JP2005059877A - 梱包構造及びパレット - Google Patents

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Abstract

【課題】 低コストで且つ廃棄時の処理方法を含む地球環境の保護に配慮した梱包構造及びパレットを提供する。
【解決手段】 梱包構造10を構成する枠体部11及びゲタ部13として、天然素材の1つであるケナフ繊維を主原材料として形成された柱状部材を使用し、面部12にも同様の板状部材を使用する。各部材に組み立て等のためのボルト貫通穴などを設ける場合には、後から穴開け加工を行うのではなく、部材を成形する際の型枠に、貫通穴等に対応した型を設けておいて成形と同時に穴を開ける。それによって、部材の強度を損なうことがない。
【選択図】 図1

Description

本発明は、比較的大型で重い物品等を梱包して船舶、航空機等により遠方へ運送したり貯蔵したりするために利用される梱包構造及びパレットに関する。
機械類等の比較的大型で大きな重量を有する物品を遠方へ運搬したり貯蔵したりするために、各種梱包構造やパレットが広く使用されている。従来、一般的に使用されている梱包構造の材料の種類としては、木製、スチール製、プラスチップ製などがある(例えば特許文献1、非特許文献1など参照)。
木製の梱包構造で最も安価であるのは、松等の針葉樹を原材料とするものである。しかしながら、針葉樹の場合には松食い虫と総称される穿虫類が木材内部に侵入しているおそれがあるため、輸出相手国によっては、こうした梱包構造・パレットを持ち込む際には、動植物輸入品と同様に薫蒸等による検疫処理が義務づけられている。このような検疫には日時を要するのが一般的であり手続きも煩雑になるため、迅速性が要求される商取引においては問題が多い。
木製であってもラワン材等の熱帯性広葉樹を原材料としたものでは上記のような問題はないが、通常、針葉樹を原材料とするものよりもコストの増加が避けられない。また、近年、地球環境保護、特に温室効果の一因であるとされる二酸化炭素の吸収・固定化を促進するという観点から、熱帯地域での森林伐採の規制が一層強化されており、原材料自体の入手が困難になりつつある。
一方、プラスチック製やスチール製の梱包構造でも上記のような検疫上の問題は生じないが、前者の場合には強度的な問題があるとともに使用後の廃棄処理の際に問題が生じる。また、後者の場合には防錆処理が必要となる場合があるとともに、梱包構造やパレット自体がかなりの重量物となるため、特に軽量貨物の場合には輸送コストを大きく引き上げてしまうという問題がある。
こうしたことから、従来一般に使用されている梱包構造・パレットはいずれも何らかの問題を抱えている。特に輸出に使用される梱包構造・パレットは繰り返し使用されることが少なく、多くの場合、目的とする物品の搬送の後には直ちに廃棄物となるものである。そのため、単にコスト的な面だけでなく、地球レベルでの資源の保護や廃棄物処理といった点まで十分に配慮した梱包構造・パレットが強く望まれている。
特開平5-112352号公報 "輸出梱包"、[online]、株式会社シンコー、[平成15年7月29日検索]、インターネット〈URL : http://www.shinko-corp.co.jp/buturyu/butu_konpou.htm〉
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、コストが廉価であって且つ検疫等の問題が少なく、しかも地球環境の保護に貢献し得るような梱包構造及びパレットを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明に係る梱包構造及びパレットは、ケナフ(アオイ科フヨウ属の一年生草本類)から得られる長繊維を主原材料として形成される板状部材及び/又は柱状部材を、複数組み合わせて構成されたことを特徴としている。
具体的には例えば密閉箱型の梱包構造においては、その構造を実質的に支持する枠体部が柱状部材で、内部の被梱包物を覆い隠すための各面部が板状部材で構成される。また、内部の被梱包物が外から見える透かし型の梱包構造おいては、枠体部が柱状部材で構成される。また、パレットにおいては、底面部(デッキ)が複数の柱状部材又は板状部材で、ゲタ部が柱状部材で構成される。
