JP2005060313A - p40分子またはその遺伝子を含む医薬製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】インターロイキン−23(IL−23)による免疫応答を阻害するための新たな医薬製剤を提供することを目的とする。
【解決手段】p40 分子または p40 分子をコードする遺伝子を発現し分泌可能なように挿入されたベクターを投与することにより、インターロイキン−23(IL−23)による免疫応答を特異的に阻害することができ、従って、IL-23 による免疫応答異常によって引き起こされる免疫性疾患を治療もしくは予防、あるいは臓器移植の際にみられる拒絶反応の抑制に用いることが可能である。
【選択図】なし

Description

本発明は、p40 分子またはそれをコードする遺伝子を有効成分として含有するインターロイキン−23(IL-23)による免疫応答を阻害する医薬製剤に関する。更に詳細には、生体内において可溶性の p40 分子または発現し分泌可能な p40 遺伝子を有効成分とする、IL-23 による生体にとって不都合な免疫応答を減弱させることができ、例えば自己免疫性疾患の治療や、移植片拒絶反応の緩和等に広く適用できる医薬製剤に関する。
生体にとって不利益な免疫応答、例えば自己の臓器が標的となる自己免疫疾患や臓器移植の際の拒絶反応などを抑制する手段として、従来より免疫抑制剤が使用されてきた。これらの免疫抑制剤は、抗 T リンパ球抗体やステロイドホルモンなどのように免疫応答全体を抑制するものや、サイクロスポリンなど活性化 T細胞全体を抑制するものであり、いずれも非特異的な免疫抑制作用を有している。その結果、本来備わっている生体防御力も低下し、ウイルスや細菌に対して易感染性となり、ひいては日和見感染を惹起する可能性が高く、免疫抑制剤の使用には慎重な投与が求められてきた。また、免疫抑制剤の長期投与は、発がんの危険性を増大させることも明らかになっている。従って、免疫抑制剤は、医療面から不可欠でありながら、その使用には絶えず副作用の危険が内在していた。そこで、生体の免疫応答に関わる分子をターゲットとした特異的な免疫抑制剤の開発が望まれているが、その成果については未だ不十分な状況である。
複雑な免疫反応を巧みに制御することを可能にしている分子として、各種免疫担当細胞より分泌されるサイトカイン蛋白の果たす役割は大きいが、一方この免疫担当細胞の活性化を果たすサイトカインは、逆に多くの病態と関連している。とりわけ自己免疫性疾患患者においては、健常人と比較した場合、炎症を惹起するサイトカインの分泌異常が生じていることが判明している(非特許文献1)。しかも、これらのサイトカイン分泌の異常は、自己免疫性疾患の発症機序の一つとして考えられている(非特許文献2)。そこで、このサイトカイン受容体からのシグナル伝達を阻害し、過剰で異常な免疫応答を阻止することが可能ならば、新規の免疫抑制剤となることが期待される。
2000 年になって、T 細胞等を中心とした細胞性免疫応答の中枢を担うサイトカインとして、インターロイキン-23(IL-23)の遺伝子が同定された(非特許文献3)。IL-23 分子は、すでに既知である IL-12 分子と良く似た構造と生理活性を有しているが、IL-12 よりも免疫応答の活性化と異常に、より深く関与していることが、最近明らかになってきている。IL-23 は、p19 分子と p40 分子とが、分子内ジスルフィド結合により二量体を形成するサイトカインである。一方 IL-23 と構造が類似している IL-12 も、p35 分子と p40 分子の二量体を形成し(非特許文献4)、しかも p40 分子は IL-23 の p40 分子と同一である。また、IL-23 の受容体は IL-12Rβと IL-23R の二量体(非特許文献5)で、IL-12 受容体も IL-12Rβと IL-12Rβ2 からなる二量体である(非特許文献6)。従って、受容体についても、IL-23 と IL-12 は IL-12Rβ分子を共有している。また、IL-12 とその受容体の結合様式の研究から、p40 分子は IL-12Rβと結合することが判明しており(非特許文献7)、p19 分子は IL-23R と、p35 分子は IL-12Rβ2 と結合すると推定される。さらに、細胞内へのシグナル伝達については共に JAK/STAT シグナルの経路を利用しているが、IL-23 受容体からは STAT-3 が、IL-12 受容体からは STAT-4 が、強く活性化することも判明している。このように IL-23 およびその受容体は、IL-12 とその受容体との構造上の類似性を有しているため、従来 IL-12 によると考えられた免疫応答も、IL-23 の関与の有無について再検討を要することになった。
