JP2005059138A - ロボット用のアクチュエータ装置並びに多関節湾曲機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】 指先などのロボットのための優れた多関節湾曲機構、並びにロボット装置を提供する。
【解決手段】 指先などの他関節湾曲機構を駆動するために、形状記憶合金からなるワイヤからなるアクチュエータ装置を適用する。ワイヤの通電により圭嬢回復温度に到達するまで加熱し、形状回復力に基づく収縮を利用し、通電のオン・オフに伴うワイヤの伸縮を駆動力とする。ワイヤをチューブで被わせることで、伸縮の経路を確保し、任意の形状で屈曲可能とし、装置内部のスペースに合わせて自由に屈曲させて実装することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 指先などの他関節湾曲機構を駆動するために、形状記憶合金からなるワイヤからなるアクチュエータ装置を適用する。ワイヤの通電により圭嬢回復温度に到達するまで加熱し、形状回復力に基づく収縮を利用し、通電のオン・オフに伴うワイヤの伸縮を駆動力とする。ワイヤをチューブで被わせることで、伸縮の経路を確保し、任意の形状で屈曲可能とし、装置内部のスペースに合わせて自由に屈曲させて実装することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、複数の関節アクチュエータで構成される多関節型のロボットに係り、特に、例えばヒトやサル、イヌなどの歩行動物をモデルにした脚式移動ロボットに関する。
さらに詳しくは、本発明は、指など多関節で構成された微小な湾曲機構の駆動に適用されるロボット用のアクチュエータ装置並びに多関節湾曲機構に係り、特に、多関節湾曲機構を小型・低価格に構成して擬似感情、情緒表現に活用するロボット用のアクチュエータ装置並びに多関節湾曲機構に関する。
電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行う機械装置のことを「ロボット」という。ロボットの語源は、スラブ語の"ROBOTA(奴隷機械)"に由来すると言われている。
わが国では、ロボットが普及し始めたのは1960年代末からであるが、その多くは、工場における生産作業の自動化・無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボットなどの産業用ロボット(industrial robot)であった。最近では、脚式移動ロボットに関する研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきている。ヒトの動作をモデルにした脚式移動ロボットのことを、特に、「人間形」、若しくは「人間型」のロボット(humanoid robot)と呼ぶ。
脚式移動ロボットの用途の1つとして、産業活動・生産活動などにおける各種の難作業の支援や代行が挙げられる。例えば、原子力発電プラントや火力発電プラント、石油化学プラントにおけるメンテナンス作業、製造工場における部品の搬送・組立作業、高層ビルにおける清掃、火災現場その他における救助といったような人間にとって危険な作業や難作業を、脚式移動ロボットに代行してもらうことができる。
また、脚式移動ロボットの他の用途として、上述の作業支援というよりも、生活密着型、すなわち人間との「共生」あるいは「エンターティンメント」という用途が挙げられる。この種のロボットは、ヒトあるいはイヌ(ペット)などの比較的知性の高い脚式歩行動物の動作メカニズムや四肢を利用した豊かな感情表現をエミュレートする。また、あらかじめ入力された行動パターン(ビヘイビア)を単に忠実に実行するだけではなく、相手の言葉や態度(「褒める」とか「叱る」、「叩く」など)に対して動的に対応した、生き生きとした応答表現を実現することも要求される。
脚式移動ロボットは、例えば、胴体部分の左右に均等な可動脚が取り付けられた構造を装備することにより、人間の住空間で最低限の作業を行うことができる。但し、作業空間内での物体の把持や特定の対象物の操作、あるいは上半身を用いたジェスチャやダンスなど、より高度な機能や行動を実現するためには、上肢の運動が必要であり、さらには上肢の先端の手部にも指先動作を実現する多関節湾曲機構を搭載することが好ましい。
