JP2005057857A - 磁歪アクチュエータ及び光スイッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】 少ない消費電力で可動な磁歪アクチュエータ及びその磁歪アクチュエータを用いた光スイッチを提供する。
【解決方法】 本発明における磁歪アクチュエータの磁歪素片は、基板と磁歪材料層の間に磁歪材料層とは逆向きの反り変形を生じさせるクロム層を形成することによって、気相法による成膜時において発生する磁歪素片の反り変形が相殺される。これにより、磁界を印加していない状態において、反りを生じない磁歪素片を得ることができる。また、このような磁歪素片を用いた磁歪アクチュエータでは、磁界印加による磁歪素片の最大撓み量のみを考慮して、磁界発生部の大きさ(面積)を小さく設計することができるので、消費電力の少ない磁歪アクチュエータを得ることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、基体上に磁歪膜を形成した素片を用いた磁歪アクチュエータ及びその製造方法、並びに、その磁歪アクチュエータを利用した光スイッチに関する。
光通信システムにおいては、光通信回線を切り替えるために光スイッチが必要である。光スイッチの方式の一つとして、例えば、光路上に反射ミラーを配置し、その角度を変化させることにより光の反射方向を変える方式の光スイッチが知られている。かかる光スイッチにおいて、反射ミラーの角度を変化させる方法としては、例えば、静電方式、圧電方式、磁気力方式等が知られている。
従来の磁気力方式の光スイッチとして、磁石と電磁石との吸引力を利用した光スイッチが知られている(例えば、特許文献1参照)。この光スイッチは、磁性体が取り付けられているミラーが3次元的に運動可能な支持体を介して基板に取り付けられるとともに、ミラー近傍に電磁石を設けて構成されている。かかる光スイッチでは、電磁石を動作させて電磁石から磁界を発生させ、ミラーに取り付けられている磁性体を磁気的な相互作用により電磁石に引き付け、ミラーに入射したレーザを所定の方向にスイッチングさせている。しかしながら、このような磁石と電磁石との吸引力を利用した光スイッチにおいては、ミラーに磁性体を取り付けるとともに、変形可能な支持体を介してミラーを基板に取り付ける必要があるために、部品点数が多くなるとともに構造が複雑になり、製造工程もまた複雑化するという問題があった。
そこで、より簡単な構造で且つ容易に製造することのできる磁気力方式の光スイッチとして、曲げ弾性及び可撓性を有する基体上に磁歪材料からなる薄膜(磁歪薄膜)を形成した素片(磁歪素片)を利用した光スイッチが知られている(例えば、特許文献2、非特許文献1参照)。磁歪素片に磁界を印加することによって、磁歪素片の磁歪薄膜は所定の方向に伸びまたは縮み、基体との間にずれ応力が生じる。これにより、磁歪素片は基体側または磁歪薄膜側のいずれかの側に撓む。この光スイッチでは、入射用の光ファイバからの光を磁歪素片の表面に形成したミラーで反射させる。磁歪素片に磁界を印加していない状態では、光は上記ミラーに対して所定の角度をもって入射し、ミラー面で反射された光は第1の出射用光ファイバに導かれる。これに対し、磁歪素片に磁界を印加した状態では、磁歪素片に撓みが生じる。これにより、光は磁界が印加されていない状態の所定角度とは異なる角度で上記ミラー面に入射し、ミラー面で反射された光は第1の出射用光ファイバとは異なる位置に配置された第2の出射用光ファイバに導かれる。このように、磁界のオンオフを切り替えて磁歪素片の撓み量を制御することにより、光のスイッチングを行うことができる。
特開2000−162520号公報(第1−5欄) 特開2003−15060号公報(第1−8欄、第1図) S.Moon, S.H.Limらによる著,「オプティカル・スイッチ・ドリブン・バイ・ジャイアント・マグネトストリクティブ・シン・フィルムズ(Optical Switch Driven by Giant Magnetostrictive Thin Films)」 Part of the Symposium on Design, Test, and Microfabrication of MEMS and MOEMS(パリ,フランス)(1999年3−4月)(第854−862頁)