関節リウマチや I 型糖尿病、クローン病などの臓器特異的自己免疫疾患の多くは、ヘルパー T 細胞タイプ 1(Th1)と Th2 の両者のバランスの破綻や、自己反応性 Th1 細胞の活性化よって惹起されると想定されている。IL-12 は Th1 反応を増強させる生理活性を持つことから、従来より自己免疫性疾患の発症において重要な役割を果たすことが示唆されていた。事実、IL-12 とその受容体との結合を阻害する抗 p40 モノクローナル抗体を自己免疫疾患モデルマウスに投与すると、疾患発症の抑制や病態の軽減が観察されることが報告されている(非特許文献8)。しかし、IL-23 が同定された現在、抗 p40 抗体は IL-12 だけでなく IL-23 の機能も抑制することが予想され、やはり IL-23 が自己免疫において果たす役割の検討が必要である。自己免疫疾患モデルの中で、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE: experimental autoimmune encephalomyelitis)の系は、IL-23 の発症への関与を実証した(非特許文献9)。このモデルマウスはヒトの多発性硬化症に類似した症状を呈することが知られており、特定の系統のマウスに、ミエリン鞘塩基性タンパク質やミエリン・乏枝神経膠細胞由来の糖タンパク質のペプチド断片を免疫することで、発症を誘導できる。この EAE に対しても抗 p40 抗体は治療効果を発揮した(非特許文献10)が、p35 遺伝子(非特許文献11)および IL-12Rβ2 遺伝子欠失マウス(非特許文献12)では、IL-12 の生理機能が破壊されているにもかかわらず(これらのマウスの IL-23機能は正常)EAE が発症した。しかし、IL-23 のみを産生できない p19 遺伝子欠失マウスは、単核球を中心とする炎症性細胞の脳内への強い集積が認められず、EAE を発症しなかった。さらに、p19 遺伝子欠失マウスにアデノウルスベクターを用いてIL-23 遺伝子を導入してやると、EAEを発症した(非特許文献9)。また、p19 トランスジェニックマウスは自己免疫性疾患様の症状を呈し、マクロファージの著しい炎症部位への浸潤が認められことが知られている(非特許文献13)。従って、IL-23 が炎症性マクロファージや自己反応性T細胞の異常な活性化を増長し、IL-12 よりも自己免疫性疾患の病態の進展に重要な役割を担っていることが明かとなった。
IL-23 は IL-12 と同様に、T細胞の増殖や活性化T細胞からのインターフェロンーガンマ(IFN-γ)産生を促進し、細胞性免疫応答の活性化に重要な働きを行っている。このことは、遺伝子欠損マウスを用いても実証されている。IL-12 を産生できないが IL-23 の産生が可能な p35 遺伝子遺伝子欠失マウス、あるいは IL-12 および IL-23 とも産生できない p40 遺伝子欠失マウスは、細菌感染等に弱いことが知られている。しかも、p40 遺伝子欠失マウスの方が p35 遺伝子遺伝子欠失マウスに比較して、著しく感染防御力が弱く、より早期に感染死することが以前より報告されていた(非特許文献14)。このことは、IL-23 は IL-12 と同様に、細胞性免疫応答に深く関わっていることを示している。また、IL-23 遺伝子を腫瘍に導入して、その遺伝子導入腫瘍を宿主に接種すると、キラー T 細胞が活性化されて、その腫瘍が拒絶されることが報告された(非特許文献15)が、この際腫瘍特異的な獲得免疫も成立し、IL-23 が細胞性免疫応答に関与していることが示されている。また IL-12遺伝子導入腫瘍も同様な機序で、宿主の接種動物より拒絶され、獲得免疫が惹起されることが知られており(非特許文献16)、IL-23 は IL-12 と同様に細胞性免疫の活性化に重要な役割を果たしていると考えられている。
