JP2005064558A - メール中継装置、メール中継方法、メール中継プログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外部のメール送受信端末へのメール送信に失敗したことに関するメール送信エラー情報を検出する送信エラー検出部13と、送信エラー検出部13が上記メール送信エラー情報を検出した場合に、送信に失敗したメールを再送信する経路を、送信に失敗した経路とは異なる経路として設定する代替経路設定部14と、代替経路設定部14により設定された経路にて、送信に失敗したメールを再送信するメール送信制御部3とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インターネット上の電子メール送信技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インターネット上においては、技術標準文書であるRFC(Request For Comments)821および822に基づき、以下のように電子メールの送信が行われている。なお、以下の説明では電子メールを単に「メール」と記載する。
【0003】
先ず、図6に示すように、メールの送信元のメール送受信端末100は、LAN(Local Area Network)を経由して送信元メールサーバ101にメールを送信する。なお、送信元メールサーバ101は、一般的にSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバと称されている。
【0004】
そして、送信元メールサーバ101は、メール送受信端末100からのメールを受け取ると、当該メールにおける送信先のメールアドレスに基づき送信先メールサーバ102を探し出す。さらに、送信元メールサーバ101は、送信先メールサーバ102を探し出した後、インターネットゲートウェイおよびIP(Internet Protocol)網を介して、インターネット上の所定の経路により送信先メールサーバ102へメールを送信する。なお、送信先メールサーバ102としては、たとえばPOP(Post Office Protocol)サーバやIMAP(Internet Message Access Protocol)サーバを挙げることができる。
【0005】
上記の手順により送信先メールサーバ102に送信されたメールは、送信先のメール送受信端末103が送信先メールサーバ102にアクセスすることによって、メール送受信端末に送信される。
【0006】
ところで、メール送信時において、メールサーバのメンテナンス等の理由によりメールの送信にエラーが生じる場合がある。このような場合、以下の手順により、メール送信元のメール送受信端末100にエラーメールが送信される。
【0007】
先ず、図7に示すように、メールの送信元のメール送受信端末100は、送信元メールサーバ101にメールを送信する(S100)。送信元メールサーバ101は、当該メールにおける送信先アドレスに基づき、送信先メールサーバ102を特定する(S101)。その後、送信元メールサーバ101は、インターネットを経由して送信先メールサーバ102に接続する(S102)。
【0008】
S102の後、送信先メールサーバ102は、送信元メールサーバ101が送信先メールサーバ102に対する接続が許可されたサーバか否かを判断する(S103)。
【0009】
S103において、送信元メールサーバ101が接続の許可されたものであると判断された場合、送信先メールサーバ102は送信元メールサーバ101からメールを受信する(S104)。一方、S103において、送信元メールサーバ101が接続の許可されたものではないと判断された場合、送信先メールサーバ102は、送信元メールサーバ101との接続を中断する(S105)。なお、S105において、送信先メールサーバ102から送信元メールサーバ101に、メールの送信エラーに関するメッセージを送信する処理を実行してもよい。
【0010】
S104またはS105の後、送信元メールサーバ101において、S104における処理またはS105における処理のいずれが送信先メールサーバ102において実行されたかを判断することにより、メールの送信が成功したか否かが判断される(S106)。
【0011】
S106においてメールの送信に成功したと判断される場合、すなわち送信先メールサーバ102においてS104の処理が実行されてメールが受信されたと判断される場合においては、一連のメール送信処理が終了する。一方、S106においてメールの送信に失敗したと判断される場合、すなわち送信先メールサーバ102においてS105の処理が実行されたと判断される場合、送信元メールサーバ101は、メール送受信端末100に対してメールの送信に失敗したことを示すエラーメールを送信する(S107)。このようにして、メール送受信端末100にメールの送信に失敗したことを示すエラーメールが送信される。
【0012】
【非特許文献1】
インターネットRFC事典(1998年11月1日発行、発行所:株式会社アスキー)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにメール送受信端末100に送信されるエラーメールは、多様な書式で記載されることが通常である。したがって、メール送受信端末100にエラーメールの内容を判断させ、送信に失敗したメールの再送信を自動的に行うという処理を行うことは困難である。
【0014】
ゆえに、メール送受信端末100のユーザは、上記エラーメールを確認した場合は、メール送受信端末100を再度操作してメールの送信作業を実行しなければならなくなる。これは、ユーザにとっては煩わしい作業となる。
【0015】
さらに、メールの再送信は、前回失敗したインターネット上の経路と同一の経路にて実行される。したがって、メールが再送信される経路におけるデータ通信量が大きくなり、当該経路においては通信負荷が必然的に大きくなるという問題が生じる。
【0016】
また、インターネット上においては、セキュリティ確保の観点から、特定のメールサーバからのメール送信しか受け付けないメールサーバが設けられる場合がある。このようなメールサーバがメールの送信経路に存在している場合においては、メール送信が許可されていないサーバからのメール送信を行うと、メールの送信は当然失敗する。
【0017】
従来技術では、このような場合においてもメールの再送信を前回メールの送信に失敗した経路と同一の経路にて行うこととなる。すなわち、メールの送信先として許可されていないメールサーバに対して再度メールの送信を行うこととなるので、何度再送信を試みても当然にメールの送信は拒絶されてしまう。
