、ジェットミル(ジーナス製ジーナスPY)を用い、圧力200MPaで5回処理することで分散を行い、ポリアミド酸溶液2を調製した。得られたポリアミド酸溶液2をディップ法でφ302径のA6063製、肉厚:20mmの金型外面に塗布後、120℃に設定した乾燥機中で回転させながら1時間入れ、溶剤であるNMPを除去した。この金型を取り出し冷却後、そのものを320℃まで加熱することによりイミド転化し、金型から外すことにより、無端状のカーボンブラックを含有するポリイミドフィルム2を作製した。得られたポリイミドフィルム2の厚みは85μmで、表面抵抗率は4.8×1011Ω/□、体積抵抗率は7.1×1010Ω・cmであった。尚、前記ポリイミド製フィルム2の作製における(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さについては、表1に示した。
【0041】
(実施例2、比較例7〜11)
次に、ポリアミド酸溶液2を用いて試験設備にて、□120×120のアルミ板にアプリケータで流延、塗布後、更に(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さを表2の値に設定し、加熱乾燥及びイミド転化を行い、アルミ板から外すことにより、シート状のカーボンブラックを含有するポリイミド製フィルムを作製した。得られたポリイミド製フィルムの表面抵抗率及び体積抵抗率を表2に示す。また実施例2及び後述の実施例3におけるカーボンブラックと表面抵抗率の関係をグラフとして図4に示す。
【0042】
(比較例12)
前記ベースとなる無端状のカーボンブラックを含有するポリイミド製フィルム2の作製において、φ302径のA6063製、肉厚:20mmの金型をSUS304、肉厚:7.5mmの金型に変更する以外、ポリイミド製フィルム2と同様にして比較例12のポリイミド製フィルムを作製した。そのときの(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、更に得られたポリイミド製フィルムの表面抵抗率及び体積抵抗率を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
表2は、同じカーボンブラック含有ポリアミド酸溶液を用いた場合に、前記(1)〜(5)の値を前記ポリイミド製フィルム2の作製と同じ条件に設定した実施例2で得られたポリイミド製フィルムは、金型及び製造設備が異なっても、前記ポリイミド製フィルム2とほぼ同様の表面抵抗率及び体積抵抗率を有していることを示している。一方、前記ポリイミド製フィルム2とは、前記(1)〜(5)の何れかが異なる条件で作製された比較例7〜11のポリイミド製フィルムは、前記ポリイミド製フィルム2と表面抵抗率及び/又は体積抵抗率が異なるものであることを示している。また、前記ポリイミド製フィルム2と同じ設備で、金型材料と肉厚を変えることにより、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間が異なる条件で作製された比較例12のポリイミド製フィルムも、前記ポリイミド製フィルム2と表面抵抗率及び/又は体積抵抗率が異なるものであることを示している。
また、各条件で電気抵抗率に対するカーボンブラックの寄与が異なるのは、カーボンブラックとポリイミド樹脂との相性が違うためである。
【0045】
(実施例3)
カーボンブラック配合比を46PHRにしたカーボンブラック分散液を実施例2と同様に調製した。得られたカーボンブラック分散液にユーワニスA(ビフェニールテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミド酸のNMP溶液で、固形分率が18質量%)を混合し、カーボンブラック配合比が26PHR、27PHR、28PHRのポリアミド酸溶液をそれぞれ作製した。実施例2において、ポリアミド酸溶液2の代わりに、カーボンブラック配合比が26PHR、27PHR、28PHRの塗布液をそれぞれ用いたこと以外実施例2と同様にしてポリイミド製フィルムを作製した。得られたポリイミド製フィルムの表面抵抗率は図4に示したように、カーボンブラック配合比が高いほど表面抵抗率が低くなっている。
【0046】
また、図4より表面抵抗率が2×1011Ω/□となるポリイミド製フィルムが得られるポリアミド酸溶液のカーボンブラック配合比は26.6PHRであることがわかる。
この結果を基に、カーボンブラック配合比を26.6PHRに調整したポリアミド酸溶液を上記と同様に作製した。実施例2において、ポリアミド酸溶液2の代わりに、得られたカーボンブラック配合比が26.6PHRのポリアミド酸溶液を用いたこと以外実施例2と同様にしてポリイミド製フィルムを作製した。得られたポリイミド製フィルムの表面抵抗率は、2.1×1011Ω/□となった。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、簡易なポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法、及び材料のロスが少なく、製造工程への負荷が小さい、電気抵抗率が調節されたポリイミド製フィルムの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。
【図2】体積抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。
【図3】実施例1におけるカーボンブラックと表面抵抗率の関係をグラフで表した図である。
【図4】実施例2及び3におけるカーボンブラックと表面抵抗率の関係をグラフで表した図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置の静電プロセス用部材等に用いられるポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法、及び該ポリイミド製フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電複写方式を用いた画像形成装置では、光導電性感光体からなる像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像して可視化したトナー像とする。