ところが、ロボット装置の関節自由度は、一般に、可動軸毎にアクチュエータ・モータを配設することにより設計・製作される(例えば、特許文献1を参照のこと)。このため、指のように細長く、且つ、各関節間を接続する多関節湾曲機構の場合、リンクの間隔が極めて短い部位の場合には、関節機構が大型で複雑になってしまい、指らしくなくなってしまう。
本発明の目的は、指先などのロボットのための優れたロボット用のアクチュエータ装置並びに多関節湾曲機構を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、多関節湾曲機構を小型・低価格に構成して擬似感情、情緒表現に活用することができる、優れたロボット用のアクチュエータ装置並びに多関節湾曲機構を提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、形状記憶合金から成り、加熱により形状回復温度に到達すると形状回復力により記憶しておいた長さを復元するワイヤと、
前記ワイヤの長手方向に引張力を印加するバイアスばねと、
前記ワイヤに連結され、前記ワイヤの形状回復作用に基づいて動作する駆動体と、
前記ワイヤの少なくとも一部を収容するチューブと、
を備えたロボット用のアクチュエータ装置である。
前記ワイヤの長手方向に引張力を印加するバイアスばねと、
前記ワイヤに連結され、前記ワイヤの形状回復作用に基づいて動作する駆動体と、
前記ワイヤの少なくとも一部を収容するチューブと、
を備えたロボット用のアクチュエータ装置である。
本発明の第1の側面に係るロボット用のアクチュエータ装置は、前記ワイヤへの通電に伴う加熱により形状回復温度に到達したことに応答して前記ワイヤが前記バイアスばねの引張力に抗して収縮する。一方、前記ワイヤの通電停止とともに冷却され形状回復力が失われ前記バイアスばねの引張力により伸張する。このような収縮・伸張作用により駆動体を駆動させることができる。
ここで、ワイヤの変形量は一般的に小さく、全体の5%程度でしかない。このため、十分な変位を得るためには長いワイヤが必要で、アクチュエータとして装置内に組み込むには、直線的に張るか、あるいは滑車などを用いてワイヤを折り返す構造とし装置内のスペースに合わせて実装する必要がある。しかしながら、前者の場合、ワイヤ全長に相当する構造体でなければアクチュエータ装置を収容することはできない。また、後者の場合、部品点数が必要で、組み立ても複雑化し、コスト、信頼性などの面でも問題がある。いずれの場合も、ワイヤ自身は細く省スペースであるにもかかわらず、実装スペースは大きくなってしまう。
これに対し、本発明によれば、ワイヤの少なくとも一部はチューブ内を貫挿している。このチューブ内ではワイヤの伸縮の経路が確保されていることから、任意の形状で屈曲可能とし、実装の自由度を与えることができる。すなわち、装置内部のスペースに合わせて自由に屈曲させて実装することができるので、小型軽量化、設計の簡単化などを実現することができるという訳である。
ここで、前記ワイヤの一端は前記チューブとともに導電性の端子に接合された固定側端とされ、他端は前記ワイヤのみが導電性の端子に接合された駆動側端とされる。また、前記の固定側及び駆動側の各端子は前記ワイヤへの給電端子を兼ねている。
このとき、ワイヤを貫挿させるチューブに沿って電線が接着することによって、アクチュエータの一端に集結した固定側端子を介してワイヤへの給電を行なうことができる。この場合、給電端子がワイヤの両端に分散し且つ一方が可動部分となっている構造と比較して、使い勝手が向上する。また、チューブと電線はアクチュエータに給電する配線の一部とみなすことができるので、アクチュエータ本体は駆動側端子による折り返し部分近傍だけということになり、非常に小さい(短い)のと同じこととなる。また、チューブは長手方向に沿って接着される電線により補強されるので、チューブが細く軟らかい場合であっても、ワイヤが長手方向に縮むことに伴う変位のロスを小さく抑える効果がある。
