JP2005065573A - 細菌分析装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明では、検体中の発酵菌と非発酵菌との間に光学的情報が差異を生じるように検体に処理を施し、測定用試料を調製する。例えば、検体を酸性条件下で処理して蛍光染色を施し、測定用試料を調製する。そして、測定用試料中の各粒子から光学的情報を検出し、検出された光学的情報に基づいて試料中の細菌の種類が発酵菌であるか非発酵菌であるかを判別する。
【選択図】 図7
Description
メチルレッド反応試験(MR反応試験)
細菌が培地中に存在する糖を分解する場合、酸性の生成物が生産される。そして生産された酸性の生成物は培地のpHを低下させる。メチルレッド反応試験(MR反応試験)では、pH指示薬としてメチルレッド試薬(MR試薬)を用い、培地のpHの低下(培地の酸性化)を添加されたpH指示薬の色の変化によって検出することにより、培地中に存在する糖が分解されたのか否かを判断する。そして、培地の色の変化により発酵菌であるか非発酵菌であるかを判断することができる
図1は細菌分析装置1の外観を実線で、装置内部の概略構成を破線で示したものである。装置1の最前面には、各種設定入力を行ったり、また測定結果を表示出力するための液晶タッチパネル2、検体セット部カバー3、試薬セット部カバー4およびスタートスイッチ5が配置されている。また、破線で示す装置1の内部の上部には、装置の動作や分析処理をつかさどる制御部6が配置されている。下部の手前側には、試料液を調製するための測定用試料調製部7が配置されている。下部の奥側には試料液から信号を検出するための測定部8が配置されている。
図2は測定用試料調製部7を示す説明図である。測定用試料調製部7は検体セット部9、試薬セット部10、染色部11、分注装置12および送液装置13を含む。前記図1の検体セット部カバー3を開けることにより、検体セット部9には検体の入った検体容器をセットするようになっている。また、図1の試薬セット部カバー4を開けることにより、試薬セット部10に染色液の入った微量試験管14や希釈液の入った微量試験管15をそれぞれセットするようになっている。染色部11に微量試験管16がセットされており、そこで検体に染色液と希釈液が混合されて、測定用試料が調製される。なお図には示していないが、染色部11には微量試験管16の中の溶液を一定の温度に保つための温度調節機構と微量試験管16の中の溶液を攪拌させるための攪拌機構が備えられている。分注装置12はその先端から所定量の液体を吸引・吐出するようになっており、また図示していない駆動装置によって上下左右に移動可能となっている。送液装置13は測定用試料を吸引するための吸引管17と、吸引管17から吸引した測定用試料を図3で示している測定部8へと送液する送液管18と、測定用試料を吸引して測定部8へ送液するためのポンプ19からなる。吸引管17は染色部11にセットされた微量試験管16に挿入され、そして所定の量の測定用試料が吸引される。吸引された測定用試料は送液管18を通って測定部8へ送液される。
図3は測定部8を示す説明図である。測定部8にはシースフローセル20、レーザー光源21、コンデンサレンズ22、2つの集光レンズ23、24、2つのピンホール25、26、フィルタ27、フォトダイオード28およびフォトマルチプライヤーチューブ29が設けられている。シースフローセル20は、前記図2の測定用試料調製部7で調製された測定用試料を流すためのものである。また、図4に示すようにシースフローセル20は、測定用試料液を細孔部33に向かって上方へ噴射する試料ノズル30と、シース液供給口31と廃液口32を備える。集光レンズ23、24はレーザー光を受けた試料中の粒子一個一個から得られる前方散乱光や側方蛍光といった光学的情報を集光する。フォトダイオード28は前方散乱光を受光、光電変換し、光信号として出力する。また、フォトマルチプライヤーチューブ29は側方蛍光を受光、光電変換し、光信号として出力する。出力された各信号は制御部へ送られる。
