JP2005058820A - 放電エネルギによる物質の無残渣処理方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダイオキシン類や一酸化炭素を排出させず、物質残渣がなく、貴金属などを回収して、無公害の排ガスを排気可能で、地球温暖化にも影響を与えず、特に、焼却灰などの燃え殻に有効な放電エネルギによる物質の無残渣処理方法およびその装置を提供することを目的とする。
【解決手段】例えば、投入された焼却灰などの処理物質を、1次放電分解炉1および2次放電分解炉2で放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解し、この熱化学分解で発生したガス中の一酸化炭素を、ガスバーナ3Aで燃焼する。次に、燃焼後のガスを、サイクロン4で集塵した後、冷却機5で冷却し、さらに、ガス中の物質を吸着槽6〜11の吸着剤で吸着して、物質が吸着された後のガスを、送風ブロア13が介装されたダクト12から排出するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】例えば、投入された焼却灰などの処理物質を、1次放電分解炉1および2次放電分解炉2で放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解し、この熱化学分解で発生したガス中の一酸化炭素を、ガスバーナ3Aで燃焼する。次に、燃焼後のガスを、サイクロン4で集塵した後、冷却機5で冷却し、さらに、ガス中の物質を吸着槽6〜11の吸着剤で吸着して、物質が吸着された後のガスを、送風ブロア13が介装されたダクト12から排出するようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭生活、農林水産業、製造業、製造業、食品加工業、土木建設業などの各種分野の産業活動、工業活動、商業活動、文化活動などに伴って排出される廃棄物や各種の鉱工業資源を、分子レベルまで熱化学分解することによって純粋物質を抽出して、廃棄物の再資源化や、鉱工業資源により高純度の物質を生産するアーク放電などの放電エネルギによる物質の無残渣処理方法およびその装置に関し、特に、ダイオキシン類などの発生防止や処理能力の向上などを図った技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、上記各分野における、例えば、廃棄物処理や不要物処理では、焼却炉、溶融炉や直接埋め立て処分の方法などが使用されてきている。
上記炉は、減量化並びに安定化方法として社会的な認知を受けているが、処理残渣が大量に発生し、その埋め立て処分が必要になっており、廃棄物および不要物の適切な処理を行い、最終処理分量の削減が急務となっていることは周知の通りである。
【0003】
また、科学技術の発展により新たに化学物質を生み出し、現在知られている化学物質の数は1000万個を越え、工業的に生産されているものだけでも10万個に上っていると言われている。これらの物質が廃棄物または不要物となり排出され、適切な処理が行われなければ、難分解性でかつ毒性の高いものもあり、環境を汚染し、人や生物に悪影響を及ぼす虞があるものも少なくないと考えられる。
【0004】
その排出量は、最も工業的に進んでいる米国では、廃棄物総排出量の30%が有害物質含有物質が占めていると、「地球環境ハンドブック」に掲載されている。 そして、現在、廃棄物または不要物の処理方法としては、直接埋め立てのための処理、焼却を主とする処理、物質回収を主とする処理、燃料回収を主とする処理の概ね4つの方法が採用されているが、焼却炉や溶融などの処理を行い、減量化と安定化を目指したものが、現在主流となっている。
【0005】
しかしながら、科学技術の向上により、化学系廃棄物または不要物が多品種排出され、毒性や人・生物への影響など未確認物質が含有している虞があり、現在の焼却や溶融などの処理方法では、処理できないものが多量に排出されている虞がある。
【0006】
また、上記燃焼処理における燃焼温度が低いと、ダイオキシンが発生するが、その対策として、高温で焼却する燃焼炉を採用する方法と、ダイオキシンを除去する方法とがあるが、莫大な設備投資が必要となる。さらに、現在の廃棄物処理技術では焼却が中心のために、焼却炉周辺での廃熱の発生、炭酸ガス、煙の発生、焼却残渣が残るなどの課題を有している。
【0007】
この結果、ダイオキシンの発生による人・生物への影響、炭酸ガス、煙や廃熱の発生による地球温暖化・オゾン層破壊・酸性雨による森林や土壌の破壊、水質悪化などの影響が危惧されている。
【0008】
このため、特開2001−317882号公報(従来技術1)にて、酸化雰囲気中(大気中)または還元雰囲気中(不活性ガス中)で電極に通電すると、電極間に置かれた複数個の抵抗体間よりアーク放電が発生し、アーク放電による高温(最高約3000°C)により、物体をガス化(昇華または気化)させ、略固形残渣を残さないで処理できるアーク放電による物質無残渣処理方法と装置が提案されている。
【0009】
また、特開2002−159843号公報(従来技術2)にて、気体・液体・固体の内の1つの状態からなる物質を、アーク、火花、プラズマの1つからなる放電エネルギ中に投入して、放電エネルギによる高熱により物質を分子レベルまでに静化学分解する分子化工程を有する放電エネルギによる物質抽出方法と装置が提案されている。
【0010】
さらに、特開2003−59640号公報(従来技術3)にて、1000°C以上の高温を継続的にかつ容易に発生させて、被加熱物の加熱を効率良く行う加熱装置であって、有害物質を生成することなく、種々の廃棄物を熱分解する廃棄物処理装置や、高温や放電を利用した高純度物質の製造装置に適した加熱装置が提案されている。
【0011】
この加熱装置は、具体的には、被加熱物を加熱する加熱室内に少なくとも1対の電極を設け、電圧が印加されると、放電を生じるように、電極間に球形の発熱体素子の複数からなる発熱体を介装し、発熱体素子を電極間において移動させるか、回転させるか、震動させるかする一方、加熱室内を無酸素状態にする手段および加熱室内を真空状態にする減圧手段のうち少なくとも1つを設けて構成してある。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−317882号公報
【0013】
【特許文献2】
特開2002−159843号公報
【0014】
【特許文献3】
特開2003−59640号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の方法や装置にあっては、次のような問題点があった。
すなわち、従来技術1および2のものでは、放電エネルギで発生したガス中に一酸化炭素が存在し、この一酸化炭素が大気に排出されてしまう虞がある。
また、放電エネルギで発生したガスを冷却していないため、設備の外壁温度を低下させることができないなど、地球温暖化にも影響を与えてしまう。
【0015】
さらに、従来技術3のものでは、被加熱物を加熱する加熱室内を無酸素状態にしているため、連続して処理することはできない。すなわち、被加熱物を加熱室内に投入した後、加熱室内を無酸素状態にし、処理が終了したならば、一旦、処理物を排出した後、再び、投入と無酸素化と排出する作業を行う必要があるため、処理を断続的とならざるを得ず、連続的に行えず、処理量が少なく、処理能力が低いという欠点がある。
【0016】
本発明は、上記のような課題を解決するためなされたものであり、ダイオキシン類や一酸化炭素を排出させず、物質残渣がなく、貴金属などを回収して、無公害の排ガスを排気可能で、地球温暖化にも影響を与えず、特に、最終処理物である焼却灰などの燃え殻の削減に有効な放電エネルギによる物質の無残渣処理方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法は、投入された処理物質を放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解する分子化工程と、該分子化工程による熱化学分解で発生したガス中の一酸化炭素を燃焼させる燃焼工程と、燃焼後のガスを冷却する冷却工程と、ガス中の物質を吸着剤で吸着させる吸着工程と、物質が吸着された後のガスを排出する排出工程と、を含み、物質の通過ライン内を開放し、有酸素下で物質の無残渣処理を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項2に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法は、前記発生したガスの集塵を行う集塵工程を含むことを特徴とする。