Shimozato, O et al., Cytokine, 8, 99-105, 1996 Skurkovich, SV et al., Med. Hypotheses., 59, 770-780. 2002 Oppmann, B et al., Immunity, 13, 715-725, 2000 Gubler, U et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, 4143-4147, 1991 Parham, C et al., J. Immunol., 168, 5699-5708, 2002 Presky, DH et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 14002-14007, 1996 Presky, DH et al., Ann. NY Acad. Sci., 795, 390-393, 1996 Fujihira, K et al., Diabetes, 49, 1998-2006, 2000 Cua, DJ et al., Nature, 421, 744-748, 2003 Leonard, JP et al., J. Exp. Med., 181, 381-386, 1995 Gran, B et al., J. Immunol., 169, 7104-7110, 2002 Zhang, G-X et al., J. Immunol., 170, 2153-2160, 2003 Wiekowski, MT et al., J. Immunol., 166, 7563-7570, 200 Holscher, C et al., J. Immunol., 167, 6957-6966, 2001 Wang, Y-Q et al., Int. J. Cancer, 105, 820-824, 2003 Tasaki, K et al., Cancer Gene Ther., 7, 247-254, 2000
IL-23 は上記のように自己免疫疾患等の過剰で異常な免疫応答や、細胞性免疫応答の活性化に関与しており、IL-23 による免疫応答を特異的に阻害することは、免疫疾患の治療法として役立つことが考えられる。
本発明では、特定の免疫応答を特異的に抑制することを目的に、自己免疫疾患などの過剰で異常な免疫応答、臓器移植などのような細胞性免疫応答の活性化に伴なう炎症などに深く関与する IL-23 の機能を、可溶性の p40 分子を用いて特異的に阻害することを示した。この p40 分子は、分子生物学的手法により作成したものではあるが、本来生体に存在する分子に基づいて合成され、IL-23 による免疫応答を特異に抑制する点で、従来の非特異的な免疫抑制剤とは異なる。従って、従来の免疫抑制剤に見られる、生体の免疫機能全体を阻害する薬剤と異なり、臨床上有用である。
従って、本発明は、p40 分子または p40 分子をコードする遺伝子を有効成分として含有する、インターロイキン−23(IL−23)による免疫応答を阻害するための医薬製剤である。
p40 分子は、IL-12Rβ分子と結合するため、可溶性の p40 分子は IL-12 とその受容体との結合を阻害する。また、単量体よりも二量体の方が、より効率的に阻害効果を示すことが報告されている(Gillessen, S et al., Eur. J. Immunol., 25, 200-206, 1995)。そこで、可溶性 p40 分子は IL-23 とその受容体との結合をも阻害すると想定されたので、実際に可溶性 p40 分子が、IL-23 による免疫応答を阻害することを、IL-23 による IFN-γ産生の抑制、IL-23 遺伝子導入腫瘍による腫瘍拒絶反応の阻害によって実証した。
従って、p40 分子または p40 分子をコードする遺伝子は、IL−23 による免疫応答を阻害するための医薬製剤の有効成分として用いることができる。
p40 分子は、樹状細胞から分泌されるサイトカインである IL-23 を構成するサブユニットである。本発明で用いる p40 分子は、具体的には、配列表の配列番号1に示す 23 番目から 328 番目までのアミノ酸配列を有するヒト p40 分子、あるいは配列番号1に示す 23 番目から 328 番目までのアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸残基が欠失、置換および/または付加したアミノ酸配列であってヒト p40 分子と同様の機能を有する蛋白質である。ここで同様の機能を有するとは、ヒト p40 分子が有する IL-23 による免疫応答の阻害能と同様の阻害能を有することを意味する。配列番号1に示す 1 番目から 22 番目までのアミノ酸配列はシグナルペプチドである。