また、前記ワイヤを駆動側端子によって折り返すとともに、その先端を前記電線の駆動側端に接合した構造にしてもよい。このような折り返し構造を採用することにより、駆動側端子への給電を疲労しにくいワイヤを用いてすることが出来るので、アクチュエータの伸縮動作が繰り返されることによる、断線の心配がなくなる。
また、前記ワイヤ及び前記チューブの全体又は少なくとも一部を、導電性の比較的軟らかい材質のパイプの中に貫挿させてもよい。この場合、パイプはチューブの補強とワイヤの放熱という2つの役割を果たす。チューブの補強により、チューブが細く軟らかい場合であってもワイヤが長手方向に縮むことに伴う変位のロスを小さく抑えることができる。また、ワイヤの放熱材として、ワイヤへの電圧印加による過熱を行なった後に急冷することができるので、ワイヤの伸縮すなわちアクチュエータの駆動速度を高めることができる。
また、この場合、一方の固定側端子は、前記パイプと前記ワイヤの他に、折り返し側の前記チューブ並びにワイヤがともに嵌められ互いに固定されている。したがって、ワイヤの収縮時にはこの固定部分を基準としてアクチュエータが作動することになる。また、駆動側端子は、パイプの駆動側端に電気的に接続されており、パイプも配線の一部として利用することができる。またパイプを曲げて実装してもよく、装置のスペースに合わせることができる。
前記パイプを、前記固定側端子に接合される固定用パイプと前記駆動側端子と連結した駆動用パイプで構成することができる。この場合、前記バイアスばねを、前記固定用パイプと前記駆動用パイプ間の距離を保つ方向に復元力が作用するように取り付けて、これらの内部を通過するワイヤに引張力を与えることができる。
また、本発明に係るアクチュエータ装置を、ロボットの指などの小型・軽量の多関節湾曲機構に適用することができる。
多関節湾曲構造は、例えば、指先と複数の関節部と、前記関節部間を連結する連結部で構成される。関節部や連結部はそれぞれ前記ワイヤを挿通させる線状穴を持っている。
前記の各連結部は、前記関節部を収容する穴部と、湾曲側に形設されたテーパを備え、湾曲したときには、前記関節部を中心に湾曲側に回動して、対向する連結部とのテーパ同士が当接するように構成されている。
そして、前記ワイヤの収縮に伴って湾曲側に湾曲して全長を短くするように作動する。例えば、指先が指腹側に湾曲して、指を握り締めるような動作を実現することができる。
本発明によれば、指先などのロボットのための優れたロボット用のアクチュエータ装置並びに多関節湾曲機構を提供することができる。
また、本発明によれば、多関節湾曲機構を小型・低価格に構成して擬似感情、情緒表現に活用することができる、優れたロボット用のアクチュエータ装置並びに多関節湾曲機構を提供することができる。
本発明によれば、指先などの多関節湾曲機構を駆動するために、形状記憶合金のワイヤからなるアクチュエータ装置を適用する。この種のワイヤは、通電に伴う加熱により収縮することから、通電のオン・オフに伴うワイヤの伸縮を駆動力として利用することができる。また、ワイヤをチューブで被わせることにより、ワイヤの伸縮の経路が確保されることから、任意の形状で屈曲可能とし、実装の自由度を与えることができる。すなわち、装置内部のスペースに合わせて自由に屈曲させて実装することができるので、小型軽量化、設計の簡単化などを実現することができる。
また、チューブの屈曲により比較的狭い空間に長い全長のワイヤを収納し、比較的大きな伸縮量すなわちアクチュエータ動作量を得ることができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
本発明では、ロボットの指先に代表されるような多関節湾曲機構における湾曲機構の駆動力として形状記憶合金(例えばニッケル・チタン合金)からなる微小径(例えばφ150マイクロメータ)のワイヤからなるアクチュエータ装置を適用する。この種のワイヤは、通電に伴う加熱により形状回復温度に到達すると形状回復力により収縮することから、通電のオン・オフに伴うワイヤの伸縮をアクチュエータの駆動力として利用することができる。
ところが、ワイヤの変形量は一般的に小さく、全体の5%程度でしかない。このため、十分な変位を得るためには長いワイヤが必要で、アクチュエータとして装置内に組み込むには、例えば図1(a)のように直線的に張るか、あるいは図1(b)のように滑車などを用いてワイヤを折り返す構造とし装置内のスペースに合わせて実装する必要がある。
