JP2005060247A - イソキノリノン誘導体、その製造法および用途 - Google Patents
イソキノリノン誘導体、その製造法および用途 Download PDFInfo
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬として有用なイソキノリノン骨格を有するc−Jun N−末端キナーゼ〔c−Jun N−terminal kinase (JNK)〕阻害剤、ならびにJNK阻害作用を有する新規イソキノリノン誘導体、その製造方法および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
哺乳類の細胞は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)ファミリーメンバーを介するシグナルカスケードの活性化により、細胞外の刺激に応答する。MAPKには、c−Jun N−terminal kinase (JNK) (別名:ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK))、p38MAPキナーゼ、extracellular signal regulated kinase(ERK)の3種があり、成長因子、サイトカイン、紫外線照射、ストレス誘導剤など様々なシグナルにより活性化される。MAPKは、セリン・スレオニンキナーゼであることから、活性化ループにあるThr−X−Tyr配列のスレオニンとチロシンの両方がリン酸化されることによって活性化される。MAPKは、様々な転写因子をリン酸化・活性化することで、特定の遺伝子の発現を調節し、細胞外の刺激に対する特異的な応答を仲介している。
【0003】
JNKにはjnk1、jnk2およびjnk3の3つの遺伝子が同定されており、哺乳類では少なくとも10種のアイソフォームが存在している(非特許文献1参照)。jnk1およびjnk2は多くの組織で発現しているが、jnk3は脳で特異的に発現していることから、jnk3は特に神経機能に関与する可能性がある。ストレス応答性MAPキナーゼファミリーのJNKシグナル伝達系は、浸透圧変化、DNA損傷、アニソマイシン、熱ショック、紫外線照射、虚血、炎症性サイトカインなどや、アポトーシス誘導に関わる様々なストレス刺激によって活性化されることから、ストレス応答を担う主要な細胞内情報伝達経路を構成すると考えられている(非特許文献2参照)。活性化されたJNKは、c−Jun、ATF−2、Elk1、p53やcell death domain protein (DENN)など各種転写因子や細胞死(アポトーシス)シグナルを活性化することで、特定遺伝子の転写活性を規制し、あるいはアポトーシスを誘導して、各種ストレスなどの環境変化に応答している(非特許文献3参照)。癌、細胞死、アレルギー、喘息、心疾患、自己免疫性疾患、虚血性疾患、炎症、神経変性疾患など様々な病態や疾患においてJNKの慢性的な活性化が見られることから、JNKの活性化がこれら疾患の発病や増悪に密接に関与していることが示唆されている。〔本明細書中では、このようなJNKの活性化が関与する病態または疾患を「JNK関連病態または疾患」と表す。〕
【0004】
JNKと各種JNK関連病態または疾患の関係としては、例えば、心筋細胞においては、伸展刺激や虚血によりJNKが活性化し、ストレスシグナルを伝達していることが知られている。JNKは、カテコラミン、アンジオテンシンIIやエンドセリンによっても活性化され、心肥大や線維化に関与する因子(BNP/ANP、TNF−α、TGF−β、MMPsなど)の発現を調節している(非特許文献4〜6参照)。最近になって、心筋梗塞発症後、心不全患者の心臓JNK活性が上昇していることや、MKK7(JNK選択的キナーゼ)心臓過剰発現マウスが心不全を呈することが報告され、心不全進行過程でのJNKの関与が示唆されている(非特許文献7参照)。また、圧負荷心肥大モデルにおいてドミナントネガティブによるJNK阻害は、血圧に影響することなく心肥大を抑制することが報告されている(非特許文献8参照)。さらに、虚血・再灌流モデルにおいて、ドミナントネガティブMKK7はJNK活性を低下させ、心筋細胞死を抑制することが報告されている。このことから、JNKの阻害薬は虚血性心疾患、心不全、心筋梗塞予後ならびに心肥大の治療に有効である可能性がある。
【0005】
JNKはIL−2のプロモーターを活性化することで、T細胞活性化に重要な役割を果たしている。また最近のノックアウトマウスを用いた実験から、JNKはTh1とTh2細胞の分化にも重要な役割を果たしていることが報告されている。したがって、JNKの阻害薬は病的免疫疾患の治療に有効である可能性がある(非特許文献9〜13参照)。
【0006】
リウマチ患者の滑膜細胞ではJNKが活性化されており、JNKがIL−1刺激滑膜細胞におけるMMP遺伝子の発現を調節していることから、リウマチ患者の関節破壊にJNKが大きく関与していることが報告されている(非特許文献14参照)。このことから、JNKの阻害薬はリウマチの治療に有効である可能性がある。
【0007】
JNK3ノックアウトマウスでは、カイニン酸の多量投与による神経細胞のアポトーシスに抵抗することから、JNK3はグルタメート型の神経毒性発現において重要な役割を果たしている(非特許文献15参照)。また、JNK3は低酸素または虚血状態の神経細胞において活性化されてアポトーシスを引き起こす。これらのことからJNKの阻害薬はアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病のような神経変性疾患または虚血、出血性の脳卒中の治療に有効である可能性がある。
【0008】
また、JNK1欠損マウスを使った実験から、JNKが肥満とインスリン抵抗性に関わる重要なメディエータであることが報告されている(非特許文献16参照)。
【0009】
これまで、JNK阻害作用を有する化合物は、例えばインドリノン誘導体が特許文献1〜3に、ウラシル誘導体が特許文献4に、イソキサゾール誘導体が特許文献5に、チオフェンスルホンアミド誘導体が特許文献6〜8に、ピラゾロアントロン誘導体が特許文献9に、ピリミジルイミダゾール誘導体が特許文献10にそれぞれ開示されている。しかしながら、これまでJNK阻害作用を有するイソキノリノン誘導体は報告されていない。
【0010】
一方、イソキノリノン誘導体は、特許文献11〜21に開示されている。
【0011】
【特許文献1】
国際公開第99/35906号パンフレット
【特許文献2】
国際公開第99/35909号パンフレット
【特許文献3】
国際公開第99/35921号パンフレット
【特許文献4】
国際公開第00/75118号パンフレット
【特許文献5】
国際公開第01/12621号パンフレット
【特許文献6】
国際公開第01/23378号パンフレット
【特許文献7】
国際公開第01/23379号パンフレット
【特許文献8】
国際公開第01/23382号パンフレット
【特許文献9】
国際公開第01/12609号パンフレット
【特許文献10】
国際公開第01/91749号パンフレット
【特許文献11】
特開平10−298164号公報
【特許文献12】
特開2000−72675号公報
【特許文献13】
特開2000−72751号公報
【特許文献14】
特開平5−132463号公報
【特許文献15】
特開平6−321906号公報
【特許文献16】
特開平7−010844号公報
【特許文献17】
特開平7−076573号公報
【特許文献18】
国際公開第02/062764号パンフレット
【特許文献19】
特開平10−298164号公報
【特許文献20】
特開2000−72675号公報
【特許文献21】
特開2000−72751号公報
【非特許文献1】
「エンボ・ジャーナル(EMBO Journal)」,1996年,第15巻,p.2760−2770
【非特許文献2】
「バイオケミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ(Biochemicaet Biophysica Acta)」, 1997年,第1333巻,p.F85−F104
【非特許文献3】
「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)」, 1998年, 第95巻,p.2586−2591
【非特許文献4】
「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)」, 第270巻,p.29710−29717
【非特許文献5】
「ファセブ・ジャーナル(FASEB Journal)」, 1996年,第10巻, p.631−636
【非特許文献6】
「サーキュレーション・リサーチ(Circulation Research)」, 1997年,第80巻, p.139−146
【非特許文献7】
「ジャーナル・オブ・モレキュラー・アンド・セルラー・カディオロジー(Journal of Molecular and Cellular Cardiology)」, 1999年,第31巻, p.1429−1434
【非特許文献8】
「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(Journal of Clinical Investigation)」, 1999年,第104巻, p.391−398
【非特許文献9】
「ジャーナル・オブ・イムノロジー(Journal of Immunology)」, 1999年,第162巻,p.3176−3187
【非特許文献10】
「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー(European Journal of Immunology)」, 1998年,第28巻,
p.3867−3877
【非特許文献11】
「ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(Journalof Experimental Medicine)」, 1997年,第186巻, p.941−953
【非特許文献12】
「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー(European Journal of Immunology)」, 1996年, 第26巻, p.989−994
【非特許文献13】
「カレント・バイオロジー(Current Biology)」, 1999年, 第9巻, p.116−125
【非特許文献14】
「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(Journal of Clinical Investigation)」, 2001年,第108巻, p.73−81
【非特許文献15】
「ネイチャー(Nature)」, 1997年,第389巻, p.865−870
【非特許文献16】
「ネイチャー(Nature)」, 2002年, 第420巻, p.333−336
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のJNK阻害作用を有する化合物は、JNK阻害作用が必ずしも十分ではなく、また他のキナーゼ阻害作用との選択性が不十分であるなど、有効性や副作用の危険性などの安全面で問題が残っている。また、物性(安定性、溶解性など)、経口吸収性やターゲット臓器への移行性などが十分ではないため、医薬として実用上満足な結果が得られているとは言えず、JNK関連病態または疾患に有効な医薬として優れたJNK阻害剤の開発が切望されている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、JNK関連病態または疾患の予防・治療薬として、イソキノリノン骨格を有する有用でかつ安全なJNK阻害剤を提供するものである。
【0014】
本発明者らは、鋭意種々研究を重ねた結果、イソキノリノン骨格を有する化合物またはその塩がその特異的な化学構造に基づいて、予想外にも優れたJNK特異的阻害活性を有し、更に安定性等の医薬品としての物性においても優れた性質を有しており、哺乳動物のJNK関連病態または疾患の予防・治療薬として安全でかつ有用な医薬となることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明は、下記[1]〜[20]に関するものである。
【0016】
[1] 式
【化3】
【0017】
〔式中、
環Aおよび環Bはそれぞれ置換されていてもよいベンゼン環を示し、
Xは二価の鎖状の炭化水素基を示し、
R1は水素原子、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいカルバモイル基、アシル基、置換されていてもよいアミノ基、シアノ基、置換されていてもよい非芳香族環状炭化水素基または置換されていてもよい非芳香族複素環基を示し、
R2は
置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基およびエステル化されていてもよいカルボキシル基から選ばれた置換基を有していてもよい炭化水素基、
アシル基、
置換されていてもよいアミノ基、
エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基または
置換されていてもよいカルバモイル基を示す。
ただし、R2がエステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基または置換されていてもよいカルバモイル基の場合、環Bが有していてもよい置換基の数は2個以下である。〕で表される化合物またはその塩(ただし、
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−(2−メトキシエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(2−メトキシエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ブロモ−2−ブチル−3−ヒドロキシメチル−4−フェニル−2H−イソキノリン−1−オン、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−3−ヒドロキシメチル−4−フェニル−2H−イソキノリン−1−オン、
6−ブロモ−2−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−ニトロフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−シアノフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−シクロプロピルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−2−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−3−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−2−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
2−(1−アセチルピペリジン−4−イルメチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
2−(1−アセチルピペリジン−3−イルメチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−メチルカルバモイルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[1−(3−カルボキシプロピオニル)ピペリジン−4−イルメチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[1−(4−カルボキシブチリル)ピペリジン−4−イルメチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、及び
6−クロロ−2−エチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステルを除く。)。
[2] 環Aが式
【0018】
【化4】
【0019】
〔式中、R3は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基またはエステル化されていてもよいカルボキシル基を示す。〕で表されるベンゼン環である前記[1]の化合物。
[3] R3がハロゲン原子またはC1−4アルキル基である前記[2]の化合物。
[4] 環Bが2個以下の置換基を有していてもよいベンゼン環である前記[1]の化合物。
[5] 環Bが無置換のベンゼン環である前記[1]の化合物。
[6] XがC1−4アルキレンである前記[1]の化合物。
[7] R1が置換されていてもよいアミノ基または置換されていてもよい非芳香族複素環基である前記[1]の化合物。
[8] R2が置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基およびエステル化されていてもよいカルボキシル基から選ばれた置換基を有していてもよい炭化水素基、アシル基または置換されていてもよいアミノ基である前記[1]の化合物。
[9] R2がアシル基である前記[1]の化合物。
[10] R2が−C(=O)−RA(ここで、RAは水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す)である前記[1]の化合物。
[11] R2がエステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基または置換されていてもよいカルバモイル基である前記[1]の化合物。
[12] R1がヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいアミノ基またはシアノ基である前記[11]の化合物。
[13] 前記[1]の化合物のプロドラッグ。
[14] 前記[1]または[13]の化合物を含有することを特徴とする医薬。
[15] JNK阻害剤である前記[14]の医薬。
[16] JNK関連病態または疾患の予防・治療剤である前記[14]の医薬。
[17] 慢性または急性心不全、心肥大、拡張型、肥大型または拘束型心筋症、急性心筋梗塞、心筋梗塞予後、急性または慢性心筋炎、左心拡張能不全、左心収縮不全、高血圧症とそれに合併した腎症・腎炎、血管内皮機能低下、動脈硬化症または冠血管形成術後再狭窄の予防・治療剤である前記[14]の医薬。
[18] 慢性関節リウマチ、変形性関節炎、痛風、慢性閉塞性肺疾患、喘息、気管支炎、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性大腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃炎、食道炎、多発性硬化症、湿疹、皮膚炎、肝炎、糸球体腎炎、糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、肥満症、乾癬または癌の予防・治療剤である前記[14]の医薬。
[19] アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、てんかん、筋萎縮性側索硬化症、神経変性疾患または脊椎損傷の予防・治療剤である前記[14]の医薬。
[20] 脳卒中、脳血管障害、心臓、腎臓、肝臓および脳から選ばれる臓器の虚血障害、虚血再灌流障害、臓器不全、エンドトキシンショックまたは移植後の拒絶の予防・治療剤である前記[14]の医薬。
【0020】
【発明の実施の形態】
前記式(I)中、環Aおよび環Bはそれぞれ「置換されていてもよいベンゼン環」を示す。
環Aおよび環Bがそれぞれ有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基などが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、C1−4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなど)、ヒドロキシ−C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ−C1−4アルキル基、C2−4アルケニル基(例えば、ビニル、プロペニル、アリルなど)、置換されていてもよいフェニル基(好ましくは、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基、カルボキシル基およびハロゲン原子から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニルなど)、C5−7シクロアルキル−アミノ基、C1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなど)、C1−4アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオなど)、ヒドロキシ基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなど)、ホルミル基、メルカプト基、C1−4アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリルなど)、C1−4アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルなど)、スルホ基(−SO3H)、C1−4アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニルなど)、カルバモイル基およびモノ−またはジ−C1−4アルキルまたはC5−7シクロアルキル−カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイルなど)などが好ましく用いられる。これらの置換基は環Aおよび環B上の置換可能な位置に1〜3個置換されていてもよい。
本明細書中で用いられる用語「ハロゲン原子」とは、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
本明細書中で用いられる用語「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」とは、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基などを示す。
該「アルキル基」としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、1−エチルプロピルなどの「直鎖状または分枝状のC1−15アルキル基」など、好ましくはC1−8アルキル基が用いられ、より好ましくはC1−7アルキル基が用いられ、さらに好ましくはC1−6アルキル基が用いられ、特に好ましくはC1−4アルキル基が用いられる。
該「シクロアルキル基」としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチルなどの「C3−10シクロアルキル基」などが用いられ、より好ましくはC3−8シクロアルキル基が用いられ、さらに好ましくはC5−7シクロアルキル基が用いられる。
【0021】
該「アルケニル基」としては、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、3−オクテニル、9−オクタデセニルなどの「C2−18アルケニル基」などが用いられ、より好ましくはC2−6アルケニル基が用いられ、さらに好ましくはC2−4アルケニル基が用いられる。
該「シクロアルケニル基」としては、例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなどの「C3−10シクロアルケニル基」などが用いられ、より好ましくはC3−8シクロアルケニル基が用いられ、さらに好ましくはC5−7シクロアルケニル基が用いられる。
該「アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、プロパルギル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニルなどの「C2−8アルキニル基」などが用いられ、より好ましくはC2−6アルキニル基が用いられ、さらに好ましくはC2−4アルキニル基が用いられる。
【0022】
該「アラルキル基」としては、C7−16アラルキル基などが用いられ、具体的には、例えばベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチルなどのフェニル−C1−6アルキル基および、例えば(1−ナフチル)メチル、2−(1−ナフチル)エチル、2−(2−ナフチル)エチルなどのナフチル−C1−6アルキル基などが挙げられる。アラルキル基は置換基を有していてもよく、置換位置はアリール部でもアルキル部でもどちらでもよく、どちらか一方または両方置換されている態様を含む。
該「アリール基」としては、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、フェナントリル、アントリル(anthryl)などの芳香族単環式、2環式または3環式のC6−14アリール基、ビフェニル基、トリル基などが用いられ、好ましくは、フェニル、ナフチルなどのC6−10アリール基、より好ましくはフェニルが用いられる。
【0023】
該「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」が有していてもよい置換基としては、例えば、(i)ニトロ基、(ii)ヒドロキシ基、オキソ基、(iii)シアノ基、(iv)カルバモイル基、(v)モノ−またはジ−C1−4アルキル−カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイルなど;該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−4アルコキシ基などで置換されていてもよい)、モノ−またはジ−C2−4アルケニル−カルバモイル基(例えば、N−アリルカルバモイルなど;該アルケニル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−4アルコキシ基などで置換されていてもよい)、モノ−またはジ−フェニル−カルバモイル基、モノ−またはジ−ベンジル−カルバモイル基、C1−4アルコキシ−カルボニル−カルバモイル基、C1−4アルキルスルホニル−カルバモイル基、C1−4アルコキシ−カルバモイル基、アミノ−カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ−カルバモイル基、モノ−またはジ−フェニルアミノ−カルバモイル基、(vi)カルボキシル基、(vii)C1−4アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルなど)、(viii)スルホ基、(ix)ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、(x)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなど)、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−4アルコキシ基、カルボキシル基で置換されていてもよいC1−4アルコキシ基、C1−4アルコキシ−カルボニル基で置換されていてもよいC1−4アルコキシ基、C1−4アルコキシ−C1−4アルコキシ基、C1−4アルコキシ−C1−4アルコキシ−C1−4アルコキシ基、(xi)フェノキシ基、フェノキシ−C1−4アルキル基、フェノキシ−C1−4アルコキシ基、C1−4アルキルカルボニル−オキシ基、カルバモイルオキシ基、モノ−またはジ−C1−4アルキル−カルバモイルオキシ基、(xii)ハロゲン化されていてもよいフェニル基、ハロゲン化されていてもよいフェニル−C1−4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいフェニル−C2−4アルケニル基、ハロゲン化されていてもよいフェノキシ基(例えば、フェノキシ基、o−、m−またはp−クロロフェノキシ、o−、m−またはp−ブロモフェノキシなど)、C1−4アルコキシ−フェニル基(例えば、メトキシフェニルなど)、ピリジルオキシ基、C3−10シクロアルキル基(例えば、シクロペンチルなど)、C3−10シクロアルキル−C1−4アルコキシ基、C3−10シクロアルキル−C1−4アルキル基、(xiii)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、トリフルオロメチルなど)、ハロゲン化されていてもよいC2−6アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ブテニルなど)、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオなど)、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−4アルキル基、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−4アルキルチオ基、(xiv)メルカプト基、チオキソ基、(xv)ハロゲン原子、カルボキシル基およびC1−4アルコキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいベンジルオキシ基またはベンジルチオ基、(xvi)ハロゲン化されていてもよいフェニルチオ基、ピリジルチオ基、フェニルチオ−C1−4アルキル基、ピリジルチオ−C1−4アルキル基、(xvii)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニルなど)、フェニルスルフィニル基、フェニルスルフィニル−C1−4アルキル基、(xviii)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニルなど)、フェニルスルホニル基、フェニルスルホニル−C1−4アルキル基、(xix)アミノ基、アミノスルホニル基、モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノスルホニル基(例えば、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、N,N−ジメチルアミノスルホニル、N,N−ジエチルアミノスルホニル、N,N−ジプロピルアミノスルホニルなど;該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−4アルコキシ基などで置換されていてもよい)、(xx)C1−10アシル−アミノ基(例えば、C1−6アルカノイルアミノ(例、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、トリフルオロアセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ピバロイルアミノ等)、ベンゾイルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ(例、メタンスルホニルアミノ、トリフルオロメタンスルホニルアミノ等)、C6−10アリールスルホニルアミノ(例、ベンゼンスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ等);C1−10アシルはハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基などで置換されていてもよい)、ベンジルオキシカルボニルアミノ、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルバモイルアミノ基、モノ−またはジ−C1−4アルキルカルバモイルアミノ基、(xxi)モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノなど;該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−4アルコキシ基などで置換されていてもよい)、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ、(xxii)4〜6員環状アミノ基(例えば、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、1−ピペラジニルなど)、4〜6員環状アミノ−カルボニル基(例えば、1−アゼチジニルカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、1−ピペラジニルカルボニルなど)、4〜6員環状アミノ−カルボニル−オキシ基(例えば、1−ピロリジニルカルボニルオキシ、ピペリジノカルボニルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、チオモルホリノカルボニルオキシ、1−ピペラジニルカルボニルオキシなど)、4〜6員環状アミノ−カルボニル−アミノ基(例えば、1−ピロリジニルカルボニルアミノ、ピペリジノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、チオモルホリノカルボニルアミノ、1−ピペラジニルカルボニルアミノなど)、4〜6員環状アミノ−スルホニル基(例えば、1−ピロリジニルスルホニル、ピペリジノスルホニル、モルホリノスルホニル、チオモルホリノスルホニル、1−ピペラジニルスルホニルなど)、4〜6員環状アミノ−C1−4アルキル基、(xxiii)ハロゲン原子、カルボキシル基およびC1−4アルコキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいC1−6アシル基(例えば、ホルミル、アセチルなどのハロゲン化されていてもよいC2−6アルカノイルなど)またはベンゾイル基、(xxiv)ハロゲン原子で置換されていてもよいベンゾイル基、(xxv)5〜10員複素環基(例えば、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリル、1H−または2H−テトラゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジル、3−または4−ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、インドリル、ピペリジニル、イミダゾリル、テトラヒドロフリルなど;該複素環基はC1−4アルキル基、オキソ基などで置換されていてもよい)、(xxvi)5〜10員複素環−カルボニル基(例えば、2−または3−チエニルカルボニル、2−または3−フリルカルボニル、3−、4−または5−ピラゾリルカルボニル、2−、4−または5−チアゾリルカルボニル、3−、4−または5−イソチアゾリルカルボニル、2−、4−または5−オキサゾリルカルボニル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリルカルボニル、1H−または2H−テトラゾリルカルボニル、2−、3−または4−ピリジルカルボニル、2−、4−または5−ピリミジルカルボニル、3−または4−ピリダジニルカルボニル、キノリルカルボニル、イソキノリルカルボニル、インドリルカルボニルなど;該複素環基はC1−4アルキル基などで置換されていてもよい)、(xxvii)ヒドロキシイミノ基、C1−4アルコキシイミノ基、アリール基(例えば、1−または2−ナフチルなど)、(xxviii)ハロゲン化されていてもよい直鎖状または分枝状のC1−4アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、プロピレンジオキシ、テトラフルオロエチレンジオキシなど)および(xxviii)ベンズヒドリルなどが用いられる。該「炭化水素基」は、置換可能な位置に、これらの置換基を1〜5個有していてもよく、2以上を有する場合、置換基は同一でも異なっていてもよい。「炭化水素基」が、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基またはアラルキル基である場合には、例えば、C1−10アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、デシルなど)、C2−10アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ブテニルなど)、フェニル−C2−4アルケニル基(例えばフェニルエテニルなど)、モノ−またはジ−C1−6アルケニル−カルバモイル基(例えば、N−ビニルカルバモイルなど)、C6−14アリール基(例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル)、C7−20アラルキル基(例えばベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、2−(1−ナフチル)エチル、2−(2−ナフチル)エチルなど)、スチリル基、オキソ基などで置換されていてもよい。「炭化水素基」の「置換基」は置換可能な位置にl〜4個置換していてもよい。
また、「炭化水素基」が、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アラルキル基、アリール基などの環状基である場合、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキレンジオキシ基、ハロゲン化されていてもよいC2−5アルキレンオキシ基などの置換基を有していてもよく、あるいは、これらの環状基同士が縮合して、2環式または3環式の縮合炭化水素基を形成していてもよく、かかる縮合炭化水素基は、前述の「アルキル基」及び「シクロアルキル基」が有していてもよい置換基と同様な基を有していてもよい。
「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、C1−8アルキル基、C2−8アルケニル基、C2−8アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基などが好ましく、C1−4アルキル基、C2−4アルケニル基、C2−4アルキニル基、フェニル基などがより好ましく、とりわけ、C1−4アルキル基、フェニル基などが好ましい。
本明細書中で用いられる用語「置換されていてもよい複素環基」の「複素環基」としては、例えば、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1〜3種(好ましくは1〜2種)を少なくとも1個(好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜2個)含む芳香族複素環基、飽和あるいは不飽和の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)等が挙げられる。
「芳香族複素環基」としては、例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等の5または6員の芳香族単環式複素環基、および例えばベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔b〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル、ベンゾ〔1,2,5〕チアジアゾリル、ベンゾ〔1,2,5〕オキサジアゾリル、1,3−ジオキサインダニル等の8〜16員(好ましくは、8〜12員)の芳香族縮合複素環基(好ましくは、前記した5または6員の芳香族単環式複素環基1〜2個(好ましくは、1個)がベンゼン環1〜2個(好ましくは、1個)と縮合した複素環または前記した5または6員の芳香族単環式複素環基の同一または異なった複素環2〜3個(好ましくは、2個)が縮合した複素環、より好ましくは前記した5または6員の芳香族単環式複素環基がベンゼン環と縮合した複素環)等が挙げられる。
「非芳香族複素環基」としては、例えばオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジニル(好ましくは、1−ピペリジニルまたは4−ピペリジニル)、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、アゼパニル、1,4−ジアゼパニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の飽和あるいは不飽和(好ましくは飽和)の非芳香族単環式複素環基(脂肪族単環式複素環基)、2,3−ジヒドロインドリル、1,3−ジヒドロイソインドリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン等のように前記した非芳香族単環式複素環基1〜2個(好ましくは1個)がベンゼン環1〜2個(好ましくは1個)と縮合した複素環基、前記した非芳香族単環式複素環基1〜2個(好ましくは1個)が前記した5〜6員の芳香族単環式複素環基の複素環1〜2個(好ましくは1個)と縮合した複素環基、あるいは1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリルなどのように前記した芳香族単環式複素環基又は芳香族縮合複素環基の一部又は全部の二重結合が飽和した非芳香族複素環基等が挙げられる。
該「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としては、5または6員の芳香族単環式複素環基などが好ましく、該「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」が有していてもよい置換基としては、「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」が有していてもよい置換基と同様の基などが挙げられる。
本明細書中で用いられる用語「置換されていてもよいアミノ基」、「置換されていてもよいヒドロキシ基」および「置換されていてもよいチオール基」としては、それぞれ、「置換されていてもよい炭化水素基」、「アシル基」、「置換されていてもよいアルコキシカルボニル基」、「置換されていてもよいカルバモイル基」、「置換されていてもよい複素環基」などの置換基を有していてもよい「アミノ基」、「ヒドロキシ基」および「チオール基」などが挙げられるが、なかでも、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、トリクロロメトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ等)、置換されていてもよいフェニル(好ましくは、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ、カルボキシルおよびハロゲン原子から選ばれた置換基で置換されていてもよいフェニルなど)および5〜10員複素環基(例、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリル、1H−または2H−テトラゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジル、3−または4−ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、インドリルなど;該複素環基はC1−4アルキル基などで置換されていてもよい)から選ばれた置換基で置換されていてもよい低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、アシル(C1−6アルカノイル(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル等)、ベンゾイル、C1−6アルキルスルホニル(例、メタンスルホニル等)、ベンゼンスルホニル等)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、トリフルオロメトキシカルボニル、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル、トリクロロメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル等)、フェニルで置換されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル(例、ベンジルオキシカルボニル等)、置換されていてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等の低級(C1−6)アルキル基、フェニル基などの置換基1〜2個で置換されていてもよいカルバモイル基など)、複素環基(前記「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様の基など)等の置換基を有していてもよい「アミノ基」、「ヒドロキシ基」および「チオール基」などが挙げられる。
また、N,N−ジ置換アミノにおける2個の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノ基を形成してもよく、この様な場合の環状アミノ基としては、例えば1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ(硫黄原子は酸化されていてもよい)、1−ピペラジニルおよび4位に低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、アラルキル(例、ベンジル、フェネチル等のC7−10アラルキル等)、アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10アリール等)等を有していてもよい1−ピペラジニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の環状アミノ基などが挙げられる。
【0024】
本明細書中で用いられる用語「アシル基」としては、例えばRACOOHなどのカルボン酸、例えばRASO3Hなどのスルホン酸、例えばRASO2Hなどのスルフィン酸、例えばRAOPO(ORB)OHなどのリン酸(RAは水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示し、RBは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す)などからOH基を除いて得られるアシル基が用いられ、具体的には−C(=O)−RA、−S(=O)2−RA、−S(=O)−RA、−P(=O)(ORA)(ORB)(式中の記号は前記と同意義を示す)などが用いられる。
【0025】
本明細書中で用いられる用語「置換スルフィニル基」および「置換スルホニル基」は、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基などの置換基で置換されているスルフィニル基またはスルホニル基を表す。「置換スルフィニル基」および「置換スルホニル基」の置換基である炭化水素基ならびに複素環基は、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様の基などが用いられる。また、「置換スルフィニル基」および「置換スルホニル基」の置換基である「置換されていてもよいヒドロキシ基」および「置換されていてもよいアミノ基」としては前記した「置換されていてもよいヒドロキシ基」および「置換されていてもよいアミノ基」と同様の基などが用いられ、該ヒドロキシ基およびアミノ基に置換していてもよい置換基の好ましいものとしては、例えば、C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、C2−4アルケニル基、C6−10アリール基、アシル基、アミノ基、複素環基(前記した「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様の基など)などが挙げられる。また「置換スルフィニル基」および「置換スルホニル基」の置換基である炭化水素基および複素環基に置換していてもよい置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環」における「複素環」が有していてもよい置換基と同様の基などが用いられる。
【0026】
本明細書中で用いられる用語「置換されていてもよいカルバモイル基」としては、無置換のカルバモイルのほか、N−モノ置換カルバモイルおよびN,N−ジ置換カルバモイルが挙げられる。
該「置換されていてもよいカルバモイル基」の「カルバモイル基」の置換基としては、前記「置換されていてもよいアミノ基」の「アミノ基」の置換基と同様の基など(「置換されていてもよい炭化水素基」、「アシル基」、「置換されていてもよいアルコキシカルボニル基」、「置換されていてもよいカルバモイル基」(好ましくは、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等の低級(C1−6)アルキル基、フェニル基などの置換基1〜2個で置換されていてもよいカルバモイル基など)、「置換されていてもよい複素環基」など)などが挙げられるが、前記「置換されていてもよいアミノ基」を有する「カルバモイル基」(すなわち、「置換されていてもよいカルバゾイル基」)、前記「置換されていてもよいヒドロキシ基」を有する「カルバモイル基」(すなわち、「置換されていてもよいN−ヒドロキシカルバモイル基」)などであってもよく、また、N,N−ジ置換カルバモイルにおける2個の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノを形成してもよく、この様な場合の環状アミノカルボニルとしては、例えば1−アゼチジニルカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル(硫黄原子は酸化されていてもよい)、1−ピペラジニルカルボニルおよび4位に低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、アラルキル(例、ベンジル、フェネチル等のC7−10アラルキル等)、アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10アリール等)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、メチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、トリフルオロメトキシカルボニル、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル、トリクロロメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル等)、フェニルで置換されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル等)等を有していてもよい1−ピペラジニルカルボニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の環状アミノカルボニルなどであってもよい。
【0027】
本明細書中で用いられる用語「エステル化されていてもよいカルボキシル基」としては、式−COORC(RCは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す)で表される基などが挙げられるが、なかでも、遊離のカルボキシル、低級アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニル、複素環オキシカルボニル、複素環メチルオキシカルボニル等が好ましく用いられる。
「低級アルコキシカルボニル」としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル等のC1−6アルコキシカルボニル等が挙げられ、中でもメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル等のC1−3アルコキシカルボニル等が好ましい。
該「低級アルコキシカルボニル」は「低級アルコキシ」の「低級アルキル」部分に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
「アリールオキシカルボニル」としては、例えばフェノキシカルボニル、1−ナフトキシカルボニル、2−ナフトキシカルボニル等のC7−12アリールオキシカルボニル等が好ましい。
「アラルキルオキシカルボニル」としては、例えばベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル等のC7−15アラルキルオキシカルボニル等(好ましくは、C6−10アリール−C1−4アルコキシ−カルボニルなど)が好ましい。
「複素環オキシカルボニル」および「複素環メチルオキシカルボニル」における複素環としては、前記した「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様なものが用いられ、例えば、ピリジル、キノリル、インドリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル等が好ましく用いられる。
該「アリールオキシカルボニル」、「アラルキルオキシカルボニル」、「複素環オキシカルボニル」および「複素環メチルオキシカルボニル」は置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
【0028】
前記式(I)中、環Aとしては、式
【0029】
【化5】
【0030】
