JP2005059016A - 連続鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】取鍋内の溶融金属を浸漬ノズルを介してタンディッシュに注入して連続鋳造する際に、取鍋からの注入末期に浸漬ノズルの振動をもとにタンディッシュへのスラグ流出を検出するスラグ検出装置は、工場内で発生しているクレーンの振動等の外乱の影響を受けやすく検出精度が低下する場合がある。そこで、外乱の影響を最小限に抑えてスラグ流出判定の信頼性を向上させる。
【解決手段】操業条件の変動によって発生する外乱振動の発生メカニズムに着目し、スラグ流出以外の原因で浸漬ノズルの振動が変化する要因を最小限に抑制する目的で、タンディッシュ内の溶融金属に対する浸漬ノズルの浸漬深さを、予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%以内に制御することにより、スラグ流出検出精度の向上を図ることができた。
【選択図】 図2
【解決手段】操業条件の変動によって発生する外乱振動の発生メカニズムに着目し、スラグ流出以外の原因で浸漬ノズルの振動が変化する要因を最小限に抑制する目的で、タンディッシュ内の溶融金属に対する浸漬ノズルの浸漬深さを、予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%以内に制御することにより、スラグ流出検出精度の向上を図ることができた。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属の連続鋳造において取鍋から浸漬ノズルを用いてタンディッシュに注湯する際のスラグ流出を防止する連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、取鍋から浸漬ノズルを用いてタンディッシュに注湯する際のスラグ流出検出技術としては、次のような方法がある。
検出原理は各々の取鍋の注湯口に2本の検出コイルを巻き、溶融金属やスラグの透磁率の変化よりスラグ流出を判定する「電磁コイル」に基づいた検出方法であり、実用化例が多い簡易な方法である。
【0003】
また、浸漬ノズル振動を用いたスラグ検出方法もある。例えば、特許文献1に記載されている検出方法について図1を基に以下に説明する。
図1において、1は取鍋、2は取鍋内の溶融金属、3はスラグ、4はスライディングノズル、5は浸漬ノズル、6はタンディッシュ、7は支持アームであり、8〜10は3方向(垂直方向、水平方向及び軸方向)の各加速度センサーである。
【0004】
この検出方法においては、3方向の加速度センサー8〜10が浸漬ノズルの支持アーム7の手元に取り付けられ、取鍋1から溶融金属2をタンディッシュ5に供給する際の振動を検出する。そして振動から検出された加速度信号はメインアンプ部で100Hz以上の任意のバンドパスフィルタを用いて取り込まれる信号のスラグ流入時の減衰率により、スラグ流出を判定する技術である。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−164124号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
浸漬ノズルの振動の減速率によりスラグの流出を判定し、実操業に反映する上で、スラグ流出判定の信頼性向上が課題である。
これまで、振動を用いたスラグ検出方法については前記のごとく様々な方法が提案されてきたが、それでも例えば建屋内の天井クレーン移動に伴なう振動の外乱等によるノイズが解消されずスラグ検出精度に影響を与える場合があった。
【0007】
前記のように、外乱の影響抑制を目的としてバンドパスフィルタが使われているが、クレーン等の振動がスラグ流出時の振動と同じ周波数帯で発生している場合には、外乱影響の抑制効果は十分ではなく、スラグ流出検出精度を低下させてしまうという課題は解決されないままであった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を要旨とする。
(1)取鍋内の溶融金属を浸漬ノズルを介してタンディッシュに注入して連続鋳造する際に、取鍋からの注入末期に浸漬ノズルの振動をもとにタンディッシュへのスラグ流出を検出するスラグ検出装置を用いた連続鋳造法であって、タンディッシュ内の溶融金属に対する浸漬ノズルの浸漬深さを予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%以内に制御することを特徴とする連続鋳造方法。
