しかし、画像形成装置では、プロセスカートリッジの外側における先端部に情報記録媒体を設けているために、リサイクル時においてプロセスカートリッジを分解した際に、各部品ごとのリサイクル履歴情報が分からなくなってしまうという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、装置本体と、これに着脱自在に設けられたプロセスカートリッジとを備える画像形成装置において、プロセスカートリッジを構成する各部品のうち、使用により性能が劣化する部品についても再利用を可能とし、且つ、リサイクル時にプロセスカートリッジを分解した際に、各部品ごとのリサイクル履歴情報を確実に識別することを可能とする手段を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1の発明は、装置本体と、この装置本体に着脱自在に設けられ、トナーを収容するためのケーシング、感光体ドラム上に形成された潜像を現像する現像ローラ、及びこの現像ローラにトナーを供給する供給ローラを収容するプロセスカートリッジとを具備してなる画像形成装置であって、前記現像ローラのリサイクル履歴情報を提示する第1情報提示手段が前記現像ローラに、前記供給ローラのリサイクル履歴情報を提示する第2情報提示手段が前記供給ローラにそれぞれ取り付けられ、前記第1情報提示手段及び第2情報提示手段から前記各リサイクル履歴情報を読み取る読取手段が前記装置本体に設けられたものである。
請求項2の発明は、前記現像ローラ及び前記供給ローラは、両端部が前記ケーシングに回転自在に支持されたローラ軸と、このローラ軸の周りに設けられたローラ本体とを有してなり、前記第1情報提示手段及び前記第2情報提示手段は、前記ローラ本体の端面にそれぞれ取り付けられたものである。
請求項3の発明は、前記現像ローラ及び前記供給ローラは、両端部が前記ケーシングを貫通して回転自在に支持されたローラ軸と、このローラ軸の周りに設けられたローラ本体とを有してなり、前記第1情報提示手段及び前記第2情報提示手段は、前記ローラ軸の端面にそれぞれ取り付けられたものである。
請求項4の発明は、前記第1情報提示手段及び前記第2情報提示手段は、前記現像ローラまたは前記供給ローラの前記各リサイクル履歴情報がデジタルデータとして記録されたフィルム体であることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、前記第1情報提示手段及び前記第2情報提示手段は、前記フィルム体上に前記現像ローラまたは前記供給ローラの前記各リサイクル履歴情報がインクにて記録されてなり、前記読取手段は、撮像素子であることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、前記第1情報提示手段及び前記第2情報提示手段は、前記フィルム体上に前記現像ローラまたは前記供給ローラの前記各リサイクル履歴情報が磁気インクにて記録されてなり、前記読取手段は、磁気センサであることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、前記読取手段によって読み取られた前記現像ローラの前記リサイクル履歴情報に基づいて、前記現像ローラへの印加電圧の大きさを適正化するものである。
請求項8の発明は、前記現像ローラへの印加電圧の適正化は、前記現像ローラのリサイクル回数が多くなるほど、または、走行距離が長くなるほど、前記感光体ドラムの露光後の表面電位と前記現像ローラの電位との差が大きくなるように、前記現像ローラに印加する電圧の大きさを変更するものである。
請求項9の発明は、前記読取手段によって読み取られた前記供給ローラの前記リサイクル履歴情報に基づいて、前記供給ローラへの印加電圧の大きさを適正化するものである。
請求項10の発明は、前記供給ローラへの印加電圧の適正化は、前記供給ローラのリサイクル回数が多くなるほど、または、走行距離が長くなるほど、前記現像ローラの電位と前記供給ローラの電位との差が大きくなるように、前記供給ローラに印加する電圧の大きさを変更するものである。