例えば、前記トナー像を中間転写体を介して静電的に転写することにより所要の再生画像を得る場合の画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、前記中間転写体の材料としては、ポリカーボネート樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリアルキレンフタレートなどの熱可塑性樹脂の導電性の無端ベルトやポリイミド樹脂や、ポリアミドイミド樹脂を用いる提案がなされている(例えば、特許文献2〜6参照。)。
この中でも、全芳香族ポリイミド樹脂は強度が強いため転写部材に好ましく用いられる。
【0004】
前記転写部材は抵抗値を所定の値に制御する必要がある。このためにカーボンブラックや金属酸化物といった導電性粒子を樹脂中に混合する方法がよく知られているが、導電性粒子を非常に微細に分散にしないと転写ムラや転写画像の乱れが生じる不具合があった。
【0005】
また、前記全芳香族ポリイミド樹脂は熱的に安定かつ溶剤に不溶なため、抵抗調整するためには、前駆体であるポリアミド酸へ抵抗制御剤を分散する、もしくはモノマー溶液中に抵抗制御剤を分散した後に重合する方法にて、抵抗制御剤含有ポリアミド酸を調製し、得られた抵抗制御剤含有ポリアミド酸溶液を膜状にした後、乾燥次いでイミド転化をして部材を作る必要がある。転写部材として好ましい抵抗領域は表面抵抗率で1×108Ω/□〜1×1015Ω/□、体積抵抗率で1×106Ω・cm〜1×1013Ω・cmである。この抵抗領域はカーボン配合比と抵抗率の傾きが急であり制御が非常に難しいことが知られている。
【0006】
カーボンブラック含有ポリイミドフィルムの抵抗率は、カーボンブラックの配合比によって調節されるが、カーボンブラックの配合比と表面抵抗率との関係は図3及び4に示したように急(図3の場合では、カーボンブラックの配合比が1PHR異なると、表面抵抗率が2桁異なってしまう。)であるため、分散時におけるカーボンブラックのバラツキや、ポリアミド酸におけるカーボンブラックの固形分率のバラツキ等により抵抗値が変化してしまう場合がある。更に、製造設備が変わると電気抵抗率が変化(図3及び4におけるカーボンブラックの配合比と表面抵抗率との関係を示す線が、左右にドリフトする。)してしまう。そのため、カーボンブラック含有ポリイミドフィルムを製造する際には、ロットごとに電気抵抗率の確認作業を行い、カーボンブラックの配合比の微調整を行う必要があった。
しかし、この確認作業はフィルムを製造する工程で行っているため、材料のロスが多く発生し、かつ、製造工程への負荷が大きい。したがって、ロットごとの確認作業を行わないで、カーボンブラック含有ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する方法の確立が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−206567号公報
【特許文献2】
特開平06−095521号公報
【特許文献3】
特開平5−200904号公報
【特許文献4】
特開平6−228335号公報
【特許文献5】
特開平6−149081号公報
【特許文献6】
特許第2560727号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、簡易なポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法、及び材料のロスが少なく、製造工程への負荷が小さい、電気抵抗率が調節されたポリイミド製フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、下記の本発明が前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
<1> ポリアミド酸、カーボンブラック及び溶剤を少なくとも含有するポリアミド酸溶液を、円筒状金型に塗布、又はシート状金属表面に流延して、ポリアミド酸塗膜を形成し、更に、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成し、該ポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型又はシート状金属から剥離してポリイミド製フィルムを製造する際に、該ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節するポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法であって、(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、を予め所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する電気抵抗率調節工程を有することを特徴とするポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法である。
【0010】
<2> 前記電気抵抗率調節工程が、先ず前記(1)〜(5)が所定の値に調節された状態でポリイミド製フィルムを製造し、ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量と電気抵抗率との相関関係を確認した後、該確認された相関関係を基に、前記(1)〜(5)を予め前記所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する工程であることを特徴とする<1>に記載のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法である。