(2)取鍋内の溶融金属を浸漬ノズルを介してタンディッシュに注入して連続鋳造する際に、取鍋からの注入末期に浸漬ノズルの振動をもとにタンディッシュへのスラグ流出を検出するスラグ検出装置を用いた連続鋳造法であって、
取鍋からの注入末期にタンディッシュ内の溶融金属に対する浸漬ノズルの浸漬深さを予め定めた浸漬深さに対して3%超〜4%以内に制御すると共に、さらに前記浸漬ノズル内を通過する溶融金属の流速を予め定めた流速に対して5%以内に制御することを特徴とする連続鋳造方法。
(3)タンディッシュへの溶融金属注入末期に前記浸漬ノズル内を通過する溶融金属の流速を予め決められた流速に対して5%以内に制御することを特徴とする前記(1)記載の連続鋳造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
操業条件の変動によって発生する外乱振動の発生メカニズムに着目し、スラグ流出以外の原因で浸漬ノズルの振動が変化する要因を最小限に抑制することを目的に検討した。
【0010】
図2は、取鍋から浸漬ノズル5を介してタンディッシュへ溶融金属を注入する際の制御の一例を示したものである。図2において、ロードセル11によりタンディッシュ質量を測定してタンディッシュ6へ注入される溶融金属12の量を取鍋のスライディングノズル4の開度で制御している。ここで浸漬ノズル5内を通過する溶融金属の流速は、取鍋1内の溶融金属質量の単位時間あたりの減少量で求められる。
【0011】
図3は、溶融金属をタンディッシュ6に注入する際に浸漬ノズル5に作用する力を模式的に示した図である。図3において浸漬ノズル5がタンディッシュ6内の溶融金属に浸漬している部位は溶融金属の流動による力(F1)が作用している。また、浸漬ノズル5内を流れる溶融金属12が浸漬ノズル5内を通過する際に浸漬ノズル5内壁に対して剪断力(F2)が働き、剪断力の反力(−F2)が浸漬ノズル5に作用している。
【0012】
さらに、溶融金属が浸漬ノズル5から溶融金属がタンディッシュ6内へ吐出される際には反力(F3)が浸漬ノズル5に作用する。
このように3つの力がバランスして浸漬ノズル5に作用していると考えるが、操業条件のばらつきによって前記のバランスが崩れるような外乱が働く場合に、スラグ流出の際の外乱となる振動が発生するものと考えられる。
【0013】
以上の外乱発生の推定メカニズムを基に、外乱の発生状況を調査した。
まず、外乱に影響を及ぼす操業条件として、前記の流動による力(F1)として、浸漬ノズルの浸漬深さ影響についてまとめた結果を図4に示す。即ち浸漬ノズルの浸漬深さが変化することによって、流動の影響を受ける浸漬ノズルの面積が変化するため、流動による力(F1)が大きく変化すると考えた。
さらに、浸漬ノズル5内壁に対して剪断力の反力(F2)、溶融金属がタンディッシュ6内へ吐出される際の反力(F3)に及ぼす浸漬ノズル内を流れる溶融金属の流速の影響をまとめた結果を図5に示す。
【0014】
図4に記載の過検知率とは、浸漬ノズルの振動によるスラグ検知と共に、浸漬ノズル先端からスラグが流出し、ノズル周辺に浮上したスラグを目視観察によるスラグ検知を同時に実施した場合に、目視ではスラグ観察できなかったにも関わらず振動によるスラグ検知ではスラグ流出と判定したものの割合である。
また、図5に記載の検知タイミングとは、目視でのスラグ流出判定タイミングに対して振動によるスラグ流出検知判定がどれだけ早期に判定できたかをまとめた結果である。
【0015】
なお、浸漬ノズルの浸漬深さは、タンディッシュ形状(容積)をもとにロードセルで測定したタンディッシュ溶融金属質量から逆算した溶融金属のヘッド高さと、取鍋の浸漬ノズルとタンディッシュの取り合いから算出した。
図4においては、タンディッシュの溶融金属の目標質量から目標浸漬深さを逆算し、この値を予め設定した浸漬ノズルの浸漬深さ(0.6m)として浸漬深さの時間当たりでの変動量を記載した。
【0016】
また、浸漬ノズル内を流れる溶融金属の流速は、取鍋形状(容積)をもとにロードセルで測定した取鍋内の溶融金属質量から溶融金属のヘッド高さを逆算し、エネルギー保存則から流速を算出した。図5においてはタンディッシュに注入する目標注入量を予め設定した流速(0.6m/s)として、単位時間当たりの変動量(自乗平均値)を記載した。
【0017】
このような調査の結果、図4に示すように浸漬ノズルの浸漬深さを予め定めた深さ(0.6m)に対して3%以下の場合には、過検知率が5%未満となり検知精度が向上することがわかった。さらに、浸漬ノズル内を流れる溶融金属の速度を、予め設定していた速度(0.3m/s)に対して5%以下に制御した場合には、浸漬ノズルの浸漬深さを予め設定していた深さに対する変動量を3%超〜4%以内に制御することにより、検知精度を向上させ得ることがわかった。