請求項11の発明は、装置本体と、この装置本体に着脱自在に設けられ、トナーを収容するためのケーシング、感光体ドラム上に形成された潜像を現像する現像ローラ、及びこの現像ローラにトナーを供給する供給ローラを収容するプロセスカートリッジとを具備してなる画像形成装置であって、前記現像ローラのリサイクル履歴情報及び前記供給ローラのリサイクル履歴情報を、デジタルデータとして提示する複数本のピンが、前記ケーシングの側壁から外側へと突出するようにして取り付けられ、このピンの存在を検出するピン検出手段が、前記装置本体に設けられたものである。
請求項12の発明は、前記各ピンは導電性部材からなり、前記ピン検出手段は、前記各ピンを介して流れる電流を検出した時に前記各ピンの存在を検出するものである。
請求項13の発明は、前記ピン検出手段によって検出された前記現像ローラの前記リサイクル履歴情報に基づいて、前記現像ローラへの印加電圧の大きさを適正化するものである。
請求項14の発明は、前記現像ローラへの印加電圧の適正化は、前記現像ローラのリサイクル回数が多くなるほど、または、走行距離が長くなるほど、前記感光体ドラムの露光後の表面電位と前記現像ローラの電位との差が大きくなるように、前記現像ローラに印加する電圧の大きさを変更するものである。
請求項15の発明は、前記ピン検出手段によって検出された前記供給ローラの前記リサイクル履歴情報に基づいて、前記供給ローラへの印加電圧の大きさを適正化するものである。
請求項16の発明は、前記供給ローラへの印加電圧の適正化は、前記供給ローラのリサイクル回数が多くなるほど、または、走行距離が長くなるほど、前記現像ローラの電位と前記供給ローラの電位との差が大きくなるように、前記供給ローラに印加する電圧の大きさを変更するものである。
本発明に係る画像形成装置によれば、プロセスカートリッジをリサイクルしてその構成部品を再利用する場合に、各部品について、そのリサイクル履歴についての情報を識別することが可能となり、性能が劣化した部品についても再利用を図ることができる。
また、本発明によれば、現像ローラのリサイクル履歴情報を提示する第1情報提示手段を現像ローラに、また、供給ローラのリサイクル履歴情報を提示する第2情報提示手段を供給ローラにそれぞれ取り付けたことにより、リサイクル時にプロセスカートリッジを分解した際に、各部品ごとのリサイクル履歴情報を確実に識別することができる。
また、本発明によれば、第1情報提示手段及び第2情報提示手段を、現像ローラ及び供給ローラを構成するローラ本体の端面にそれぞれ取り付けたことにより、第1情報提示手段及び第2情報提示手段を比較的大きく形成することができ、多くのリサイクル履歴情報を記録させることができる。
また、本発明によれば、第1情報提示手段及び第2情報提示手段を、現像ローラ及び供給ローラを構成するローラ軸の端面にそれぞれ取り付けたことにより、各情報提示手段をプロセスカートリッジの外部から読み取るために、ケーシングの側壁に検出窓を設ける必要がないので、ケーシングの加工に要する手間を削減できるとともに、部品点数が減り、コスト節減を図ることができる。
また、本発明によれば、読取手段によって読み取られた現像ローラ及び供給ローラの各リサイクル履歴情報に基づいて、前記現像ローラ及び供給ローラへの印加電圧の大きさを適正化することにより、使用により特性の変化した現像ローラや供給ローラを再利用した場合でも、濃度不良等の画像不具合が発生することを防止することができる。
また、本発明によれば、現像ローラ及び供給ローラのリサイクル履歴情報をデジタルデータとして提示する複数本のピンを、ケーシングの側壁に取り付け、このピンの存在を検出することにより各リサイクル履歴情報を検出するピン検出手段を設けたことにより、簡易な構造で各リサイクル履歴情報を識別することができ、ケーシングの加工に要する手間を削減できるとともに、コスト節減を図ることができるという利点がある。