【0018】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、メールを再送信する際のユーザ負担を解消するとともに、メールを送信先まで確実に送信し得るメール中継装置、メール中継方法、メール中継プログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のメール中継装置は、外部のメール送受信端末から受信したメールを、さらに他の外部のメール送受信端末へ送信するメール中継装置であって、外部のメール送受信端末へのメール送信に失敗したことに関するメール送信エラー情報を検出する送信エラー検出手段と、上記送信エラー検出手段が上記メール送信エラー情報を検出した場合に、送信に失敗したメールを再送信する再送信経路を、送信に失敗した経路とは異なる経路として設定する代替経路設定手段と、上記代替経路設定手段により設定された再送信経路にて、送信に失敗したメールを再送信するメール送信手段とを備えていることを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、本発明のメール中継装置は、送信エラー検出手段によりメールの送信エラーを検出するとともに、代替経路設定手段によりメール送信に失敗した経路とは異なる経路をメールの再送信を行う再送信経路(代替経路)として設定し、メール送信手段により代替経路設定手段により設定された経路にてメールを送信する。
【0021】
したがって、メールの再送信は、前回送信に失敗した経路とは異なる経路にて行なわれることとなる。よって、メールの再送信を、再び送信に失敗する可能性が高い前回の送信経路にて行うことがないので、メールが送信先まで送信される可能性を向上できる。
【0022】
また、代替経路設定手段は、メール送信に失敗した経路とは異なる経路を代替経路として設定する。したがって、あるメール(メールαとする)の送信に失敗した場合、メールαの再送信には送信に失敗した経路とは異なる経路が使用される。よって、メールα以外のメール(メールβとする)を送信する際に、メールαの送信に失敗した経路が使用されたとしても、当該経路ではメールαは再送信されないので、当該経路の通信負荷を軽減できる。
【0023】
また、メールの送信エラーの検出、代替経路の設定処理、代替経路によるメールの送信はメール中継装置において自動的に実行されるので、メール送受信端末のユーザは、メールの再送信のためにメール送受信端末を操作する必要がない。よって、メールの再送信のためにユーザに煩雑な処理を強いることがないので、メールの再送信に関するユーザの満足度を向上させることができる。
【0024】
さらに、本発明のメール中継装置は、上記構成のメール中継装置において、上記再送信経路の候補として記憶手段に記憶された経路に、上記代替経路設定手段により設定された経路にて上記メール送信手段がメールの再送信に成功した頻度に基づく優先度を付与するとともに、当該優先度を上記記憶手段に記憶させる代替経路優先度設定手段を備えており、上記代替経路設定手段は、上記記憶手段に格納された優先度を参照して、メールの再送信に用いる経路を設定することを特徴としている。
【0025】
ここで、優先度とは、上記のように、代替経路設定手段により設定された経路にてメール送信手段がメールの再送信に成功した頻度に基づき設定されるものである。したがって、メールの再送信に成功した頻度が高い経路については優先度を高く設定するというように、メールの再送信に成功する確率が高い経路について優先度を高く設定できる。
【0026】
そして、このように設定された優先度を記憶手段に記憶させておけば、代替経路設定手段に優先度を参照させてメールの再送信に用いる経路を設定させることができる。したがって、代替経路設定手段に、よりメールの再送に成功する確率が高い経路を代替経路として設定させることができる。それゆえ、メールが送信先まで送信される可能性をより向上させることができる。
【0027】
さらに、本発明のメール中継装置は、上記構成のメール中継装置において、上記代替経路優先度設定手段が、上記優先度を、定期的にまたはユーザ指示に基づき更新することを特徴としている。
【0028】
上記構成によれば、代替経路優先度設定手段は、優先度を定期的にまたはユーザ指示に基づき更新する。ここで、優先度は、上記のとおり代替経路設定手段により設定された経路にてメール送信手段がメール送信に成功した頻度に基づき設定されるものである。
【0029】
したがって、優先度を定期的にまたはユーザ指示に基づき更新すれば、更新前までのメール送信手段によるメール再送信結果の全てを考慮した優先度が設定できる。よって、よりメールの再送信に成功する確率の高い経路の優先度を高く設定することが可能となる。それゆえ、メールが送信先まで送信される可能性をより向上させることができる。
【0030】
さらに、本発明のメール中継装置は、上記構成のメール中継装置において、携帯電話キャリア網と接続可能な通信端末をさらに備え、上記代替経路設定手段が、上記通信端末および上記携帯電話キャリア網を介してメールを送信する経路を、上記再送信経路として設定可能であり、上記メール送信手段が、上記通信端末を制御して、外部のメール送受信端末から受信したメールを、さらに他の外部のメール送受信端末へ送信する通信端末制御手段を備えていることを特徴としている。
【0031】
上記構成によれば、代替経路設定手段により、通信端末および携帯電話キャリア網を介してメールを送信する経路が再送信経路として設定された場合、通信端末制御手段を用いて、通信端末によるメールの送信を行うことができる。したがって、送信に失敗したメールを再送信する経路の選択肢が増えるので、メールが送信先まで送信される可能性をさらに向上できる。
【0032】
さらに、本発明のメール中継装置は、上記構成のメール中継装置において、上記通信端末が、自身が接続可能な携帯電話キャリア網に対応するドメイン名を含むメールアドレスを有するとともに、外部のメール送受信端末から受信したメールを、さらに他の外部のメール送受信端末に送信する際、当該メールの送信元メールアドレスを自身のメールアドレスに変更することを特徴としている。
【0033】
すなわち、携帯電話端末によっては、特定のドメイン名を有するメールアドレスのみからのメール受信しか受け付けない、いわゆる「ドメイン指定受信」設定がなされている場合がある。このようなドメイン指定受信設定がなされている携帯電話端末に対しては、指定ドメイン以外のドメインからメールを送信することはできない。そして、このようなドメイン指定受信においてメール受信が許可されるドメイン名は、ユーザが有する携帯電話が属する携帯電話キャリア網のドメイン名であることが一般的である。
【0034】
そこで、本発明では、通信端末が、自身の接続する携帯電話キャリア網に対応するドメイン名を含むメールアドレスを有しており、外部のメール送受信端末から受信したメールを、さらに他の外部のメール送受信端末に送信する際、当該メールの送信元メールアドレスを自身のメールアドレスに変更する。
【0035】
よって、通信端末として、ドメイン指定受信設定がなされた携帯電話端末の属する携帯電話キャリア網と同じ携帯電話キャリア網に接続するものを用いれば、外部のメール送受信端末から受信したメールの送信元メールアドレスを、当該携帯電話端末において受信が許可されたドメイン名を含むものとして変更できる。それゆえ、ドメイン指定受信設定がなされた携帯電話端末に対してもメールの送信が可能となり、メールが送信先まで送信される可能性をさらに向上できる。