しかしながら、このような磁歪アクチュエータについては、消費電力の低減等の観点から細部構造について調整されることが望まれる。
そこで、本発明の目的は、より少ない消費電力で動作可能な磁歪アクチュエータ及その磁歪アクチュエータを用いた光スイッチを提供することにある。
本発明の第1の態様に従えば、基体と、該基体上に形成されるクロム膜と、該クロム膜上に磁歪材料で形成された薄膜とで構成される素片と;
該素片に磁界を印加する磁界印加手段と;を備えることを特徴とする磁歪アクチュエータが提供される。
本発明の磁歪アクチュエータに用いる磁歪素片は、基体上にCr(クロム)層が形成され、クロム層上に磁歪材料層が形成されている。図11(a)に示すように、通常、スパッタリング等の気相法による成膜プロセスを用いて、ガラスやポリイミド等の基体111上に直接磁歪材料層115を形成した場合、成膜時に磁歪材料層115に生じる熱応力等の影響により、磁歪素片110に磁歪材料層115形成面側に凸状となるような反り変形が生じてしまう。この反り変形量は、磁歪素片が磁界印加によって撓む際の撓み量に比較して大きい。この場合、磁歪素片の所定の撓み量を得るためには、予め上記の反り変形量を考慮した上で磁歪素片への印加磁界を決定する必要がある。即ち、磁歪素片の所定の撓み量を得るための磁界に加えて、磁歪素片の反り変形量を相殺するために必要な磁界を印加する必要がある。これにより、磁歪素片に磁界を印加するための消費電力も増大していた。
一方、図11(b)に示すように、上記基体111上にクロム層113を形成すると、クロム層113形成面側が凹状となるように、即ち、基体111側に凸状となるように素片112に反り変形が生じるが分かった。本発明における磁歪アクチュエータの磁歪素片では、基体と磁歪材料層の間に磁歪材料層とは逆向きの反り変形を生じさせるクロム層を形成することによって、上述のような成膜時において生じる磁歪素片の反り変形が相殺される。これにより、磁界を印加していない状態において、反り変形を生じない磁歪素片を得ることができる。
また、磁歪アクチュエータの磁界印加部として、例えばギャップを有する磁気コアを用いた場合、ギャップ部分の対向する面内で最も強い磁界が得られる。このような磁気コアでは、ギャップ部分の対向する面の大きさ(面積)を小さくするにつれて、所定量の磁界を得るための消費電力を少なくすることができる。本発明における磁歪アクチュエータに用いる磁歪素片は、前述の通り、磁界印加していない状態では反り変形を生じない。したがって、この磁歪素片を用いた磁歪アクチュエータでは、磁界印加による磁歪素片の最大撓み量のみを考慮して、磁界発生部分、即ち、ギャップ部分の対向する面の大きさを設計すればよい。これにより、消費電力の少ない磁界印加部を有する磁歪アクチュエータを得ることができる。
本発明では、上記素片のクロム膜と磁歪材料薄膜との間に、アルミニウム層が形成されていることが望ましい。これにより、基体と磁歪材料層との間で生じるおそれのある材料成分の相互拡散を防止することができる。また、上記磁界印加手段が、磁気コア、該磁気コアに周回して設けられたコイル及び電源で構成されていることが望ましい。
本発明の第2の態様に従えば、基体と、気相法を用いて形成された磁歪材料薄膜と、上記基体上に上記磁歪材料薄膜を形成したときに基体に生じる反りとは逆向きの反りを上記基体に生じさせる膜とで構成される素片と;
該素片に磁界を印加する磁界印加手段と;を備えることを特徴とする磁歪アクチュエータが提供される。