本発明の実施例1について図面に基づいて説明する。尚、図1は、実施例1に係る画像形成装置1を示す概略縦断面図であり、図2は、図1におけるプロセスカートリッジ5近傍について拡大した図である。実施例1に係る画像形成装置1は、装置本体2と、この装置本体2に着脱自在に設けられ、現像ローラ3及び供給ローラ4を有するプロセスカートリッジ5とを備えてなるものであって、現像ローラ3のリサイクル履歴情報が記録され、現像ローラ3の端面3aに貼付された第1フィルム体6(第1情報提示手段)と、供給ローラ4のリサイクル履歴情報が記録され、供給ローラ4の端面4aに貼付された第2フィルム体7(第2情報提示手段)と、各フィルム体6,7からリサイクル履歴情報を読み取る第1CCDセンサ8(読取手段)及び第2CCDセンサ9(読取手段)と、各CCDセンサ8,9から送られたリサイクル履歴情報に基づいて、現像ローラ3に接続された第1電源装置10及び供給ローラ4に接続された第2電源装置11を制御するコントローラ12とを具備する印加電圧適正化機構13により、現像ローラ3及び供給ローラ4に印加する電圧値が適正化されるものである。
まず、本発明に係る画像形成装置1の動作について、図1に基づいて概説する。画像形成装置1は、図に示すように、帯電ブラシ14によって均一に帯電した感光体ドラム15の表面に、LEDヘッド16から画像情報に基づいた光像を露光して潜像を形成し、現像ローラ3で潜像に応じたトナー像を形成することにより可視像化する。一方、画像形成が開始されると、給紙トレイ17に載置された記録用紙Pの最上紙Ptがピックアップローラ18により取り出されて搬送路19へと送り出される。そして、搬送路19に適宜配置された搬送ローラ20により記録用紙Pは搬送路19に沿って搬送され、レジストローラ21が前記トナー像の形成と同期して駆動回転することにより記録用紙Pを感光体ドラム15へと搬送する。感光体ドラム15へと搬送された記録用紙Pは、転写ローラ22によって感光体ドラム15に押圧され、この転写ローラ22に、感光体ドラム15上のトナー像と逆極性の電圧を印加することにより、感光体ドラム15上のトナーが記録用紙へと転写される。更に、記録用紙Pは、搬送路19に沿って下流へと搬送され、図示しないヒータを内蔵する定着ローラ23によって圧力と熱を印加されることにより、記録用紙P上のトナーが記録用紙Pに定着する。その後、記録用紙Pは排紙ローラ24によって排紙トレイ25へと排出されるものとなっている。また、感光体ドラム15に当接して設けられた拡散ブラシ26は、記録用紙Pに転写しきれずに感光体ドラム上15に残留したトナーや紙粉等を、感光体ドラム15の表面から浮き上がらせる役割を果たしている。
本実施例に係る画像形成装置1では、図1に示すように、前記感光体ドラム15と、この感光体ドラム15に対して作用する帯電ブラシ14及び拡散ブラシ26とを一体化してドラムカートリッジ27としている。また、現像ローラ3等からなる所謂現像ユニットを一体化してプロセスカートリッジ5としている。このドラムカートリッジ27及びプロセスカートリッジ5の構成は、本実施例に限られず適宜設計変更が可能であり、例えば、プロセスカートリッジ5が感光体ドラム15や帯電ブラシ14をも含んだ構成とすることも可能である。
プロセスカートリッジ5は、画像形成装置1の装置本体2に着脱自在に設けられている。すなわち、図に詳細は示さないが、装置本体2の内部にはプロセスカートリッジ5を収容するためのカートリッジ装着部が設けられている。このカートリッジ装着部は、プロセスカートリッジ5を嵌め入れるために装置本体2の内部に形成された空間を有して構成されており、その空間の形状はプロセスカートリッジ5の外形に略合致する形状となっている。プロセスカートリッジ5は、このカートリッジ装着部に嵌め入れられることにより装置本体2に装着され、また、上方へと引き出されることにより、装置本体2から取り外されものとなっている。これにより、ユーザーがプロセスカートリッジ5を容易に交換することが可能となっている。
プロセスカートリッジ5は、図2に示すように、トナーTを収容するためのトナー溜め部28が形成されたケーシング29と、前記感光体ドラム15上の潜像をトナーTを用いて現像する現像ローラ3と、この現像ローラ3にトナーを供給する供給ローラ4と、トナー溜め部28に収容されたトナーTを撹拌して供給ローラ4側へと送り出すアジテータ30と、現像ローラ3に当接する規制ブレード31とを具備してなるものである。