(式中、R3は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基またはエステル化されていてもよいカルボキシル基を示す。)で表されるベンゼン環(すなわち、1−イソキノリノン骨格において、5位、7位および8位が無置換であり、6位に置換基R3を有する)が好ましく用いられる。
前記式中、R3としては、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基などが好ましく、なかでも、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基(「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としての「アルキル基」が有していてもよい置換基と同様の基などを有していてもよいC1−6アルキル基など)、置換されていてもよいアミノ基などが好ましく、とりわけ、ハロゲン原子、C1−4アルキル基などが好ましく、ハロゲン原子、メチル基などが特に好ましく用いられる。
【0031】
前記式(I)中、環Bとしては、2個以下の置換基を有していてもよいベンゼン環であることが好ましい。また、環Bとしては、メタおよび/またはパラ位に置換基を有していてもよいベンゼン環であることが好ましく、無置換のベンゼン環であることがさらに好ましい。
【0032】
前記式(I)中、Xは「二価の鎖状の炭化水素基」を示す。
Xで示される「二価の鎖状の炭化水素基」としては、直鎖状または分岐鎖状の二価の炭化水素基であり、例えば、C1−6アルキレン(例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、2−メチルメチレン、イソブチルメチレン等)、C2−6アルケニレン(例えば、ビニレン、プロピレン、1−または2−ブテニレン、ブタジエニレン等)およびC2−8アルキニレン(例えば、エチニレン、1−または2−プロピニレン、1−または2−ブチニレン等)等が用いられる。
Xとしては置換されていてもよいC1−6アルキレンが好ましく、C1−4アルキレンがより好ましい。
【0033】
前記式(I)中、R1は、水素原子、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいカルバモイル基、アシル基、置換されていてもよいアミノ基、シアノ基、置換されていてもよい非芳香族環状炭化水素基または置換されていてもよい非芳香族複素環基を示す。
【0034】
本明細書中で用いられる用語「置換されていてもよい非芳香族環状炭化水素基」における「非芳香族環状炭化水素基」とは、非芳香族である、飽和又は不飽和、単環式または多環式の、環状炭化水素基であり、たとえば、前記したシクロアルキル基、シクロアルケニル基などが用いられる。「非芳香族環状炭化水素基」としては、飽和又は不飽和(好ましくは飽和)の、3〜10員(好ましくは5〜7員)の単環式環状炭化水素基が好ましく、C3−8シクロアルキル基がより好ましく、C3−6シクロアルキル基がさらに好ましい。
【0035】
該「置換されていてもよい非芳香族環状炭化水素基」における置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
【0036】
本明細書中で用いられる用語「置換されていてもよい非芳香族複素環基」における「非芳香族複素環基」は前記と同義であり、非芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
【0037】
本明細書中で用いられる用語「チオエステル化されていてもよいカルボキシル基」としては、式−COSRC(RCは前記と同意義を示す)で表される基などが挙げられるが、なかでも低級アルキルチオ−カルボニル、アリールチオ−カルボニル、アラルキルチオ−カルボニル、複素環チオカルボニル等が好ましく用いられる。
「低級アルキルチオ−カルボニル」としては、例えば前記した「低級アルコキシカルボニル」の「低級アルコキシ」部分を「低級アルキルチオ」に変換した基などが用いられ、中でもメチルチオ−カルボニル、エチルチオ−カルボニル、プロピルチオ−カルボニル等のC1−3アルキルチオ−カルボニル等が好ましい。
該「低級アルキルチオ−カルボニル」は「低級アルキルチオ」の「低級アルキル」部分に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
「アリールチオ−カルボニル」としては、例えばフェニルチオ−カルボニル、1−ナフチルチオ−カルボニル、2−ナフチルチオ−カルボニル等のC7−12アリールチオ−カルボニル等が好ましい。
「アラルキルチオ−カルボニル」としては、例えばベンジルチオ−カルボニル、フェネチルチオ−カルボニル等のC7−15アラルキルチオ−カルボニル等(好ましくは、C6−10アリール−C1−4アルキルチオ−カルボニルなど)が好ましい。「複素環チオカルボニル」における複素環としては、前記した「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様のものなどが用いられ、例えば、ピリジル、キノリル、インドリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル等が好ましく用いられる。
該「アリールチオ−カルボニル」、「アラルキルチオ−カルボニル」および「複素環チオ−カルボニル」は置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
R1としては、置換されていてもよいアミノ基または置換されていてもよい非芳香族複素環基であるのが好ましい。
R2がエステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基または置換されていてもよいカルバモイル基である場合、R1は、ヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいアミノ基またはシアノ基であるのが好ましい。
【0038】
前記式(I)中、R2は、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基およびエステル化されていてもよいカルボキシル基から選ばれた置換基を有していてもよい炭化水素基;アシル基;エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基;置換されていてもよいカルバモイル基;または置換されていてもよいアミノ基を示す。
R2が「エステル化されていてもよいカルボキシル基」である場合は、R2としては、置換されていてもよいフェニル基(「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としての「フェニル基」が有していてもよい置換基と同様の基などを有していてもよいフェニル基など)および置換されていてもよいピリジル基(「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としての「ピリジル基」が有していてもよい置換基と同様の基などを有していてもよいピリジル基など)から選ばれた置換基で置換されていてもよいアルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基であることが好ましく、
R2が「置換されていてもよいカルバモイル基」である場合、置換されていてもよいフェニル基(「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としての「フェニル基」が有していてもよい置換基と同様の基などを有していてもよいフェニル基など)および置換されていてもよいピリジル基(「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としての「ピリジル基」が有していてもよい置換基と同様の基などを有していてもよいピリジル基など)から選ばれた置換基で置換されていてもよいアルキルで置換されていてもよいカルバモイル基であることが好ましい。
R2が「チオエステル化されていてもよいカルボキシル基」である場合は、置換されていてもよいピリジル基(「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としての「ピリジル基」が有していてもよい置換基と同様の基などを有していてもよいピリジル基など)でチオエステル化されていてもよいカルボキシル基であることが好ましい。
また、R2が「置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基およびエステル化されていてもよいカルボキシル基から選ばれた置換基を有していてもよい炭化水素基」である場合は、1−ヒドロキシC1−8アルキル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基で置換されたC2−4アルケニル基(好ましくは、ビニル基など)などが好ましい。
R2としてはアシル基が特に好ましい。R2がアシル基である場合、R2としては−C(=O)−RA(ここで、RAは水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す)が好ましい。−C(=O)−RAとしては、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、クロトニル、ベンゾイル、ニコチノイル、イソニコチノイル、トリフルオロアセチル、(2Z)−3−アミノブタ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノペンタ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノオクタ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−4−メチルペンタ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−エトキシカルボニルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−フェニルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−ピリジン−3−イルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−ピリジン−4−イルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−(1,3−チアゾール−4−イル)プロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−イソオキサゾール−4−イルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−イソオキサゾール−5−イルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−4−フェニルブタ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−(2−チエニル)プロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−(2−フリル)プロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−(3−チエニル)プロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−(3−フリル)プロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−ピラジン−2−イルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロパ−2−エノイルなどが挙げられ、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリルなどのRAが低級(C1−7)アルキル基または(2Z)−3−アミノブタ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノペンタ−2−エノイルなどのRAが式
【0039】
【化6】
【0040】
(式中、RA’はC1−5アルキル基またはエステル化されていてもよいカルボキシル基を示す。)で表される基である−C(=O)−RAがより好ましい。
R2としては、メトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ジメチルカルバモイル基、ヒドロキシメチル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピリジルメチルオキシカルボニル基、ピリジルメチルカルバモイル基、ピリジルチオカルボニル基、アミノ基または(2Z)−3−アミノブタ−2−エノイル基などが好ましく用いられ、そのなかでも、メトキシカルボニル基、ピリジルメチルオキシカルボニル基、ジメチルカルバモイル基、ピリジルメチルカルバモイル基、ヒドロキシメチル基、ピリジルチオカルボニル基、アミノ基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基または(2Z)−3−アミノブタ−2−エノイル基などが特に好ましく用いられる。
【0041】
上記式(I)中、R2がエステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基または置換されていてもよいカルバモイル基の場合、環Bが有していてもよい置換基の数は2個以下であり、かつ、以下の化合物は除かれる:
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−(2−メトキシエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(2−メトキシエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ブロモ−2−ブチル−3−ヒドロキシメチル−4−フェニル−2H−イソキノリン−1−オン、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−3−ヒドロキシメチル−4−フェニル−2H−イソキノリン−1−オン、
6−ブロモ−2−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−ニトロフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−シアノフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−シクロプロピルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−2−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−3−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−2−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
2−(1−アセチルピペリジン−4−イルメチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
2−(1−アセチルピペリジン−3−イルメチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−メチルカルバモイルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[1−(3−カルボキシプロピオニル)ピペリジン−4−イルメチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[1−(4−カルボキシブチリル)ピペリジン−4−イルメチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、および
6−クロロ−2−エチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル。
【0042】
上記式(I)で表される化合物またはその塩〔以下、特に区別しない限り、上記式(I)で表される化合物およびその塩を化合物(I)と称することがある〕のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解などを起こして化合物(I)に変化する化合物をいう。化合物(I)のプロドラッグとしては、化合物(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例えば、化合物(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物など)、化合物(I)の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例えば、化合物(I)の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など)、あるいは、化合物(I)のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、化合物(I)のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。
また化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
化合物(I)の塩としては、薬理学的に許容しうる塩等が挙げられ、例えばトリフロロ酢酸、酢酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ホスホン酸、塩酸、硝酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、スルファミン酸、硫酸等の酸との酸付加塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属塩、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン等の有機塩等が挙げられる。
化合物(I)の光学的に活性な形態が必要とされる場合、例えば、光学的に活性な出発物質を使用して、あるいは従来の方法を使用する該化合物のラセミ形態の分割によって得ることができる。
【0043】
化合物(I)は、例えば、以下に示す方法で製造することができる。以下の反応式に記載された各化合物は、反応を阻害しないのであれば、塩を形成していてもよく、かかる塩としては、化合物(I)の塩と同様なものが挙げられる。
方法A
【0044】
【化7】
【0045】
〔式中、R2’はエステル化されていてもよいカルボキシル基またはアシル基を示し、その他の記号は前記と同意義を示す。〕
【0046】
方法B
【0047】
【化8】
【0048】
〔式中、Lは脱離基(例、ハロゲン原子(例、塩素、臭素、ヨウ素など)、式RL−SO2−O−(式中、RLはハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基などを示す)で表される基など)を示し、他の記号は前記と同意義を示す。〕
【0049】
方法C
【0050】
【化9】
【0051】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕
【0052】
方法D
【0053】
【化10】
【0054】
〔式中、OTfはトリフラート基を示し、Yはクロスカップリング反応可能な原子団基(例えば、ホウ素、スズ、マグネシウム等で結合する原子団基等)を示し、他の記号は前記と同意義を示す。〕
【0055】
方法A
化合物(I)のR2がエステル化されていてもよいカルボキシル基またはアシル基である場合、式(II)
【0056】
【化11】
【0057】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(II)又はその塩と式(III)H2N−X−R1〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表されるアミノ化合物(III)又はその塩とを反応させた後、脱水させることによって化合物(Ia)を製造することができる。
【0058】
本反応は無溶媒または溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。このような溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテル等のエーテル類、例えばギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等のほか、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミド、水等が単独又は混合溶媒として用いられる。
【0059】
本反応は塩基の存在下に行うのが好ましく、そのような塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、例えばトリエチルアミン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、ルチジン、γ−コリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等のアミン類が用いられる。
反応は化合物(II)1モルに対して化合物(III)を約1〜約20モル、好ましくは約1〜約5モル用いる。
反応温度は約−20℃〜約150℃、好ましくは約10℃〜約80℃である。反応時間は化合物(II)及び(III)の種類、溶媒の種類、反応温度等により異なるが、通常約1分〜約72時間、好ましくは約15分〜約24時間である。
【0060】
また本反応の脱水工程は、条件によっては化合物(II)と化合物(III)の反応工程で完了することもあるが、通常は酸を用いて脱水させる。かかる酸としては、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸類、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、過塩素酸などの鉱酸類、例えば塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素エーテラート、四塩化チタンなどのルイス酸類などが用いられる。
脱水工程に用いられる溶媒は反応を阻害しない溶媒が適宜選択され、このような溶媒としては、化合物(II)と化合物(III)の反応で用いる溶媒が用いられる。
反応温度は約−20℃〜約200℃、好ましくは約0℃〜約120℃である。反応時間は反応条件により異なるが、通常約1分〜約72時間、好ましくは約15分〜約15時間である。
【0061】
方法B
式(IV)
【0062】
【化12】
【0063】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物(IV)又はその塩と式(V)L−X−R1〔式中の記号は、Lは脱離基(例、ハロゲン原子(例、塩素、臭素、ヨウ素など)、式RL−SO2−O−(式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(V)又はその塩を反応させることにより化合物(I)を製造することができる。
【0064】
本法は化合物(IV)又はその塩を、化合物(V)又はその塩(無機塩、有機塩等)を用いてアルキル化反応することにより行われる。
【0065】
前記式中、RLで示される「ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基」における低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等のC1−6アルキル基が挙げられ、中でもメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル等のC1−4アルキル基が好ましい。RLで示される「ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)で置換された低級アルキル基」としては、例えばトリクロロメチル、トリフルオロメチル等が挙げられる。
【0066】
RLで示されるフェニル基の置換基としては、例えば低級アルキル基(前記したRLで示される低級アルキル基と同様の基)、低級アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ等のC1−6アルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基等が用いられる。
【0067】
本反応は一般に溶媒中、塩基の存在下に行われる。本反応に用いる塩基としては、例えば水素化カリウム、水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属類、例えばリチウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の炭素数1〜6の金属アルコキシド類、例えば水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、例えばトリエチルアミン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、ルチジン、γ−コリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機アミン類、2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンならびにその樹脂等が用いられる。
【0068】
またかかる溶媒としては反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。このような溶媒としては例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテル等のエーテル類、例えばギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等のほか、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミド、水等が単独又は混合溶媒として用いられる。
反応は化合物(IV)1モルに対して化合物(V)を約1〜約5モル、好ましくは約1〜約2モル用いる。
反応温度は約−50℃〜約150℃、好ましくは約−20℃〜約100℃である。
反応時間は化合物(IV)及び(V)の種類、溶媒及び塩基の種類、反応温度等により異なるが、通常約1分間〜約100時間、好ましくは約15分間〜約48時間である。
【0069】
方法C
式(VI)
【0070】
【化13】
【0071】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(VI)又はその塩を分子内環化させることによって化合物(I)を製造することができる。
本環化反応は化合物(VI)又はその塩を塩基で処理することにより行われる。
【0072】
本法の反応は一般に溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。このような溶媒としては例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテル等のエーテル類、例えばギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等のほか、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミド、水等が単独又は混合溶媒として用いられる。
【0073】
また本反応に用いる塩基としては、例えば水素化カリウム、水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属類、例えばリチウムエトキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の炭素数1〜6の金属アルコキシド類、例えば水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、例えばトリエチルアミン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、ルチジン、γ−コリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機アミン類、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの有機リチウム類、リチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミド類等が用いられる。
【0074】
反応は化合物(VI)1モルに対して塩基を約0.01〜約100モル、好ましくは約0.1〜約3モル用いる。
反応温度は約−80℃〜約200℃、好ましくは約−20℃〜約100℃である。
反応時間は化合物(VI)、塩基の種類、溶媒の種類、反応温度等により異なるが、通常約1分〜約72時間、好ましくは約15分〜約24時間である。
【0075】
方法D
式(VII)
【0076】
【化14】
【0077】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(VII)又はその塩と式(VIII)
【0078】
【化15】
【0079】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(VIII)又はその塩とを反応させて、化合物(Ia)を製造することができる。
【0080】
本法は化合物(VII)又はその塩と化合物(VIII)又はその塩とを金属触媒存在下にクロスカップリング反応(例えば、鈴木カップリング反応、Stilleカップリング反応等)させることにより、化合物(Ia)を製造する。
【0081】
本反応は通常塩基存在下に行い、かかる塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属類、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属類、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化アルカリ土類金属類、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ金属類、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素アルカリ金属などの無機塩基類、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド等の炭素数1〜6の金属アルコキシド類、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの有機塩基類、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの有機リチウム類、リチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミド類等が用いられる。
【0082】
本反応は一般に溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。このような溶媒としては例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテル等のエーテル類、例えばギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等のほか、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミド、水等が単独又は混合溶媒として用いられる。
【0083】
本クロスカップリング反応は、一般に金属触媒を用いて反応を促進させることができる。かかる金属触媒としては、さまざまな配位子を有する金属複合体が用いられ、例えばパラジウム化合物〔例、パラジウムアセテート、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、酢酸パラジウム(II)と1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンとの複合体など〕、ニッケル化合物〔例、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、塩化ビス(トリエチルホスフィン)ニッケル、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルなど〕、ロジウム化合物〔例、塩化トリ(トリフェニルホスフィン)ロジウムなど〕、コバルト化合物、白金化合物などが用いられるが、なかでも、パラジウム化合物やニッケル化合物が好ましい。これらの触媒の使用量は化合物(VII)1モルに対して約1〜0.000001モル、好ましくは約0.1〜0.0001モルである。
【0084】
反応は化合物(VII)1モルに対して、化合物(VIII)約0.8〜10モル、好ましくは約0.9〜2モル、塩基約1〜約20モル、好ましくは約1〜約5モルが用いられる。
反応温度は約−10℃〜約250℃、好ましくは約0℃〜約150℃である。反応時間は化合物(VII)、化合物(VIII)、金属触媒、塩基及び溶媒の種類、反応温度等により異なるが、通常約1分間〜約200時間、好ましくは約5分間〜約100時間である。
【0085】
方法E
化合物(I)のR2がカルボキシル基である式(Ic)
【0086】
【化16】
【0087】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Ic)は、前記した方法Aにより製造されるが、化合物(Ic)のカルボキシル基を自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いて修飾することで様々な誘導体を製造することができる。以下に具体例を挙げて説明する。
【0088】
1)化合物(Ic)をエステル化することで、式(Id)
【0089】
【化17】
【0090】
〔式中、R5は置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を示し、その他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Id)を製造することができる。
【0091】
本エステル化反応は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いることができ、例えば、化合物(Ic)をR5−Q〔Qは脱離基(例、ハロゲン原子(例、塩素、臭素、ヨウ素など)、式RQ−SO2−O−(式中、RQはハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基などの前記RLと同様な基などを示す)で表される基などを示す〕で表される化合物と塩基存在下に反応させる方法、化合物(Ic)をR5−OHで表されるアルコール類と酸触媒存在下に反応させる方法、縮合剤〔例えばカルボジイミド類(DCC、WSC、DIC等)、りん酸誘導体(例えばシアノりん酸ジエチル、アジ化りん酸ジフェニル、BOP−Cl等)等〕を用いて縮合する方法、あるいはトリフェニルホスフィンとアゾジカルボン酸ジエチル等の試薬を用いる光延反応、さらには化合物(Ic)の反応性誘導体(例えば、酸ハライド、活性エステル、酸アジド等)を塩基存在下にR5−OHで表されるアルコール類と反応させる方法等を用いることができる。
【0092】
2)化合物(Ic)を還元することで、式(Ie)
【0093】
【化18】
【0094】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Ie)を製造することができる。
【0095】
本還元反応は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いることができ、例えば、化合物(Ic)またはその反応性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、活性エステル、エステル、酸イミダゾリド、酸アジド等)を還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ジボラン等)を用いて還元する方法等を用いることができる。
【0096】
3)化合物(Ic)をアミド化することで、式(If)
【0097】
【化19】
【0098】
〔式中、R6およびR7はそれぞれ水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいアミノ基又は置換されていてもよいヒドロキシ基を示し、その他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(If)を製造することができる。
【0099】
本アミド化反応は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いることができ、例えば、化合物(Ic)とアミンに縮合剤〔例えばカルボジイミド類(DCC、WSC、DIC等)、りん酸誘導体(例えばシアノりん酸ジエチル、DPPA、BOP−Cl等)等〕を用いる方法、あるいは化合物(Ic)の反応性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、活性エステル、エステル、酸イミダゾリド、酸アジド等)をアミンと反応させる方法等を用いることができる。
【0100】
4)化合物(Ic)のカルボキシル基をアミノ基に変換することで、式(Ig)
【0101】
【化20】
【0102】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Ig)を製造することができる。
【0103】
本変換反応は、Curtius転位、Hofmann反応、Schmidt反応のような自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いることができ、例えば、化合物(Ic)またはその反応性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、活性エステル、エステル、酸イミダゾリド等)より酸アジド体に変換し、熱転位によりイソシアネート体を生成させ、そのイソシアネート体を直接加水分解するか、あるいはアルコール類と反応させて生じたアミンのカルバメート型保護基を脱保護する方法を用いることができる。
【0104】
方法F
式(Ih)
【0105】
【化21】
【0106】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Ih)のイソキノリノン6位の置換基R3は、式(Ii)
【0107】
【化22】
【0108】
〔式中、Halはハロゲン原子を示し、その他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Ii)のイソキノリノン6位のハロゲン原子をさまざまな置換基R3に変換させることで製造可能である。
【0109】
本変換反応は、アミン、アルコキシドおよびチオラートを用いた求核付加反応、および金属触媒を用いた各種カップリング反応(鈴木カップリング反応、Heck反応、Stilleカップリング反応、Buchwaldのアミノ化反応、一酸化炭素を用いたカルボニル挿入反応等)のような自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いることにより行うことができる。例えば、化合物(Ii)のハロゲン原子がフッ素の場合は求核付加反応に適しており、ハロゲン原子がヨウ素、臭素あるいは塩素原子の場合にはカップリング反応に適している。本カップリング反応に用いる金属触媒や溶媒は前記の方法Dと同様のものが用いられる。
【0110】
本カップリング反応で導入できる置換基R3としては、例えば置換されていてもよいアルキル基(例えば、メチル、エチル、ブチルなど)、置換されていてもよいアルケニル基(例えば、ビニル、プロペニル、アリル、2−メトキシカルボニルビニル、スチリルなど)、置換されていてもよいアルキニル基(例えば、エチニル、1−プロピニル、プロパルギルなど)、置換されていてもよいアリール基(例えば、フェニル、ナフチルなど)、置換されていてもよい複素環基(例えば、ピリジル、チエニル、フリル、イミダゾリル基、トリアゾリル基など)、シアノ基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、置換されていてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル基、メチルカルバモイル基など)、置換されていてもよい各種アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ベンジルアミノ基、1−ピペリジノ基、アニリノ基、ピリジルアミノ基など)、置換されていてもよいフェノキシ基、置換されていてもよいフタルイミド−1−イルオキシ基等が挙げられる。
【0111】
方法H
化合物(I)のR1、R2、R3、環Aおよび環Bが有する置換基において、その置換基に変換可能な官能基(例えば、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、チオール基、エステル基、スルホ基、ハロゲン原子など)を有する場合、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって官能基を変換することにより種々の化合物を製造することができる。
【0112】
例えば置換基としてカルボキシル基を有している場合、前記の方法Eで示したようなエステル化、還元、アミド化、保護されていてもよいアミノ基への変換等の反応により種々の基に変換可能である。アミノ基の場合、例えばアミド化、スルホニル化、ニトロソ化、アルキル化、アリール化、イミド化等の反応により種々の基に変換可能である。ヒドロキシ基の場合、エステル化、カルバモイル化、スルホニル化、アルキル化、アリール化、酸化、ハロゲン化等の反応により種々の基に変換可能である。カルボニル基の場合、還元、酸化、イミノ化(オキシム化、ヒドラゾン化を含む)、(チオ)ケタール化、アルキリデン化、チオカルボニル化等の反応により種々の基に変換可能である。チオール基の場合、アルキル化、酸化等の反応により種々の基に変換可能である。エステル基の場合、還元、加水分解等の反応により種々の基に変換可能である。スルホ基の場合、スルホンアミド化、還元等の反応により種々の基に変換可能である。ハロゲン原子の場合、各種求核置換反応、各種カップリング反応等により種々の基に変換可能である。
【0113】
上述の製造方法A〜Dにおいて用いられた原料化合物(II)、(IV)、(VI)および(VII)は、例えば以下に示すように自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造することができる。
【0114】
方法I
式(II)
【0115】
【化23】
【0116】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表されるイソクマリン化合物(II)又はその塩は、例えば、J. Med. Chem., 38:3106−20(1995)に記載の方法などに準じて、式(IX)
【0117】
【化24】
【0118】
(式中の記号は前記と同意義を示す。)で表わされる化合物(IX)またはその塩と式(X)
【0119】
【化25】
【0120】
〔式中、Zは脱離基(例、ハロゲン原子(例、塩素、臭素、ヨウ素など)、式RZ−SO2−O−(式中、RZはハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基などの前記RLと同様な基などを示す)で表される基などを示し、R8は低級(C1−6)アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル基等)を示す。〕で表される化合物(X)又はその塩とを塩基存在下に反応させ、つづいて酸性条件にて脱水ならびに脱炭酸させてイソクマリン化合物(II)の3位がカルボキシル基の化合物を製造することができる。また、所望によりそのカルボン酸をエステル化することにより3位エステル体を製造することができる。
【0121】
方法J
式(IV)
【0122】
【化26】
【0123】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(IV)又はその塩は、式(II’)
【0124】
【化27】
【0125】
〔式中、記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物(II’)又はその塩とアンモニアを反応させた後、酸性条件下で脱水させることで製造することができる。
【0126】
方法K
式(VI)
【0127】
【化28】
【0128】
〔式中、記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(VI)又はその塩は、式(IX)
【0129】
【化29】
【0130】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物(IX)又はその塩あるいはその反応性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、活性エステル、エステル、酸イミダゾリド、酸アジド等)を式(XI)
【0131】
【化30】
【0132】
〔式中、記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物(XI)又はその塩と反応させることにより製造することができる。
【0133】
本反応はアミド化反応であり、化合物(IX)の反応性誘導体、反応条件、反応溶媒、反応時間等は、前記の方法E−3で説明した方法に準じて行われる。
【0134】
方法L
式(VII)
【0135】
【化31】
【0136】
〔式中、記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(VII)又はその塩はたとえば次に示す方法により製造できる。
式(XII)
【0137】
【化32】
【0138】
〔式中、R9は置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示し、他の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物(XII)またはその塩あるいはその反応性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、活性エステル、エステル、酸イミダゾリド、酸アジド等)を式(XI)
【0139】
【化33】
【0140】
〔式中、記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物(XI)またはその塩と反応させることにより、式(XIII)
【0141】
【化34】
【0142】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表されるアミド化合物(XIII)またはその塩を製造することができる。
【0143】
本反応はアミド化反応であり、化合物(XII)の反応性誘導体、反応条件、反応溶媒、反応時間等は、前記の方法E−3で説明した方法に準じて行われる。
【0144】
得られた化合物(XIII)またはその塩を、前記の方法Cと同様の方法により分子内環化反応を行うことにより、式(XIV)
【0145】
【化35】
【0146】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(XIV)又はその塩を製造することができる。
【0147】
化合物(XIV)またはその塩を塩基存在下にトリフラート化試薬(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アニリン等)と反応させることにより、化合物(VII)又はその塩を製造することができる。
【0148】
本反応で用いる塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム、などの水素化アルカリ金属類、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属類、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化アルカリ土類金属類、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ金属類、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素アルカリ金属などの無機塩基類、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド等の炭素数1〜6の金属アルコキシド類、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの有機塩基類、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの有機リチウム類、リチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミド類が好んで用いられる。
【0149】
本反応は一般に溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。このような溶媒としては例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテル等のエーテル類、例えばギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等のほか、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミド、水等が単独又は混合溶媒として用いられる。
【0150】
方法M
化合物(I)のR2がアシル基である化合物中、式(Ik)
【0151】
【化36】
【0152】
〔式中、R10は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、R11は置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基またはエステル化されていてもよいカルボキシル基を示し、他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Ik)は、前記した方法A〜Cにより製造される式(Im)
【0153】
【化37】
【0154】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Im)から自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いて製造することができる。
【0155】
例えば、化合物(Im)を自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いてハロゲン化して式(In)
【0156】
【化38】
【0157】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(In)に変換した後、化合物(In)を式(XV)
R11CSNH2(XV)
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(XV)と反応させることにより、化合物(Ik)を製造することができる。
【0158】
ハロゲン化反応は、化合物(Im)をハロゲン類又は金属ハロゲン化物で処理することにより行うことができる。本反応は、所望により塩基の存在下で行う。
【0159】
ハロゲン類又は金属ハロゲン化物の使用量は、化合物(Im)1モルに対し、約1〜約10モル、好ましくは約1〜約3モルである。
【0160】
該「ハロゲン類」としては、臭素、塩素、ヨウ素等が用いられる。
【0161】
該「金属ハロゲン化物」としては、臭化銅(II)、塩化銅(II)等のハロゲン化銅等が用いられる。
【0162】
塩基の使用量は、化合物(Im)1モルに対し、約1〜約10モル、好ましくは約1〜約3モルである。
【0163】
該「塩基」としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム等の無機塩基類、ピリジン、ルチジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の有機塩基類等が用いられる。 本反応は、無溶媒中又は反応に不活性な溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、エーテル類、エステル類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、アミド類、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、スルホキシド類、有機酸類、水、芳香族アミン類等が単独又は混合溶媒として用いられる。
【0164】
反応温度は、約−20〜約150℃、好ましくは約0〜約100℃である。反応時間は、通常約5分〜約72時間、好ましくは約10分〜約24時間である。
【0165】
化合物(In)は反応液のまま、あるいは粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等の分離手段により容易に精製することができる。