【0019】
請求項3に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法は、前記分子化工程は、順番に物質を熱化学分解する複数の分子化工程からなることを特徴とする。
【0020】
請求項4に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法は、処理物質を分子化工程へと搬送して投入する投入工程を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項5に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法は、物質を前処理し、前記投入工程へと前処理物質を供給する前処理入工程を含むことを特徴とする。
【0022】
請求項6に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、投入された処理物質を放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解する分子化手段と、該分子化手段による熱化学分解で発生したガス中の一酸化炭素を燃焼させる燃焼手段と、燃焼後のガスを冷却する冷却手段と、ガス中の物質を吸着剤で吸着させる吸着手段と、物質が吸着された後のガスを排出する排出手段と、を含み、物質の通過ライン内を開放し、有酸素下で物質の無残渣処理を行うことを特徴とする。
【0023】
請求項7に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、前記発生したガスの集塵を行う集塵手段を含むことを特徴とする。
【0024】
請求項8に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、前記分子化手段は、順番に物質を熱化学分解する直列した複数の分子化手段からなることを特徴とする。
【0025】
請求項9に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、前記分子化手段は、物質がそれぞれ投入されるように、複数並列して設けられたことを特徴とする。
【0026】
請求項10に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、前記吸着手段の吸着剤収納部は、着脱可能なカートリッジ式であることを特徴とする。
【0027】
請求項11に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、処理物質を分子化手段へと搬送して投入する投入手段を含むことを特徴とする。
【0028】
請求項12に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、物質を前処理し、前記投入手段へと前処理物質を供給する前処理入手段を含むことを特徴とする。
【0029】
請求項13に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、前記処理物質は、廃棄物を前処理して焼却した後の焼却灰であることを特徴とする。
(作用)
【0030】
次に、かかる発明の作用について説明する。
請求項1に係る発明方法および請求項6に係る発明装置において、例えば、投入された焼却灰などの処理物質を放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解され、この熱化学分解で発生したガス中の一酸化炭素が燃焼される。 次に、燃焼後のガスが冷却され、さらに、ガス中の物質が吸着される。そして、物質が吸着された後のガスが排出される。
【0031】
したがって、アーク放電などの電子放電エネルギを使用しているため、物質は約2500〜3000°Cの高温で分解される。
このため、ダイオキシン類の発生がないと共に、煙の発生がなく、分解する物質の種類に関わらず、無臭となる。
【0032】
また、ガス中の一酸化炭素を燃焼させるため、一酸化炭素の発生量が少なく、さらに、ガスの冷却を行うため、設備の外壁温度を低下させることができ、地球温暖化にも影響を与えない。
【0033】
さらに、ガス中の物質を吸着させるため、貴金属類を含んだ焼却灰、汚泥類から純度の高い物質の抽出が可能であり、廃棄物の有効利用が図れ、リサイクルに有効である。
また、焼却灰などを効率良く処理できる設備のため、設備が大型化せず、省スペース化を図れる。
【0034】
そして、処理物質の流通ライン内を開放し、有酸素下で処理物質の無残渣処理を行うため、物質を連続して投入して処理することができる。すなわち、物質を投入した後、流通ライン内を無酸素状態にし、処理が終了したならば、一旦、物質を排出した後、再び、投入と無酸素化する作業を行う必要が一切なく、処理量を拡大することができ、処理能力が高いという利点がある。
【0035】
請求項2に係る発明方法および請求項7に係る発明装置において、燃焼後のガスの集塵を行うため、塵が事前に除去され、後段の吸着槽にての物質の吸着・回収を効率良く実施できる。
【0036】
請求項3に係る発明方法および請求項8に係る発明装置において、順番に物質を熱化学分解する複数の分子化工程および手段によって、より確実に物質の分子化が行える。
【0037】
請求項4に係る発明方法および請求項11に係る発明装置において、処理物質を分子化工程へと搬送して投入する投入工程および手段により、焼却灰などが自動的に投入され、システムをより自動化することができる。
【0038】
請求項5に係る発明方法および請求項12に係る発明装置において、物質を前処理し、投入工程へと前処理物質を供給する前処理入工程および手段により、一連の廃棄物などの処理を連続して行うことができる。
【0039】
請求項9に係る発明装置において、分子化手段は、物質がそれぞれ投入されるように、複数並列して設けられたので、放電分解量を増大できる。
【0040】
請求項10に係る発明装置において、吸着手段の吸着剤収納部は、着脱可能なカートリッジ式であるので、吸着手段の吸着剤収納部を迅速にかつ簡単に着脱することができ、作業をスピーディに行える。
【0041】
請求項13に係る発明装置において、最終処理物である焼却灰などの燃え殻の削減に効果的である。
【発明の実施の形態】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施の形態を詳述する。
【0042】
図1〜図6は、本発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法を実施した本発明装置の一実施形態を説明するための図である。
上記の方法は、投入された処理物質を放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解する分子化工程と、該分子化工程による熱化学分解で発生したガス中の一酸化炭素を燃焼させる燃焼工程と、燃焼後のガスを冷却する冷却工程と、ガス中の物質を吸着剤で吸着させる吸着工程と、物質が吸着された後のガスを排出する排出工程と、を含んでいる。
そして、物質の通過ライン内を開放し、有酸素下で物質の無残渣処理を行うことを特徴とするものである。
【0043】
本装置は、例えば、廃棄物などの最終処理を行うものとして使用され、本実施形態では、一例として、廃棄物などを焼却した後の焼却灰を処理物質とした場合について説明する。
【0044】
図1〜図5において、投入された焼却灰をアーク放電、火花放電、プラズマ放電などの放電エネルギ、本実施形態ではアーク放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解する分子化手段としての放電分解炉1,2と、熱化学分解により発生したガス中の一酸化炭素を燃焼させる燃焼手段としてのガスバーナ3Aと、燃焼後のガスの集塵を行う集塵手段としてのサイクロン4と、ガスを冷却する冷却手段としての冷却機5と、ガス中の物質を、吸着剤で吸着させる吸着手段としての吸着槽6〜11と、物質を吸着した後のガスを排出する排出手段としての、ダクト12および該ダクト12に介装された送風ブロア13と、を備えている。