しかしながら、前者の場合、ワイヤ全長に相当する構造体でなければアクチュエータ装置を収容することはできない。また、後者の場合、部品点数が必要で、組み立ても複雑化し、コスト、信頼性などの面でも問題がある。いずれの場合も、ワイヤ自身は細く省スペースであるにもかかわらず、実装スペースは大きくなってしまう。
そこで、本発明では、ワイヤをチューブで被わせる構造とすることで実装が容易で自由度を持つ形状記憶ワイヤ式アクチュエータ装置を実現する。本発明に係るアクチュエータ装置は、ワイヤの冷却や断熱についても併せて効果を持つ。
まず、図2を参照しながら、本発明に係る形状記憶ワイヤ式アクチュエータ装置の基本構造並びに原理について説明する。
図示のアクチュエータ装置は、ワイヤ1と、駆動部材3と、バイアスばね4が略直線状に連結され、両端が固定部材5a及び5bによって固定されている。また、図示の例では、ワイヤ1は左右の両端に端子2を持ち、それぞれ駆動部材3並びに固定部材5bに係止されている。
ワイヤ1は、例えばニッケル・チタン合金などの形状記憶合金を素材としており、通電に伴う加熱により形状回復温度に到達すると、形状回復力により記憶しておいた形状に復元する作用を持つ。図示の例では、ワイヤ1には、バイアスばね4によって引張力が常時印加されている。
非通電すなわち冷却時のワイヤ1は形状回復力を失うことから、バイアスばね4の引張力によって伸展し、この結果、駆動部材3は、バイアスばね4の引張力が作用していない状態に対し、紙面左方向に移動している格好となる。
ここで、図示しない電源装置によってワイヤ1に所定の電圧が印加されると、通電に伴う温度上昇により形状回復温度に到達すると、ワイヤ1は形状回復力により記憶しておいた形状を復元する作用を得る。この復元力により、ワイヤ1はバイアスばね4の引張力に対抗して収縮する。この結果、駆動部材3は、ワイヤ1の冷却時すなわちバイアスばね4によって引っ張られている初期状態に対し、紙面右方向に駆動する。
そして、ワイヤ1への電圧印加を停止すると、ワイヤ1の冷却に伴い形状回復力が失われる。この結果、バイアスばね4の引張力によってワイヤ1は再び伸展し、駆動部材3は、バイアスばね4の引張力が作用していない状態に対し、紙面左方向に移動している格好となる。
このようにワイヤ1を駆動源とするアクチュエータ装置の駆動側にバイアスばね4を設けることにより、装置の小型化・簡素化に有利な構造となる。また、ワイヤの形状回復力などの特性に応じたバイアスばねを容易に実装することができるとともに、被駆動側の構造も簡略化される。
形状記憶合金からなるワイヤ1の変形量は一般的に小さく、全体の5%程度でしかない。このため、十分な変位を得るためには長いワイヤが必要である。本実施形態では、このような長いワイヤ1の実装を容易にするために、ワイヤをチューブで被わせている。チューブ内ではワイヤ1の伸縮の経路が確保され、任意の形状で屈曲可能とし、実装の自由度を与えることができる。すなわち、装置内部のスペースに合わせて自由に屈曲させて実装することができるので、小型軽量化、設計の簡単化などを実現することができる。
図3には、形状記憶合金ワイヤ11を、その外径に合わせた内径を持ったチューブ12に貫挿させて構成される様子を模式的に示している。
チューブ12は、耐熱性があり、長手方向に収縮しにくい材質が好ましく、本実施形態ではポリイミドを用いている。
ワイヤ11の一端はワイヤ11の端部自身が端子13に接合され、他端はチューブ12の端部とともに端子14に接合されている。ワイヤ11の伸縮に伴い、チューブ12の一端はワイヤ11の端部から離れ、他端はワイヤ11の端部とともに作動する。チューブ12の一端を「駆動側」と呼び、他端を「固定側」と呼ぶことにする。
図4には、チューブ12の固定側における端子14との嵌合部分15の断面構造を示している。端子14は、屈曲性に富む金属材質で構成され、例えば打ち抜き・曲げ加工により製作される。端子14の一端は係止用の開口部が形設されている。また、端子14の他端はワイヤ11とチューブ12(駆動側端子13側ではワイヤ11のみ)を挿通する管部が形設されており、ワイヤ11とチューブ12の固定側端部をこの管部に収容した状態で圧着される。端子14は、ワイヤ11の通電端子とチューブ12とワイヤ11の固定端子という双方の役割を兼ねている。