【0166】
化合物(In)と化合物(XV)との反応は、所望により塩基の存在下にて行う。
化合物(XV)の使用量は、化合物(In)1モルに対し、約0.5〜約10モル、好ましくは約0.8〜約5モルである。
【0167】
塩基の使用量は、化合物(In)1モルに対し、約1〜約30モル、好ましくは約1〜約10モルである。
該「塩基」としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム等の無機塩基類、例えばピリジン、ルチジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の有機塩基類等が用いられる。
【0168】
本反応は、無溶媒中又は反応に不活性な溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、ハロゲン化炭化水素類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、アミド類、アルコール類、ニトリル類等が単独又は混合溶媒として用いられる。
反応温度は、約−5〜約200℃、好ましくは約5〜約150℃である。反応時間は、通常約5分〜約72時間、好ましくは約0.5〜約48時間である。
【0169】
方法N
方法Mで用いる化合物(XV)は、市販品を購入するか、あるいは以下に示す自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造することができる。
例えば化合物(XV)は、式(XVI)
R11CN(XVI)
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(XVI)を塩基の存在下、硫化水素もしくはアンモニウムスルフィドで処理することによって得られる。
【0170】
硫化水素またはアンモニウムスルフィドの使用量は、化合物(XVI)1モルに対し、約1モル〜約30モルである。
【0171】
塩基の使用量は、化合物(XVI)1モルに対し、約1〜約30モル、好ましくは約1〜約10モルである。
該「塩基」としては、例えばピリジン、ルチジン等の芳香族アミン類、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の3級アミン類、アンモニア又はこれら二種以上の混合物等が用いられる。
【0172】
本反応は、無溶媒中又は反応に不活性な溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、アルコール類、ハロゲン化炭化水素類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、芳香族アミン類、アミド類、スルホキシド類、水等が単独又は混合溶媒として用いられる。
本反応は、常圧又は加圧下で行われる。反応温度は、通常約−20〜約80℃、好ましくは約−10〜約50℃である。反応時間は、通常約5分〜約72時間、好ましくは約0.5〜約48時間である。
化合物(XV)は反応液のまま、あるいは粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等の分離手段により容易に精製することができる。
【0173】
また、化合物(XV)は、式(XVII)
R11CONH2(XVII)
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(XVII)に五硫化リン又はローソン(Lawesson)試薬等の硫黄化試薬を反応させることによっても得られる。
【0174】
硫黄化試薬の使用量は、化合物(XVII)1モルに対して、約0.5〜約10モル、好ましくは約0.5〜約3モルである。
本反応は、無溶媒中又は反応に不活性な溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、エーテル類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、芳香族アミン、ハロゲン化炭化水素類等が単独又は混合溶媒として用いられる。
反応時間は、通常10分〜約50時間、好ましくは約30分〜約12時間である。反応温度は、通常約0〜約150℃、好ましくは約20〜約120℃である。
化合物(XV)は反応液のまま、あるいは粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等の分離手段により容易に精製することができる。
【0175】
上述の製造方法A〜Nにおいて用いられた原料化合物(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XVI)および(XVII)は市販品を購入するか、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造することができる。
【0176】
前記本発明の各反応によって化合物が遊離の状態で得られる場合には、常法に従って塩に変換してもよく、また塩として得られる場合には、常法に従って遊離体又はその他の塩に変換することもできる。
【0177】
また、前記した化合物(I)の製造法の各反応および原料化合物合成の各反応において、原料化合物が置換基としてアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基を有する場合、これらの基にペプチド化学などで一般的に用いられるような保護基が導入されたものであってもよく、反応後に必要に応じて保護基を除去することにより目的化合物を得ることができる。
【0178】
アミノ基の保護基としては、例えば、ホルミル、置換基を有していてもよい、C1−6アルキルカルボニル(例えば、アセチル、エチルカルボニルなど)、フェニルカルボニル、C1−6アルキル−オキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(Boc)など)、アリルオキシカルボニル(Aloc)、フェニルオキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、C7−10アラルキル−カルボニル(例えば、ベンジルカルボニルなど)、C7−10アラルキル−オキシカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Z)など)、C7−10アラルキル(例えば、ベンジルなど)、トリチル、フタロイルまたはN,N−ジメチルアミノメチレンなどが用いられる。これらの置換基としては、フェニル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、C1−6アルキル−カルボニル(例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、ブチルカルボニルなど)、ニトロ基などが用いられ、置換基の数は1〜3個程度である。
【0179】
カルボキシル基の保護基としては、例えば、置換基を有していてもよい、C1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、tert−ブチルなど)、アリル、ベンジル、フェニル、トリチルまたはトリアルキルシリルなどが用いられる。これらの置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ホルミル、C1−6アルキル−カルボニル(例えば、アセチル、エチルカルボニル、ブチルカルボニルなど)、ニトロ基などが用いられ、置換基の数は1〜3個程度である。
【0180】
ヒドロキシ基の保護基としては、例えば、置換基を有していてもよい、C1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、tert−ブチルなど)、C7−10アラルキル(例えば、ベンジルなど)、ホルミル、C1−6アルキル−カルボニル(例えば、アセチル、エチルカルボニルなど)、ベンゾイル、C7−10アラルキル−カルボニル(例えば、ベンジルカルボニルなど)、テトラヒドロピラニル、フラニルまたはシリルなどが用いられる。これらの置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、C1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピルなど)、フェニル、C7−10アラルキル(例えば、ベンジルなど)、C1−6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシなど)、ニトロ基などが用いられ、置換基の数は1〜4個程度である。
【0181】
また、保護基の除去方法としては、それ自体公知またはそれに準じた方法が用いられるが、例えば酸、塩基、還元、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウムなどで処理する方法が用いられる。
【0182】
このようにして得られる化合物(I)は、反応混合物から自体公知の手段、例えば抽出、濃縮、中和、濾過、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、分取用高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、中圧分取液体クロマトグラフィー(中圧分取LC)等の手段を用いることによって、単離、精製することができる。
【0183】
化合物(I)の塩は、それ自体公知の手段に従い、例えば化合物(I)が塩基性化合物である場合には無機酸又は有機酸を加えることによって、あるいは化合物(I)が酸性化合物である場合には有機塩基または無機塩基を加えることによって製造することができる。
【0184】
化合物(I)に光学異性体が存在し得る場合、これら個々の光学異性体及びそれら混合物のいずれも当然本発明の範囲に包含されるものであり、所望によりこれらの異性体をそれ自体公知の手段に従い光学分割したり、個別に製造することもできる。
【0185】
また、化合物(I)は水和物であってもよく、水和物及び非水和物のいずれも本発明の範囲に包含されるものである。また、化合物(I)は同位元素(例、3H,14C,35S,125Iなど)などで標識されていてもよい。
【0186】
本発明のイソキノリノン骨格を有するJNK阻害剤は、JNKを選択的に阻害し、また毒性が低く、かつ、副作用も少ないため、安全な医薬品として有用である。本発明のイソキノリノン骨格を有するJNK阻害剤は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト等)に対して、優れたJNK選択的阻害作用を示し、(経口)吸収性、(代謝)安定性等にも優れるため、JNK関連病態または疾患、例えば、慢性または急性心不全、心肥大、拡張型、肥大型または拘束型心筋症、急性心筋梗塞、心筋梗塞予後、急性または慢性心筋炎、左心拡張能不全、左心収縮能不全、高血圧症とそれに合併した腎症・腎炎、糖尿病性腎症、血管内皮機能低下、動脈硬化症または冠血管形成術後再狭窄などの循環器系疾患、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、痛風、気管支炎、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性大腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃炎、食道炎、多発性硬化症、湿疹、皮膚炎、肝炎、糸球体腎炎などの炎症性疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー疾患、肥満症、糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、乾癬、癌、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、てんかん、筋萎縮性側索硬化症、末梢神経障害などの神経変性疾患、脊椎損傷、脳卒中、脳血管障害、心臓、腎臓、肝臓および脳から選ばれる臓器の虚血障害、虚血再灌流障害、自己免疫性疾患、臓器不全、エンドトキシンショックまたは移植後の拒絶などの予防・治療剤として用いることができる。好ましくは、慢性または急性心不全、心肥大、心筋梗塞予後、急性または慢性心筋炎、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、炎症性腸疾患、喘息、虚血再灌流障害、臓器不全、脳卒中、脳血管障害、臓器移植後の拒絶等の予防・治療剤である。
【0187】
本発明の化合物(I)を上記各疾患に適用する際には、それら疾患に通常用いられる薬剤または治療法と適宜併用することが可能である。例えば、急性または慢性心不全においては、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(例、アラセプリル、カプトプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、リジノプリル、テモカプリル、トランドラプリル、キナプリル、イミダプリル、ベナゼプリル、ベリンドプリルなど)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(例、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、フォラサルタンなど)、β受容体拮抗薬(例、プロプラノロール、ナドロール、チモロール、ニプラジロール、ブニトロロール、インデノロール、ペンブトロール、カルテオロール、カルベジロール、ピンドロール、アセブトロール、アテノロール、ビソプロロール、メトプロロール、ラベタロール、アモスラロール、アロチノロールなど)、Ca拮抗薬(例、マニジピン、ニカルジピン、ニルバジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ベニジピン、アムロジピン、アラニジピンなど)、利尿薬(例、ベンチルヒドロクロロチアジド、シクロペンチアジド、エチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ペンフルチアジド、ポリチアジド、トリクロルメチアジドなどのサイアザイド系利尿薬;クロルタリドン、クロフェナミド、インダパミド、メフルシド、メチクラン、ソトラゾン、トリバミド、キネタゾン、メトラゾン、フロセミド、メフルシドなどのループ利尿薬;スピロノラクトン、トリアムテレンなどのカリウム保持性利尿薬など)、ジギタリス製剤(例、ジギトキシン、ジゴキシン、メチルジゴキシン、ラナトシドC、プロスシラリジンなど)、ANPまたはBNP製剤、Ca感受性増強薬(例、ピモベンダンなど)、抗凝固薬(例、ワーファリン、クエン酸ナトリウム、活性化プロテインC、組織因子経路阻害剤、アンチトロンビンIII、ダルテパリンナトリウム、アルガトロバン、ガベキサート、オザクレルナトリウム、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム、アルプロスタジル、ペントキシフィリン、チソキナーゼ、ストレプトキナーゼなど)、抗不整脈薬(例、キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、アジマリン、シベンゾリン、リドカイン、ジフェニルヒダントイン、メキシレチン、プロパフェノン、フレカイニド、ピルジカイニド、フェニトインなどのナトリウムチャンネル遮断薬;アミオダロンなどのカリウムチャンネル遮断薬;ベラパミル、ジルチアゼムなどのカルシウムチェンネル遮断薬など)、PDE阻害薬(例、アムリノン、ミルリノン、塩酸オルプリノンなど)、糖尿病治療薬(例、トルブタミド、クロルプロパミド、グリクロピラミド、アセトヘキサミド、トラザミド、グリベンクラミド、グリブゾールなどのスルホニル尿素剤;塩酸メトホルミン、塩酸ブホルミンなどのビグアナイド剤;ボグリボース、アカルボースなどのα−グルコシダーゼ阻害薬、ピオグリタゾン、トログリタゾンなどのインスリン抵抗性改善薬;インスリン、グルカゴン;エパルレスタットなどの糖尿病性合併症治療薬など)、抗肥満薬等と併用可能であり、埋め込み型人工心臓、埋め込み型除細動器、心室ペーシング術、バチスタ手術、心移植や細胞移植を受けた場合にも適用可能である。また例えば、急性心筋梗塞または心筋梗塞予後においては、抗血栓薬(例、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ワーファリンなどの血液凝固阻止薬;ウロキナーゼなどの血栓溶解薬;アスピリン、スルフィンピラゾン(アンツーラン)、ジピリダモール(ペルサンチン)、アクロピジン(パナルジン)、シロスタゾール(プレタール)、クロピドグレルなどの抗血小板薬など)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、β受容体拮抗薬、糖尿病治療薬、高脂血症治療薬(例、プラバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチンなどのHMG−CoA還元酵素阻害薬;シンフィブラート、クロフィブラートアルミニウム、クリノフィブラート、フェノフィブラートなどのフィブラート系薬剤など)、PTCAやCABGなどの冠血管再建術等と併用可能である。また例えば、慢性関節リウマチにおいては、非ステロイド抗炎症薬(例、アセトアミノフェン、フェナセチン、エテンザミド、スルピリン、アンチピリン、ミグレニン、アスピリン、メフェナム酸、フルフェナム酸、ジクロフェナックナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、プラノプロフェン、フロクタフェニン、エピリゾール、塩酸チアラミド、ザルトプロフェン、メシル酸ガベキサート、メシル酸カモスタット、ウリナスタチン、コルヒチン、プロベネジド、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、アロプリノール、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、塩酸モルヒネ、サリチル酸、アトロピン、スコポラミン、モルヒネ、ペチジン、レボルファイノール、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキシモルフォンまたはその塩など)、免疫調節薬または免疫抑制薬(例、メトトレキサート、シクロスポリン、タクロリムス、グスペリムス、アザチオプリン、抗リンパ血清、乾燥スルホ化免疫グロブリン、エリスロポイエチン、コロニー刺激因子、インターロイキン、インターフェロンなど)、ステロイド(例、デキサメサゾン、ヘキセストロール、メチマゾール、ベタメサゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、プロピオン酸ベクロメタゾン、エストリオールなど)、p38MAPキナーゼ阻害薬、抗TNF−α薬(例、エタナーセプト、インフリキシマブ、D2E7、CDP−571、PASSTNF−α、可溶性TNF−α受容体、TNF−α結合蛋白、抗TNF−α抗体など)、シクロオキシゲナーゼ阻害薬(例、セレコキシブ、ロフェコキシブ、アスピリンなどのサリチル酸誘導体、MK−663、バルデコキシブ、SC−57666、チラコキシブ、S−2474、ジクロフェナック、インドメタシン、ロキソプロフェンなど)等と併用可能である。
【0188】
さらに、本発明の化合物(I)を上記各疾患に適用する際に、生物製剤(例:抗体、ワクチン製剤など)と併用することも可能であり、また、遺伝子治療法などと組み合わせて、併用療法として適用することも可能である。抗体およびワクチン製剤としては、例えば、アンジオテンシンIIに対するワクチン製剤、CETPに対するワクチン製剤、CETP抗体、TNFα抗体や他のサイトカインに対する抗体、アミロイドβワクチン製剤、1型糖尿病ワクチン(Peptor社のDIAPEP−277など)、抗HIV抗体やHIVワクチン製剤などの他、サイトカイン、レニン・アンジオテンシン系酵素およびその産物に対する抗体あるいはワクチン製剤、血中脂質代謝に関与する酵素や蛋白に対する抗体あるいはワクチン製剤、血中の凝固・線溶系に関与する酵素や蛋白に関する抗体あるいはワクチン、糖代謝やインスリン抵抗性に関与する蛋白に対する抗体あるいはワクチン製剤などが挙げられる。その他、GHやIGFなどの成長因子に関わる生物製剤との併用も可能である。また、遺伝子治療法としては、例えば、サイトカイン、レニン・アンジオテンシン系酵素およびその産物、G蛋白、G蛋白共役型受容体およびそのリン酸化酵素に関連する遺伝子を用いた治療法、NFκBデコイなどのDNAデコイを用いる治療方法、アンチセンスを用いる治療方法、血中脂質代謝に関与する酵素や蛋白に関連する遺伝子(例えば、コレステロール又はトリグリセリド又はHDL−コレステロール又は血中リン脂質の代謝、排泄、吸収に関連する遺伝子など)を用いた治療法、末梢血管閉塞症などを対象とした血管新生療法に関与する酵素や蛋白(例えば、HGF、VEGFなどの増殖因子など)に関連する遺伝子を用いた治療法、糖代謝やインスリン抵抗性に関与する蛋白に関連する遺伝子を用いた治療法、TNFなどのサイトカインに対するアンチセンスなどが挙げられる。また、心臓再生、腎再生、膵再生、血管再生など各種臓器再生法や骨髄細胞(骨髄単核細胞、骨髄幹細胞など)を利用した細胞移植療法、組織工学を利用した人工臓器(人工血管や心筋細胞シート)と併用することも可能である。
【0189】
本発明の化合物(I)はそのままあるいは薬理学的に許容される担体を配合し、経口的又は非経口的に投与することができる。
化合物(I)を含有する本発明の製剤は、経口投与する場合の剤形としては、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等が挙げられ、また、非経口投与する場合の剤形としては、例えば注射剤、注入剤、点滴剤、坐剤等が挙げられる。また、適当な基剤(例、酪酸の重合体、グリコール酸の重合体、酪酸−グリコール酸の共重合体、酪酸の重合体とグリコール酸の重合体との混合物、ポリグリセロール脂肪酸エステル等)と組み合わせ徐放性製剤とすることも有効である。
本発明製剤中の化合物(I)の含有量は、製剤の形態に応じて相違するが、通常、製剤全体に対して2〜85重量%、好ましくは5〜70重量%である。
【0190】
化合物(I)を上記の剤形に製造する方法としては、当該分野で一般的に用いられている公知の製造方法を適用することができる。また、上記の剤形に製造する場合には、必要に応じて、その剤形に製する際に製剤分野において通常用いられる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤等を適宜、適量含有させて製造することができる。
【0191】
例えば、化合物(I)を錠剤に製する場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を含有させて製造することができ、丸剤及び顆粒剤に製する場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤等を含有させて製造することができる。また、散剤及びカプセル剤に製する場合には賦形剤等を、シロップ剤に製する場合には甘味剤等を、乳剤又は懸濁剤に製する場合には懸濁化剤、界面活性剤、乳化剤等を含有させて製造することができる。
【0192】
賦形剤の例としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、でんぷん、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
【0193】
結合剤の例としては、5〜10重量%デンプンのり液、10〜20重量%アラビアゴム液又はゼラチン液、1〜5重量%トラガント液、カルボキシメチルセルロース液、アルギン酸ナトリウム液、グリセリン等が挙げられる。
【0194】
崩壊剤の例としては、でんぷん、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0195】
滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、精製タルク等が挙げられる。
【0196】
甘味剤の例としては、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、単シロップ等が挙げられる。
【0197】
界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40等が挙げられる。
【0198】
懸濁化剤の例としては、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ベントナイト等が挙げられる。
【0199】
乳化剤の例としては、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ポリソルベート80等が挙げられる。
【0200】
更に、化合物(I)を上記の剤形に製造する場合には、所望により、製剤分野において通常用いられる着色剤、保存剤、芳香剤、矯味剤、安定剤、粘稠剤等を適量、適量添加することができる。
【0201】
化合物(I)を含有する本発明の製剤は、安定かつ低毒性で安全に使用することができる。その1日の投与量は患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路等によって異なるが、例えば、慢性または急性心不全(拡張型、肥大型または拘束型心筋症)、心筋梗塞予後、急性または慢性心筋炎、慢性関節リウマチなどの患者に経口投与する場合には、成人(体重約60kg)1日当りの投与量は有効成分(化合物(I))として約1〜1000mg、好ましくは約3〜300mg、さらに好ましくは約10〜200mgであり、これらを1回または2〜3回に分けて投与することができる。
【0202】
本発明の化合物(I)を非経口的に投与する場合は、通常、液剤(例えば注射剤)の形で投与する。その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば注射剤の形にして、通常体重1kgあたり約0.01mg〜約100mg、好ましくは約0.01〜約50mg、より好ましくは約0.01〜約20mgを静脈注射により投与するのが好都合である。注射剤としては、静脈注射剤のほか、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などが含まれ、また持続性製剤としては、イオントフォレシス経皮剤などが含まれる。かかる注射剤は自体公知の方法、すなわち、本発明の化合物(I)を無菌の水性液もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製される。注射用の水性液としては生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(例えばエタノール)、ポリアルコール(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えばポリソルベート80、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、ゴマ油、大豆油などがあげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)などと配合してもよい。調製された注射液は、通常、アンプルに充填される。
【0203】
本発明の化合物(I)と他の薬剤を併用する場合、本発明の化合物(I)と併用薬剤の投与形態は特に限定されず、投与時に、本発明の化合物(I)と併用薬剤とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明の化合物(I)と併用薬剤とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明の化合物(I)と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明の化合物(I)と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明の化合物(I)と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明の化合物(I)と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の化合物(I)→併用薬剤の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の化合物(I)と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明の化合物(I)1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。
【0204】
本発明はさらに下記の実施例、製剤例及び実験例で詳しく説明されるが、これらの例は単なる実例であって本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0205】
実施例、参考例における略号の意味は以下のとおりである。
LC−MS:液体クロマトグラフィー−質量分析スペクトル
ESI:エレクトロスプレーイオン化法
DMSO:ジメチルスルホキシド、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、DCM:ジクロロメタン、HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、WSC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、THF:テトラヒドロフラン、DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、M:モル濃度。
【0206】
また、実施例におけるLC−MS分析は以下の条件により測定した。
測定機器:ウォーターズ社 LC−MSシステム
HPLC部:アジレント社 HP1100
MS部:マイクロマス社 ZMD
カラム:CAPCELL PAK C18UG120、S−3μm、1.5×35mm(資生堂)
溶媒:A液;0.05%トリフルオロ酢酸含有水、B液;0.04%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジェントサイクル:0.00分(A液/B液=90/10)、2.00分(A液/B液=5/95)、2.75分(A液/B液=5/95)、2.76分(A液/B液=90/10)、3.60分(A液/B液=90/10)
注入量:2μL、流速:0.5mL/min、検出法:UV220nm
MS条件 イオン化法:ESI
【0207】
また、実施例における分取HPLCによる精製は以下の条件により行った。
機器:ギルソン社ハイスループット精製システム
カラム:YMC CombiPrep ODS−A S−5μm、50×20mm溶媒:A液;0.1%トリフルオロ酢酸含有水、B液;0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジェントサイクル:0.00分(A液/B液=95/5)、1.00分(A液/B液=95/5)、5.20分(A液/B液=5/95)、6.40分(A液/B液=5/95)、6.50分(A液/B液=95/5)、6.60分(A液/B液=95/5)
流速:20mL/min、検出法:UV220nm
【0208】
混合溶媒において( )内に示した数値は各溶媒の容量混合比である。また溶液における%は溶液100ml中のg数を表わす。また参考例、実施例中の記号は次のような意味である。
s :シングレット(singlet)
d :ダブレット(doublet)
t :トリプレット(triplet)
q :クワルテット(quartet)
dd :ダブルダブレット(double doublet)
m :マルチプレット(multiplet)
br :ブロード(broad)
brs :ブロード シングレット(broad singlet)
J :カップリング定数(coupling constant)
CDCl3 :重クロロホルム
DMSO−d6:重ジメチルスルホキシド
1H−NMR :プロトン核磁気共鳴
【0209】
本明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕
プライマーJNK1−Uの塩基配列を示す。
〔配列番号:2〕
プライマーJNK1−Lの塩基配列を示す。
〔配列番号:3〕
プライマーMKK7−Uの塩基配列を示す。
〔配列番号:4〕
プライマーMKK7−Lの塩基配列を示す。
〔配列番号:5〕
プライマーCAM7−Uの塩基配列を示す。
〔配列番号:6〕
プライマーCAM7−Lの塩基配列を示す。
〔配列番号:7〕
プライマーcJUN−Uの塩基配列を示す。
〔配列番号:8〕
プライマーcJUN−Lの塩基配列を示す。
【0210】
【実施例】
参考例1
6−ブロモ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オン
[工程1] 2−ベンゾイル−4−ブロモ安息香酸(5.0g)、N,N−ジメチルホルムアミド(1.2ml)及びトルエン(60ml)の混合物に、室温、攪拌下、塩化チオニル(1.4ml)を加え、50℃にて2時間攪拌した。反応液を冷却後、減圧下に濃縮し、残渣にトルエンを加えて再度濃縮した。ついで、残渣、N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(8.7ml)及びトルエン(50ml)の混合液に、室温、攪拌下、1−アミノブタン−2−オール(1.54g)を加え、90℃にて1時間攪拌した。反応液を冷却後、反応液を水、希塩酸及び飽和食塩水にて順に洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧濃縮し、2−ベンゾイル−4−ブロモ−N−(2−ヒドロキシブチル)ベンズアミドを得た。
[工程2] 工程1で得た2−ベンゾイル−4−ブロモ−N−(2−ヒドロキシブチル)ベンズアミド、トリエチルアミン(12ml)及びジメチルスルホキシド(120ml)の混合物に、室温攪拌下、三酸化硫黄・ピリジン(11.0g)のDMSO溶液(30ml)をゆっくりと滴下し、室温にて2時間撹拌した。反応終了を確認後、系内に氷水を加え、酢酸エチルにて分液抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧濃縮し、2−ベンゾイル−4−ブロモ−N−(2−オキソブチル)ベンズアミドを得た。
[工程3] 工程2で得た2−ベンゾイル−4−ブロモ−N−(2−オキソブチル)ベンズアミドのエタノール溶液(52ml)に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(20ml)を加え、80℃にて2時間撹拌した。反応液を冷却後、系内に酢酸エチルを加えて希釈し、1規定塩酸にて洗浄、硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物をヘキサン/酢酸エチル=4/1より結晶化させ、無色結晶の表題化合物(3.7g)を得た。
1H−NMR (CDCl3): 0.90 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.99 (2H, q, J = 7.2 Hz), 7.25 (1H, m), 7.29−7.35 (2H, m), 7.54−7.61 (3H, m), 7.70 (1H, dd, J = 2.1, 8.4 Hz), 8.36 (1H, d, J = 8.4 Hz), 9.55 (1H, br).
【0211】
参考例2
6−クロロ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オン
参考例1と同様の方法により、2−ベンゾイル−4−クロロ安息香酸から表題化合物を合成した。
1H−NMR (CDCl3): 0.90 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.00 (2H, q, J = 7.2 Hz), 7.09 (1H, d, J = 2.1 Hz), 7.29−7.39 (2H, m), 7.52−7.65 (4H, m), 8.45 (1H, d, J = 8.4 Hz), 9.57 (1H, br). HPLC: 100 % (4.20 min). MS(ESI+):312(M+H),
314.
【0212】
参考例3
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニル−ピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
6−ブロモ−4−フェニル−3−イソクマリンカルボン酸メチルエステル(359mg)のメタノール(10ml)溶液に4−アミノメチルピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(1.07g)を添加後、室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去後、1規定塩酸を注入し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣に4規定塩化水素酢酸エチル溶液(5ml)を加え、室温で10時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去後、1規定水酸化ナトリウム水溶液(10ml)、テトラヒドロフラン(10ml)、二炭酸ジ−tert−ブチル(437mg)を添加後、室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣を酢酸エチルで抽出した。抽出液を、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−へキサン/酢酸エチル=9/1→4/1)で精製して、表題化合物(142mg, 26%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 1.11−1.64 (4H, m), 1.43 (9H, s), 2.03 (1H, m), 2.50−2.72 (2H, m), 3.46 (3H, s), 4.83−4.20 (4H, m), 7.25−7.50 (6H, m), 7.63 (1H, dd, J=1.8, 8.8 Hz), 8.34 (1H, d, J=8.8 Hz).
【0213】
実施例1
2−(3−(6−クロロ−1−オキソ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル)プロピル)イソインドリン−1,3−ジオン
6−クロロ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オン(1.56g)のDMF(50ml)溶液に水素化ナトリウム(60%)(220mg)を添加後室温で10分間攪拌した。2−(3−ブロモプロピル)−イソインドリン−1,3−ジオン(2.01g)を加えた後に8時間攪拌し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−へキサン/酢酸エチル=19/1→3/2)で精製し、表題化合物(135mg, 5%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.55 (3H, t, J=7.2 Hz), 2.17 (4H, m), 3.79 (2H, t, J=6.3 Hz), 3.86−3.99 (2H, m), 7.19−7.29 (3H, m), 7.41−7.49 (4H, m), 7.69−7.74 (2H, m), 7.82−7.91 (2H, m ), 8.39 (1H, d, J=8.7 Hz).
【0214】
実施例2
2−(4−(6−クロロ−1−オキソ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル)ブチル)イソインドリン−1,3−ジオン
6−クロロ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オンと2−(3−ブロモブチル)−イソインドリン−1,3−ジオンから実施例1と同様の方法で表題化合物(395mg, 15%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.75 (3H, t, J=7.2 Hz), 1.66−1.92 (4H, m), 2.23 (2H, q, J=7.2 Hz), 3.73 (2H, t, J=6.8 Hz), 3.84−3.94 (2H, m), 7.16−7.31 (3H, m), 7.42−7.53 (4H, m), 7.67−7.75 (2H, m), 7.79−7.90 (2H, m), 8.40 (1H, d, J=8.5 Hz).
【0215】
実施例3
2−(4−アミノブチル)−6−クロロ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オン塩酸塩
実施例2で得た2−(4−(6−クロロ−1−オキソ−4−フェニル−3−プロピオニル−2(1H)−イソキノリニル)ブチル)イソインドリン−1,3−ジオン(88mg)のトルエン(10ml)懸濁溶液にヒドラジン一水和物(1ml)を添加し、5時間加熱還流した。不溶物を濾取して取り除き、溶媒を減圧留去後、エタノール(20ml)に溶解した。濃塩酸(1ml)を加えて溶媒を減圧留去後、トルエン(10ml)を加えて再濃縮し、ジイソプロピルエーテルから結晶化し、表題化合物(251mg, >99%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.79 (3H, t, J=7.2 Hz), 1.45−1.60 (2H, m), 1.75−1.91 (2H, m), 2.26 (2H, q, J=7.2 Hz), 2.55 (2H, s), 2.75 (2H, t, J=6.9 Hz), 3.80−3.93 (2H, m), 7.19−7.34 (3H, m), 7.42−7.54 (4H, m), 8.43 (1H, d, J=8.7 Hz).
【0216】
実施例4
N−(4−(6−クロロ−1−オキソ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリニル)ブチル)アセトアミド
実施例3で得た2−(4−アミノブチル)−6−クロロ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オン塩酸塩(215mg)とトリエチルアミン(0.3ml)のTHF(10ml)溶液に氷冷下、無水酢酸(0.08ml)を添加後、室温で10時間撹拌した。酢酸エチルと水で分配し、有機層を1規定塩酸、重曹水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−へキサン/酢酸エチル=3/2→0/1)で精製し、表題化合物(194mg, 82%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.79 (3H, t, J=7.1 Hz), 1.51−1.66 (2H, m), 1.75−7.90 (2H, m), 2.25 (2H, q, J=7.1 Hz), 3.33 (2H, q, J=6.6 Hz), 3.78−3.90 (2H, m), 6.09 (1H, s), 7.21−7.33 (3H, m), 7.43−7.57 (4H, m), 8.43 (1H, d, J=8.5 Hz).
【0217】
実施例5
(6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル)アセトニトリル
6−ブロモ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オン(3.2g)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(96ml)に、室温攪拌下、水素化ナトリウム(0.43g)を加え、同温にて20分間攪拌した。次いで、ブロモアセトニトリル(0.71ml)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈し、1規定塩酸にて洗浄、乾燥(MgSO4)後、減圧下に濃縮した。残渣を中圧分取LC(ヘキサン/酢酸エチル=9/1〜2/1)にて精製し、無色結晶の表題化合物(1.0g)を得た。
1H NMR (CDCl3): 0.81 (3H, t, J = 6.9 Hz), 2.26 (2H, q, J = 6.9 Hz), 5.11 (2H, s), 7.26−7.34 (2H, m), 7.45 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.48−7.57 (3H, m), 7.69 (1H, dd, J = 1.8, 8.7 Hz), 8.35 (1H, d, J = 8.7 Hz). MS(ESI+):395(M+H), 397.
【0218】
実施例6
[6−ブロモ−3−(1−ヒドロキシプロピル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]アセトニトリル
(6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル)アセトニトリル(300mg)、メタノール(3ml)及びTHF(3ml)の混合液に、0℃、攪拌下、水素化ホウ素ナトリウム(14mg)を加え、同温にて1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈し、1規定塩酸にて洗浄、乾燥(MgSO4)後、減圧下に濃縮した。残渣を中圧分取LC(ヘキサン/酢酸エチル=9/1〜1/1)にて精製し、無色結晶の表題化合物(0.22g)を得た。
1H NMR (CDCl3)δ: 0.88 (3H, t, J = 7.5 Hz), 1.76−2.03 (2H, m), 2.24 (1H, d, J = 3.9 Hz), 4.68 (1H, m), 5.16 (1H, d, J = 16.8 Hz), 5.62 (1H, d, J = 16.8 Hz), 7.06 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.18 (1H, m), 7.26(1H, m), 7.46−7.64 (4H, m), 8.34 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0219】
実施例7
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニル−ピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(122mg)に4規定塩化水素酢酸エチル溶液(5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣にイソプロピルエーテルを加えて結晶化させて表題化合物(96mg, 89%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.60−2.00 (4H, m), 2.26 (1H, m), 2.75−2.90 (2H, m), 3.38−3.58 (2H, m), 3.50 (3H, s), 3.90−4.00 (2H, m), 7.25−7.52 (6H, m), 7.65 (1H, m), 8.31 (1H, d, J=8.7 Hz).
【0220】
実施例8
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチルから表題化合物(93 mg)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (CDCl3) δ: 1.44 (1H, m), 1.80−2.00 (3H, m), 2.47 (1H, m), 2.75−2.97 (2H, m), 3.32−3.42 (2H, m), 3.50 (3H, s), 3.96 (1H, m), 4.19 (1H, m), 7.23−7.49 (6H, m), 7.67 (1H, dd, J=1.8, 8.7 Hz), 8.31 (1H, d, J=8.7 Hz).
【0221】
実施例9
2−(2−アミノエチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(5.5 g)から表題化合物(化合物1、5.25 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6 + D2O)δ: 3.19 (2H, t, J = 6.3 Hz), 3.54 (3H, s), 4.12 (2H, t, J = 6.3 Hz), 7.20−7.40 (3H, m), 7.45−7.60 (3H, m), 7.80−7.90 (1H,
m), 8.30 (1H, d, J = 8.4 Hz).
【0222】
実施例10
2−(3−アミノプロピル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(5.5 g)から表題化合物(化合物2, 5.32 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6 + D2O)δ: 1.95−2.10 (2H, m), 2.89 (2H, t, J = 7.2 Hz), 3.55 (3H, s), 4.00 (2H, t, J = 7.2 Hz), 7.20−7.35 (3H, m), 7.45−7.60 (3H, m), 7.75−7.85 (1H, m), 8.28 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0223】
実施例11
6−ブロモ−2−[3−(メチルアミノ)プロピル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル (5.0 g)から表題化合物(化合物3, 5.12 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6 + D2O)δ: 2.00−2.20 (2H, m), 2.58 (3H, s), 2.99 (2H, t, J = 7.2 Hz), 3.56 (3H, s), 4.00 (2H, t, J = 7.2 Hz), 7.23 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.35 (2H, m), 7.45−7.60 (3H, m), 7.81 (1H, dd, J = 8.7 Hz, 1.8 Hz), 8.28 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0224】
実施例12
2−(3−アミノ−2,2−ジメチルプロピル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(5.5 g)から表題化合物(化合物4, 3.26 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6 + D2O)δ: 0.96 (3H, s), 1.04 (3H, s), 2.71 (2H, s), 2.83 (2H, s), 3.44 (3H, s), 7.22 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.40 (2H, m), 7.50−7.60 (3H, m), 7.86 (1H, dd, J = 8.8 Hz, 1.8 Hz), 8.31 (1H, d, J = 8.8 Hz).
【0225】
実施例13
2−(4−アミノブチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(5.5 g)から表題化合物(化合物5, 3.19 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6 + D2O)δ: 1.50−1.90 (4H, m), 2.82 (2H, t, J = 7.0 Hz), 3.54 (3H, s), 3.95 (2H, t, J = 7.0 Hz), 7.23 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.40 (2H, m), 7.50−7.65 (3H, m), 7.81 (1H, dd, J = 8.7 Hz, 1.8 Hz), 8.29 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0226】
実施例14
6−ブロモ−2−[2−(メチルアミノ)エチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(5.5 g)から表題化合物(化合物6, 2.97 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6 + D2O)δ: 2.63 (3H, s), 3.29 (2H, t, J = 5.8 Hz), 3.54 (3H, s), 4.24 (2H, t, J = 6.2 Hz), 7.25 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.26−7.40 (2H, m), 7.50−7.60 (3H, m), 7.85 (1H, dd, J = 8.4 Hz, 1.8 Hz), 8.28 (1H, d, J = 8.4 Hz).