【0011】
<3> 前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を、表面抵抗率として1×108〜1×1015Ω/□、体積抵抗率として1×106〜1×1013Ω・cmに調節することを特徴とする<1>又は<2>に記載のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法である。
【0012】
<4> ポリアミド酸、カーボンブラック及び溶剤を少なくとも含有するポリアミド酸溶液を、円筒状金型に塗布、又はシート状金属表面に流延して、ポリアミド酸塗膜を形成し、更に、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成し、該ポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型又はシート状金属から剥離するポリイミド製フィルムの製造方法であって、(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、を予め所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させて、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する電気抵抗率調節工程を有することを特徴とするポリイミド製フィルムの製造方法である。
【0013】
<5> 前記電気抵抗率調節工程が、先ず前記(1)〜(5)が所定の値に調節された状態でポリイミド製フィルムを製造し、ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量と電気抵抗率との相関関係を確認した後、該確認された相関関係を基に、前記(1)〜(5)を予め前記所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する工程であることを特徴とする<4>に記載のポリイミド製フィルムの製造方法である。
【0014】
<6> 前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率が、表面抵抗率として1×108〜1×1015Ω/□、体積抵抗率として1×106〜1×1013Ω・cmに調節されていることを特徴とする<4>又は<5>に記載のポリイミド製フィルムの製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法は、ポリアミド酸、カーボンブラック及び溶剤を少なくとも含有するポリアミド酸溶液を、円筒状金型に塗布、又はシート状金属表面に流延して、ポリアミド酸塗膜を形成し、更に、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成し、該ポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型又はシート状金属から剥離してポリイミド製フィルムを製造する際に、該ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節するポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法であり、(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、を予め所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する電気抵抗率調節工程を有することを特徴とする。
【0016】
前記ポリイミド製フィルムを製造する際に、前記(1)〜(5)が予め所定の値に設定されていると、前記(1)〜(5)以外の他の条件にかかわらず、前記ポリアミド酸溶液中のカーボンブラックの含有量から、製造されるポリイミド製フィルムの電気抵抗率が一元的に決まる。
従って、前記(1)〜(5)を予め所定の値に設定しておけば、前記(1)〜(5)以外の他の条件にかかわらず、製造されるポリイミド製フィルムの電気抵抗率は、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量のみで決まるため、前記(1)〜(5)以外の条件を気にせずに製造されるポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節することができる。つまり、製造されるポリイミド製フィルムの電気抵抗率を簡易に調節することができる。
【0017】
また、前記(1)〜(5)が所定の値に調節された状態でポリイミド製フィルムを製造し、そのときのポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量と電気抵抗率との相関関係を確認しておけば、該確認された相関関係を基に、前記(1)〜(5)を予め前記所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率の調節が可能となる。
このことより、従来必要であったフィルム製造工程を用いたロットごとの電気抵抗率確認作業を行わないで、ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節することができる。
【0018】
前記カーボンブラックの含有量と電気抵抗率との相関関係を確認する方法としては、先ず前記(1)〜(5)が所定の値に調節された状態でポリイミド製フィルムを製造し、少なくとも2ポイントのポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量における電気抵抗率を測定し、その値から検量線を作成しておき、新たにポリイミド製フィルムを製造する際に、前記(1)〜(5)を検量線が作成されたときと同じ条件にすれば、例えば、製造設備等の、前記(1)〜(5)以外の他の条件設定が変更されていても、前記検量線を参考に、前記ポリアミド酸溶液中のカーボンブラックの含有量を変化させることにより、ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を所望の値に調節する方法が挙げられる。