本発明で用いる p40 分子をコードする遺伝子は、具体的には、配列番号1に示す 67 番目から 984 番目までの塩基配列を有するヒト p40 分子をコードする遺伝子、あるいは配列番号1に示す 23 番目から 328 番目までのアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸残基が欠失、置換および/または付加したアミノ酸配列であってヒト p40 分子と同様の機能を有する蛋白質をコードする遺伝子、あるいは配列番号1に示す 67 番目から 984 番目までの塩基配列を有する遺伝子と相補的な塩基配列からなる遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズしヒト p40 分子と同様の機能を有する蛋白質をコードする遺伝子である。ここで同様の機能を有するとは、上記したものと同様の意味である。ストリンジェントな条件とは、例えば、6×SSPE、2×デハルト溶液、0.5 % SDS、0.1 mg/ml サケ精巣 DNA を含む溶液で 65℃、12 時間反応させる条件下でサザンハイブリダイゼーションを行なうことが挙げられる。また、配列番号1に示す 1 番目から 66 番目までの塩基配列はシグナルペプチドをコードする遺伝子に相当する。後に説明するように、本発明においては、p40 分子をコードする遺伝子を有効成分として用いる場合には、通常、該遺伝子を発現し分泌できるウイルスベクターあるいは非ウイルスベクターの形態で用いる。従って、通常、上記した p40 分子をコードする遺伝子の上流側にシグナルペプチドをコードする遺伝子が付加される。シグナルペプチドをコードする遺伝子は、配列番号1に示した 1 番目から 66 番目までの塩基配列からなる遺伝子に限定されず、通常シグナルペプチドをコードする遺伝子として使用される遺伝子を使用することもできる。
上記した遺伝子は、配列番号1に示したヒト p40 分子の遺伝子の塩基配列に基づき PCR 法を利用する周知の方法により得ることができる。これらの方法は、例えば Molecular Cloning 2nd Edt., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)等の基本書に従い、当業者ならば容易に行うことができる。また、例えば部位特異的突然変異誘発法、PCR 法あるいは通常のハイブリダイゼーション法などにより容易に得ることができ、具体的には上記 Molecular Cloning 等の基本書を参考にして行うことができる。上記した p40 分子も同様に、上記した遺伝子を用いた当業者に周知の組換え DNA 法により容易に得ることができ、また通常の蛋白質合成法により得ることもできる。
本発明で用いる p40 分子は、通常、静脈内、皮下、筋肉内、局所、経直腸、経皮、経鼻などの非経口的に投与することができる。非経口投与のための剤型としては、例えば、注射用水性剤もしくは油性剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、エアロゾル剤、坐剤、貼付剤などが挙げられる。更に、徐放性のミニペレット製剤を調製し体内に埋め込むことにより、あるいはオスモチックポンプなどを用いて体内に連続的に徐々に投与することなども可能である。また、経口投与により投与することも可能であり、その場合に、通常、マイクロカプセルやリポソームの形態で消化管などにおいて分解を受けないような剤型で投与される。
これらの製剤は、従来公知の技術を用いて調製され、製剤分野において通常使用される無毒性かつ不活性な担体もしくは賦形剤を含有することができる。また通常の結合剤、安定剤、緩衝剤、溶解補助剤、等張剤などを必要に応じて用いることもできる。
p40 分子の投与量、投与回数は、投与対象の症状、症歴、年齢、体重、投与形態等によって異なるが、例えば成人(体重 60 kg)に、例えば、静脈内などの経口投与で投与する場合、通常、1日当たり 100 〜 5,000 mg、好ましくは 400 〜 2,000 mg 、特に好ましくは 800 〜 1,200 mg の範囲で適宜調製して、一回または数回に分けて投与することができる。
本発明において、p40 分子をコードする遺伝子を用いる場合には、通常、上記したように、p40 分子の遺伝子を発現し分泌できるようにされたウイルスベクターあるいは非ウイルスベクターの形態で用いられる。ウイルスベクターとしては、アデノウイルス、レトロウイルス等のウイルスベクターが代表的なものである。具体的には、例えば、無毒化したレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンビスウイルス、センダイウイルス、SV40、免疫不全症ウイルス(HIV)等の DNA ウイルスまたは RNA ウイルスを挙げることができる。これらのうち、アデノウイルスの感染効率が他のウイルスを用いた場合よりもはるかに高いことから、アデノウイルスベクター系を用いることが好ましい。