本発明における磁歪アクチュエータの磁歪素片では、スパッタ法や蒸着法等の気相法によって基体上に磁歪材料薄膜が成膜される。気相法を用いて成膜することによって、磁歪材料薄膜が形成された基体は所定の方向に反る。本発明における磁歪素片には、単独で基板上に形成したときに、この反り方向と逆向きの反りを基体に生じさせる膜(以下、適宜「逆反り膜」という)がさらに形成されている。逆反り膜により、磁歪材料薄膜によって生じる基体の反りは相殺され、磁歪素片は磁界が印加されていない状態では真直な状態を維持する。逆反り膜の材料及び厚さは、磁歪材料薄膜の材料及び厚さに応じて逆反りが生じるように適宜選択される。上記逆反り膜は、クロム、鉄等の金属膜であることが望ましい。逆反り膜は、基体と磁歪材料薄膜との間に配置されるか、あるいは、逆反り膜と基体との間に磁歪材料膜が配置され得る。
本発明の第3の態様に従えば、光スイッチであって、
第1または第2の態様の磁歪アクチュエータと;
光スイッチに光を入射する光入射部と;
該光入射部からの光を光スイッチから出射する第1光出射部及び第2光出射部と;
上記素片上に形成されたミラーと;を備え、
上記素片に磁界が印加されたときに、上記光入射部からの光が第1光出射部に導かれ、磁界が印加されないときに、上記ミラーを介して第2光出射部に導かれることを特徴とする光スイッチが提供される。
本発明の光スイッチでは、素片に磁界を印加したときには、素片を構成している磁歪薄膜が伸びるまたは縮むことにより、素片を構成する基体との間でずれ応力が生じ、素片が基体側または磁歪薄膜側のいずれかの側に撓む。このとき、光入射部からの光は素片に遮られることなく第1光出射部に向けて照射される。一方、素片に磁界を印加していない状態で、素片は撓んでいない状態となる。このとき、光入射部から出射した光は素片に遮られると同時に、素片上に設けられたミラーの表面に入射する。ミラー表面で反射した光は、第2出射部に導かれる。これにより、光スイッチの切り替えを正確に行うことができる。
本発明の光スイッチでは、上記光入射部及び光出射部の少なくとも一方がレンズ付き光ファイバであることが望ましい。
本発明における実施の形態を、図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されない。
本発明における磁歪アクチュエータの実施の形態について、図1〜4を用いて説明する。図1(a)及び(b)は、本発明の磁歪アクチュエータ100の概略図であり、図1(a)は磁歪アクチュエータ100を構成する磁歪素片10が撓んでいない状態を、図1(b)は磁歪素片10が撓んだ状態をそれぞれ示している。本実施例の磁歪アクチュエータ100の動作に関する詳細については、後述する。
[磁歪素片の作製方法]
次に、本発明の磁歪アクチュエータに用いる磁歪素片の作製方法を、図2を用いて説明する。図2に示すように、磁歪素片10は、基板(基体)1、クロム層3、磁歪材料層5、及び保護層7で構成されている。磁歪素片10は、以下の方法で作製した。機械研磨によって厚さ20μmの厚さまで研磨した石英ガラス基板1を用意した。次いで、基板1の一方の面上に、クロム層3、サマリウム−鉄合金からなる磁歪材料層5及びアルミニウムからなる保護層7を、スパッタ法を用いて順に形成した。クロム層3は厚さ10nmとなるように、磁歪材料層5は厚さ200nmとなるように、保護層7は厚さ10nmとなるように、それぞれ形成した。前述の通り、磁歪素片10では、基体1と磁歪材料層5との間にクロム層3が設けられているので、スパッタリング等の気相法により成膜された磁歪材料層5に生じる熱応力等の影響による反り変形が、クロム層3に生じる熱応力等の影響による反り変形によって相殺される。これにより、成膜時の磁歪素片10の反り変形を防止して、真直ぐな磁歪素片を得る。なお、磁歪素片に用いる基体としては、上記の石英ガラスに代えて、ポリイミド等の可撓性を有する高分子材料を用い得る。また、クロム層に代えてFe層、Ti層、Cu層等を形成してもよい。中間層及び保護層としては、上記のアルミニウムに代えて、SiOやSiN等を用い得る。