端子13並びに端子14を介してワイヤ11に電圧を印加することができる。電流を流すと、ワイヤ11は、加熱されて形状回復温度に到達して形状回復効果を呈し、記憶しておいた形状への復元力が生成され、バイアス・バネ4により伸展していた状態から収縮が開始する。この結果、チューブ12の開口部16から出現しているワイヤ11の駆動端は、図中矢印方向にチューブ12内部に引き込まれる。また、ワイヤ11への電圧の印加を停止すると、ワイヤ11は冷却に伴い復元力を失い、初期の状態すなわちバイアス・バネ4により伸展している状態へと回復し、チューブ12に引き込まれていた部分は逆に出現してくる。
このような構造では、固定はチューブの長手方向のどの部分でも良い。また、ワイヤの伸縮の経路が確保されることから、任意の形状で屈曲可能である。例えば、アクチュエータ全体を屈曲させて実装することができるので、装置のスペースに合わせることができる。さらに、しなやかで疲労しにくいチューブを利用した場合には、関節などのさまざまな方向に常に屈伸する部分を通過して実装することもできる。
図5には、本発明に係るアクチュエータ装置の他の実施形態を示している。図示の例では、ワイヤ27を貫挿させるチューブ22に沿って電線25が接着されている。また、ワイヤ27は、固定側端子24が取り付けられるとともに、駆動側端子23が取り付けられ、この駆動側端子23によって折り返され、電線25の駆動側端に接続されている。
このような折り返し構造を採用することにより、駆動側端子への給電を疲労しにくいワイヤを用いてすることが出来るので、アクチュエータの伸縮動作が繰り返されることによる、断線の心配がなくなる。
また、アクチュエータの一端に集結した固定側端子24及び26を介してワイヤ27への給電を行なうことができるので、図3に示したような給電端子がワイヤの両端に分散し且つ一方が可動部分となっている構造と比較して、使い勝手が向上する。
また、チューブ22と電線25はアクチュエータに給電する配線の一部とみなすことができるので、アクチュエータ自体は参照番号28で示した部分だけということになり、非常に小さい(短い)のと同じこととなる。
さらに、チューブ22は、長手方向に沿って接着される電線25により補強されるので、チューブ22が細く軟らかい場合であってもワイヤ27が長手方向に縮むことに伴う変位のロスを小さく抑える効果がある。
図6には、本発明に係るアクチュエータ装置のさらに他の実施形態を示している。図示の例では、図5に示したようなワイヤ33の折り返し構造からなるアクチュエータの全体又は少なくとも一部を、アルミや銅などの比較的軟らかい材質のパイプ31の中に貫挿させている。
この場合、パイプ31は、チューブ34の補強とワイヤ33の放熱という2つの役割を果たす。チューブ34の補強により、チューブ34が細く軟らかい場合であってもワイヤ33が長手方向に縮むことに伴う変位のロスを小さく抑えることができる。また、ワイヤ33の放熱材として、ワイヤ33への電圧印加による過熱を行なった後に急冷することができるので、ワイヤ33の伸縮すなわちアクチュエータの駆動速度を高めることができる。
図7には、固定端38の断面図を示している。端子37は、屈曲性に富む金属材質で構成され、例えば打ち抜き・曲げ加工により製作される。端子37の一端は係止用の開口部が形設されている。また、端子37の他端はワイヤ33とチューブ31(駆動側端子35側ではワイヤ33のみ)を挿通する管部が形設されており、ワイヤ33とチューブ31の固定側端部を収容した状態で圧着される。
図示のように、一方の固定側端子38は、パイプ31とワイヤ33がともに嵌められ互いに固定されているので、ワイヤ33の収縮時にはこの固定部分を基準としてアクチュエータが作動することになる。
また、駆動側端子35は、パイプ31の駆動側端32に電気的に接続されており、パイプ31も配線の一部として利用することが出来る。またパイプ31を曲げて実装してもよく、装置のスペースに合わせることができる。
