JP2005057209A - 電子機器冷却装置 - Google Patents

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雄一朗 小西
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Abstract

【課題】本発明の目的は、液冷式の電子機器の冷却装置において、ポンプサイズを小さくし、特にノートパソコンにおいて有用な電子機器の冷却装置を提供することにある。
【解決手段】電子機器の冷却装置において、発熱部に設けた受熱部と、筐体の任意の場所の金属壁面に設けた放熱部とを任意の場所を経由して接続する熱輸送手段として潜熱蓄熱材を内包したマイクロカプセルの分散液を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、パソコンなど発熱部を持つ電子機器を効率的に冷却するための冷却装置に関するものである。
従来の電子機器の冷却システムでは、電子機器内の発熱部と金属筐体壁との間に金属板又はヒートパイプを介在させて発熱部を熱的に金属筐体壁と接続することによって、発生する熱を金属筐体壁で放熱する、さらには金属筐体壁にファンを設置し強制的に空冷するものであった。
パソコンは、本体部に内蔵されたCPU等の発熱部から熱を発生するが、冷却効率が低いと発生熱によって回路動作が不安定になったり、機構類の熱変形を引き起こすことがある。特に、最近では処理速度が一層向上するのに伴って発熱量の増大を来しており、この増大した発熱を効率よく外部に放熱することが望まれている。
パソコンの発熱量増大に対しては、CPU近傍にファンを設けその送風容量を大きくして対処することが考えられるが、これだとファンによる風切り音が騒音となったり、振動が発生してコンピュータ使用上で課題を生じる。また、CPU等の発熱体における放熱のための空冷用ヒートシンク(放熱板)のサイズを大きくして放熱容量をかせぐということも考えられる。しかし、この対処策はパソコンの小型化の要請と相容れないものである。特にノート型パソコンでは小型化のために隙間に小さく、冷却効率が低いために大きな問題となる。
効率よく冷却をおこなう技術として、電子機器の発熱部を液冷する技術が開示されている。(例えば、特許文献1参照)これによると、電子機器の半導体素子発熱部で発生した熱を受熱ヘッドで受け取り、受熱ヘッド内の冷却液がフレキシブルチューブを通って表示装置の金属製筐体に設けられた放熱ヘッドに輸送されて、半導体素子発熱部で発生した熱を冷却液を介して放熱ヘッドを通し金属製筐体から効率的に放熱する構造となっている。更に、放熱面である金属製筐体の壁面に直接取り付けられたヒートパイプに伝達され、更に、放熱面である金属製筐体の壁面に直接取り付けられたヒートパイプの他端に熱接続されて放熱される構造が開示されている。
前記液冷システムでは、発熱部材で発生した熱を冷却液により、放熱ヘッドへ熱輸送され、放熱ヘッドから放熱している。しかしながら、液冷システムでは、冷却液を発熱ヘッドと放熱ヘッドの間を循環させるために、ポンプが必要となる。このポンプのサイズは、冷却液を循環させるチューブの管路抵抗や冷却液の流量に依存し、パソコンの小型化を阻害する要因になる技術的な課題である。前期液例システムでは冷却液の顕熱で熱を輸送するが、パソコンでは放熱ヘッドと室温との温度差が大きく取れないために冷却効率が低く、冷却液の液流を大きくする必要があるためにパソコンの小型化の阻害要因となっていた。
特開平7−142886号公報
本発明の目的は、電子機器の冷却装置において、上記課題を解決し、有用な電子機器の冷却装置を提供することにある。
前記課題を解決するために本発明は、電子機器の冷却装置において、発熱部に設けた受熱部と、筐体の任意の場所の金属壁面に設けた放熱部とを任意の場所を経由して接続する熱輸送手段として潜熱蓄熱材を内包したマイクロカプセルの分散液を用いることにより効率的に熱を搬送できる電子機器の冷却装置を提供する。
潜熱蓄熱材は潜熱を利用して小容量で且つ多量の熱量を蓄えることが可能であるが、単体では凝固した際に流動性を失うため冷却液としては不適であった。そこで、本発明では潜熱蓄熱材をマイクロカプセルに内包し媒体に分散させることにより、潜熱蓄熱材の相状態に関係なく良好な流動性を有する冷却液を得る。
本発明により、液冷式の冷却装置におけるポンプのサイズを小さくすることができ、パソコンなどの電子機器の小型化を可能にする。