現像ローラ3は、図3に示すように、中空の円筒形の形状を有するウレタンゴム部材32(ローラ本体)にローラ軸33が挿通されてなるものであり、その表面に担持したトナーTを感光体ドラム15に供給して、感光体ドラム15の表面の潜像を可視像化する、所謂現像手段の役割を果たすものである。また、現像ローラ3は現像手段としての役割を果たすと同時に、所謂クリーニング手段としての役割も果たしている。すなわち、現像ローラ3は、画像形成時に感光体ドラム15が回転を開始してから1回転目を行う際には現像手段としての役割を果たし、感光体ドラム15が2回転目を行う際には、前記記録用紙Pに転写し切れずに感光体ドラム15の表面に残留し、前記拡散ブラシ26の作用により感光体ドラム15の表面から浮き上がったトナーTを除去する役割を果たしている。このように、現像ローラ3を、現像手段及びクリーニング手段として兼用することにより、クリーニング手段を別途設ける必要がなくコストダウンを図ることができるという利点がある。また、現像ローラ3は、図2に示すように、電圧値可変型の第1電源装置10に接続されており、現像ローラ3に対して任意の大きさの電圧を印加することが可能となっている。これにより、露光後の感光体ドラム15の表面と現像ローラ3との電位差を調節し、現像ローラ3から感光体ドラム15へと移動するトナーの量を変化させることにより、形成される画像の濃淡を調節することが可能となっている。
現像ローラ3は、図3に示すように、ローラ軸33の端部33aが、同心軸受34を介してケーシング29に回転自在に取り付けられている。すなわち、ケーシング29の側壁29aに形成された軸受挿通孔35に対して、同心軸受34がケーシング29の内側から嵌め込むようにして取り付けられ、この同心軸受34にローラ軸33の端部33aを挿通させることにより、現像ローラ3はケーシング29に回転自在に取り付けられている。以下、更に詳細に説明する。
同心軸受34は、図3及び図4に示すように、ケーシング29の側壁29aに形成された軸受挿通孔35に嵌め込まれる取付部36と、この取付部36の下端に設けられたフランジ部37とを具備し、取付部36及びフランジ部37を貫通してローラ軸挿通孔38が形成されてなるものである。
取付部36は、図3及び図4に示すように、円筒の一部が軸方向に沿って切除されて回り止め39が形成されてなり、同心軸受34をケーシング29に取り付けるためのものである。すなわち、図3に示すように、ケーシング29の側壁29aには、取付部36の形状に略合致する形状の軸受挿通孔35がケーシング29を貫通して形成されており、この軸受挿通孔35に取付部36を嵌め込むことにより、同心軸受34がケーシング29に取り付けられる。ここで、取付部36に回り止め39を形成したことにより、同心軸受34と軸受挿通孔35の間には大きな摩擦力が生じ、同心軸受34自体が回転しないものとなっている。
フランジ部37は、図3に示すように、ケーシング29の内側面29bに密接し、同心軸受34が軸受挿通孔35からケーシング29の外部へと抜け落ちることを防止するためのものである。従って、フランジ部37は、軸受挿通孔35より大きく形成すればよく、その形状及び大きさは、本実施例に限られず適宜設計変更が可能である。
ローラ軸挿通孔38は、現像ローラ3のローラ軸33の一端部33aが挿通されるものであり、図4に示すように、ローラ軸33の外径より若干大きい外径を有する孔が、取付部36及びフランジ部37を貫通して形成されている。また、ローラ軸挿通孔38は、その中心軸C1が、取付部36の中心軸C1’と略一致するように形成されている。
供給ローラ4は、図3に示すように、中空の円筒形の形状を有するスポンジ材40(ローラ本体)にローラ軸41が挿通されてなるものであり、前記トナー溜め部28に収容されたトナーTをスポンジ材40で捕捉して、現像ローラ3に供給するものである。この供給ローラ4は、図2に示すように、電圧値可変型の第2電源装置11に接続されており、供給ローラ4に対して任意の大きさの電圧を印加することが可能となっている。これにより、現像ローラ3と供給ローラ4との電位差を調節し、供給ローラ4から現像ローラ3へと移動するトナーTの量を変化させることにより、形成される画像の濃淡を調節することが可能となっている。