【0045】
かかる装置を詳細に説明すると、投入される焼却灰は、成分が抽出される物質(廃棄物など)が図1に示す前処理手段としての前処理装置14により焼却により処理されて生成される。
【0046】
かかる焼却灰は、ホッパ、スクリューコンベア、昇降機などからなる投入手段としての図1に示す投入装置15を介して後述の1次放電分解炉1へと搬送して投入される(本発明方法の投入工程)。
【0047】
すなわち、例えば、焼却灰は、前処理装置14からホッパに投入された後(本発明方法の前処理工程)、このホッパからスクリューコンベアへと載せられ、このスクリューコンベアの終端から昇降機を介して下方から上方に搬送され、1次放電分解炉1に連続的に供給される。
なお、上記のように、自動的に連続投入しなくとも、処理する物質によっては、手動で投入して良い。
【0048】
放電分解炉は、1次放電分解炉1とこれと直列接続される2次放電分解炉2とに分けられて設けられる。
放電分解炉を2段接続にしたのは、より確実に物質の分子化を行うためで、必要に応じて、この放電分解炉の段数は任意に設定すれば良い。
また、放電分解炉、特に1次放電分解炉1は、物質がそれぞれ投入されるように、複数並列して設けても良く、これにより、放電分解量(処理能力)を増大できる利点がある。
【0049】
これらの放電分解炉1,2は、図4に示すように、黒鉛または炭化珪素からなるカーボン素子Aが、カーボングラファイトの熱緩衝材Bの床の上に放電電極Cの間に所定の間隔を介して、複数層にそれぞれ並列して配置されており、カーボン素子Aの層を挟んで、放電電極Cが設置され、放電電極Cの間にカーボン素子Aが配置された構成となっている。
なお、図4は、1次放電分解炉1の構成を示したものであり、上方から焼却灰が投入されるため、真ん中の放電電極Cが両側の放電電極Cに比べ、下側に配置されている。
2次放電分解炉2は、図示しないが、下方から焼却灰が投入されるため、真ん中の放電電極Cが両側の放電電極Cと同一高さに配置される。
ここで、1次放電分解炉1を2次放電分解炉2と同様に、真ん中の放電電極Cが両側の放電電極Cと同一高さに配置されるように構成することも可能であり、また、放電電極Cの数を、図4に示す3本から4本に増やすこともできる。
【0050】
なお、放電分解炉1,2の放電電極Cの間に配置されるカーボン素子Aの配置方法は任意に設定することができる。
また、放電分解炉1,2の炉本体の壁構造は、外壁側から内壁側に向けて、化粧材、断熱材、セラミック、キャスタブルを重層するように構成されており、放電分解炉の内外を遮断して、断熱効果に良い壁構造を形成している。
【0051】
そして、放電分解炉1,2に、例えば、酸化雰囲気(大気状態)で上記の放電電極Cに電圧を印加して通電すると、この電極C間に配設されたカーボン素子Aの間よりアーク放電を発し、この放電エネルギによる高熱が発生される。
投入された焼却灰は、このアーク放電に直接接触し、放電エネルギの高熱により熱化学分解され分子化される。
【0052】
放電分解炉1,2においては、物質が分子化(ガス化)されると、その容積が増加するために、炉本体内の圧力が増加して、上昇気流が発生し、この圧力と上昇気流により分子化された物質はガスとして次段に送り出される。
【0053】
この場合、焼却灰は、放電分解炉1,2のカーボングラファイトの熱緩衝材Bの床が接地されているため、その電位差により分子化され、その圧力と上昇気流に抗して、電極C間に配設されたカーボン素子Aの放電の中に引き込まれ、分子化が継続される。
【0054】
ここで、本実施形態で使用されるカーボン素子A、電極Cに通電される電流、電圧について説明する。
すなわち、カーボン素子Aは、直径10〜80mm、好ましくは約20〜40mmの球で構成される。このカーボン素子Aは複数個配設されるが、これは設計仕様により設定され、例えば、数十個〜数百個配設される。各カーボン素子A間の隙間は、0.5〜20mm、好ましくは1〜5mmの隙間が存在するように、並べて配設される。
【0055】
電極Cに印加する電圧は、約100〜1000V、好ましくは約200〜400Vで、流される電流は、約300〜1000A、好ましくは約400〜800Aになるように設定される。
かかる条件で電極Cに通電すると、電極C間のカーボン素子A間でアーク放電により約3000°C程度の高温が発せられる。
【0056】
なお、1次放電分解炉1の炉本体上面には、点検と交換などを行う開口16と焼却灰が投入される投入口17とが設けられ、開口16は油圧シリンダ装置18により駆動される扉19によって開閉自由に構成され、投入口17はハッチ21によって開閉自由に構成される。
また、1次放電分解炉1の炉本体側面には、空気の入口部22が開放されている。
【0057】
そして、1次放電分解炉1からの物質は、2次放電分解炉2の炉本体下方から供給される。2次放電分解炉2の炉本体には、点検と交換などを行う開口23が設けられ、開口23は油圧シリンダ装置24により駆動される扉25によって開閉自由に構成される。
【0058】
2次放電分解炉2で分子化された物質(ガス)は、流通管26を介して次段の燃焼室3に供給される。ここでは、ガスバーナ3Aにより、主に発生したガス中の一酸化炭素を燃焼させる。
【0059】
ガスバーナ3Aで一酸化炭素を燃焼されたガスは、ガス通路3B及び流通管27を介して次段のサイクロン4に供給される。
なお、図5において、ガス通路3Bを通過するガスを下からガスバーナにより燃焼させるようにしてもよい。
サイクロン4では、冷却装置4Aから供給される冷却水をガスが直接浴びながら遠心力により集塵を行い(本発明の集塵工程)、ガス中の塵は本体底部に溜まり、塵を除去されある程度冷却されたガスが、流通管28を介して次段の冷却機5に供給される。
【0060】
冷却機5においては、ガスが細い多数のパイプを通過する間に、上から冷却水が流下供給されて、塵を除去されたガスの間接冷却を行う。冷却水は、ポンプなどにより水槽5Aより循環供給される。
冷却されたガスは、流通管29を介して次段の吸着槽6〜11に供給される。
【0061】
流通管29は、2つの分岐管29A、29Bにより分岐して並列した後、再び合流し、この合流部に前記したダクト12が連結され、前述したように、ダクト12に送風ブロア13が介装される。
【0062】
2つの分岐管29A、29Bには、それぞれ3個の吸着槽6〜8,9〜11が介装される。また、各吸着槽6〜11における吸着剤収納部としてのフィルタ6A〜11Aは、それぞれ着脱可能なカートリッジ式に構成される。
【0063】
吸着槽6〜8,9〜11を設けたラインを並列したのは、物質の吸着を分散して行い、フィルタ6A〜11Aを頻繁に交換しなければならないのを防ぐためであり、必要に応じて、ラインの段数は任意に設定することができる。
【0064】
各吸着槽6〜11では、放電分解炉1,2のアーク放電の放電エネルギによる高温で分子レベルまで熱化学分解されたガス中の物質が吸着される。
すなわち、各吸着槽6〜11で物質の純粋物質の、例えば、鉄、銀、金、アルミニウム、珪素などの資源が吸着され、残りのガスが送出される。
各吸着槽6〜11の吸着剤は、活性炭、ゼオライト、硫酸ナトリウムなどで構成された非常に径の小さな多数の孔を持った多孔体で、その孔の径よりも大きな径を持った物質の分子の流通を阻止して、分子化された物質を吸着する。
そして、吸着槽6〜11のフィルタ6A〜11Aが吸着分子で満杯になった際、若しくは、ロット作業が終了した時点では、フィルタ6A〜11Aを取り外し、吸着物質を再生するようになっている。
【0065】
この場合、フィルタ6A〜11Aにおいて、吸着物質を放出するには、吸着物質を加熱して、吸着物質の溶出温度の差を利用して、純粋物質、例えば、鉄、銀、金、アルミニウム、珪素などの資源を回収する。
フィルタ6A〜11Aにおいて、物質を吸着された残りのガス成分は、ダクト12から送風ブロア13により排ガスとして排出される。
なお、図示しないが、ダクト12に、排ガス成分を分析する装置(コンピュータなど)を取り付け、排ガス成分を分析すると良い。