【0227】
実施例15
2−[4−(アセチルアミノ)ブチル]−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
2−(4−アミノブチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.4g)、酢酸(43mg)、WSC(0.21g)、HOBt(0.17g)、トリエチルアミン(0.12ml)及びDMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.31g)を得た。
融点:170−172℃
1H NMR (DMSO−d6)δ: 1.34 −1.47 (2H, m), 1.59 −1.73 (2H, m), 1.78 (3H, s), 3.03 (2H, m), 3.51 (3H, s), 3.91 (2H, d, J = 7.5 Hz), 7.20 (1H, d, J = 2.1 Hz), 7.27 − 7.35 (2H, m), 7.46 − 7.57 (3H, m), 7.76 − 7.84 (2H, m), 8.27 (1H, d, J = 8.4 Hz)
【0228】
実施例16
6−ブロモ−2−[3−[(シクロヘキシルカルボニル)アミノ]プロピル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
2−(3−アミノプロピル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.3g)、シクロヘキサンカルボン酸(70.9mg)、WSC(0.16g)、HOBt(0.13g)、トリエチルアミン(0.092ml)及びDMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.23g)を得た。
融点:150−174℃
1H NMR (DMSO−d6)δ:1.05 −1.85 (12H, m), 1.97 − 2.08 (1H, m), 3.03 − 3.12 (2H, m), 3.51 (3H, s), 3.89 (2H, t, J = 6.9 Hz), 7.19 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.26 − 7.35 (2H, m), 7.45 − 7.54 (3H, m), 7.72 − 7.83 (2H, m), 8.25 (1H, d, J = 8.7 Hz)
【0229】
実施例17
2−(3−[[3−(アセチルアミノ)ベンゾイル]アミノ]プロピル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
2−(3−アミノプロピル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.3g)、3−(アセチルアミノ)安息香酸(99mg)、WSC(0.16g)、HOBt(0.13g)、トリエチルアミン(0.092ml)及びDMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.3g)を得た。
融点:220−221℃
1H NMR (DMSO−d6)δ: 1.87 − 2.02 (2H, m), 2.04 (3H, s), 3.43 (3H, s), 3.91 − 4.05 (2H, m), 7.19 (1H, d, J = 1.5 Hz), 7.27 − 7.39 (3H, m), 7.43 − 7.55 (4H, m), 7.73 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.79 (1H, dd, J = 1.8, 8.4 Hz), 7.98 (1H, s), 8.26 (1H, d, J = 8.7 Hz), 8.51 (1H, t, J = 6.8Hz), 10.05 (1H, s).
【0230】
実施例18
6−ブロモ−2−[3−(ヘキサ−5−イノイルアミノ)プロピル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
2−(3−アミノプロピル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.3g)、ヘキサ−5−イン酸(62mg)、WSC(0.16g)、HOBt(0.13g)、トリエチルアミン(0.092ml)及びDMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.27g)を得た。
融点:177−178℃
1H NMR (DMSO−d6)δ: 1.60 −1.72 (2H, m), 1.73 −1.84 (2H, m), 2.10 − 2.20 (4H, m), 2.78 (1H, t, J = 2.7 Hz), 3.04 − 3.14 (2H, m), 3.51 (3H, s), 3.85 − 3.93 (2H, m), 7.19 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.26 − 7.33 (2H, m), 7.43 − 7.57 (3H, m), 7.79 (1H, dd, J = 1.8, 8.7 Hz), 7.91 (1H, t, J = 5.7 Hz), 8.25 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0231】
実施例19
6−ブロモ−2−[3−[ヘキサ−5−イノイル(メチル)アミノ]プロピル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
6−ブロモ−2−[3−(メチルアミノ)プロピル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.3g)、ヘキサ−5−イン酸(60mg)、WSC(0.16g)、HOBt(0.13g)、トリエチルアミン(0.092ml)及びDMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.27g)を得た。融点:127−129℃
1H NMR (DMSO−d6)δ: 1.88 − 2.03 (2H, m), 2.04 (3H, s), 3.13 − 3.52(2H, m), 3.43 (3H, s), 3.30 − 4.04 (2H, m), 7.19 (1H, d, J = 1.5 Hz), 7.14 − 7.39 (3H, m), 7.43 − 7.54 (4H, m), 7.73 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.79 (1H, dd, J = 1.8, 8.4 Hz), 7.98 (1H, s), 8.26 (1H, d, J = 8.7 Hz), 8.51 (1H, t, J = 5.7 Hz), 10.05 (1H, s).
【0232】
実施例20
6−ブロモ−2−[[1−(イソキノリン−3−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]メチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.3g)、イソキノリン−3−カルボン酸(88mg)、WSC(0.15g)、HOBt(0.12g)、トリエチルアミン(0.094ml)及びDMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.22g)を得た。
融点:220−224℃
1H NMR (DMSO−d6)δ: 1.19 − 1.37 (2H, m), 1.46− 1.57 (1H, m), 1.64 −1.76 (1H, m), 2.00 − 2.19 (1H, m), 2.68 − 2.83 (1H, m), 2.92 − 3.07 (1H, m), 3.51 (3H, s), 3.66 − 3.80 (1H, m), 3.03 (2H, m), 3.80 − 4.04 (2H, m), 4.47 − 4.58 (1H, m), 7.20 (1H, s), 7.25 − 7.35 (2H, m), 7.45 − 7.55 (3H, m), 7.72 − 7.87 (3H, m), 8.00 − 8.08 (2H, m), 8.13 − 8.22 (1H, m), 8.22 − 8.29 (1H, m), 9.32 (1H, s).
【0233】
実施例21
6−ブロモ−2−([1−[4−(メチルアミノ)−4−オキソブタ−2−エノイル]ピペリジン−4−イル]メチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.3g)、4−(メチルアミノ)−4−オキソブタ−2−エン酸(66mg)、WSC(0.15g)、HOBt(0.12g),トリエチルアミン(0.11ml)、DMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.21g)を得た。
融点:175−178℃
1H NMR (DMSO−d6)δ: 1.05 −1.30 (2H,m), 1.43 −1.63 (2H, m), 1.92 − 2.08 (1H, m), 2.41 − 2.57 (1H, m), 2.60 (3H, d, J = 4.5 Hz), 2.76 − 2.92 (1H, m), 3.49 (3H, s), 3.55 − 3.67 (2H, m), 3.84 − 3.97 (2H, m), 4.27 − 4.38 (1H, m), 5.94 (1H, d, J = 12.2 Hz), 6.32 (1H, d, J = 12.2 Hz), 7.19 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.27 − 7.36 (2H, m), 7.42 − 7.55 (3H, m), 7.79 (1H, dd, J = 2.1, 9.0 Hz), 8.00 − 8.08 (1H, m), 8.25 (1H, d, J = 8.4 Hz).
【0234】
実施例22
6−ブロモ−2−[1−(シクロペンチルアセチル)ピペリジン−4−イル]メチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
実施例7で得られた化合物の0.12M DMF溶液(500μL、60μmol)にトリエチルアミン(9.3μL)を加え、シクロペンチルメチルカルボン酸の0.18M DCM溶液(400μL、72μmol)およびHOBtとWSCとの0.10M DCM溶液(720μL、72μmol)を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物にDCM(3ml)および5%炭酸水素ナトリウム水溶液(2ml)を加えて抽出し、有機層をフェーズセップチューブ(ワットマン社製)により分取した。溶媒を減圧下に留去して、残渣をDMSO(1ml)に溶かし、分取HPLCにて精製することにより標題化合物を得た。
収量:27.1mg
LC−MS分析:純度 90%(保持時間:2.28分)
MS(ESI+):551(M+H)
【0235】
実施例23〜362
実施例7から実施例14において合成された8種類のイソキノロン骨格を有するアミン誘導体部分に対し、式:Ra−COOH(ここで、Raは
【0236】
【化39】
【0237】
である)で表わされる、48種類の市販品のカルボン酸を用いて、実施例21に記載する方法と同様の方法により反応および後処理を行うことにより、表1に示す実施例23〜362の化合物を得た。
【0238】
【表1】
【0239】
実施例363
2−[6−ブロモ−3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]プロパン酸
DMF(1滴)を、2−ベンゾイル−4−ブロモ安息香酸(3.10 g)、塩化チオニル(7.3 ml)及びTHF(15 ml)の混合液に加え、2時間加熱還流した。溶媒を留去し、残渣をトルエンで2回共沸した。残渣をTHF(45 ml)に溶解し、トリエチルアミン(1.5 ml)及びN−(2−メトキシ−2−オキソエチル)アラニンtert−ブチルエステル(2.17 g)を加え、3日間加熱還流した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:5、1:2)で精製し、N−(2−ベンゾイル−4−ブロモベンゾイル)−N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)アラニンtert−ブチルエステル(3.44 g)を淡黄色油状物として得た。
N−(2−ベンゾイル−4−ブロモベンゾイル)−N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)アラニンtert−ブチルエステル(3.44 g)のアセトニトリル(55 ml)溶液にDBU(2.24 ml)を加え、80℃で16時間攪拌した。冷却後、ヨウ化メチル(0.93 ml)を加え、室温で20時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、残渣をピリジン(50 ml)に溶解した。0℃に冷却し、塩化チオニル(0.62 ml)を滴下した。反応溶液を60℃で2時間攪拌した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、残渣をアセトニトリル(40 ml)に溶解した。次いで、DBU(2.24 ml)を加え、室温で16時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:4、1:3)で精製し、6−ブロモ−2−(2−tert−ブトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(2.8 g)を淡黄色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 1.45 (9H, s), 1.74 (3H, d, J = 6.9 Hz), 3.48 (3H, s), 4.45 (1H, q, J = 6.9 Hz), 7.20−7.50 (6H, m), 7.63 (1H, dd, J = 8.4 Hz, 2.1 Hz), 8.33 (1H, d, J = 8.4 Hz).
6−ブロモ−2−(2−tert−ブトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(4.94 g)に4N HCl−酢酸エチル溶液(50 ml)を加え、室温で62時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣に無水エーテルを加え、沈殿をろ取し、無水エーテルで洗浄し、乾燥すると表題化合物(3.44 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 1.59 (3H, d, J = 6.9 Hz), 3.52 (3H, s), 4.53 (1H, q, J = 6.9 Hz), 7.22 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.60 (5H, m), 7.80 (1H, dd, J = 8.7 Hz, 1.8 Hz), 8.22 (1H, d, J = 8.4 Hz).
【0240】
実施例364
2−[3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]プロパン酸
DMF(3滴)を、2−ベンゾイル安息香酸(7.87 g)、塩化チオニル(25.4 ml)及びTHF(55 ml)の混合液に加え、2時間加熱還流した。溶媒を留去し、残渣をトルエンで2回共沸した。残渣をTHF(150 ml)に溶解し、トリエチルアミン(9.7 ml)及びN−(2−メトキシ−2−オキソエチル)アラニンtert−ブチルエステル(7.56 g)を加え、3日間加熱還流した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:5、1:2)で精製し、N−(2−ベンゾイル−4−ブロモベンゾイル)−N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)アラニンtert−ブチルエステル(12.01 g)を淡黄色油状物として得た。
N−(2−ベンゾイル−4−ブロモベンゾイル)−N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)アラニンtert−ブチルエステル(12.01 g)のアセトニトリル(200 ml)溶液にDBU(8.43 ml)を加え、80℃で16時間攪拌した。冷却後、ヨウ化メチル(3.51 ml)を加え、室温で20時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、残渣をピリジン(219 ml)に溶解した。0℃に冷却し、塩化チオニル(2.73 ml)を滴下後、反応溶液を60℃で2時間攪拌した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、残渣をアセトニトリル(167 ml)に溶解した。次いで、DBU(3.08 ml)を加え、室温で16時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:4、1:3)で精製し、2−(2−tert−ブトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(6.79 g)を淡黄色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 1.45 (9H, s), 1.75 (3H, d, J = 6.9 Hz), 3.47 (3H, s), 4.48 (1H, q, J = 6.9 Hz), 7.18−7.60 (8H, m), 7.40−8.45 (1H, m). 2−(2−tert−ブトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(4.94 g)に4N HCl−酢酸エチル溶液(50 ml)を加え、室温で62時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣に無水エーテルを加え、沈殿をろ取し、無水エーテルで洗浄し、乾燥すると表題化合物(3.44 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 1.60 (3H, d, J = 6.6 Hz), 3.33 (3H, s), 4.51 (1H, q, J = 6.6 Hz), 7.16 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.20−7.80 (7H, m), 8.30 (1H, d, J = 7.8 Hz).
【0241】
実施例365
2−[6−ブロモ−3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]−4−メチルペンタン酸
実施例363と同様の操作によって表題化合物(5.64 g)を合成した。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 0.80 (3H, d, J = 6.6 Hz), 0.87 (3H, d, J = 6.6 Hz), 1.55−1.70 (1H, m), 1.70−1.95 (1H, m), 2.10−2.30 (1H, m), 3.46 (3H, s), 4.50−4.70 (1H, m), 7.22 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.40 (2H, m), 7.40−7.60 (3H, m), 7.81 (1H, dd, J = 8.7 Hz, 1.8 Hz), 8.23 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0242】
実施例366
2−[3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]−4−メチルペンタン酸
実施例363と同様の操作によって表題化合物(6.05 g)を合成した。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 0.80 (3H, d, J = 6.6 Hz), 0.87 (3H, d, J = 6.6 Hz), 1.55−1.75 (1H, m), 1.75−1.95 (1H, m), 2.10−2.30 (1H, m), 3.44 (3H, s), 4.55−4.65 (1H, m), 7.15 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.20−7.40 (2H, m), 7.40−7.60 (3H, m), 7.60−7.80 (2H, m), 8.31 (1H, d, J = 8.4 Hz).
【0243】
実施例367
[6−ブロモ−3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]酢酸
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(4.5 g)、グルシンtert−ブチルエステル塩酸塩(8.38 g)、トリエチルアミン(7.6 ml)メタノール(70 ml)及びTHF(70 ml)の混合物を50℃で4日間攪拌した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:4、1:3)で精製し、6−ブロモ−2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−3−ヒドロキシ−1−オキソ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(6.10 g)を淡黄色油状物として得た。
6−ブロモ−2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−3−ヒドロキシ−1−オキソ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(6.10 g)をピリジン(146 ml)に溶解した。0℃に冷却し、塩化チオニル(1.81 ml)を滴下後、反応溶液を60℃で2時間攪拌した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:4、1:3)で精製し、6−ブロモ−2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(5.50 g)を淡黄色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 1.47 (9H, s), 3.42 (3H, s), 4.83 (2H, s), 7.25−7.50 (6H, m), 7.60−7.65 (1H, m), 8.36 (1H, d, J = 8.4 Hz). 6−ブロモ−2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(5.50 g)にトリフルオロ酢酸(9 ml)を加え、室温で14時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を留去し、残渣に無水エーテルを加え、沈殿をろ取し、無水エーテルで洗浄し、乾燥すると表題化合物(4.35 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 3.45 (3H, s), 4.67 (2H, s), 7.24 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.40 (2H, m), 7.40−7.60 (2H, m), 7.81 (1H, dd, J = 8.7 Hz, 1.8 Hz), 8.25 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0244】
実施例368
[3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]酢酸
1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(5.0 g)、グルシンtert−ブチルエステル塩酸塩(12.8 g)、トリエチルアミン(11.0 ml)メタノール(70 ml)及びTHF(70 ml)混合物を50℃で16時間攪拌した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:3)で精製し、2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−3−ヒドロキシ−1−オキソ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(7.22 g)を淡黄色油状物として得た。
2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−3−ヒドロキシ−1−オキソ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(7.22 g)をピリジン(206 ml)に溶解した。0℃に冷却し、塩化チオニル(2.56 ml)を滴下し、反応溶液を60℃で2時間攪拌した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:4、1:3)で精製し、2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(5.73 g)を淡黄色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 1.47 (9H, s), 3.42 (3H, s), 4.83 (2H, s), 7.25−7.50 (6H, m), 7.60−7.65 (1H, m), 8.36 (1H, d, J = 8.4 Hz). 2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(5.73 g)にトリフルオロ酢酸(11.2 ml)を加え、室温で16時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を留去し、残渣に無水エーテルを加え、沈殿をろ取し、無水エーテルで洗浄し、乾燥すると表題化合物(4.81 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 3.44 (3H, s), 4.68 (2H, s), 7.20 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.25−7.35 (2H, m), 7.40−7.60 (3H, m), 7.60−7.80 (2H, m), 8.34 (1H, d, J = 6.6 Hz).
【0245】
実施例369
3−[6−ブロモ−3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]プロパン酸
実施例367と同様の操作によって表題化合物(7.60 g)を合成した。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 2.70 (2H, t, J = 8.1 Hz), 3.50 (3H, s), 4.11 (2H, t, J = 8.1 Hz), 7.21 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.40 (2H, m), 7.45−7.60 (3H, m), 7.80 (1H, dd, J = 8.4 Hz, 1.8 Hz), 8.26 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0246】
実施例370
3−[3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]プロパン酸
実施例368と同様の操作によって表題化合物(5.65 g)を合成した。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 2.71 (2H, t, J = 8.1 Hz), 3.50 (3H, s), 4.13 (2H, t, J = 8.1 Hz), 7.17 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.25−7.40 (2H, m), 7.40−7.60 (3H, m), 7.60−7.80 (2H, m), 8.30−8.40 (1H, m).
【0247】
実施例371
6−ブロモ−2− [2−(シクロプロピルアミノ)−1−メチル−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル
実施例363で得られた化合物の0.12M DMF溶液(500μL、60μmol)に対し、シクロプロピルアミンの0.18M DCM溶液(400μL、72μmol)およびHOBt、WSCの0.10M DCM溶液(720μL、72μmol)を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物にDCM(3ml)、および5%炭酸水素ナトリウム水溶液(2ml)を加えて抽出し、有機層をフェーズセップチューブ(ワットマン社製)により分取した。溶媒を減圧下に留去して、残渣をDMSO(1ml)に溶かし、分取HPLCにて精製することにより標題化合物を得た。
収量:20.8mg
LC−MS分析:純度 96%(保持時間:2.08分)
MS(ESI+):469(M+H)
【0248】
実施例372〜595
実施例363から実施例370において合成された8種類のイソキノロン骨格を有するカルボン酸誘導体部分に対し、
【0249】
【化40】
【0250】
の、48種類の市販品のアミンを用いて、実施例371に記載する方法と同様の方法により反応および後処理することにより、表2に示す実施例372〜595の化合物を得た。
【0251】
【表2】
【0252】
製剤例1
本発明における式(I)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有するJNK阻害剤(例、慢性または急性心不全、心肥大、心筋梗塞予後、急性または慢性心筋炎、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、炎症性腸疾患、喘息、虚血再灌流障害、臓器不全、脳卒中、脳血管障害の治療剤など)は、例えば次のような処方によって製造することができる。
なお、以下の処方において活性成分以外の成分(添加物)は、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格または医薬品添加物規格における収載品などを用いることができる。
(1)、(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
(1)、(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
(1)、(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
(1)、(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
(1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)の1/2を混和した後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
(1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)の1/2を混和した後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
(1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)の1/2を混和した後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
(1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)の1/2を混和した後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
【0253】
製剤例2
日局注射用蒸留水50mlに実施例4で得られた化合物50mgを溶解した後、日局注射用蒸留水を加えて100mlとする。この溶液を滅菌条件下でろ過し、次にこの溶液1mlずつを取り、滅菌条件下、注射用バイアルに充填し、凍結乾燥して密閉する。
【0254】
実験例1
以下の参考例に記載の遺伝子操作法は、成書(Maniatisら、モレキュラー・クローニング、Cold Spring Harbor Laboratory、1989年)に記載されている方法もしくは試薬の添付プロトコールに記載されている方法に従った。
(1)ヒトJNK1遺伝子のクローニングと組換えバキュロウイルスの調製
ヒトJNK1遺伝子のクローニングは、腎臓cDNA(東洋紡,QUICK−Clone cDNA)を 鋳型とし、Derijard,B.らが報告(Cell ,76, 1025−1037(1994))しているJNK1遺伝子の塩基配列を参考に作製したプライマーセット
JNK1−U:
5’−ACAACTCGAGATAACATATGGCTCATCATCATCATCATCATAGCAGAAGCAAGCGTGACAAC −3’(配列番号:1)
JNK1−L:
5’− TCCCGGGTACCTCACTGCTGCACCTGTGCTAA −3’
(配列番号:2)
を用いたPCR法により行った。
PCR 反応は AmpliWax PCR Gem 100(宝酒造)を用いた Hot Start法で行った。下層混液として、10 x LA PCR Buffer 2 μl、2.5 mM dNTP 溶液 3 μl、12.5μM プライマー溶液各 2.5 μl、25mM MgCl2溶液2μl、滅菌蒸留水 8 μlを混合した。上層混液としては、鋳型としてヒト腎臓cDNA(1 ng/ml)を1 μl、10 x LA PCR Buffer 3 μl、2.5 mM dNTP 溶液 5 μl、25mM MgCl2溶液3μl、TaKaRa LA Taq DNA polymerase(宝酒造) 0.5 μl、滅菌蒸留水 17.5 μlを混合した。調製した下層混液に AmpliWax PCR Gem 100(宝酒造)を 1 個添加し、70℃ で 5分間、氷中で5分間処理後、上層混液を加え PCRの反応液を調製した。反応液の入ったチューブをサーマルサイクラー(パーキンエルマー社)にセットした後、95℃で2分間処理した。さらに、95℃で15秒間、68℃で2分間のサイクルを 35 回繰り返した後、72℃で8分間処理した。得られたPCR産物をアガロースゲル(1%)電気泳動し、JNK1遺伝子を含む1.2 kbのDNA断片をゲルから回収した後、 制限酵素KpnI, XhoI消化し、プラスミドpFASTBAC1 (GIBCO BRL)の4.8kb XhoI−KpnI断片へ挿入したプラスミドpFBJNK1を作製した。プラスミドpFBJNK1とBAC−TO−BAC Baculovirus Expression System (GIBCO BRL)を用いて組換えバキュロウイルスのウイルスストックBAC−HJNK1を調製した。
【0255】
(2)ヒトMKK7遺伝子のクローニングと組換えバキュロウイルスの調製
ヒトMKK7遺伝子のクローニングは、膵臓cDNA(東洋紡,QUICK−Clone cDNA)を 鋳型とし、Foltz,I.N.らが報告(J.Biol.Chem.,273(15),9344−9351 (1998))しているMKK7遺伝子の塩基配列を参考に作製したプライマーセット
MKK7−U:
5’− ACCAGAATTCATAACATATGGCTCATCATCATCATCATCATGCGGCGTCCTCCCTGGAACAG−3’(配列番号:3)
MKK7−L:
5’− ACCCTCTAGACAAGCAGCTACCTGAAGAAGG −3’
(配列番号:4)
を用いたPCR法により行った。
PCR 反応は AmpliWax PCR Gem 100(宝酒造)を用いた Hot Start法で行った。下層混液として、10 x LA PCR Buffer 2 μl、2.5 mM dNTP 溶液 3μl、12.5 μM プライマー溶液各 2.5 μl、25mM MgCl2溶液2μl、滅菌蒸留水 8 μlを混合した。上層混液としては、鋳型としてヒト膵臓cDNA(1 ng/ml)を1 μl、10 x LA PCR Buffer 3 μl、2.5 mM dNTP 溶液 5 μl、25mM MgCl2溶液3μl、TaKaRa LA Taq DNA polymerase(宝酒造) 0.5μl、滅菌蒸留水 17.5μlを混合した。調製した下層混液に AmpliWax PCR Gem 100(宝酒造)を 1 個添加し、70℃ で 5分間、氷中で5分間処理後、上層混液を加え PCRの反応液を調製した。反応液の入ったチューブをサーマルサイクラー(パーキンエルマー社)にセットした後、95℃で2分間処理した。さらに、95℃で15秒間、68℃で2分間のサイクルを 35 回繰り返した後、72℃で8分間処理した。得られたPCR産物をアガロースゲル(1%)電気泳動し、MKK7遺伝子を含む1.3 kbのDNA断片をゲルから回収した後、pT7Blue−T vector(ノバジェン)に挿入し、プラスミドpHMKK7を得た。
Wang,Y.らが報告(J.Biol.Chem.,273(10),5423−5426,1998)している構成的活性型MKK7(271番目のSerをAsp、275番目のThrをAsp)を作製するためにプライマーセット
CAM7−U:
5’− GGCCGCCTGGTGGACGACAAAGCCAAGGACCGGAGCGCCGGCTG−3’
(配列番号:5)
CAM7−L:
5’− CAGCCGGCGCTCCGGTCCTTGGCTTTGTCGTCCACCAGGCGGCC −3’
(配列番号:6)
を用いて、QuikChange Site−Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)により変異を導入し、pcaMKK7を得た。
プラスミドpFASTBAC1 (GIBCO BRL)の4.8kb EcoRI−XbaI断片と上記プラスミドpcaMKK7の1.3kb EcoRI−XbaI断片を連結し、プラスミドpFBcaMKK7を作製した。プラスミドpFBcaMKK7とBAC−TO−BAC Baculovirus Expression System (GIBCO BRL)を用いて組換えバキュロウイルスのウイルスストックBAC−caMKK7を調製した。
【0256】
(3)ヒトcJUN遺伝子のクローニング
ヒトcJUN遺伝子のクローニングは、骨格筋cDNA(東洋紡,QUICK−Clone cDNA)を 鋳型とし、Hattori,K.らが報告(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85(23), 9148−9152 (1988))しているcJUN遺伝子の塩基配列を参考に作製したプライマーセット
cJUN−U:
5’− AAAAGAATTCATGACTGCAAAGATGGAAACGACC−3’
(配列番号:7)
cJUN−L:
5’− AAAAGCGGCCGCTCACAGGCGCTCCAGCTCGGGCGACGC −3’
(配列番号:8)
を用いたPCR法によりcJUNのN末79アミノ酸をコードする遺伝子の増幅を行った。 PCR 反応は AmpliWax PCR Gem 100(宝酒造)を用いた Hot Start法で行った。下層混液として、10 x Pyrobest PCR Buffer 2 μl、2.5 mM dNTP 溶液 3 μl、12.5 μM プライマー溶液各 2.5 μl、滅菌蒸留水 10 μlを混合した。上層混液としては、鋳型としてヒト骨格筋cDNA(1 ng/ml)を1 μl、10 x Pyrobest PCR Buffer 3 μl、2.5 mM dNTP 溶液 2 μl、TaKaRa Pyrobest DNA polymerase(宝酒造) 0.5 μl、滅菌蒸留水 24.5 μlを混合した。調製した下層混液に AmpliWax PCR Gem 100(宝酒造)を 1 個添加し、70℃ で 5分間、氷中で5分間処理後、上層混液を加え PCRの反応液を調製した。反応液の入ったチューブをサーマルサイクラー(パーキンエルマー社)にセットした後、95℃で2分間処理した。さらに、95℃で15秒間、68℃で30秒間のサイクルを 35 回繰り返した後、72℃で8分間処理した。得られたPCR産物をアガロースゲル(1%)電気泳動し、cJUN遺伝子を含む240bpのDNA断片をゲルから回収した後、 制限酵素EcoRI, NotIで消化し、プラスミドpGEX6P−1 (アマシャム・ファルマシア社)の4.9kb EcoRI−NotI断片へ挿入したプラスミドpGEJUNを作製した。
【0257】
(4)活性型JNK1の調製
Sf−21細胞を1x106 cells/mlとなるように10%牛胎児血清を含む100ml Sf−900 II SFM培地(GIBCOBRL)に播種した後、27℃で24時間培養した。組換えバキュロウイルスのウイルスストックBAC−HJNK1とBAC−caMKK7をそれぞれ0.2ml添加した後、さらに60時間培養した。培養液から遠心分離(3000rpm、10min)により、細胞を分離した後、PBSで細胞を2回洗浄した。細胞を10ml Lysis buffer(25mM HEPES (pH 7.5), 1% TritonX, 130mM NaCl, 1mM EDTA, 1mM DTT, 25mM β−glycerophosphate, 20μM leupeptin, 1mM APMSF, 1mM Sodium orthovanadate)に懸濁した後、ホモジナイザー(POLYTRON)で20000rpm、30秒間処理を4回行うことで細胞を破砕した。遠心分離(40000rpm、45分間)して得た上清からAnti−FLAG M2 Affinity Gel (シグマ社)を用いて、活性型JNK1を精製した。
【0258】
(5)組換え型cJUNの調製
プラスミドpGEJUNを大腸菌JM109(東洋紡)へ形質転換して得られたアンピシリン耐性株pGEJUN/JM109を作製した。pGEJUN/JM109株を50μg/mlアンピシリンを含む150mlのLB培地(10g/lトリプトン, 5g/lイーストエキストラクト, 10g/l 塩化ナトリウム)で一晩、200rpm、37℃で培養した。培養液15ml を新鮮なLB培地150mlに添加し、37℃2時間200rpmで培養し、1mM IPTG (和光純薬)を添加してさらに6時間培養した。培養液を8000rpmで10分間遠心して菌体を回収し、PBSで洗浄後、菌体を−80℃で凍結させた。20mlのLysis buffer(B−PER bacterial protein extraction reagent (ピアス)、Protease inhibitor Complete (ベーリンガー))に懸濁した後、室温10分間振盪した。遠心分離(14000rpm、15分間、4℃)を行い、その上清をRedipack GST Purification Module(アマシャム・ファルマシア社)を用いてGST−cJUN融合蛋白質を精製した。
【0259】
(6)JNK阻害活性の測定
50ng 活性型JNK1と1μg cJUNを含む37.5μl反応溶液(25mM HEPES (pH 7.5)、10 mM酢酸マグネシウム、1mM DTT)にDMSOに溶解した供試化合物を2.5 μl添加した後、30℃で5分間保温した。ATP溶液(2.5μM ATP、0.01μCi [γ−32P]ATP)を10μl添加することにより反応を開始した。30℃で60分間反応させた後、20%TCA溶液を50μl添加することで反応を停止した。反応溶液を0℃、20分間放置した後、セルハーベスター(パッカードジャパン)を用いて、GF/C filter(パッカードジャパン)に酸不溶画分をトランスファーし、250mMリン酸で洗浄した。45℃で60分間乾燥させた後、Microscint 0(パッカードジャパン)を40μl添加し、トップカウント(パッカードジャパン)で放射活性を測定した。
【0260】
実験結果
表3にヒトJNK1の阻害作用を示す。
【0261】
【表3】
【0262】
表3の結果から、本発明の化合物(I)は優れたJNK阻害活性を有することがわかる。
【0263】
【発明の効果】
本発明の化合物(I)は、JNKを選択的に阻害し、また毒性が低く、かつ、副作用も少ないため、安全なJNK阻害剤と有用であり、JNK関連病態または疾患の予防・治療剤として用いることができる。
【0264】
【配列表フリーテキスト】
〔配列番号:1〕
プライマーJNK1−Uのヌクレオチド配列
〔配列番号:2〕
プライマーJNK1−Lのヌクレオチド配列
〔配列番号:3〕
プライマーMKK7−Uのヌクレオチド配列
〔配列番号:4〕
プライマーMKK7−Lのヌクレオチド配列
〔配列番号:5〕
プライマーCAM7−Uのヌクレオチド配列
〔配列番号:6〕
プライマーCAM7−Lのヌクレオチド配列
〔配列番号:7〕
プライマーcJUN−Uのヌクレオチド配列
〔配列番号:8〕
プライマーcJUN−Lのヌクレオチド配列
【配列表】
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬として有用なイソキノリノン骨格を有するc−Jun N−末端キナーゼ〔c−Jun N−terminal kinase (JNK)〕阻害剤、ならびにJNK阻害作用を有する新規イソキノリノン誘導体、その製造方法および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
哺乳類の細胞は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)ファミリーメンバーを介するシグナルカスケードの活性化により、細胞外の刺激に応答する。MAPKには、c−Jun N−terminal kinase (JNK) (別名:ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK))、p38MAPキナーゼ、extracellular signal regulated kinase(ERK)の3種があり、成長因子、サイトカイン、紫外線照射、ストレス誘導剤など様々なシグナルにより活性化される。MAPKは、セリン・スレオニンキナーゼであることから、活性化ループにあるThr−X−Tyr配列のスレオニンとチロシンの両方がリン酸化されることによって活性化される。MAPKは、様々な転写因子をリン酸化・活性化することで、特定の遺伝子の発現を調節し、細胞外の刺激に対する特異的な応答を仲介している。
【0003】
JNKにはjnk1、jnk2およびjnk3の3つの遺伝子が同定されており、哺乳類では少なくとも10種のアイソフォームが存在している(非特許文献1参照)。jnk1およびjnk2は多くの組織で発現しているが、jnk3は脳で特異的に発現していることから、jnk3は特に神経機能に関与する可能性がある。ストレス応答性MAPキナーゼファミリーのJNKシグナル伝達系は、浸透圧変化、DNA損傷、アニソマイシン、熱ショック、紫外線照射、虚血、炎症性サイトカインなどや、アポトーシス誘導に関わる様々なストレス刺激によって活性化されることから、ストレス応答を担う主要な細胞内情報伝達経路を構成すると考えられている(非特許文献2参照)。活性化されたJNKは、c−Jun、ATF−2、Elk1、p53やcell death domain protein (DENN)など各種転写因子や細胞死(アポトーシス)シグナルを活性化することで、特定遺伝子の転写活性を規制し、あるいはアポトーシスを誘導して、各種ストレスなどの環境変化に応答している(非特許文献3参照)。癌、細胞死、アレルギー、喘息、心疾患、自己免疫性疾患、虚血性疾患、炎症、神経変性疾患など様々な病態や疾患においてJNKの慢性的な活性化が見られることから、JNKの活性化がこれら疾患の発病や増悪に密接に関与していることが示唆されている。〔本明細書中では、このようなJNKの活性化が関与する病態または疾患を「JNK関連病態または疾患」と表す。〕
【0004】
JNKと各種JNK関連病態または疾患の関係としては、例えば、心筋細胞においては、伸展刺激や虚血によりJNKが活性化し、ストレスシグナルを伝達していることが知られている。JNKは、カテコラミン、アンジオテンシンIIやエンドセリンによっても活性化され、心肥大や線維化に関与する因子(BNP/ANP、TNF−α、TGF−β、MMPsなど)の発現を調節している(非特許文献4〜6参照)。最近になって、心筋梗塞発症後、心不全患者の心臓JNK活性が上昇していることや、MKK7(JNK選択的キナーゼ)心臓過剰発現マウスが心不全を呈することが報告され、心不全進行過程でのJNKの関与が示唆されている(非特許文献7参照)。また、圧負荷心肥大モデルにおいてドミナントネガティブによるJNK阻害は、血圧に影響することなく心肥大を抑制することが報告されている(非特許文献8参照)。さらに、虚血・再灌流モデルにおいて、ドミナントネガティブMKK7はJNK活性を低下させ、心筋細胞死を抑制することが報告されている。このことから、JNKの阻害薬は虚血性心疾患、心不全、心筋梗塞予後ならびに心肥大の治療に有効である可能性がある。
【0005】
JNKはIL−2のプロモーターを活性化することで、T細胞活性化に重要な役割を果たしている。また最近のノックアウトマウスを用いた実験から、JNKはTh1とTh2細胞の分化にも重要な役割を果たしていることが報告されている。したがって、JNKの阻害薬は病的免疫疾患の治療に有効である可能性がある(非特許文献9〜13参照)。
【0006】
リウマチ患者の滑膜細胞ではJNKが活性化されており、JNKがIL−1刺激滑膜細胞におけるMMP遺伝子の発現を調節していることから、リウマチ患者の関節破壊にJNKが大きく関与していることが報告されている(非特許文献14参照)。このことから、JNKの阻害薬はリウマチの治療に有効である可能性がある。
【0007】
JNK3ノックアウトマウスでは、カイニン酸の多量投与による神経細胞のアポトーシスに抵抗することから、JNK3はグルタメート型の神経毒性発現において重要な役割を果たしている(非特許文献15参照)。また、JNK3は低酸素または虚血状態の神経細胞において活性化されてアポトーシスを引き起こす。これらのことからJNKの阻害薬はアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病のような神経変性疾患または虚血、出血性の脳卒中の治療に有効である可能性がある。
【0008】
また、JNK1欠損マウスを使った実験から、JNKが肥満とインスリン抵抗性に関わる重要なメディエータであることが報告されている(非特許文献16参照)。
【0009】
これまで、JNK阻害作用を有する化合物は、例えばインドリノン誘導体が特許文献1〜3に、ウラシル誘導体が特許文献4に、イソキサゾール誘導体が特許文献5に、チオフェンスルホンアミド誘導体が特許文献6〜8に、ピラゾロアントロン誘導体が特許文献9に、ピリミジルイミダゾール誘導体が特許文献10にそれぞれ開示されている。しかしながら、これまでJNK阻害作用を有するイソキノリノン誘導体は報告されていない。
【0010】
一方、イソキノリノン誘導体は、特許文献11〜21に開示されている。
【0011】
【特許文献1】
国際公開第99/35906号パンフレット
【特許文献2】
国際公開第99/35909号パンフレット
【特許文献3】
国際公開第99/35921号パンフレット
【特許文献4】
国際公開第00/75118号パンフレット
【特許文献5】
国際公開第01/12621号パンフレット
【特許文献6】
国際公開第01/23378号パンフレット
【特許文献7】
国際公開第01/23379号パンフレット
【特許文献8】
国際公開第01/23382号パンフレット
【特許文献9】
国際公開第01/12609号パンフレット
【特許文献10】
国際公開第01/91749号パンフレット
【特許文献11】
特開平10−298164号公報
【特許文献12】
特開2000−72675号公報
【特許文献13】
特開2000−72751号公報
【特許文献14】