【0036】
また、本発明のメール中継方法は、外部のメール送受信端末からメール中継装置が受信したメールを、当該メール中継装置を用いてさらに他の外部のメール送受信端末へ送信するメール中継方法であって、上記メール中継装置の送信エラー検出手段により、外部のメール送受信端末へのメール送信に失敗したことに関するメール送信エラー情報を検出する第1ステップと、上記メール中継装置の代替経路設定手段により、上記第1ステップにおいて上記メール送信エラー情報が検出された場合に、送信に失敗したメールを再送信する再送信経路を、送信に失敗した経路とは異なる経路として設定する第2ステップと、上記メール中継装置のメール送信手段により、上記第2ステップにより設定された再送信経路にて、送信に失敗したメールを再送信する第3ステップとを備えていることを特徴としている。
【0037】
上記構成によれば、本発明のメール中継装置における送信エラー検出手段による処理が第1ステップにより実現されており、代替経路設定手段による処理が第2ステップにより実現されており、メール送信手段による処理が第3ステップにより実現されている。したがって、本発明のメール中継装置による作用効果と同一の作用効果を得ることができる。
【0038】
なお、上記メール中継方法における各ステップを、メール中継プログラムとしてコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記メール中継プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記メール中継プログラムを実行させることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
(サーバの構成)
本発明のメールサーバの一実施形態に係る構成について、図1を用いて説明する。図1に示すように、本実施の形態の送信元メールサーバ(メール中継装置)1は、通信部2と、メール送信制御部(メール送信手段)3と、代替経路設定部(代替経路設定手段)4と、記憶部(記憶手段)5とを備えている。
【0040】
通信部2は、送信元メールサーバ1における外部との通信を行うためのものであり、メール送受信端末6にLAN(Local Area Network)接続されている。一方、通信部2は、インターネットプロトコル網7(以下、IP網とする)を介して送信先メールサーバ8と接続されている。この送信先メールサーバ8は、メール送受信端末9とLAN接続されている。
【0041】
なお、IP網7には複数のメールサーバやメール送受信端末が接続されているが、説明の簡略化のため図示していない。また、以下では、メール送受信端末6からメール送受信端末9にメールを送信する場合を例にとって説明する。
【0042】
メール送信制御部3は、メールを送信するための処理を統括的に制御するものである。より具体的には、メール送信制御部3は、送信先サーバ特定部10と、送信先サーバ接続部11と、メール送信処理部12とを備えている。
【0043】
送信先サーバ特定部10は、メール送受信端末6から送信されるメールの宛先アドレスに基づき、送信先メールサーバ8を特定するものである。送信先サーバ接続部11は、送信先メールサーバ8に対してメールの送信が可能であるか否かを確認するため、通信部2を用いて送信先メールサーバ8との通信接続を行うものである。メール送信処理部12は、通信部2を用いて、インターネットを経由してメールを送信先メールサーバ8に送信する。
【0044】
代替経路設定部4は、通信部2が通常用いるIP網7内のメール送信経路によりメール送信を行えない場合に、メールの送信をするための代替経路を設定するものである。
【0045】
たとえば、通信部2がIP網7内の経路Iを用いてメール送信を行っている場合において、経路内に含まれるメールサーバがメンテナンス中である等の事情により、経路Iを用いてメールの送信ができない場合がある。このような場合において、代替経路設定部4は、経路I以外のメール送信経路である経路II・III・…・Nのうちのいずれかを代替のメール送信経路として設定する。代替経路設定部4が代替経路を設定するための処理については後述する。
【0046】
また、代替経路設定部4は、送信エラー検出部(送信エラー検出手段)13と、代替経路優先度設定部(代替経路優先度設定手段)14とを備えている。
【0047】
送信エラー検出部13は、メールの送信エラーを検出するものである。メールの送信エラーを検出するための具体的な方法については後述する。代替経路優先度設定部14は、実際にメールの送信に使用された代替経路に優先度を設定するものである。なお、優先度とは、複数の代替経路が選択候補として送信元メールサーバ1に設定されている場合、各代替経路が代替経路設定部4により実際にメールを送信する経路として設定される順位のことを意味する。代替経路優先度設定部14による優先度の設定処理についても後述する。
【0048】
記憶部5は、送信元メールサーバ1がメールの送信処理のために用いる各種設定を記憶するものである。より具体的には、記憶部5は、代替経路を特定するための代替経路データ15を記憶している。
【0049】
ここで、代替経路データ15は、メールを送信する際に中継点となるメールサーバを、そのIPアドレスによって特定することにより構築されている。すなわち、代替経路データ15は、異なる経路I・II・III・…のそれぞれについて中継点となるメールサーバのIPアドレスが異なるように構築されている。なお、代替経路データ15には、代替経路優先度設定部14により設定される優先度の情報(優先度情報15a)も、各代替経路に対応して記憶されている。
【0050】
上記構成により、本実施の形態の送信元メールサーバ1は、通常のメールの送信経路を用いてメール送信ができないことを、メールの送信エラーを送信エラー検出部13により検出する。そして、メールの送信エラーが検出された場合、送信元メールサーバ1は、代替経路設定部4により設定された代替経路によって、メールを送信先メールサーバ8に送信する。
【0051】
(代替経路が設定されるまでの処理)
次に、代替経路が設定されるまでの一連の処理について、図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0052】
図2に示すように、先ずメール送受信端末6にて、メールの送信処理が行われる(S1)。その後、従来技術で説明したS101(図7)と同一の処理であるS2により送信先メールサーバ8が特定され、S102(図7)と同一の処理であるS3により送信元メールサーバ1と送信先メールサーバ8との接続が確立される。なお、S2の処理は、送信元メールサーバ1における送信先サーバ特定部10により実行され、S3の処理は、送信先サーバ接続部11により実行されるものである。