尚、本発明において、前記加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率は、イミド転化前の前記ポリアミド酸塗膜とイミド転化後のポリイミド樹脂皮膜層との質量差を、前記加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜で除した値に100を乗じ[質量%]で表したものである。
【0019】
一方、前記(1)〜(5)の内、何れか1つでも設定が異なると、前記ポリアミド酸溶液中のカーボンブラックの含有量から、製造されるポリイミド製フィルムの電気抵抗率が一元的に決まらず、前記確認された相関関係を基に、前記ポリアミド酸溶液中のカーボンブラックの含有量を変化させることにより、ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を所望の値に調節することができなくなる。
【0020】
これは、以下の理由によると考えられる。
(1)前記加熱乾燥の温度、或いは(2)前記加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率が異なると、イミド転化する際の加熱中にカーボン粒子の配列の仕方が変わり、電気抵抗率が変化すると考えられる。この結果、前記加熱乾燥の温度が高い、或いは前記加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率の値が大きいと、表面抵抗率及び体積抵抗率が高くなると考えられる。
また、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、或いは(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間が異なると、イミド転化する際に体積収縮率が変化し、電気抵抗率が変化すると考えられる。この結果、前記最高到達温度が高い、或いは前記250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間が長いと、表面抵抗率及び体積抵抗率は低くなると考えられる。
さらに、(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さが異なると、溶剤の蒸発速度が変わりカーボンブラックの配向度が変わるために電気抵抗率も変化すると考えられる。
【0021】
本発明のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法における、ポリアミド酸溶液を円筒状金型に塗布、又はシート状金属表面に流延して、ポリアミド酸塗膜を形成し、更に、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成し、該ポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型又はシート状金属から剥離する工程の詳細は、後述する本発明のポリイミド製フィルムの製造方法の場合と同様であるので、説明は省略する。
【0022】
本発明のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法により調節される電気抵抗率は、本発明におけるポリイミド製フィルムを画像形成装置の静電プロセス用部材に用いる場合は、表面抵抗率で1×108〜1×1015Ω/□であることが好ましく、1×1010〜1×1013Ω/□であることがより好ましい。また、体積抵抗率で1×106〜1×1013Ω・cmであることが好ましく、1×109〜1×1011Ω・cmであることがより好ましい。
【0023】
前記表面抵抗率は、例えば、図1に示す円形電極を用いて測定することができる。図1は、表面抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図1に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に被測定物Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(1)により、被測定物Tの表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。ここで、下記式(1)中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示す。D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式(1) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
【0024】
前記体積抵抗率は、例えば、図2に示す円形電極を用いて測定することができる。図2は、体積抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図2に示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と第二電圧印加電極B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状電極部C’と、該円柱状電極部C’の外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部D’とを備える。第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と第二電圧印加電極B’との間に被測定物T’を挟持し、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(2)により、被測定物Tの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式(2)中、tは被測定物Tの厚さを示す。