【0018】
さらに、図5に示すように、浸漬ノズルの浸漬深さを予め設定していた深さに対する変動量を3%以内に制御したうえで、浸漬ノズル内を流れる溶融金属の速度を予め設定していた速度(0.3m/s)に対して5%以内に制御した場合には、目視でスラグ流出を確認するよりも20s以上前のタイミングでスラグ流出を検知できることが判明した。この場合、特に取鍋内の溶融金属の残存量が10%以下となる取鍋注入末期にて、浸漬深さと流速を制御することがスラグ流出検知精度を向上させるうえで特に好ましいことが判明した。
【0019】
【実施例】
容量360t取鍋、容量70tタンディッシュの連続鋳造機を用いて鋼の実機鋳造を行い、図1に示す振動加速度測定計と共に、浸漬ノズル目視によるスラグ流出検知を行った。鋳造に際し、タンディッシュに注入する目標注入量を0.3m/s、取鍋の浸漬ノズルの目標は浸漬深さ(0.6m)とした。調査結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
表1において、実施例1〜4は本発明の実施例である。
実施例1は、浸漬ノズルの浸漬深さを予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%以内に制御した場合であり、目視よりも6〜12秒早くスラグ流出判定ができている。
実施例2は、浸漬深さを予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%より大きく4%以内に制御すると共に、さらに前記浸漬ノズル内を通過する溶融金属の流速を、予め定めた流速に対して5%以内に制御した場合であり、目視よりも6〜12秒早くスラグ流出判定ができている。
【0022】
実施例3と4は、浸漬深さを予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%以内に制御すると共に、さらに前記浸漬ノズル内を通過する溶融金属の流速を、予め定めた流速に対して5%以内に制御した場合であり、実施例1と2よりもさらに早く目視よりも20〜25秒早くスラグ流出を判定することができた。
【0023】
一方、実施例5と6は比較例である。
比較例5は、浸漬ノズルの浸漬深さを、予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%超〜4%以内に制御したものの、溶融金属の流速を予め定めた流速に対して5%以内に制御できなかった例である。
また比較例6は、浸漬ノズルの浸漬深さを、予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%以内に制御しなかった場合である。
何れもセンサーによる判定ではスラグ流出と判定したが、スラグ流出を目視で確認できないという結果であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の振動加速度測定系の模式図。
【図2】本発明における浸漬ノズルの振動測定装置の説明図。
【図3】本発明における浸漬ノズルの振動の外乱となる操業因子の説明図。
【図4】浸漬ノズルの振動変化とスラグ検知率の相関を示す図。
【図5】浸漬ノズル溶融金属の流速の変動量とスラグ検知率の相関を示す図。
【符号の説明】
1:取鍋 2:取鍋内の溶融金属
3:スラグ 4:スライディングノズル
5:浸漬ノズル 6:タンディッシュ
7:支持アーム
8:鉛直方向の加速度センサー
9:水平方向の加速度センサー
10:軸方向の加速度センサー
11:ロードセル 12:タンディッシュ内の溶融金属
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属の連続鋳造において取鍋から浸漬ノズルを用いてタンディッシュに注湯する際のスラグ流出を防止する連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、取鍋から浸漬ノズルを用いてタンディッシュに注湯する際のスラグ流出検出技術としては、次のような方法がある。
検出原理は各々の取鍋の注湯口に2本の検出コイルを巻き、溶融金属やスラグの透磁率の変化よりスラグ流出を判定する「電磁コイル」に基づいた検出方法であり、実用化例が多い簡易な方法である。
【0003】
また、浸漬ノズル振動を用いたスラグ検出方法もある。例えば、特許文献1に記載されている検出方法について図1を基に以下に説明する。