図8には、ワイヤの復帰時すなわち冷却時に、ワイヤを伸ばすためのバイアスばね41の取り付け構造について例示している。
パイプ42の駆動側端の外側に、駆動用パイプ43とバイアスばね41を取り付け、これらの内部にワイヤを貫挿させている。バイアスばね41は、パイプ42と駆動用パイプ43間の距離を保つ方向に復元力が作用しており、これらの内部を通過するワイヤに張力を与えている。
バイアスばね41は、パイプ42、43に沿って十分な長さのものを使用することができる。したがって、ワイヤの収縮により張力が急に増加することの無い(すなわちばね定数の小さい)物を使用することで、駆動力のロスを少なくすることができる。
図9には、本発明に係る形状記憶合金のワイヤからなるアクチュエータ装置をロボットの指に適用した例を示している。
指5は、指先と、第1関節と、第2関節と、指先と第1関節、並びに第1関節と第2関節の間を連結する連結部と、指の付け根に相当する終端部で構成されている。各連結部は、関節を収容する穴部が形設されている。また、各連結部は、指腹側にはテーパが施されており、指を握り締めたときには、関節を中心に指腹側に回動して関節を収容し、さらに湾曲が進行すると対向する連結部のテーパ同士が当接するようになっている(後述)。
これら第1関節と、第2関節と、指先と第1関節、並びに第1関節と第2関節の間を連結する連結部と、指の付け根に相当する終端部には、ワイヤ4を貫挿させる往路及び復路用の線状穴がそれぞれ穿設されている。図示の例では、ワイヤ4は指5の内部を2往復していることから、往路及び復路用の線状穴がそれぞれ2個設けられている。
既に述べたように、ワイヤ式のアクチュエータ装置は、ワイヤを通電・過熱して形状回復温度に到達した際の形状回復力により、記憶しておいた形状を復元する収縮作用を得る。図9に示した指の場合、この復元力により、指の付け根から指先までの距離を縮めようとするため、各連結部は関節部を中心に指腹側に回動する。そして、対向する連結部のテーパ部と当接し、外観上は指を握り締めたように見える。
図10には、アクチュエータに通電しない状態を示している。図示の通り、手の甲側(外側)を貫通しているワイヤ4は、バイアスばね2の復元力により、紙面矢印A方向に引っ張られ、指は伸びている。アクチュエータ1としては、このバネ力につられて、紙面矢印B方向に伸びた状態にある。
図11には、アクチュエータに通電した状態を示している。図示の通り、掌側(内側)を貫通しているワイヤ3は、アクチュエータが縮むことで、紙面矢印C方向に引っ張られ、この結果指は曲がる。アクチュエータの駆動によって、バイアスばね2は、紙面矢印D方向に伸びている。
このようにして、指の曲げ伸ばしを実現することができる。そして、複数(例えば5本)を手の形状に組み合わせることで、ロボットに物体を把持させることができる。
[追補]
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。
本発明の要旨は、必ずしも「ロボット」と称される製品には限定されない。すなわち、電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行なう機械装置あるいはその他一般的な移動体装置であるならば、例えば玩具などのような他の産業分野に属する製品であっても、同様に本発明を適用することができる。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
1,11,27,33…ワイヤ
3…駆動部材
4…バイアスばね
5a,5b…固定部材
12,22,34…チューブ
13,14…端子
16…開口部
23,35…駆動側端子
24,26,38…固定側端子
25…電線
31,42…パイプ
41…バイアスばね
43…駆動用パイプ
3…駆動部材
4…バイアスばね
5a,5b…固定部材
12,22,34…チューブ
13,14…端子
16…開口部
23,35…駆動側端子
24,26,38…固定側端子
25…電線
31,42…パイプ
41…バイアスばね
43…駆動用パイプ
Claims (8)