【0053】
一方、送信先メールサーバ8においては、S103(図7)の処理と同一の処理であるS4の処理により、送信元メールサーバ1が送信先メールサーバ8に対する接続の許可されたものであるか否かが判断される。S4において送信元メールサーバ1が接続の許可されたものであると判断された場合、送信先メールサーバ8は送信元メールサーバ1からメールを受信する。一方、S4にて送信元メールサーバ1が接続の許可されたものではないと判断された場合、送信先メールサーバ8は、S105(図7)と同一の処理であるS6の処理により、送信元メールサーバ1との接続を中断する。なお、S6においては、メールの送信エラーに関するメッセージを送信する処理を実行してもよい。
【0054】
S5またはS6の処理の後、送信元メールサーバ1の送信エラー検出部13は、メールの送信に成功したか否かを判断する(S7)。具体的には、送信エラー検出部13は、送信先メールサーバ8がS6において送信元メールサーバ1との接続を中断したこと、または送信先メールサーバ8からメール送信のエラーコードを受信したこと等を判断することによって、メールの送信に成功したか否かを判断する。送信エラー検出部13がエラーメッセージを検出する手順の詳細については後述する。
【0055】
S7にてメールの送信に失敗したと判断された場合、代替経路設定部4は、代替経路があるか否かを、記憶部5に格納された代替経路データを参照することにより判断する(S8)。S8にて代替経路があると判断された場合には、代替経路設定部4は、代替経路の設定処理を実行する(S9)。
【0056】
具体的には、S9において記憶部5に記憶された代替経路データに含まれる代替経路のうちの1つを任意に選択し、上述したS3〜S7までの処理を実行する。そして、代替経路設定部4は、S7にてメールの送信が成功したと判断された場合には、一連の処理を終了させる。
【0057】
また、S7にてメールの送信が失敗したと判断された場合には、代替経路設定部4は、再びS8の処理を実行し、未だメールの送信に用いていない代替経路があるか否かを判断する。そして、そのような代替経路があると判断された場合においては、S9においてそのような代替経路の一つを任意に選択し、S3〜S7の処理を再度実行することによりメールの送信が成功するか否かを試みる。
【0058】
このように、送信元メールサーバ1は、記憶部5に格納された代替経路データに含まれる全ての代替経路についてラウンドロビン法を用いてメールの送信を試みることによって、メールの送信が可能な代替経路を探し出す処理を行う。
【0059】
(エラーメール検出処理の詳細について)
次に、S7におけるエラーメッセージ検出処理の詳細について説明する。S7におけるエラーメッセージ検出は、SMTPに準じたエラーコードを検出することにより行われる。
【0060】
すなわち、SMTPにおいては、メール送信経路上における複数のメールサーバのうちいずれか1つのメールサーバがメールの送信に失敗した場合、当該メールサーバは、送信元メールサーバ1に、「SMTP通信の最後でエラーが生じた」ことを示す定型文をエラーコードとして送信する。より具体的には、メール送信に失敗したメールサーバは、たとえばメールの差出人が「MAILER−DAEMON」であるという内容をエラーコードとして送信する。なお、上記の「MAILER−DAEMON」はエラーコードの一例にすぎず、他の内容がエラーコードとして送信される場合もある。
【0061】
図3に、エラーメールの一例を示す。図3に示すように、上記のエラーコードにおいては、差出人が「MAILER−DAEMON」であることを示す、「From: MAILER−DAEMON@****」というテキストが含まれている。したがって、送信エラー検出部13は、「From: MAILER−DAEMON@****」という内容を含むコードがメール送信経路上のメールサーバから送信されたか否かを検出することにより、メールの送信に失敗したか否かを検出することができる。
【0062】
(優先度の設定処理について)
次に、代替経路優先度設定部14による、代替経路についての優先度の設定処理について説明する。優先度の設定処理は、代替経路設定部4により設定された代替経路によりメールの送信が成功した場合、その代替経路が同一の送信先メールアドレスに対する次回のメール送信時に優先的に選択されるようにするため、図2のフロー中S7の後に行われる処理である。
【0063】
具体的には、記憶部5に記憶される優先度情報15aとして、図4に示すように、送信先メールアドレス、優先度、およびメール送信経路とを対応付けたテーブルを作成する。たとえば、送信先メールアドレス「aaa@bbb.ne.jp」に対しては、経路IIが最も優先度の高い代替経路として設定されており、経路IIIが2番目に優先度の高い代替経路、経路IVが3番目に優先度の高い代替経路として設定されている。
【0064】
これらの優先度は、各経路を代替経路として用いてメール送信に成功した頻度に応じて決定されている。したがって、代替経路設定部4は、記憶部5に記憶された優先度情報を参照することにより、各送信先メールアドレスについてメール送信に成功する可能性が高い経路を、効率的に代替経路として選択することが可能となる。
【0065】
なお、図4に示した優先度情報の例は、送信先メールアドレスと各経路の優先度とを対応づけてテーブルとして作成したものであるが、優先度情報は必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、送信先のメールサーバと各経路の優先度とを対応づけて優先度情報としてもよい。これにより、同一のメールサーバに対してメールを送信する際に、メール送信に成功する可能性が高い経路を、効率的に代替経路として選択することが可能となる。
【0066】
ただし、送信先のメールサーバと各経路の優先度とを対応づけて優先度情報を作成すると、送信先メールアドレス毎に優先度情報を作成する場合に比べて、代替経路を的確に選択できない場合がある。すなわち、送信先メールアドレス毎に、異なるメール受信拒否設定がなされている場合がある。
【0067】
たとえば、同一のドメイン名を有する「aaa@bbb.ne.jp」と「ggg@bbb.ne.jp」とについて、異なるメール受信拒否設定がなされている場合がある。メールアドレス「aaa@bbb.ne.jp」についてはサーバXからのメール受信が拒否されており、メールアドレス「ggg@bbb.ne.jp」についてはサーバYからのメール受信が拒否されているというようにである。
【0068】
このような場合においては、メールアドレス「aaa@bbb.ne.jp」へのメール送信時にはサーバXを経由しない経路、メールアドレス「ggg@bbb.ne.jp」へのメール送信時にはサーバYを経由しない経路を代替経路として設定したほうがメール送信に成功する可能性は向上する。すなわち、同一のメールサーバ内における異なるメールアドレス毎に、代替経路として選択されるべき経路が異なる場合がある。