図1において、1は取鍋、2は取鍋内の溶融金属、3はスラグ、4はスライディングノズル、5は浸漬ノズル、6はタンディッシュ、7は支持アームであり、8〜10は3方向(垂直方向、水平方向及び軸方向)の各加速度センサーである。
【0004】
この検出方法においては、3方向の加速度センサー8〜10が浸漬ノズルの支持アーム7の手元に取り付けられ、取鍋1から溶融金属2をタンディッシュ5に供給する際の振動を検出する。そして振動から検出された加速度信号はメインアンプ部で100Hz以上の任意のバンドパスフィルタを用いて取り込まれる信号のスラグ流入時の減衰率により、スラグ流出を判定する技術である。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−164124号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
浸漬ノズルの振動の減速率によりスラグの流出を判定し、実操業に反映する上で、スラグ流出判定の信頼性向上が課題である。
これまで、振動を用いたスラグ検出方法については前記のごとく様々な方法が提案されてきたが、それでも例えば建屋内の天井クレーン移動に伴なう振動の外乱等によるノイズが解消されずスラグ検出精度に影響を与える場合があった。
【0007】
前記のように、外乱の影響抑制を目的としてバンドパスフィルタが使われているが、クレーン等の振動がスラグ流出時の振動と同じ周波数帯で発生している場合には、外乱影響の抑制効果は十分ではなく、スラグ流出検出精度を低下させてしまうという課題は解決されないままであった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を要旨とする。
(1)取鍋内の溶融金属を浸漬ノズルを介してタンディッシュに注入して連続鋳造する際に、取鍋からの注入末期に浸漬ノズルの振動をもとにタンディッシュへのスラグ流出を検出するスラグ検出装置を用いた連続鋳造法であって、タンディッシュ内の溶融金属に対する浸漬ノズルの浸漬深さを予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%以内に制御することを特徴とする連続鋳造方法。
(2)取鍋内の溶融金属を浸漬ノズルを介してタンディッシュに注入して連続鋳造する際に、取鍋からの注入末期に浸漬ノズルの振動をもとにタンディッシュへのスラグ流出を検出するスラグ検出装置を用いた連続鋳造法であって、
取鍋からの注入末期にタンディッシュ内の溶融金属に対する浸漬ノズルの浸漬深さを予め定めた浸漬深さに対して3%超〜4%以内に制御すると共に、さらに前記浸漬ノズル内を通過する溶融金属の流速を予め定めた流速に対して5%以内に制御することを特徴とする連続鋳造方法。
(3)タンディッシュへの溶融金属注入末期に前記浸漬ノズル内を通過する溶融金属の流速を予め決められた流速に対して5%以内に制御することを特徴とする前記(1)記載の連続鋳造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
操業条件の変動によって発生する外乱振動の発生メカニズムに着目し、スラグ流出以外の原因で浸漬ノズルの振動が変化する要因を最小限に抑制することを目的に検討した。
【0010】
図2は、取鍋から浸漬ノズル5を介してタンディッシュへ溶融金属を注入する際の制御の一例を示したものである。図2において、ロードセル11によりタンディッシュ質量を測定してタンディッシュ6へ注入される溶融金属12の量を取鍋のスライディングノズル4の開度で制御している。ここで浸漬ノズル5内を通過する溶融金属の流速は、取鍋1内の溶融金属質量の単位時間あたりの減少量で求められる。
【0011】
図3は、溶融金属をタンディッシュ6に注入する際に浸漬ノズル5に作用する力を模式的に示した図である。図3において浸漬ノズル5がタンディッシュ6内の溶融金属に浸漬している部位は溶融金属の流動による力(F1)が作用している。また、浸漬ノズル5内を流れる溶融金属12が浸漬ノズル5内を通過する際に浸漬ノズル5内壁に対して剪断力(F2)が働き、剪断力の反力(−F2)が浸漬ノズル5に作用している。
【0012】
さらに、溶融金属が浸漬ノズル5から溶融金属がタンディッシュ6内へ吐出される際には反力(F3)が浸漬ノズル5に作用する。
このように3つの力がバランスして浸漬ノズル5に作用していると考えるが、操業条件のばらつきによって前記のバランスが崩れるような外乱が働く場合に、スラグ流出の際の外乱となる振動が発生するものと考えられる。
【0013】