- 形状記憶合金から成り、加熱により形状回復温度に到達すると形状回復力により記憶しておいた長さを復元するワイヤと、
前記ワイヤの長手方向に引張力を印加するバイアスばねと、
前記ワイヤに連結され、前記ワイヤの形状回復作用に基づいて動作する駆動体と、
前記ワイヤの少なくとも一部を収容するチューブを備え、
前記ワイヤへの通電に伴う加熱により形状回復温度に到達したことに応答して前記ワイヤが前記バイアスばねの引張力に抗して収縮し、前記ワイヤの通電停止とともに冷却され形状回復力が失われ前記バイアスばねの引張力により伸張する、
ことを特徴とするロボット用のアクチュエータ装置。 - 前記ワイヤの一端は前記チューブとともに導電性の端子に接合された固定側端とされ、他端は前記ワイヤのみが導電性の端子に接合された駆動側端とされ、
前記の固定側及び駆動側の各端子は前記ワイヤへの給電端子を兼ねる、
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット用のアクチュエータ装置。 - 前記チューブに沿って電線が接着されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のロボット用のアクチュエータ装置。 - 前記ワイヤは駆動側端子によって折り返され、その先端は前記チューブに沿わせた電線の駆動側に接合される、
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット用のアクチュエータ装置。 - 前記ワイヤ及び前記チューブの全体又は少なくとも一部を導電性の比較的軟らかい材質のパイプの中に貫挿させている、
ことを特徴とする請求項3に記載のロボット用のアクチュエータ装置。 - 一方の固定側端子は、前記パイプと前記ワイヤの他に、前記チューブがともに嵌められ互いに固定されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のロボット用のアクチュエータ装置。 - 前記パイプは、前記固定側端子に接合される固定用パイプと前記駆動側端子と連結した駆動用パイプからなり、
前記バイアスばねは前記固定用パイプと前記駆動用パイプ間の距離を保つ方向に復元力が作用する、
ことを特徴とする請求項5に記載のロボット用のアクチュエータ装置。 - 請求項1又は請求項3に記載のロボット用のアクチュエータ装置を適用した多関節湾曲機構であって、
前記ワイヤを挿通させる線状穴を持つ複数の関節部と、
前記ワイヤを挿通させる線状穴を持つ前記関節部間を連結する連結部を備え、
前記の各連結部は、前記関節部を収容する穴部と、湾曲側に形設されたテーパを備え、湾曲したときには、前記関節部を中心に湾曲側に回動して、対向する連結部とのテーパ同士が当接するように構成され、
前記ワイヤの収縮に伴って湾曲側に湾曲して全長を短くするように作動する、
ことを特徴とする多関節湾曲機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003291807A JP2005059138A (ja) | 2003-08-11 | 2003-08-11 | ロボット用のアクチュエータ装置並びに多関節湾曲機構 |
Applications Claiming Priority (1)
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CN104175314A (zh) * | 2014-08-15 | 2014-12-03 | 北京航空航天大学 | 基于sma和ssma驱动的软体机器人 |
CN105171742A (zh) * | 2015-07-20 | 2015-12-23 | 南京工业大学 | 一种利用多自由度机器人的3d打印焊接方法 |
KR101967215B1 (ko) * | 2017-11-03 | 2019-04-09 | 한국기계연구원 | 근력 증강용 의복 및 이의 제어방법 |
CN110014263A (zh) * | 2019-05-22 | 2019-07-16 | 陈佳丽 | 一种弹簧拉伸整形装置 |
-
2003
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