特開平5−132463号公報
【特許文献15】
特開平6−321906号公報
【特許文献16】
特開平7−010844号公報
【特許文献17】
特開平7−076573号公報
【特許文献18】
国際公開第02/062764号パンフレット
【特許文献19】
特開平10−298164号公報
【特許文献20】
特開2000−72675号公報
【特許文献21】
特開2000−72751号公報
【非特許文献1】
「エンボ・ジャーナル(EMBO Journal)」,1996年,第15巻,p.2760−2770
【非特許文献2】
「バイオケミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ(Biochemicaet Biophysica Acta)」, 1997年,第1333巻,p.F85−F104
【非特許文献3】
「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)」, 1998年, 第95巻,p.2586−2591
【非特許文献4】
「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)」, 第270巻,p.29710−29717
【非特許文献5】
「ファセブ・ジャーナル(FASEB Journal)」, 1996年,第10巻, p.631−636
【非特許文献6】
「サーキュレーション・リサーチ(Circulation Research)」, 1997年,第80巻, p.139−146
【非特許文献7】
「ジャーナル・オブ・モレキュラー・アンド・セルラー・カディオロジー(Journal of Molecular and Cellular Cardiology)」, 1999年,第31巻, p.1429−1434
【非特許文献8】
「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(Journal of Clinical Investigation)」, 1999年,第104巻, p.391−398
【非特許文献9】
「ジャーナル・オブ・イムノロジー(Journal of Immunology)」, 1999年,第162巻,p.3176−3187
【非特許文献10】
「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー(European Journal of Immunology)」, 1998年,第28巻,
p.3867−3877
【非特許文献11】
「ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(Journalof Experimental Medicine)」, 1997年,第186巻, p.941−953
【非特許文献12】
「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー(European Journal of Immunology)」, 1996年, 第26巻, p.989−994
【非特許文献13】
「カレント・バイオロジー(Current Biology)」, 1999年, 第9巻, p.116−125
【非特許文献14】
「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(Journal of Clinical Investigation)」, 2001年,第108巻, p.73−81
【非特許文献15】
「ネイチャー(Nature)」, 1997年,第389巻, p.865−870
【非特許文献16】
「ネイチャー(Nature)」, 2002年, 第420巻, p.333−336
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のJNK阻害作用を有する化合物は、JNK阻害作用が必ずしも十分ではなく、また他のキナーゼ阻害作用との選択性が不十分であるなど、有効性や副作用の危険性などの安全面で問題が残っている。また、物性(安定性、溶解性など)、経口吸収性やターゲット臓器への移行性などが十分ではないため、医薬として実用上満足な結果が得られているとは言えず、JNK関連病態または疾患に有効な医薬として優れたJNK阻害剤の開発が切望されている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、JNK関連病態または疾患の予防・治療薬として、イソキノリノン骨格を有する有用でかつ安全なJNK阻害剤を提供するものである。
【0014】
本発明者らは、鋭意種々研究を重ねた結果、イソキノリノン骨格を有する化合物またはその塩がその特異的な化学構造に基づいて、予想外にも優れたJNK特異的阻害活性を有し、更に安定性等の医薬品としての物性においても優れた性質を有しており、哺乳動物のJNK関連病態または疾患の予防・治療薬として安全でかつ有用な医薬となることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明は、下記[1]〜[20]に関するものである。
【0016】
[1] 式
【化3】
【0017】
〔式中、
環Aおよび環Bはそれぞれ置換されていてもよいベンゼン環を示し、
Xは二価の鎖状の炭化水素基を示し、
R1は水素原子、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいカルバモイル基、アシル基、置換されていてもよいアミノ基、シアノ基、置換されていてもよい非芳香族環状炭化水素基または置換されていてもよい非芳香族複素環基を示し、
R2は
置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基およびエステル化されていてもよいカルボキシル基から選ばれた置換基を有していてもよい炭化水素基、
アシル基、
置換されていてもよいアミノ基、
エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基または
置換されていてもよいカルバモイル基を示す。
ただし、R2がエステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基または置換されていてもよいカルバモイル基の場合、環Bが有していてもよい置換基の数は2個以下である。〕で表される化合物またはその塩(ただし、
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−(2−メトキシエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(2−メトキシエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ブロモ−2−ブチル−3−ヒドロキシメチル−4−フェニル−2H−イソキノリン−1−オン、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−3−ヒドロキシメチル−4−フェニル−2H−イソキノリン−1−オン、
6−ブロモ−2−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−ニトロフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−シアノフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−シクロプロピルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−2−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−3−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−2−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
2−(1−アセチルピペリジン−4−イルメチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
2−(1−アセチルピペリジン−3−イルメチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−メチルカルバモイルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[1−(3−カルボキシプロピオニル)ピペリジン−4−イルメチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[1−(4−カルボキシブチリル)ピペリジン−4−イルメチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、及び
6−クロロ−2−エチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステルを除く。)。
[2] 環Aが式
【0018】
【化4】
【0019】
〔式中、R3は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基またはエステル化されていてもよいカルボキシル基を示す。〕で表されるベンゼン環である前記[1]の化合物。
[3] R3がハロゲン原子またはC1−4アルキル基である前記[2]の化合物。
[4] 環Bが2個以下の置換基を有していてもよいベンゼン環である前記[1]の化合物。
[5] 環Bが無置換のベンゼン環である前記[1]の化合物。
[6] XがC1−4アルキレンである前記[1]の化合物。
[7] R1が置換されていてもよいアミノ基または置換されていてもよい非芳香族複素環基である前記[1]の化合物。
[8] R2が置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基およびエステル化されていてもよいカルボキシル基から選ばれた置換基を有していてもよい炭化水素基、アシル基または置換されていてもよいアミノ基である前記[1]の化合物。
[9] R2がアシル基である前記[1]の化合物。
[10] R2が−C(=O)−RA(ここで、RAは水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す)である前記[1]の化合物。
[11] R2がエステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基または置換されていてもよいカルバモイル基である前記[1]の化合物。
[12] R1がヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいアミノ基またはシアノ基である前記[11]の化合物。
[13] 前記[1]の化合物のプロドラッグ。
[14] 前記[1]または[13]の化合物を含有することを特徴とする医薬。
[15] JNK阻害剤である前記[14]の医薬。
[16] JNK関連病態または疾患の予防・治療剤である前記[14]の医薬。
[17] 慢性または急性心不全、心肥大、拡張型、肥大型または拘束型心筋症、急性心筋梗塞、心筋梗塞予後、急性または慢性心筋炎、左心拡張能不全、左心収縮不全、高血圧症とそれに合併した腎症・腎炎、血管内皮機能低下、動脈硬化症または冠血管形成術後再狭窄の予防・治療剤である前記[14]の医薬。
[18] 慢性関節リウマチ、変形性関節炎、痛風、慢性閉塞性肺疾患、喘息、気管支炎、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性大腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃炎、食道炎、多発性硬化症、湿疹、皮膚炎、肝炎、糸球体腎炎、糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、肥満症、乾癬または癌の予防・治療剤である前記[14]の医薬。
[19] アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、てんかん、筋萎縮性側索硬化症、神経変性疾患または脊椎損傷の予防・治療剤である前記[14]の医薬。
[20] 脳卒中、脳血管障害、心臓、腎臓、肝臓および脳から選ばれる臓器の虚血障害、虚血再灌流障害、臓器不全、エンドトキシンショックまたは移植後の拒絶の予防・治療剤である前記[14]の医薬。
【0020】
【発明の実施の形態】
前記式(I)中、環Aおよび環Bはそれぞれ「置換されていてもよいベンゼン環」を示す。
環Aおよび環Bがそれぞれ有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基などが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、C1−4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなど)、ヒドロキシ−C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ−C1−4アルキル基、C2−4アルケニル基(例えば、ビニル、プロペニル、アリルなど)、置換されていてもよいフェニル基(好ましくは、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基、カルボキシル基およびハロゲン原子から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニルなど)、C5−7シクロアルキル−アミノ基、C1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなど)、C1−4アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオなど)、ヒドロキシ基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなど)、ホルミル基、メルカプト基、C1−4アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリルなど)、C1−4アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルなど)、スルホ基(−SO3H)、C1−4アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニルなど)、カルバモイル基およびモノ−またはジ−C1−4アルキルまたはC5−7シクロアルキル−カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイルなど)などが好ましく用いられる。これらの置換基は環Aおよび環B上の置換可能な位置に1〜3個置換されていてもよい。
本明細書中で用いられる用語「ハロゲン原子」とは、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
本明細書中で用いられる用語「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」とは、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基などを示す。
該「アルキル基」としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、1−エチルプロピルなどの「直鎖状または分枝状のC1−15アルキル基」など、好ましくはC1−8アルキル基が用いられ、より好ましくはC1−7アルキル基が用いられ、さらに好ましくはC1−6アルキル基が用いられ、特に好ましくはC1−4アルキル基が用いられる。
該「シクロアルキル基」としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチルなどの「C3−10シクロアルキル基」などが用いられ、より好ましくはC3−8シクロアルキル基が用いられ、さらに好ましくはC5−7シクロアルキル基が用いられる。
【0021】
該「アルケニル基」としては、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、3−オクテニル、9−オクタデセニルなどの「C2−18アルケニル基」などが用いられ、より好ましくはC2−6アルケニル基が用いられ、さらに好ましくはC2−4アルケニル基が用いられる。
該「シクロアルケニル基」としては、例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなどの「C3−10シクロアルケニル基」などが用いられ、より好ましくはC3−8シクロアルケニル基が用いられ、さらに好ましくはC5−7シクロアルケニル基が用いられる。
該「アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、プロパルギル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニルなどの「C2−8アルキニル基」などが用いられ、より好ましくはC2−6アルキニル基が用いられ、さらに好ましくはC2−4アルキニル基が用いられる。
【0022】
該「アラルキル基」としては、C7−16アラルキル基などが用いられ、具体的には、例えばベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチルなどのフェニル−C1−6アルキル基および、例えば(1−ナフチル)メチル、2−(1−ナフチル)エチル、2−(2−ナフチル)エチルなどのナフチル−C1−6アルキル基などが挙げられる。アラルキル基は置換基を有していてもよく、置換位置はアリール部でもアルキル部でもどちらでもよく、どちらか一方または両方置換されている態様を含む。
該「アリール基」としては、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、フェナントリル、アントリル(anthryl)などの芳香族単環式、2環式または3環式のC6−14アリール基、ビフェニル基、トリル基などが用いられ、好ましくは、フェニル、ナフチルなどのC6−10アリール基、より好ましくはフェニルが用いられる。
【0023】
該「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」が有していてもよい置換基としては、例えば、(i)ニトロ基、(ii)ヒドロキシ基、オキソ基、(iii)シアノ基、(iv)カルバモイル基、(v)モノ−またはジ−C1−4アルキル−カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイルなど;該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−4アルコキシ基などで置換されていてもよい)、モノ−またはジ−C2−4アルケニル−カルバモイル基(例えば、N−アリルカルバモイルなど;該アルケニル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−4アルコキシ基などで置換されていてもよい)、モノ−またはジ−フェニル−カルバモイル基、モノ−またはジ−ベンジル−カルバモイル基、C1−4アルコキシ−カルボニル−カルバモイル基、C1−4アルキルスルホニル−カルバモイル基、C1−4アルコキシ−カルバモイル基、アミノ−カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ−カルバモイル基、モノ−またはジ−フェニルアミノ−カルバモイル基、(vi)カルボキシル基、(vii)C1−4アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルなど)、(viii)スルホ基、(ix)ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、(x)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなど)、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−4アルコキシ基、カルボキシル基で置換されていてもよいC1−4アルコキシ基、C1−4アルコキシ−カルボニル基で置換されていてもよいC1−4アルコキシ基、C1−4アルコキシ−C1−4アルコキシ基、C1−4アルコキシ−C1−4アルコキシ−C1−4アルコキシ基、(xi)フェノキシ基、フェノキシ−C1−4アルキル基、フェノキシ−C1−4アルコキシ基、C1−4アルキルカルボニル−オキシ基、カルバモイルオキシ基、モノ−またはジ−C1−4アルキル−カルバモイルオキシ基、(xii)ハロゲン化されていてもよいフェニル基、ハロゲン化されていてもよいフェニル−C1−4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいフェニル−C2−4アルケニル基、ハロゲン化されていてもよいフェノキシ基(例えば、フェノキシ基、o−、m−またはp−クロロフェノキシ、o−、m−またはp−ブロモフェノキシなど)、C1−4アルコキシ−フェニル基(例えば、メトキシフェニルなど)、ピリジルオキシ基、C3−10シクロアルキル基(例えば、シクロペンチルなど)、C3−10シクロアルキル−C1−4アルコキシ基、C3−10シクロアルキル−C1−4アルキル基、(xiii)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、トリフルオロメチルなど)、ハロゲン化されていてもよいC2−6アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ブテニルなど)、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオなど)、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−4アルキル基、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−4アルキルチオ基、(xiv)メルカプト基、チオキソ基、(xv)ハロゲン原子、カルボキシル基およびC1−4アルコキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいベンジルオキシ基またはベンジルチオ基、(xvi)ハロゲン化されていてもよいフェニルチオ基、ピリジルチオ基、フェニルチオ−C1−4アルキル基、ピリジルチオ−C1−4アルキル基、(xvii)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニルなど)、フェニルスルフィニル基、フェニルスルフィニル−C1−4アルキル基、(xviii)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニルなど)、フェニルスルホニル基、フェニルスルホニル−C1−4アルキル基、(xix)アミノ基、アミノスルホニル基、モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノスルホニル基(例えば、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、N,N−ジメチルアミノスルホニル、N,N−ジエチルアミノスルホニル、N,N−ジプロピルアミノスルホニルなど;該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−4アルコキシ基などで置換されていてもよい)、(xx)C1−10アシル−アミノ基(例えば、C1−6アルカノイルアミノ(例、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、トリフルオロアセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ピバロイルアミノ等)、ベンゾイルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ(例、メタンスルホニルアミノ、トリフルオロメタンスルホニルアミノ等)、C6−10アリールスルホニルアミノ(例、ベンゼンスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ等);C1−10アシルはハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基などで置換されていてもよい)、ベンジルオキシカルボニルアミノ、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルバモイルアミノ基、モノ−またはジ−C1−4アルキルカルバモイルアミノ基、(xxi)モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノなど;該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−4アルコキシ基などで置換されていてもよい)、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ、(xxii)4〜6員環状アミノ基(例えば、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、1−ピペラジニルなど)、4〜6員環状アミノ−カルボニル基(例えば、1−アゼチジニルカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、1−ピペラジニルカルボニルなど)、4〜6員環状アミノ−カルボニル−オキシ基(例えば、1−ピロリジニルカルボニルオキシ、ピペリジノカルボニルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、チオモルホリノカルボニルオキシ、1−ピペラジニルカルボニルオキシなど)、4〜6員環状アミノ−カルボニル−アミノ基(例えば、1−ピロリジニルカルボニルアミノ、ピペリジノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、チオモルホリノカルボニルアミノ、1−ピペラジニルカルボニルアミノなど)、4〜6員環状アミノ−スルホニル基(例えば、1−ピロリジニルスルホニル、ピペリジノスルホニル、モルホリノスルホニル、チオモルホリノスルホニル、1−ピペラジニルスルホニルなど)、4〜6員環状アミノ−C1−4アルキル基、(xxiii)ハロゲン原子、カルボキシル基およびC1−4アルコキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいC1−6アシル基(例えば、ホルミル、アセチルなどのハロゲン化されていてもよいC2−6アルカノイルなど)またはベンゾイル基、(xxiv)ハロゲン原子で置換されていてもよいベンゾイル基、(xxv)5〜10員複素環基(例えば、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリル、1H−または2H−テトラゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジル、3−または4−ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、インドリル、ピペリジニル、イミダゾリル、テトラヒドロフリルなど;該複素環基はC1−4アルキル基、オキソ基などで置換されていてもよい)、(xxvi)5〜10員複素環−カルボニル基(例えば、2−または3−チエニルカルボニル、2−または3−フリルカルボニル、3−、4−または5−ピラゾリルカルボニル、2−、4−または5−チアゾリルカルボニル、3−、4−または5−イソチアゾリルカルボニル、2−、4−または5−オキサゾリルカルボニル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリルカルボニル、1H−または2H−テトラゾリルカルボニル、2−、3−または4−ピリジルカルボニル、2−、4−または5−ピリミジルカルボニル、3−または4−ピリダジニルカルボニル、キノリルカルボニル、イソキノリルカルボニル、インドリルカルボニルなど;該複素環基はC1−4アルキル基などで置換されていてもよい)、(xxvii)ヒドロキシイミノ基、C1−4アルコキシイミノ基、アリール基(例えば、1−または2−ナフチルなど)、(xxviii)ハロゲン化されていてもよい直鎖状または分枝状のC1−4アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、プロピレンジオキシ、テトラフルオロエチレンジオキシなど)および(xxviii)ベンズヒドリルなどが用いられる。該「炭化水素基」は、置換可能な位置に、これらの置換基を1〜5個有していてもよく、2以上を有する場合、置換基は同一でも異なっていてもよい。「炭化水素基」が、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基またはアラルキル基である場合には、例えば、C1−10アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、デシルなど)、C2−10アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ブテニルなど)、フェニル−C2−4アルケニル基(例えばフェニルエテニルなど)、モノ−またはジ−C1−6アルケニル−カルバモイル基(例えば、N−ビニルカルバモイルなど)、C6−14アリール基(例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル)、C7−20アラルキル基(例えばベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、2−(1−ナフチル)エチル、2−(2−ナフチル)エチルなど)、スチリル基、オキソ基などで置換されていてもよい。「炭化水素基」の「置換基」は置換可能な位置にl〜4個置換していてもよい。
また、「炭化水素基」が、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アラルキル基、アリール基などの環状基である場合、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキレンジオキシ基、ハロゲン化されていてもよいC2−5アルキレンオキシ基などの置換基を有していてもよく、あるいは、これらの環状基同士が縮合して、2環式または3環式の縮合炭化水素基を形成していてもよく、かかる縮合炭化水素基は、前述の「アルキル基」及び「シクロアルキル基」が有していてもよい置換基と同様な基を有していてもよい。
「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、C1−8アルキル基、C2−8アルケニル基、C2−8アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基などが好ましく、C1−4アルキル基、C2−4アルケニル基、C2−4アルキニル基、フェニル基などがより好ましく、とりわけ、C1−4アルキル基、フェニル基などが好ましい。
本明細書中で用いられる用語「置換されていてもよい複素環基」の「複素環基」としては、例えば、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1〜3種(好ましくは1〜2種)を少なくとも1個(好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜2個)含む芳香族複素環基、飽和あるいは不飽和の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)等が挙げられる。
「芳香族複素環基」としては、例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等の5または6員の芳香族単環式複素環基、および例えばベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔b〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル、ベンゾ〔1,2,5〕チアジアゾリル、ベンゾ〔1,2,5〕オキサジアゾリル、1,3−ジオキサインダニル等の8〜16員(好ましくは、8〜12員)の芳香族縮合複素環基(好ましくは、前記した5または6員の芳香族単環式複素環基1〜2個(好ましくは、1個)がベンゼン環1〜2個(好ましくは、1個)と縮合した複素環または前記した5または6員の芳香族単環式複素環基の同一または異なった複素環2〜3個(好ましくは、2個)が縮合した複素環、より好ましくは前記した5または6員の芳香族単環式複素環基がベンゼン環と縮合した複素環)等が挙げられる。
「非芳香族複素環基」としては、例えばオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジニル(好ましくは、1−ピペリジニルまたは4−ピペリジニル)、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、アゼパニル、1,4−ジアゼパニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の飽和あるいは不飽和(好ましくは飽和)の非芳香族単環式複素環基(脂肪族単環式複素環基)、2,3−ジヒドロインドリル、1,3−ジヒドロイソインドリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン等のように前記した非芳香族単環式複素環基1〜2個(好ましくは1個)がベンゼン環1〜2個(好ましくは1個)と縮合した複素環基、前記した非芳香族単環式複素環基1〜2個(好ましくは1個)が前記した5〜6員の芳香族単環式複素環基の複素環1〜2個(好ましくは1個)と縮合した複素環基、あるいは1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリルなどのように前記した芳香族単環式複素環基又は芳香族縮合複素環基の一部又は全部の二重結合が飽和した非芳香族複素環基等が挙げられる。
該「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としては、5または6員の芳香族単環式複素環基などが好ましく、該「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」が有していてもよい置換基としては、「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」が有していてもよい置換基と同様の基などが挙げられる。
本明細書中で用いられる用語「置換されていてもよいアミノ基」、「置換されていてもよいヒドロキシ基」および「置換されていてもよいチオール基」としては、それぞれ、「置換されていてもよい炭化水素基」、「アシル基」、「置換されていてもよいアルコキシカルボニル基」、「置換されていてもよいカルバモイル基」、「置換されていてもよい複素環基」などの置換基を有していてもよい「アミノ基」、「ヒドロキシ基」および「チオール基」などが挙げられるが、なかでも、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、トリクロロメトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ等)、置換されていてもよいフェニル(好ましくは、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ、カルボキシルおよびハロゲン原子から選ばれた置換基で置換されていてもよいフェニルなど)および5〜10員複素環基(例、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリル、1H−または2H−テトラゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジル、3−または4−ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、インドリルなど;該複素環基はC1−4アルキル基などで置換されていてもよい)から選ばれた置換基で置換されていてもよい低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、アシル(C1−6アルカノイル(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル等)、ベンゾイル、C1−6アルキルスルホニル(例、メタンスルホニル等)、ベンゼンスルホニル等)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、トリフルオロメトキシカルボニル、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル、トリクロロメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル等)、フェニルで置換されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル(例、ベンジルオキシカルボニル等)、置換されていてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等の低級(C1−6)アルキル基、フェニル基などの置換基1〜2個で置換されていてもよいカルバモイル基など)、複素環基(前記「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様の基など)等の置換基を有していてもよい「アミノ基」、「ヒドロキシ基」および「チオール基」などが挙げられる。
また、N,N−ジ置換アミノにおける2個の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノ基を形成してもよく、この様な場合の環状アミノ基としては、例えば1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ(硫黄原子は酸化されていてもよい)、1−ピペラジニルおよび4位に低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、アラルキル(例、ベンジル、フェネチル等のC7−10アラルキル等)、アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10アリール等)等を有していてもよい1−ピペラジニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の環状アミノ基などが挙げられる。
【0024】
本明細書中で用いられる用語「アシル基」としては、例えばRACOOHなどのカルボン酸、例えばRASO3Hなどのスルホン酸、例えばRASO2Hなどのスルフィン酸、例えばRAOPO(ORB)OHなどのリン酸(RAは水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示し、RBは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す)などからOH基を除いて得られるアシル基が用いられ、具体的には−C(=O)−RA、−S(=O)2−RA、−S(=O)−RA、−P(=O)(ORA)(ORB)(式中の記号は前記と同意義を示す)などが用いられる。
【0025】
本明細書中で用いられる用語「置換スルフィニル基」および「置換スルホニル基」は、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基などの置換基で置換されているスルフィニル基またはスルホニル基を表す。「置換スルフィニル基」および「置換スルホニル基」の置換基である炭化水素基ならびに複素環基は、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様の基などが用いられる。また、「置換スルフィニル基」および「置換スルホニル基」の置換基である「置換されていてもよいヒドロキシ基」および「置換されていてもよいアミノ基」としては前記した「置換されていてもよいヒドロキシ基」および「置換されていてもよいアミノ基」と同様の基などが用いられ、該ヒドロキシ基およびアミノ基に置換していてもよい置換基の好ましいものとしては、例えば、C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、C2−4アルケニル基、C6−10アリール基、アシル基、アミノ基、複素環基(前記した「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様の基など)などが挙げられる。また「置換スルフィニル基」および「置換スルホニル基」の置換基である炭化水素基および複素環基に置換していてもよい置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環」における「複素環」が有していてもよい置換基と同様の基などが用いられる。
【0026】
本明細書中で用いられる用語「置換されていてもよいカルバモイル基」としては、無置換のカルバモイルのほか、N−モノ置換カルバモイルおよびN,N−ジ置換カルバモイルが挙げられる。
該「置換されていてもよいカルバモイル基」の「カルバモイル基」の置換基としては、前記「置換されていてもよいアミノ基」の「アミノ基」の置換基と同様の基など(「置換されていてもよい炭化水素基」、「アシル基」、「置換されていてもよいアルコキシカルボニル基」、「置換されていてもよいカルバモイル基」(好ましくは、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等の低級(C1−6)アルキル基、フェニル基などの置換基1〜2個で置換されていてもよいカルバモイル基など)、「置換されていてもよい複素環基」など)などが挙げられるが、前記「置換されていてもよいアミノ基」を有する「カルバモイル基」(すなわち、「置換されていてもよいカルバゾイル基」)、前記「置換されていてもよいヒドロキシ基」を有する「カルバモイル基」(すなわち、「置換されていてもよいN−ヒドロキシカルバモイル基」)などであってもよく、また、N,N−ジ置換カルバモイルにおける2個の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノを形成してもよく、この様な場合の環状アミノカルボニルとしては、例えば1−アゼチジニルカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル(硫黄原子は酸化されていてもよい)、1−ピペラジニルカルボニルおよび4位に低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、アラルキル(例、ベンジル、フェネチル等のC7−10アラルキル等)、アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10アリール等)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、メチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、トリフルオロメトキシカルボニル、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル、トリクロロメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル等)、フェニルで置換されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル等)等を有していてもよい1−ピペラジニルカルボニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の環状アミノカルボニルなどであってもよい。
【0027】
本明細書中で用いられる用語「エステル化されていてもよいカルボキシル基」としては、式−COORC(RCは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す)で表される基などが挙げられるが、なかでも、遊離のカルボキシル、低級アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニル、複素環オキシカルボニル、複素環メチルオキシカルボニル等が好ましく用いられる。
「低級アルコキシカルボニル」としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル等のC1−6アルコキシカルボニル等が挙げられ、中でもメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル等のC1−3アルコキシカルボニル等が好ましい。
該「低級アルコキシカルボニル」は「低級アルコキシ」の「低級アルキル」部分に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
「アリールオキシカルボニル」としては、例えばフェノキシカルボニル、1−ナフトキシカルボニル、2−ナフトキシカルボニル等のC7−12アリールオキシカルボニル等が好ましい。
「アラルキルオキシカルボニル」としては、例えばベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル等のC7−15アラルキルオキシカルボニル等(好ましくは、C6−10アリール−C1−4アルコキシ−カルボニルなど)が好ましい。
「複素環オキシカルボニル」および「複素環メチルオキシカルボニル」における複素環としては、前記した「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様なものが用いられ、例えば、ピリジル、キノリル、インドリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル等が好ましく用いられる。
該「アリールオキシカルボニル」、「アラルキルオキシカルボニル」、「複素環オキシカルボニル」および「複素環メチルオキシカルボニル」は置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
【0028】
前記式(I)中、環Aとしては、式
【0029】
【化5】
【0030】
(式中、R3は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基またはエステル化されていてもよいカルボキシル基を示す。)で表されるベンゼン環(すなわち、1−イソキノリノン骨格において、5位、7位および8位が無置換であり、6位に置換基R3を有する)が好ましく用いられる。
前記式中、R3としては、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基などが好ましく、なかでも、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基(「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としての「アルキル基」が有していてもよい置換基と同様の基などを有していてもよいC1−6アルキル基など)、置換されていてもよいアミノ基などが好ましく、とりわけ、ハロゲン原子、C1−4アルキル基などが好ましく、ハロゲン原子、メチル基などが特に好ましく用いられる。
【0031】
前記式(I)中、環Bとしては、2個以下の置換基を有していてもよいベンゼン環であることが好ましい。また、環Bとしては、メタおよび/またはパラ位に置換基を有していてもよいベンゼン環であることが好ましく、無置換のベンゼン環であることがさらに好ましい。
【0032】
前記式(I)中、Xは「二価の鎖状の炭化水素基」を示す。
Xで示される「二価の鎖状の炭化水素基」としては、直鎖状または分岐鎖状の二価の炭化水素基であり、例えば、C1−6アルキレン(例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、2−メチルメチレン、イソブチルメチレン等)、C2−6アルケニレン(例えば、ビニレン、プロピレン、1−または2−ブテニレン、ブタジエニレン等)およびC2−8アルキニレン(例えば、エチニレン、1−または2−プロピニレン、1−または2−ブチニレン等)等が用いられる。
Xとしては置換されていてもよいC1−6アルキレンが好ましく、C1−4アルキレンがより好ましい。
【0033】
前記式(I)中、R1は、水素原子、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいカルバモイル基、アシル基、置換されていてもよいアミノ基、シアノ基、置換されていてもよい非芳香族環状炭化水素基または置換されていてもよい非芳香族複素環基を示す。
【0034】
本明細書中で用いられる用語「置換されていてもよい非芳香族環状炭化水素基」における「非芳香族環状炭化水素基」とは、非芳香族である、飽和又は不飽和、単環式または多環式の、環状炭化水素基であり、たとえば、前記したシクロアルキル基、シクロアルケニル基などが用いられる。「非芳香族環状炭化水素基」としては、飽和又は不飽和(好ましくは飽和)の、3〜10員(好ましくは5〜7員)の単環式環状炭化水素基が好ましく、C3−8シクロアルキル基がより好ましく、C3−6シクロアルキル基がさらに好ましい。
【0035】
該「置換されていてもよい非芳香族環状炭化水素基」における置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
【0036】
本明細書中で用いられる用語「置換されていてもよい非芳香族複素環基」における「非芳香族複素環基」は前記と同義であり、非芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
【0037】
本明細書中で用いられる用語「チオエステル化されていてもよいカルボキシル基」としては、式−COSRC(RCは前記と同意義を示す)で表される基などが挙げられるが、なかでも低級アルキルチオ−カルボニル、アリールチオ−カルボニル、アラルキルチオ−カルボニル、複素環チオカルボニル等が好ましく用いられる。
「低級アルキルチオ−カルボニル」としては、例えば前記した「低級アルコキシカルボニル」の「低級アルコキシ」部分を「低級アルキルチオ」に変換した基などが用いられ、中でもメチルチオ−カルボニル、エチルチオ−カルボニル、プロピルチオ−カルボニル等のC1−3アルキルチオ−カルボニル等が好ましい。
該「低級アルキルチオ−カルボニル」は「低級アルキルチオ」の「低級アルキル」部分に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
「アリールチオ−カルボニル」としては、例えばフェニルチオ−カルボニル、1−ナフチルチオ−カルボニル、2−ナフチルチオ−カルボニル等のC7−12アリールチオ−カルボニル等が好ましい。
「アラルキルチオ−カルボニル」としては、例えばベンジルチオ−カルボニル、フェネチルチオ−カルボニル等のC7−15アラルキルチオ−カルボニル等(好ましくは、C6−10アリール−C1−4アルキルチオ−カルボニルなど)が好ましい。「複素環チオカルボニル」における複素環としては、前記した「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様のものなどが用いられ、例えば、ピリジル、キノリル、インドリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル等が好ましく用いられる。
該「アリールチオ−カルボニル」、「アラルキルチオ−カルボニル」および「複素環チオ−カルボニル」は置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
R1としては、置換されていてもよいアミノ基または置換されていてもよい非芳香族複素環基であるのが好ましい。
R2がエステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基または置換されていてもよいカルバモイル基である場合、R1は、ヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいアミノ基またはシアノ基であるのが好ましい。
【0038】
前記式(I)中、R2は、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基およびエステル化されていてもよいカルボキシル基から選ばれた置換基を有していてもよい炭化水素基;アシル基;エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基;置換されていてもよいカルバモイル基;または置換されていてもよいアミノ基を示す。