供給ローラ4は、図3に示すように、ローラ軸41の端部41aが、偏心軸受42を介してケーシング29に回転自在に取り付けられている。すなわち、ケーシング29の側壁29aに形成された軸受挿通孔43に対して、偏心軸受42がケーシング29の内側から嵌め込むようにして取り付けられ、この偏心軸受42に供給ローラ4のローラ軸41の一端部41aを挿通させることにより、供給ローラ4はケーシング29に回転自在に取り付けられている。以下、更に詳細に説明する。
偏心軸受42は、図3及び図5に示すように、ケーシング29の側壁29aに形成された軸受挿通孔43に嵌め込まれる取付部44と、この取付部44の下端に設けられたフランジ部45とを具備し、取付部44及びフランジ部45を貫通してローラ軸挿通孔46が形成されてなるものである。この偏心軸受42の取付部44及びフランジ部45は、同心軸受34の取付部36及びフランジ部37と同様の構成、機能を有するものであり、ここでは詳細な説明は省略する。
ローラ軸挿通孔46は、供給ローラ4のローラ軸41の一端部41aが挿通されるものであり、図5に示すように、ローラ軸41の外径より若干大きい外径を有する孔が、取付部44及びフランジ部45を貫通して形成されている。また、ローラ軸挿通孔46は、その中心軸C2が、取付部44の中心軸C2’から偏心量dだけ偏心するようにして形成されている。尚、図における2点鎖線は、同心軸受34のローラ軸挿通孔38の位置を示したものである。
この偏心軸受42を用いることにより、プロセスカートリッジ5を使用後に回収し、使用により径の小さくなった供給ローラ4を再利用することが可能となっている。すなわち、スポンジ材40からなる供給ローラ4は、現像ローラ3との接触による摩耗によりその径が経時的に小さくなり、現像ローラ3との接触状態が悪くなる。これにより、供給ローラ4から現像ローラ3に十分な量のトナーが供給されず、画像品質が劣化するという問題がある。本実施例では、偏心軸受42を用いることにより、この問題の解決を図っている。
より詳細に説明するに、供給ローラ4をリサイクルする前の状態においては、図13に示すように、供給ローラ4についても、現像ローラ3と同様に、ローラ軸41の両端部41aが同心軸受34を介してケーシング29に取り付けられている。この時、現像ローラ3のローラ軸33と供給ローラ4のローラ軸41との間の距離L1は、現像ローラ3の半径Rと供給ローラ4の半径rとを加えた大きさに略等しくなっており、これにより、現像ローラ3と供給ローラ4とは互いに接触するものとなっている。一方、供給ローラ4のリサイクル時においては、図3に示すように、供給ローラ4は使用により小さくなり、その半径が(r−d)となっている。この場合、供給ローラ4のローラ軸41を、偏心軸受42を介してケーシング29に取り付ける。このとき、偏心軸受42を、ケーシング29の側壁29aに形成された既存の軸受挿通孔43を利用して取り付けることにより、軸受のケーシング29への取り付け位置をリサイクル前から移動させることなく、供給ローラ4の配置位置を、偏心軸受42のローラ軸挿通孔46の中心軸C2の偏心量d分だけ、すなわち、供給ローラ4の半径が小さくなった分だけ、現像ローラ3側へと移動させることができる。これにより、偏心軸受42を取り付けるために、ケーシング29に図示しない新たな軸穴挿通孔を設ける必要がない。尚、図3における1点鎖線は、リサイクル前において軸受挿通孔43に取り付けられた同心軸受34のローラ軸挿通孔38の中心軸C1の位置を示している。以上により、使用により径の小さくなった供給ローラ4を再利用する場合でも、現像ローラ3と供給ローラ4との接触状態を良好に保つことが可能となっている。尚、偏心量dの大きさは、供給ローラ4のリサイクル回数等に応じて任意の大きさとすることができる。