以下、本発明をノートパソコンを例にして説明する。ノートパソコンは、複数の半導体素子を搭載した配線基板、キ−ボード、ディスク装置、表示装置などからなり、金属製の筐体の中に収容されている。配線基板に搭載された半導体素子のうち、発熱量の特に大きい半導体素子は、受熱ヘッダ、放熱ヘッダ、フレキシブルチューブ等で構成される熱輸送デバイスによって冷却される。半導体素子と受熱ヘッダとはサ−マルコンパウンド、あるいは、高熱伝導シリコンゴムなどを挟んで接触させ、半導体素子で発生する熱を効率よく受熱ヘッダに伝える。さらに、半導体素子に接続された受熱ヘッダはフレキシブルチューブによって、表示装置の背面部の筐体壁に設置された放熱ヘッダに接続されている。放熱ヘッダは、サ−マルコンパウンド、あるいは、高熱伝導シリコンゴムを介して、もしくは、直接ねじ止めなどの手段によって金属製筐体壁と熱的かつ物理的に取り付けられる。
受熱ヘッダ、放熱ヘッダの内部には流路が形成され、液体が封入されている。さらに、放熱ヘッダの内部には液駆動装置が組み込まれており、受熱ヘッダと放熱ヘッダとの間で液が駆動される。液体の駆動は、両者間での往復動、あるいは、循環による。受熱ヘッダと放熱ヘッダ間はフレキシブルチュ−ブによって接続されるので、非常に狭い筐体内に多数の部品が実装された状態においても、実装構造に左右されることなく、高発熱半導体素子と放熱部である筐体壁とが容易に接続できるとともに、熱輸送が液の駆動によって行われるので、高発熱半導体素子で発生する熱は、効果的に放熱ヘッダに輸送される。放熱部においては、放熱ヘッダと金属製筐体壁とが熱的に接続されているので、金属製筐体の高い熱伝導率のために熱が広く筐体壁に拡散され高い放熱性能が得られる。したがって、効率的に半導体素子を冷却することができる。
受熱ヘッダ、放熱ヘッダの内部にはフィンが設けられており、液流路を形成するとともにヘッダ壁より内部の液体に効率よく熱を伝える。さらに、放熱ヘッダは、内部に液駆動機構を内蔵している。受熱ヘッダは、半導体素子などの発熱部の大きさに応じて任意の大きさに設定でき、発熱部に接触などの手段によって熱的に接続される。また、金属板(銅、アルミなど)に金属パイプを溶接した構造であってもよい。一方、放熱ヘッダ内部の液駆動機構は、一例として、流路の一部をシリンダとしピストンをモータ及びリンク機構によって往復駆動させる機構が挙げられる。従来の顕熱を利用して熱輸送するシステムと比較すると、マイクロカプセルの持つ潜熱により輸送できる熱量が増えているので使用するポンプのサイズを小さくすることができる。放熱ヘッダは、金属製の筐体の壁に取り付けられるが、取付け構造として筐体壁にネジ止め用のボスをダイカスト成型時に一体で形成してもよい。また、受熱ヘッダと放熱ヘッダを接続するフレキシブルチューブは、樹脂製でよく内径2mm前後のものを用いる。したがって、受熱ヘッダ、放熱ヘッダとも薄型化が可能で、狭い空間に実装された高発熱半導体素子であっても効果的に冷却できる。
冷却装置に封入される液体に潜熱蓄熱材を内包したマイクロカプセルを用いることが本発明の特徴である。本発明のマイクロカプセルで内包される蓄熱材は相転移に伴う潜熱を利用して蓄熱する目的で用いられる。具体的には、融点あるいは凝固点を有する化合物であれば使用可能であるが、例えば好ましい化合物としてはテトラデカン、ペンタデカン、エイコサン、ドコサンの如き炭素数が10以上の脂肪族炭化水素が好ましい化合物として挙げられる。これらの脂肪族炭化水素化合物は炭素数の増加とともに融点が上昇するため、目的に応じた融点を有する脂肪族炭化水素化合物を選択したり、2種以上を混合することも可能である。
本発明で用いられるマイクロカプセルは皮膜の内側に蓄熱材を内包した微少な粒子である。一般に蓄熱材をマイクロカプセル化する方法としては、複合エマルジョン法によるカプセル化法(特開昭62−1452号公報)、蓄熱材粒子の表面に熱可塑性樹脂を噴霧する方法(同62−45680号公報)、蓄熱材粒子の表面に液中で熱可塑性樹脂を形成する方法(同62−149334号公報)、蓄熱材粒子の表面でモノマーを重合させ被覆する方法(同62−225241号公報)、界面重縮合反応によるポリアミド皮膜マイクロカプセルの製法(特開平2−258052号公報)等に記載されている方法を用いることができる。