式(2) ρv=π×(D/2)2/t×(V/I)
【0025】
本発明のポリイミド製フィルムの製造方法は、ポリアミド酸、カーボンブラック及び溶剤を少なくとも含有するポリアミド酸溶液を、円筒状金型に塗布、又はシート状金属表面に流延して、ポリアミド酸塗膜を形成し、更に、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成し、該ポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型又はシート状金属から剥離する製造方法であって、(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、を予め所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させて、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する工程を有することを特徴とする。
【0026】
前記ポリアミド酸溶液は、ポリアミド酸、カーボンブラック及び溶剤を少なくとも含有する。前記ポリアミド酸は、テトラカルボン酸の無水物とジアミンを反応させることで得ることができる。前記テトラカルボン酸の無水物としてはピロメリット酸二無水物や、3,4:3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物やこれらの混合物が挙げられ、ジアミンとしてはパラフェニレンジアミンや4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等があげられる。
【0027】
また、前記ポリアミド酸を溶かす溶剤としては、DMFやNMPといったアミド系溶剤やフェノール類等が挙げられ、更に粘度調整等の目的でこれらの溶剤に芳香族系炭化水素等を少量混合してもよい。
一方、前記カーボンブラックは、オイルファーネスブラックやアセチレンブラック、チャンネルブラック等の一般的なカーボンブラックを用いることができるが、分散性の点でカーボンブラックを酸化処理したものを用いることが好ましい。また、前記カーボンブラックは、1種類でなく複数種類配合することも可能である。
【0028】
前記ポリアミド酸溶液は、前記溶剤に溶解させたポリアミド酸を含む溶液中に前記カーボンブラックを分散させることにより得られる。前記ポリアミド酸溶液中に前記カーボンブラックを分散する方法としては、ボールミルやサンドミルといったメディアの衝突力を利用した分散方式、3本ロールやニーダーといった剪断力で分散する方法、或いは溶液を高速で衝突させたり狭い領域を通る剪断力で分散を行うジェットミル等が挙げられる。
【0029】
本発明のポリイミド製フィルムの製造方法の1態様は、前記カーボンブラックが分散されているポリアミド酸溶液を円筒状金型内面もしくは表面に塗布してポリアミド酸塗膜を形成する。前記塗布する方法は特に限定されないが、遠心成形やディッピング法が挙げられる。その後、溶液が偏らないように回転させながら加熱乾燥して溶剤を除去してする。このときに、後述するイミド転化反応を、金型からポリアミド酸をフィルムを取り外して別の型に差し替えて後に行なうか、或いはそのままの同じ円筒状金型を用いて行なうかは、適宜判断して行えばよい。
【0030】
溶剤を除去したポリアミド酸塗膜は、加熱することでイミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成する。前記イミド転化反応はポリアミド酸の条件によって異なるが、300〜450℃で、20〜60分間反応させることが好ましい。
形成されたポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型、或いは差し替えた型より取り外し、適当な幅に切断することで無端状のポリイミド製フィルムを得ることができる。
【0031】
また、無端状のカーボンブラック含有ポリイミド製フィルムではなく、シート状のカーボンブラック含有ポリイミド製フィルムを得たい場合には、本発明のポリイミド製フィルムの製造方法の他の態様として、カーテンフローコートやバーコート機等を用いてシート状金属表面に前記ポリアミド酸溶液を流延し、前記同様に加熱することで溶剤を除去した後、シート状金属からはずしてイミド転化するか、或いはそのままイミド転化反応をさせて、シート状金属表面からはずすことでシート状のポリイミド製フィルムを得ることができる。尚、本態様におけるイミド転化反応の好ましい条件は、既述の本発明のポリイミド製フィルムの製造方法の1態様におけるイミド転化反応と同様である。
一方、前記の無端状のポリイミド製フィルムを切り開いて、シート状のポリイミド製フィルムとしてもよい。
【0032】
本発明のポリイミド製フィルムにおける電気抵抗率調節工程は、既述の本発明のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法における電気抵抗率調節工程と同様である。
本発明のポリイミド製フィルムは、電気抵抗率の調節が簡便に行なえるため、材料のロスが少なく、製造工程への負荷が小さくて済む。
特に、前記(1)〜(5)が所定の値のときの前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量と電気抵抗率との相関関係を確認しておけば、該確認された相関関係を基に、前記(1)〜(5)を予め前記所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率の調節が可能となり、従来必要であったロットごとの電気抵抗率確認作業を行わないで、ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節することができ、材料のロスが少なく、製造工程への負荷が小さくて済むという効果がより顕著になる。