規制ブレード31は、図2に示すように、一端部がケーシング29に取り付けられるとともに、他端部が現像ローラ3に対してカウンター方向に当接するようにして設けられたものであり、図に詳細は示さないが、現像ローラ3に付着したトナーTを均一化してトナー薄層を形成するためのものである。
アジテータ30は、図2に示すように、ケーシング29のトナー溜め部28に収容されたトナーTを撹拌し、トナーTが凝集することを防止するとともに、トナー溜め部28から供給ローラ4側へとトナーTを送り出すものである。このアジテータ30は、ケーシング29の長手方向に沿って配置され、その両端部がケーシング29に回転可能に支持された回転軸30aと、この回転軸30aからその径方向に向かって突設された薄い板状の撹拌羽30bとを具備している。撹拌動作時には、回転軸30aが図示しない駆動機構により回転駆動され、これに伴って撹拌羽30bがケーシング29内を撹拌するものとなっている。
ケーシング29は、トナーTを収容するための容器であり、図2に示すように、その内部にはトナー溜め部28が形成されている。また、図6乃至図8に示すように、ケーシング29の側壁29aには第1検出窓47、及び第2検出窓48が設けられている。第1検出窓47は、図2に示すように現像ローラ3の端面3aに貼付された前記第1フィルム体6を、プロセスカートリッジ5の外部に配置された前記第1CCDセンサ8によって読み取ることを可能とするものであり、図8に示すように、ケーシング29の側壁29aにおける第1フィルム体6に向かい合う位置に、第1フィルム体6の大きさよりも若干大きい貫通孔49を形成し、この貫通孔49に透光部材50が嵌め込まれてなるものである。また、第2検出窓48は、図2に示すように供給ローラ4の端面4aに貼付された前記第2フィルム体7を、前記第2CCDセンサ9によって読み取ることを可能とするものであり、ケーシング29の側壁29aにおける第2フィルム体7に対向した位置に、第1検出窓47と同様に設けられている。
また、ケーシング29の側壁29aには、図6及び図7に示すように、透光窓51が設けられている。この透光窓51は、図3に示すように、ケーシング29の側壁29aにおける現像ローラ3と供給ローラ4の間の位置に、略平行四辺形の貫通孔52を形成し、この貫通孔52に、接触位置確認窓53とトナー切れ検出窓54が形成された、例えばアクリル板等の透光部材55が嵌め込まれてなるものである。
接触位置確認窓53は、現像ローラ3と供給ローラ4の正常な接触位置の目安を示すものであり、現像ローラ3と供給ローラ4がこの接触位置確認窓53の内側で接触しているかどうかを見ることで、その接触位置Xが正常であるかどうかを判別できるものとなっている。これにより、前述のように、使用により径の小さくなった供給ローラ4をリサイクル前よりも現像ローラ3側へと移動させて再利用した場合に、供給ローラ4が現像ローラ3に正常に接触しているかどうかをプロセスカートリッジ5の外部から容易に確認することができるので、例えば、画像形成装置1の出荷時に、この接触位置確認窓53を見ることで検査を行い、接触位置確認窓53の内側で現像ローラ3と供給ローラ4とが接触しているものを良品とし、現像ローラ3と供給ローラ4とが接触してないもの、または接触位置Xが接触位置確認窓53の内側に入っていないものを不良品として除去することができる。
トナー切れ検出窓54は、図6及び図7に示すように、装置本体2に設けられたフォトセンサS(トナー切れ検出センサ)により、プロセスカートリッジ5のトナー切れを検出するためのものである。すなわち、フォトセンサSは、トナー切れ検出窓54の内側にトナーTの存在を検出した場合には、プロセスカートリッジ5の内部に十分な量のトナーTが収容されていると判断する。一方、トナー切れ検出窓54の内側にトナーTが検出されない場合、フォトセンサSは、プロセスカートリッジ5のトナー切れを検出したものと判断し、前記コントローラ12に対して検出信号を発する。この検出信号を受けたコントローラ12は、装置本体2に設けられた図示しないランプを点滅させる等して、ユーザーにトナー切れを知らせるものとなっている。尚、フォトセンサSは、図に詳細は示さないが、発光素子と受光素子により構成され、発光素子から発せられた光が受光素子によって検出されるか否かによって、物体の有無を検知するものである。