なお、図1中、35A、35Bは、温度計であり、燃焼室3下流温度、冷却機5下流温度をそれぞれ測定するようになっている。
【0066】
図6は、上記のシステムの制御回路図である。
この図において、制御盤30からの指令で、1次放電トランス31および2次放電トランス32を介して1次放電分解炉1と2次放電分解炉2の通電制御がなされると共に、サイクロン4および冷却機5の通電制御がなされる。
なお、図中、未説明符号33は集水ポンプ、34は放水ポンプ、35は温度指示計、36は発電機である。
【0067】
次に、本発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法を使用し、一般廃棄物の焼却灰を対象にして物質の処理を行った場合の排ガス成分の各実測データを次表に示す。
【表1】
かかる放電エネルギによる物質の無残渣処理方法および装置によると、次のような利点がある。
すなわち、1次放電分解炉1と2次放電分解炉2により、アーク放電などの電子放電エネルギを使用しているため、物質は約2500〜3000°Cの高温で分解される。
このため、上記した実測データのように、ダイオキシン類の発生がないと共に、煙の発生がなく、分解する物質の種類に関わらず、無臭となる。
【0068】
また、ガスバーナ3Aより、ガス中の一酸化炭素を燃焼させるため、上記した実測データのように、一酸化炭素の発生量が少なく、さらに、サイクロン4により、燃焼後のガスの集塵を行うため、塵が事前に除去され、煙の発生がより少ないと共に、後段の吸着槽6〜11にての物質の吸着・回収を効率良く実施できる。
【0069】
さらに、吸着槽6〜11を設けて、ガス中の物質を、吸着剤で吸着させるため、貴金属類を含んだ焼却灰、汚泥類から純度の高い物質の抽出が可能であり、廃棄物の有効利用が図れ、リサイクルに有効である。
【0070】
また、冷却機5を設け、これにより、集塵後のガスの冷却を行うため、吸着効率を上げることができると共に、設備の外壁温度を低下させることができ、地球温暖化にも影響を与えない。
しかも、焼却灰等を効率良く処理できる設備のため、設備が大型化せず、省スペース化を図れる。
【0071】
そして、本発明の特出した利点は、処理物質の流通ライン内を開放し、有酸素下で処理物質の無残渣処理を行うことを特徴としているため、物質を連続して投入して処理することができる。
すなわち、物質を投入した後、流通ライン内を無酸素状態にし、処理が終了したならば、一旦、物質を排出した後、再び、投入と無酸素化する作業を行う必要が一切なく、処理量を拡大することができ、処理能力が高いという利点がある。
【0072】
さらに、本発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、本発明方法を効果的に実施することができる。
【0073】
また、かかる装置は、吸着槽6〜11のフィルタ6A〜11Aを、着脱可能なカートリッジ式としたため、フィルタ6A〜11Aを迅速にかつ簡単に着脱することができ、作業をスピーディに行える。
【0074】
特に、焼却灰を放電分解炉1へと搬送して投入するホッパ、スクリューコンベア、昇降機などからなる投入装置15を設けたから、システムをより自動化でき、さらに、廃棄物を前処理して焼却灰などを形成し、前記投入装置15へとこの焼却灰などを供給する前処理装置14を併設するようにしたから、一連の作業をシステム化でき、廃棄物の処理を連続して行うことができる。
【0075】
なお、本実施形態では、廃棄物を焼却した後の焼却灰を処理物質としたことにより、最終処理物である焼却灰などの燃え殻の削減に効果的であるが、その他の廃棄物などでも良い。
【0076】
本発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法にて処理することができる代表的な物質は次の通りである。
【0077】
1.油泥類(硫酸ピッチ、廃塗料、タンクスラッジ、写真廃液など)
2.ばいじん類(飛灰など)
3.廃酸、廃アルカリ
4.汚泥類
5.燃え殻(焼却灰、重油燃料灰、フライアッシュなど)
6.廃プラスチック
7.感染性使用済医療機器類および消耗品類
8.動物糞尿および解体残渣
9.貝類、大理石などからの高品質のカルシウム製造
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発明方法および請求項6に係る発明装置によれば、ダイオキシン類の発生がないと共に、煙の発生がなく、分解する物質の種類に関わらず、無臭となると共に、ガス中の一酸化炭素を燃焼させるため、一酸化炭素の発生量が少なく、さらに、ガスの冷却を行うため、設備の外壁温度を低下させることができ、地球温暖化にも影響を与えない。さらに、ガス中の物質を、吸着させるため、貴金属類を含んだ焼却灰、汚泥類から純度の高い物質の抽出が可能であり、廃棄物の有効利用が図れ、リサイクルに有効である。また、焼却灰などを効率良く処理できる設備のため、設備が大型化せず、省スペース化を図れる。そして、処理物質の流通ライン内を開放し、有酸素下で処理物質の無残渣処理を行うため、物質を連続して投入して処理することができ、処理能力が高いという利点がある。
請求項2に係る発明方法および請求項7に係る発明装置によれば、燃焼後のガスの集塵を行うため、塵が事前に除去され、物質の吸着・回収を効率良く実施できる利点がある。
【0079】
請求項3に係る発明方法および請求項8に係る発明装置によれば、より確実に物質の分子化が行える利点がある。
【0080】
請求項4に係る発明方法および請求項11に係る発明装置にぱれば、焼却灰などが自動的に投入され、システムをより自動化することができる利点がある。
【0081】
請求項5に係る発明方法および請求項12に係る発明装置によれば、一連の廃棄物などの処理を連続して行うことができる利点がある。
【0082】
請求項9に係る発明装置によれば、放電分解量を増大できる利点がある。
【0083】
請求項10に係る発明装置によれば、吸着槽の吸着剤収納部を迅速にかつ簡単に着脱することができ、作業をスピーディに行える利点がある。
【0084】
請求項13に係る発明装置によれば、最終処理物である焼却灰などの燃え殻の削減に効果的であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放電エネルギによる物質の無残渣処理方法を実施する本発明装置の一実施形態を示す上面図
【図2】同上の装置を後側から見た後面図
【図3】同上の装置における1次放電分解炉と2次放電分解炉の正面図
【図4】同上の装置における1次放電分解炉の内部構造を示す概略図
【図5】同上の装置におけるガス通路の内部構造を示す断面図
【図6】同上の装置における制御回路図
【符号の説明】
1 1次放電分解炉
2 2次放電分解炉
3A ガスバーナ
4 サイクロン
5 冷却機
6〜11 吸着槽
12 ダクト
13 送風ブロア
14 前処理装置
15 投入装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭生活、農林水産業、製造業、製造業、食品加工業、土木建設業などの各種分野の産業活動、工業活動、商業活動、文化活動などに伴って排出される廃棄物や各種の鉱工業資源を、分子レベルまで熱化学分解することによって純粋物質を抽出して、廃棄物の再資源化や、鉱工業資源により高純度の物質を生産するアーク放電などの放電エネルギによる物質の無残渣処理方法およびその装置に関し、特に、ダイオキシン類などの発生防止や処理能力の向上などを図った技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、上記各分野における、例えば、廃棄物処理や不要物処理では、焼却炉、溶融炉や直接埋め立て処分の方法などが使用されてきている。
上記炉は、減量化並びに安定化方法として社会的な認知を受けているが、処理残渣が大量に発生し、その埋め立て処分が必要になっており、廃棄物および不要物の適切な処理を行い、最終処理分量の削減が急務となっていることは周知の通りである。
【0003】
また、科学技術の発展により新たに化学物質を生み出し、現在知られている化学物質の数は1000万個を越え、工業的に生産されているものだけでも10万個に上っていると言われている。これらの物質が廃棄物または不要物となり排出され、適切な処理が行われなければ、難分解性でかつ毒性の高いものもあり、環境を汚染し、人や生物に悪影響を及ぼす虞があるものも少なくないと考えられる。