【0069】
よって、送信先メールサーバ毎に各経路の優先度の設定をするよりも、送信先メールアドレス毎に各経路の優先度の設定を行った方が、メール送信に成功する確率の高いメール送信経路をより効率的に選択することが可能となる。ただし、送信先メールアドレス毎に優先度を設定すると、送信先メールサーバ毎に優先度の設定を行うよりも優先度情報のデータサイズが大きくなる場合があるので、いずれの方式にて優先度情報を作成するかは、記憶部5において代替経路データ15の記憶領域として割当られたデータサイズに応じて決定すればよい。
【0070】
また、優先度情報は、定期的にあるいはユーザの指示に応じて、適宜更新されることが好ましい。具体的には、代替経路として使用される頻度が低い経路について、優先度を下げる処理あるいは代替経路としての候補から削除する処理を、代替経路優先度設定部14により実行する。これにより、メール送信に成功する可能性が高い経路をより効率的に代替経路として選択することが可能となる。
【0071】
〔実施の形態2〕
(サーバの構成)
次に、本発明のメールサーバの他の実施形態に係る構成について、図5を用いて説明する。なお、実施形態1と同一の機能を有するブロックに関しては同一の参照番号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0072】
本実施形態に係る送信元メールサーバ(メール中継装置)20は、実施形態1に係る送信元メールサーバ1に比べて携帯電話キャリア網を利用したメール送信が可能となっている点に特徴がある。以下、この特徴点に係る構成を中心に説明する。
【0073】
送信元メールサーバ20は、実施形態1に係る送信元メールサーバ1に係る構成に加え、通信端末21a・21b・…を備えている。さらに、送信元メールサーバ20は、メール送信制御部3に通信端末決定部26と通信端末制御部(通信端末制御手段)27とを備えている。
【0074】
これらの通信端末21a・21b・…は、携帯電話キャリア網22を介して携帯電話端末23と送信元メールサーバ20との間でメールの送受信を行うための携帯電話端末である。また、携帯電話キャリア網22は、ゲートウェイ24を介してIP網7と接続されている。
【0075】
ここで、携帯電話キャリア網についての説明をしておく。携帯電話キャリア網とは、各企業により提供される携帯電話キャリア毎に構築される通信網を意味する。たとえばA社により携帯電話キャリアAが提供されており、B社により携帯電話キャリアBが提供されているとすると、携帯電話キャリアA、携帯電話キャリアBのそれぞれについて携帯電話キャリア網が構築されることとなる。また、携帯電話キャリア網では、キャリア独自の通信プロトコルが使用されている。
【0076】
さらに、携帯電話キャリア網では、メールサーバを有するものとそうでないものがある。メールサーバを有する携帯電話キャリア網では、該キャリアに属する携帯電話端末を送信先とするメールを該メールサーバに格納する。その後、携帯電話端末が、メールサーバにアクセスし、メールを取得する。この場合、該キャリアに属する携帯電話端末は、同じキャリアに属する他の携帯電話端末に対してメールを送信するとき、メールサーバにメールを送信する。
【0077】
一方、メールサーバを有しない携帯電話キャリア網では、該キャリアに属する携帯電話端末間で直接的にメールの送受信が行われる。なお、以下では、携帯電話キャリア網22は、メールサーバを有するものとして説明する。
【0078】
再び通信端末21a・21b・…の説明を行う。通信端末21a・21b・…は、それぞれ異なる携帯電話キャリアに属するものであり、携帯電話キャリア網に接続することのできる送受信部(図示せず)と、受信したメールを一旦記憶するメモリ(図示せず)とを備えている。これにより、本実施形態の送信元メールサーバ20は、複数の携帯電話キャリア網に対して無線接続を行うことができる。なお、複数の通信端末21a・21b・…のうち、いずれの通信端末を用いて携帯電話キャリア網に接続するかは、メール送信制御部3に設けられた通信端末決定部26により決定される。この手順については後述する。
【0079】
また、通信端末21a・21b・…は、それぞれメールアドレスも有している。このメールアドレスのドメイン名は、通信端末21a・21b・…の属する携帯電話キャリアによって決定される。たとえば、通信端末21aは、キャリアA対応のserver1@aaa.ne.jpというメールアドレスを有し、通信端末21bは、キャリアB対応のserver2@bbb.ne.jpというメールアドレスを有している。なお、キャリアAのドメイン名はaaa.ne.jpであり、キャリアBのドメイン名はbbb.ne.jpであるものとする。
【0080】
また、通信端末決定部26は、複数の通信端末21a・21b・…の中から、メール送信を行う端末を決定するためのものである。また、通信端末制御部27は、通信端末21a・21b・…を操作して、メールの送信を制御するものである。また、通信端末制御部27は、通信端末決定部26が決定した通信端末の携帯電話キャリアのプロトコルに対応するように、メール本文、送信先メールアドレスを変換する。
【0081】
上記構成により、通信端末21a・21b・…は、メール送信制御部3に設けられた通信端末制御部27からのメール送信の指示を受ける。通信端末21a・21b・…は、メール送信の指示を受けると、携帯電話キャリア網22を介して、携帯電話端末23やメール送受信端末9に向けてメールを送信する。このとき、通信端末21a・21b・…は、メールの送信元を、当該通信端末21a・21b・…が有するメールアドレスとする。たとえば、通信端末21aは、送信元メールアドレスをserver1@aaa.ne.jpとする。
【0082】
このように、通信端末21a・21b・…を有する本実施の形態の送信元メールサーバ20は、携帯電話キャリア網22を利用して、携帯電話端末23あるいはメール送受信端末9にメール送信を行うことが可能とされている。したがって、本実施の形態に係る送信元メールサーバ20は、IP網7を利用した通常のメール送信に失敗した場合に、携帯電話キャリア網22を経由するメール送信経路を代替のメール送信経路として設定し、メールを送信することが可能とされている。
【0083】
(携帯電話キャリア網を利用したメール送信が可能となることによる利点)本実施形態の送信元メールサーバ20では、上述のとおり携帯電話キャリア網を利用するメール送信が可能とされている。これにより、いわゆる「ドメイン指定受信」設定がなされた携帯電話端末に対するメール送信が可能となる、という利点がある。
【0084】
ここで、「ドメイン指定受信」について説明する。「ドメイン指定受信」とは、特定のドメイン名を有するメールアドレスを送信元とするメールのみを受信し、該ドメイン名以外のドメイン名を有するメールアドレスを送信元とするメールの受信を拒否するメール受信設定のことをいう。そして、携帯電話端末のユーザが受信指定のドメイン名として特定するドメイン名は、通常自身が有する携帯電話端末が属する携帯電話キャリア網のドメイン名である。