非ウイルスベクターとしては、哺乳動物の生体内で目的遺伝子を発現させ分泌できることのできるベクターであれば如何なる発現ベクターであってもよく、例えば pcDNA3.1、pZeoSV、pBK-CMV(Invitrogene 社、Strategene 社)や pCAGGS(Niwa, H et al., Gene, 108, 193-199, 1991)などの発現ベクターが挙げられる。
これらのベクターに発現し分泌可能なように、シグナルペプチドをコードする遺伝子を上流側に付加した p40 分子をコードする遺伝子を、挿入することにより、本発明の医薬製剤を調製することができる。これらの非ウイルスベクターおよびウイルスベクターの調製法、投与法などは既に当業者に公知であり、例えば、別冊実験医学、遺伝子治療の基礎技術、羊土社、1996;別冊実験医学、遺伝子導入&発現解析実験法、羊土社、1997;日本遺伝子治療学会編遺伝子治療開発研究ハンドブック、エヌ・ティー・エス、1999などが参考とされる。
p40 分子をコードする遺伝子が発現し分泌可能なように挿入されたウイルスベクターあるいは非ウイルスベクターは、そのままの形態で、あるいは医薬的に許容できる通常使用されている賦形剤とともに、溶液、懸濁液、ゲル等の形態に製剤化したのちに投与することができる。投与形態としては、局所注射などにより投与することができる。また、通常の静脈内、動脈内等の全身投与により投与することもできる。
また、上記した p40 分子をコードする遺伝子が発現し分泌可能なように挿入されたウイルスベクターあるいは非ウイルスベクターを、予め細胞に導入し、その後に該細胞を投与することもできる。このように投与の際に担体として使用する細胞としては、例えば繊維芽細胞、筋芽細胞、末梢血細胞、各種幹細胞、放射線処理した腫瘍細胞などが挙げられる。細胞に、ウイルスベクターあるいは非ウイルスベクターを用いて遺伝子を導入するには、例えば、LXSN(Miller, AD, Rosman, GJ, BioTechniques, 7, 980-990, 1989)、MGF、α−SCG、PLJ、pEm(特表平6-503968号公報)などのレトロウイルスベクターのクローニング部位に、p40 分子をコードする遺伝子を発現し分泌可能なように挿入し、次いで DNA をパッケージング細胞に導入し、p40 分子をコードする遺伝子が導入された細胞の培養上清に含まれるレトロウイルスを用いて、細胞を感染させることにより、細胞に p40 分子をコードする遺伝子を導入することができる。導入された細胞は、通常、半透過性のポリマーなどに抱埋させて、アルギニン−ポリ−L-リジン−アルギネートカプセルやアガロースマイクロビーズなどの形態で投与することができる(Suzuki, R et al., Cell Transplant., 11, 787-797, 2002; Al-Hendy, A et al., Hum. Gene Ther., 7, 61-70, 1996)。
p40 分子をコードする遺伝子の投与量は、投与対象の症状、年齢、性別、投与経路、剤型などによって異なるが、一般に、成人では一日当たり p40 分子をコードする遺伝子の重量として、通常、約 10 μgから 500 mgである。
本発明の医薬製剤は、IL-23 による免疫応答の異常や亢進によって引き起こされると考えられる免疫性疾患、例えば膠原病、多発性硬化症、慢性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、I 型糖尿病、慢性甲状腺炎などに特に有効であり、また、IL-23 による免疫応答に基く臓器移植の際の拒絶反応などに有効である。また、本発明の医薬製剤は、IL-23 による免疫応答を特異的に阻害できるという利点も有する。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
組換え IL-23 および p40 分子の作成