R2が「エステル化されていてもよいカルボキシル基」である場合は、R2としては、置換されていてもよいフェニル基(「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としての「フェニル基」が有していてもよい置換基と同様の基などを有していてもよいフェニル基など)および置換されていてもよいピリジル基(「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としての「ピリジル基」が有していてもよい置換基と同様の基などを有していてもよいピリジル基など)から選ばれた置換基で置換されていてもよいアルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基であることが好ましく、
R2が「置換されていてもよいカルバモイル基」である場合、置換されていてもよいフェニル基(「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としての「フェニル基」が有していてもよい置換基と同様の基などを有していてもよいフェニル基など)および置換されていてもよいピリジル基(「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としての「ピリジル基」が有していてもよい置換基と同様の基などを有していてもよいピリジル基など)から選ばれた置換基で置換されていてもよいアルキルで置換されていてもよいカルバモイル基であることが好ましい。
R2が「チオエステル化されていてもよいカルボキシル基」である場合は、置換されていてもよいピリジル基(「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としての「ピリジル基」が有していてもよい置換基と同様の基などを有していてもよいピリジル基など)でチオエステル化されていてもよいカルボキシル基であることが好ましい。
また、R2が「置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基およびエステル化されていてもよいカルボキシル基から選ばれた置換基を有していてもよい炭化水素基」である場合は、1−ヒドロキシC1−8アルキル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基で置換されたC2−4アルケニル基(好ましくは、ビニル基など)などが好ましい。
R2としてはアシル基が特に好ましい。R2がアシル基である場合、R2としては−C(=O)−RA(ここで、RAは水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す)が好ましい。−C(=O)−RAとしては、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、クロトニル、ベンゾイル、ニコチノイル、イソニコチノイル、トリフルオロアセチル、(2Z)−3−アミノブタ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノペンタ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノオクタ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−4−メチルペンタ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−エトキシカルボニルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−フェニルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−ピリジン−3−イルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−ピリジン−4−イルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−(1,3−チアゾール−4−イル)プロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−イソオキサゾール−4−イルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−イソオキサゾール−5−イルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−4−フェニルブタ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−(2−チエニル)プロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−(2−フリル)プロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−(3−チエニル)プロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−(3−フリル)プロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−ピラジン−2−イルプロパ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノ−3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロパ−2−エノイルなどが挙げられ、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリルなどのRAが低級(C1−7)アルキル基または(2Z)−3−アミノブタ−2−エノイル、(2Z)−3−アミノペンタ−2−エノイルなどのRAが式
【0039】
【化6】
【0040】
(式中、RA’はC1−5アルキル基またはエステル化されていてもよいカルボキシル基を示す。)で表される基である−C(=O)−RAがより好ましい。
R2としては、メトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ジメチルカルバモイル基、ヒドロキシメチル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピリジルメチルオキシカルボニル基、ピリジルメチルカルバモイル基、ピリジルチオカルボニル基、アミノ基または(2Z)−3−アミノブタ−2−エノイル基などが好ましく用いられ、そのなかでも、メトキシカルボニル基、ピリジルメチルオキシカルボニル基、ジメチルカルバモイル基、ピリジルメチルカルバモイル基、ヒドロキシメチル基、ピリジルチオカルボニル基、アミノ基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基または(2Z)−3−アミノブタ−2−エノイル基などが特に好ましく用いられる。
【0041】
上記式(I)中、R2がエステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基または置換されていてもよいカルバモイル基の場合、環Bが有していてもよい置換基の数は2個以下であり、かつ、以下の化合物は除かれる:
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−(2−メトキシエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(2−メトキシエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ブロモ−2−ブチル−3−ヒドロキシメチル−4−フェニル−2H−イソキノリン−1−オン、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−3−ヒドロキシメチル−4−フェニル−2H−イソキノリン−1−オン、
6−ブロモ−2−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−ニトロフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−シアノフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−シクロプロピルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−2−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−3−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−2−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
2−(1−アセチルピペリジン−4−イルメチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
2−(1−アセチルピペリジン−3−イルメチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−メチルカルバモイルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[1−(3−カルボキシプロピオニル)ピペリジン−4−イルメチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[1−(4−カルボキシブチリル)ピペリジン−4−イルメチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、および
6−クロロ−2−エチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル。
【0042】
上記式(I)で表される化合物またはその塩〔以下、特に区別しない限り、上記式(I)で表される化合物およびその塩を化合物(I)と称することがある〕のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解などを起こして化合物(I)に変化する化合物をいう。化合物(I)のプロドラッグとしては、化合物(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例えば、化合物(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物など)、化合物(I)の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例えば、化合物(I)の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など)、あるいは、化合物(I)のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、化合物(I)のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。
また化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
化合物(I)の塩としては、薬理学的に許容しうる塩等が挙げられ、例えばトリフロロ酢酸、酢酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ホスホン酸、塩酸、硝酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、スルファミン酸、硫酸等の酸との酸付加塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属塩、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン等の有機塩等が挙げられる。
化合物(I)の光学的に活性な形態が必要とされる場合、例えば、光学的に活性な出発物質を使用して、あるいは従来の方法を使用する該化合物のラセミ形態の分割によって得ることができる。
【0043】
化合物(I)は、例えば、以下に示す方法で製造することができる。以下の反応式に記載された各化合物は、反応を阻害しないのであれば、塩を形成していてもよく、かかる塩としては、化合物(I)の塩と同様なものが挙げられる。
方法A
【0044】
【化7】
【0045】
〔式中、R2’はエステル化されていてもよいカルボキシル基またはアシル基を示し、その他の記号は前記と同意義を示す。〕
【0046】
方法B
【0047】
【化8】
【0048】
〔式中、Lは脱離基(例、ハロゲン原子(例、塩素、臭素、ヨウ素など)、式RL−SO2−O−(式中、RLはハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基などを示す)で表される基など)を示し、他の記号は前記と同意義を示す。〕
【0049】
方法C
【0050】
【化9】
【0051】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕
【0052】
方法D
【0053】
【化10】
【0054】
〔式中、OTfはトリフラート基を示し、Yはクロスカップリング反応可能な原子団基(例えば、ホウ素、スズ、マグネシウム等で結合する原子団基等)を示し、他の記号は前記と同意義を示す。〕
【0055】
方法A
化合物(I)のR2がエステル化されていてもよいカルボキシル基またはアシル基である場合、式(II)
【0056】
【化11】
【0057】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(II)又はその塩と式(III)H2N−X−R1〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表されるアミノ化合物(III)又はその塩とを反応させた後、脱水させることによって化合物(Ia)を製造することができる。
【0058】
本反応は無溶媒または溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。このような溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテル等のエーテル類、例えばギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等のほか、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミド、水等が単独又は混合溶媒として用いられる。
【0059】
本反応は塩基の存在下に行うのが好ましく、そのような塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、例えばトリエチルアミン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、ルチジン、γ−コリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等のアミン類が用いられる。
反応は化合物(II)1モルに対して化合物(III)を約1〜約20モル、好ましくは約1〜約5モル用いる。
反応温度は約−20℃〜約150℃、好ましくは約10℃〜約80℃である。反応時間は化合物(II)及び(III)の種類、溶媒の種類、反応温度等により異なるが、通常約1分〜約72時間、好ましくは約15分〜約24時間である。
【0060】
また本反応の脱水工程は、条件によっては化合物(II)と化合物(III)の反応工程で完了することもあるが、通常は酸を用いて脱水させる。かかる酸としては、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸類、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、過塩素酸などの鉱酸類、例えば塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素エーテラート、四塩化チタンなどのルイス酸類などが用いられる。
脱水工程に用いられる溶媒は反応を阻害しない溶媒が適宜選択され、このような溶媒としては、化合物(II)と化合物(III)の反応で用いる溶媒が用いられる。
反応温度は約−20℃〜約200℃、好ましくは約0℃〜約120℃である。反応時間は反応条件により異なるが、通常約1分〜約72時間、好ましくは約15分〜約15時間である。
【0061】
方法B
式(IV)
【0062】
【化12】
【0063】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物(IV)又はその塩と式(V)L−X−R1〔式中の記号は、Lは脱離基(例、ハロゲン原子(例、塩素、臭素、ヨウ素など)、式RL−SO2−O−(式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(V)又はその塩を反応させることにより化合物(I)を製造することができる。
【0064】
本法は化合物(IV)又はその塩を、化合物(V)又はその塩(無機塩、有機塩等)を用いてアルキル化反応することにより行われる。
【0065】
前記式中、RLで示される「ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基」における低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等のC1−6アルキル基が挙げられ、中でもメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル等のC1−4アルキル基が好ましい。RLで示される「ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)で置換された低級アルキル基」としては、例えばトリクロロメチル、トリフルオロメチル等が挙げられる。
【0066】
RLで示されるフェニル基の置換基としては、例えば低級アルキル基(前記したRLで示される低級アルキル基と同様の基)、低級アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ等のC1−6アルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基等が用いられる。
【0067】
本反応は一般に溶媒中、塩基の存在下に行われる。本反応に用いる塩基としては、例えば水素化カリウム、水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属類、例えばリチウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の炭素数1〜6の金属アルコキシド類、例えば水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、例えばトリエチルアミン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、ルチジン、γ−コリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機アミン類、2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンならびにその樹脂等が用いられる。
【0068】
またかかる溶媒としては反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。このような溶媒としては例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテル等のエーテル類、例えばギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等のほか、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミド、水等が単独又は混合溶媒として用いられる。
反応は化合物(IV)1モルに対して化合物(V)を約1〜約5モル、好ましくは約1〜約2モル用いる。
反応温度は約−50℃〜約150℃、好ましくは約−20℃〜約100℃である。
反応時間は化合物(IV)及び(V)の種類、溶媒及び塩基の種類、反応温度等により異なるが、通常約1分間〜約100時間、好ましくは約15分間〜約48時間である。
【0069】
方法C
式(VI)
【0070】
【化13】
【0071】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(VI)又はその塩を分子内環化させることによって化合物(I)を製造することができる。
本環化反応は化合物(VI)又はその塩を塩基で処理することにより行われる。
【0072】
本法の反応は一般に溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。このような溶媒としては例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテル等のエーテル類、例えばギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等のほか、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミド、水等が単独又は混合溶媒として用いられる。
【0073】
また本反応に用いる塩基としては、例えば水素化カリウム、水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属類、例えばリチウムエトキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の炭素数1〜6の金属アルコキシド類、例えば水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、例えばトリエチルアミン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、ルチジン、γ−コリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機アミン類、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの有機リチウム類、リチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミド類等が用いられる。
【0074】
反応は化合物(VI)1モルに対して塩基を約0.01〜約100モル、好ましくは約0.1〜約3モル用いる。
反応温度は約−80℃〜約200℃、好ましくは約−20℃〜約100℃である。
反応時間は化合物(VI)、塩基の種類、溶媒の種類、反応温度等により異なるが、通常約1分〜約72時間、好ましくは約15分〜約24時間である。
【0075】
方法D
式(VII)
【0076】
【化14】
【0077】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(VII)又はその塩と式(VIII)
【0078】
【化15】
【0079】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(VIII)又はその塩とを反応させて、化合物(Ia)を製造することができる。
【0080】
本法は化合物(VII)又はその塩と化合物(VIII)又はその塩とを金属触媒存在下にクロスカップリング反応(例えば、鈴木カップリング反応、Stilleカップリング反応等)させることにより、化合物(Ia)を製造する。
【0081】
本反応は通常塩基存在下に行い、かかる塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属類、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属類、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化アルカリ土類金属類、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ金属類、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素アルカリ金属などの無機塩基類、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド等の炭素数1〜6の金属アルコキシド類、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの有機塩基類、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの有機リチウム類、リチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミド類等が用いられる。
【0082】
本反応は一般に溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。このような溶媒としては例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテル等のエーテル類、例えばギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等のほか、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミド、水等が単独又は混合溶媒として用いられる。
【0083】
本クロスカップリング反応は、一般に金属触媒を用いて反応を促進させることができる。かかる金属触媒としては、さまざまな配位子を有する金属複合体が用いられ、例えばパラジウム化合物〔例、パラジウムアセテート、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、酢酸パラジウム(II)と1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンとの複合体など〕、ニッケル化合物〔例、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、塩化ビス(トリエチルホスフィン)ニッケル、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルなど〕、ロジウム化合物〔例、塩化トリ(トリフェニルホスフィン)ロジウムなど〕、コバルト化合物、白金化合物などが用いられるが、なかでも、パラジウム化合物やニッケル化合物が好ましい。これらの触媒の使用量は化合物(VII)1モルに対して約1〜0.000001モル、好ましくは約0.1〜0.0001モルである。
【0084】
反応は化合物(VII)1モルに対して、化合物(VIII)約0.8〜10モル、好ましくは約0.9〜2モル、塩基約1〜約20モル、好ましくは約1〜約5モルが用いられる。
反応温度は約−10℃〜約250℃、好ましくは約0℃〜約150℃である。反応時間は化合物(VII)、化合物(VIII)、金属触媒、塩基及び溶媒の種類、反応温度等により異なるが、通常約1分間〜約200時間、好ましくは約5分間〜約100時間である。
【0085】
方法E
化合物(I)のR2がカルボキシル基である式(Ic)
【0086】
【化16】
【0087】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Ic)は、前記した方法Aにより製造されるが、化合物(Ic)のカルボキシル基を自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いて修飾することで様々な誘導体を製造することができる。以下に具体例を挙げて説明する。
【0088】
1)化合物(Ic)をエステル化することで、式(Id)
【0089】
【化17】
【0090】
〔式中、R5は置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を示し、その他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Id)を製造することができる。
【0091】
本エステル化反応は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いることができ、例えば、化合物(Ic)をR5−Q〔Qは脱離基(例、ハロゲン原子(例、塩素、臭素、ヨウ素など)、式RQ−SO2−O−(式中、RQはハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基などの前記RLと同様な基などを示す)で表される基などを示す〕で表される化合物と塩基存在下に反応させる方法、化合物(Ic)をR5−OHで表されるアルコール類と酸触媒存在下に反応させる方法、縮合剤〔例えばカルボジイミド類(DCC、WSC、DIC等)、りん酸誘導体(例えばシアノりん酸ジエチル、アジ化りん酸ジフェニル、BOP−Cl等)等〕を用いて縮合する方法、あるいはトリフェニルホスフィンとアゾジカルボン酸ジエチル等の試薬を用いる光延反応、さらには化合物(Ic)の反応性誘導体(例えば、酸ハライド、活性エステル、酸アジド等)を塩基存在下にR5−OHで表されるアルコール類と反応させる方法等を用いることができる。
【0092】
2)化合物(Ic)を還元することで、式(Ie)
【0093】
【化18】
【0094】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Ie)を製造することができる。
【0095】
本還元反応は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いることができ、例えば、化合物(Ic)またはその反応性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、活性エステル、エステル、酸イミダゾリド、酸アジド等)を還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ジボラン等)を用いて還元する方法等を用いることができる。
【0096】
3)化合物(Ic)をアミド化することで、式(If)
【0097】
【化19】
【0098】
〔式中、R6およびR7はそれぞれ水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいアミノ基又は置換されていてもよいヒドロキシ基を示し、その他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(If)を製造することができる。
【0099】
本アミド化反応は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いることができ、例えば、化合物(Ic)とアミンに縮合剤〔例えばカルボジイミド類(DCC、WSC、DIC等)、りん酸誘導体(例えばシアノりん酸ジエチル、DPPA、BOP−Cl等)等〕を用いる方法、あるいは化合物(Ic)の反応性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、活性エステル、エステル、酸イミダゾリド、酸アジド等)をアミンと反応させる方法等を用いることができる。
【0100】
4)化合物(Ic)のカルボキシル基をアミノ基に変換することで、式(Ig)
【0101】
【化20】
【0102】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Ig)を製造することができる。
【0103】
本変換反応は、Curtius転位、Hofmann反応、Schmidt反応のような自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いることができ、例えば、化合物(Ic)またはその反応性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、活性エステル、エステル、酸イミダゾリド等)より酸アジド体に変換し、熱転位によりイソシアネート体を生成させ、そのイソシアネート体を直接加水分解するか、あるいはアルコール類と反応させて生じたアミンのカルバメート型保護基を脱保護する方法を用いることができる。
【0104】
方法F
式(Ih)
【0105】
【化21】
【0106】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Ih)のイソキノリノン6位の置換基R3は、式(Ii)
【0107】
【化22】
【0108】
〔式中、Halはハロゲン原子を示し、その他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Ii)のイソキノリノン6位のハロゲン原子をさまざまな置換基R3に変換させることで製造可能である。
【0109】
本変換反応は、アミン、アルコキシドおよびチオラートを用いた求核付加反応、および金属触媒を用いた各種カップリング反応(鈴木カップリング反応、Heck反応、Stilleカップリング反応、Buchwaldのアミノ化反応、一酸化炭素を用いたカルボニル挿入反応等)のような自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いることにより行うことができる。例えば、化合物(Ii)のハロゲン原子がフッ素の場合は求核付加反応に適しており、ハロゲン原子がヨウ素、臭素あるいは塩素原子の場合にはカップリング反応に適している。本カップリング反応に用いる金属触媒や溶媒は前記の方法Dと同様のものが用いられる。
【0110】
本カップリング反応で導入できる置換基R3としては、例えば置換されていてもよいアルキル基(例えば、メチル、エチル、ブチルなど)、置換されていてもよいアルケニル基(例えば、ビニル、プロペニル、アリル、2−メトキシカルボニルビニル、スチリルなど)、置換されていてもよいアルキニル基(例えば、エチニル、1−プロピニル、プロパルギルなど)、置換されていてもよいアリール基(例えば、フェニル、ナフチルなど)、置換されていてもよい複素環基(例えば、ピリジル、チエニル、フリル、イミダゾリル基、トリアゾリル基など)、シアノ基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、置換されていてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル基、メチルカルバモイル基など)、置換されていてもよい各種アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ベンジルアミノ基、1−ピペリジノ基、アニリノ基、ピリジルアミノ基など)、置換されていてもよいフェノキシ基、置換されていてもよいフタルイミド−1−イルオキシ基等が挙げられる。
【0111】
方法H
化合物(I)のR1、R2、R3、環Aおよび環Bが有する置換基において、その置換基に変換可能な官能基(例えば、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、チオール基、エステル基、スルホ基、ハロゲン原子など)を有する場合、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって官能基を変換することにより種々の化合物を製造することができる。
【0112】
例えば置換基としてカルボキシル基を有している場合、前記の方法Eで示したようなエステル化、還元、アミド化、保護されていてもよいアミノ基への変換等の反応により種々の基に変換可能である。アミノ基の場合、例えばアミド化、スルホニル化、ニトロソ化、アルキル化、アリール化、イミド化等の反応により種々の基に変換可能である。ヒドロキシ基の場合、エステル化、カルバモイル化、スルホニル化、アルキル化、アリール化、酸化、ハロゲン化等の反応により種々の基に変換可能である。カルボニル基の場合、還元、酸化、イミノ化(オキシム化、ヒドラゾン化を含む)、(チオ)ケタール化、アルキリデン化、チオカルボニル化等の反応により種々の基に変換可能である。チオール基の場合、アルキル化、酸化等の反応により種々の基に変換可能である。エステル基の場合、還元、加水分解等の反応により種々の基に変換可能である。スルホ基の場合、スルホンアミド化、還元等の反応により種々の基に変換可能である。ハロゲン原子の場合、各種求核置換反応、各種カップリング反応等により種々の基に変換可能である。
【0113】
上述の製造方法A〜Dにおいて用いられた原料化合物(II)、(IV)、(VI)および(VII)は、例えば以下に示すように自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造することができる。
【0114】
方法I
式(II)
【0115】
【化23】
【0116】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表されるイソクマリン化合物(II)又はその塩は、例えば、J. Med. Chem., 38:3106−20(1995)に記載の方法などに準じて、式(IX)
【0117】
【化24】
【0118】
(式中の記号は前記と同意義を示す。)で表わされる化合物(IX)またはその塩と式(X)
【0119】
【化25】
【0120】
〔式中、Zは脱離基(例、ハロゲン原子(例、塩素、臭素、ヨウ素など)、式RZ−SO2−O−(式中、RZはハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基などの前記RLと同様な基などを示す)で表される基などを示し、R8は低級(C1−6)アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル基等)を示す。〕で表される化合物(X)又はその塩とを塩基存在下に反応させ、つづいて酸性条件にて脱水ならびに脱炭酸させてイソクマリン化合物(II)の3位がカルボキシル基の化合物を製造することができる。また、所望によりそのカルボン酸をエステル化することにより3位エステル体を製造することができる。
【0121】
方法J
式(IV)
【0122】
【化26】
【0123】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(IV)又はその塩は、式(II’)
【0124】
【化27】
【0125】
〔式中、記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物(II’)又はその塩とアンモニアを反応させた後、酸性条件下で脱水させることで製造することができる。
【0126】
方法K
式(VI)
【0127】
【化28】
【0128】
〔式中、記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(VI)又はその塩は、式(IX)
【0129】
【化29】
【0130】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物(IX)又はその塩あるいはその反応性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、活性エステル、エステル、酸イミダゾリド、酸アジド等)を式(XI)
【0131】
【化30】
【0132】
〔式中、記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物(XI)又はその塩と反応させることにより製造することができる。
【0133】
本反応はアミド化反応であり、化合物(IX)の反応性誘導体、反応条件、反応溶媒、反応時間等は、前記の方法E−3で説明した方法に準じて行われる。
【0134】
方法L
式(VII)
【0135】
【化31】
【0136】
〔式中、記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(VII)又はその塩はたとえば次に示す方法により製造できる。
式(XII)
【0137】
【化32】
【0138】
〔式中、R9は置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示し、他の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物(XII)またはその塩あるいはその反応性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、活性エステル、エステル、酸イミダゾリド、酸アジド等)を式(XI)
【0139】
【化33】
【0140】
〔式中、記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物(XI)またはその塩と反応させることにより、式(XIII)
【0141】
【化34】
【0142】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表されるアミド化合物(XIII)またはその塩を製造することができる。
【0143】
本反応はアミド化反応であり、化合物(XII)の反応性誘導体、反応条件、反応溶媒、反応時間等は、前記の方法E−3で説明した方法に準じて行われる。
【0144】
得られた化合物(XIII)またはその塩を、前記の方法Cと同様の方法により分子内環化反応を行うことにより、式(XIV)
【0145】
【化35】
【0146】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(XIV)又はその塩を製造することができる。
【0147】
化合物(XIV)またはその塩を塩基存在下にトリフラート化試薬(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アニリン等)と反応させることにより、化合物(VII)又はその塩を製造することができる。
【0148】
本反応で用いる塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム、などの水素化アルカリ金属類、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属類、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化アルカリ土類金属類、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ金属類、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素アルカリ金属などの無機塩基類、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド等の炭素数1〜6の金属アルコキシド類、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの有機塩基類、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの有機リチウム類、リチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミド類が好んで用いられる。
【0149】
本反応は一般に溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。このような溶媒としては例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテル等のエーテル類、例えばギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等のほか、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミド、水等が単独又は混合溶媒として用いられる。
【0150】
方法M
化合物(I)のR2がアシル基である化合物中、式(Ik)
【0151】
【化36】
【0152】
〔式中、R10は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、R11は置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基またはエステル化されていてもよいカルボキシル基を示し、他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Ik)は、前記した方法A〜Cにより製造される式(Im)
【0153】
【化37】
【0154】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Im)から自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いて製造することができる。
【0155】
例えば、化合物(Im)を自体公知の方法又はそれに準ずる方法を用いてハロゲン化して式(In)
【0156】
【化38】
【0157】
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(In)に変換した後、化合物(In)を式(XV)
R11CSNH2(XV)
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(XV)と反応させることにより、化合物(Ik)を製造することができる。
【0158】
ハロゲン化反応は、化合物(Im)をハロゲン類又は金属ハロゲン化物で処理することにより行うことができる。本反応は、所望により塩基の存在下で行う。
【0159】
ハロゲン類又は金属ハロゲン化物の使用量は、化合物(Im)1モルに対し、約1〜約10モル、好ましくは約1〜約3モルである。
【0160】
該「ハロゲン類」としては、臭素、塩素、ヨウ素等が用いられる。
【0161】
該「金属ハロゲン化物」としては、臭化銅(II)、塩化銅(II)等のハロゲン化銅等が用いられる。
【0162】
塩基の使用量は、化合物(Im)1モルに対し、約1〜約10モル、好ましくは約1〜約3モルである。
【0163】
該「塩基」としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム等の無機塩基類、ピリジン、ルチジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の有機塩基類等が用いられる。 本反応は、無溶媒中又は反応に不活性な溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、エーテル類、エステル類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、アミド類、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、スルホキシド類、有機酸類、水、芳香族アミン類等が単独又は混合溶媒として用いられる。
【0164】
反応温度は、約−20〜約150℃、好ましくは約0〜約100℃である。反応時間は、通常約5分〜約72時間、好ましくは約10分〜約24時間である。
【0165】
化合物(In)は反応液のまま、あるいは粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等の分離手段により容易に精製することができる。
【0166】
化合物(In)と化合物(XV)との反応は、所望により塩基の存在下にて行う。
化合物(XV)の使用量は、化合物(In)1モルに対し、約0.5〜約10モル、好ましくは約0.8〜約5モルである。
【0167】
塩基の使用量は、化合物(In)1モルに対し、約1〜約30モル、好ましくは約1〜約10モルである。
該「塩基」としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム等の無機塩基類、例えばピリジン、ルチジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の有機塩基類等が用いられる。
【0168】
本反応は、無溶媒中又は反応に不活性な溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、ハロゲン化炭化水素類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、アミド類、アルコール類、ニトリル類等が単独又は混合溶媒として用いられる。
反応温度は、約−5〜約200℃、好ましくは約5〜約150℃である。反応時間は、通常約5分〜約72時間、好ましくは約0.5〜約48時間である。
【0169】
方法N
方法Mで用いる化合物(XV)は、市販品を購入するか、あるいは以下に示す自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造することができる。
例えば化合物(XV)は、式(XVI)
R11CN(XVI)
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(XVI)を塩基の存在下、硫化水素もしくはアンモニウムスルフィドで処理することによって得られる。
【0170】
硫化水素またはアンモニウムスルフィドの使用量は、化合物(XVI)1モルに対し、約1モル〜約30モルである。
【0171】
塩基の使用量は、化合物(XVI)1モルに対し、約1〜約30モル、好ましくは約1〜約10モルである。
該「塩基」としては、例えばピリジン、ルチジン等の芳香族アミン類、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の3級アミン類、アンモニア又はこれら二種以上の混合物等が用いられる。
【0172】
本反応は、無溶媒中又は反応に不活性な溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、アルコール類、ハロゲン化炭化水素類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、芳香族アミン類、アミド類、スルホキシド類、水等が単独又は混合溶媒として用いられる。
本反応は、常圧又は加圧下で行われる。反応温度は、通常約−20〜約80℃、好ましくは約−10〜約50℃である。反応時間は、通常約5分〜約72時間、好ましくは約0.5〜約48時間である。
化合物(XV)は反応液のまま、あるいは粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等の分離手段により容易に精製することができる。
【0173】
また、化合物(XV)は、式(XVII)
R11CONH2(XVII)
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(XVII)に五硫化リン又はローソン(Lawesson)試薬等の硫黄化試薬を反応させることによっても得られる。
【0174】
硫黄化試薬の使用量は、化合物(XVII)1モルに対して、約0.5〜約10モル、好ましくは約0.5〜約3モルである。
本反応は、無溶媒中又は反応に不活性な溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、エーテル類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、芳香族アミン、ハロゲン化炭化水素類等が単独又は混合溶媒として用いられる。
反応時間は、通常10分〜約50時間、好ましくは約30分〜約12時間である。反応温度は、通常約0〜約150℃、好ましくは約20〜約120℃である。
化合物(XV)は反応液のまま、あるいは粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等の分離手段により容易に精製することができる。
【0175】
上述の製造方法A〜Nにおいて用いられた原料化合物(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XVI)および(XVII)は市販品を購入するか、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造することができる。
【0176】
前記本発明の各反応によって化合物が遊離の状態で得られる場合には、常法に従って塩に変換してもよく、また塩として得られる場合には、常法に従って遊離体又はその他の塩に変換することもできる。
【0177】