図5は制御部6の構成、および制御部6と装置各部との関係を示すブロック図である。制御部6は中央演算装置(CPU)やROM・RAM等の記憶装置を有するマイクロコンピューター、測定部8から送られてきた信号を処理する回路などを有する。制御部6は記憶部34、分析部35および動作制御部36としての機能を果たす。記憶部34は、試料中の粒子から得た信号の分析を行う分析プログラムや、装置各部の動作を制御する制御プログラムを記憶している。また、測定部8で検出された信号のデータや、分析プログラムによる処理結果を記憶する。分析部35は、分析プログラムに基づき測定部8で検出された信号を分析して、測定用試料液中に含まれる細菌に関するデータを生成する。分析部35で生成されたデータは液晶タッチパネル2に出力される。動作制御部36は、記憶部34に記憶されている制御プログラムに基づき装置各部の動作を制御する。
クエン酸 100mM
硫酸ナトリウム 90mM
アミド硫酸 100mM
NaOH pH1.5になる量
測定用試料調製における測定用試料調製部7の動作を、図2を用いて説明する。まず分注装置12が、検体セット部9にセットされている検体容器から検体を吸引し、染色部11にセットされている微量試験管16に50μLを分注する。次に分注装置12が試薬セット部10にセットされている微量試験管15から希釈液を吸引し、染色部11にセットされている微量試験管16に340μlを分注する。さらに分注装置12が試薬セット部10にセットされている微量試験管14から染色液を吸引し、染色部11にセットされている微量試験管16に10μLを分注する。この後染色部11が微量試験管16を温度42℃に保ちながら30秒間撹拌する。これより、微量試験管16において測定用試料が調製される。
測定における測定部8の動作を、図3と図4を用いて説明する。測定用試料調製部7で調製された測定用試料はシースフローセル20に導かれ、試料ノズル30から試料液がシースフローセル内に吐出される。それと同時にシース液供給口31からシース液がシースフローセル内に吐出される。これによって試料液はシースフローセル内でシース液に包まれ、さらに細孔部33によって細く絞られて流れる。試料液の流れを、粒子径と同程度まで絞り込むことにより、試料液に含まれた粒子を一列に整列させて細孔部に流すことができる。
ステップS2の測定により前方散乱光信号や側方蛍光信号が検出されると、次に分析部35が分析プログラムに基づいて各信号を分析する。ステップS4における分析プログラムの動作について、図7のフローチャートを用いて説明する。フローチャートの各ステップは以下のとおりである。
ステップS6:試料液中の各粒子から得られた前方散乱光信号や側方蛍光信号に基づき、前方散乱光強度(Fsc)や側方蛍光強度(FL)を算出する。続いてステップS7へ進む。
ステップS7:ステップS6で算出した粒子毎のFscおよびFLをパラメーターとしたスキャッタグラムを作成する。これは、まずFscおよびFLを軸にとった二次元座標を展開し、次に測定用試料中の各粒子についてステップS6で算出したFscおよびFLに対応する座標にプロットを行う。このようにしてFscおよびFLをパラメーターとしたスキャッタグラムを作成する。続いてステップS8へ進む。
ステップS8:作成したスキャッタグラム上において、非発酵菌が出現する領域(これをNF領域とする)、および発酵菌が出現する領域(これをF領域とする)を設定する。これらの領域がスキャッタグラム上に設定された様子を図8に示す。ここで設定されるNF領域およびF領域は、予め非発酵菌であると確認されている細菌や、発酵菌であると確認されている細菌を含む測定用試料を測定することにより、経験的に定めたものである。これより、試料中に含まれている細菌が非発酵菌である場合は、試料中の非発酵菌に対応するドットが集団を形成してNF領域に出現する。一方、試料中に含まれている細菌が発酵菌である場合は、試料中の発酵菌に対応するドットが集団を形成してF領域に出現する。なお、NF領域およびF領域は、記憶部34に記憶されており、ステップS8において分析プログラムによって読み出され、スキャッタグラム上に適用される。続いてステップS9へ進む。
ステップS9:NF領域およびF領域内のドット数(粒子数)を計数する。続いてステップS10へ進む。
ステップS10:NF領域内に出現したドット数(粒子数)とF領域に出現したドット数(粒子数)を比較し、ドットの集団がどちらの領域内に出現しているのかを判断する。NF領域に出現するドット数をNF、F領域に出現するドット数をFとし、以下のような計算式よりAを求める。
NF/(NF+F)=A