BALB/c マウスに移植した皮下腫瘍の RNA から RT-PCR 法によって、完全長のp19 および p40 cDNA を単離し、これを動物細胞発現ベクター pcDNA3(Invitrogen社)のクローニング部位(Eco RI/Bam HI)に internal ribosomal entry site (IRES)(Duke, GM et al., J. Virol., 66,1602-1609, 1992)を用いて p19と p40 の遺伝子を挿入した。この結果、IL-23 発現ベクターの場合は CMV プロモーターの下流に p19/IRES/p40 の順で遺伝子が並び、p19、p40 cDNA 共に CMVプロモーターによって転写が行われる。また可溶性 p40 作成用のベクターでは、p40 cDNA のみが CMV プロモーターによって転写される。これらの DNA をサル腎細胞 COS-7 (American Type Culture Collection, ATCC) にリポフェクチン(Invitrogen 社)を用いて導入、48 時間後に培養上清を回収した。このとき、その培養上清中に p40 分子 が存在することを ELISA 法(BioSource 社)により確認した。その濃度としては、IL-23、p40 遺伝子導入の場合それぞれ、6.56 ng/ml、4.97 ng/ml であり、以下の実験ではこれらの培養液を IL-23 および可溶性 p40 分子として利用した。
ここで使用したマウス p40 分子をコードする遺伝子は、配列表の配列番号2に示した塩基配列からなる。配列番号2に示した塩基配列はシグナルペプチドをコードする塩基配列を5' 末端側に含むものである。
p40 分子を用いた IL-23 による IFN-γ産生の抑制効果
C57BL/6 マウスの脾臓細胞を調製し、Concanavalin A(5μg/ml、Sigma社)で刺激した。48 時間後、生細胞を回収し、リン酸緩衝液にて 2 回洗浄した後、24 ウェルプレートに播種し(2.5x106個/ウェル)、IL-23 を含む COS-7 細胞の培養上清を加え培養した。この時、IL-23 を含む COS-7 細胞の培養上清と同時に、p40 遺伝子導入 COS-7 細胞の培養上清あるいは遺伝子導入を行わなかった COS-7細胞の培養上清を加えた。48 時間培養後、この培養上清を回収し、そこに含まれる IFN-γ量を ELISA 法(eBioscience 社)により算出した。
得られる結果を図1に示した。その結果、p40 分子を含む培養上清を添加した場合は、そうでない場合と比較して、IFN-γ産生量が有意に減少した。すなわち、IL-23 による濃度依存的な IFN-γ産生を p40 分子が阻害した。
IL-23 および p40 遺伝子導入細胞の確立
マウス p19 および p40 cDNA をレトロウイルスベクター LXSN のクローニング部位(Eco RI/Bam HI)に IRES を用いて p19 と p40 の遺伝子を挿入した。IL-23 発現用ベクターの場合、5'LTR の下流に p19/IRES/p40 の順で遺伝子が、p40発現用ベクターの場合、p40 遺伝子のみが並び、IL-23、p40 発現ベクターとも 5'LTRによって転写が行われることになる。この DNA をパッケージング細胞 Psi-2(ATCC) に リポフェクチン(Invitrogen 社)を用いて導入後、G418(400μg/ml、Invitrogen 社)添加培地で選択し、その培養上清とポリブレン(8μg/ml、Aldrich 社)を用いてさらに PA317 細胞(ATCC)に遺伝子導入をおこない、G418(400μg/ml、Invitrogen 社)添加培地で選択し、PA317 細胞培養上清中のレトロウイルスを得た。このレトロウイルスをマウス大腸癌細胞(Colon26)に感染させ、IL-23 および p40 遺伝子導入細胞のクローン化を行った(Colon26/IL-23、Colon26/p40)。これらの遺伝子導入細胞の p19, p35, p40 遺伝子の発現と、培養上清中に分泌 p40 分子が存在することを確認した(Colon26/IL-23、Colon26/p40 の分泌量とも 0.8 〜1.1ng/ml/1x106/48 時間)。また腫瘍抗原の提示に重要な主要組織適合抗原の H-2K/H-2D 発現が、親株と大差ないこと、さらに遺伝子導入細胞の in vitro における増殖も親株と同一であることを確認した。
ここで使用したマウス p40 分子をコードする遺伝子は、配列表の配列番号2に示した塩基配列からなる。配列番号2に示した塩基配列はシグナルペプチドをコードする塩基配列を5' 末端側に含むものである。