また、前記した化合物(I)の製造法の各反応および原料化合物合成の各反応において、原料化合物が置換基としてアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基を有する場合、これらの基にペプチド化学などで一般的に用いられるような保護基が導入されたものであってもよく、反応後に必要に応じて保護基を除去することにより目的化合物を得ることができる。
【0178】
アミノ基の保護基としては、例えば、ホルミル、置換基を有していてもよい、C1−6アルキルカルボニル(例えば、アセチル、エチルカルボニルなど)、フェニルカルボニル、C1−6アルキル−オキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(Boc)など)、アリルオキシカルボニル(Aloc)、フェニルオキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、C7−10アラルキル−カルボニル(例えば、ベンジルカルボニルなど)、C7−10アラルキル−オキシカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Z)など)、C7−10アラルキル(例えば、ベンジルなど)、トリチル、フタロイルまたはN,N−ジメチルアミノメチレンなどが用いられる。これらの置換基としては、フェニル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、C1−6アルキル−カルボニル(例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、ブチルカルボニルなど)、ニトロ基などが用いられ、置換基の数は1〜3個程度である。
【0179】
カルボキシル基の保護基としては、例えば、置換基を有していてもよい、C1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、tert−ブチルなど)、アリル、ベンジル、フェニル、トリチルまたはトリアルキルシリルなどが用いられる。これらの置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ホルミル、C1−6アルキル−カルボニル(例えば、アセチル、エチルカルボニル、ブチルカルボニルなど)、ニトロ基などが用いられ、置換基の数は1〜3個程度である。
【0180】
ヒドロキシ基の保護基としては、例えば、置換基を有していてもよい、C1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、tert−ブチルなど)、C7−10アラルキル(例えば、ベンジルなど)、ホルミル、C1−6アルキル−カルボニル(例えば、アセチル、エチルカルボニルなど)、ベンゾイル、C7−10アラルキル−カルボニル(例えば、ベンジルカルボニルなど)、テトラヒドロピラニル、フラニルまたはシリルなどが用いられる。これらの置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、C1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピルなど)、フェニル、C7−10アラルキル(例えば、ベンジルなど)、C1−6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシなど)、ニトロ基などが用いられ、置換基の数は1〜4個程度である。
【0181】
また、保護基の除去方法としては、それ自体公知またはそれに準じた方法が用いられるが、例えば酸、塩基、還元、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウムなどで処理する方法が用いられる。
【0182】
このようにして得られる化合物(I)は、反応混合物から自体公知の手段、例えば抽出、濃縮、中和、濾過、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、分取用高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、中圧分取液体クロマトグラフィー(中圧分取LC)等の手段を用いることによって、単離、精製することができる。
【0183】
化合物(I)の塩は、それ自体公知の手段に従い、例えば化合物(I)が塩基性化合物である場合には無機酸又は有機酸を加えることによって、あるいは化合物(I)が酸性化合物である場合には有機塩基または無機塩基を加えることによって製造することができる。
【0184】
化合物(I)に光学異性体が存在し得る場合、これら個々の光学異性体及びそれら混合物のいずれも当然本発明の範囲に包含されるものであり、所望によりこれらの異性体をそれ自体公知の手段に従い光学分割したり、個別に製造することもできる。
【0185】
また、化合物(I)は水和物であってもよく、水和物及び非水和物のいずれも本発明の範囲に包含されるものである。また、化合物(I)は同位元素(例、3H,14C,35S,125Iなど)などで標識されていてもよい。
【0186】
本発明のイソキノリノン骨格を有するJNK阻害剤は、JNKを選択的に阻害し、また毒性が低く、かつ、副作用も少ないため、安全な医薬品として有用である。本発明のイソキノリノン骨格を有するJNK阻害剤は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト等)に対して、優れたJNK選択的阻害作用を示し、(経口)吸収性、(代謝)安定性等にも優れるため、JNK関連病態または疾患、例えば、慢性または急性心不全、心肥大、拡張型、肥大型または拘束型心筋症、急性心筋梗塞、心筋梗塞予後、急性または慢性心筋炎、左心拡張能不全、左心収縮能不全、高血圧症とそれに合併した腎症・腎炎、糖尿病性腎症、血管内皮機能低下、動脈硬化症または冠血管形成術後再狭窄などの循環器系疾患、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、痛風、気管支炎、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性大腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃炎、食道炎、多発性硬化症、湿疹、皮膚炎、肝炎、糸球体腎炎などの炎症性疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー疾患、肥満症、糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、乾癬、癌、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、てんかん、筋萎縮性側索硬化症、末梢神経障害などの神経変性疾患、脊椎損傷、脳卒中、脳血管障害、心臓、腎臓、肝臓および脳から選ばれる臓器の虚血障害、虚血再灌流障害、自己免疫性疾患、臓器不全、エンドトキシンショックまたは移植後の拒絶などの予防・治療剤として用いることができる。好ましくは、慢性または急性心不全、心肥大、心筋梗塞予後、急性または慢性心筋炎、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、炎症性腸疾患、喘息、虚血再灌流障害、臓器不全、脳卒中、脳血管障害、臓器移植後の拒絶等の予防・治療剤である。
【0187】
本発明の化合物(I)を上記各疾患に適用する際には、それら疾患に通常用いられる薬剤または治療法と適宜併用することが可能である。例えば、急性または慢性心不全においては、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(例、アラセプリル、カプトプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、リジノプリル、テモカプリル、トランドラプリル、キナプリル、イミダプリル、ベナゼプリル、ベリンドプリルなど)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(例、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、フォラサルタンなど)、β受容体拮抗薬(例、プロプラノロール、ナドロール、チモロール、ニプラジロール、ブニトロロール、インデノロール、ペンブトロール、カルテオロール、カルベジロール、ピンドロール、アセブトロール、アテノロール、ビソプロロール、メトプロロール、ラベタロール、アモスラロール、アロチノロールなど)、Ca拮抗薬(例、マニジピン、ニカルジピン、ニルバジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ベニジピン、アムロジピン、アラニジピンなど)、利尿薬(例、ベンチルヒドロクロロチアジド、シクロペンチアジド、エチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ペンフルチアジド、ポリチアジド、トリクロルメチアジドなどのサイアザイド系利尿薬;クロルタリドン、クロフェナミド、インダパミド、メフルシド、メチクラン、ソトラゾン、トリバミド、キネタゾン、メトラゾン、フロセミド、メフルシドなどのループ利尿薬;スピロノラクトン、トリアムテレンなどのカリウム保持性利尿薬など)、ジギタリス製剤(例、ジギトキシン、ジゴキシン、メチルジゴキシン、ラナトシドC、プロスシラリジンなど)、ANPまたはBNP製剤、Ca感受性増強薬(例、ピモベンダンなど)、抗凝固薬(例、ワーファリン、クエン酸ナトリウム、活性化プロテインC、組織因子経路阻害剤、アンチトロンビンIII、ダルテパリンナトリウム、アルガトロバン、ガベキサート、オザクレルナトリウム、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム、アルプロスタジル、ペントキシフィリン、チソキナーゼ、ストレプトキナーゼなど)、抗不整脈薬(例、キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、アジマリン、シベンゾリン、リドカイン、ジフェニルヒダントイン、メキシレチン、プロパフェノン、フレカイニド、ピルジカイニド、フェニトインなどのナトリウムチャンネル遮断薬;アミオダロンなどのカリウムチャンネル遮断薬;ベラパミル、ジルチアゼムなどのカルシウムチェンネル遮断薬など)、PDE阻害薬(例、アムリノン、ミルリノン、塩酸オルプリノンなど)、糖尿病治療薬(例、トルブタミド、クロルプロパミド、グリクロピラミド、アセトヘキサミド、トラザミド、グリベンクラミド、グリブゾールなどのスルホニル尿素剤;塩酸メトホルミン、塩酸ブホルミンなどのビグアナイド剤;ボグリボース、アカルボースなどのα−グルコシダーゼ阻害薬、ピオグリタゾン、トログリタゾンなどのインスリン抵抗性改善薬;インスリン、グルカゴン;エパルレスタットなどの糖尿病性合併症治療薬など)、抗肥満薬等と併用可能であり、埋め込み型人工心臓、埋め込み型除細動器、心室ペーシング術、バチスタ手術、心移植や細胞移植を受けた場合にも適用可能である。また例えば、急性心筋梗塞または心筋梗塞予後においては、抗血栓薬(例、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ワーファリンなどの血液凝固阻止薬;ウロキナーゼなどの血栓溶解薬;アスピリン、スルフィンピラゾン(アンツーラン)、ジピリダモール(ペルサンチン)、アクロピジン(パナルジン)、シロスタゾール(プレタール)、クロピドグレルなどの抗血小板薬など)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、β受容体拮抗薬、糖尿病治療薬、高脂血症治療薬(例、プラバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチンなどのHMG−CoA還元酵素阻害薬;シンフィブラート、クロフィブラートアルミニウム、クリノフィブラート、フェノフィブラートなどのフィブラート系薬剤など)、PTCAやCABGなどの冠血管再建術等と併用可能である。また例えば、慢性関節リウマチにおいては、非ステロイド抗炎症薬(例、アセトアミノフェン、フェナセチン、エテンザミド、スルピリン、アンチピリン、ミグレニン、アスピリン、メフェナム酸、フルフェナム酸、ジクロフェナックナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、プラノプロフェン、フロクタフェニン、エピリゾール、塩酸チアラミド、ザルトプロフェン、メシル酸ガベキサート、メシル酸カモスタット、ウリナスタチン、コルヒチン、プロベネジド、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、アロプリノール、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、塩酸モルヒネ、サリチル酸、アトロピン、スコポラミン、モルヒネ、ペチジン、レボルファイノール、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキシモルフォンまたはその塩など)、免疫調節薬または免疫抑制薬(例、メトトレキサート、シクロスポリン、タクロリムス、グスペリムス、アザチオプリン、抗リンパ血清、乾燥スルホ化免疫グロブリン、エリスロポイエチン、コロニー刺激因子、インターロイキン、インターフェロンなど)、ステロイド(例、デキサメサゾン、ヘキセストロール、メチマゾール、ベタメサゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、プロピオン酸ベクロメタゾン、エストリオールなど)、p38MAPキナーゼ阻害薬、抗TNF−α薬(例、エタナーセプト、インフリキシマブ、D2E7、CDP−571、PASSTNF−α、可溶性TNF−α受容体、TNF−α結合蛋白、抗TNF−α抗体など)、シクロオキシゲナーゼ阻害薬(例、セレコキシブ、ロフェコキシブ、アスピリンなどのサリチル酸誘導体、MK−663、バルデコキシブ、SC−57666、チラコキシブ、S−2474、ジクロフェナック、インドメタシン、ロキソプロフェンなど)等と併用可能である。
【0188】
さらに、本発明の化合物(I)を上記各疾患に適用する際に、生物製剤(例:抗体、ワクチン製剤など)と併用することも可能であり、また、遺伝子治療法などと組み合わせて、併用療法として適用することも可能である。抗体およびワクチン製剤としては、例えば、アンジオテンシンIIに対するワクチン製剤、CETPに対するワクチン製剤、CETP抗体、TNFα抗体や他のサイトカインに対する抗体、アミロイドβワクチン製剤、1型糖尿病ワクチン(Peptor社のDIAPEP−277など)、抗HIV抗体やHIVワクチン製剤などの他、サイトカイン、レニン・アンジオテンシン系酵素およびその産物に対する抗体あるいはワクチン製剤、血中脂質代謝に関与する酵素や蛋白に対する抗体あるいはワクチン製剤、血中の凝固・線溶系に関与する酵素や蛋白に関する抗体あるいはワクチン、糖代謝やインスリン抵抗性に関与する蛋白に対する抗体あるいはワクチン製剤などが挙げられる。その他、GHやIGFなどの成長因子に関わる生物製剤との併用も可能である。また、遺伝子治療法としては、例えば、サイトカイン、レニン・アンジオテンシン系酵素およびその産物、G蛋白、G蛋白共役型受容体およびそのリン酸化酵素に関連する遺伝子を用いた治療法、NFκBデコイなどのDNAデコイを用いる治療方法、アンチセンスを用いる治療方法、血中脂質代謝に関与する酵素や蛋白に関連する遺伝子(例えば、コレステロール又はトリグリセリド又はHDL−コレステロール又は血中リン脂質の代謝、排泄、吸収に関連する遺伝子など)を用いた治療法、末梢血管閉塞症などを対象とした血管新生療法に関与する酵素や蛋白(例えば、HGF、VEGFなどの増殖因子など)に関連する遺伝子を用いた治療法、糖代謝やインスリン抵抗性に関与する蛋白に関連する遺伝子を用いた治療法、TNFなどのサイトカインに対するアンチセンスなどが挙げられる。また、心臓再生、腎再生、膵再生、血管再生など各種臓器再生法や骨髄細胞(骨髄単核細胞、骨髄幹細胞など)を利用した細胞移植療法、組織工学を利用した人工臓器(人工血管や心筋細胞シート)と併用することも可能である。
【0189】
本発明の化合物(I)はそのままあるいは薬理学的に許容される担体を配合し、経口的又は非経口的に投与することができる。
化合物(I)を含有する本発明の製剤は、経口投与する場合の剤形としては、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等が挙げられ、また、非経口投与する場合の剤形としては、例えば注射剤、注入剤、点滴剤、坐剤等が挙げられる。また、適当な基剤(例、酪酸の重合体、グリコール酸の重合体、酪酸−グリコール酸の共重合体、酪酸の重合体とグリコール酸の重合体との混合物、ポリグリセロール脂肪酸エステル等)と組み合わせ徐放性製剤とすることも有効である。
本発明製剤中の化合物(I)の含有量は、製剤の形態に応じて相違するが、通常、製剤全体に対して2〜85重量%、好ましくは5〜70重量%である。
【0190】
化合物(I)を上記の剤形に製造する方法としては、当該分野で一般的に用いられている公知の製造方法を適用することができる。また、上記の剤形に製造する場合には、必要に応じて、その剤形に製する際に製剤分野において通常用いられる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤等を適宜、適量含有させて製造することができる。
【0191】
例えば、化合物(I)を錠剤に製する場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を含有させて製造することができ、丸剤及び顆粒剤に製する場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤等を含有させて製造することができる。また、散剤及びカプセル剤に製する場合には賦形剤等を、シロップ剤に製する場合には甘味剤等を、乳剤又は懸濁剤に製する場合には懸濁化剤、界面活性剤、乳化剤等を含有させて製造することができる。
【0192】
賦形剤の例としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、でんぷん、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
【0193】
結合剤の例としては、5〜10重量%デンプンのり液、10〜20重量%アラビアゴム液又はゼラチン液、1〜5重量%トラガント液、カルボキシメチルセルロース液、アルギン酸ナトリウム液、グリセリン等が挙げられる。
【0194】
崩壊剤の例としては、でんぷん、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0195】
滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、精製タルク等が挙げられる。
【0196】
甘味剤の例としては、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、単シロップ等が挙げられる。
【0197】
界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40等が挙げられる。
【0198】
懸濁化剤の例としては、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ベントナイト等が挙げられる。
【0199】
乳化剤の例としては、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ポリソルベート80等が挙げられる。
【0200】
更に、化合物(I)を上記の剤形に製造する場合には、所望により、製剤分野において通常用いられる着色剤、保存剤、芳香剤、矯味剤、安定剤、粘稠剤等を適量、適量添加することができる。
【0201】
化合物(I)を含有する本発明の製剤は、安定かつ低毒性で安全に使用することができる。その1日の投与量は患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路等によって異なるが、例えば、慢性または急性心不全(拡張型、肥大型または拘束型心筋症)、心筋梗塞予後、急性または慢性心筋炎、慢性関節リウマチなどの患者に経口投与する場合には、成人(体重約60kg)1日当りの投与量は有効成分(化合物(I))として約1〜1000mg、好ましくは約3〜300mg、さらに好ましくは約10〜200mgであり、これらを1回または2〜3回に分けて投与することができる。
【0202】
本発明の化合物(I)を非経口的に投与する場合は、通常、液剤(例えば注射剤)の形で投与する。その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば注射剤の形にして、通常体重1kgあたり約0.01mg〜約100mg、好ましくは約0.01〜約50mg、より好ましくは約0.01〜約20mgを静脈注射により投与するのが好都合である。注射剤としては、静脈注射剤のほか、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などが含まれ、また持続性製剤としては、イオントフォレシス経皮剤などが含まれる。かかる注射剤は自体公知の方法、すなわち、本発明の化合物(I)を無菌の水性液もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製される。注射用の水性液としては生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(例えばエタノール)、ポリアルコール(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えばポリソルベート80、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、ゴマ油、大豆油などがあげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)などと配合してもよい。調製された注射液は、通常、アンプルに充填される。
【0203】
本発明の化合物(I)と他の薬剤を併用する場合、本発明の化合物(I)と併用薬剤の投与形態は特に限定されず、投与時に、本発明の化合物(I)と併用薬剤とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明の化合物(I)と併用薬剤とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明の化合物(I)と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明の化合物(I)と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明の化合物(I)と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明の化合物(I)と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の化合物(I)→併用薬剤の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の化合物(I)と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明の化合物(I)1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。
【0204】
本発明はさらに下記の実施例、製剤例及び実験例で詳しく説明されるが、これらの例は単なる実例であって本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0205】
実施例、参考例における略号の意味は以下のとおりである。
LC−MS:液体クロマトグラフィー−質量分析スペクトル
ESI:エレクトロスプレーイオン化法
DMSO:ジメチルスルホキシド、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、DCM:ジクロロメタン、HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、WSC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、THF:テトラヒドロフラン、DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、M:モル濃度。
【0206】
また、実施例におけるLC−MS分析は以下の条件により測定した。
測定機器:ウォーターズ社 LC−MSシステム
HPLC部:アジレント社 HP1100
MS部:マイクロマス社 ZMD
カラム:CAPCELL PAK C18UG120、S−3μm、1.5×35mm(資生堂)
溶媒:A液;0.05%トリフルオロ酢酸含有水、B液;0.04%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジェントサイクル:0.00分(A液/B液=90/10)、2.00分(A液/B液=5/95)、2.75分(A液/B液=5/95)、2.76分(A液/B液=90/10)、3.60分(A液/B液=90/10)
注入量:2μL、流速:0.5mL/min、検出法:UV220nm
MS条件 イオン化法:ESI
【0207】
また、実施例における分取HPLCによる精製は以下の条件により行った。
機器:ギルソン社ハイスループット精製システム
カラム:YMC CombiPrep ODS−A S−5μm、50×20mm溶媒:A液;0.1%トリフルオロ酢酸含有水、B液;0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジェントサイクル:0.00分(A液/B液=95/5)、1.00分(A液/B液=95/5)、5.20分(A液/B液=5/95)、6.40分(A液/B液=5/95)、6.50分(A液/B液=95/5)、6.60分(A液/B液=95/5)
流速:20mL/min、検出法:UV220nm
【0208】
混合溶媒において( )内に示した数値は各溶媒の容量混合比である。また溶液における%は溶液100ml中のg数を表わす。また参考例、実施例中の記号は次のような意味である。
s :シングレット(singlet)
d :ダブレット(doublet)
t :トリプレット(triplet)
q :クワルテット(quartet)
dd :ダブルダブレット(double doublet)
m :マルチプレット(multiplet)
br :ブロード(broad)
brs :ブロード シングレット(broad singlet)
J :カップリング定数(coupling constant)
CDCl3 :重クロロホルム
DMSO−d6:重ジメチルスルホキシド
1H−NMR :プロトン核磁気共鳴
【0209】
本明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕
プライマーJNK1−Uの塩基配列を示す。
〔配列番号:2〕
プライマーJNK1−Lの塩基配列を示す。
〔配列番号:3〕
プライマーMKK7−Uの塩基配列を示す。
〔配列番号:4〕
プライマーMKK7−Lの塩基配列を示す。
〔配列番号:5〕
プライマーCAM7−Uの塩基配列を示す。
〔配列番号:6〕
プライマーCAM7−Lの塩基配列を示す。
〔配列番号:7〕
プライマーcJUN−Uの塩基配列を示す。
〔配列番号:8〕
プライマーcJUN−Lの塩基配列を示す。
【0210】
【実施例】
参考例1
6−ブロモ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オン
[工程1] 2−ベンゾイル−4−ブロモ安息香酸(5.0g)、N,N−ジメチルホルムアミド(1.2ml)及びトルエン(60ml)の混合物に、室温、攪拌下、塩化チオニル(1.4ml)を加え、50℃にて2時間攪拌した。反応液を冷却後、減圧下に濃縮し、残渣にトルエンを加えて再度濃縮した。ついで、残渣、N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(8.7ml)及びトルエン(50ml)の混合液に、室温、攪拌下、1−アミノブタン−2−オール(1.54g)を加え、90℃にて1時間攪拌した。反応液を冷却後、反応液を水、希塩酸及び飽和食塩水にて順に洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧濃縮し、2−ベンゾイル−4−ブロモ−N−(2−ヒドロキシブチル)ベンズアミドを得た。
[工程2] 工程1で得た2−ベンゾイル−4−ブロモ−N−(2−ヒドロキシブチル)ベンズアミド、トリエチルアミン(12ml)及びジメチルスルホキシド(120ml)の混合物に、室温攪拌下、三酸化硫黄・ピリジン(11.0g)のDMSO溶液(30ml)をゆっくりと滴下し、室温にて2時間撹拌した。反応終了を確認後、系内に氷水を加え、酢酸エチルにて分液抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧濃縮し、2−ベンゾイル−4−ブロモ−N−(2−オキソブチル)ベンズアミドを得た。
[工程3] 工程2で得た2−ベンゾイル−4−ブロモ−N−(2−オキソブチル)ベンズアミドのエタノール溶液(52ml)に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(20ml)を加え、80℃にて2時間撹拌した。反応液を冷却後、系内に酢酸エチルを加えて希釈し、1規定塩酸にて洗浄、硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物をヘキサン/酢酸エチル=4/1より結晶化させ、無色結晶の表題化合物(3.7g)を得た。
1H−NMR (CDCl3): 0.90 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.99 (2H, q, J = 7.2 Hz), 7.25 (1H, m), 7.29−7.35 (2H, m), 7.54−7.61 (3H, m), 7.70 (1H, dd, J = 2.1, 8.4 Hz), 8.36 (1H, d, J = 8.4 Hz), 9.55 (1H, br).
【0211】
参考例2
6−クロロ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オン
参考例1と同様の方法により、2−ベンゾイル−4−クロロ安息香酸から表題化合物を合成した。
1H−NMR (CDCl3): 0.90 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.00 (2H, q, J = 7.2 Hz), 7.09 (1H, d, J = 2.1 Hz), 7.29−7.39 (2H, m), 7.52−7.65 (4H, m), 8.45 (1H, d, J = 8.4 Hz), 9.57 (1H, br). HPLC: 100 % (4.20 min). MS(ESI+):312(M+H),
314.
【0212】
参考例3
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニル−ピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
6−ブロモ−4−フェニル−3−イソクマリンカルボン酸メチルエステル(359mg)のメタノール(10ml)溶液に4−アミノメチルピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(1.07g)を添加後、室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去後、1規定塩酸を注入し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣に4規定塩化水素酢酸エチル溶液(5ml)を加え、室温で10時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去後、1規定水酸化ナトリウム水溶液(10ml)、テトラヒドロフラン(10ml)、二炭酸ジ−tert−ブチル(437mg)を添加後、室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣を酢酸エチルで抽出した。抽出液を、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−へキサン/酢酸エチル=9/1→4/1)で精製して、表題化合物(142mg, 26%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 1.11−1.64 (4H, m), 1.43 (9H, s), 2.03 (1H, m), 2.50−2.72 (2H, m), 3.46 (3H, s), 4.83−4.20 (4H, m), 7.25−7.50 (6H, m), 7.63 (1H, dd, J=1.8, 8.8 Hz), 8.34 (1H, d, J=8.8 Hz).
【0213】
実施例1
2−(3−(6−クロロ−1−オキソ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル)プロピル)イソインドリン−1,3−ジオン
6−クロロ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オン(1.56g)のDMF(50ml)溶液に水素化ナトリウム(60%)(220mg)を添加後室温で10分間攪拌した。2−(3−ブロモプロピル)−イソインドリン−1,3−ジオン(2.01g)を加えた後に8時間攪拌し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−へキサン/酢酸エチル=19/1→3/2)で精製し、表題化合物(135mg, 5%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.55 (3H, t, J=7.2 Hz), 2.17 (4H, m), 3.79 (2H, t, J=6.3 Hz), 3.86−3.99 (2H, m), 7.19−7.29 (3H, m), 7.41−7.49 (4H, m), 7.69−7.74 (2H, m), 7.82−7.91 (2H, m ), 8.39 (1H, d, J=8.7 Hz).
【0214】
実施例2
2−(4−(6−クロロ−1−オキソ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル)ブチル)イソインドリン−1,3−ジオン
6−クロロ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オンと2−(3−ブロモブチル)−イソインドリン−1,3−ジオンから実施例1と同様の方法で表題化合物(395mg, 15%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.75 (3H, t, J=7.2 Hz), 1.66−1.92 (4H, m), 2.23 (2H, q, J=7.2 Hz), 3.73 (2H, t, J=6.8 Hz), 3.84−3.94 (2H, m), 7.16−7.31 (3H, m), 7.42−7.53 (4H, m), 7.67−7.75 (2H, m), 7.79−7.90 (2H, m), 8.40 (1H, d, J=8.5 Hz).
【0215】
実施例3
2−(4−アミノブチル)−6−クロロ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オン塩酸塩
実施例2で得た2−(4−(6−クロロ−1−オキソ−4−フェニル−3−プロピオニル−2(1H)−イソキノリニル)ブチル)イソインドリン−1,3−ジオン(88mg)のトルエン(10ml)懸濁溶液にヒドラジン一水和物(1ml)を添加し、5時間加熱還流した。不溶物を濾取して取り除き、溶媒を減圧留去後、エタノール(20ml)に溶解した。濃塩酸(1ml)を加えて溶媒を減圧留去後、トルエン(10ml)を加えて再濃縮し、ジイソプロピルエーテルから結晶化し、表題化合物(251mg, >99%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.79 (3H, t, J=7.2 Hz), 1.45−1.60 (2H, m), 1.75−1.91 (2H, m), 2.26 (2H, q, J=7.2 Hz), 2.55 (2H, s), 2.75 (2H, t, J=6.9 Hz), 3.80−3.93 (2H, m), 7.19−7.34 (3H, m), 7.42−7.54 (4H, m), 8.43 (1H, d, J=8.7 Hz).
【0216】
実施例4
N−(4−(6−クロロ−1−オキソ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリニル)ブチル)アセトアミド
実施例3で得た2−(4−アミノブチル)−6−クロロ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オン塩酸塩(215mg)とトリエチルアミン(0.3ml)のTHF(10ml)溶液に氷冷下、無水酢酸(0.08ml)を添加後、室温で10時間撹拌した。酢酸エチルと水で分配し、有機層を1規定塩酸、重曹水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−へキサン/酢酸エチル=3/2→0/1)で精製し、表題化合物(194mg, 82%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.79 (3H, t, J=7.1 Hz), 1.51−1.66 (2H, m), 1.75−7.90 (2H, m), 2.25 (2H, q, J=7.1 Hz), 3.33 (2H, q, J=6.6 Hz), 3.78−3.90 (2H, m), 6.09 (1H, s), 7.21−7.33 (3H, m), 7.43−7.57 (4H, m), 8.43 (1H, d, J=8.5 Hz).
【0217】
実施例5
(6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル)アセトニトリル
6−ブロモ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−1−オン(3.2g)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(96ml)に、室温攪拌下、水素化ナトリウム(0.43g)を加え、同温にて20分間攪拌した。次いで、ブロモアセトニトリル(0.71ml)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈し、1規定塩酸にて洗浄、乾燥(MgSO4)後、減圧下に濃縮した。残渣を中圧分取LC(ヘキサン/酢酸エチル=9/1〜2/1)にて精製し、無色結晶の表題化合物(1.0g)を得た。
1H NMR (CDCl3): 0.81 (3H, t, J = 6.9 Hz), 2.26 (2H, q, J = 6.9 Hz), 5.11 (2H, s), 7.26−7.34 (2H, m), 7.45 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.48−7.57 (3H, m), 7.69 (1H, dd, J = 1.8, 8.7 Hz), 8.35 (1H, d, J = 8.7 Hz). MS(ESI+):395(M+H), 397.
【0218】
実施例6
[6−ブロモ−3−(1−ヒドロキシプロピル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]アセトニトリル
(6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−3−プロピオニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル)アセトニトリル(300mg)、メタノール(3ml)及びTHF(3ml)の混合液に、0℃、攪拌下、水素化ホウ素ナトリウム(14mg)を加え、同温にて1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈し、1規定塩酸にて洗浄、乾燥(MgSO4)後、減圧下に濃縮した。残渣を中圧分取LC(ヘキサン/酢酸エチル=9/1〜1/1)にて精製し、無色結晶の表題化合物(0.22g)を得た。
1H NMR (CDCl3)δ: 0.88 (3H, t, J = 7.5 Hz), 1.76−2.03 (2H, m), 2.24 (1H, d, J = 3.9 Hz), 4.68 (1H, m), 5.16 (1H, d, J = 16.8 Hz), 5.62 (1H, d, J = 16.8 Hz), 7.06 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.18 (1H, m), 7.26(1H, m), 7.46−7.64 (4H, m), 8.34 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0219】
実施例7
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニル−ピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(122mg)に4規定塩化水素酢酸エチル溶液(5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣にイソプロピルエーテルを加えて結晶化させて表題化合物(96mg, 89%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.60−2.00 (4H, m), 2.26 (1H, m), 2.75−2.90 (2H, m), 3.38−3.58 (2H, m), 3.50 (3H, s), 3.90−4.00 (2H, m), 7.25−7.52 (6H, m), 7.65 (1H, m), 8.31 (1H, d, J=8.7 Hz).
【0220】
実施例8
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチルから表題化合物(93 mg)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (CDCl3) δ: 1.44 (1H, m), 1.80−2.00 (3H, m), 2.47 (1H, m), 2.75−2.97 (2H, m), 3.32−3.42 (2H, m), 3.50 (3H, s), 3.96 (1H, m), 4.19 (1H, m), 7.23−7.49 (6H, m), 7.67 (1H, dd, J=1.8, 8.7 Hz), 8.31 (1H, d, J=8.7 Hz).
【0221】
実施例9
2−(2−アミノエチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(5.5 g)から表題化合物(化合物1、5.25 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6 + D2O)δ: 3.19 (2H, t, J = 6.3 Hz), 3.54 (3H, s), 4.12 (2H, t, J = 6.3 Hz), 7.20−7.40 (3H, m), 7.45−7.60 (3H, m), 7.80−7.90 (1H,
m), 8.30 (1H, d, J = 8.4 Hz).
【0222】
実施例10
2−(3−アミノプロピル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(5.5 g)から表題化合物(化合物2, 5.32 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6 + D2O)δ: 1.95−2.10 (2H, m), 2.89 (2H, t, J = 7.2 Hz), 3.55 (3H, s), 4.00 (2H, t, J = 7.2 Hz), 7.20−7.35 (3H, m), 7.45−7.60 (3H, m), 7.75−7.85 (1H, m), 8.28 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0223】
実施例11
6−ブロモ−2−[3−(メチルアミノ)プロピル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル (5.0 g)から表題化合物(化合物3, 5.12 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6 + D2O)δ: 2.00−2.20 (2H, m), 2.58 (3H, s), 2.99 (2H, t, J = 7.2 Hz), 3.56 (3H, s), 4.00 (2H, t, J = 7.2 Hz), 7.23 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.35 (2H, m), 7.45−7.60 (3H, m), 7.81 (1H, dd, J = 8.7 Hz, 1.8 Hz), 8.28 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0224】
実施例12
2−(3−アミノ−2,2−ジメチルプロピル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(5.5 g)から表題化合物(化合物4, 3.26 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6 + D2O)δ: 0.96 (3H, s), 1.04 (3H, s), 2.71 (2H, s), 2.83 (2H, s), 3.44 (3H, s), 7.22 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.40 (2H, m), 7.50−7.60 (3H, m), 7.86 (1H, dd, J = 8.8 Hz, 1.8 Hz), 8.31 (1H, d, J = 8.8 Hz).
【0225】
実施例13
2−(4−アミノブチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(5.5 g)から表題化合物(化合物5, 3.19 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6 + D2O)δ: 1.50−1.90 (4H, m), 2.82 (2H, t, J = 7.0 Hz), 3.54 (3H, s), 3.95 (2H, t, J = 7.0 Hz), 7.23 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.40 (2H, m), 7.50−7.65 (3H, m), 7.81 (1H, dd, J = 8.7 Hz, 1.8 Hz), 8.29 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0226】
実施例14
6−ブロモ−2−[2−(メチルアミノ)エチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩
実施例7と同様な操作法によって、6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(5.5 g)から表題化合物(化合物6, 2.97 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6 + D2O)δ: 2.63 (3H, s), 3.29 (2H, t, J = 5.8 Hz), 3.54 (3H, s), 4.24 (2H, t, J = 6.2 Hz), 7.25 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.26−7.40 (2H, m), 7.50−7.60 (3H, m), 7.85 (1H, dd, J = 8.4 Hz, 1.8 Hz), 8.28 (1H, d, J = 8.4 Hz).
【0227】
実施例15
2−[4−(アセチルアミノ)ブチル]−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
2−(4−アミノブチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.4g)、酢酸(43mg)、WSC(0.21g)、HOBt(0.17g)、トリエチルアミン(0.12ml)及びDMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.31g)を得た。
融点:170−172℃
1H NMR (DMSO−d6)δ: 1.34 −1.47 (2H, m), 1.59 −1.73 (2H, m), 1.78 (3H, s), 3.03 (2H, m), 3.51 (3H, s), 3.91 (2H, d, J = 7.5 Hz), 7.20 (1H, d, J = 2.1 Hz), 7.27 − 7.35 (2H, m), 7.46 − 7.57 (3H, m), 7.76 − 7.84 (2H, m), 8.27 (1H, d, J = 8.4 Hz)
【0228】
実施例16
6−ブロモ−2−[3−[(シクロヘキシルカルボニル)アミノ]プロピル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
2−(3−アミノプロピル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.3g)、シクロヘキサンカルボン酸(70.9mg)、WSC(0.16g)、HOBt(0.13g)、トリエチルアミン(0.092ml)及びDMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.23g)を得た。
融点:150−174℃
1H NMR (DMSO−d6)δ:1.05 −1.85 (12H, m), 1.97 − 2.08 (1H, m), 3.03 − 3.12 (2H, m), 3.51 (3H, s), 3.89 (2H, t, J = 6.9 Hz), 7.19 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.26 − 7.35 (2H, m), 7.45 − 7.54 (3H, m), 7.72 − 7.83 (2H, m), 8.25 (1H, d, J = 8.7 Hz)
【0229】
実施例17
2−(3−[[3−(アセチルアミノ)ベンゾイル]アミノ]プロピル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
2−(3−アミノプロピル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.3g)、3−(アセチルアミノ)安息香酸(99mg)、WSC(0.16g)、HOBt(0.13g)、トリエチルアミン(0.092ml)及びDMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.3g)を得た。
融点:220−221℃
1H NMR (DMSO−d6)δ: 1.87 − 2.02 (2H, m), 2.04 (3H, s), 3.43 (3H, s), 3.91 − 4.05 (2H, m), 7.19 (1H, d, J = 1.5 Hz), 7.27 − 7.39 (3H, m), 7.43 − 7.55 (4H, m), 7.73 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.79 (1H, dd, J = 1.8, 8.4 Hz), 7.98 (1H, s), 8.26 (1H, d, J = 8.7 Hz), 8.51 (1H, t, J = 6.8Hz), 10.05 (1H, s).