【0033】
本発明のポリイミド製フィルムの製造方法により製造されるポリイミド製フィルムの電気抵抗率は、得られたポリイミド製フィルムを画像形成装置の静電プロセス用部材に用いる場合には、表面抵抗率で1×108〜1×1015Ω/□であることが好ましく、1×1010〜1×1013Ω/□であることがより好ましい。
また、体積抵抗率で1×106〜1×1013Ω・cmであることが好ましく、1×109〜1×1011Ω・cmであることがより好ましい。
これは、表面抵抗率が1×108Ω/□未満、或いは体積抵抗率が1×106Ω・cm未満であると、転写電流が多く流れ、トナーへ電荷が注入され、画像乱れが生じる場合がある。一方、表面抵抗率が1×1015Ω/□を超える、或いは体積抵抗率が1×1013Ω・cmを超えると、転写電流が小さくなり、トナーを転写できなくなったり、次プロセスまでの間に除電しないため除電器の追加が必要になる場合がある。
尚、本発明のポリイミド製フィルムの製造方法における表面抵抗率及び体積抵抗率は、本発明のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節法に記載の方法と同様の方法により測定できる。
【0034】
本発明のポリイミド製フィルムの製造方法により得られたポリイミド製フィルム、特に表面抵抗率が1×108〜1×1015Ω/□、体積抵抗率が1×106〜1×1013Ω・cmに調節されたポリイミド製フィルムは、帯電防止性能を生かした除電フィルム、静電複写方式の画像形成装置に用いる転写部材等に好ましく用いられる。
また、得られたポリイミド製フィルムは他の層を積層した複合膜として使用してもかまわない。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
宇部興産製ユーワニスS(3,4:3’,4’−ビフェニールテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリアミド酸のNMP溶液で 固形分率が18質量%)に、カーボンブラック(Special Black 4Degussa製 pH3,揮発分14質量%)を17PHR添加し、横型サンドミル(Dyno製Dynomill KDL)にφ2mmのジルコニア製球を内容積の約60容量%充填し、φ90の攪拌羽で回転数1592rpmで回転させたところへ、5パス通し分散を行い、ポリアミド酸溶液1を調製した。得られたポリアミド酸溶液1をディップ法でφ305の金型外面に塗布後、120℃に設定した乾燥機中に回転させながら1時間入れ、溶剤であるNMPを除去した。この金型を取り出し冷却後、できた円筒状のポリアミド酸フィルムを取り外し、φ302径のA6063製、肉厚:20mmの金型に挿入した。ポリアミド酸フィルムを挿入した金型を380℃まで加熱することによりイミド転化し、その後金型から外し、ベースとなる無端状のカーボンブラックを含有するポリイミド製フィルム1を作製した。得られたポリイミド製フィルム1の厚みは75μm、表面抵抗率は5.4×1011Ω/□、体積抵抗率は1.2×109Ω・cmであった。尚、前記ポリイミド製フィルムの作製における(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さについては、表1に示した。
また、表面抵抗率は、図1に示す円形電極において、φ16の円柱状電極部C、及び、φ30(内径)×φ40(外径)のリング状電極部Dを用い、円柱状電極部Cに100Vの電圧をかけたときに、リング状電極部Dに流れる電流値I(電圧印加後10秒のときの値)を測定し、前記式(1)より求めた値である。
更に、体積抵抗率は、図2に示す円形電極において、φ16の円柱状電極部C’、及び、φ30(内径)×φ40(外径)のリング状電極部D’を用い、第二電圧印加電極B’から円柱状電極部C’に向かって100Vの電圧をかけたときに、流れる電流値I(電圧印加後30秒のときの値)を測定し、前記式(2)より求めた値である。
【0036】
(実施例1、比較例1〜5)
次に、前記ポリアミド酸溶液1を用いて、試験設備にて、φ68径のA6063製、肉厚:5mmの金型にディップ法により塗布後、更に(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さを表1の値に設定し、加熱乾燥及びイミド転化を行い、前記φ68径の金型から外すことにより、無端状のカーボンブラックを含有するポリイミド製フィルムを作製した。得られたポリイミド製フィルムの表面抵抗率及び体積抵抗率を表1に示す。また実施例1におけるカーボンブラックと表面抵抗率の関係をグラフとして図3に示す。
【0037】
(比較例6)
前記ベースとなる無端状のカーボンブラックを含有するポリイミド製フィルム1の作製において、φ302径のA6063製、肉厚:20mmの金型を、SUS304、肉厚:7.5mmの金型に変更する以外、ポリイミド製フィルム1と同様にして比較例6のポリイミド製フィルムを作製した。そのときの(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、更に得られたポリイミド製フィルムの表面抵抗率及び体積抵抗率を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1は、同じカーボンブラック含有ポリアミド酸溶液を用いた場合に、前記(1)〜(5)の値を前記ポリイミド製フィルム1の作製と同じ条件に設定した実施例1で得られたポリイミド製フィルムは、製造設備が異なっても、前記ポリイミド製フィルム1とほぼ同様の表面抵抗率及び体積抵抗率を有していることを示している。一方、前記ポリイミド製フィルム1とは、前記(1)〜(5)の何れかが異なる条件で作製された比較例1〜5のポリイミド製フィルムは、前記ポリイミド製フィルム1と表面抵抗率及び/又は体積抵抗率が異なるものであることを示している。また、前記ポリイミド製フィルム1と同じ設備で、金型材料と肉厚を変えることにより、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間が異なる条件で作製された比較例6のポリイミド製フィルムも、前記ポリイミド製フィルム1と表面抵抗率及び/又は体積抵抗率が異なるものであることを示している。