カプセル膜材としては、界面重合法、インサイチュー法等の手法で得られる、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアクリルアミド、エチルセルロース、ポリウレタン、アミノ樹脂、またゼラチンとカルボキシメチルセルロース若しくはアラビアゴムとのコアセルベーション法を利用した合成あるいは天然の樹脂が用いられるが、高温で樹脂と混合されるため熱的に安定な熱硬化性樹脂皮膜を有するマイクロカプセルが好ましく、特に脂肪族系炭化水素化合物でも良好な品質のマイクロカプセルが得られるインサイチュー法による尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂皮膜を用いたマイクロカプセルが好ましい。
本発明に係るマイクロカプセルの粒子径は、物理的圧力による破壊を防止するために10μm以下、特に好ましくは5μm以下が好ましい。マイクロカプセルの粒子径は、カプセル作製時に用いる乳化剤の種類と濃度、乳化時の乳化液の温度、乳化比(水相と油相の体積比率)、乳化機、分散機等と称される微粒化装置の運転条件(攪拌回転数、時間等)等を適宜調節して所望の粒子径に設定する。この粒子径以上になるとマイクロカプセルが外圧で容易に壊れやすくなったり、蓄熱材の比重が分散媒のそれと大きく差がある場合など、浮遊したり沈降したりし易くなるので好ましくない。粒子径は例えばコールターカウンター(英国コールターエレクトロニクス社、コールターマルチサイザー)で測定することができる。
マイクロカプセル分散液のマイクロカプセルの占める割合は高いほど蓄熱量が増し好ましいが、良好な流動性を維持するには10〜70%(wt/wt)、好ましくは20〜60%(wt/wt)の範囲にするのが好ましい。この範囲以上の割合であると分散液の粘度上昇のために流動性が乏しくなり、またこの範囲以下の割合であると蓄熱効果に乏しいものとなり好ましくない。
以下、本発明の実施手順を実施例として具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、蓄熱量については示差熱熱量計(米国パーキンエルマー社製、DSC−7型)を用いて測定し、粒子径についてはコールターカウンター(英国コールターエレクトロニクス社、コールターマルチサイザー)で測定した。
蓄熱材マイクロカプセルの製法
メラミン粉末12重量部に37%ホルムアルデヒド水溶液15.4重量部と水40重量部を加え、pHを8に調整した後、約70℃まで加熱してメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を得た。pHを4.5に調整した10%スチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100重量部中に、蓄熱材として、パラフィンワックス(融点45℃)80重量部を激しく撹拌しながら添加し、粒子径が1.8μmになるまで乳化を行った。
得られた乳化液に、上記メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液全量を添加し70℃で2時間撹拌を施し、粒子径2.0μmの蓄熱材マイクロカプセル分散液を得た。
マイクロカプセル分散液を冷却液としてノートパソコンの冷却装置内に封入し、筐体内のポンプにより冷却液を駆動させながら連続使用を行った。室温(25℃)にて連続使用しても半導体素子の温度上昇は見られなかった。
本発明により、液冷式の冷却装置におけるポンプのサイズを小さくすることができ、パソコンなどの小型化を可能にする。

Claims (2)

  1. 電子機器の冷却装置において、発熱部に設けた受熱部と、筐体の任意の場所の金属壁面に設けた放熱部とを任意の場所を経由して接続する熱輸送手段として潜熱蓄熱材を内包したマイクロカプセルの分散液を用いることを特徴とする電子機器冷却装置。
  2. 電子機器がノートパソコンである請求項1に記載の電子機器冷却装置。
JP2003289215A 2003-08-07 2003-08-07 電子機器冷却装置 Pending JP2005057209A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014179483A (ja) * 2013-03-15 2014-09-25 Furukawa Electric Co Ltd:The 熱交換モジュール、これを用いたモータ構造、熱交換モジュールの製造方法、および暖房システム

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