発明の実施の形態及び効果
近年、注目を集めている天然素材であるケナフは、非常に成長が早く、地球温暖化現象の一因と言われている空気中の二酸化炭素を吸収・固定化する能力が高い。また、ケナフ栽培においては単位面積当たりの収穫量が多く、同一の土地での連続的な栽培(いわゆる連作)が可能である。したがって、針葉樹や熱帯性広葉樹などと比較して空気中の二酸化炭素の減少に貢献し得る地球環境に配慮した素材であると同時に、コスト的にも十分に低いものである。本発明に係る梱包構造及びパレットは、木製、スチール製、プラスチック製などの部材に代えて、ケナフを主原材料として形成される部材を主要な構成部材として使用する。ここで言う主要な構成部材とは、梱包構造及びパレットにおいて体積的に大きな割合を占める部分であり、例えば組み立てを目的とするボルト、クリップ、釘などの補助的な構成要素を除く。
したがって本発明に係る梱包構造及びパレットによれば、害虫などが部材内部に侵入しているおそれがないので薫蒸処理などを必要とせず、他国への持ち込みの際の通関手続に要する手間が煩雑でなく時間を短縮化できる。また、梱包構造やパレット自体の重量が比較的小さく取扱いが容易であって、軽量貨物の場合でも運送コストの増加を抑えることができる。また、原材料自体が安価に入手できるものであるため、梱包構造及びパレット自体のコストを抑制することができる。さらにまた、特に大気中の二酸化炭素の吸収・固定化効率の高い植物を主原材料としているので、地球環境の保護に貢献することができる。
ケナフは長繊維であるが、例えば組み立てのためボルト貫通穴などを後から穿孔すると、部材を形成している繊維が切断され、特にその穴の周囲における強度が低下し易い。そこで、本発明に係る梱包構造及びパレットでは、ケナフ繊維から前記板状部材及び/又は柱状部材を成形加工する際に、その成形型枠を用いることにより、組み立て用の穴、切欠、凹部等が形成されて成るものとすることが好ましい。これによれば、穴、切欠、凹部等の周囲においてケナフ繊維が長い繊維状態を保ったまま、その穴、切欠、凹部等の縁部を囲むように配向される。そのため、高い強度を確保することができる。
また、本発明に係る梱包構造及びパレットにおいて、前記板状部材及び/又は柱状部材は、生分解性プラスチックを介在させてケナフ繊維を集合させたものであることが好ましい。すなわち、生分解性プラスチックは微生物等の作用によって迅速に分解されるので、上記構成によれば、使用済みの廃棄物となった後にゴミとして長期間残存することがなく、比較的短期間で土壌に還元することができる。或いは、使用済みの部材からケナフ繊維を取り出して再使用することも可能である。また、仮に焼却処理した場合でも有害ガスが発生することがなく、周囲環境の汚染も最小限に留めることができる。
また、特に枠体部やゲタ部は梱包構造の骨格を形成するものであるため特に強度が要求されるのに対し、一般的にケナフ繊維を主原材料とする部材は強度が不足しがちである。そこで、好ましくは、こうした枠体部やゲタ部を構成するための柱状部材は少なくとも2つの面が略90°以上180°未満の所定角度で以て連なった断面形状を有した構成とするとよい。具体的な断面形状としては、コの字形状、L字形状、H字形状、T字形状等が考え得る。この構成によれば、部材の重量を大きくすることなく、強度を格段に高めることができる。
本発明に係る梱包構造の一実施例を、図1により説明する。図1は本実施例による梱包構造10の外観斜視図である。この例は密閉箱型の梱包構造10であり、直方体形状である箱の縦横各辺に骨格として形成された枠体部11と、箱の各面を覆うように枠体部11の内側に設けられた面部12と、その底面を床面から浮かせるように底面下側に取り付けられたゲタ部13と、を有する。この基本的な構造は従来の木箱密閉型梱包などと同じである。
本実施例の梱包構造10の大きな特徴の一つは、枠体部11及びゲタ部13を構成する扁平角形断面形状の柱状部材と面部12を構成する板状部材として、いずれもケナフを主原材料として形成された部材を用いることにある。