【0040】
宇部興産製ユーワニスA(3,4:3’,4’−ビフェニールテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミド酸のNMP溶液で 固形分率が18質量%)に、カーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH3,揮発分14質量%)を27PHR添加し、ジェットミル(ジーナス製ジーナスPY)を用い、圧力200MPaで5回処理することで分散を行い、ポリアミド酸溶液2を調製した。得られたポリアミド酸溶液2をディップ法でφ302径のA6063製、肉厚:20mmの金型外面に塗布後、120℃に設定した乾燥機中で回転させながら1時間入れ、溶剤であるNMPを除去した。この金型を取り出し冷却後、そのものを320℃まで加熱することによりイミド転化し、金型から外すことにより、無端状のカーボンブラックを含有するポリイミドフィルム2を作製した。得られたポリイミドフィルム2の厚みは85μmで、表面抵抗率は4.8×1011Ω/□、体積抵抗率は7.1×1010Ω・cmであった。尚、前記ポリイミド製フィルム2の作製における(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さについては、表1に示した。
【0041】
(実施例2、比較例7〜11)
次に、ポリアミド酸溶液2を用いて試験設備にて、□120×120のアルミ板にアプリケータで流延、塗布後、更に(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さを表2の値に設定し、加熱乾燥及びイミド転化を行い、アルミ板から外すことにより、シート状のカーボンブラックを含有するポリイミド製フィルムを作製した。得られたポリイミド製フィルムの表面抵抗率及び体積抵抗率を表2に示す。また実施例2及び後述の実施例3におけるカーボンブラックと表面抵抗率の関係をグラフとして図4に示す。
【0042】
(比較例12)
前記ベースとなる無端状のカーボンブラックを含有するポリイミド製フィルム2の作製において、φ302径のA6063製、肉厚:20mmの金型をSUS304、肉厚:7.5mmの金型に変更する以外、ポリイミド製フィルム2と同様にして比較例12のポリイミド製フィルムを作製した。そのときの(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、更に得られたポリイミド製フィルムの表面抵抗率及び体積抵抗率を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
表2は、同じカーボンブラック含有ポリアミド酸溶液を用いた場合に、前記(1)〜(5)の値を前記ポリイミド製フィルム2の作製と同じ条件に設定した実施例2で得られたポリイミド製フィルムは、金型及び製造設備が異なっても、前記ポリイミド製フィルム2とほぼ同様の表面抵抗率及び体積抵抗率を有していることを示している。一方、前記ポリイミド製フィルム2とは、前記(1)〜(5)の何れかが異なる条件で作製された比較例7〜11のポリイミド製フィルムは、前記ポリイミド製フィルム2と表面抵抗率及び/又は体積抵抗率が異なるものであることを示している。また、前記ポリイミド製フィルム2と同じ設備で、金型材料と肉厚を変えることにより、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間が異なる条件で作製された比較例12のポリイミド製フィルムも、前記ポリイミド製フィルム2と表面抵抗率及び/又は体積抵抗率が異なるものであることを示している。
また、各条件で電気抵抗率に対するカーボンブラックの寄与が異なるのは、カーボンブラックとポリイミド樹脂との相性が違うためである。
【0045】
(実施例3)
カーボンブラック配合比を46PHRにしたカーボンブラック分散液を実施例2と同様に調製した。得られたカーボンブラック分散液にユーワニスA(ビフェニールテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミド酸のNMP溶液で、固形分率が18質量%)を混合し、カーボンブラック配合比が26PHR、27PHR、28PHRのポリアミド酸溶液をそれぞれ作製した。実施例2において、ポリアミド酸溶液2の代わりに、カーボンブラック配合比が26PHR、27PHR、28PHRの塗布液をそれぞれ用いたこと以外実施例2と同様にしてポリイミド製フィルムを作製した。得られたポリイミド製フィルムの表面抵抗率は図4に示したように、カーボンブラック配合比が高いほど表面抵抗率が低くなっている。
【0046】
また、図4より表面抵抗率が2×1011Ω/□となるポリイミド製フィルムが得られるポリアミド酸溶液のカーボンブラック配合比は26.6PHRであることがわかる。
この結果を基に、カーボンブラック配合比を26.6PHRに調整したポリアミド酸溶液を上記と同様に作製した。実施例2において、ポリアミド酸溶液2の代わりに、得られたカーボンブラック配合比が26.6PHRのポリアミド酸溶液を用いたこと以外実施例2と同様にしてポリイミド製フィルムを作製した。得られたポリイミド製フィルムの表面抵抗率は、2.1×1011Ω/□となった。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、簡易なポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法、及び材料のロスが少なく、製造工程への負荷が小さい、電気抵抗率が調節されたポリイミド製フィルムの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。