【0004】
その排出量は、最も工業的に進んでいる米国では、廃棄物総排出量の30%が有害物質含有物質が占めていると、「地球環境ハンドブック」に掲載されている。 そして、現在、廃棄物または不要物の処理方法としては、直接埋め立てのための処理、焼却を主とする処理、物質回収を主とする処理、燃料回収を主とする処理の概ね4つの方法が採用されているが、焼却炉や溶融などの処理を行い、減量化と安定化を目指したものが、現在主流となっている。
【0005】
しかしながら、科学技術の向上により、化学系廃棄物または不要物が多品種排出され、毒性や人・生物への影響など未確認物質が含有している虞があり、現在の焼却や溶融などの処理方法では、処理できないものが多量に排出されている虞がある。
【0006】
また、上記燃焼処理における燃焼温度が低いと、ダイオキシンが発生するが、その対策として、高温で焼却する燃焼炉を採用する方法と、ダイオキシンを除去する方法とがあるが、莫大な設備投資が必要となる。さらに、現在の廃棄物処理技術では焼却が中心のために、焼却炉周辺での廃熱の発生、炭酸ガス、煙の発生、焼却残渣が残るなどの課題を有している。
【0007】
この結果、ダイオキシンの発生による人・生物への影響、炭酸ガス、煙や廃熱の発生による地球温暖化・オゾン層破壊・酸性雨による森林や土壌の破壊、水質悪化などの影響が危惧されている。
【0008】
このため、特開2001−317882号公報(従来技術1)にて、酸化雰囲気中(大気中)または還元雰囲気中(不活性ガス中)で電極に通電すると、電極間に置かれた複数個の抵抗体間よりアーク放電が発生し、アーク放電による高温(最高約3000°C)により、物体をガス化(昇華または気化)させ、略固形残渣を残さないで処理できるアーク放電による物質無残渣処理方法と装置が提案されている。
【0009】
また、特開2002−159843号公報(従来技術2)にて、気体・液体・固体の内の1つの状態からなる物質を、アーク、火花、プラズマの1つからなる放電エネルギ中に投入して、放電エネルギによる高熱により物質を分子レベルまでに静化学分解する分子化工程を有する放電エネルギによる物質抽出方法と装置が提案されている。
【0010】
さらに、特開2003−59640号公報(従来技術3)にて、1000°C以上の高温を継続的にかつ容易に発生させて、被加熱物の加熱を効率良く行う加熱装置であって、有害物質を生成することなく、種々の廃棄物を熱分解する廃棄物処理装置や、高温や放電を利用した高純度物質の製造装置に適した加熱装置が提案されている。
【0011】
この加熱装置は、具体的には、被加熱物を加熱する加熱室内に少なくとも1対の電極を設け、電圧が印加されると、放電を生じるように、電極間に球形の発熱体素子の複数からなる発熱体を介装し、発熱体素子を電極間において移動させるか、回転させるか、震動させるかする一方、加熱室内を無酸素状態にする手段および加熱室内を真空状態にする減圧手段のうち少なくとも1つを設けて構成してある。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−317882号公報
【0013】
【特許文献2】
特開2002−159843号公報
【0014】
【特許文献3】
特開2003−59640号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の方法や装置にあっては、次のような問題点があった。
すなわち、従来技術1および2のものでは、放電エネルギで発生したガス中に一酸化炭素が存在し、この一酸化炭素が大気に排出されてしまう虞がある。
また、放電エネルギで発生したガスを冷却していないため、設備の外壁温度を低下させることができないなど、地球温暖化にも影響を与えてしまう。
【0015】
さらに、従来技術3のものでは、被加熱物を加熱する加熱室内を無酸素状態にしているため、連続して処理することはできない。すなわち、被加熱物を加熱室内に投入した後、加熱室内を無酸素状態にし、処理が終了したならば、一旦、処理物を排出した後、再び、投入と無酸素化と排出する作業を行う必要があるため、処理を断続的とならざるを得ず、連続的に行えず、処理量が少なく、処理能力が低いという欠点がある。
【0016】
本発明は、上記のような課題を解決するためなされたものであり、ダイオキシン類や一酸化炭素を排出させず、物質残渣がなく、貴金属などを回収して、無公害の排ガスを排気可能で、地球温暖化にも影響を与えず、特に、最終処理物である焼却灰などの燃え殻の削減に有効な放電エネルギによる物質の無残渣処理方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法は、投入された処理物質を放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解する分子化工程と、該分子化工程による熱化学分解で発生したガス中の一酸化炭素を燃焼させる燃焼工程と、燃焼後のガスを冷却する冷却工程と、ガス中の物質を吸着剤で吸着させる吸着工程と、物質が吸着された後のガスを排出する排出工程と、を含み、物質の通過ライン内を開放し、有酸素下で物質の無残渣処理を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項2に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法は、前記発生したガスの集塵を行う集塵工程を含むことを特徴とする。
【0019】
請求項3に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法は、前記分子化工程は、順番に物質を熱化学分解する複数の分子化工程からなることを特徴とする。
【0020】
請求項4に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法は、処理物質を分子化工程へと搬送して投入する投入工程を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項5に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法は、物質を前処理し、前記投入工程へと前処理物質を供給する前処理入工程を含むことを特徴とする。
【0022】
請求項6に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、投入された処理物質を放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解する分子化手段と、該分子化手段による熱化学分解で発生したガス中の一酸化炭素を燃焼させる燃焼手段と、燃焼後のガスを冷却する冷却手段と、ガス中の物質を吸着剤で吸着させる吸着手段と、物質が吸着された後のガスを排出する排出手段と、を含み、物質の通過ライン内を開放し、有酸素下で物質の無残渣処理を行うことを特徴とする。
【0023】
請求項7に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、前記発生したガスの集塵を行う集塵手段を含むことを特徴とする。
【0024】
請求項8に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、前記分子化手段は、順番に物質を熱化学分解する直列した複数の分子化手段からなることを特徴とする。
【0025】
請求項9に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、前記分子化手段は、物質がそれぞれ投入されるように、複数並列して設けられたことを特徴とする。
【0026】
請求項10に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、前記吸着手段の吸着剤収納部は、着脱可能なカートリッジ式であることを特徴とする。
【0027】
請求項11に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、処理物質を分子化手段へと搬送して投入する投入手段を含むことを特徴とする。
【0028】