ケナフから得られるケナフ繊維の集合体から板状部材を形成する方法については、例えば特開平11−333986号公報、特開2000−141524号公報などに開示されている。一例としては、ケナフの靭皮部から取り出したケナフ繊維(場合によっては適宜長さを整える)に熱硬化性の接着剤を添加して略均一に分散させ、これを所定形状の型枠に流し入れて所定形状の集合体を形成する。そして、これを型枠から取り出して熱板で挟み込んで加熱加圧成形を行う。これによって、接着剤が硬化して繊維同士が接着し、板状部材や柱状部材が形成される。
ここで、ケナフ繊維を集合体として纏めるための接着剤として、生分解性プラスチックを使用することが好ましい。周知のように一般的なプラスチックは分解されるまでに非常に長い時間を要するのに対し、生分解性プラスチックは微生物の作用によって迅速に分解して土壌に戻る。したがって、ケナフ繊維と生分解性プラスチックとの組み合わせによる部材であれば、使用後に廃棄処分する際にも環境への負荷を軽減できる。また、仮に焼却処理する場合であっても、有害なガスを発生することがなく周囲環境を汚染せずに済む。
上述したように型枠内で繊維の集合体を形成する際に、長繊維の配向を略一定方向又は互いに直交する二方向等に揃えるようにすることにより、その配向に応じた一軸又は二軸方向の強度を特に高めることができる。上述したように枠体部11やゲタ部13として使用する場合には、特にその延伸方向の一軸方向の強度が重要である。したがって、長繊維の配向を略一定方向に揃えたものが好適である。一方、壁面、天面などの面部12として使用する場合には、必ずしも決まった一方向に力が作用するとは限らないから、面内において互いに略直交する二軸方向の強度がともに高いほうがよい。したがって、長繊維の配向を互いに直交する二方向に揃えたものが好適である。
枠体部11の柱状部材同士、枠体部11やゲタ部13の柱状部材と面部12の板状部材との接合等には各種の方法を用いることができるが、上記実施例の梱包構造10では、金属製のボルトを用いて組み立てを行っている。もちろん、それに代えて、ネジ、釘、クリップ、接着剤などや、それらの複数の組み合わせによるものでもよい。
ボルト等を用いた固着を行う場合には、柱状部材や板状部材に貫通穴や丸溝などを穿設する必要がある。その場合、既に板状又は柱状に形成された部材に後からパンチング或いはドリルなどで穴や溝を設けようとすると、ケナフの長繊維を切断することになる。すなわち、部材内部では図3(a)に示すように長繊維が略一方向(又は互いに直交する二方向)に配向されているが、これに後から穴40を開けた場合、図3(b)に示すように長繊維の一部が切断される。そのため、特に穴40の周囲で部材の強度が低下し、その穴40の周囲が崩れたり亀裂が生じたりし易い。
そこで、組み立てのために貫通穴や溝などを設ける必要がある場合には、予めそうした穴や溝を部材の形成時点で作製しておくことが望ましい。すなわち、接着剤を添加したケナフ繊維を集合体に成形するための型枠に、こうした穴や溝に応じた形状の型を設けておく。こうして設けられた穴40の周囲では図3(c)に示すようにケナフの長繊維が穴40を取り囲むように存在するため、穴40の周囲の強度が特に高まる。それによって、梱包構造10自体の強度を高めることができる。
また、枠体部11やゲタ部13には面部12に比べて大きな負荷が掛かり易いため、その強度を高めるために肉厚の部材を使用することが好ましいが、そうすると重量が大きくなる。そこで、重量をあまり大きくせずに強度を高めるために、枠体部11やゲタ部13に使用する柱状部材として、例えば図4(a)〜(e)に示すような各種の断面形状を有する部材を用いるとよい。具体的には、直角又はそれ以上の角度を以て2以上の面が交差して成るものとする。こうした形状では特に折りげ方向の強度が高まる。
図2は本発明に係るパレットの一実施例を示す斜視図である。この実施例によるパレット20は、荷物30を載置するための底面部21と、その底面部21を床面から浮かせるように下側に取り付けられたゲタ部22と、を有する。この基本的な構造は従来のパレットと同じである。本実施例のパレット20の大きな特徴は、上記梱包構造10と同様に、ゲタ部22を構成する扁平角形断面形状の柱状部材と底面部21を構成する板状部材として、それぞれケナフを主原材料として形成された部材を用いることにあり、そのほかの点については上記実施例1と同様である。