【図2】体積抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。
【図3】実施例1におけるカーボンブラックと表面抵抗率の関係をグラフで表した図である。
【図4】実施例2及び3におけるカーボンブラックと表面抵抗率の関係をグラフで表した図である。
Claims (6)
- ポリアミド酸、カーボンブラック及び溶剤を少なくとも含有するポリアミド酸溶液を、円筒状金型に塗布、又はシート状金属表面に流延して、ポリアミド酸塗膜を形成し、更に、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成し、該ポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型又はシート状金属から剥離してポリイミド製フィルムを製造する際に、該ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節するポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法であって、
(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、を予め所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する電気抵抗率調節工程を有することを特徴とするポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法。 - 前記電気抵抗率調節工程が、先ず前記(1)〜(5)が所定の値に調節された状態でポリイミド製フィルムを製造し、ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量と電気抵抗率との相関関係を確認した後、該確認された相関関係を基に、前記(1)〜(5)を予め前記所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する工程であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法。
- 前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を、表面抵抗率として1×108〜1×1015Ω/□、体積抵抗率として1×106〜1×1013Ω・cmに調節することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミド製フィルムの電気抵抗率調節方法。
- ポリアミド酸、カーボンブラック及び溶剤を少なくとも含有するポリアミド酸溶液を、円筒状金型に塗布、又はシート状金属表面に流延して、ポリアミド酸塗膜を形成し、更に、該ポリアミド酸塗膜を加熱乾燥した後、イミド転化反応をさせてポリイミド樹脂皮膜を形成し、該ポリイミド樹脂皮膜を円筒状金型又はシート状金属から剥離するポリイミド製フィルムの製造方法であって、
(1)前記加熱乾燥の温度、(2)該加熱乾燥後の前記ポリアミド酸塗膜の固形分率、(3)前記イミド転化反応における最高到達温度、(4)250℃以上該最高到達温度以下の温度に保持されている時間、及び(5)前記ポリイミド樹脂皮膜の厚さ、を予め所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させて、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する電気抵抗率調節工程を有することを特徴とするポリイミド製フィルムの製造方法。 - 前記電気抵抗率調節工程が、先ず前記(1)〜(5)が所定の値に調節された状態でポリイミド製フィルムを製造し、ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量と電気抵抗率との相関関係を確認した後、該確認された相関関係を基に、前記(1)〜(5)を予め前記所定の値に設定し、前記ポリアミド酸溶液におけるカーボンブラックの含有量を変化させることにより、前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率を調節する工程であることを特徴とする請求項4に記載のポリイミド製フィルムの製造方法。
- 前記ポリイミド製フィルムの電気抵抗率が、表面抵抗率として1×108〜1×1015Ω/□、体積抵抗率として1×106〜1×1013Ω・cmに調節されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のポリイミド製フィルムの製造方法。
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CN101798403A (zh) * | 2010-03-30 | 2010-08-11 | 东华大学 | 一种壳聚糖/聚乙烯醇/聚乳酸共混致密膜的制备方法 |
US8409485B2 (en) | 2009-06-16 | 2013-04-02 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Method for manufacturing a tubular body |
-
2003
- 2003-08-22 JP JP2003208450A patent/JP2005066838A/ja active Pending
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