請求項12に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、物質を前処理し、前記投入手段へと前処理物質を供給する前処理入手段を含むことを特徴とする。
【0029】
請求項13に係る発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、前記処理物質は、廃棄物を前処理して焼却した後の焼却灰であることを特徴とする。
(作用)
【0030】
次に、かかる発明の作用について説明する。
請求項1に係る発明方法および請求項6に係る発明装置において、例えば、投入された焼却灰などの処理物質を放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解され、この熱化学分解で発生したガス中の一酸化炭素が燃焼される。 次に、燃焼後のガスが冷却され、さらに、ガス中の物質が吸着される。そして、物質が吸着された後のガスが排出される。
【0031】
したがって、アーク放電などの電子放電エネルギを使用しているため、物質は約2500〜3000°Cの高温で分解される。
このため、ダイオキシン類の発生がないと共に、煙の発生がなく、分解する物質の種類に関わらず、無臭となる。
【0032】
また、ガス中の一酸化炭素を燃焼させるため、一酸化炭素の発生量が少なく、さらに、ガスの冷却を行うため、設備の外壁温度を低下させることができ、地球温暖化にも影響を与えない。
【0033】
さらに、ガス中の物質を吸着させるため、貴金属類を含んだ焼却灰、汚泥類から純度の高い物質の抽出が可能であり、廃棄物の有効利用が図れ、リサイクルに有効である。
また、焼却灰などを効率良く処理できる設備のため、設備が大型化せず、省スペース化を図れる。
【0034】
そして、処理物質の流通ライン内を開放し、有酸素下で処理物質の無残渣処理を行うため、物質を連続して投入して処理することができる。すなわち、物質を投入した後、流通ライン内を無酸素状態にし、処理が終了したならば、一旦、物質を排出した後、再び、投入と無酸素化する作業を行う必要が一切なく、処理量を拡大することができ、処理能力が高いという利点がある。
【0035】
請求項2に係る発明方法および請求項7に係る発明装置において、燃焼後のガスの集塵を行うため、塵が事前に除去され、後段の吸着槽にての物質の吸着・回収を効率良く実施できる。
【0036】
請求項3に係る発明方法および請求項8に係る発明装置において、順番に物質を熱化学分解する複数の分子化工程および手段によって、より確実に物質の分子化が行える。
【0037】
請求項4に係る発明方法および請求項11に係る発明装置において、処理物質を分子化工程へと搬送して投入する投入工程および手段により、焼却灰などが自動的に投入され、システムをより自動化することができる。
【0038】
請求項5に係る発明方法および請求項12に係る発明装置において、物質を前処理し、投入工程へと前処理物質を供給する前処理入工程および手段により、一連の廃棄物などの処理を連続して行うことができる。
【0039】
請求項9に係る発明装置において、分子化手段は、物質がそれぞれ投入されるように、複数並列して設けられたので、放電分解量を増大できる。
【0040】
請求項10に係る発明装置において、吸着手段の吸着剤収納部は、着脱可能なカートリッジ式であるので、吸着手段の吸着剤収納部を迅速にかつ簡単に着脱することができ、作業をスピーディに行える。
【0041】
請求項13に係る発明装置において、最終処理物である焼却灰などの燃え殻の削減に効果的である。
【発明の実施の形態】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施の形態を詳述する。
【0042】
図1〜図6は、本発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法を実施した本発明装置の一実施形態を説明するための図である。
上記の方法は、投入された処理物質を放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解する分子化工程と、該分子化工程による熱化学分解で発生したガス中の一酸化炭素を燃焼させる燃焼工程と、燃焼後のガスを冷却する冷却工程と、ガス中の物質を吸着剤で吸着させる吸着工程と、物質が吸着された後のガスを排出する排出工程と、を含んでいる。
そして、物質の通過ライン内を開放し、有酸素下で物質の無残渣処理を行うことを特徴とするものである。
【0043】
本装置は、例えば、廃棄物などの最終処理を行うものとして使用され、本実施形態では、一例として、廃棄物などを焼却した後の焼却灰を処理物質とした場合について説明する。
【0044】
図1〜図5において、投入された焼却灰をアーク放電、火花放電、プラズマ放電などの放電エネルギ、本実施形態ではアーク放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解する分子化手段としての放電分解炉1,2と、熱化学分解により発生したガス中の一酸化炭素を燃焼させる燃焼手段としてのガスバーナ3Aと、燃焼後のガスの集塵を行う集塵手段としてのサイクロン4と、ガスを冷却する冷却手段としての冷却機5と、ガス中の物質を、吸着剤で吸着させる吸着手段としての吸着槽6〜11と、物質を吸着した後のガスを排出する排出手段としての、ダクト12および該ダクト12に介装された送風ブロア13と、を備えている。
【0045】
かかる装置を詳細に説明すると、投入される焼却灰は、成分が抽出される物質(廃棄物など)が図1に示す前処理手段としての前処理装置14により焼却により処理されて生成される。
【0046】
かかる焼却灰は、ホッパ、スクリューコンベア、昇降機などからなる投入手段としての図1に示す投入装置15を介して後述の1次放電分解炉1へと搬送して投入される(本発明方法の投入工程)。
【0047】
すなわち、例えば、焼却灰は、前処理装置14からホッパに投入された後(本発明方法の前処理工程)、このホッパからスクリューコンベアへと載せられ、このスクリューコンベアの終端から昇降機を介して下方から上方に搬送され、1次放電分解炉1に連続的に供給される。
なお、上記のように、自動的に連続投入しなくとも、処理する物質によっては、手動で投入して良い。
【0048】
放電分解炉は、1次放電分解炉1とこれと直列接続される2次放電分解炉2とに分けられて設けられる。
放電分解炉を2段接続にしたのは、より確実に物質の分子化を行うためで、必要に応じて、この放電分解炉の段数は任意に設定すれば良い。
また、放電分解炉、特に1次放電分解炉1は、物質がそれぞれ投入されるように、複数並列して設けても良く、これにより、放電分解量(処理能力)を増大できる利点がある。
【0049】
これらの放電分解炉1,2は、図4に示すように、黒鉛または炭化珪素からなるカーボン素子Aが、カーボングラファイトの熱緩衝材Bの床の上に放電電極Cの間に所定の間隔を介して、複数層にそれぞれ並列して配置されており、カーボン素子Aの層を挟んで、放電電極Cが設置され、放電電極Cの間にカーボン素子Aが配置された構成となっている。
なお、図4は、1次放電分解炉1の構成を示したものであり、上方から焼却灰が投入されるため、真ん中の放電電極Cが両側の放電電極Cに比べ、下側に配置されている。
2次放電分解炉2は、図示しないが、下方から焼却灰が投入されるため、真ん中の放電電極Cが両側の放電電極Cと同一高さに配置される。
ここで、1次放電分解炉1を2次放電分解炉2と同様に、真ん中の放電電極Cが両側の放電電極Cと同一高さに配置されるように構成することも可能であり、また、放電電極Cの数を、図4に示す3本から4本に増やすこともできる。
【0050】
なお、放電分解炉1,2の放電電極Cの間に配置されるカーボン素子Aの配置方法は任意に設定することができる。
また、放電分解炉1,2の炉本体の壁構造は、外壁側から内壁側に向けて、化粧材、断熱材、セラミック、キャスタブルを重層するように構成されており、放電分解炉の内外を遮断して、断熱効果に良い壁構造を形成している。
【0051】
そして、放電分解炉1,2に、例えば、酸化雰囲気(大気状態)で上記の放電電極Cに電圧を印加して通電すると、この電極C間に配設されたカーボン素子Aの間よりアーク放電を発し、この放電エネルギによる高熱が発生される。