ここで、基板上に形成するクロム層の厚みと磁界を印加していない状態における磁歪素片の反り変形量との関係について、図3を用いて説明する。図3(a)に示すように、本実験に用いた磁歪素片30は、クロム層と磁歪材料層との間に、後述するアルミニウムで形成された厚さ10nmの中間層を設けたことに加え、磁歪材料層の厚みを6μmとし、さらに、クロム層を厚み0.8〜1.2μmの範囲で種々変更して形成した以外は上記磁歪素片と同様に構成した。なお、図3(b)に示すように、磁歪素片の一端を固定端、他端を自由端とし、基板側表面上の固定端部分(基準点)をA、自由端部分をBで示す。また、基板に反りが生じていない場合の、基板の底面を基準面Cとする。種々の磁歪素片の固定端部分Aから自由端部分Bまでの、基準面Cに平行な方向距離をXとし、基準面Cから自由端部分Bまでの基準面Cに垂直な方向の距離をYとし、Y/Xを求める磁歪素片の反り変形量とした。このとき、磁歪素片30が磁歪材料層形成面側に反った場合、即ち、磁歪素片30が基板側に凸状となるように反った場合を正の反りとし、磁歪素片が基板側に反った場合、即ち、磁歪素片が磁歪材料層側に凸状となるように反った場合を負の反りとした。
図3(c)に、クロム層の厚さを種々変更した場合の成膜時に生じる磁歪素片の反り変形量を示す。図3(c)に示すように、クロム層の厚みを約0.98μmとしたときに磁歪素片の反り変形量は0となる。クロム層の厚みが0.98μmよりも薄く形成された場合には負、即ち、磁歪材料層形成面側が凸状となるように反り、0.98μmよりも厚く形成された場合には正、即ち、磁歪材料層形成面側が凹状となるように反ってしまう。このことから、磁歪素片の基板と磁歪材料層との間に適当な厚みのクロム層を形成することによって、成膜時における磁歪素片の反り変形が相殺されることが分かる。なお、クロム層の厚みは、磁歪材料層に用いる磁歪材料や、基板や磁歪材料層の厚さ等に合わせて適宜変更される。
[磁歪アクチュエータの製造方法]
次に、磁歪素片10を用いて製造した磁歪アクチュエータについて、図1及び4を用いて説明する。図1(a)に示すように、磁歪アクチュエータ100は、主に、磁気コア101、コイル103、磁歪素片10及び電源(不図示)で構成される。磁気コア101は、図4(a)及び(b)に示すように、幅(図中、Y方向の長さ)d=15mm、長さ(図中、X方向の長さ)d=10mm及び高さ(図中、Z方向長さ)d=10mmの四角柱状であり、磁気コア101の内部にはX方向に貫通する貫通孔102が形成されている。貫通孔102により、磁気コア101は、図4(b)に示すように、Z方向に上面部101aと底面部101bに分けられる。さらに、磁気コア101の上面部101aには、Y方向の中央部に、X方向に延在するギャップ108が形成され、ギャップ108は上面部101aを右上面部101arと左上面部101alに分割している。ギャップ108は貫通孔102と連通している。貫通孔102の幅及びギャップ108の幅(ギャップ幅)は、それぞれ、10mm及び1.2mmである。また、磁気コア101のギャップ108部分の対向する面102a(XZ面)のZ方向高さdは、磁歪素片の最大撓み量を考慮して0.8mmとした。磁気コア101は、フェライトからなる軟質磁性体で構成されている。なお、磁気コア101の軟質磁性体は0.2[Oe]の保磁力を有する。磁気コア101は、フェライトからなる軟質磁性体を、所望の形状となるように加圧成形して作製した。
図1(a)に示すように、磁気コア101の底面部(101b)には、直径0.3mmのエナメル線からなるコイル103が、X方向及びZ方向に200回程度周回して設けられている。不図示の電源はコイル103の両端に接続され、コイル103に電力を供給する。磁歪素片10は、ギャップ(108)内で、X方向に延在し且つ磁歪素片10の表面が磁気コア101の上面部(101a)の表面と平行になるように配置されている。ここで、図1(a)に示すように、磁歪素片10の一端を固定端として、ギャップ(108)の端部に挟持された支持片105に接着剤等で固着し、磁歪素片10の他端を支持せずに自由端とした。なお、磁歪素片10は、磁歪素片10の基板側がコイル103側を向くように、ギャップ内に配置される。
[磁歪アクチュエータの駆動方法]