上記の式より算出されたAの値が所定値以上であれば、ドットの集団がNF領域にあると判断する。ドットの集団がNF領域内に出現する場合は、続いてステップS11へ進む。また、Aの値が所定値未満であれば、ドットの集団がF領域にあると判断する。集団がNF領域内に出現しない場合、つまりN領域に出現する場合は、続いてステップS13へ進む。
ステップS11:ステップS10でNF領域内にドットの集団があると判断されると、 検体に含まれる細菌は非発酵菌であると判定される。続いてステップS12へ進む。
ステップS12:ステップS11における非発酵菌であるという判定結果、およびステップS9より計数されたNF領域内のドット数(粒子数)のデータを記憶する。
ステップS13:ステップS10でNF領域内にドットの集団がないと判断されると、検体に含まれる細菌は発酵菌であると判定される。続いてステップS14へ進む。
ステップS14:ステップS13における発酵菌であるという判定結果、およびステップS9より計数されたF領域内のドット数(粒子数)のデータを記憶する。
ステップS3(分析)より得られたスキャッタグラム、非発酵菌であるか発酵菌であるかの判定結果、また非発酵菌や発酵菌その計数結果を液晶タッチパネル2に出力し、表示する。以上がこの実施形態における測定のフローチャートである。
上記に説明してきた細菌分析装置1を用いて検体を分析した結果の例を示す。検体は以下の通り調製したものを用いた。まず細菌を寒天培地で培養し、細菌のコロニーを形成させる。そして、コロニーから目的とする種類の細菌を釣菌し、菌数が約105/mlの濃度になるようにハートインヒュージョン液体培地に懸濁する。本例では、このようにして全部で7種類の細菌につきそれぞれの菌液を調製し、検体として用いた。7種類の細菌のうち発酵菌は、E.coli(グラム陰性菌)、K.pneumoniae(グラム陰性菌)、L.achidophilus(グラム陽性菌)およびS.aureus(グラム陽性菌)の4種類である。また非発酵菌は、P.aeruginosa(グラム陰性菌)、A.baumannii(グラム陰性菌)およびE.faecalis(グラム陽性菌)の3種類である。
本発明の細菌分析装置1を用いて、患者から採取した尿を検体として分析した結果の例を以下に示す。
2 液晶タッチパネル
3 検体セット部カバー
4 試薬部セット部カバー
5 スタートスイッチ
6 制御部
7 測定用試料調製部
8 測定部
9 検体セット部
10試薬セット部
11染色部
12分注装置
13送液装置
20シースフローセル
37細菌分析装置
38測定装置本体
39パーソナルコンピューター
40出力画面
41入力部
42第二の制御部
Claims (10)
- 検体から測定用試料を調製する測定用試料調製手段と、測定用試料中の各粒子から光学的情報を検出する検出手段と、検出された光学的情報に基づいて試料中の細菌の種類が発酵菌であるか非発酵菌であるかを判別する判別手段を有する細菌分析装置。
- 検体から測定用試料を調製する測定用試料調製手段と、測定用試料中の各粒子から光学的情報を検出する検出手段と、検出された光学的情報に基づいて試料中の非発酵菌を検出する分析手段を有する細菌分析装置。
- 前記測定用試料調製手段は、発酵菌と非発酵菌との間に蛍光強度の差異を生じるように検体に蛍光染色を施す請求項1または2に記載の細菌分析装置。
- 前記測定用試料調製手段は、検体を酸性条件下で処理して測定用試料を調製する請求項1または2に記載の細菌分析装置。
- 前記測定用試料調製手段は、酸性条件下で処理された検体に蛍光染色を施す請求項4に記載の細菌分析装置。
- 前記検出手段により検出される光学的情報が蛍光を含む請求項3または5に記載の細菌分析装置。
- 判別手段により判別された発酵菌および非発酵菌を計数する計数手段を有する請求項1に記載の細菌分析装置。
- 前記分析手段は、検出された非発酵菌を計数する計数手段を有する請求項2に記載の細菌分析装置。
- 検体から測定用試料を調製し、調製した測定用試料に含まれる各粒子から光学的情報を検出し、検出された光学的情報に基づいて試料中の細菌の種類が発酵菌であるか非発酵菌であるかを判別する細菌分析方法。
- 検体から測定用試料を調製し、調製した測定用試料に含まれる各粒子から光学的情報を検出し、検出された光学的情報に基づいて試料中の非発酵菌を検出する細菌分析方法。
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