以下、印加電圧適正化機構13による、現像ローラ3及び供給ローラ4への印加電圧の適正化について説明する。現像ローラ3及び供給ローラ4をリサイクルして再利用する場合、現像ローラ3は使用によりその表面粗さが小さくなってトナーの担持力が低下し、供給ローラ4は使用によりその径が小さくなっているというように、それぞれの特性が新品時と比較して変化している。従って、現像ローラ3及び供給ローラ4に印加する電圧の大きさを、新品時における初期設定と同じ設定としたのでは、濃度不良等の画像不具合が生じる場合がある。現像ローラ3及び供給ローラ4への印加電圧の適正化とは、この不具合を防止するために、現像ローラ3及び供給ローラ4の使用状況に応じて、それぞれに印加する電圧の大きさを最適な値に変化させることをいう。
印加電圧適正化機構13は、図2に示すように、現像ローラ3のリサイクル履歴情報が記録され、現像ローラ3の端面3aに貼付された第1フィルム体6と、供給ローラ4のリサイクル履歴情報が記録され、供給ローラ4の端面4aに貼付された第2フィルム体7と、各フィルム体6,7からリサイクル履歴情報を読み取る第1CCDセンサ8及び第2CCDセンサ9と、各CCDセンサ8,9から送られた各リサイクル履歴情報に基づいて、前記第1電源装置10及び前記第2電源装置11を制御するコントローラ12とを具備してなるものである。
第1フィルム体6(第1情報提示手段)は、ポリマー、磁気テープ、ボール方式電子等からなるシート状の部材の表面6aに、現像ローラ3のリサイクル履歴情報がインクにて記録され、裏面6bに図示しない粘着層が形成されてなるものであり、図8に示すように、現像ローラ3の端面3a、すなわち現像ローラ3を構成する前記ウレタンゴム部材32の端面に、前記粘着層を介して貼付されている。このように、第1フィルム体6を現像ローラ3の端面3aに貼付することにより、第1フィルム体6を比較的大きく形成することができ、多くのリサイクル履歴情報を記録させることができるという利点がある。尚、第1フィルム体6に記録されたリサイクル履歴情報は書き換え可能となっている。すなわち、プロセスカートリッジ5のリサイクル時において、プロセスカートリッジ5を分解して現像ローラ3を取り出し、新たなリサイクル履歴情報に書き換えることが可能となっている。
この第1フィルム体6に記録されるリサイクル履歴情報としては、例えば、プロセスカートリッジ5のトナー充填量や、現像ローラ3の走行距離や、現像ローラ3のリサイクル回数や、プロセスカートリッジ5の初期状態における検査データ等が挙げられる。より詳細に説明するに、前記プロセスカートリッジ5のトナー充填量とは、そのプロセスカートリッジ5が、画像形成装置1の出荷時に内蔵されるプロセスカートリッジ5なのか、それとも交換用のプロセスカートリッジ5なのかを識別するための情報である。これは、出荷時に内蔵されるプロセスカートリッジ5と、交換用のプロセスカートリッジ5とではその内部に収容されるトナー量が異なるために、プロセスカートリッジ5自体としての寿命が来たときにおける現像ローラ3の使用状態が両者では異なるからである。また、前記現像ローラ3の走行距離に代えて、現像ローラ3の総回転数、総駆動時間、または総印字数等を用いることも可能である。また、前記現像ローラ3のリサイクル回数は、新品出荷時を0として、リサイクルするごとに1ずつを足して1、2、3・・として記録していく。また、前記プロセスカートリッジ5の初期状態における検査データとしては、例えば、現像ローラ3の径の大きさ、現像ローラ3の製造年月日、現像ローラ3の材料特性等が挙げられる。