【0230】
実施例18
6−ブロモ−2−[3−(ヘキサ−5−イノイルアミノ)プロピル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
2−(3−アミノプロピル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.3g)、ヘキサ−5−イン酸(62mg)、WSC(0.16g)、HOBt(0.13g)、トリエチルアミン(0.092ml)及びDMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.27g)を得た。
融点:177−178℃
1H NMR (DMSO−d6)δ: 1.60 −1.72 (2H, m), 1.73 −1.84 (2H, m), 2.10 − 2.20 (4H, m), 2.78 (1H, t, J = 2.7 Hz), 3.04 − 3.14 (2H, m), 3.51 (3H, s), 3.85 − 3.93 (2H, m), 7.19 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.26 − 7.33 (2H, m), 7.43 − 7.57 (3H, m), 7.79 (1H, dd, J = 1.8, 8.7 Hz), 7.91 (1H, t, J = 5.7 Hz), 8.25 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0231】
実施例19
6−ブロモ−2−[3−[ヘキサ−5−イノイル(メチル)アミノ]プロピル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
6−ブロモ−2−[3−(メチルアミノ)プロピル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.3g)、ヘキサ−5−イン酸(60mg)、WSC(0.16g)、HOBt(0.13g)、トリエチルアミン(0.092ml)及びDMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.27g)を得た。融点:127−129℃
1H NMR (DMSO−d6)δ: 1.88 − 2.03 (2H, m), 2.04 (3H, s), 3.13 − 3.52(2H, m), 3.43 (3H, s), 3.30 − 4.04 (2H, m), 7.19 (1H, d, J = 1.5 Hz), 7.14 − 7.39 (3H, m), 7.43 − 7.54 (4H, m), 7.73 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.79 (1H, dd, J = 1.8, 8.4 Hz), 7.98 (1H, s), 8.26 (1H, d, J = 8.7 Hz), 8.51 (1H, t, J = 5.7 Hz), 10.05 (1H, s).
【0232】
実施例20
6−ブロモ−2−[[1−(イソキノリン−3−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]メチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.3g)、イソキノリン−3−カルボン酸(88mg)、WSC(0.15g)、HOBt(0.12g)、トリエチルアミン(0.094ml)及びDMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.22g)を得た。
融点:220−224℃
1H NMR (DMSO−d6)δ: 1.19 − 1.37 (2H, m), 1.46− 1.57 (1H, m), 1.64 −1.76 (1H, m), 2.00 − 2.19 (1H, m), 2.68 − 2.83 (1H, m), 2.92 − 3.07 (1H, m), 3.51 (3H, s), 3.66 − 3.80 (1H, m), 3.03 (2H, m), 3.80 − 4.04 (2H, m), 4.47 − 4.58 (1H, m), 7.20 (1H, s), 7.25 − 7.35 (2H, m), 7.45 − 7.55 (3H, m), 7.72 − 7.87 (3H, m), 8.00 − 8.08 (2H, m), 8.13 − 8.22 (1H, m), 8.22 − 8.29 (1H, m), 9.32 (1H, s).
【0233】
実施例21
6−ブロモ−2−([1−[4−(メチルアミノ)−4−オキソブタ−2−エノイル]ピペリジン−4−イル]メチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.3g)、4−(メチルアミノ)−4−オキソブタ−2−エン酸(66mg)、WSC(0.15g)、HOBt(0.12g),トリエチルアミン(0.11ml)、DMF(10ml)の混合物を室温で15時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、有機層を1N塩酸水、水、炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して無色結晶として表題化合物(0.21g)を得た。
融点:175−178℃
1H NMR (DMSO−d6)δ: 1.05 −1.30 (2H,m), 1.43 −1.63 (2H, m), 1.92 − 2.08 (1H, m), 2.41 − 2.57 (1H, m), 2.60 (3H, d, J = 4.5 Hz), 2.76 − 2.92 (1H, m), 3.49 (3H, s), 3.55 − 3.67 (2H, m), 3.84 − 3.97 (2H, m), 4.27 − 4.38 (1H, m), 5.94 (1H, d, J = 12.2 Hz), 6.32 (1H, d, J = 12.2 Hz), 7.19 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.27 − 7.36 (2H, m), 7.42 − 7.55 (3H, m), 7.79 (1H, dd, J = 2.1, 9.0 Hz), 8.00 − 8.08 (1H, m), 8.25 (1H, d, J = 8.4 Hz).
【0234】
実施例22
6−ブロモ−2−[1−(シクロペンチルアセチル)ピペリジン−4−イル]メチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル
実施例7で得られた化合物の0.12M DMF溶液(500μL、60μmol)にトリエチルアミン(9.3μL)を加え、シクロペンチルメチルカルボン酸の0.18M DCM溶液(400μL、72μmol)およびHOBtとWSCとの0.10M DCM溶液(720μL、72μmol)を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物にDCM(3ml)および5%炭酸水素ナトリウム水溶液(2ml)を加えて抽出し、有機層をフェーズセップチューブ(ワットマン社製)により分取した。溶媒を減圧下に留去して、残渣をDMSO(1ml)に溶かし、分取HPLCにて精製することにより標題化合物を得た。
収量:27.1mg
LC−MS分析:純度 90%(保持時間:2.28分)
MS(ESI+):551(M+H)
【0235】
実施例23〜362
実施例7から実施例14において合成された8種類のイソキノロン骨格を有するアミン誘導体部分に対し、式:Ra−COOH(ここで、Raは
【0236】
【化39】
【0237】
である)で表わされる、48種類の市販品のカルボン酸を用いて、実施例21に記載する方法と同様の方法により反応および後処理を行うことにより、表1に示す実施例23〜362の化合物を得た。
【0238】
【表1】
【0239】
実施例363
2−[6−ブロモ−3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]プロパン酸
DMF(1滴)を、2−ベンゾイル−4−ブロモ安息香酸(3.10 g)、塩化チオニル(7.3 ml)及びTHF(15 ml)の混合液に加え、2時間加熱還流した。溶媒を留去し、残渣をトルエンで2回共沸した。残渣をTHF(45 ml)に溶解し、トリエチルアミン(1.5 ml)及びN−(2−メトキシ−2−オキソエチル)アラニンtert−ブチルエステル(2.17 g)を加え、3日間加熱還流した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:5、1:2)で精製し、N−(2−ベンゾイル−4−ブロモベンゾイル)−N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)アラニンtert−ブチルエステル(3.44 g)を淡黄色油状物として得た。
N−(2−ベンゾイル−4−ブロモベンゾイル)−N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)アラニンtert−ブチルエステル(3.44 g)のアセトニトリル(55 ml)溶液にDBU(2.24 ml)を加え、80℃で16時間攪拌した。冷却後、ヨウ化メチル(0.93 ml)を加え、室温で20時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、残渣をピリジン(50 ml)に溶解した。0℃に冷却し、塩化チオニル(0.62 ml)を滴下した。反応溶液を60℃で2時間攪拌した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、残渣をアセトニトリル(40 ml)に溶解した。次いで、DBU(2.24 ml)を加え、室温で16時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:4、1:3)で精製し、6−ブロモ−2−(2−tert−ブトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(2.8 g)を淡黄色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 1.45 (9H, s), 1.74 (3H, d, J = 6.9 Hz), 3.48 (3H, s), 4.45 (1H, q, J = 6.9 Hz), 7.20−7.50 (6H, m), 7.63 (1H, dd, J = 8.4 Hz, 2.1 Hz), 8.33 (1H, d, J = 8.4 Hz).
6−ブロモ−2−(2−tert−ブトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(4.94 g)に4N HCl−酢酸エチル溶液(50 ml)を加え、室温で62時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣に無水エーテルを加え、沈殿をろ取し、無水エーテルで洗浄し、乾燥すると表題化合物(3.44 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 1.59 (3H, d, J = 6.9 Hz), 3.52 (3H, s), 4.53 (1H, q, J = 6.9 Hz), 7.22 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.60 (5H, m), 7.80 (1H, dd, J = 8.7 Hz, 1.8 Hz), 8.22 (1H, d, J = 8.4 Hz).
【0240】
実施例364
2−[3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]プロパン酸
DMF(3滴)を、2−ベンゾイル安息香酸(7.87 g)、塩化チオニル(25.4 ml)及びTHF(55 ml)の混合液に加え、2時間加熱還流した。溶媒を留去し、残渣をトルエンで2回共沸した。残渣をTHF(150 ml)に溶解し、トリエチルアミン(9.7 ml)及びN−(2−メトキシ−2−オキソエチル)アラニンtert−ブチルエステル(7.56 g)を加え、3日間加熱還流した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:5、1:2)で精製し、N−(2−ベンゾイル−4−ブロモベンゾイル)−N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)アラニンtert−ブチルエステル(12.01 g)を淡黄色油状物として得た。
N−(2−ベンゾイル−4−ブロモベンゾイル)−N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)アラニンtert−ブチルエステル(12.01 g)のアセトニトリル(200 ml)溶液にDBU(8.43 ml)を加え、80℃で16時間攪拌した。冷却後、ヨウ化メチル(3.51 ml)を加え、室温で20時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、残渣をピリジン(219 ml)に溶解した。0℃に冷却し、塩化チオニル(2.73 ml)を滴下後、反応溶液を60℃で2時間攪拌した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、残渣をアセトニトリル(167 ml)に溶解した。次いで、DBU(3.08 ml)を加え、室温で16時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:4、1:3)で精製し、2−(2−tert−ブトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(6.79 g)を淡黄色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 1.45 (9H, s), 1.75 (3H, d, J = 6.9 Hz), 3.47 (3H, s), 4.48 (1H, q, J = 6.9 Hz), 7.18−7.60 (8H, m), 7.40−8.45 (1H, m). 2−(2−tert−ブトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(4.94 g)に4N HCl−酢酸エチル溶液(50 ml)を加え、室温で62時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣に無水エーテルを加え、沈殿をろ取し、無水エーテルで洗浄し、乾燥すると表題化合物(3.44 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 1.60 (3H, d, J = 6.6 Hz), 3.33 (3H, s), 4.51 (1H, q, J = 6.6 Hz), 7.16 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.20−7.80 (7H, m), 8.30 (1H, d, J = 7.8 Hz).
【0241】
実施例365
2−[6−ブロモ−3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]−4−メチルペンタン酸
実施例363と同様の操作によって表題化合物(5.64 g)を合成した。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 0.80 (3H, d, J = 6.6 Hz), 0.87 (3H, d, J = 6.6 Hz), 1.55−1.70 (1H, m), 1.70−1.95 (1H, m), 2.10−2.30 (1H, m), 3.46 (3H, s), 4.50−4.70 (1H, m), 7.22 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.40 (2H, m), 7.40−7.60 (3H, m), 7.81 (1H, dd, J = 8.7 Hz, 1.8 Hz), 8.23 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0242】
実施例366
2−[3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]−4−メチルペンタン酸
実施例363と同様の操作によって表題化合物(6.05 g)を合成した。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 0.80 (3H, d, J = 6.6 Hz), 0.87 (3H, d, J = 6.6 Hz), 1.55−1.75 (1H, m), 1.75−1.95 (1H, m), 2.10−2.30 (1H, m), 3.44 (3H, s), 4.55−4.65 (1H, m), 7.15 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.20−7.40 (2H, m), 7.40−7.60 (3H, m), 7.60−7.80 (2H, m), 8.31 (1H, d, J = 8.4 Hz).
【0243】
実施例367
[6−ブロモ−3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]酢酸
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(4.5 g)、グルシンtert−ブチルエステル塩酸塩(8.38 g)、トリエチルアミン(7.6 ml)メタノール(70 ml)及びTHF(70 ml)の混合物を50℃で4日間攪拌した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:4、1:3)で精製し、6−ブロモ−2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−3−ヒドロキシ−1−オキソ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(6.10 g)を淡黄色油状物として得た。
6−ブロモ−2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−3−ヒドロキシ−1−オキソ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(6.10 g)をピリジン(146 ml)に溶解した。0℃に冷却し、塩化チオニル(1.81 ml)を滴下後、反応溶液を60℃で2時間攪拌した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:4、1:3)で精製し、6−ブロモ−2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(5.50 g)を淡黄色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 1.47 (9H, s), 3.42 (3H, s), 4.83 (2H, s), 7.25−7.50 (6H, m), 7.60−7.65 (1H, m), 8.36 (1H, d, J = 8.4 Hz). 6−ブロモ−2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(5.50 g)にトリフルオロ酢酸(9 ml)を加え、室温で14時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を留去し、残渣に無水エーテルを加え、沈殿をろ取し、無水エーテルで洗浄し、乾燥すると表題化合物(4.35 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 3.45 (3H, s), 4.67 (2H, s), 7.24 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.40 (2H, m), 7.40−7.60 (2H, m), 7.81 (1H, dd, J = 8.7 Hz, 1.8 Hz), 8.25 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0244】
実施例368
[3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]酢酸
1−オキソ−4−フェニル−1H−イソクロメン−3−カルボン酸メチル(5.0 g)、グルシンtert−ブチルエステル塩酸塩(12.8 g)、トリエチルアミン(11.0 ml)メタノール(70 ml)及びTHF(70 ml)混合物を50℃で16時間攪拌した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:3)で精製し、2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−3−ヒドロキシ−1−オキソ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(7.22 g)を淡黄色油状物として得た。
2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−3−ヒドロキシ−1−オキソ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(7.22 g)をピリジン(206 ml)に溶解した。0℃に冷却し、塩化チオニル(2.56 ml)を滴下し、反応溶液を60℃で2時間攪拌した。冷却後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル‐水で分液した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した(MgSO4)。ろ過後、濃縮し、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン=1:4、1:3)で精製し、2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(5.73 g)を淡黄色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 1.47 (9H, s), 3.42 (3H, s), 4.83 (2H, s), 7.25−7.50 (6H, m), 7.60−7.65 (1H, m), 8.36 (1H, d, J = 8.4 Hz). 2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチル(5.73 g)にトリフルオロ酢酸(11.2 ml)を加え、室温で16時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を留去し、残渣に無水エーテルを加え、沈殿をろ取し、無水エーテルで洗浄し、乾燥すると表題化合物(4.81 g)が白色アモルファス粉末として得られた。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 3.44 (3H, s), 4.68 (2H, s), 7.20 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.25−7.35 (2H, m), 7.40−7.60 (3H, m), 7.60−7.80 (2H, m), 8.34 (1H, d, J = 6.6 Hz).
【0245】
実施例369
3−[6−ブロモ−3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]プロパン酸
実施例367と同様の操作によって表題化合物(7.60 g)を合成した。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 2.70 (2H, t, J = 8.1 Hz), 3.50 (3H, s), 4.11 (2H, t, J = 8.1 Hz), 7.21 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.25−7.40 (2H, m), 7.45−7.60 (3H, m), 7.80 (1H, dd, J = 8.4 Hz, 1.8 Hz), 8.26 (1H, d, J = 8.7 Hz).
【0246】
実施例370
3−[3−(メトキシカルボニル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−2−イル]プロパン酸
実施例368と同様の操作によって表題化合物(5.65 g)を合成した。
1H−NMR (DMSO−d6)δ: 2.71 (2H, t, J = 8.1 Hz), 3.50 (3H, s), 4.13 (2H, t, J = 8.1 Hz), 7.17 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.25−7.40 (2H, m), 7.40−7.60 (3H, m), 7.60−7.80 (2H, m), 8.30−8.40 (1H, m).
【0247】
実施例371
6−ブロモ−2− [2−(シクロプロピルアミノ)−1−メチル−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル
実施例363で得られた化合物の0.12M DMF溶液(500μL、60μmol)に対し、シクロプロピルアミンの0.18M DCM溶液(400μL、72μmol)およびHOBt、WSCの0.10M DCM溶液(720μL、72μmol)を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物にDCM(3ml)、および5%炭酸水素ナトリウム水溶液(2ml)を加えて抽出し、有機層をフェーズセップチューブ(ワットマン社製)により分取した。溶媒を減圧下に留去して、残渣をDMSO(1ml)に溶かし、分取HPLCにて精製することにより標題化合物を得た。
収量:20.8mg
LC−MS分析:純度 96%(保持時間:2.08分)
MS(ESI+):469(M+H)
【0248】
実施例372〜595
実施例363から実施例370において合成された8種類のイソキノロン骨格を有するカルボン酸誘導体部分に対し、
【0249】
【化40】
【0250】
の、48種類の市販品のアミンを用いて、実施例371に記載する方法と同様の方法により反応および後処理することにより、表2に示す実施例372〜595の化合物を得た。
【0251】
【表2】
【0252】
製剤例1
本発明における式(I)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有するJNK阻害剤(例、慢性または急性心不全、心肥大、心筋梗塞予後、急性または慢性心筋炎、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、炎症性腸疾患、喘息、虚血再灌流障害、臓器不全、脳卒中、脳血管障害の治療剤など)は、例えば次のような処方によって製造することができる。
なお、以下の処方において活性成分以外の成分(添加物)は、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格または医薬品添加物規格における収載品などを用いることができる。
(1)、(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
(1)、(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
(1)、(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
(1)、(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
(1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)の1/2を混和した後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
(1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)の1/2を混和した後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
(1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)の1/2を混和した後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
(1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)の1/2を混和した後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
【0253】
製剤例2
日局注射用蒸留水50mlに実施例4で得られた化合物50mgを溶解した後、日局注射用蒸留水を加えて100mlとする。この溶液を滅菌条件下でろ過し、次にこの溶液1mlずつを取り、滅菌条件下、注射用バイアルに充填し、凍結乾燥して密閉する。
【0254】
実験例1
以下の参考例に記載の遺伝子操作法は、成書(Maniatisら、モレキュラー・クローニング、Cold Spring Harbor Laboratory、1989年)に記載されている方法もしくは試薬の添付プロトコールに記載されている方法に従った。
(1)ヒトJNK1遺伝子のクローニングと組換えバキュロウイルスの調製
ヒトJNK1遺伝子のクローニングは、腎臓cDNA(東洋紡,QUICK−Clone cDNA)を 鋳型とし、Derijard,B.らが報告(Cell ,76, 1025−1037(1994))しているJNK1遺伝子の塩基配列を参考に作製したプライマーセット
JNK1−U:
5’−ACAACTCGAGATAACATATGGCTCATCATCATCATCATCATAGCAGAAGCAAGCGTGACAAC −3’(配列番号:1)
JNK1−L:
5’− TCCCGGGTACCTCACTGCTGCACCTGTGCTAA −3’
(配列番号:2)
を用いたPCR法により行った。
PCR 反応は AmpliWax PCR Gem 100(宝酒造)を用いた Hot Start法で行った。下層混液として、10 x LA PCR Buffer 2 μl、2.5 mM dNTP 溶液 3 μl、12.5μM プライマー溶液各 2.5 μl、25mM MgCl2溶液2μl、滅菌蒸留水 8 μlを混合した。上層混液としては、鋳型としてヒト腎臓cDNA(1 ng/ml)を1 μl、10 x LA PCR Buffer 3 μl、2.5 mM dNTP 溶液 5 μl、25mM MgCl2溶液3μl、TaKaRa LA Taq DNA polymerase(宝酒造) 0.5 μl、滅菌蒸留水 17.5 μlを混合した。調製した下層混液に AmpliWax PCR Gem 100(宝酒造)を 1 個添加し、70℃ で 5分間、氷中で5分間処理後、上層混液を加え PCRの反応液を調製した。反応液の入ったチューブをサーマルサイクラー(パーキンエルマー社)にセットした後、95℃で2分間処理した。さらに、95℃で15秒間、68℃で2分間のサイクルを 35 回繰り返した後、72℃で8分間処理した。得られたPCR産物をアガロースゲル(1%)電気泳動し、JNK1遺伝子を含む1.2 kbのDNA断片をゲルから回収した後、 制限酵素KpnI, XhoI消化し、プラスミドpFASTBAC1 (GIBCO BRL)の4.8kb XhoI−KpnI断片へ挿入したプラスミドpFBJNK1を作製した。プラスミドpFBJNK1とBAC−TO−BAC Baculovirus Expression System (GIBCO BRL)を用いて組換えバキュロウイルスのウイルスストックBAC−HJNK1を調製した。
【0255】
(2)ヒトMKK7遺伝子のクローニングと組換えバキュロウイルスの調製
ヒトMKK7遺伝子のクローニングは、膵臓cDNA(東洋紡,QUICK−Clone cDNA)を 鋳型とし、Foltz,I.N.らが報告(J.Biol.Chem.,273(15),9344−9351 (1998))しているMKK7遺伝子の塩基配列を参考に作製したプライマーセット
MKK7−U:
5’− ACCAGAATTCATAACATATGGCTCATCATCATCATCATCATGCGGCGTCCTCCCTGGAACAG−3’(配列番号:3)
MKK7−L:
5’− ACCCTCTAGACAAGCAGCTACCTGAAGAAGG −3’
(配列番号:4)
を用いたPCR法により行った。
PCR 反応は AmpliWax PCR Gem 100(宝酒造)を用いた Hot Start法で行った。下層混液として、10 x LA PCR Buffer 2 μl、2.5 mM dNTP 溶液 3μl、12.5 μM プライマー溶液各 2.5 μl、25mM MgCl2溶液2μl、滅菌蒸留水 8 μlを混合した。上層混液としては、鋳型としてヒト膵臓cDNA(1 ng/ml)を1 μl、10 x LA PCR Buffer 3 μl、2.5 mM dNTP 溶液 5 μl、25mM MgCl2溶液3μl、TaKaRa LA Taq DNA polymerase(宝酒造) 0.5μl、滅菌蒸留水 17.5μlを混合した。調製した下層混液に AmpliWax PCR Gem 100(宝酒造)を 1 個添加し、70℃ で 5分間、氷中で5分間処理後、上層混液を加え PCRの反応液を調製した。反応液の入ったチューブをサーマルサイクラー(パーキンエルマー社)にセットした後、95℃で2分間処理した。さらに、95℃で15秒間、68℃で2分間のサイクルを 35 回繰り返した後、72℃で8分間処理した。得られたPCR産物をアガロースゲル(1%)電気泳動し、MKK7遺伝子を含む1.3 kbのDNA断片をゲルから回収した後、pT7Blue−T vector(ノバジェン)に挿入し、プラスミドpHMKK7を得た。
Wang,Y.らが報告(J.Biol.Chem.,273(10),5423−5426,1998)している構成的活性型MKK7(271番目のSerをAsp、275番目のThrをAsp)を作製するためにプライマーセット
CAM7−U:
5’− GGCCGCCTGGTGGACGACAAAGCCAAGGACCGGAGCGCCGGCTG−3’
(配列番号:5)
CAM7−L:
5’− CAGCCGGCGCTCCGGTCCTTGGCTTTGTCGTCCACCAGGCGGCC −3’
(配列番号:6)
を用いて、QuikChange Site−Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)により変異を導入し、pcaMKK7を得た。
プラスミドpFASTBAC1 (GIBCO BRL)の4.8kb EcoRI−XbaI断片と上記プラスミドpcaMKK7の1.3kb EcoRI−XbaI断片を連結し、プラスミドpFBcaMKK7を作製した。プラスミドpFBcaMKK7とBAC−TO−BAC Baculovirus Expression System (GIBCO BRL)を用いて組換えバキュロウイルスのウイルスストックBAC−caMKK7を調製した。
【0256】
(3)ヒトcJUN遺伝子のクローニング
ヒトcJUN遺伝子のクローニングは、骨格筋cDNA(東洋紡,QUICK−Clone cDNA)を 鋳型とし、Hattori,K.らが報告(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85(23), 9148−9152 (1988))しているcJUN遺伝子の塩基配列を参考に作製したプライマーセット
cJUN−U:
5’− AAAAGAATTCATGACTGCAAAGATGGAAACGACC−3’
(配列番号:7)
cJUN−L:
5’− AAAAGCGGCCGCTCACAGGCGCTCCAGCTCGGGCGACGC −3’
(配列番号:8)
を用いたPCR法によりcJUNのN末79アミノ酸をコードする遺伝子の増幅を行った。 PCR 反応は AmpliWax PCR Gem 100(宝酒造)を用いた Hot Start法で行った。下層混液として、10 x Pyrobest PCR Buffer 2 μl、2.5 mM dNTP 溶液 3 μl、12.5 μM プライマー溶液各 2.5 μl、滅菌蒸留水 10 μlを混合した。上層混液としては、鋳型としてヒト骨格筋cDNA(1 ng/ml)を1 μl、10 x Pyrobest PCR Buffer 3 μl、2.5 mM dNTP 溶液 2 μl、TaKaRa Pyrobest DNA polymerase(宝酒造) 0.5 μl、滅菌蒸留水 24.5 μlを混合した。調製した下層混液に AmpliWax PCR Gem 100(宝酒造)を 1 個添加し、70℃ で 5分間、氷中で5分間処理後、上層混液を加え PCRの反応液を調製した。反応液の入ったチューブをサーマルサイクラー(パーキンエルマー社)にセットした後、95℃で2分間処理した。さらに、95℃で15秒間、68℃で30秒間のサイクルを 35 回繰り返した後、72℃で8分間処理した。得られたPCR産物をアガロースゲル(1%)電気泳動し、cJUN遺伝子を含む240bpのDNA断片をゲルから回収した後、 制限酵素EcoRI, NotIで消化し、プラスミドpGEX6P−1 (アマシャム・ファルマシア社)の4.9kb EcoRI−NotI断片へ挿入したプラスミドpGEJUNを作製した。
【0257】
(4)活性型JNK1の調製
Sf−21細胞を1x106 cells/mlとなるように10%牛胎児血清を含む100ml Sf−900 II SFM培地(GIBCOBRL)に播種した後、27℃で24時間培養した。組換えバキュロウイルスのウイルスストックBAC−HJNK1とBAC−caMKK7をそれぞれ0.2ml添加した後、さらに60時間培養した。培養液から遠心分離(3000rpm、10min)により、細胞を分離した後、PBSで細胞を2回洗浄した。細胞を10ml Lysis buffer(25mM HEPES (pH 7.5), 1% TritonX, 130mM NaCl, 1mM EDTA, 1mM DTT, 25mM β−glycerophosphate, 20μM leupeptin, 1mM APMSF, 1mM Sodium orthovanadate)に懸濁した後、ホモジナイザー(POLYTRON)で20000rpm、30秒間処理を4回行うことで細胞を破砕した。遠心分離(40000rpm、45分間)して得た上清からAnti−FLAG M2 Affinity Gel (シグマ社)を用いて、活性型JNK1を精製した。
【0258】
(5)組換え型cJUNの調製
プラスミドpGEJUNを大腸菌JM109(東洋紡)へ形質転換して得られたアンピシリン耐性株pGEJUN/JM109を作製した。pGEJUN/JM109株を50μg/mlアンピシリンを含む150mlのLB培地(10g/lトリプトン, 5g/lイーストエキストラクト, 10g/l 塩化ナトリウム)で一晩、200rpm、37℃で培養した。培養液15ml を新鮮なLB培地150mlに添加し、37℃2時間200rpmで培養し、1mM IPTG (和光純薬)を添加してさらに6時間培養した。培養液を8000rpmで10分間遠心して菌体を回収し、PBSで洗浄後、菌体を−80℃で凍結させた。20mlのLysis buffer(B−PER bacterial protein extraction reagent (ピアス)、Protease inhibitor Complete (ベーリンガー))に懸濁した後、室温10分間振盪した。遠心分離(14000rpm、15分間、4℃)を行い、その上清をRedipack GST Purification Module(アマシャム・ファルマシア社)を用いてGST−cJUN融合蛋白質を精製した。
【0259】
(6)JNK阻害活性の測定
50ng 活性型JNK1と1μg cJUNを含む37.5μl反応溶液(25mM HEPES (pH 7.5)、10 mM酢酸マグネシウム、1mM DTT)にDMSOに溶解した供試化合物を2.5 μl添加した後、30℃で5分間保温した。ATP溶液(2.5μM ATP、0.01μCi [γ−32P]ATP)を10μl添加することにより反応を開始した。30℃で60分間反応させた後、20%TCA溶液を50μl添加することで反応を停止した。反応溶液を0℃、20分間放置した後、セルハーベスター(パッカードジャパン)を用いて、GF/C filter(パッカードジャパン)に酸不溶画分をトランスファーし、250mMリン酸で洗浄した。45℃で60分間乾燥させた後、Microscint 0(パッカードジャパン)を40μl添加し、トップカウント(パッカードジャパン)で放射活性を測定した。
【0260】
実験結果
表3にヒトJNK1の阻害作用を示す。
【0261】
【表3】
【0262】
表3の結果から、本発明の化合物(I)は優れたJNK阻害活性を有することがわかる。
【0263】
【発明の効果】
本発明の化合物(I)は、JNKを選択的に阻害し、また毒性が低く、かつ、副作用も少ないため、安全なJNK阻害剤と有用であり、JNK関連病態または疾患の予防・治療剤として用いることができる。
【0264】
【配列表フリーテキスト】
〔配列番号:1〕
プライマーJNK1−Uのヌクレオチド配列
〔配列番号:2〕
プライマーJNK1−Lのヌクレオチド配列
〔配列番号:3〕
プライマーMKK7−Uのヌクレオチド配列
〔配列番号:4〕
プライマーMKK7−Lのヌクレオチド配列
〔配列番号:5〕
プライマーCAM7−Uのヌクレオチド配列
〔配列番号:6〕
プライマーCAM7−Lのヌクレオチド配列
〔配列番号:7〕
プライマーcJUN−Uのヌクレオチド配列
〔配列番号:8〕
プライマーcJUN−Lのヌクレオチド配列
【配列表】
Claims (20)
- 式
環Aおよび環Bはそれぞれ置換されていてもよいベンゼン環を示し、
Xは二価の鎖状の炭化水素基を示し、
R1は水素原子、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいカルバモイル基、アシル基、置換されていてもよいアミノ基、シアノ基、置換されていてもよい非芳香族環状炭化水素基または置換されていてもよい非芳香族複素環基を示し、
R2は
置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基およびエステル化されていてもよいカルボキシル基から選ばれた置換基を有していてもよい炭化水素基、
アシル基、
置換されていてもよいアミノ基、
エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基または
置換されていてもよいカルバモイル基を示す。
ただし、R2がエステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基または置換されていてもよいカルバモイル基の場合、環Bが有していてもよい置換基の数は2個以下である。〕で表される化合物またはその塩(ただし、
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−(2−メトキシエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(2−メトキシエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−ブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ブロモ−2−ブチル−3−ヒドロキシメチル−4−フェニル−2H−イソキノリン−1−オン、
6−ブロモ−2−シクロヘキシルメチル−3−ヒドロキシメチル−4−フェニル−2H−イソキノリン−1−オン、
6−ブロモ−2−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−ニトロフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[2−(4−シアノフェニル)−2−オキソエチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−シクロプロピルメチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−2−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−3−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−2−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル 塩酸塩、
2−(1−アセチルピペリジン−4−イルメチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
2−(1−アセチルピペリジン−3−イルメチル)−6−ブロモ−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−(1−メチルカルバモイルピペリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[1−(3−カルボキシプロピオニル)ピペリジン−4−イルメチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、
6−ブロモ−2−[1−(4−カルボキシブチリル)ピペリジン−4−イルメチル]−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、及び
6−クロロ−2−エチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステルを除く。)。 - R3がハロゲン原子またはC1−4アルキル基である請求項2記載の化合物。
- 環Bが2個以下の置換基を有していてもよいベンゼン環である請求項1記載の化合物。
- 環Bが無置換のベンゼン環である請求項1記載の化合物。
- XがC1−4アルキレンである請求項1記載の化合物。
- R1が置換されていてもよいアミノ基または置換されていてもよい非芳香族複素環基である請求項1記載の化合物。
- R2が置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基およびエステル化されていてもよいカルボキシル基から選ばれた置換基を有していてもよい炭化水素基、アシル基または置換されていてもよいアミノ基である請求項1記載の化合物。
- R2がアシル基である請求項1記載の化合物。
- R2が−C(=O)−RA(ここで、RAは水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す)である請求項1記載の化合物。
- R2がエステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基または置換されていてもよいカルバモイル基である請求項1記載の化合物。
- R1がヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、エステル化もしくはチオエステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいアミノ基またはシアノ基である請求項11記載の化合物。
- 請求項1記載の化合物のプロドラッグ。
- 請求項1または13記載の化合物を含有することを特徴とする医薬。
- JNK阻害剤である請求項14記載の医薬。
- JNK関連病態または疾患の予防・治療剤である請求項14記載の医薬。
- 慢性または急性心不全、心肥大、拡張型、肥大型または拘束型心筋症、急性心筋梗塞、心筋梗塞予後、急性または慢性心筋炎、左心拡張能不全、左心収縮不全、高血圧症とそれに合併した腎症・腎炎、血管内皮機能低下、動脈硬化症または冠血管形成術後再狭窄の予防・治療剤である請求項14記載の医薬。
- 慢性関節リウマチ、変形性関節炎、痛風、慢性閉塞性肺疾患、喘息、気管支炎、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性大腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃炎、食道炎、多発性硬化症、湿疹、皮膚炎、肝炎、糸球体腎炎、糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、肥満症、乾癬または癌の予防・治療剤である請求項14記載の医薬。
- アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、てんかん、筋萎縮性側索硬化症、神経変性疾患または脊椎損傷の予防・治療剤である請求項14記載の医薬。
- 脳卒中、脳血管障害、心臓、腎臓、肝臓および脳から選ばれる臓器の虚血障害、虚血再灌流障害、臓器不全、エンドトキシンショックまたは移植後の拒絶の予防・治療剤である請求項14記載の医薬。
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