投入された焼却灰は、このアーク放電に直接接触し、放電エネルギの高熱により熱化学分解され分子化される。
【0052】
放電分解炉1,2においては、物質が分子化(ガス化)されると、その容積が増加するために、炉本体内の圧力が増加して、上昇気流が発生し、この圧力と上昇気流により分子化された物質はガスとして次段に送り出される。
【0053】
この場合、焼却灰は、放電分解炉1,2のカーボングラファイトの熱緩衝材Bの床が接地されているため、その電位差により分子化され、その圧力と上昇気流に抗して、電極C間に配設されたカーボン素子Aの放電の中に引き込まれ、分子化が継続される。
【0054】
ここで、本実施形態で使用されるカーボン素子A、電極Cに通電される電流、電圧について説明する。
すなわち、カーボン素子Aは、直径10〜80mm、好ましくは約20〜40mmの球で構成される。このカーボン素子Aは複数個配設されるが、これは設計仕様により設定され、例えば、数十個〜数百個配設される。各カーボン素子A間の隙間は、0.5〜20mm、好ましくは1〜5mmの隙間が存在するように、並べて配設される。
【0055】
電極Cに印加する電圧は、約100〜1000V、好ましくは約200〜400Vで、流される電流は、約300〜1000A、好ましくは約400〜800Aになるように設定される。
かかる条件で電極Cに通電すると、電極C間のカーボン素子A間でアーク放電により約3000°C程度の高温が発せられる。
【0056】
なお、1次放電分解炉1の炉本体上面には、点検と交換などを行う開口16と焼却灰が投入される投入口17とが設けられ、開口16は油圧シリンダ装置18により駆動される扉19によって開閉自由に構成され、投入口17はハッチ21によって開閉自由に構成される。
また、1次放電分解炉1の炉本体側面には、空気の入口部22が開放されている。
【0057】
そして、1次放電分解炉1からの物質は、2次放電分解炉2の炉本体下方から供給される。2次放電分解炉2の炉本体には、点検と交換などを行う開口23が設けられ、開口23は油圧シリンダ装置24により駆動される扉25によって開閉自由に構成される。
【0058】
2次放電分解炉2で分子化された物質(ガス)は、流通管26を介して次段の燃焼室3に供給される。ここでは、ガスバーナ3Aにより、主に発生したガス中の一酸化炭素を燃焼させる。
【0059】
ガスバーナ3Aで一酸化炭素を燃焼されたガスは、ガス通路3B及び流通管27を介して次段のサイクロン4に供給される。
なお、図5において、ガス通路3Bを通過するガスを下からガスバーナにより燃焼させるようにしてもよい。
サイクロン4では、冷却装置4Aから供給される冷却水をガスが直接浴びながら遠心力により集塵を行い(本発明の集塵工程)、ガス中の塵は本体底部に溜まり、塵を除去されある程度冷却されたガスが、流通管28を介して次段の冷却機5に供給される。
【0060】
冷却機5においては、ガスが細い多数のパイプを通過する間に、上から冷却水が流下供給されて、塵を除去されたガスの間接冷却を行う。冷却水は、ポンプなどにより水槽5Aより循環供給される。
冷却されたガスは、流通管29を介して次段の吸着槽6〜11に供給される。
【0061】
流通管29は、2つの分岐管29A、29Bにより分岐して並列した後、再び合流し、この合流部に前記したダクト12が連結され、前述したように、ダクト12に送風ブロア13が介装される。
【0062】
2つの分岐管29A、29Bには、それぞれ3個の吸着槽6〜8,9〜11が介装される。また、各吸着槽6〜11における吸着剤収納部としてのフィルタ6A〜11Aは、それぞれ着脱可能なカートリッジ式に構成される。
【0063】
吸着槽6〜8,9〜11を設けたラインを並列したのは、物質の吸着を分散して行い、フィルタ6A〜11Aを頻繁に交換しなければならないのを防ぐためであり、必要に応じて、ラインの段数は任意に設定することができる。
【0064】
各吸着槽6〜11では、放電分解炉1,2のアーク放電の放電エネルギによる高温で分子レベルまで熱化学分解されたガス中の物質が吸着される。
すなわち、各吸着槽6〜11で物質の純粋物質の、例えば、鉄、銀、金、アルミニウム、珪素などの資源が吸着され、残りのガスが送出される。
各吸着槽6〜11の吸着剤は、活性炭、ゼオライト、硫酸ナトリウムなどで構成された非常に径の小さな多数の孔を持った多孔体で、その孔の径よりも大きな径を持った物質の分子の流通を阻止して、分子化された物質を吸着する。
そして、吸着槽6〜11のフィルタ6A〜11Aが吸着分子で満杯になった際、若しくは、ロット作業が終了した時点では、フィルタ6A〜11Aを取り外し、吸着物質を再生するようになっている。
【0065】
この場合、フィルタ6A〜11Aにおいて、吸着物質を放出するには、吸着物質を加熱して、吸着物質の溶出温度の差を利用して、純粋物質、例えば、鉄、銀、金、アルミニウム、珪素などの資源を回収する。
フィルタ6A〜11Aにおいて、物質を吸着された残りのガス成分は、ダクト12から送風ブロア13により排ガスとして排出される。
なお、図示しないが、ダクト12に、排ガス成分を分析する装置(コンピュータなど)を取り付け、排ガス成分を分析すると良い。
なお、図1中、35A、35Bは、温度計であり、燃焼室3下流温度、冷却機5下流温度をそれぞれ測定するようになっている。
【0066】
図6は、上記のシステムの制御回路図である。
この図において、制御盤30からの指令で、1次放電トランス31および2次放電トランス32を介して1次放電分解炉1と2次放電分解炉2の通電制御がなされると共に、サイクロン4および冷却機5の通電制御がなされる。
なお、図中、未説明符号33は集水ポンプ、34は放水ポンプ、35は温度指示計、36は発電機である。
【0067】
次に、本発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法を使用し、一般廃棄物の焼却灰を対象にして物質の処理を行った場合の排ガス成分の各実測データを次表に示す。
【表1】
かかる放電エネルギによる物質の無残渣処理方法および装置によると、次のような利点がある。
すなわち、1次放電分解炉1と2次放電分解炉2により、アーク放電などの電子放電エネルギを使用しているため、物質は約2500〜3000°Cの高温で分解される。
このため、上記した実測データのように、ダイオキシン類の発生がないと共に、煙の発生がなく、分解する物質の種類に関わらず、無臭となる。
【0068】
また、ガスバーナ3Aより、ガス中の一酸化炭素を燃焼させるため、上記した実測データのように、一酸化炭素の発生量が少なく、さらに、サイクロン4により、燃焼後のガスの集塵を行うため、塵が事前に除去され、煙の発生がより少ないと共に、後段の吸着槽6〜11にての物質の吸着・回収を効率良く実施できる。
【0069】
さらに、吸着槽6〜11を設けて、ガス中の物質を、吸着剤で吸着させるため、貴金属類を含んだ焼却灰、汚泥類から純度の高い物質の抽出が可能であり、廃棄物の有効利用が図れ、リサイクルに有効である。
【0070】
また、冷却機5を設け、これにより、集塵後のガスの冷却を行うため、吸着効率を上げることができると共に、設備の外壁温度を低下させることができ、地球温暖化にも影響を与えない。
しかも、焼却灰等を効率良く処理できる設備のため、設備が大型化せず、省スペース化を図れる。
【0071】
そして、本発明の特出した利点は、処理物質の流通ライン内を開放し、有酸素下で処理物質の無残渣処理を行うことを特徴としているため、物質を連続して投入して処理することができる。
すなわち、物質を投入した後、流通ライン内を無酸素状態にし、処理が終了したならば、一旦、物質を排出した後、再び、投入と無酸素化する作業を行う必要が一切なく、処理量を拡大することができ、処理能力が高いという利点がある。
【0072】
さらに、本発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置は、本発明方法を効果的に実施することができる。
【0073】
また、かかる装置は、吸着槽6〜11のフィルタ6A〜11Aを、着脱可能なカートリッジ式としたため、フィルタ6A〜11Aを迅速にかつ簡単に着脱することができ、作業をスピーディに行える。
【0074】