次に、磁歪アクチュエータ100の駆動原理について、図1を用いて説明する。図1(b)に示すように、不図示の電源によってコイル103に電力を供給することにより、磁気コア101に磁界を発生させる。このとき、磁気コア101のギャップに、磁歪素片10の幅方向(Y方向)に磁界が発生する。これにより、ギャップ内に配置された磁歪素片10における負の磁歪定数を有するサマリウム−鉄合金からなる磁歪材料層が、発生した磁界の方向に縮み、その結果、発生した磁界と直交する方向である素片の長手方向(X方向)に伸長する。磁歪材料層が伸長することにより、クロム層を介して磁歪材料層と基板との間でずれ応力が生じ、磁歪素片10は支持片105で固定された固定端を支点として、矢印AR1で示すように、コイル103側、即ち、下方に向かって撓む。これにより、磁歪アクチュエータの動作に必要な変位量を得る。
この実施例では、コイル103に電流を流さない状態、即ち、磁気コア101に磁界が印加されていない状態では、磁歪素片10は真直であり、コイル103に120mAの電流を流して、磁気コア101のギャップ部に磁界H=450[Oe]を発生させることにより、矢印AR1の方向に0.8mm撓んだ。磁歪素片10の撓み量は、磁気コア101に発生した磁界により飽和状態となっていた。
本発明における磁歪アクチュエータの別な実施の形態を、図5を用いて説明する。本実施例における磁歪アクチュエータでは、図5に示すように、磁歪素片のクロム層53と磁歪材料層55との間にアルミニウムからなる中間層52を形成した以外は、実施例1と同様に構成した。中間層52は、基板51の一方の表面上にクロム層53を形成した後、アルミニウムを厚さ10nmとなるようにスパッタリングすることにより形成した。次いで、中間層52上に、実施例1と同様にして、磁歪材料層55及び保護層57を順に形成した。クロム層53と磁歪材料層55との間にアルミニウムからなる中間層52を形成することにより、スパッタリング等の気相法を用いて磁歪素片を形成した際に、クロム層53と磁歪材料層55との間で生じるおそれのある材料成分の相互拡散を防止することができる。
[比較実験]
ここで、クロム層と磁歪材料層との間にアルミニウムからなる中間層を形成した磁歪素片と中間層を形成しない磁歪素片について、撓み量を比較した。なお、本比較実験における磁歪素片は、図6に示すように、基板61として石英ガラス基板の代わりに厚さ40μmのポリイミド基板を用いた以外は、実施例1及び2と同様に構成した。図6(a)は中間層を形成していない磁歪素片60の層構成図を、図6(b)は中間層62を形成した磁歪素片60’の層構成図を示している。図7に、これらの磁歪素片60及び60’の撓み量の比較結果を示す。図7に示すように、印加磁界2000Oeのとき、磁歪素片60の撓み量θは0.53deg、磁歪素片60’の撓み量θは0.94degであった。また、印加磁界4000Oeのとき、磁歪素片60の撓み量θは0.64deg、磁歪素片60’の撓み量θは1.26degであった。約4000Oe以上の磁界を印加することにより、中間層62を設けた磁歪素片60’の方が、中間層を設けない磁歪素片60に比べて約2倍の撓み量を得られることが分かった。これは、中間層を設けることにより、クロムが磁歪層に入り込むことによって生じる磁歪特性の劣化を防止できたことに起因すると考えられる。
次に、本発明における磁歪アクチュエータを利用した光スイッチについて、図8〜10を用いて説明する。本発明の光スイッチに用いた磁歪アクチュエータは、実施例2と同じ構成の磁歪アクチュエータとした。図8(a)及び(b)は、本発明の光スイッチ200の概略図であり、図8(a)は、光スイッチ200を構成する磁歪素片50が撓んでおらず、光入射部となるレンズ付き光ファイバ202から照射された光が、磁歪素片50上に形成されたミラー54を介して、後述の光ファイバ204とは異なる位置に配置された第2の光出射部となるレンズ付き光ファイバ206に入射する様子を示している。一方、図8(b)は、磁歪素片50が撓んだ状態であり、光ファイバ202から照射された光が、光ファイバ202に対向する位置に配置された第1の光出射部となるレンズ付き光ファイバ204に直接入射する様子を示している。