以上の外乱発生の推定メカニズムを基に、外乱の発生状況を調査した。
まず、外乱に影響を及ぼす操業条件として、前記の流動による力(F1)として、浸漬ノズルの浸漬深さ影響についてまとめた結果を図4に示す。即ち浸漬ノズルの浸漬深さが変化することによって、流動の影響を受ける浸漬ノズルの面積が変化するため、流動による力(F1)が大きく変化すると考えた。
さらに、浸漬ノズル5内壁に対して剪断力の反力(F2)、溶融金属がタンディッシュ6内へ吐出される際の反力(F3)に及ぼす浸漬ノズル内を流れる溶融金属の流速の影響をまとめた結果を図5に示す。
【0014】
図4に記載の過検知率とは、浸漬ノズルの振動によるスラグ検知と共に、浸漬ノズル先端からスラグが流出し、ノズル周辺に浮上したスラグを目視観察によるスラグ検知を同時に実施した場合に、目視ではスラグ観察できなかったにも関わらず振動によるスラグ検知ではスラグ流出と判定したものの割合である。
また、図5に記載の検知タイミングとは、目視でのスラグ流出判定タイミングに対して振動によるスラグ流出検知判定がどれだけ早期に判定できたかをまとめた結果である。
【0015】
なお、浸漬ノズルの浸漬深さは、タンディッシュ形状(容積)をもとにロードセルで測定したタンディッシュ溶融金属質量から逆算した溶融金属のヘッド高さと、取鍋の浸漬ノズルとタンディッシュの取り合いから算出した。
図4においては、タンディッシュの溶融金属の目標質量から目標浸漬深さを逆算し、この値を予め設定した浸漬ノズルの浸漬深さ(0.6m)として浸漬深さの時間当たりでの変動量を記載した。
【0016】
また、浸漬ノズル内を流れる溶融金属の流速は、取鍋形状(容積)をもとにロードセルで測定した取鍋内の溶融金属質量から溶融金属のヘッド高さを逆算し、エネルギー保存則から流速を算出した。図5においてはタンディッシュに注入する目標注入量を予め設定した流速(0.6m/s)として、単位時間当たりの変動量(自乗平均値)を記載した。
【0017】
このような調査の結果、図4に示すように浸漬ノズルの浸漬深さを予め定めた深さ(0.6m)に対して3%以下の場合には、過検知率が5%未満となり検知精度が向上することがわかった。さらに、浸漬ノズル内を流れる溶融金属の速度を、予め設定していた速度(0.3m/s)に対して5%以下に制御した場合には、浸漬ノズルの浸漬深さを予め設定していた深さに対する変動量を3%超〜4%以内に制御することにより、検知精度を向上させ得ることがわかった。
【0018】
さらに、図5に示すように、浸漬ノズルの浸漬深さを予め設定していた深さに対する変動量を3%以内に制御したうえで、浸漬ノズル内を流れる溶融金属の速度を予め設定していた速度(0.3m/s)に対して5%以内に制御した場合には、目視でスラグ流出を確認するよりも20s以上前のタイミングでスラグ流出を検知できることが判明した。この場合、特に取鍋内の溶融金属の残存量が10%以下となる取鍋注入末期にて、浸漬深さと流速を制御することがスラグ流出検知精度を向上させるうえで特に好ましいことが判明した。
【0019】
【実施例】
容量360t取鍋、容量70tタンディッシュの連続鋳造機を用いて鋼の実機鋳造を行い、図1に示す振動加速度測定計と共に、浸漬ノズル目視によるスラグ流出検知を行った。鋳造に際し、タンディッシュに注入する目標注入量を0.3m/s、取鍋の浸漬ノズルの目標は浸漬深さ(0.6m)とした。調査結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
表1において、実施例1〜4は本発明の実施例である。
実施例1は、浸漬ノズルの浸漬深さを予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%以内に制御した場合であり、目視よりも6〜12秒早くスラグ流出判定ができている。
実施例2は、浸漬深さを予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%より大きく4%以内に制御すると共に、さらに前記浸漬ノズル内を通過する溶融金属の流速を、予め定めた流速に対して5%以内に制御した場合であり、目視よりも6〜12秒早くスラグ流出判定ができている。
【0022】
実施例3と4は、浸漬深さを予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%以内に制御すると共に、さらに前記浸漬ノズル内を通過する溶融金属の流速を、予め定めた流速に対して5%以内に制御した場合であり、実施例1と2よりもさらに早く目視よりも20〜25秒早くスラグ流出を判定することができた。
【0023】