特に、焼却灰を放電分解炉1へと搬送して投入するホッパ、スクリューコンベア、昇降機などからなる投入装置15を設けたから、システムをより自動化でき、さらに、廃棄物を前処理して焼却灰などを形成し、前記投入装置15へとこの焼却灰などを供給する前処理装置14を併設するようにしたから、一連の作業をシステム化でき、廃棄物の処理を連続して行うことができる。
【0075】
なお、本実施形態では、廃棄物を焼却した後の焼却灰を処理物質としたことにより、最終処理物である焼却灰などの燃え殻の削減に効果的であるが、その他の廃棄物などでも良い。
【0076】
本発明の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法にて処理することができる代表的な物質は次の通りである。
【0077】
1.油泥類(硫酸ピッチ、廃塗料、タンクスラッジ、写真廃液など)
2.ばいじん類(飛灰など)
3.廃酸、廃アルカリ
4.汚泥類
5.燃え殻(焼却灰、重油燃料灰、フライアッシュなど)
6.廃プラスチック
7.感染性使用済医療機器類および消耗品類
8.動物糞尿および解体残渣
9.貝類、大理石などからの高品質のカルシウム製造
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発明方法および請求項6に係る発明装置によれば、ダイオキシン類の発生がないと共に、煙の発生がなく、分解する物質の種類に関わらず、無臭となると共に、ガス中の一酸化炭素を燃焼させるため、一酸化炭素の発生量が少なく、さらに、ガスの冷却を行うため、設備の外壁温度を低下させることができ、地球温暖化にも影響を与えない。さらに、ガス中の物質を、吸着させるため、貴金属類を含んだ焼却灰、汚泥類から純度の高い物質の抽出が可能であり、廃棄物の有効利用が図れ、リサイクルに有効である。また、焼却灰などを効率良く処理できる設備のため、設備が大型化せず、省スペース化を図れる。そして、処理物質の流通ライン内を開放し、有酸素下で処理物質の無残渣処理を行うため、物質を連続して投入して処理することができ、処理能力が高いという利点がある。
請求項2に係る発明方法および請求項7に係る発明装置によれば、燃焼後のガスの集塵を行うため、塵が事前に除去され、物質の吸着・回収を効率良く実施できる利点がある。
【0079】
請求項3に係る発明方法および請求項8に係る発明装置によれば、より確実に物質の分子化が行える利点がある。
【0080】
請求項4に係る発明方法および請求項11に係る発明装置にぱれば、焼却灰などが自動的に投入され、システムをより自動化することができる利点がある。
【0081】
請求項5に係る発明方法および請求項12に係る発明装置によれば、一連の廃棄物などの処理を連続して行うことができる利点がある。
【0082】
請求項9に係る発明装置によれば、放電分解量を増大できる利点がある。
【0083】
請求項10に係る発明装置によれば、吸着槽の吸着剤収納部を迅速にかつ簡単に着脱することができ、作業をスピーディに行える利点がある。
【0084】
請求項13に係る発明装置によれば、最終処理物である焼却灰などの燃え殻の削減に効果的であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放電エネルギによる物質の無残渣処理方法を実施する本発明装置の一実施形態を示す上面図
【図2】同上の装置を後側から見た後面図
【図3】同上の装置における1次放電分解炉と2次放電分解炉の正面図
【図4】同上の装置における1次放電分解炉の内部構造を示す概略図
【図5】同上の装置におけるガス通路の内部構造を示す断面図
【図6】同上の装置における制御回路図
【符号の説明】
1 1次放電分解炉
2 2次放電分解炉
3A ガスバーナ
4 サイクロン
5 冷却機
6〜11 吸着槽
12 ダクト
13 送風ブロア
14 前処理装置
15 投入装置
Claims (13)
- 投入された処理物質を放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解する分子化工程と、
該分子化工程による熱化学分解で発生したガス中の一酸化炭素を燃焼させる燃焼工程と、
燃焼後のガスを冷却する冷却工程と、
ガス中の物質を吸着剤で吸着させる吸着工程と、
物質が吸着された後のガスを排出する排出工程と、を含み、
物質の通過ライン内を開放し、有酸素下で物質の無残渣処理を行うことを特徴とする放電エネルギによる物質の無残渣処理方法。 - 前記発生したガスの集塵を行う集塵工程を含むことを特徴とする請求項1記載の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法。
- 前記分子化工程は、順番に物質を熱化学分解する複数の分子化工程からなることを特徴とする請求項1または2記載の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法。
- 処理物質を分子化工程へと搬送して投入する投入工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法。
- 物質を前処理し、前記投入工程へと前処理物質を供給する前処理入工程を含むことを特徴とする請求項4記載の放電エネルギによる物質の無残渣処理方法。
- 投入された処理物質を放電エネルギによる高熱により分子レベルまでに熱化学分解する分子化手段と、
該分子化手段による熱化学分解で発生したガス中の一酸化炭素を燃焼させる燃焼手段と、
燃焼後のガスを冷却する冷却手段と、
ガス中の物質を吸着剤で吸着させる吸着手段と、
物質が吸着された後のガスを排出する排出手段と、を含み、
物質の通過ライン内を開放し、有酸素下で物質の無残渣処理を行うことを特徴とする放電エネルギによる物質の無残渣処理装置。 - 前記発生したガスの集塵を行う集塵手段を含むことを特徴とする請求項6記載の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置。
- 前記分子化手段は、順番に物質を熱化学分解する直列した複数の分子化手段からなることを特徴とする請求項6または7記載の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置。
- 前記分子化手段は、物質がそれぞれ投入されるように、複数並列して設けられたことを特徴とする請求項6〜8のうちいずれか1つに記載の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置。
- 前記吸着手段の吸着剤収納部は、着脱可能なカートリッジ式であることを特徴とする請求項6〜9のうちいずれか1つに記載の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置。
- 処理物質を分子化手段へと搬送して投入する投入手段を含むことを特徴とする請求項6〜10のうちいずれか1つに記載の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置。
- 物質を前処理し、前記投入手段へと前処理物質を供給する前処理入手段を含むことを特徴とする請求項11記載の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置。
- 前記処理物質は、廃棄物を前処理して焼却した後の焼却灰であることを特徴とする請求項6〜12のうちいずれか1つに記載の放電エネルギによる物質の無残渣処理装置。
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JP2012245448A (ja) * | 2011-05-26 | 2012-12-13 | Masayuki Kurihara | 廃棄物処理装置及び廃棄物処理方法 |
CN106345406A (zh) * | 2016-08-25 | 2017-01-25 | 合肥百和环保科技有限公司 | 一种以剩余活性污泥为原料生产吸附材料的系统 |
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- 2003-08-12 JP JP2003207413A patent/JP2005058820A/ja active Pending
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