磁歪素片50には、図9に示すように、磁歪材料層55上に形成されている保護層57上の端部近傍にミラー54が形成されている。このミラー54は、金を厚さ100nmとなるように、スパッタ法を用いて形成した。また、ミラー54の表面形状が0.5mm×0.5mmの正方形となるように形成した。なお、本実施例では、図8に示すように、磁歪素片50の自由端側にミラー54が配置されるように、磁歪素片50を磁気コア201のギャップ内に配置した。
次に、入射用のレンズ付き光ファイバ202及び出射用のレンズ付き光ファイバ204,206の配置について説明する。入射用のレンズ付き光ファイバ202及び出射用のレンズ付き光ファイバ204,206は、それぞれ先端部に集光レンズが設置された光ファイバであり、波長1.5μmのシングルモード対応のものを用いた。出射用のレンズ付き光ファイバ206は、図10(a)に示すように、磁歪素片50が撓んでいないときに、入射用光ファイバ202から照射され、磁歪素片50上に形成されたミラー54の表面で反射した光を入射する位置に配置される。これに対し、出射用のレンズ付き光ファイバ204は、図10(b)に示すように、磁歪素片50が撓んだときに、入射用のレンズ付き光ファイバ202から照射された光が直接入射されるような位置、即ち、光ファイバ202に対向する位置に配置される。
本発明における光スイッチの具体的な切り替え方法について、図8を用いて説明する。図8(a)に示すように、光スイッチ200は、コイル203に電流を流さない状態、即ち、磁気コア201に磁界が印加されていない状態では、磁歪素片50は撓まず、入射用の光ファイバ202から照射された光は磁歪素片50上のミラー54表面に入射し、ミラー54で反射された後に光ファイバ206に入射する。これに対し、コイル203に120mAの電流を流して、磁気コア201のギャップ部に磁界H=450[Oe]を発生させることにより、図8(b)に示すように、磁歪素片50は矢印AR2の方向に撓む。上述の通り、磁歪素片50の撓み量は飽和状態となっている。磁歪素片50が撓むことにより、入射用の光ファイバ202から照射された光は、磁歪素片50に遮られることなく、直接出射用の光ファイバ204に入射する。このように、コイル203への電力供給のON/OFFを行うことにより、光路の切り替えが可能となる。これにより、光スイッチングが実現される。
上記実施例では、磁歪材料層を負の磁歪定数を有するサマリウム−鉄合金を用いて形成したが、エルビウム−鉄合金、ツリウム−鉄合金、サマリウム−鉄−コバルト合金、サマリウム−エルビウム−鉄合金、サマリウム−ツリウム−鉄合金等を用いて形成してもよい。また、正の磁歪定数を有するテルビウム−鉄合金、ホロミウム−鉄合金、テルビウム−ニッケル合金、テルビウム−コバルト合金、テルビウム−鉄系合金(例えば、Tb−Co−Fe,Tb−Ni−Fe)、テルビウム−ニッケル系合金(Tb−Co−Ni)、ジスプロシウム−鉄合金、ガドリニウム−鉄合金、テルビウム−ジスプロシウム−鉄合金等を用いて磁歪材料層を形成することもできる。磁歪材料層に正の磁歪定数を有する磁歪材料を用いた磁歪素片の場合、磁歪素片の撓み方向を一定とするために、磁歪素片は磁歪材料層が磁気コアの内側(コイル側)に向くように配置される。
上記実施例における光スイッチでは、光ファイバ204に光ファイバ202から直接光が入射する場合を示したが、光ファイバ204の位置を変更して光スイッチをコンパクトにするために、適宜反射部材を介在させて光ファイバ204に光を入射させてもよい。光ファイバ206についても同様にして位置を変更し、適宜反射部材を介在させて、光ファイバ202からの光を光ファイバ206に入射させてもよい。さらに、磁歪素片の表裏が反対となるように光スイッチに配置する、または、磁歪素片の磁歪膜に正負が逆の磁歪定数を有する磁歪材料を用いることにより、磁界を印加したときに磁歪素片上のミラーで光を反射し、磁界を印加しないときに光路を遮ることがないような構成にしてもよい。