一方、実施例5と6は比較例である。
比較例5は、浸漬ノズルの浸漬深さを、予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%超〜4%以内に制御したものの、溶融金属の流速を予め定めた流速に対して5%以内に制御できなかった例である。
また比較例6は、浸漬ノズルの浸漬深さを、予め定めたタンディッシュへの浸漬深さに対して3%以内に制御しなかった場合である。
何れもセンサーによる判定ではスラグ流出と判定したが、スラグ流出を目視で確認できないという結果であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の振動加速度測定系の模式図。
【図2】本発明における浸漬ノズルの振動測定装置の説明図。
【図3】本発明における浸漬ノズルの振動の外乱となる操業因子の説明図。
【図4】浸漬ノズルの振動変化とスラグ検知率の相関を示す図。
【図5】浸漬ノズル溶融金属の流速の変動量とスラグ検知率の相関を示す図。
【符号の説明】
1:取鍋 2:取鍋内の溶融金属
3:スラグ 4:スライディングノズル
5:浸漬ノズル 6:タンディッシュ
7:支持アーム
8:鉛直方向の加速度センサー
9:水平方向の加速度センサー
10:軸方向の加速度センサー
11:ロードセル 12:タンディッシュ内の溶融金属
Claims (3)
- 取鍋内の溶融金属を浸漬ノズルを介してタンディッシュに注入して連続鋳造する際に、取鍋からの注入末期に浸漬ノズルの振動をもとにタンディッシュへのスラグ流出を検出するスラグ検出装置を用いた連続鋳造法であって、取鍋からの注入末期にタンディッシュ内の溶融金属に対する浸漬ノズルの浸漬深さを予め定めた浸漬深さに対して3%以内に制御することを特徴とする連続鋳造方法。
- 取鍋内の溶融金属を浸漬ノズルを介してタンディッシュに注入して連続鋳造する際に、取鍋からの注入末期に浸漬ノズルの振動をもとにタンディッシュへのスラグ流出を検出するスラグ検出装置を用いた連続鋳造法であって、取鍋からの注入末期にタンディッシュ内の溶融金属に対する浸漬ノズルの浸漬深さを予め定めた浸漬深さに対して3%超〜4%以内に制御すると共に、前記浸漬ノズル内を通過する溶融金属の流速を予め定めた流速に対して5%以内に制御することを特徴とする連続鋳造方法。
- 取鍋から溶融金属注入末期に前記浸漬ノズル内を通過する溶融金属の流速を予め定めた流速に対して5%以内に制御することを特徴とする請求項1記載の連続鋳造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003207720A JP2005059016A (ja) | 2003-08-18 | 2003-08-18 | 連続鋳造方法 |
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JP2003207720A JP2005059016A (ja) | 2003-08-18 | 2003-08-18 | 連続鋳造方法 |
Publications (1)
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JP2003207720A Pending JP2005059016A (ja) | 2003-08-18 | 2003-08-18 | 連続鋳造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2005059016A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103567424A (zh) * | 2013-11-19 | 2014-02-12 | 李殿明 | 一种金属熔液提纯连铸中间包 |
US10974269B2 (en) | 2018-01-26 | 2021-04-13 | Sugino Machine Limited | Nozzle deflection measuring device and method thereof |
CN113634727A (zh) * | 2021-07-19 | 2021-11-12 | 盐城市联鑫钢铁有限公司 | 一种钢包滑动水口自动关闭方法和系统 |
-
2003
- 2003-08-18 JP JP2003207720A patent/JP2005059016A/ja active Pending
Cited By (3)
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