なお、上記実施例はいずれも本発明の一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜修正、変形、追加を行っても、本願請求項に包含されることは明らかである。具体的には、実施例1は密閉箱型構造であるが、内部が見えるような透かし型の構造にも本発明を適用できることは明らかである。そのほか、蓋部が分離した構造なども考え得る。
ところで、主として輸出入の輸送においては、物品を収納した梱包構造やパレット積みの物品を収容するために、大型の直方体箱形状のコンテナが利用されることが多い。一般にこうしたコンテナはスチール等の金属製であるが、その内底面や内側面には合板などの木製の板状部材(場合によっては角形部材、以下これらを総称して内装部材という)が敷設又は固着されることがある。そうした内装部材を設ける目的の一つは、パレット積みの物品をパレットに積載したままコンテナ内に収容する際にコンテナ内でパレットを固定するべく、パレットと内装部材とを釘などで固定するため(いわゆるラッシング)である。また、特に熱帯地域を通過する長距離輸送の場合に、結露による物品の水濡れの防止や、パレット積みではない直置き物品の損傷や汚れの防止(いわゆる輸送物品の保護・養生)等を目的とする場合もある。
コンテナ内とは言え、輸出の場合には、針葉樹を原材料とする木製の内装部材を使用すると、上述した梱包構造やパレットの場合と同様に薫蒸処理が必要となる場合があり、コスト高になるとともに通関に手間がかかる。そこで、本発明に係る梱包部材及びパレットに使用されるような、ケナフ繊維の集合体から成る部材を内装部材とすると都合がよい。すなわち、コンテナの内底面に固定された底板として、ケナフから得られる長繊維を主原材料として形成される板状部材及び/又は柱状部材を用いる。或いは、コンテナの底板の上に敷設されたり或いは側面内側に装着されたりする内装部材として、ケナフから得られる長繊維を主原材料として形成される板状部材及び/又は柱状部材を用いる。
これによって、他国への持ち込みの際に薫蒸処理が不要になり、通関手続に要する手間や時間を削減でき、コストも抑制できる。また、地球環境の保護に貢献し得るのも上述した通りである。更に好ましいことに、ケナフ繊維の集合体から成る部材は吸水性が良好である。そのため、結露により発生した水を迅速に吸収し、物品自体が濡れることを効果的に防止することができる。
本発明の一実施例である梱包構造の外観斜視図。 本発明の一実施例であるパレットの外観斜視図。 本発明で使用される部材において穴を設けた場合の長繊維の状態を示す概念図。 本発明で使用される柱状部材の各種断面形状の例を示す図。
符号の説明
10…梱包構造
11…枠体部
12…面部
13…ゲタ部
20…パレット
21…底面部
22…ゲタ部
30…荷物

Claims (4)

  1. ケナフから得られる長繊維を主原材料として形成される板状部材及び/又は柱状部材を、複数組み合わせて構成されたことを特徴とする梱包構造及びパレット。
  2. ケナフ繊維から前記板状部材及び/又は柱状部材を成形加工する際に、その成形型枠を用いることにより、組み立て用の穴、切欠、凹部等が形成されて成るものであることを特徴とする請求項1に記載の梱包構造及びパレット。
  3. 前記板状部材及び/又は柱状部材は、生分解性プラスチックを介在させてケナフ繊維を集合させたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の梱包構造及びパレット。
  4. 前記柱状部材は少なくとも2つの面が略90°以上180°未満の所定角度で以て連なった断面形状を有して成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の梱包構造及びパレット。
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