以上、現像ローラ3のリサイクル履歴情報が記録された第1フィルム体6について説明したが、これと同様に、図2に示すように、供給ローラ4の端面4aにも供給ローラ4のリサイクル履歴情報が記録された第2フィルム体7が貼付されている。この第2フィルム体7の構成、記録されるリサイクル履歴情報の内容については、第1フィルム体6と同様であり、ここでは詳細な説明は省略する。尚、現像ローラ3及び供給ローラ4のリサイクル履歴情報を、図示しない1つのフィルム体にまとめて記録して、このフィルム体を現像ローラ3または供給ローラ4いずれか一方の端面3a,4aに貼付することも可能であるが、本実施例のように、現像ローラ3と供給ローラ4のそれぞれについてそのリサイクル履歴情報が記録されたフィルム体6,7を別々に貼付することにより、リサイクル時に、プロセスカートリッジ5を分解して現像ローラ3及び供給ローラ4を取り出して別々に取り扱っても、それぞれのリサイクル履歴情報を確実に識別することができるという利点がある。
第1CCDセンサ8(読取手段)は、第1検出窓47を通して、第1フィルム体6に記録された現像ローラ3のリサイクル履歴情報を読み取るためのものであり、図に詳細は示さないが、第1フィルム体6に光を照射する光源と、その反射光を収束させるレンズと、収束光を電気信号に変換する電荷結合素子(Charge Coupled Device)を具備してなるものである。この第1CCDセンサ8は、図8に示すように、装置本体2の側壁2aにおいて、第1検出窓47に向かい合う位置に取り付けられた断面略L字形のブラケット56の上に設置されている。また、図6に示すように、これと同様にして、装置本体2の側壁2aにおける第2検出窓48に向かい合う位置にもブラケット56が取り付けられ、このブラケット56の上に第2CCDセンサ9が設置されており、第2検出窓48を通して、第2フィルム体7に記録された供給ローラ4のリサイクル履歴情報を読み取るものとなっている。各CCDセンサ8,9は、プロセスカートリッジ5が装置本体2に装着されたことを検知した時に、各フィルム体6,7からリサイクル履歴情報を読み取り、読み取られたリサイクル履歴情報は、コントローラ12へ送られるものとなっている。
コントローラ12は、図2に示すように、第1CCDセンサ8及び第2CCDセンサ9から受け取った各リサイクル履歴情報に基づいて、第1電源装置10及び第2電源装置11を制御し、現像ローラ3及び供給ローラ4に印加する電圧の大きさを変化させるものである。より詳細に説明するに、コントローラ12内部には、各リサイクル履歴情報とそれに応じて現像ローラ3及び供給ローラ4に印加すべき最適の電圧値とが図示しないテーブルとして記憶されており、コントローラ12は、第1CCDセンサ8及び第2CCDセンサ9から受け取った各リサイクル履歴情報に基づいて、前記テーブルを参照することにより現像ローラ3及び供給ローラ4に印加する電圧値を決定する。これにより、コントローラ12から第1電源10及び第2電源11に対して制御信号が発せられ、現像ローラ3及び供給ローラ4に印加される電圧が適正な値へと変更されるものとなっている。
印加電圧の適正化に際しては、現像ローラ3のリサイクル回数が多くなるほど、または走行距離が長くなるほど、露光後の感光体ドラム15の表面電位と現像ローラ3の電位との差が新品時の初期設定より大きくなるように、現像ローラ3に印加する電圧の大きさを変更する。また、供給ローラ4のリサイクル回数が多くなるほど、または走行距離が長くなるほど、現像ローラ3の電位と供給ローラ4の電位との差が新品時の初期設定より大きくなるように、供給ローラ4に印加する電圧の大きさを変更する。これにより、供給ローラ4から現像ローラ3へと供給されるトナー量、及び現像ローラ3から感光体ドラム15へと供給されるトナー量が増加するので、現像ローラ3及び供給ローラ4の特性の変化による濃度不良等の画像不具合を防止することができる。表1は、印加電圧の適正化についてその一例を示したものである。
尚、本実施例では、各フィルム体6,7の表面に各リサイクル履歴情報を記録する手段としてインクを用い、このリサイクル履歴情報を読み取るための手段としてCCDセンサ8,9を使用したが、これに限られず、例えば、図に詳細は示さないが、各フィルム体6,7の表面に記録する手段としてインクに代えて磁気インクを用い、読取手段としてCCDセンサ8,9に代えて磁気センサを用いることも可能である。