本発明の磁歪アクチュエータでは、スパッタリングや蒸着等の気相法による成膜によって磁歪素片を形成した場合でも、反り変形のない磁歪素片を形成することができる。これにより、磁界印加による磁歪素片の最大撓み量のみを考慮して、磁界印加部の磁界発生部分の大きさ(面積)を小さく設計することができるので、消費電力を抑えた磁歪アクチュエータを製造することができる。また、この磁歪アクチュエータを利用して、1×2チャンネル等の光切り替えを効率良く行う光スイッチを製造することができる。
本発明の実施例1における磁歪アクチュエータの概略構成図である。 実施例1における磁歪素片の概略構成図である。 磁歪素片の反り変形に対するクロム層の層厚依存性について説明する図である。 実施例1における磁歪アクチュエータに用いる磁気コアの概略図である。 本発明の実施例2における磁歪素片の概略構成図である。 比較実験における磁歪素片の概略構成図である。 比較実験における磁歪素片の撓み変位量を示したグラフである。 本発明の実施例3における光スイッチの概略構成図である。 実施例3の光スイッチの磁歪素片の概略図である。 実施例3における光スイッチの切り替えの様子を説明するための図である。 基板上に磁歪材料層、及び、基板上にクロム層を形成した際の素片に生じる反り変形について説明する図である。
符号の説明
1,31,51,61,111 基板
3,33,53,63,113 クロム層
5,35,53,65,115 磁歪材料層
7,37,57,67 保護層
10,30,50,60,60’ 磁歪素片
54 ミラー
100 磁歪アクチュエータ
101,201 磁気コア
103,203 コイル
105,205 支持片
108 ギャップ
200 光スイッチ
202 入射用レンズ付き光ファイバ
204,206 出射用レンズ付き光ファイバ

Claims (9)

  1. 基体と、該基体上に形成されるクロム膜と、該クロム膜上に磁歪材料で形成された薄膜とで構成される素片と;
    該素片に磁界を印加する磁界印加手段と;を備えることを特徴とする磁歪アクチュエータ。
  2. 上記素片のクロム膜と磁歪材料薄膜との間に、アルミニウム層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁歪アクチュエータ。
  3. 上記磁界印加手段が、磁気コア、該磁気コアに周回して設けられたコイル及び電源で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の磁歪アクチュエータ。
  4. 基体と、気相法を用いて形成された磁歪材料薄膜と、上記基体上に上記磁歪材料薄膜を形成したときに基体に生じる反りとは逆向きの反りを上記基体に生じさせる膜とで構成される素片と;
    該素片に磁界を印加する磁界印加手段と;を備えることを特徴とする磁歪アクチュエータ。
  5. 上記膜がクロム膜であることを特徴とする請求項4に記載の磁歪アクチュエータ。
  6. 上記気相法がスパッタ法であることを特徴とする請求項4または5に記載の磁歪アクチュエータ。
  7. 上記気相法が蒸着法であることを特徴とする請求項4または5に記載の磁歪アクチュエータ。
  8. 光スイッチであって、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁歪アクチュエータと;
    光スイッチに光を入射する光入射部と;
    該光入射部からの光を光スイッチから出射する第1光出射部及び第2光出射部と;
    上記素片上に形成されたミラーと;を備え、
    上記素片に磁界が印加されたときに、上記光入射部からの光が第1光出射部に導かれ、磁界が印加されないときに、上記ミラーを介して第2光出射部に導かれることを特徴とする光スイッチ。
  9. 上記光入射部及び光出射部の少なくとも一方がレンズ付き光ファイバであることを特徴とする請求項8に記載の光スイッチ。
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