【0085】
上記のドメイン指定受信が設定された携帯電話端末に対してIP網上のメールサーバからメールを送信すると、そのメールの送信元ドメイン名はプロバイダの設定したドメイン名に固定されているので、送信したメールは常に受信拒否されてしまう。
【0086】
しかしながら、本実施形態では、上述のように、通信端末21a・21b・…が、通信端末制御部27からメール送信指示を受けると、自身が有するメールアドレスを送信元としてメールを送信する。したがって、通信端末21a・21b・…を有する送信元メールサーバ20は、送信依頼元(たとえばメール送受信端末6)から送信先(たとえば携帯電話端末23)へのメールを中継して、その送信元メールアドレスを通信端末21a・21b・…のメールアドレスに変更することが可能となる。
【0087】
よって、上記のように携帯電話端末23においてドメイン指定受信の設定がされていても、該携帯電話端末23において受信が許可されているドメイン名を有するメールアドレスが設定された通信端末を選択することにより、メール送受信端末6から携帯電話端末23へのメール送信が可能となる。このように、本実施携帯の送信元メールサーバ20は、「ドメイン指定受信」設定がなされた携帯電話端末に対するメール送信が可能とされている。
【0088】
(代替経路が設定されるまでの処理について)
次に、代替経路が設定されるまでの一連の処理について説明する。本実施形態の送信元メールサーバ20により代替経路が設定されるまでの処理は、基本的に図2のフローチャートに準じて実行されるが、S7におけるメール送信に成功したか否かの判断処理、S8における代替経路があるか否かの判断処理、およびS9における代替経路を設定する処理の詳細が実施形態1の処理とは異なる。
【0089】
すなわち、S8における代替経路があるか否かの判断処理は、上述のとおり、代替経路設定部4により、記憶部5に記憶された代替経路データ15に含まれる代替経路があるか否かが参照されて判断される。本実施の形態では、代替経路データ15として、通信端末21aによりA社の携帯電話キャリア網を利用してメールの送信を実行する経路、通信端末21bによりB社の携帯電話キャリア網を利用してメールの送信を実行する経路というように、通信端末21a・21b・…毎の携帯電話キャリア網を利用してメールを送信する経路が記憶されている。
【0090】
したがって、S9においては、通信端末21a・21b・…毎の携帯電話キャリア網を介してメールを送信する経路も、代替経路として設定されることとなる。すなわち、本実施の形態の送信元メールサーバ20は、IP網7上の経路のみならず、通信端末21a・21b・…毎の携帯電話キャリア網を介してメールを送信する経路についても、ラウンドロビン法を用いてメールの送信を試みる。以下、携帯電話キャリア網を介する経路にてメール送信を試みる場合の処理を具体的に説明する。
【0091】
たとえば、通信端末21aによりA社の携帯電話キャリア網を利用してメール送信を試みる場合には、代替経路設定部4は、通信端末決定部26に対し、通信端末21aを携帯電話キャリア網への通信に用いる通信端末として決定するように指示を与える。そして、通信端末決定部26は、上記指示を受け、通信端末制御部27に対し、通信端末21aを制御して携帯電話キャリア網への通信を行うよう指示を与える。通信端末制御部27は、上記通信端末決定部26からの指示を受け、通信端末21aを操作してメールの送信を試みる。
【0092】
以上のような手順により、通信端末21aの携帯電話キャリア網を介してメールを送信する経路についてのメールの送信が行われる。その他、通信端末21bの携帯電話キャリア網を介してメールを送信する場合にも、上記と略同一の手順が実行される。
【0093】
次に、代替経路として携帯電話キャリア網22を経由するメール送信経路を用いた場合におけるS7におけるメール送信に成功したか否かの判断処理について説明する。
【0094】
メール送受信端末6から送信されるメールの送信先がメール送受信端末9である場合には、実施形態1と同様、IP網7のメール送信経路上のメール送信に失敗したメールサーバから、SMTPに準じたエラーコードが、携帯電話キャリア網22および通信端末21a・21b・…のいずれかを介して送信元メールサーバ20に送信されることとなる。したがって、実施形態1と同様、送信元メールサーバ20は、送信エラー検出部13により上記エラーコードを検出することにより、メールの送信に成功したか否かを判断することができる。
【0095】
一方、メール送受信端末6から送信されるメールの送信先が携帯電話端末である場合、メールの送信に失敗すると、携帯電話キャリア網では必ずしもSMTPに準じた通信が行われないので、上述のようなSMTPに準じたエラーコードが作成されないことがある。しかしながら、携帯電話キャリア網22におけるメールサーバ、あるいは当該メールサーバと最後に通信していたメールサーバから、メール送信に失敗したことに関するエラーメッセージが送信される。送信エラー検出部13は、通信端末21a・21b・…がこのようなエラーメッセージを受信したか否かにより、S7におけるメールの送信が成功したか否かの判断処理を行う。
【0096】
(優先度の設定処理について)
次に、本実施形態の送信元メールサーバ20の代替経路優先度設定部14による優先度の設定処理を説明する。本実施形態の送信元メールサーバ20は、基本的には実施形態1の送信元メールサーバ1と同様の優先度設定処理を行うが、携帯電話キャリア網を介するメール送信経路が代替経路となる関係上、以下の点において実施形態1と異なる優先度の設定処理を行う。
【0097】
すなわち、携帯電話キャリア網を介してメール送信を行う場合は、通信端末21a・21b・…と携帯電話キャリア網22との間で携帯電話通信を行う必要があるため通信コストが増大するおそれがある。したがって、携帯電話キャリア網を介してメール送信を行うことは、可能な限り避けられるべきである。
【0098】
そこで、本実施形態の送信元メールサーバ20の代替経路優先度設定部14は、携帯電話キャリア網を介するメール送信経路の優先度を、携帯電話キャリア網を介しないメール送信経路の優先度よりも低く設定することができる。これにより、携帯電話キャリア網を介するメール送信経路が代替経路として選択される可能性を低減できるので、通信コストの低減を図ることができる。
【0099】
また、実施形態1において説明したとおり、優先度情報は、定期的にあるいはユーザの指示に応じて、適宜更新されることが好ましい。そして、代替経路として使用される頻度が低い経路について、優先度を下げる処理あるいは代替経路としての候補から削除する処理を代替経路優先度設定部14により実行することが好ましい点についても実施形態1において説明したとおりである。
【0100】