IL-23 遺伝子導入による抗腫瘍効果の p40 分子による抑制
Colon26/IL-23 (1x106個)を同系マウス BALB/c の皮下に接種したところ、腫瘍は一旦生着するものの、時間経過とともに全例退縮し、最終的に腫瘍は完全に拒絶された。Colon26/IL-23 と親株 Colon26 を1:1の比率で混和して(総細胞数1x106個)同系マウスの皮下に接種しても、腫瘍は時間経過とともに全例退縮し、最終的に腫瘍は完全に拒絶された(図2)。しかし、Colon26/IL-23 とColon26/p40 を1:1の比率で混和して(総細胞数1x106個)同系マウスの皮下に接種すると、その増殖は親株のみを接種した場合(総細胞数1x106個)と同様に、全例において腫瘍は生着し拒絶されなかった(図2)。すなわち、IL-23 遺伝子導入によって惹起される抗腫瘍効果が、可溶性の p40分子 によって抑制されることが示された。
以上詳細に説明した通り、p40 分子をコードする遺伝子を導入した COS-7 細胞の培養上清が、IL-23 による濃度依存的な脾細胞からの IFN-γ産生を抑制することが明らかになった。また、p40 分子をコードする遺伝子を導入した Colon26 細胞によって、IL-23 をコードする遺伝子導入 Colon26 細胞接種による抗腫瘍効果が阻害されることが明らかになった。これらの事実から、p40 分子は IL-23 による免疫応答を阻害すること、また、p40 分子をコードする遺伝子を発現し分泌可能なベクターに挿入して用いることにより、産生される可溶性の p40 分子が同様に、IL-23 による免疫応答を阻害することが明らかになった。従って、p40 分子あるいは p40 分子をコードする遺伝子を用いることにより、自己免疫疾患や臓器移植など、IL-23 が関与する免疫応答を抑制し、自己免疫やアレルギー疾患の予防と治療を可能にし、移植臓器の生着延長をもたらす。
p40 遺伝子導入 COS-7 細胞の培養上清が、IL-23 による濃度依存的な脾細胞からの IFN-γ産生を抑制することを示す図である。 p40 遺伝子導入 Colon26 細胞によって、IL-23 遺伝子導入 Colon26 細胞接種による抗腫瘍効果が阻害されることを示す図である。

Claims (6)

  1. p40 分子または p40 分子をコードする遺伝子を有効成分として含有する、インターロイキン−23(IL−23)による免疫応答を阻害するための医薬製剤。
  2. p40 分子が、配列表の配列番号1に示す 23 番目から 328 番目までのアミノ酸配列を有するヒト p40 分子、あるいは配列番号1に示す 23 番目から 328 番目までのアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸残基が欠失、置換および/または付加したアミノ酸配列であってヒト p40 分子と同様の機能を有する蛋白質である請求項1の医薬製剤。
  3. p40 分子をコードする遺伝子が、配列番号1に示す 67 番目から 984 番目までの塩基配列を有する遺伝子、あるいは配列番号1に示す 23 番目から 328 番目までのアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸残基が欠失、置換および/または付加したアミノ酸配列であってヒト p40 分子と同様の機能を有する蛋白質をコードする遺伝子、あるいは配列番号1に示す 67 番目から 984 番目までの塩基配列を有する遺伝子と相補的な塩基配列からなる遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズしヒト p40 分子と同様の機能を有する蛋白質をコードする遺伝子である請求項1の医薬製剤。
  4. p40 分子をコードする遺伝子が、該遺伝子を発現し分泌され得るウイルスベクターあるいは非ウイルスベクターの形態にある請求項1または3の医薬製剤。
  5. p40 分子をコードする遺伝子を発現し分泌され得るウイルスベクターあるいは非ウイルスベクターが細胞に導入されている請求項4の医薬製剤。
  6. IL-23 による免疫応答異常によって引き起こされる免疫性疾患の治療もしくは予防、あるいは臓器移植に対する拒絶反応の抑制に用いるための請求項1から5のいずれかの医薬製剤。
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