さらに、本実施形態の代替経路優先度設定部14は、携帯電話キャリア網を介するメール送信経路の優先度を、携帯電話キャリア網を介しないメール送信経路の優先度よりも優先させて、優先度を下げたり代替経路としての候補から削除したりする処理を実行する。このような処理によっても、携帯電話キャリア網を介するメール送信経路が代替経路として選択される可能性を低減できるので、通信コストの低減を図ることができる。
【0101】
最後に、上記送信元メールサーバ1(図1参照)または送信元メールサーバ20(図5参照)の各ブロック、特にメール送信制御部3、代替経路設定部4は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0102】
すなわち、送信元メールサーバ1または送信メールサーバ20は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit )、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである送信元メールサーバ1または送信メールサーバ20の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記送信元メールサーバ1または送信メールサーバ20に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0103】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0104】
また、送信元メールサーバ1または送信メールサーバ20を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された搬送波あるいはデータ信号列の形態でも実現され得る。
【0105】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0106】
【発明の効果】
以上のように、本発明のメール中継装置は、外部のメール送受信端末へのメール送信に失敗したことに関するメール送信エラー情報を検出する送信エラー検出手段と、上記送信エラー検出手段が上記メール送信エラー情報を検出した場合に、送信に失敗したメールを再送信する再送信経路を、送信に失敗した経路とは異なる経路として設定する代替経路設定手段と、上記代替経路設定手段により設定された再送信経路にて、送信に失敗したメールを再送信するメール送信手段とを備えているものである。
【0107】
上記構成によれば、本発明のメール中継装置は、送信エラー検出手段によりメールの送信エラーを検出するとともに、代替経路設定手段によりメール送信に失敗した経路とは異なる経路を再送信経路(代替経路)として設定し、メール送信手段により代替経路設定手段により設定された経路にてメールを送信する。
【0108】
したがって、メールの再送信は、前回送信に失敗した経路とは異なる経路にて行なわれることとなる。よって、メールの再送信を、再び送信に失敗する可能性が高い前回の送信経路にて行うことがないので、メールが送信先まで送信される可能性を向上できるという効果を奏する。
【0109】
また、代替経路設定手段は、メール送信に失敗した経路とは異なる経路を代替経路として設定する。したがって、あるメール(メールαとする)の送信に失敗した場合、メールαの再送信には送信に失敗した経路とは異なる経路が使用される。よって、メールα以外のメール(メールβとする)を送信する際に、メールαの送信に失敗した経路が使用されたとしても、当該経路ではメールαは再送信されないので、当該経路の通信負荷を軽減できるという効果を奏する。
【0110】
また、メールの送信エラーの検出、代替経路の設定処理、代替経路によるメールの送信はメール中継装置において自動的に実行されるので、メール送受信端末のユーザは、メールの再送信のためにメール送受信端末を操作する必要がない。よって、メールの再送信のためにユーザに煩雑な処理を強いることがないので、メールの再送信に関するユーザの満足度を向上させることができるという効果を奏する。
【0111】
さらに、本発明のメール中継装置は、上記構成のメール中継装置において、再送信経路の候補として記憶手段に記憶された経路に、代替経路設定手段により設定された経路にて上記メール送信手段がメールの再送信に成功した頻度に基づく優先度を付与するとともに、当該優先度を上記記憶手段に記憶させる代替経路優先度設定手段を備えており、代替経路設定手段は、記憶手段に格納された優先度を参照して、メールの再送信に用いる経路を設定するものである。
【0112】
上記構成によれば、メールの再送信に成功した頻度が高い経路については優先度を高く設定するというように、メールの再送信に成功する確率が高い経路について優先度を高く設定できる。
【0113】
そして、このように設定された優先度を記憶手段に記憶させておけば、代替経路設定手段に優先度を参照させてメールの再送信に用いる経路を設定させることができる。したがって、代替経路設定手段に、よりメールの再送に成功する確率が高い経路を代替経路として設定させることができる。それゆえ、メールが送信先まで送信される可能性をより向上させることができるという効果を奏する。
【0114】
さらに、本発明のメール中継装置は、上記構成のメール中継装置において、上記代替経路優先度設定手段が、上記優先度を、定期的にまたはユーザ指示に基づき更新するものである。
【0115】
上記構成によれば、代替経路優先度設定手段は、優先度を定期的にまたはユーザ指示に基づき更新する。ここで、優先度は、上記のとおり代替経路設定手段により設定された経路にてメール送信手段がメール送信に成功した頻度に基づき設定されるものである。
【0116】
したがって、優先度を定期的にまたはユーザ指示に基づき更新すれば、更新前までのメール送信手段によるメール再送信結果の全てを考慮した優先度が設定できる。よって、よりメールの再送信に成功する確率の高い経路の優先度を高く設定することが可能となる。それゆえ、メールが送信先まで送信される可能性をより向上させることができるという効果を奏する。
【0117】
さらに、本発明のメール中継装置は、上記構成のメール中継装置において、携帯電話キャリア網と接続可能な通信端末をさらに備え、上記代替経路設定手段が、上記通信端末および上記携帯電話キャリア網を介してメールを送信する経路を、上記再送信経路として設定可能であり、上記メール送信手段が、上記通信端末を制御して、外部のメール送受信端末から受信したメールを、さらに他の外部のメール送受信端末へ送信する通信端末制御手段を備えているものである。
【0118】
上記構成によれば、代替経路設定手段により、通信端末および携帯電話キャリア網を介してメールを送信する経路がメールを再送信する経路として設定された場合、通信端末制御手段を用いて、通信端末によるメールの送信を行うことができる。したがって、送信に失敗したメールを再送信する経路の選択肢が増えるので、メールが送信先まで送信される可能性をさらに向上できるという効果を奏する。
【0119】
さらに、本発明のメール中継装置は、上記構成のメール中継装置において、上記通信端末が、自身が接続可能な携帯電話キャリア網に対応するドメイン名を含むメールアドレスを有するとともに、外部のメール送受信端末から受信したメールを、さらに他の外部のメール送受信端末に送信する際、当該メールの送信元メールアドレスを自身のメールアドレスに変更するものである。
【0120】
上記構成によれば、通信端末として、ドメイン指定受信設定がなされた携帯電話端末の属する携帯電話キャリア網と同じ携帯電話キャリア網に接続するものを用いれば、外部のメール送受信端末から受信したメールの送信元メールアドレスを、当該携帯電話端末において受信が許可されたドメイン名を含むものとして変更できる。それゆえ、ドメイン指定受信設定がなされた携帯電話端末に対してもメールの送信が可能となり、メールが送信先まで送信される可能性をさらに向上できるという効果を奏する。
【0121】
また、本発明のメール中継方法は、メール中継装置の送信エラー検出手段により、外部のメール送受信端末へのメール送信に失敗したことに関するメール送信エラー情報を検出する第1ステップと、メール中継装置の代替経路設定手段により、上記第1ステップにおいて上記メール送信エラー情報が検出された場合に、送信に失敗したメールを再送信する再送信経路を、送信に失敗した経路とは異なる経路として設定する第2ステップと、メール中継装置のメール送信手段により、上記第2ステップにより設定された再送信経路にて、送信に失敗したメールを再送信する第3ステップとを備えている方法である。
【0122】
上記構成によれば、本発明のメール中継装置における送信エラー検出手段による処理が第1ステップにより実現されており、代替経路設定手段による処理が第2ステップにより実現されており、メール送信手段による処理が第3ステップにより実現されている。したがって、本発明のメール中継装置による作用効果と同一の作用効果を得ることができる。
【0123】
なお、上記メール中継方法における各ステップを、メール中継プログラムとしてコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記メール中継プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記メール中継プログラムを実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のメール中継装置の一実施形態に係る送信元メールサーバの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の送信元メールサーバによるメール送信の手順を示すフローチャートである。
【図3】図1の送信元メールサーバにより検出されるエラーメールの一例を示す図である。
【図4】図1の送信元メールサーバが用いる優先度情報の一例を示す図である。
【図5】本発明のメール中継装置の他の実施形態に係る送信元メールサーバの構成を示すブロック図である。
【図6】従来の送信元メールサーバによるメール送信の過程を説明するための図である。
【図7】図6の送信元メールサーバによるメール送信の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 送信元メールサーバ(メール中継装置)
3 メール送信制御部(メール送信手段)
4 代替経路設定部(代替経路設定手段)
5 記憶部(記憶手段)
13 送信エラー検出部(送信エラー検出手段)
14 代替経路優先度設定部(代替経路優先度設定手段)
20 送信元メールサーバ(メール中継装置)
21a 通信端末
21b 通信端末
27 通信端末制御部(通信端末制御手段)
Claims (8)
- 外部のメール送受信端末から受信したメールを、さらに他の外部のメール送受信端末へ送信するメール中継装置であって、
外部のメール送受信端末へのメール送信に失敗したことに関するメール送信エラー情報を検出する送信エラー検出手段と、
上記送信エラー検出手段が上記メール送信エラー情報を検出した場合に、送信に失敗したメールを再送信する再送信経路を、送信に失敗した経路とは異なる経路として設定する代替経路設定手段と、
上記代替経路設定手段により設定された再送信経路にて、送信に失敗したメールを再送信するメール送信手段とを備えていることを特徴とするメール中継装置。 - 上記再送信経路の候補として記憶手段に記憶された経路に、上記代替経路設定手段により設定された経路にて上記メール送信手段がメールの再送信に成功した頻度に基づく優先度を付与するとともに、当該優先度を上記記憶手段に記憶させる代替経路優先度設定手段を備えており、
上記代替経路設定手段は、上記記憶手段に格納された優先度を参照して、メールの再送信に用いる経路を設定することを特徴とする請求項1に記載のメール中継装置。 - 上記代替経路優先度設定手段は、上記優先度を、定期的にまたはユーザ指示に基づき更新することを特徴とする請求項2に記載のメール中継装置。
- 携帯電話キャリア網と接続可能な通信端末をさらに備え、
上記代替経路設定手段は、上記通信端末および上記携帯電話キャリア網を介してメールを送信する経路を、上記再送信経路として設定可能であり、
上記メール送信手段は、上記通信端末を制御して、外部のメール送受信端末から受信したメールを、さらに他の外部のメール送受信端末へ送信する通信端末制御手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のメール中継装置。 - 上記通信端末は、
自身が接続可能な携帯電話キャリア網に対応するドメイン名を含むメールアドレスを有するとともに、
外部のメール送受信端末から受信したメールを、さらに他の外部のメール送受信端末に送信する際、当該メールの送信元メールアドレスを自身のメールアドレスに変更することを特徴とする請求項4に記載のメール中継装置。 - 外部のメール送受信端末からメール中継装置が受信したメールを、当該メール中継装置を用いてさらに他の外部のメール送受信端末へ送信するメール中継方法であって、
上記メール中継装置の送信エラー検出手段により、外部のメール送受信端末へのメール送信に失敗したことに関するメール送信エラー情報を検出する第1ステップと、
上記メール中継装置の代替経路設定手段により、上記第1ステップにおいて上記メール送信エラー情報が検出された場合に、送信に失敗したメールを再送信する再送信経路を、送信に失敗した経路とは異なる経路として設定する第2ステップと、
上記メール中継装置のメール送信手段により、上記第2ステップにより設定された再送信経路にて、送信に失敗したメールを再送信する第3ステップとを備えていることを特徴とするメール中継方法。 - コンピュータに請求項6記載のメール中継方法における各ステップを実行させるためのメール中継プログラム。
- 請求項7に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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